説明

文書処理装置

【課題】記録材の節約機能を有する文書処理装置において、文字認識処理による文字の電子データ化ができない文書を印刷することが可能な文書処理装置を提供する。
【解決手段】文書処理装置が搭載された複合機1は、複数種別の文書データを用紙にトナーを用いて印刷するプリンタ21と、複数種別のうち少なくとも一つの種別について、文書データを蓄積する文書蓄積部11と、蓄積される種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を不可とする設定を記憶する設定記憶部12と、文字認識を不可とする設定が記憶された種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識が不可能にトナーセーブ量を設定するトナー設定部13とを備える。プリンタ21は、トナーセーブ量が設定された種別を印刷する際に、設定されたトナーセーブ量に基づいて文書データを用紙に印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トナー等の記録材を用いて用紙に文書データを印刷する際に、記録材を節約して印刷を行う文書処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、トナー節約機能付き複合ファクシミリ装置が記載されている。この装置では、予めファイルの種類毎にトナーを節約する/しないという情報が登録され、トナーを節約するという情報が登録された種類のファイルを印刷するときには、トナーを節約して印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−258610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷された文字を認識して文字の電子データを生成する文字認識(OCR)装置がある。この文字認識装置によって文書の文字認識処理が行われ、文書の文字が電子データ化されると、文書に記載された情報へのアクセス、及び、文書の編集が容易となる。このため、文字認識装置による文字認識をセキュリティの観点から防止したい場合がある。しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、この点についてなんら考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、記録材の節約機能を有する文書処理装置において、文字認識処理による文字の電子データ化ができない文書を印刷することが可能な文書処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る文書処理装置は、複数種別の文書データを用紙に記録材を用いて印刷する印刷手段と、複数種別のうち少なくとも一つの種別について、文書データを蓄積する蓄積手段と、蓄積手段によって蓄積される種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を不可とする設定を記憶する記憶手段と、記憶手段によって文字認識を不可とする設定が記憶された種別に対して、印刷物の文字を文字認識装置によって認識することが不可能に記録材の節約量を設定する設定手段と、を備え、印刷手段は、設定手段によって記録材の節約量が設定された種別の文書データを印刷する場合に、該種別に対して設定された記録材の節約量に基づいて、文書データを用紙に印刷することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る文書処理装置によれば、複数種別のうち少なくとも一つの種別について、文書データが蓄積手段によって蓄積される。この蓄積される種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を不可とする設定が記憶手段によって記憶される。文字認識を不可とする設定が記憶された種別については、印刷物の文字を文字認識装置によって認識することが不可能に、印刷時に用いる記録材の節約量が設定手段によって設定され、印刷データが印刷手段によって用紙に印刷される。このため、文字認識を不可とする設定が記憶された種別については、文字認識装置による文字認識が不可能な量に記録材が節約されて印刷される。従って、文書データの種別に応じて、文字認識処理による文字の電子データ化ができない文書を印刷することが可能となる。
【0008】
また、印刷物の文字を文字認識装置によって認識不可能に節約量が設定された種別の文書データは、蓄積手段によって蓄積される。従って、ユーザが印刷物の文字が不鮮明であると感じた場合に、記憶された文書データを用いて再度印刷を行うことが可能である。
【0009】
本発明に係る文書処理装置では、記憶手段が、蓄積手段によって蓄積される種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を可とする設定を記憶し、設定手段は、記憶手段によって文字認識を可とする設定が記憶された種別に対して、印刷物の文字を文字認識装置によって認識することが可能に節約量を設定することが好ましい。
【0010】
この場合、更に、文字認識装置による印刷物の文字認識を可とする設定がなされた種別については、文字認識装置による印刷物の文字認識を可能に記録材の節約量が設定され、文書データが印刷される。従って、文字認識を可とする設定が記憶された種別については、文字認識装置による文字認識が可能な量に記録材が節約されて印刷される。一方、上述したように、文字認識を不可とする設定の種別は、印刷物の文字認識ができないように印刷される。従って、文書データの種別に応じて、印刷物の文字認識装置による文字認識の可否を制御することができる。
【0011】
本発明に係る文書処理装置では、設定手段が、蓄積手段によって蓄積されない種別については、記録材が節約されないように設定することが好ましい。この場合、蓄積手段によって蓄積されない種別の文書データについては、記録材が節約されずに印刷されるので、節約される場合と比較して文字を鮮明に印刷することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録材の節約機能を有する文書処理装置において、文字認識処理による文字の電子データ化ができない文書を印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る文書処理装置が搭載された複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】複合機が備える設定記憶部に記憶される設定内容の一例を示す表である。
【図3】複合機が備える制御部による設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】複合機が備える制御部によるトナーセーブ量を設定する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。最初に、図1を用いて、実施形態に係る文書処理装置が搭載された複合機1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る文書処理装置が搭載された複合機1の構成を示すブロック図である。
【0015】
複合機1は、プリンタ、FAX、IFAX、コピー、及びスキャナ等の機能を有し、これらの機能によって取得された文書データの種別に応じて、プリンタで使用されるトナーの節約量(以下「トナーセーブ量」という)を制御する。これにより、複合機1は、文書データの種別に応じて、文書データが印刷された印刷物の文字認識装置による文字認識の可否を制御する。
【0016】
なお、複合機1において取得される文書データの種別には、FAX受信原稿、IFAX受信原稿、コピー原稿、PCプリント原稿、及びリスト関係出力原稿等がある。これらの文書データは、プリンタ21によって用紙に印刷される。ここで、リスト関係出力原稿は、例えば、複合機1の動作状況等を示すリスト原稿であり、複合機1内において生成される文書データである。
【0017】
上記の機能を実現するために複合機1は、制御部10、プリンタ21、スキャナ22、コーディク23、文字認識部24、NCU(Network Control Unit)25、モデム26、IFAX制御部27、Webサーバ28、操作部29、表示部30、及びLANインターフェース31を備えている。なお、各部は通信線32で相互に通信可能に接続されている。
【0018】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。制御部10は、プログラムを実行することにより、複合機1が備えるハードウエアを統合的に制御する。また、制御部10は、上記のハードウエアとソフトウエアとの協働によって、以下に説明する文書蓄積部11、設定記憶部12、及びトナー設定部13としての機能を発揮する。
【0019】
文書蓄積部11は、複合機1において取得された複数種別の文書データのうち、アーカイブ設定がなされた種別の文書データを種別毎に蓄積する。すなわち、文書蓄積部11は、特許請求の範囲に記載の蓄積手段として機能する。文書蓄積部11は、アーカイブ設定がONに設定された種別の文書データを種別毎に記憶し、アーカイブ設定がOFFに設定された種別の文書データは記憶しない。
【0020】
文書蓄積部11は、複合機1において取得された文書データがラスタ形式である場合にはそのデータを蓄積し、取得された文書データがラスタ形式でない場合には、制御部10においてラスタライズされた文書データを蓄積する。文書蓄積部11が、ラスタ形式で文書データを記憶することにより、同じ文書データを再び印刷する際に、ラスタライズ変換処理を行うことなく印刷を行うことができる。
【0021】
設定記憶部12は、文書データの種別毎に、OCR設定、アーカイブ設定、及びトナーセーブ方法を記憶する。設定記憶部12は、OCR設定として、文字認識装置による印刷物の文字認識を可又は不可とする設定を文書データの種別毎に記憶する。すなわち、設定記憶部12は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0022】
図2を参照して、設定記憶部12に記憶される設定内容について説明する。図2は、複合機1が備える設定記憶部12に記憶された設定内容の一例を示す表である。この一例では、OCR処理について、文書データの各種別に対して「可」、「不可」、又は「無効」のいずれかが設定されている。
【0023】
「可」の設定は、対象となる種別の文書データが印刷された印刷物について、文字認識装置による文字認識を許可する旨の設定である。「不可」の設定は、対象となる種別の文書データが印刷された印刷物について、文字認識装置による文字認識を許可しない旨の設定である。「可」又は「不可」の設定は、ユーザの操作に応じて設定される。「無効」の設定は、未だユーザによって設定がなされていない旨を示している。
【0024】
アーカイブ設定については、OCR設定が「可」並びに「不可」である種別、及び、ユーザが設定した種別に対して、「ON」が設定されている。それ以外の種別については、アーカイブ設定が「OFF」に設定され、文書データは蓄積されない。
【0025】
トナーセーブ方法については、OCR設定が「可」に設定された種別「FAX受信原稿」に対して、「自動調整」が設定されている。この場合の「自動調整」は、文字認識装置が印刷物の文字を認識できるように、トナーセーブ量が設定されることを意味する。一方、OCR設定が「不可」に設定された種別「PCプリント原稿」に対して設定された「自動調整」は、文字認識装置が印刷物の文字を認識できないように、トナーセーブ量が設定されることを意味する。
【0026】
アーカイブ設定が「OFF」に設定された種別「コピー原稿」に対して、トナーセーブ方法は「設定禁止」に設定されている。この「設定禁止」は、ユーザによるトナーセーブ量の設定を禁止し、印刷時にトナーを節約しないことを意味する。
【0027】
より詳しく説明すると、トナーを節約して印刷した場合、文字が不鮮明となる結果、印刷が失敗したとユーザが感じる虞がある。この場合に、ユーザが再度の印刷をしようとしても、アーカイブ設定が「OFF」の文書データは、複合機1内に蓄積されていないので、蓄積された文書データを用いて再度の印刷を行うことができない。そこで、アーカイブ設定が「OFF」に設定されている種別の文書データについては、トナーを節約しないように設定されている。
【0028】
OCR設定が「無効」、アーカイブ設定が「ON」に設定された種別「IFAX受信原稿」,「リスト関係出力原稿」に対して、トナーセーブ方法は、「ユーザ設定値(30%)」,「ユーザ設定値(50%)」が設定されている。「ユーザ設定値(30%)」は、ユーザが任意に設定した値(30%)にトナーセーブ量が設定されることを意味する。トナーセーブ量が30%に設定された場合、トナーを節約しない場合に対する70%の量のトナーを用いて印刷される。
【0029】
トナー設定部13は、設定記憶部12に記憶された設定に基づき、文書データの種別に応じてトナーセーブ量を設定する。すなわち、トナー設定部13は、特許請求の範囲に記載の設定手段として機能する。
【0030】
トナー設定部13は、OCR設定が「可」でトナーセーブ方法が「自動調整」に設定された種別が印刷される際に、文字認識装置によって印刷物の文字が認識できるように、トナーセーブ量を設定する。また、トナー設定部13は、OCR設定が「不可」でトナーセーブ方法が「自動調整」に設定された種別が印刷される際に、文字認識装置によって印刷物の文字が認識できないように、トナーセーブ量を設定する。
【0031】
トナー設定部13は、例えば、文字認識装置によって印刷物の文字を認識可能なトナーセーブ量及び認識不可能なトナーセーブ量を予め定められた所定値に設定する。例えば、認識可能なトナーセーブ量の所定値を30%程度に設定し、認識不可能なトナーセーブ量の所定値を50%程度に設定することができる。
【0032】
また、文字認識装置によって印刷物の文字を認識可能なトナーセーブ量は、次のような方法により設定してもよい。まず、印刷対象のラスタライズデータに画像処理を施すことにより、トナーを節約して印刷された印刷物を示す画像データを生成する。生成した画像データに含まれる文字についてOCR処理を行い、文字の認識率を算出する。この手順をトナーセーブ量を変えて繰り返すことにより、認識率100%の画像データについて、トナーの最大節約割合を算出することができる。トナー設定部13は、この認識率100%の最大節約割合を文字認識装置によって印刷物の文字を認識可能なトナーセーブ量として設定する。
【0033】
文字認識装置によって印刷物の文字を認識不可能なトナーセーブ量は、例えば、次のような方法により設定してもよい。認識率が例えば30%の画像データについて、トナーセーブ量を変えて上記の手順を繰り返すことにより、認識率30%の画像データについてトナーの最大節約割合を算出することができる。トナー設定部13は、この認識率30%の最大節約割合を文字認識装置によって印刷物の文字を認識不可能なトナーセーブ量として設定する。
【0034】
また、トナー設定部13は、設定記憶部12にトナーセーブ方法として「ユーザ設定値」が設定されている場合には、設定記憶部12に記憶されたユーザ設定値をトナーセーブ量として設定する。また、トナー設定部13は、設定記憶部12にトナーセーブ方法として「設定禁止」が設定されている場合には、トナーセーブ量を0%に設定する。
【0035】
図1に戻り、引き続き複合機1の構成について説明する。プリンタ21は、ラスタ形式の文書データを用いて、複数種別の文書データを用紙に印刷する。すなわち、プリンタ21は、特許請求の範囲に記載の印刷手段として機能する。プリンタ21は、記録材としてトナーを使用する。また、プリンタ21は、トナー設定部13によって設定されたトナーセーブ量に基づいて、トナーを節約して文書データを印刷する。
【0036】
プリンタ21は、トナーを節約する方法として既知の方法を用いることができる。例えば、レーザをライン状に走査して感光体上に静電潜像を形成する際に、設定されたトナーセーブ量に応じて画素を間引きすることにより、感光体に付着するトナーをトナーセーブ量に応じて節約する。
【0037】
プリンタ21が、文字認識装置によって印刷物の文字を認識可能に設定されたトナーセーブ量で印刷した場合に、印刷された印刷物について、文字認識部24による文字認識処理を行うと、例えば、約90%以上の文字認識率となる。プリンタ21が、文字認識装置によって印刷物の文字を認識不可能に設定されたトナーセーブ量で印刷した場合に、印刷された印刷物について、文字認識部24による文字認識処理を行うと、例えば、約30%以下の文字認識率となる。
【0038】
スキャナ22は、光学式の読取装置であり、紙文書等の原稿を読み取り、画像データを生成する。コピーが行われる際には、スキャナ22によって生成された画像データが、コピー原稿として取り扱われる。コーデック23は、スキャナ22で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。文字認識部24は、例えばスキャナ22によって読み込まれた画像データのOCR処理を行う。
【0039】
NCU25は、モデム26と接続されており、モデム26と公衆交換電話網(PSTN)52との接続を制御し、FAXの送受信を行う。NCU25によって受信されたFAXの原稿データが、FAX受信原稿として取り扱われる。
【0040】
IFAX制御部27は、画像データを電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信する。また、IFAX制御部27は、設定された時間毎にPOPサーバからLANインターフェース31を介して電子メールを受信する。IFAX制御部27によって受信された電子メールに添付された画像データが、IFAX受信原稿として取り扱われる。
【0041】
Webサーバ28は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、パーソナルコンピュータ50からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。
【0042】
操作部29は、ユーザが複合機1を操作するために設けられた各種のファンクションキー等を備えている。表示部30は、LCD等を用いた表示装置であり、複合機1の動作状態、設定内容、及び各種のメッセージ等を表示する。ユーザは、表示部30に表示された内容に応じて、操作部29を介してOCR設定、アーカイブ設定、トナーセーブ量の設定等の各種の設定を行うことができる。
【0043】
LANインターフェース31は、パーソナルコンピュータ50が接続されたLAN51に接続されている。このため、複合機1は、パーソナルコンピュータ50を介してユーザから各種の設定を受け付けることができる。また、LANインターフェース31を介してパーソナルコンピュータ50から入力された文書データが、ユーザの操作による印刷指示と共に複合機1に入力される。この文書データは、PCプリント原稿として取り扱われる。
【0044】
以下、複合機1が備える制御部10による処理動作を説明する。まず、図3を参照して、設定記憶部12に記憶されるOCR設定、アーカイブ設定、及びトナーセーブ方法を設定する処理手順について説明する。図3は、複合機1が備える制御部10による設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
最初に、ステップS101では、設定対象となる文書データの種別が選択される。次に、ステップS102では、ユーザからOCR設定が受け付けられる。ステップS103では、ステップS102においてユーザから受け付けられたOCR設定について、有効か否かが判断される。ユーザから受け付けられたOCR設定が「可」又は「不可」である場合には、OCR設定が有効と判断され、ステップS109へ処理が進む。
【0046】
ユーザからOCR設定について「可」又は「不可」が受け付けられていない場合には、OCR設定が有効でないと判断され、ステップS104へ処理が進む。ステップS104では、OCR設定について「無効」が設定される。続いて、ステップS105では、ユーザからアーカイブ設定が受け付けられる。次に、ステップS106では、ステップS105において受け付けられたアーカイブ設定がONか否かが判断される。
【0047】
受け付けられたアーカイブ設定がONである場合は、ステップS107へ処理が進む。ステップS107では、ユーザからトナーセーブ量の設定が受け付けられて、トナーセーブ方法が「ユーザ設定値」に設定されると共に、受け付けられたトナーセーブ量が記憶される。
【0048】
ステップS106で受け付けられたアーカイブ設定がONでない場合は、ステップS108へ処理が進む。ステップS108では、トナーセーブ方法が「設定禁止」に設定される。これにより、アーカイブされない種別の文書データについては、印刷時にトナーがセーブされないように設定することができる。
【0049】
一方、ステップS109では、アーカイブ設定が「ON」に設定される。続いて、ステップS110では、ステップS102でユーザから受け付けられたOCR設定が「可」であるか否かが判断される。ステップS102で受け付けられたOCR設定が「不可」である場合には、ステップS111へ処理が進む。ステップS111では、トナーセーブ方法が「自動調整」、OCR設定が「不可」に設定される。
【0050】
ステップS110において、ステップS102でユーザから受け付けられたOCR設定が「可」であると判断された場合には、ステップS112へ処理が進む。ステップS112では、トナーセーブ方法が「自動調整」、OCR設定が「可」に設定される。以上の処理を文書データの種別毎に行うことにより、OCR処理、アーカイブ設定、トナーセーブ方法が文書データの種別毎に設定され、設定記憶部12によって記憶される。
【0051】
このように、設定記憶部12に設定が予め記憶された状態で、複合機1において文書データが取得されると、制御部10において、トナーセーブ量の設定が行われる。このトナーセーブ量を設定する処理について、図4を用いて説明する。図4は、複合機1が備える制御部10によるトナーセーブ量を設定する処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
まず、ステップS121では、印刷対象となる文書データの種別について設定されたアーカイブ設定が、ONか否かが判断される。アーカイブ設定がONに設定されていない場合は、ステップS122へ処理が進む。ステップS122では、トナーセーブ量が0に設定される。この場合は、トナーが節約されずに印刷される。
【0053】
一方、ステップS121において、アーカイブ設定がONに設定されている場合、ステップS123へ処理が進む。ステップS123では、OCR設定が「可」、「不可」、「無効」のいずれに設定されているかが判断される。
【0054】
ステップS123で、OCR設定が「可」に設定されている場合には、ステップS124へ処理が進む。ステップS124では、文字認識装置による印刷物の文字認識が可能な割合にトナーセーブ量が設定される。この場合は、文字認識装置による印刷物の文字認識が可能となるように、トナーが節約されて、印刷データが用紙に印刷される。
【0055】
ステップS123で、OCR設定が「不可」に設定されている場合には、ステップS125へ処理が進む。ステップS125では、文字認識装置による印刷物の文字認識が不可能な割合にトナーセーブ量が設定される。この場合は、文字認識装置による印刷物の文字認識が不可能となるように、トナーが節約されて、印刷データが用紙に印刷される。
【0056】
ステップS123で、OCR設定が「無効」に設定されている場合には、ステップS126へ処理が進む。ステップS126では、ユーザによって設定された設定値に従い、トナーセーブ量が設定される。この場合は、ユーザによって設定されたトナーセーブ量に応じてトナーが節約され、印刷データが用紙に印刷される。
【0057】
以上説明した本実施形態に係る複合機1によれば、アーカイブ設定がなされた種別毎にトナーセーブ量が設定され、設定されたトナーセーブ量に基づいて印刷が行われる。OCR設定が「不可」に設定された種別「PCプリント原稿」については、文字認識装置による印刷物の文字認識が不可能な割合にトナーセーブ量が設定されて、文書データが印刷される。OCR設定が「可」に設定された種別「FAX受信原稿」については、文字認識装置による印刷物の文字認識が可能な割合にトナーセーブ量が設定されて、文書データが印刷される。従って、文書データの種別に応じて、文字認識装置による印刷物の文字認識の可否を制御することができる。
【0058】
また、トナーを節約して印刷を行うと、節約しない場合より印刷が不鮮明になり、印刷が失敗という結果になる虞がある。本実施形態では、トナーを節約して印刷される印刷データは、蓄積されるので、印刷を失敗したとしても、蓄積された印刷データを用いて再度印刷することができる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、トナーセーブ量について、節約する割合[%]を用いて示したが、これに限られない。
【0060】
また、上記実施形態では、文書データの取得方法によって文書データの種別を区別し、FAX受信原稿、IFAX受信原稿、コピー原稿、PCプリント原稿、及びリスト関係出力原稿の種別毎にトナーセーブ量を設定した。文書データの種別を区別する方法は、これに限られず、例えば、ユーザが文書データの種別を設定できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 複合機
10 制御部
11 文書蓄積部
12 設定記憶部
13 トナー設定部
21 プリンタ
22 スキャナ
23 コーディク
24 文字認識部
25 NCU
26 モデム
27 IFAX制御部
28 Webサーバ
29 操作部
30 表示部
31 LANインターフェース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種別の文書データを用紙に記録材を用いて印刷する印刷手段と、
前記複数種別のうち少なくとも一つの種別について、前記文書データを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段によって蓄積される種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を不可とする設定を記憶する記憶手段と、
記憶手段によって文字認識を不可とする設定が記憶された種別に対して、印刷物の文字を文字認識装置によって認識することが不可能に前記記録材の節約量を設定する設定手段と、
を備え、
前記印刷手段は、前記設定手段によって記録材の節約量が設定された種別の前記文書データを印刷する場合に、該種別に対して設定された記録材の節約量に基づいて、前記文書データを用紙に印刷することを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記蓄積手段によって蓄積される前記種別のうち少なくとも一つの種別に対して、文字認識装置による印刷物の文字認識を可とする設定を記憶し、
前記設定手段は、記憶手段によって文字認識を可とする設定が記憶された種別に対して、印刷物の文字を文字認識装置によって認識することが可能に前記節約量を設定することを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記蓄積手段によって蓄積されない種別については、前記記録材が節約されないように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の文書処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−151480(P2011−151480A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9256(P2010−9256)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】