説明

文書印刷システム及び文書印刷方法

【課題】各文書ページに対するプリンタ設定を特定し、文書ページ毎に特定されたプリンタ設定にしたがって文書を印刷する方法を提供する。
【解決手段】いくつかの文書印刷方法において、少なくとも1つのフィルタが、ページ毎に文書に適用されるプリンタ設定情報を有し、文書中の複数の文書ページのうち少なくとも1ページに対しフィルタ処理を施す。いくつかの実施形態において、フィルタがページ毎に文書のPDL記述に適用され、ページ毎にフィルタ処理された文書のPDL記述が生成される。フィルタ処理されたPDL記述は、印刷のためにプリンタに送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書印刷の分野に関し、特に、プリンタを設定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文書は一般に文書作成ソフトウェアを用いて作成される。文書作成ソフトウェアによって、ユーザは、データの入力及び編集、使用されるフォントの指定、並びに文書に含まれるデータの書式設定を行うことができる。文書中のデータには、テキスト、図、画像、テーブル、数式、その他のアプリケーション特有のデータが含まれうる。最近の文書作成ソフトウェアは、「WYSIWIG」(What You See Is What You Get)型が一般的である。この型の文書作成ソフトウェアでは、ユーザによる編集中の文書が、その文書の印刷結果と一致するように表示装置に表示される。WSYIWIG文書作成ソフトウェアによって、ユーザは、文書の印刷結果をそのまま画面上で見ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ユーザが常に画面上で見たとおりに文書を印刷したいとは限らない。例えば、印刷費の削減、カラーインクの節約、又は印刷速度の向上のために、カラー画像を含む文書を白黒又は単色で印刷したい場合もある。文書自体に定められたフォーマットと異なるフォーマットで文書を印刷するオプションをユーザに与えるため、文書作成ソフトウェアを、プリンタドライバ等の他のソフトウェアと連携させて、印刷デバイス又はプリンタ(以下、プリンタと呼ぶ。)の設定を変更させることができる。例えば、ユーザによるプリンタの設定により、全ての文書を白黒又は単色で印刷させることができる。そのプリンタで文書をカラー印刷したい場合には、プリンタの設定変更によって、前の設定を無効にすることができる。一般に、文書作成ソフトウェアにより、「プリンタ特性」又は「プリンタセットアップ」というメニューオプションを介して、ユーザにプリンタ設定のオプションが与えられる。
【0004】
したがって、文書作成ソフトウェアによって、プリンタに対するある程度の設定が可能となる。例えば、プリンタでの用紙サイズ又はプリンタトレイ、「dpi」(dots per inch)で規定されるプリンタ解像度、及び/又はプリンタのカラーオプションをユーザが選択することができる。しかし、そのようなプリンタオプションの効果は文書全体に及ぶ。例えば、白黒又は単色での印刷が選択された場合、文書全体が白黒で印刷される。煩雑な処理をすることなく、文書中のあるページを白黒で印刷し、他のページをカラーで印刷するように指定することはできない。このように、現在の方法では、文書の個々のページに応じて柔軟にプリンタ設定を指定することができない。文書の各ページに対してプリンタ設定オプションを指定することができないため、複数のユーザが一つの文書に取り組み、それぞれ異なるプリンタ設定をしたい場合にも問題となる。
【0005】
文書に要求されるページ毎のプリンタ設定に従ってプリンタの設定を変更可能とすることによって、個々の様々な文書ページに対して指定されたユーザの好みに応じて、ユーザの自由度を高め、文書の共有を促進させ、文書の印刷が簡素化されるといういくつかの利点がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に適合する実施形態では、文書に対してページ毎のプリンタ設定を指定し、各文書ページに対してそれぞれ指定されたプリンタ設定に従って文書ページを印刷するシステム及び方法が示されている。
【0007】
いくつかの文書印刷方法では、少なくとも1つのフィルタが、文書中の複数の文書ページのうち少なくとも1ページに対応するプリンタ設定情報を含む。フィルタをページ毎に文書のPDL記述に適用することにより、ページ毎にフィルタ処理された文書のPDL記述が生成可能である。フィルタ処理されたPDL記述は、印刷のためにプリンタに送信される。一の実施形態では、フィルタをページ毎に文書のPDL記述に適用して、前記文書のページ毎にフィルタ処理されたPDL記述を生成する場合、更に、前記文書の先頭ページに続く少なくとも1ページに係る色彩関連のPDL記述を変更して、少なくとも1ページを単色で印刷可能としてもよい。
【0008】
実装によっては、プリンタに接続されたプリントサーバ及び/又はプリンタに接続されたプロセッサのうちの少なくとも一つによって上記方法が実行可能である。文書は、ポストスクリプト等のページ記述言語によって記述可能である。いくつかの実施形態において、文書に適用されるフィルタは、文書と関連する1以上のフィルタから選択され得る。文書ページは、文書中の1又は複数のページを構成する。
これらの実施形態及び他の実施形態については、図面を参照して以下詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、本発明に係るいくつかの非限定的な実施形態を示しており、明細書とともに、本発明の原理の説明に用いられる。図面では、類似した機能を有する構成要素に同一の符号が付され、それらの構成要素はそれぞれ、ハイフンで結ばれた序数によって識別される。
【0010】
各文書ページの印刷特性を指定し、各文書ページに対して指定された印刷特性に従って文書を印刷するシステム及び方法が、ここに記載された実施形態に適合して示されている。
【0011】
図1に、プリンタを設定するための例示的なシステム100のブロック図を示す。本発明に適合するコンピュータ・ソフトウェアアプリケーションは、図1に示すように、コンピュータのネットワーク上にデプロイ可能である。これらコンピュータは、従来の通信プロトコル及び/又はデータポート・インターフェースを用いた情報交換が可能な通信リンクを介して接続される。
【0012】
図1に示すように、例示的なシステム100は、コンピュータ装置110―1及び110−2と、サーバ130とを備える。さらに、コンピュータ装置110―1及び110−2と、サーバ130とは、ネットワーク140を介して接続線120により通信可能である。ネットワーク140は、例えばインターネットである。コンピュータ装置110は、コンピュータ・ワークステーション、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、あるいはネットワーク化された環境下で使用可能なその他のコンピュータ装置であってよい。サーバ130は、コンピュータ装置110及びその他の装置(図示せず)に接続可能なプラットフォームであってよい。コンピュータ装置110及びサーバ130は、プリンタ160の制御及び設定が可能なソフトウェア(図示せず)を実行することができる。いくつかの実施形態においてプリンタ160は、動的に設定及び/又は再設定がされ得るプリンタであってよい。
【0013】
例示的なコンピュータ装置110は、着脱可能なメディアドライブ150を更に含む。着脱可能なメディアドライブ150の例としては、3.5インチフロッピードライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、CD±RW若しくはDVD±RWドライブ、フラッシュメモリ、USBフラッシュドライブ、メモリカード、及び/又はその他の着脱可能なメディアドライブが挙げられる。いくつかの実施形態において、ソフトウェアアプリケーションの一部は着脱可能なメディア内にあり、着脱可能なメディアドライブ150を用いてコンピュータ装置110によって読み出され、実行され得る。
【0014】
接続線120は、コンピュータ装置110―1、110−2、プリンタ160−1、160−2、サーバ130を連結し、従来の通信プロトコル及び/又はデータポート・インターフェースを用いて有線又は無線接続として実装可能である。一般に、接続線120は、装置間でのデータ伝送が可能なあらゆる通信チャネルになり得る。いくつかの実施形態において、これらの装置には、適切な接続線120を介したデータ伝送を行うために、Ethernetポート、USBポート、SCSIポート、Bluetoothポート、IrDAポート、及び/又はFireWireポート等の従来型のデータポートが搭載されている。例示的な接続線120としては、DSL(Digital Subscriber Line)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、又はケーブル接続がある。通信リンクは、無線リンク若しくは有線リンク、又はコンピュータ装置110、サーバ130、プリンタ160間での通信が可能なリンクの任意の組み合わせであり得る。ネットワーク140には、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)又はインターネットが含まれる。ネットワーク140上に送信された情報は、伝送中のデータのセキュリティを確保するため、場合によっては暗号化される。
【0015】
プリンタ160−1は、接続線120を介してネットワーク140に接続される。図2に示すように。プリンタ160−2は、プリントサーバ165を用いてネットワーク140に接続される。例示的なプリントサーバ165は、プリンタ160−2で実行されるプリントジョブをスプールし、待ち行列に入れ、格納し、そして処理する。一の実施形態においてプリントサーバ165は、印刷関連サービスを、ユーザと、印刷要求をしているアプリケーションとに提供するソフトウェアプログラムとして実行され得る。例えば、プリントサーバソフトウェアは、コンピュータ装置110又はサーバ130で実行可能である。他の実施形態においてプリントサーバは、プリンタ160−2に接続されるハードウェア装置であってもよく、プロセッサ、メモリ、及びネットワーク通信機能を有する。また、いくつかの実施形態においてプリントサーバ165は、データ受信用のマルチポートを含む通信ポートを備えてもよい。
【0016】
例示的なプリンタ160は、コンピュータ装置110及び/又はサーバ130に直接接続可能である。システム100は、本発明のいくつかの実施形態に係る他のプリンタ160(図示せず)を備えてもよい。他の実施形態においてプリンタ160はネットワークプリンタであってもよく、またデータ受信用のマルチポートを含む通信ポートを備えてもよい。例示的なプリンタ160は、プリンタ160に接続されたプロセッサ上で実行されるソフトウェアによって制御され得る。このプロセッサは、組み込みプロセッサ又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。いくつかの実施形態においてプリンタ160は、プリンタ160に接続されたプロセッサによってアクセス可能なデータ及び/又は制御情報を格納する、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)又はフラッシュメモリを含むメモリを更に備えてもよい。プリンタ160は、コンピュータ装置110−1及び110−2、プリントサーバ165、又はサーバ130上で実行される、デバイスドライバ・ソフトウェアを含むソフトウェアによって部分的に制御されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、プリンタ160に係る設定パラメータはユーザ設定可能である。例えば、プリント解像度、用紙サイズ、出力トレイ、カラーオプション、及びプリンタ160に係るその他の装置パラメータはユーザ設定可能である。一般に、設定オプションの性質と種類はプリンタの特性によって異なる。また、プリンタ160へ伝送される情報及び/又はプリンタ160から伝送される情報は、更に処理を施すために、コンピュータ装置110−1、110−2、プリントサーバ165、及び/又はサーバ130のうちの一台以上に格納され得る。
【0018】
本発明の実施形態に適合するコンピュータ・ソフトウェアアプリケーションは、図1に示すように、例示的なコンピュータの何れにもデプロイ可能である。例えば、コンピュータ装置110−1、110−2、サーバ130、プリントサーバ165、又はプリンタ160に接続されたプロセッサは、それぞれの装置に接続された記憶媒体又はメモリ内のソフトウェアを実行可能である。いくつかの実施形態においては、ソフトウェアアプリケーションが、コンピュータ装置110−1、110−2、サーバ130、プリントサーバ165、及び/又はプリンタ160に分散され、ソフトウェアアプリケーションの一部が、これらの構成要素の少なくとも一つにおいて実行可能である。
【0019】
図2に、プリンタ設定のためのソフトウェア階層を含む、例示的なシステム200のブロック図を示す。いくつかの実施形態において、プリンタ設定を文書205の個々のページに適用させたい場合、ユーザは、コンピュータ装置110−1上で実行するフィルタリングプリンタドライバ215を起動させる印刷オプションを選択することができる。例えば、文書作成ソフトウェアは、同一の印刷装置に対して2つの印刷オプションをユーザに与えることができる。一方の印刷オプションを、フィルタリングプリンタドライバ215を起動させるものとし、他方の印刷オプションを、非フィルタリングプリンタドライバ220を起動させるものとしてもよい。いくつかの実施形態において、フィルタリングプリンタドライバ215を文書205に1ページずつ作用させてもよい。これらのドライバが文書205を処理することによって、ページ記述言語(PDL)ファイル210が生成される。
【0020】
ページ記述言語は、プリンタ独自のフォーマットでの印刷ページの記述を可能とするものである。ページ記述言語には、ポストスクリプト(PostScript)、PCL(Printer Command Language)、PDF(Portable Document Format)、DVI(Device Independent)、GDI(Graphics Device Interface)、PPDS(Personal Printer Data Stream)、XPS(XML Paper Specification)等の言語や、その他の周知のページ記述言語及び/又は専用のページ記述言語が含まれる。したがって、PDL記述は、文書205のページレイアウトに関して文書205を記述することができる。プリンタ160は、PDLインタープリタ255を用いてPDLファイル210内の情報を処理して、プリンタ固有の命令を生成する。この命令が実行されたとき、印刷文書を生成することができる。例示的なPDLファイル210は、複数ページに係るPDL記述を含んでおり、プリンタドライバ215又は220と、プリントサーバ165又はプリンタ160との間のインターフェースを提供している。PDLファイル210は、特定のプリンタによってサポートされたページ記述言語で記述された文書書式設定命令を含んでいてもよい。例えば、マージンの設定と、フォント管理と、両面印刷及びステープリング等の仕上げオプションとは、PDLファイル210に含まれる情報によって制御可能である。いくつかの実施形態において、PDLファイル210は、コマンドのリストと、それらのコマンドを適用するデータとを含んでいてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、フィルタリングプリンタドライバ215は、印刷対象の文書205に作用し、その結果得られるPDLファイル210を、ネットワーク140を介してプリンタ160へ送信する。フィルタリングをすることによって、プリントジョブがプリンタ160で実行される前に、ユーザの好みに合わせてプリントジョブを処理することができる。いくつかの実施形態において、例示的なフィルタリングプリンタドライバ215は、文書205の個々のページを印刷する一連のステップにおいて、それぞれのプリント設定に従ってステップを実行可能である。また、いくつかの実施形態において、フィルタリングプリンタドライバ215は、ページ毎に文書205に作用してもよい。
【0022】
例示的なPDLファイル210は、(図2において点線で示された)プリントサーバ165に送信されて、処理が施され、プリントサーバに接続された例示的なプリンタ160−2などのプリンタ160に転送される。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによってプリントサーバ165に搭載された機能は、プリンタ160内に組み込まれてもよいし、別々に搭載されてもよい。一の実施形態において、プリンタ160が、プリントエンジン260とPDLインタープリタ255とを備え、プリントサーバ165が、フィルタファイル225と、フィルタファイルマネージャー250と、フィルタエンジン240と、例示的なポートA230及びポートB235等のポートと、を備えるようにしてよい。また、他の実施形態において、プリンタ160が、プリントエンジン260と、PDLインタープリタ255と、フィルタファイル225と、フィルタファイルマネージャー250と、フィルタエンジン240と、例示的なポートA230及びポートB235等のポートと、を備えるようにしてもよい。上記の例示的な構成要素の配置は、ユーザ又はシステムのニーズに応じて変更可能である。なお、図2に示されたシステム200は、具体例であって例示のみを目的とするものである。
【0023】
例示的なフィルタファイル225は、PDLファイル210の個々のページに適用される設定の一部を含んでいる。例示的なフィルタファイル225は、コンピュータ装置110−2上、又はサーバ130、コンピュータ装置110−1上で生成、編集、変更がなされ、プリンタ160又はプリントサーバ165上の適切な場所にアップロードされ得る。いくつかの実施形態において、アップロードを管理し、プリンタ160で使用するフィルタファイルを削除及び/又は選択する機能は、フィルタファイルマネージャー250を介して提供される。
【0024】
コンピュータ装置110−1、110−2、プリントサーバ165、及び/又はプリンタ160間の通信は、TCP/IPプロトコル等の様々なプロトコルを用いて行われる。いくつかの実施形態において、ある種の通信では、プリンタ160又はプリントサーバ165の特定の通信ポートが割り当てられる。例えば、ポートA230は、ポートA230宛ての全てのファイル210がフィルタエンジン240に転送されるように「フィルタリングポート」として設定され得る。同様に、ポートB235は、ポートB235に送信されたプリントジョブに全くフィルタ処理が施されないように「パススルー」ポートとして設定され得る。本明細書では、ポートA230はフィルタリングポートとみなされ、一方ポートB235はパススルーポート又は非フィルタリングポートとしてみなされている。なお、他の構成のポートも可能であり、説明されている実施形態は、具体例であって説明のみを目的とするものである。例示的なフィルタエンジン240は、選択されたフィルタファイル225をフィルタマネージャー250を介して取得し、フィルタファイル225に含まれた情報を用いて、ポートA230で印刷用に受信されたファイル210に対して処理を施す。
【0025】
したがって、PDLインタープリタ255は、フィルタエンジン240からフィルタ処理されたPDLファイル、又はポートB240からフィルタ処理されていないPDLファイル210を受信することができる。いくつかの実施形態において、PDLインタープリタ255は、印刷ページ上でテキストやグラフィックス等の要素がどのように現れるかを規定する。いくつかの実施形態において、PDLインタープリタ255がその入力ファイルに作用したときに生成された出力は、プリントエンジン260に送信される。プリントエンジン260は、プリンタ160のプリンタ・ハードウェアを制御して、適切にフォーマットされた印刷文書を作成する。
【0026】
図3に、本発明のいくつかの実施形態に係る、フィルタファイル225の生成及び変更の例示的な方法を表すフローチャート300を示す。アルゴリズムはステップ310で始まり、ステップ320でフィルタファイル225の存在の有無をチェックする。フィルタファイル225が存在しない場合、ステップ360においてユーザの指示に従って新しいフィルタファイル225が生成される。フィルタファイル225には、フィルタ処理されていないPDLファイル210をページ毎に処理するための命令が含まれている。いくつかの実施形態において、フィルタファイル225はスクリプト言語又はプログラミング言語を用いて実行可能である。フィルタファイル225には、ヘッダにページ関連情報を有するフィルタ処理されていないPDLファイル210から情報を抽出してその情報に作用するための命令が含まれている。
1以上のフィルタファイル225が存在する場合、ユーザは適切なフィルタファイル225を選択し、フィルタファイル225を編集し、そしてステップ340において、編集されたフィルタファイル225をプリンタ160又はプリントサーバ165に保存させる。ステップ330において、存在するフィルタファイル225を編集しないことをユーザが選択した場合、又はステップ340において、編集されたフィルタファイル225が円滑に保存された場合、ステップ350において本アルゴリズムが終了する。
【0027】
フローチャート300において概略説明したステップは、コンピュータ装置110−1、110−2、プリンタ160、プリントサーバ165、及び/又はサーバ130のうちの1台以上で動作するプログラムによって実行可能である。いくつかの実施形態において、ユーザが個々のフィルタファイル225をセットアップし、フィルタマネージャー250を用いて適切なフィルタファイル225を選択するようにしてもよい。また、いくつかの実施形態において、システム管理者が、特定のプリンタ160で使用するデフォルトのフィルタファイル225をセットアップするようにしてもよい。また、他の実施形態において、個々のユーザ又はユーザとプリンタとの個々の組み合わせに応じて、使用されるフィルタを特定する個々のプロファイルとユーザとを関連付けてもよい。例えば、ユーザID付きのジョブがプリンタ160に送信されるたびに特定のフィルタを起動させるデフォルトのプロファイルを、ユーザがセットアップできるようにしてよい。その他の例として、ユーザIDと関連付けられたプリントジョブが所定のプリンタに送信された場合に適切なプリンタ固有のフィルタが適用されるように、ユーザがプリンタ毎にデフォルトフィルタを設定し、関連付けるようにしてもよい。ユーザは、ログインID、ネットワークID、グループID、又は所定の設定で使用されるその他の方式によって識別され得る。
【0028】
図4に、本発明のいくつかの実施形態に係る、ファイルの各ページにプリント設定を適用させる例示的な方法を表すフローチャート400を示す。フローチャート400に示された数ステップ又は全てのステップは、コンピュータ装置110、サーバ130、プリントサーバ165、又はプリンタ160の1以上の組み合わせによって実現される。
【0029】
アルゴリズムはステップ405で始まる。次に、ステップ410においてアルゴリズムは、プリントジョブに対するフィルタリングが要求されたか否かを判断する。このプリントジョブはPDLファイル210形式であってよい。いくつかの実施形態においては、ジョブを受信したポートに基づいて、ジョブにフィルタリングが必要であるか否かが判断される。例えば、ポートA230で受信されたジョブはフィルタ処理される。
【0030】
ステップ415において例示的なフィルタファイル225が読み出され、フィルタリングが要求されたジョブに適用されるプリント設定が決定される。いくつかの実施形態において、フィルタファイル225は、プリンタ160又はプリントサーバ165上で動作するフィルタエンジン240によって読み出される。ステップ420では、印刷されるPDLファイル210に関連付けられたプリントコマンドのリスト内の次のライン又はページが読み取られる。次いで、ステップ430において、フィルタファイル225内の特定されたフィルタが、ステップ420で読み取られたラインに対して適用される。いくつかの実施形態において、プリントコマンドは、フィルタに設定された条件によって特定される場合、フィルタ設定に基づいて変更可能である。例えば、フィルタは、ページ記述言語で適切に特定された「カラー」の全てを、先頭ページ後のPDLファイル210の全ページに対して「白黒」に置き換えることができる。したがって、PDLファイル210のページ1はフィルタによって変更されずに、その後に続くページが「カラー」から「白黒」に置き換えられる。このように、文書205の先頭ページはカラーで印刷され、その後に続く全ページが白黒で印刷されることになる。
【0031】
ステップ435において、フィルタ処理されたプリントコマンドが、プリンタ160のPDLインタープリタ255に送信される。ステップ437では、プリントジョブがチェックされ、処理すべきプリントコマンドが残っているか否かが判断される。プリントジョブが終了していない場合、アルゴリズムはステップ420に戻る。プリントジョブが終了すると、アルゴリズムはステップ440に移行し、本アルゴリズムは終了する。
【0032】
プリントジョブに対してフィルタリングが要求されていなかった場合、プリントジョブが終了するまでアルゴリズムはステップ422、432及び442を繰り返す。ステップ422において、印刷されるフィルタ処理されていないPDLファイル210に関連付けられたプリントコマンドのリストのうち次のラインが読み取られる。次いで、ステップ432では、コマンドが、プリンタ160のPDLインタープリタ255に送信される。ステップ442では、プリントジョブが終了したか否かがチェックされる。プリントジョブが終了していない場合、アルゴリズムはステップ422に戻り、プリントジョブが終了すると、ステップ440に移行し、本アルゴリズムは終了する。
【0033】
図5は、ファイル内のプリントコマンドに対するフィルタの適用を説明する例示的なプロセスを示したものである。なお、図5に示したプロセスは、具体例であって説明のみを目的とするものである。本実施形態と矛盾しない形態で、フィルタをプリントコマンドに適用するための他の方法又はプロセスを用いてもよい。
【0034】
図5に示すように、プリントジョブはコマンドのリスト510からなる。例えば、コマンドのリスト510は、ポストスクリプト型のコマンドである。コマンドは他のPDL言語で特定されてもよい。図5に示すように、PDLファイル210内の例示的なコマンドリスト510は、それぞれコマンドCOLOR、B、C、Dで与えられる。図5に示したコマンドは、具体例であって説明のみを目的とするものである。例えば、コマンドは、ページ及びライン番号で表される。例えば、実際のPDLファイルにおいて、ページ番号及び他の情報は、ページヘッダ又はジョブ情報を解析することによって容易に得ることができる。さらに、これらのコマンドに他のコマンド及び/又はデータを続けてもよい。例示的なフィルタファイル225は、例示的なコマンドCOLOR、B、C、Dをどのようにフィルタ処理するかを特定するコマンドを含んでいる。例示的なフィルタファイル225において特定されたフィルタは、ページ番号が1を超えるたびにコマンドCOLORをBWへ置き換えることを指し示している。フィルタ処理されたPDLファイルにおける例示的な最終コマンドリスト520は、フィルタの適用により、それぞれコマンドCOLOR、BW、B、C、Dによって与えられる新しいコマンドリストを示している。フィルタ処理されたコマンドリスト520によって記述された例示的なプリントジョブが処理される場合、先頭ページはカラーで印刷され、その後に続く全てのページは白黒で印刷される。
【0035】
さらに、本発明の実施形態と適合する方法は、プログラムモジュール、ハードウェアモジュール、又はプログラムモジュールとハードウェアモジュールとの組み合わせによって適切に実行可能である。このようなモジュールは、実行時に、図示された例示的なフローチャートを参照して開示されたものを含め、ここに開示されたステップ及び機能を実行することができる。上述され、かつ図示された動作、段階、及び手順は、当業者が本発明を実施できるように十分に開示されている。また、本発明の実施形態を実施する際に使用され得るコンピュータ及びオペレーティングシステムが多々ある。そのため、これら多くの異なるシステムに適用可能な詳細なコンピュータプログラムは提供されていない。特定のコンピュータを使用する各ユーザは、ユーザのニーズ及び目的に最も有効な言語、ハードウェア、及びツールを認識するであろう。
【0036】
上述の機能及び態様は、様々な環境下で実現可能である。そのような環境及び関連するアプリケーションは、様々な処理及び動作を実行するために特別に構築され、あるいは機能を提供するプログラムコードによって選択的に起動若しくは再設定された汎用コンピュータ若しくは計算プラットフォームを含んでいる。ここに開示された処理は、特定のコンピュータや他の装置に本質的に関連するものでなく、これらの処理の態様は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の適切な組み合わせによって実現可能である。例えば、種々の汎用機はプログラムとともに用いられる。あるいは所要の方法及び技術を実行する専用の装置又はシステムを構築すると一層便利である。本発明の実施形態は、本実施形態の方法及び処理に基づいてコンピュータで実行される種々の動作を実行するプログラム命令又はプログラムコードを含むコンピュータ読み取り可能な媒体にも関係する。プログラム命令は、本発明のために特別に設計され、且つ構築されたものであってもよく、コンピュータ技術の当業者にとって周知で利用可能な種類のものであってもよい。プログラム命令の例としては、例えば、コンパイラで生成された機械コードや、インタープリタを用いてコンピュータにより実行可能な高水準コードを含むファイルなどがある。
【0037】
本発明のその他の実施形態は、明細書の検討及び本発明の実施形態の実施によって当業者にとって明らかである。本明細書と具体例は例示のみを意図しており、本発明の真の範囲や意図は請求項において示される。よって、本発明は請求項のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のいくつかの実施形態に係るプリンタ設定システムのブロック図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、プリンタ設定のためのソフトウェア階層を含む、例示的なシステムのブロック図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、フィルタファイルの生成及び変更の例示的な方法を表すフローチャートである。
【図4】本発明のいくつかの実施形態に係る、ファイルの各ページにプリント設定を適用する例示的な方法を表すフローチャートである。
【図5】本発明のいくつかの実施形態に係る、ファイル内のプリントコマンドに対するフィルタの適用を説明する例示的なプロセスである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタに含まれたプリンタ設定情報にしたがって文書を印刷する方法であって、前記プリンタ設定情報は、前記文書中の複数の文書ページのうち少なくとも1ページに対応し、前記方法は、
前記フィルタをページ毎に前記文書のPDL記述に適用し、ページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップと、
前記フィルタ処理されたPDL記述を、印刷のためにプリンタに送信するステップと、を有する方法。
【請求項2】
前記フィルタをページ毎に前記文書のPDL記述に適用してページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップは、前記文書の先頭ページに続く少なくとも1ページに係る色彩関連のPDL記述を変更して、当該少なくとも1ページを単色で印刷可能とするステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法はプリントサーバ上で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記プリンタに接続されたプロセッサによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記PDLはポストスクリプトである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタは、文書と関連する少なくとも1つのフィルタから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
PDLデータを処理可能な少なくとも1台のプロセッサと、
前記プロセッサに接続されたメモリと、
前記プロセッサ及びメモリに接続されたプリンタと、を備えるシステムであって、
前記メモリに格納された情報は、
前記プロセッサへの命令と、
文書のPDL記述と、
フィルタと、を有し、
前記フィルタは、前記文書中の複数の文書ページのうち少なくとも1ページに対応するプリンタ設定情報を有し、
前記プロセッサは、前記メモリに格納された命令を実行して、
前記フィルタをページ毎に前記文書の前記PDL記述に適用し、ページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップと、
前記フィルタ処理されたPDL記述を、印刷のためにプリンタに送信するステップと、を有する方法を実行するシステム。
【請求項8】
前記フィルタをページ毎に前記文書のPDL記述に適用してページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップは、前記文書の先頭ページに続く少なくとも1ページに係る色彩関連のPDL記述を変更して、当該少なくとも1ページを単色で印刷可能とするステップを更に有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記方法はプリントサーバ上で実行される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記PDLはポストスクリプトである、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィルタは、文書と関連する少なくとも1つのフィルタから選択される、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
命令を格納したコンピュータ読み取り可能な媒体であって、プロセッサによって実行されるとき前記命令は、
フィルタをページ毎に文書のPDL記述に適用し、ページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップと、
前記フィルタ処理されたPDL記述を、印刷のためにプリンタに送信するステップと、
を有する方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
前記フィルタをページ毎に前記文書のPDL記述に適用してページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップは、前記文書の先頭ページに続く少なくとも1ページに係る色彩関連のPDL記述を変更して、当該少なくとも1ページを単色で印刷可能とするステップを更に有する、請求項7に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項14】
前記方法はプリントサーバ上で実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記プリンタに接続された少なくとも1台のプロセッサによって実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記PDLはポストスクリプトである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタは、文書と関連する少なくとも1つのフィルタから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1台のプロセッサに対する制御命令を有するコンピュータ読み取り可能なメモリであって、
フィルタをページ毎に文書のPDL記述に適用し、ページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップと、
前記フィルタ処理されたPDL記述を、印刷のためにプリンタに送信するステップと、
を有する文書印刷方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なメモリ。
【請求項19】
前記フィルタをページ毎に前記文書のPDL記述に適用してページ毎にフィルタ処理された前記文書のPDL記述を生成するステップは、前記文書の先頭ページに続く少なくとも1ページに係る色彩関連のPDL記述を変更して、当該少なくとも1ページを単色で印刷可能とするステップを更に有する、請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能なメモリ。
【請求項20】
前記PDLはポストスクリプトである、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−104596(P2009−104596A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−244003(P2008−244003)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.ETHERNET
3.Bluetooth
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】