説明

文書管理システムおよび文書管理方法

【課題】電子文書を印刷した印刷物の破棄については、従来、印刷物を受け取った閲覧者の責任に任されており、それを配布した作成者が確認する術は無かった。
【解決手段】デジタル複合機11,12と文書破棄装置13,14とがネットワーク16を介して接続されてなる文書管理システムにおいて、文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDと印刷文書とを関係付けて保持するとともに、該文書IDから識別マークを作成して印刷文書と合成して出力する一方、文書破棄装置13/14では、印刷物から読み取った識別マークから文書IDを抽出してデジタル複合機11/12にネットワーク16を介して通知するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に印刷物を加工する。そして、デジタル複合機11/12では、文書破棄装置13/14から文書IDが通知されると、文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システムおよび文書管理方法に関し、特に情報が記録された媒体を破棄する文書破棄装置と、該文書破棄装置とネットワークを介して接続されたデジタル複合機とから構成される文書管理システムおよびその文書管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス等で作成される各種の文書は、コンピュータ上で電子的に作成されるようになっている。しかしながら、このような電子文書は、専用のアプリケーション・ソフトウェアがインストールされたコンピュータが無ければ閲覧するすることができない等の問題があるため、例えばミーティングの席などでは、電子文書を印刷して、その印刷物を配布するということが広く行われている。
【0003】
さて、機密度が高い印刷物については、情報漏洩防止の観点からその複製を禁じたり、また、読後にはシュレッダーと呼ばれる装置を用いて、記載されている情報が解読不能な程度に細かく印刷物を裁断して破棄処理を行うことが求められる。
【0004】
従来より、情報漏洩の防止を図るために、画像読取出力装置において、原稿の画像を読み取った際に、複写禁止を示すバーコードが付されていると判断すると、画像データの出力を禁止して紙に出力しないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、情報が記録された媒体を破棄する場合、媒体上に記録されたコードシンボルを読み取り、デコードして識別情報を取得し、媒体上に印刷された文書情報と識別情報とを関連付けて記憶する文書管理データベースから識別情報と関連する文書情報とを消去し、媒体を加工するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−65438号公報
【特許文献2】特開2003−150585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、複製を禁じることを目的としており、印刷物の破棄については想定していない。また、特許文献2記載の従来技術では、システムの都合によってコードシンボルを使い回すことを目的としており、配布した機密度の高い印刷物の破棄を作成者が確認することはできない。
【0008】
このように、電子文書を印刷した印刷物の破棄については、従来、印刷物を受け取った閲覧者の責任に任されており、それを配布した作成者が、印刷物が破棄されたか否かを確認する術は無かった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、印刷処理と破棄処理とを関連付けることによって、印刷物を配布して所有者が変わった場合にも印刷物の破棄を確認することができる文書管理システムおよび文書管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、文書管理システムにおいて、文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持するとともに、前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力するようにする。また、印刷物の破棄に当たっては、その印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工する。そして、識別マークから抽出された文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知する。これにより、印刷処理と破棄処理とを関連付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷処理と破棄処理とを関連付けることにより、印刷物を配布して所有者が変わった場合にも、印刷物の作成者が、該印刷物の破棄を確認することができるとともに、同じ印刷物を複数部数印刷して配布した場合に、全ての部数が破棄されたか否か確認することができる。
【0012】
また、本発明によれば、同じ印刷物を複数部数印刷して配布した場合に、どの印刷物が破棄され、どれがまだ破棄されていないか確認することができる。したがって、印刷物の配布時にどれを誰に配布したかを別に記録しておくことによって、誰に配布した分がまだ破棄されていないかを判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る文書管理システムの概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る文書管理システムは、複数(例えば、2台)のデジタル複合機11,12と、複数(例えば、2台)の文書破棄装置13,14と、コンピュータ15を有し、これらがコンピュータ・ネットワーク16に接続されて当該コンピュータ・ネットワーク16を介して相互に通信可能な構成となっている。
【0015】
<デジタル複合機11,12>
デジタル複合機11,12は、複写機をベースとしながら、ネットワーク・プリント機能等のさまざまな機能をサービスとして提供する装置である。これらデジタル複合機11,12の具体的な構成の詳細については後述する。
【0016】
<文書破棄装置13,14>
文書破棄装置13,14は、シュレッダーをベースとしながら、紙葉類の裁断に先立って当該紙葉類に記載されている情報を画像として読み取る機能を備えた装置である。これら文書破棄装置13,14の具体的な構成の詳細については後述する。
【0017】
<コンピュータ15>
コンピュータ15は、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置と、キーボードやマウス等の入力装置と、CPU等の演算装置と、メモリやハードディスクドライブ等の記憶装置を備え、一般にパーソナル・コンピュータ等と称される装置である。
【0018】
コンピュータ15には、記憶している電子文書をコンピュータ・ネットワーク16に接続されたデジタル複合機11,12でプリントするため、専用のプリント・ドライバと呼ばれるソフトウェア・モジュールが組み込まれている。
【0019】
<コンピュータ・ネットワーク16>
コンピュータ・ネットワーク16は、LAN(Local Area Network)とも呼ばれるパケット交換網であって、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)プロトコルによる通信路を提供する。
【0020】
コンピュータ・ネットワーク16上の各装置は、IPアドレスやドメインネーム等のホストアドレスによってネットワーク16上で一意に識別される。また、各装置が他の装置に対してコンピュータ・ネットワーク16を介した通信によって提供する各種のサービスは、各装置のホストアドレスと、各サービス毎に決められているTCP/UDP(User Datagram Protocol)ポート番号とサ−ビス固有の識別情報(例えば、プリントサービスではキュー名)等との組み合わせによって、ネットワーク16上で一意に識別される。
【0021】
<ネットワーク・プリント機能>
続いて、デジタル複合機11,12におけるネットワーク・プリント機能について説明する。
【0022】
コンピュータ・ネットワーク16に接続されたコンピュータ15に記憶されている原稿をデジタル複合機11/12で印刷して出力する場合に、利用者はあらかじめ、特定のデジタル複合機のプリントサービスの特定のジョブ・キューに関係付けられた論理プリンタをコンピュータ15上に作成しておく。
【0023】
利用者がコンピュータ15を操作し、前記論理プリンタに対して、専用のプリント・ドライバを介して、コンピュータ15に記憶されている原稿のプリントを指示すると、プリント・ドライバは該原稿を例えばPostScript等のPDL(Page Description Language; ページ記述言語)形式に変換して論理プリンタに出力する。
【0024】
論理プリンタはプリント・ジョブとしてデジタル複写機11/12にLPD(RFC1179;Line Printer Daemon protocol)等のプリント・プロトコルによって送信する。デジタル複写機11/12は受信したプリント・ジョブから画像を形成し、紙への印刷を行う。
【0025】
<印刷物の破棄確認>
次に、本実施形態に係る文書管理システムにおける印刷物の破棄確認の概略について説明する。図2は、本実施形態に係る文書管理システムにおける文書破棄確認を伴う印刷の説明図である。
【0026】
第一の利用者は、文書破棄確認を伴うジョブ・キューに関係付けられた論理プリンタに対して、コンピュータ15に記憶されている原稿のプリントを指示する。デジタル複写機11/12は、受信したPDL形式の原稿に文書IDを割り当て、該文書IDとページ数や印刷部数等のプリント・ジョブの属性情報とを関係付けて記憶すると同時に、各ページに識別マークを合成して印刷出力する。
【0027】
図3は、本実施形態に係る文書管理システムにおける印刷物の識別マークの説明図である。本実施形態に係る文書管理システムにおいて、破棄確認を行うよう設定された印刷物の各ページには、印刷を行ったデジタル複合機11/12のアドレス情報、文書ID、印刷した部数のうちの何番目の印刷物かを示す部番号、各印刷物の何ペ−ジ目かを示すページ番号からなる文書コードが不可視情報として埋め込まれた2次元バーコードが識別マークとして合成される。
【0028】
このようにして作成された印刷物を配布された第二の利用者は、該印刷物を破棄する際には、文書破棄装置13/14に印刷物を投入する。文書破棄装置13/14は、印刷物を1枚ずつスキャンして記載されている情報を画像として読み取り、かつ識別マークを復号し、該印刷物を作成したデジタル複合機11/12に対して復号されたデータを送信する。その後、記載されている情報が解読できないように印刷物を加工し、それを廃棄物として蓄積する。
【0029】
文書破棄装置13/14から送信された上記データを受信したデジタル複合機11/12はそれを記録し、全ての印刷物が破棄されたと判断した場合に、その旨を第一の利用者にメールで通知する。
【0030】
以下に、本実施形態に係る文書管理システムにおける文書破棄装置13,14およびデジタル複写機11,12の具体的な構成の詳細について説明する。
【0031】
[文書破棄装置13,14]
図4は、文書破棄装置13,14の内部構成の一例を示すブロック図である。本例に係る文書破棄装置13,14は、スキャナ部21と、シュレッダー部22と、画像解析処理部23と、ネットワーク・インタフェース部24とから構成されている。
【0032】
(スキャナ部21)
スキャナ部21は、何枚もの紙葉類を積み重ねて載せ置くことができる給紙台と、給紙台に載せ置かれた紙葉類を1枚ずつ分離して給送する給紙装置と、該給紙装置によって給紙された紙葉類の両面に記載された情報を画像として読み取り可能なイメージセンサーとから構成されている。紙葉類から読み取られた電子画像データは、画像解析処理部23へ出力され、紙葉類はシュレッダー部22へと給紙される。
【0033】
(シュレッダー部22)
シュレッダー部22は、スキャナ部21から給紙された紙葉類を、それに記載されている情報が解読できない程度に細かく裁断し、廃棄物として蓄積する。
【0034】
なお、ここでは、紙葉類に記載されている情報が解読できないようにするための加工方法として、紙葉類を細かく裁断する方法を採るとしたが、これに限られるものではなく、例えばヒータによって紙葉類に熱を加える方法や、紙葉類に化学薬液を噴霧、もしくは、化学薬液中に紙葉類を漬け置く方法などであってもよい。
【0035】
(画像解析処理部23)
画像解析処理部23の機能について、図5の動作フロー図を用いて説明する。画像解析処理部23は、スキャナ部21からスキャン画像データを入力し(ステップS11)、次いでスキャン画像データを解析し(ステップS12)、次いで識別マークがあるか否かを判断し(ステップS13)、識別マークがなければ、画像解析のための一連の処理を終了する。
【0036】
識別マークがあると判定した場合は、識別マークを復号し、印刷物管理コードを復元し(ステップS14)、次いで文書ID、部番号、ページ番号を含む破棄通知メッセージを作成し(ステップS15)、次いで印刷物管理コードに含まれるアドレスの出力装置(デジタル複写機11/12)に破棄通知メッセージを送信し(ステップS16)、画像解析のための一連の処理を終了する。
【0037】
(ネットワーク・インタフェース部24)
ネットワーク・インタフェース部24は、本文書破棄装置をコンピュータ・ネットワーク16に接続し、該コンピュータ・ネットワーク16上の他の装置との通信を可能とする通信手順を実行する。
【0038】
[デジタル複合機11,12]
図6は、デジタル複合機11,12の内部構成の一例を示すブロック図である。本例に係るデジタル複合機11,12は、操作パネル部31と、スキャナ部32と、プリンタ部33と、プリントサーバ部34と、文書登録部35と、画像形成部36と、文書管理部37と、文書破棄処理部38と、ネットワーク・インタフェース部39とから構成されている。
【0039】
(操作パネル部31)
操作パネル部31は、情報表示と機能選択のための液晶タッチパネルと、スタートボタンを含む各種の操作ボタンを備え、利用者がデジタル複合機を操作するためのユーザインタフェースを提供する。すなわち、利用者は操作パネルを操作して、プラテンもしくはADF(Auto Document Feeder)にセットした原稿の複写を指示することができる。
【0040】
(スキャナ部32)
スキャナ部32は、操作パネル部31から制御されて、プラテンもしくはADFにセットされた原稿を画像データとして読み取り、スキャンされた電子画像データをプリンタ部33に出力する。
【0041】
(プリンタ部33)
プリンタ部33は、入力される電子画像データをゼログラフィ技術によって紙にマーキングして出力する。ただし、紙へのマーキング方法としては、ゼログラフィ技術に限られるものではなく、インクジェット技術等を用いた方法であってもよい。
【0042】
(プリントサーバ部34)
プリントサーバ部34は、コンピュータ・ネットワーク16に接続されたコンピュータ15に対して、デジタル複合機11,12が有するネットワーク・プリント機能をネットワークサービスとして提供する。
【0043】
プリントサーバ部34には、コンピュータ15からのプリント・ジョブを受信して一時的に記憶するためのキューが2種類ある。一方は、通常のネットワーク・プリント機能のためのキューであって、受信したプリント・ジョブの電子文書は、画像形成部36に出力され、プリンタ部33で印刷出力される。
【0044】
他方は、文書破棄確認を伴うネットワーク・プリント機能のためのキューであって、受信したプリント・ジョブの電子文書は、文書登録部35に出力され、識別マークと合成されて印刷出力される。利用者はキュー名によってどちらのキューに送信するかを指定することにより、通常のネットワーク・プリント機能と文書破棄確認を伴うネットワーク・プリント機能とを使い分ける。
【0045】
(文書登録部35)
文書登録部35の機能について、図7の動作フロー図を用いて説明する。文書登録部35は、プリントサーバ部34から受信文書データ(PDL形式)を入力し(ステップS21)、次いで受信文書データを解析し(ステップS22)、次いで文書管理部37に受信文書データ、ページ数、印刷部数、ユーザIDを含む登録要求を出力する(ステップS23)。
【0046】
次に、文書管理部37から文書IDを含む登録応答を入力し(ステップS24)、次いでページ数分の印刷物管理コードを生成し(ステップS25)、次いで印刷物管理コードからページ数分の識別マークを生成し(ステップS26)、次いで画像形成部36に受信文書データとページ数分の識別マークデータを出力し(ステップS27)、文書登録のための一連の処理を終了する。
【0047】
(画像形成部36)
画像形成部36の機能について、図8および図9の動作フロー図を用いて説明する。図8は破棄確認を行わない場合の動作フロー図であり、図9は破棄確認を行う場合の動作フロー図である。
【0048】
破棄確認を行わない場合、画像形成部36は、図8に示すように、プリントサーバ部34から受信文書データ(PDL形式)を入力し(ステップS31)、次いで受信文書データの画像を形成し(ステップS32)、次いで形成した画像についての画像データをプリンタ部33に出力する(ステップS33)。
【0049】
破棄確認を行う場合、画像形成部36は、図9に示すように、文書登録部35から受信文書データとページ数分の識別マークデータを入力し(ステップS41)、次いで受信文書データとページ数分の識別マークデータのそれぞれについて画像を形成し(ステップS42)、次いで受信文書画像の各ページの所定の位置に識別マーク画像を合成し(ステップS43)、次いで合成した画像についての画像データをプリンタ部33に出力する(ステップS44)。
【0050】
(文書管理部37)
図10は、文書管理部37の管理データベースの概略説明図である。図10において、(a)は文書管理部37の文書テーブルを、(b)は文書管理部37のユーザ・テーブルをそれぞれ示している。
【0051】
文書管理部37の文書テーブルにおいて、部毎の破棄ページリストは、印刷物破棄の進捗状況を示する。そのフォーマットは、部番号:ページ番号(”,”で羅列、“−“で範囲指定)で、〈〉が区切りシンボルとなる。
【0052】
一例として、ページ数4、印刷部数2の印刷物で、1部目の1〜3ページ、2部目の1ページ目と3ページ目が破棄された状況では、部毎の破棄ページリストには、「0:1−3〈〉1:1,3」という文字列が格納される。
【0053】
文書管理部37のユーザ・テーブル(b)のエントリは、デジタル複合機11,12の設置者によって操作パネル部31からあらかじめ設定される。デジタル複合機11,12の登録文書の文書IDは、電子画像データに認証やデジタル署名などに使われるハッシュ関数(一方向要約関数)、例えばMD5(Message Digest 5)を適用して計算される128ビットのハッシュ値である。
【0054】
ただし、ハッシュ関数としては、MD5に限られるものではなく、SHA−1(Secure Hash Algorithm 1)等の別のハッシュ関数でもよい。さらに、電子データを特定するための文書IDとしては、ハッシュ関数に限られるものではなく、0もしくは任意の値から、割り当てるたびに1ずつその値を増加させるインクリメント値であってもよい。
【0055】
文書管理部37の機能について、図11、図12および図13の動作フロー図を用いて説明する。図11は登録要求入力の場合の動作フロー図であり、図12は更新要求入力の場合の動作フロー図であり、図13は取得要求入力の場合の動作フローである。
【0056】
登録要求入力の場合、文書管理部37は、図11に示すように、文書登録部35から文書データ、ページ数、印刷部数およびユーザIDを含む登録要求を入力し(ステップS51)、次いで文書データをファイルシステムに格納してそのファイルパスを取得し(ステップS52)、次いで入力文書データにハッシュ関数を適用してハッシュ値を算出する(ステップS53)。
【0057】
次に、管理データベースの文書テーブルに新たなエントリを作成し、文書IDとしてのハッシュ値、ユーザID、ページ数、印刷部数、破棄部数カウンタ=0、部毎の破棄ページリスト、文書データのファイルパスを登録し(ステップS54)、次いで文書登録部35に文書IDを含む登録応答を出力し(ステップS55)、登録要求入力のための一連の処理を終了する。
【0058】
更新要求入力の場合、文書管理部37は、図12に示すように、文書破棄処理部38から文書ID、部番号およびページ番号を含む更新要求を入力し(ステップS61)、次いで管理データベースの文書テーブル(図10を参照)から入力文書IDに合致するエントリを検索し(ステップS62)、次いで入力文書IDに合致するエントリがあるか否かを判断する(ステップS63)。
【0059】
入力文書IDに合致するエントリがあると判定した場合は、該当エントリの「部毎の破棄ページリスト」を更新し(ステップS64)、次いで全ページ破棄されたか否かを判断する(ステップS65)。全ページ破棄されたのであれば、該当エントリの「破棄部数カウンタ」をカウントアップする(ステップS66)。全ページ破棄されたのでなければ、ステップS66の処理を飛ばす。そして、文書破棄処理部38に残部数を含む更新応答を出力し(ステップS67)、更新要求入力のための一連の処理を終了する。
【0060】
ステップS63で入力文書IDに合致するエントリが無いと判定した場合は、文書破棄処理部38にERROR信号を含む更新応答を出力し(ステップS68)、更新要求入力のための一連の処理を終了する。
【0061】
取得要求入力の場合、文書管理部37は、図13に示すように、文書破棄処理部38から文書IDを含む取得要求を入力し(ステップS71)、次いで管理データベースの文書テーブル(図10を参照)から入力文書IDに合致するエントリを検索し(ステップS72)、入力文書IDに合致するエントリがあるか否かを判断する(ステップS73)。
【0062】
入力文書IDに合致するエントリがあると判定した場合は、該当エントリからユーザIDおよび文書データのファイルパスを取得し(ステップS74)、次いで管理データベースのユーザ・テーブル(図10を参照)からユーザIDに合致するエントリを検索し(ステップS75)、次いでユーザIDに合致するエントリがあるか否かを判断する(ステップS76)。
【0063】
ユーザIDに合致するエントリがあると判定した場合は、該当エントリから通知先電子メールアドレスを取得し(ステップS77)、次いで文書破棄処理部38に通知先電子メールアドレスおよび登録文書を含む取得応答を出力し(ステップS78)、取得要求入力のための一連の処理を終了する。
【0064】
ステップS73で入力文書IDに合致するエントリが無いと判定した場合、またはステップS76でユーザIDに合致するエントリが無いと判定した場合は、文書破棄処理部38にERROR信号を含む取得応答を出力し(ステップS78)、取得要求入力のための一連の処理を終了する。
【0065】
(文書破棄処理部38)
文書破棄処理部38の機能について、図14の動作フロー図を用いて説明する。文書破棄処理部38は、遠隔の文書破棄装置13/14から文書ID、部番号およびページ番号を含む破棄通知メッセージを受信し(ステップS81)、文書管理部37に文書ID、部番号およびページ番号を含む更新要求を出力し(ステップS82)、次いで文書管理部37から残部数もしくはERROR信号を含む更新応答を入力し(ステップS83)、次いでERROR信号もしくは残部数>0であるか否かを判断する(ステップS84)。ERROR信号もしくは残部数>0であれば、文書破棄のための一連の処理を終了する。
【0066】
ERROR信号もしくは残部数>0でなければ、文書管理部37に文書IDを含む取得要求を出力し(ステップS85)、文書管理部37から通知先電子メールアドレスおよび登録文書もしくはERROR信号を含む取得応答を入力し(ステップS86)、次いでERROR信号であるか否かを判断する(ステップS87)。ERROR信号であれば、文書破棄のための一連の処理を終了する。
【0067】
ERROR信号でない、即ち通知先電子メールアドレスおよび登録文書であれば、登録文書を含む破棄確認メッセージ(電子メール)を作成し(ステップS88)、次いで取得応答に含まれる通知先電子メールアドレスに破棄確認メッセージを送信し(ステップS89)、文書破棄のための一連の処理を終了する。
【0068】
破棄確認メッセージの電子メールは、SMTP(RFC2829;Simple Mail Transfer Protocol)によってデジタル複合機11/12からコンピュータ・ネットワーク16を通してメールサーバに送信され、利用者のメールボックスに記憶される。なお、送信先のメールサーバのアドレスは、デジタル複合機11/12の設置者によって操作パネル部31からあらかじめ設定される。
【0069】
(ネットワーク・インタフェース部39)
ネットワーク・インタフェース部39は、本デジタル複写機をコンピュータ・ネットワーク16に接続し、該コンピュータ・ネットワーク16上の他の装置との通信を可能とする通信手順を実行する。
【0070】
なお、デジタル複合機11,12としては、上記構成のものに限られるものではなく、以下に説明する変形例に係る構成を採ることも可能である。
[変形例1]
変形例1に係るデジタル複合機では、文書登録部35において受信文書の1ページ目について画像形成を行い、受信文書の1ページ目の体裁およびそこに記載されている情報の概略が解読可能な程度の大きさの縮小画像を生成し、文書登録部36における先述した受信文書の代わりに、生成した縮小画像を文書管理部37に出力する。
【0071】
文書管理部37では、文書登録部35で生成された縮小画像を記憶し、取得応答には該縮小画像を含める。文書破棄処理部38では、文書破棄処理部38の破棄確認メッセージにおける先述した文書の代わりに、前記縮小画像を破棄確認メッセージのメールに添付する。
【0072】
この変形例1に係る構成を採ることにより、利用者がどの印刷物が破棄されたのか判別できるようにしながら、同時に、破棄確認メッセージのメールの転送データ量を削減できる。
【0073】
[変形例2]
変形例2に係るデジタル複合機では、文書破棄処理部38は、Webサーバとも呼ばれるHTTP(RFC2616;HyperText Transport Protocol-HTTP/1.1)サーバ機能と、HTML(HyperText Markup Language)言語によって記述され、HTTPサーバ機能を介してコンピュータ・ネットワーク16上のコンピュータ15を始めとする他の装置から取得可能なWebユーザインタフェース機能とを備えている。
【0074】
これにより、利用者がコンピュータ15上のWebブラウザと呼ばれるアプリケーションからデジタル複合機11/12に接続すると、文書破棄処理部38はユーザインタフェース画面をコンピュータ15上に表示し、また該ユーザ・インタフェース画面に対して利用者がキーボードやマウスによって行った入力操作を受信する。
【0075】
該ユーザ・インタフェース画面では、最初に利用者にユーザIDの入力を要求し、利用者が自身のユーザIDを入力すると、該ユーザIDの利用者自身が文書破棄確認を伴うネットワーク・プリントを行い、かつ、まだ文書破棄が完了していないプリント・ジョブの一覧を表示する。
【0076】
上述したように、デジタル複合機11,12と文書破棄装置13,14とがネットワーク16を介して接続されてなる文書管理システムにおいて、デジタル複合機11/12で文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持するとともに、前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力する一方、文書破棄装置13/14では、印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出し、該文書IDをデジタル複合機11/12にネットワーク16を介して通知するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工する。
【0077】
そして、デジタル複合機11/12では、文書破棄装置13/14からネットワーク16を介して文書IDが通知されると、文書破棄装置13/14で文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知するようにする。これにより、印刷処理と破棄処理とを関連付けることができるため、印刷物を配布して所有者が変わった場合にも、印刷物の作成者が、該印刷物の破棄を確認することができるとともに、同じ印刷物を複数部数印刷して配布した場合に、全ての部数が破棄されたか否か確認することができる。また、同じ印刷物を複数部数印刷して配布した場合に、どの印刷物が破棄され、どれがまだ破棄されていないか確認することができる。したがって、印刷物の配布時にどれを誰に配布したかを別に記録しておくことによって、誰に配布した分がまだ破棄されていないかを判別することができる。
【0078】
なお、上記実施形態においては、情報が記録された媒体を破棄する文書破棄装置13,14と、これら文書破棄装置13,14とネットワーク16を介して接続されたデジタル複合機11,12とから構成される文書管理システムを前提として説明したが、これに限られるものではなく、文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持する文書記憶手段と、前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力する印刷手段と、印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工する文書破棄手段と、前記文書破棄手段で抽出された文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知する文書破棄確認手段とを備える文書管理システムであれば、上記実施形態に係る文書管理システムと同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係る文書管理システムの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る文書管理システムにおける文書破棄確認を伴う印刷の説明図である。
【図3】本実施形態に係る文書管理システムにおける印刷物の識別マークの説明図である。
【図4】文書破棄装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】画像解析処理部の機能を説明するための動作フロー図である。
【図6】デジタル複写機の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図7】文書登録部の機能を説明するための動作フロー図である。
【図8】画像形成部の破棄確認を行わない場合の動作フロー図である。
【図9】画像形成部の破棄確認を行う場合の動作フロー図である。
【図10】文書管理部の管理データベースの概略説明図である。
【図11】文書管理部の登録要求入力の場合の動作フロー図である。
【図12】文書管理部の更新要求入力の場合の動作フロー図である。
【図13】文書管理部の取得要求入力の場合の動作フローである。
【図14】文書破棄処理部の機能を説明するための動作フロー図である。
【符号の説明】
【0080】
11,12…デジタル複合機、13,14…文書破棄装置、15…コンピュータ、16…コンピュータ・ネットワーク、21…スキャナ部、22…シュレッダー部、23…画像解析処理部、24…ネットワーク・インタフェース部、31…操作パネル部、32…スキャナ部、33…プリンタ部、34…プリントサーバ部、35…文書登録部、36…画像形成部、37…文書管理部、38…文書破棄処理部、39…ネットワーク・インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持する文書記憶手段と、
前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力する印刷手段と、
印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工する文書破棄手段と、
前記文書破棄手段で抽出された文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知する文書破棄確認手段と
を備えることを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
情報が記録された媒体を破棄する文書破棄装置と、前記文書破棄装置とネットワークを介して接続されたデジタル複合機とから構成される文書管理システムであって、
前記文書破棄確認装置は、印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出し、該文書IDを前記デジタル複合機にネットワークを介して通知するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工し、
前記デジタル複合機は、
文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持する文書記憶手段と、
前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力する印刷手段と、
前記文書破棄装置からネットワークを介して文書IDが通知されると、文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知する文書破棄確認手段とを有する
ことを特徴とする文書管理システム。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記識別マークの近傍に印刷物の部数を示す部番号を印刷する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の文書管理システム。
【請求項4】
文書を印刷する際に、印刷文書を識別する文書IDを生成し、該文書IDと印刷文書とを関係付けて保持する第1ステップと、
前記文書IDから識別マークを作成し、該識別マークを印刷文書と合成して出力する第2ステップと、
印刷物から識別マークを読み取り、該識別マークから文書IDを抽出するとともに、記載されている情報が解読不能な程度に該印刷物を加工する第3ステップと、
前記第3ステップで抽出された文書ID毎に破棄された印刷物を計数し、利用者に通知する第4ステップと
を有することを特徴とする文書管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−93921(P2006−93921A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274434(P2004−274434)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】