説明

文書表示装置、文書表示方法および文書表示プログラム

【課題】文章の注目すべき箇所を簡単に判断できるようにした文書表示装置、文書表示方法および文書表示プログラムを得ること。
【解決手段】文書指定手段11は、表示対象の文書を指定する。指定語入力手段12は、指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する。センテンス単位演算手段13は、文書指定手段11で指定した文書内のセンテンスごとに指定語入力手段12によって入力した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算する。センテンス抽出手段14は、センテンス単位演算手段13による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学術文献、雑誌記事、新聞記事、特許文献、ホームページの各種のコンテンツ等の各種の文書の中から所望の文書の強調表示を行う文書表示装置、文書表示方法および文書表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書の所望の箇所を強調表示することは、各所で日常的に行われている。このための文書表示装置は、専門の計算機から簡単なアプリケーションソフトウェアをパーソナルコンピュータ等のCPU(Central Processing Unit)で実行するものまで多岐にわたっている。このような文書表示装置は検索装置を例に採ると、検索エンジン、検索方式、検索対象によって大別することができる。
【0003】
検索エンジンとしては、インデックス型エンジン、RDB(relational database)型エンジン、全文検索エンジン、概念検索エンジン等の各種のエンジンが提案されている。検索方式としては、AND、OR、NOT、NEAR等の論理演算を行うブール演算方式、語彙空間におけるベクトルである相関係数順や、指定した複数の検索ワードのうちヒットしたワード数の100分率順で表示するランキング型の手法が知られている。検索対象としては、文献全体を対象とするもの、あるいは、ページを対象とするもの、または、文献やページの構成単位であるセンテンス等の所定範囲の文字列を対象とするものが知られている。
【0004】
ところで、ある技術分野の特許出願が存在するかを、文書表示装置を使用して先行技術調査を行うものとする。このような場合、調査の担当者はその技術分野を特定するキーワードを所定数選択する。そして、調査範囲として定めた特許文献の中からそれらのキーワードを多く含む特許文献を抽出する。そして、これらの抽出した特許文献の中から技術的に最も近い特許文献を、実際に記載されている文章を実際に読みながら選択するという作業が行われることになる。
【0005】
このように特許文献を特定する場合、その特許文献のどこを読むべきかが問題となる。一般に、キーワード等の注目すべき箇所の文字を強調表示することが、本発明の関連技術として行われている(たとえば特許文献1参照)。ここで強調表示とは、注目する文字の部分を他と区別して表示することである。赤色等の特別の色で注目する文字を着色してもよいし、フォントのサイズを大きくしたり、書体を変えたり、太文字にしたり、斜体にしてもよい。注目する文字とその背景の濃度を反転表示してもよいし、アンダーラインを引いたり、網点を掛けたり、括弧で括ってもよい。注目する文字の部分のみを立体文字風に表示してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−222400号公報(第0056段落、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このように注目する文字を無条件で強調表示すると、たとえば最終的にキーワードの出現頻度で絞り込んだ幾つかの特許文献を表示するような場合には、文章のいたる所が赤色等で強調表示されることになる。これにより、表示が煩雑となり、1つの文章の中のどの箇所を特に読むべきかの判断がし辛くなる。
【0008】
そこで本発明の目的は、文章の注目すべき箇所を簡単に判断できるようにした文書表示装置、文書表示方法および文書表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、(イ)表示対象の文書を指定する文書指定手段と、(ロ)この文書指定手段で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力手段と、(ハ)前記した文書指定手段で指定した文書内のセンテンスごとに前記した指定語入力手段によって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算手段と、(ニ)このセンテンス単位演算手段による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出手段と文書表示装置が具備する。
【0010】
また、本発明では、(イ)表示対象の文書を指定する文書指定ステップと、(ロ)この文書指定ステップで指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力ステップと、(ハ)前記した文書指定ステップで指定した文書内のセンテンスごとに前記した指定語入力ステップによって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算ステップと、(ニ)このセンテンス単位演算ステップによる演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出ステップとを文書表示方法が具備する。
【0011】
更に本発明では、コンピュータに、文書表示プログラムとして、(イ)表示対象の文書を指定する文書指定処理と、(ロ)この文書指定処理で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力処理と、(ハ)前記した文書指定処理で指定した文書内のセンテンスごとに前記した指定語入力処理によって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算処理と、(ニ)このセンテンス単位演算処理による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、センテンスごとに指定語の含まれる割合を演算して、演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出するようにしている。したがって、必要なセンテンスを処理の対象とすることができる、処理の効率化に寄与するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の文書表示装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明の文書表示方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明の文書表示プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態による文書表示装置の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図5】本実施の形態の文書表示装置の全体的な強調表示処理の様子を表わした流れ図である。
【図6】本実施の形態におけるディスプレイに表示された強調表示結果の一例を表わした平面図である。
【図7】本実施の形態における、ユーザがセンテンスを、文章における句読点で切れたそれぞれの範囲と定義付けた場合の強調表示結果の表示例を示したディスプレイの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の文書表示装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の文書表示装置10は、文書指定手段11と、指定語入力手段12と、センテンス単位演算手段13と、センテンス抽出手段14を備えている。ここで、文書指定手段11は、表示対象の文書を指定する。指定語入力手段12は、文書指定手段11で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する。センテンス単位演算手段13は、文書指定手段11で指定した文書内のセンテンスごとに指定語入力手段12によって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算する。センテンス抽出手段14は、センテンス単位演算手段13による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出する。
【0015】
図2は、本発明の文書表示方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の文書表示方法20は、文書指定ステップ21と、指定語入力ステップ22と、センテンス単位演算ステップ23と、センテンス抽出ステップ24を備えている。ここで、文書指定ステップ21では、表示対象の文書を指定する。指定語入力ステップ22では、文書指定ステップ21で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する。センテンス単位演算ステップ23では、文書指定ステップ21で指定した文書内のセンテンスごとに指定語入力ステップ22によって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算する。センテンス抽出ステップ24では、センテンス単位演算ステップ23による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出する。
【0016】
図3は、本発明の文書表示プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の文書表示プログラム30は、コンピュータに、文書表示プログラムとして、文書指定処理31と、指定語入力処理32と、センテンス単位演算処理33と、センテンス抽出処理34を実行させるようにしている。ここで、文書指定処理31では、表示対象の文書を指定する。指定語入力処理32では、文書指定処理31で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する。センテンス単位演算処理33では、文書指定処理31で指定した文書内のセンテンスごとに指定語入力処理32によって入力した前記した所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算する。センテンス抽出処理34では、センテンス単位演算処理33による演算結果に応じて前記した割合の高い順にセンテンスを抽出する。
【0017】
<発明の実施の形態>
【0018】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態による文書表示装置の構成の概要を表わしたものである。本実施の形態の文書表示装置100は、装置全体の制御を行う主制御部101を備えている。主制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102と、装置の各種制御を行う制御プログラムを格納したメモリ103を有している。メモリ103は、ROM(Read Only Memory)のような半導体メモリであってもよいし、磁気ディスクや光ディスクあるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体であってもよい。主制御部101は、次の各部と接続されており、これらの制御を行う。ただし、次に説明する各部の少なくとも一部は、CPU102がメモリ103あるいは通信ネットワーク上の図示しない記憶媒体に格納された制御プログラムを実行することでソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0020】
文書格納部104は、表示対象の文書を格納する。ただし、表示対象の文書は文書格納部104に格納されている必要はない。表示対象の文書は、CD(Compact Disc)あるいはDVD等の記録メディアに格納されていてもよい。あるいは通信を制御する通信制御部105を介して接続された前記した通信ネットワーク上のサーバに制御プログラムと共に、あるいは文書のみが単独で格納されていてもよい。
【0021】
データ入力部106は、キーワードとしての指定語等の強調表示に使用する各種のデータの入力を処理する。文書表示装置100には、キーボードや、ポインティングデバイスとしてのマウスといった入力デバイス107が取り付けられるようになっており、データ入力部106はこれらからの入力データを処理することになる。
【0022】
センテンス設定部108は、強調表示の対象となる1つ1つの文書の中から「センテンス」単位で強調表示の結果を表示するときの、その「センテンス」が何を意味するかを、作業者(以下、ユーザという。)の意図に応じて設定しておく部分である。たとえば特許文献のテキスト情報を強調表示の対象とするときには、各段落を「センテンス」と定義付けてもよいし、1つ1つの文章を「センテンス」と定義付けてもよい。あるいはもっと細かく、句読点のそれぞれで分解された文章の部分を「センテンス」と定義付けてもよい。
【0023】
日本語で「、」に代表される読点を基準に「センテンス」を定める場合には、読点の直前に仮名文字が存在するときにのみ「センテンス」に区切るようにすることが好適な場合が多い。これは、たとえば「金、銀、銅のうちのいずれかの金属を使った斧を使用し、」という文章が存在した場合に、「金」や「銀」の箇所でセンテンスを区切らないようにすることができるためである。センテンス設定部108を用いて、ユーザは強調表示の対象とする文章の「センテンス」を定義付けることができるが、予めシステム側が用意したデフォルト値をそのまま使用することも可能である。
【0024】
指定語・均等語管理部109は、強調表示の対象となるキーワードとしての指定語をユーザから指定された際に、それぞれの指定語に対する均等語を管理する辞書というべき部分である。たとえば、ある文章に対して強調表示を行う場合のユーザが入力した指定語が「用紙」であるとする。このとき、本実施の形態の文書表示装置100は、紙、PAPER、カット紙、ロール紙、記録紙といった技術検索に使用する均等語を指定範囲に含める。
【0025】
ユーザが指定語を入力したときに強調表示処理のときに包含される均等語はシステム側で辞書として提供することができる。ユーザは、指定語を入力したときに、どのような均等語が指定語として包含されるかを表示して確認したり、均等語の追加や削除といった編集を行うことも可能である。
【0026】
センテンス内指定語率算出部110は、指定語が1つ1つのセンテンスに何種類出現するかの比率を算出する部分である。たとえば後に例示するように、迷子のペットを見つけ出す特許文献を強調表示するものとする。このとき、指定語として、ユーザが「ペット」を入力したとき、辞書から均等語として「犬」、「飼い犬」、「猫」、「飼い猫」等の語句が提供される。ユーザは、これらの中で今回の強調表示の対象となる「ペット」と一括りの用語として不適切なものを排除したり、必要な均等語を追加することができる。センテンスに指定語のいずれかが出現しなかった場合でも、その均等語が出現していれば指定語が出現したものとして算出を行う。また、指定語とその均等語が共に出現した場合には、これらを合算しない。1つの指定語が1つのセンテンスに複数回出現したり、その均等語が複数種類あるいは複数回出現しても、1種類の指定語が出現したものとして算出する。
【0027】
センテンス順位判別部111は、センテンス内指定語率算出部110で判別したそれぞれのセンテンスにおける指定語の種類の多い順に順位を付ける部分である。たとえば指定語が4種類存在した場合、1つのセンテンスにこれら4種類の指定語が出現した場合は、第1順位となる。指定語の一部の種類が出現しなくても、これらの均等語が出現した場合は同様に扱う。
【0028】
同一順位のセンテンス間で更に順位を付けてもよい。この際の順位の付け方は、ユーザがセンテンス内指定語率算出部110の算出基準として設定することができる。一例としては、同一のセンテンスに含まれる指定語や均等語の数を単純に計数して、これらの登場回数が多いものほど上位にする。この他に、隣接するセンテンスにおける指定語率(均等語も含む)を比較して、総合的な指定語の出現率が高いものをより高い順位としてもよい。隣接するセンテンスを含めた場合でも同一順位が存在する場合には、更に隣接する範囲まで範囲を広げて指定語率(均等語も含む)の出現率を判別してもよいし、以上の幾つかの判断基準を複数組み合わせるようにしてもよい。
【0029】
表示制御部112は、この文書表示装置100に接続されるディスプレイ113に強調表示結果等の必要な視覚情報を出力する際の表示制御を行う部分である。文書表示装置100には、ディスプレイ113の他にプリンタが接続されていてもよい。
【0030】
表示形態設定部114は、強調表示の結果をディスプレイ113に表示する際の表示形態を設定する部分である。強調表示の仕方や、ディスプレイ113に強調表示の結果を表示する際の表示項目の選択といった各種の表示形態の設定を行うことができる。
【0031】
図5は、本実施の形態の文書表示装置の全体的な強調表示処理の様子を表わしたものである。特許文献を強調表示する場合を例に採り、図4と共に説明する。
【0032】
文書表示装置100は、データ入力部106を用いてユーザからの入力デバイス107を用いたデータ入力を受け付ける(ステップS201)。このとき、ユーザは、たとえば調査する特許文献の範囲や指定語を入力したり、均等語の編集を行う。また、ユーザは入力デバイス107を用いて、センテンスを定義したり、強調表示の仕方を選択することができる。
【0033】
以上のステップS201の処理が終了すると、文書表示装置100は調査する特許文献の範囲で文書の強調表示処理を実行する(ステップS202)。具体的には、指定語が多く含まれる特許文献を、ユーザがステップS201で指定した数の範囲内で抽出する。強調表示の結果は、該当した特許文献の集合として順位を付けて文書格納部104に格納される(ステップS203)。ただし、この場合の順序付けは、センテンスを単位として指定語の含まれる割合の高い順に文書を順情付ける必要はない。従来から行われている各種の基準で特許文献を順番付けするものであってもよい。
【0034】
以上のようにして指定語を基にして所定数の特許文献が選択されたら、主制御部101はこのうち強調表示の結果で第1番目の文書を指定する(ステップS204)。この代わりに、ユーザによる順番の指示や特許文献の具体的な指定を待機してもよい。
【0035】
主制御部101は指定された文書をセンテンスに区切って、それぞれのセンテンスごとに、指定語の種類としての指定語率を算出する(ステップS205)。そして、センテンス順位判別部111が、センテンス内指定語率算出部110で判別したそれぞれのセンテンスにおける指定語の種類の多い順に順位を付けてその内容をメモリ103の所定の領域に保存する(ステップS206)。
【0036】
この後、主制御部101は指定語の種類の最も多い1番目の順位のセンテンスを指定する(ステップS207)。表示制御部112は、その1番目の順位のセンテンスにおける指定語および均等語を設定された表現形式で強調してディスプレイ113に表示する(ステップS208)。
【0037】
図6は、ディスプレイに表示された強調表示の結果の一例を表わしたものである。ディスプレイ113の中央には、強調表示の結果を表示する強調表示結果ウィンドウ121が表示されており、ここには、1つの段落を1つのセンテンスと定義した際の強調表示結果が表示されている。この強調表示結果ウィンドウ121の下には現在設定されている指定語の状態を示す指定語ウィンドウ122が表示されている。
【0038】
更に、ディスプレイ113の一番上の領域には、現在表示されている特許文献の文献番号123や出願人124が表示されており、これらと強調表示結果ウィンドウ121の間には、文献を切り替えるボタン125、126、センテンスを切り替えるボタン127および指定語のヒット率(指定語率)128が表示されている。
【0039】
強調表示結果ウィンドウ121の中央には、指定語の種類の最も多い1番目の順位のセンテンスに相当する第0016段落の内容が表示されており、その上下に、隣接する段落の内容が表示枠の範囲内で表示されている。第0016段落の内容のみについて、指定語および均等語としてヒットした語句が強調表示されている。この例で各語句は、枠で取り囲んだ形で強調表示されているが、それらの部分のフォントを着色する等の他の強調表示を行うことも可能である。
【0040】
図5に戻って図6と共に説明を続ける。ユーザは、図6に示したような表示がディスプレイ113に行われた状態で(ステップS208)、センテンスの表示順位を指定する操作(ステップS209)や、強調表示の対象とした文書を他の文書に指定する操作(ステップS210)や、強調表示の条件を変更する操作(ステップS211)あるいは強調表示を終了する操作(ステップS212)が行われるのを待機している。
【0041】
ユーザが図6のセンテンスを切り替えるボタン127のいずれかを操作してセンテンスの表示順位を切り替える指示を行った場合には(ステップS209:Y)、この指示によって指定されたセンテンスが、強調表示結果ウィンドウ121の中央部分に新たに表示される(ステップS208)。たとえば、ユーザがセンテンスを切り替えるボタン127のうちの「次センテンス」のボタンを、図示しないマウスでクリックしたり、同じく図示しないタッチパネルを用いてそのボタンを押下した場合には、2番目に指定語率が高いと判断された段落が表示されることになる。このとき、該当する段落についてのみ、指定語および均等語が強調表示され、併せて表示されるその前後の段落の文章は強調表示されない。
【0042】
ユーザがセンテンスを切り替えるボタン127のうちの次センテンスのボタンの隣に配置され「次センテンス」のボタンと逆方向を記した三角形のボタンは、1つ前の指定語率のセンテンスに飛ぶボタンである。また、その左隣りの三角形の先端が縦棒に接続された形のボタンは、同一文書における1番目に指定語率が高いと判断されたセンテンスに戻るボタンである。
【0043】
このようにして、ユーザはセンテンスを切り替えるボタン127を適宜操作していくことで、同一文書内における所望のセンテンスに飛びながら、それらの記載内容を順に点検することができる。この際に、着目しているセンテンス以外の部分に指定語や均等語が存在しても、これらはその時点で強調表示されることはない。したがって、ユーザは指示されたセンテンスのみに神経を集中して、その内容をチェックすることができる。
【0044】
このようにして1つの文書について必要な強調表示が行われたら、ユーザは文献を切り替えるボタン125、126を選択することで(ステップS209:N、ステップS210:Y)、ステップS205に戻って、次の文書について同様のチェックを行ったり、必要な場合には以前にチェックした文献を読み出して他の文献との比較を行うこともできる。
【0045】
また、ユーザは強調表示の処理の途中であっても、指定語やそれらの均等語を追加あるいは削除するといった強調表示条件の変更が可能である。強調表示条件を変更した場合には(ステップS210:N、ステップS211:Y)、ステップS201に戻って新しい条件を基にした強調表示が実行されることになる(ステップS202)。また、ユーザが強調表示の終了を指示した場合には(ステップS211:N、ステップS212:Y)、一連の強調表示処理が終了する(エンド)。
【0046】
図7は、ユーザがセンテンスを、文章における句読点で切れたそれぞれの範囲と定義付けた場合の強調表示結果の表示例を示したものである。この例では、図6と同一の特許文献を処理し、指定語率が4指定語中の3語がヒットしている状態で、同様の第0016段落中の「あるいは知人で消息を絶っている人のように実在している物や人で照会を求める対象(第1のデータ)について第1の端末から照会を求める者を特定する第2のデータと共に入力し、」というセンテンスに対してのみ強調表示が行われている。図6と対比すると、「センテンス」をより短い語句からなるものと定義することで、ユーザが読むべき箇所をより的確に表示していることが分かる。
【0047】
しかも、図6と図7の双方の場合について、該当するセンテンスだけでなく、これに隣接あるいはこの周囲に位置する他のセンテンスも連続した文章の形で表示されている。したがって、センテンスを構成する語句が短くて、そのセンテンスにおける指定語と文脈の関係が不明確な場合があっても、前後のセンテンスを読むことで、ユーザは該当するセンテンスの意味合いを理解しやすくなり、迅速かつ適切に特許調査を進めることができる。
【0048】
もちろん、以上説明した実施の形態とは異なるが、強調表示結果ウィンドウ121には該当するセンテンスのみを表示するようにすることも可能である。
【0049】
また、実施の形態では、特許文献の調査のための強調表示処理を説明したが、文章あるいはテキスト情報を含んで構成される他の文選や文書に対して本発明を同様に適用できることは当然である。
【符号の説明】
【0050】
10、100 文書表示装置
11 文書指定手段
12 指定語入力手段
13 センテンス単位演算手段
14 センテンス抽出手段
20 文書表示方法
21 文書指定ステップ
22 指定語入力ステップ
23 センテンス単位演算ステップ
24 センテンス抽出ステップ
30 文書表示プログラム
31 文書指定処理
32 指定語入力処理
33 センテンス単位演算処理
34 センテンス抽出処理
101 主制御部
102 CPU
103 メモリ
104 文書格納部
106 データ入力部
108 センテンス設定部
109 指定語・均等語管理部
110 センテンス内指定語率算出部
111 センテンス順位判別部
112 表示制御部
113 ディスプレイ
114 表示形態設定部
121 強調表示結果ウィンドウ
122 指定語ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示対象の文書を指定する文書指定手段と、
この文書指定手段で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力手段と、
前記文書指定手段で指定した文書内のセンテンスごとに前記指定語入力手段によって入力した前記所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算手段と、
このセンテンス単位演算手段による演算結果に応じて前記割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出手段
とを具備することを特徴とする文書表示装置。
【請求項2】
前記センテンス抽出手段によって抽出したセンテンス中に含まれる前記指定語入力手段によって入力された指定語をそれぞれ強調して表示する指定語強調表示手段
を具備することを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項3】
前記センテンス抽出手段によって抽出した1つのセンテンスを、その周囲のセンテンスと連続した形で、かつ、抽出したセンテンスが表示用のウィンドウの中央部分に配置されるように表示する表示位置制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項4】
前記センテンス抽出手段によって抽出したセンテンスと前記文書指定手段によって指定した文書の内容とをそれぞれ独立したウィンドウに表示するウィンドウ個別表示手段を具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の文書表示装置。
【請求項5】
次に表示するセンテンスを前記割合に応じて指定する指定手段を備え、前記表示位置制御手段は、この指定手段で指定が行われるたびに、該当するセンテンスを前記ウィンドウの中央位置に移動させることを特徴とする請求項3記載の文書表示装置。
【請求項6】
前記センテンス抽出手段は、前記センテンス単位演算手段の演算結果で同一の割合とされるセンテンスがあるとき、同一のセンテンスに含まれる前記所定数の指定語の数の多いものほどセンテンスの抽出順位を高く設定する順位調整手段を具備することを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項7】
前記センテンス抽出手段は、前記センテンス単位演算手段の演算結果で同一の割合とされるセンテンスがあるとき、隣接するセンテンスに含まれる前記所定数の指定語の種類の多いものほどセンテンスの抽出順位を高く設定する順位調整手段を具備することを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項8】
前記センテンスは、文書の段落単位、句読点で区切った文章単位、仮名に続く句読点で区切った文章単位の複数の単位の少なくとも2種類の単位からいずれかを選択するセンテンス設定手段によって設定することを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項9】
前記指定語入力手段により入力される指定語はそれぞれ均等語を含むことを特徴とする請求項1記載の文書表示装置。
【請求項10】
表示対象の文書を指定する文書指定ステップと、
この文書指定ステップで指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力ステップと、
前記文書指定ステップで指定した文書内のセンテンスごとに前記指定語入力ステップによって入力した前記所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算ステップと、
このセンテンス単位演算ステップによる演算結果に応じて前記割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出ステップ
とを具備することを特徴とする文書表示方法。
【請求項11】
コンピュータに、
表示対象の文書を指定する文書指定処理と、
この文書指定処理で指定した文書内の所望の部位を強調表示するための語句として互いに異なる意味内容の所定数の指定語を入力する指定語入力処理と、
前記文書指定処理で指定した文書内のセンテンスごとに前記指定語入力処理によって入力した前記所定数の指定語のうちの幾つが使われているかの割合を演算するセンテンス単位演算処理と、
このセンテンス単位演算処理による演算結果に応じて前記割合の高い順にセンテンスを抽出するセンテンス抽出処理
とを実行させることを特徴とする文書表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−103027(P2011−103027A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257092(P2009−257092)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(509125095)
【Fターム(参考)】