説明

文章表示装置

【課題】文章の内容を損なうことなく、文字の視認性の悪化を抑制するように文章を表示する文章表示装置を提供する。
【解決手段】表示部1に文章を表示する文章表示装置は、文章の内容に応じて分類された種別を判定し、文章の種別が文字の表示サイズの変更を許可された種別である場合に、照度センサ9で測定した外部の照度が基準値以下となったとき、文章に含まれる文字の表示サイズを拡大する。使用者の周囲が暗くなったときに文字の表示サイズが拡大されるので、文字の視認性の悪化が緩和され、使用者にとって文章が読みやすくなる。また文章の種別が文字の表示サイズの変更が不許可とされた種別である場合は、文字の表示サイズは変更されないので、文字の表示サイズの変化によって文章の内容が損なわれる文章については、文字の表示サイズの変更を不許可としておくことにより、文章の内容が損なわれることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文章を表示する文章表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文章をディスプレイに表示する文章表示装置が普及している。例えば、書籍の電子データを記憶しておき、電子データに基づいた文章を表示する電子書籍装置がある。また、PC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話機又はタブレットコンピュータも、文章表示装置として使用することができる。特に携帯型の文章表示装置は、使用者が場所を問わずにコンテンツを利用することができるという利点がある。特許文献1では、使用者がコンテンツを見やすいように、周囲の明るさに応じて文字の表示サイズを調整する文章表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−191387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙に印刷された文章を人が読む場合と同様に、文章表示装置で表示された文章を人が読む場合でも、周囲が暗い場合は、文章中の文字の視認性が悪化することがある。そこで、特許文献1のように周囲の明るさに応じて文字の表示サイズを調整する技術があるものの、文書の内容によっては文字の表示サイズが変化した場合に問題が発生することがある。例えば、文章の内容のジャンルが美術である場合は、文字のデザイン又は大きさに意味があり、文字の表示サイズの変化によって文章の内容が損なわれるという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、文章の内容を損なうことなく、文字の視認性の悪化を抑制するように文章を表示する文章表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る文章表示装置は、文章を表示する文章表示装置において、表示する文章の内容に応じて分類された種別を判定する文章判定手段と、該文章判定手段の判定結果に応じて、前記文章に含まれる文字の表示形態を調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、文章表示装置は、文章の内容に応じて分類された種別を判定し、文章の種別の判定結果に応じて、文字の表示形態の変更が許可された種類の文章については、文章に含まれる文字の表示形態を調整する。
【0008】
本発明に係る文章表示装置は、外部の照度を検出する照度センサを更に備え、前記文章判定手段は、前記文章の種別が文字の表示形態の調整を予め許可されている種別であるか否かを判定するように構成してあり、前記調整手段は、前記文章判定手段により、前記文章の種別が文字の表示形態の調整を予め許可されている種別であると判定された場合に、前記照度センサが検出した外部の照度が所定の基準値以下であるか否かを判定する手段と、前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字の表示形態をより視認性が高い表示形態へ変更する変更手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また本発明においては、文章表示装置は、文章の種別を判定し、文章の種別が文字の表示形態の変更が許可された種別である場合に、外部の照度が基準値以下となったとき、文章中の文字の表示形態をより視認性が高い表示形態に変更する。これにより、外部が暗くなったときに文章中の文字の視認性の悪化が抑制される。
【0010】
本発明に係る文章表示装置は、前記変更手段は、前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字のサイズを拡大するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
また本発明においては、文章表示装置は、外部の照度が基準値以下となったとき、文字の表示サイズを拡大することにより、文字の視認性の悪化を抑制する。
【0012】
本発明に係る文章表示装置は、前記変更手段は、前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
また本発明においては、文章表示装置は、外部の照度が基準値以下となったとき、文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換することにより、文章中の文字の視認性の悪化を抑制する。
【0014】
本発明に係る文章表示装置は、前記変更手段は、前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字の書体を、文字の種類に応じて予め定められている書体へ変更するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
また本発明においては、文章表示装置は、外部の照度が基準値以下となったとき、文章に含まれる文字の書体をより視認性が高い書体へ変換することにより、文章中の文字の視認性の悪化を抑制する。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、文章に含まれる文字の表示形態が調整されるので、文章表示装置に表示された文字の視認性の悪化が緩和され、使用者にとって文章が読みやすくなる。また文章の種類によっては、文字の表示形態は調整されないので、文字の表示形態の調整によって内容が損なわれる文章については、文章の内容が損なわれることはない等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の文章表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】メモリカードの記憶内容を示す概念図である。
【図3】実施の形態1におけるROMの記憶内容を示す概念図である。
【図4】囲碁の棋譜の例を示す模式図である。
【図5】実施の形態1に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2におけるROMの記憶内容を示す概念図である。
【図7】実施の形態2に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】変換前の漢字と変換後の仮名との例を示す図である。
【図9】実施の形態3におけるROMの記憶内容を示す概念図である。
【図10】実施の形態3に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の文章表示装置の内部構成を示すブロック図である。文章表示装置は、文章表示装置に必要な情報処理を実行するCPU(Central Processing Unit )1を備えている。CPU1には、システムバスが接続されており、システムバスを介してROM(Read Only Memory)2及びRAM(Random Access Memory)3が接続されている。ROM2は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリで構成されており、ブートプログラム、オペレーティングシステム及びデバイスドライバ等のシステムプログラム、並びにアプリケーションプログラムを記憶している。RAM3は、DDR−SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic RAM)等の揮発性のメモリで構成されており、情報処理に伴って発生する一時的なデータを記憶するワークエリア、又はプログラムエリアとして使用される。尚、RAM3は不揮発性メモリで構成されていてもよい。CPU1は、必要なプログラムをROM2からRAM3へロードし、ロードしたプログラムに従って、文章表示装置の各部を制御する処理を実行する。尚、CPU1は、複数のプロセッサから構成されてあってもよい。
【0019】
文章表示装置は、着脱可能なメモリカード20が着脱され、装着されたメモリカード20からデータを読み出すカードリーダ10を備えている。カードリーダ10は、システムバスを介してCPU1に接続されている。尚、カードリーダ10は、メモリカード20にデータを記録することができるリーダライタであってもよい。メモリカード20は、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード、MMC(MultiMedia Card )、MMCmicro、SDメモリカード、Mini−SDメモリカード、SmartMedia(登録商標)、又はxDピクチャーカード等である。メモリカード20は、小説等の文章の内容を電子データ化した文章データを記憶している。尚、カードリーダ10は、複数のメモリカード20を装着可能な形態であってもよい。また文章表示装置は、複数のカードリーダ10を備える形態であってもよい。また文章表示装置は、ROM2にアプリケーションプログラムを記憶するのではなく、メモリカード20がアプリケーションプログラムを記憶し、メモリカード20からアプリケーションプログラムを読み出してCPU1で処理を実行する形態であってもよい。
【0020】
また文章表示装置は、液晶ディスプレイ又はEL(エレクトロルミネセンス)ディスプレイ等の表示部12を備えている。表示部12には、表示部12に画像を表示させる制御を行う表示コントローラ11が接続されており、表示コントローラ11は、システムバスを介してCPU1に接続されている。CPU1は、メモリカード20から文章データを読み出し、文章データが表す文章を可視化した画像を表示部12に表示させるための画像データを生成し、生成した画像データを表示コントローラ11へ出力する。表示コントローラ11は、画像データを表示部12へ転送し、画像データに基づいて画像を表示部12に表示させる。これにより、多数の文字を含む文章が表示部12に表示される。
【0021】
また文章表示装置は、タッチパネル4を備えている。タッチパネル4は、表示部12に重ねて配置されており、抵抗膜方式又は電磁誘導方式等の方法により使用者による操作入力を受け付ける構成となっている。尚、タッチパネル4は、使用者の指の接触による入力を受け付ける形態であってもよく、図示しない入力用のペンの接触による入力を受け付ける形態であってもよい。タッチパネル4には、タッチパネルコントローラ5が接続されており、タッチパネルコントローラ5は、システムバスを介してCPU1に接続されている。タッチパネルコントローラ5は、使用者が操作したタッチパネル4上の位置を示す情報を生成し、生成した情報をCPU1へ出力する。なお、本実施の形態においては、タッチパネルコントローラ5は独立したICであるとしたが、タッチパネルコントローラ5を汎用のAD(analog to digital )コンバータ又はトランジスタ回路で構成してプログラムによってCPU1が直接に制御する形態であってもよい。
【0022】
また文章表示装置は、使用者による操作を受け付ける複数のキースイッチからなるキー6を備える。キー6はキー入力ポート7に接続されており、キー入力ポート7は、システムバスを介してCPU1に接続されている。キー入力ポート7は、キー6に含まれる各キースイッチが押下された場合に、各キーが押下されたことを示す情報を生成し、生成した情報をCPU1へ出力する。
【0023】
また文章表示装置は、充電池14を備える。充電池14は電源コントローラ13に接続されており、電源コントローラ13は、システムバスを介してCPU1に接続されている。電源コントローラ13は、外部から電力を供給する着脱可能なAC(alternating current)アダプタが接続される。またキー入力ポート7には、使用者による操作を受け付ける電源キー8が接続されている。電源がオフの状態で電源キー8が押下された場合は、電源コントローラ13は、文章表示装置の各部へ電力の供給を開始する。また電源がオンの状態で電源キー8が押下された場合は、CPU1は、電源オフの指示を電源コントローラ13へ入力し、電源コントローラ13は、電力の供給を停止する。また電源コントローラ13は、ACアダプタが接続されている状態では、ACアダプタから供給された電力を、文章表示装置内の各部に適切な電力へ変換し、各部へ供給し、充電池14を充電する。また電源コントローラ13は、ACアダプタが接続されている状態では、充電池14に充電された電力を、文章表示装置内の各部に適切な電力へ変換し、各部へ供給する。
【0024】
更に、文章表示装置は、外部の照度を測定する照度センサ9を備えている。照度センサ9は、システムバスを介してCPU1に接続されている。照度センサ9は、外部の照度を随時測定し、測定した結果を示す情報をCPU1へ入力する。
【0025】
図2は、メモリカード20の記憶内容を示す概念図である。メモリカード20は、文章データを記憶している。文章データは例えばテキストデータからなる。また文章データに付属して、文章の内容に応じて文章を分類した種別である文章のジャンルを示すジャンル情報が記録されている。例えば、ジャンル情報は、文章の出典元の書籍を日本十進分類法で分類した結果を示す情報である。文章が囲碁の棋譜である場合は、文章のジャンルは囲碁であり、ジャンル情報は日本十進分類の795を示す。
【0026】
図3は、実施の形態1におけるROM2の記憶内容を示す概念図である。前述したように、ROM2は、ブートプログラム、システムプログラム、及びアプリケーションプログラムを記憶している。更に、ROM2は、文章のジャンル別に、表示部12での表示時に文字の表示サイズを変更することの可否を設定したサイズ変更可否設定データを記憶している。例えば、サイズ変更可否設定データは、日本十進分類の795の囲碁を示すジャンル情報に関連付けて、文字の表示サイズの変更が許可されていることを示す情報を記録している。また例えば、サイズ変更可否設定データは、日本十進分類の757の「デザイン、装飾美術」を示すジャンル情報に関連付けて、文字の表示サイズの変更は不許可であることを示す情報を記録している。ジャンルが「デザイン、装飾美術」である文章には、文字のデザインに意味があり、文字の表示サイズを変更した場合には文章の意味が損なわれる虞があるので、文字の表示サイズの変更は不許可となっている。
【0027】
図4は、囲碁の棋譜の例を示す模式図である。碁盤を模した正方格子に重ねて、碁石を模した黒丸及び白丸が配置されており、黒丸内には白抜き文字の数字が配置され、白丸内には数字が配置されている。黒丸及び白丸内の数字は、各碁石を置いた順番を示しており、極めて重要な意味を持っている一方で、表示サイズが小さくなる傾向がある。また囲碁の愛好者には年配者が多く、周囲が暗くなった状態では、年配者には棋譜中の数字が読みにくくなることがある。文字の表示サイズを拡大すれば、棋譜中の数字はより読みやすくなる。そこで、ジャンルが囲碁である文書については、文字の表示サイズを拡大できるように、文字の表示サイズの変更が許可されている。
【0028】
またROM2は、文字の表示サイズを設定したサイズ設定データを記憶している。サイズ設定データは、表示サイズを変更すべき文字であるか否かを判定するための文字の表示サイズの基準となる基準サイズを記録している。またサイズ設定データは、文字の変更後の表示サイズを記録している。変更後の表示サイズは、絶対値で記録されていてもよく、変更前の表示サイズに比べた相対値で記録されていてもよい。またROM2は、文字の表示サイズを変更すべきか否かを判定するための外部の照度の基準となる基準照度を記録した基準照度データを記憶している。基準照度データは、アプリケーションプログラムに含まれていてもよい。
【0029】
またRAM3は、文字の表示サイズを自動で変更するか否かを設定した設定データを記憶している。CPU1は、文字の表示サイズを自動で変更するか又は自動では変更しないことの指示を、使用者がタッチパネル4又はキー6を操作することにより受け付ける。またCPU1は、受け付けた指示に従って、文字の表示サイズを自動で変更するか否かを設定した設定データを生成し、設定データをRAM3に記憶させる。
【0030】
図5は、実施の形態1に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。CPU1は、メモリカード20に記憶されている文章データを読み出し、文章データに基づいた文章を表示部12に表示させる処理を行う。文章の表示と並行して、CPU1は、RAM3に記憶している設定データを参照し、文字の表示サイズを自動で変更することが設定されているか否かを判定する(S11)。文字の表示サイズを自動で変更することが設定されている場合は(S11:YES)、CPU1は、表示中の文章のジャンルが、文字の表示サイズの変更が許可されたジャンルであるか否かを判定する(S12)。ステップS12では、CPU1は、表示中の文章の基になる文章データに付属したジャンル情報をメモリカード20から読み出し、ジャンル情報が示すジャンルについて、ROM2で記憶するサイズ変更可否設定データで文字の表示サイズの変更の許可が設定されているか否かを判定する。表示中の文章のジャンルが、文字の表示サイズの変更が不許可とされたジャンルである場合は(S12:NO)、CPU1は、文字の表示サイズを維持した状態で処理を終了する。
【0031】
表示中の文章のジャンルが、文字の表示サイズの変更が許可されたジャンルである場合は(S12:YES)、CPU1は、照度センサ9が測定する外部の照度が基準照度以下であるか否かを判定する(S13)。ステップS13では、CPU1は、照度センサ9の測定結果を受け付け、測定結果が示す外部の照度と、ROM2で記憶する基準照度データに記録された基準照度とを比較することにより、外部の照度が基準照度以下であるか否かを判定する。外部の照度が基準照度より大きい場合は(S13:NO)、CPU1は、文字の表示サイズを維持した状態で処理を終了する。外部の照度が基準照度以下である場合は(S13:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズ以下であるか否かを判定する(S14)。変更を未だ行っていない状態での文字の表示サイズは、初期設定で予め定められている。尚、変更前の文字の表示サイズはアプリケーションプログラムで定めてあってもよく、変更前の文字の表示サイズを指定する情報を文章データが含んでいてもよい。ステップS14では、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズと、ROM2で記憶するサイズ設定データに記録する基準サイズとを比較することにより、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズ以下であるか否かを判定する。表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズより大きい場合は(S14:NO)、CPU1は、文字の表示サイズを維持した状態で処理を終了する。
【0032】
表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準以下である場合は(S14:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズを拡大する処理を行う(S15)。ステップS15では、CPU1は、変更後の文字の表示サイズが、ROM2で記憶するサイズ設定データに記録する変更後の表示サイズになるように、表示部12に表示させる文章に含まれる文字の表示サイズを拡大する処理を行う。このとき、CPU1は、必要に応じて、表示部12に表示させる文章のレイアウトを変更する。ステップS15が終了した後は、CPU1は、文章を表示部12に表示した状態で処理を終了する。
【0033】
ステップS11で文字の表示サイズを自動で変更することが設定されていない場合は(S11:NO)、CPU1は、使用者がタッチパネル4又はキー6に所定の操作を行うことによる、文字の表示サイズの変更指示の受付を待ち受ける(S16)。文字の表示サイズの変更指示を受け付けた場合は(S16:YES)、CPU11は、処理をステップS15へ進めて、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズを拡大する。文字の表示サイズの変更指示の受付が一定期間なかった場合は(S16:NO)、CPU1は、文字の表示サイズを維持した状態で処理を終了する。CPU1は、文章の表示と並行して、ステップS11〜S16の処理を随時繰り返す。
【0034】
以上詳述した如く、実施の形態1に係る文章表示装置は、文章のジャンルを判定し、文章のジャンルが文字の表示サイズの変更を許可されたジャンルである場合に、外部の照度が基準照度以下となったとき、文章に含まれる文字の表示サイズを拡大する。使用者の周囲が暗くなったときでも、文字の表示サイズが拡大されるので、文字の視認性の悪化が緩和され、使用者にとって文章が読みやすくなる。また文章のジャンルが文字の表示サイズの変更が不許可とされたジャンルである場合は、文字の表示サイズは変更されないので、文字の表示サイズの変化によって文章の内容が損なわれるジャンルの文章については、文字の表示サイズの変更を不許可としておくことにより、文章の内容が損なわれることはない。
【0035】
(実施の形態2)
実施の形態2においては、文章表示装置で、難解な漢字又は画数の多い漢字等の読みにくい特定の漢字を仮名に変換する形態を示す。実施の形態2に係る文章表示装置の内部構成は、図1に示した実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0036】
図6は、実施の形態2におけるROM2の記憶内容を示す概念図である。実施の形態1と同様に、ROM2は、ブートプログラム、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び基準照度データを記憶している。またROM2は、特定の漢字を仮名へ変換すべきか否かを判定するための文字の表示サイズの基準となる基準サイズを記録するサイズ設定データを記憶している。またROM2は、文章のジャンル別に、表示部12での表示時に文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換することの可否を設定した変換可否設定データを記憶している。例えば、文章のジャンルが小説である場合は、漢字が仮名に変換されても問題は生じないので、変換可否設定データには、小説を示すジャンル情報に関連付けて、漢字の仮名への変換が許可されていることが記録されている。また例えば、文章のジャンルが歴史書又は学習参考書である場合は、漢字が重要であるので、変換可否設定データには、これらのジャンルを示すジャンル情報に関連付けて、漢字の仮名への変換が不許可であることが記録されている。
【0037】
またROM2は、変換前の漢字と変換後の仮名とを対応づけた変換対応データを記憶している。変換対応データには、難解な漢字、画数の多い漢字、及びそれらの漢字を含む熟語が記録されており、漢字及び熟語の夫々に対応付けて、漢字又は熟語の読みを表す仮名が記録されている。また変換対応データには、難解な漢字又は画数の多い漢字を含む人名及び地名も仮名と対応づけて記録されている。
【0038】
またRAM3は、特定の漢字を自動で仮名へ変換するか否かを設定した設定データを記憶している。CPU1は、特定の漢字を自動で仮名へ変更するか又は自動では変換しないことの指示を、使用者がタッチパネル4又はキー6を操作することにより受け付ける。またCPU1は、受け付けた指示に従って、特定の漢字を自動で仮名へ変換するか否かを設定した設定データを生成し、設定データをRAM3に記憶させる。
【0039】
図7は、実施の形態2に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。CPU1は、文章の表示と並行して、RAM3に記憶している設定データを参照し、特定の漢字を仮名へ自動で変換することが設定されているか否かを判定する(S21)。特定の漢字を仮名へ自動で変換することが設定されている場合は(S21:YES)、CPU1は、表示中の文章のジャンルが、特定の漢字の仮名への変換が許可されたジャンルであるか否かを判定する(S22)。ステップS22では、CPU1は、ジャンル情報をメモリカード20から読み出し、ジャンル情報が示すジャンルについて、ROM2で記憶する変換可否設定データで漢字の仮名への変換の許可が設定されているか否かを判定する。表示中の文章のジャンルが、特定の漢字の仮名への変換が不許可とされたジャンルである場合は(S22:NO)、CPU1は、特定の漢字が表示された状態で処理を終了する。
【0040】
表示中の文章のジャンルが、特定の漢字の仮名への変換が許可されたジャンルである場合は(S22:YES)、CPU1は、照度センサ9が測定する外部の照度が基準照度以下であるか否かを判定する(S23)。外部の照度が基準照度より大きい場合は(S23:NO)、CPU1は、特定の漢字が表示された状態で処理を終了する。外部の照度が基準照度以下である場合は(S23:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズ以下であるか否かを判定する(S24)。表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズより大きい場合は(S24:NO)、CPU1は、特定の漢字が表示された状態で処理を終了する。
【0041】
表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準以下である場合は(S24:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換する処理を行う(S25)。ステップS25では、CPU1は、表示中の文章から、ROM2で記憶する変換対応データに記録する漢字又は熟語を検索し、検索した漢字又は熟語を、変換対応データで対応づけられている仮名へ変換して表示部12に表示する。このとき、CPU1は、必要に応じて、表示部12に表示させる文章のレイアウトを変更する。尚、漢字の読みを示すルビを表示するためのルビデータが文章データに含まれており、文章表示装置は、ステップS25で、ルビデータに基づいて、ルビに対応する漢字をルビが示す仮名へ変換する処理を行う形態であってもよい。ステップS25が終了した後は、CPU1は、文章を表示部12に表示した状態で処理を終了する。
【0042】
ステップS21で特定の漢字を仮名へ自動で変換することが設定されていない場合は(S21:NO)、CPU1は、使用者がタッチパネル4又はキー6に所定の操作を行うことによる、特定の漢字を仮名へ変換することの指示の受付を待ち受ける(S26)。変換の指示を受け付けた場合は(S26:YES)、CPU11は、処理をステップS25へ進めて、特定の漢字を仮名へ変換する。変換の指示の受付が一定期間なかった場合は(S26:NO)、CPU1は、特定の漢字が表示された状態で処理を終了する。CPU1は、文章の表示と並行して、ステップS21〜S26の処理を随時繰り返す。
【0043】
図8は、変換前の漢字と変換後の仮名との例を示す図である。図8には、読みが難解な漢字を含む人名「勘解由小路 資忠」が、仮名を含む「かでの小路 資忠」へ変換された例を示す。読みが難解な漢字が仮名に変換され、使用者が読みやすくなっている。
【0044】
以上詳述した如く、実施の形態2に係る文章表示装置は、文章のジャンルを判定し、文章のジャンルが漢字の仮名への変更を許可されたジャンルである場合に、外部の照度が基準照度以下となったとき、文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換する。使用者の周囲が暗くなったときでも、読みが難解な漢字及び画数が多い漢字が仮名へ変換されるので、文字の視認性の悪化が緩和され、使用者にとって文章が読みやすくなる。また文章のジャンルが漢字の仮名への変更が不許可とされたジャンルである場合は、漢字は変換されないので、漢字の仮名への変換によって文章の内容が損なわれるジャンルの文章については、漢字の仮名への変換を不許可としておくことにより、文章の内容が損なわれることはない。
【0045】
(実施の形態3)
実施の形態3においては、文章表示装置で、表示されている文字の書体を視認性の高い書体に変更する形態を示す。実施の形態3に係る文章表示装置の内部構成は、図1に示した実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0046】
図9は、実施の形態3におけるROM2の記憶内容を示す概念図である。実施の形態1及び2と同様に、ROM2は、ブートプログラム、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び基準照度データを記憶している。またROM2は、書体を変更すべきか否かを判定するための文字の表示サイズの基準となる基準サイズを記録するサイズ設定データを記憶している。またROM2は、文章のジャンル別に、表示部12での表示時に文章に含まれる文字の書体を変更することの可否を設定した変更可否設定データを記憶している。例えば、文章が囲碁の棋譜である場合、黒丸及び白丸の中の文字は、周囲が暗くなった状態では視認性が悪化する。そこで、ジャンルが囲碁である文書については、文字の書体をより視認性の高い書体に変更できるように、書体の変更が許可されている。また例えば、ジャンルが「デザイン、装飾美術」である文章には、文字のデザインに意味があり、文字の書体を変更した場合には文章の意味が損なわれる虞があるので、書体の変更は不許可となっている。
【0047】
またROM2は、どの種類の文字の書体をどの書体に変更するのかを設定した書体設定データを記憶している。白抜き文字の場合、周囲が暗い状態では線の細い書体ほどつぶれてより視認性が悪化する。また白抜きではない通常の文字の場合、特に画数の多い漢字は、周囲が暗い状態では線の太い書体ほどつぶれてより視認性が悪化する。従って、書体設定データには、白抜き文字は線の細い書体に変更され、通常の文字は線の太い書体に変更されるように設定されていることを示す情報が記録されている。また例えば、書体設定データには、仮名は線の太い書体に変更され、漢字は線の細い書体に変更されるように設定されていることを示す情報が記録されている。
【0048】
図10は、実施の形態3に係る文章表示装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。CPU1は、文章の表示と並行して、RAM3に記憶している設定データを参照し、書体を自動で変更することが設定されているか否かを判定する(S31)。書体を自動で変更することが設定されている場合は(S31:YES)、CPU1は、表示中の文章のジャンルが、書体の変更が許可されたジャンルであるか否かを判定する(S32)。ステップS32では、CPU1は、ジャンル情報をメモリカード20から読み出し、ジャンル情報が示すジャンルについて、ROM2で記憶する変更可否設定データで書体の変更の許可が設定されているか否かを判定する。表示中の文章のジャンルが、書体の変更が不許可とされたジャンルである場合は(S32:NO)、CPU1は、表示中の文字の書体を維持した状態で処理を終了する。
【0049】
表示中の文章のジャンルが、書体の変更が許可されたジャンルである場合は(S32:YES)、CPU1は、照度センサ9が測定する外部の照度が基準照度以下であるか否かを判定する(S33)。外部の照度が基準照度より大きい場合は(S33:NO)、CPU1は、表示中の文字の書体を維持した状態で処理を終了する。外部の照度が基準照度以下である場合は(S33:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズ以下であるか否かを判定する(S34)。表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準サイズより大きい場合は(S34:NO)、CPU1は、表示中の文字の書体を維持した状態で処理を終了する。
【0050】
表示中の文章に含まれる文字の表示サイズが基準以下である場合は(S34:YES)、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の書体を変更する処理を行う(S35)。ステップS35では、CPU1は、表示中の文章に含まれる文字の書体を、ROM2で記憶する書体設定データで設定されている書体へ変更して表示部12に表示する。例えば、白抜き文字の書体はゴシック体等の線の太い書体へ変更され、白抜きではない通常の文字の書体は明朝体等の線の細い書体へ変更される。ステップS35が終了した後は、CPU1は、文章を表示部12に表示した状態で処理を終了する。
【0051】
ステップS31で書体を自動で変更することが設定されていない場合は(S31:NO)、CPU1は、使用者がタッチパネル4又はキー6に所定の操作を行うことによる、書体の変更指示の受付を待ち受ける(S36)。書体の変更指示を受け付けた場合は(S36:YES)、CPU11は、処理をステップS35へ進めて、表示中の文章に含まれる文字の書体を変更する。書体の変更指示の受付が一定期間なかった場合は(S36:NO)、CPU1は、表示中の文字の書体を維持した状態で処理を終了する。CPU1は、文章の表示と並行して、ステップS31〜S36の処理を随時繰り返す。
【0052】
以上詳述した如く、実施の形態3に係る文章表示装置は、文章のジャンルを判定し、文章のジャンルが文字の書体の変更を許可されたジャンルである場合に、外部の照度が基準照度以下となったとき、文章に含まれる文字の書体を視認性がより高い書体に変更する。使用者の周囲が暗くなったときでも、文字の表示サイズが拡大されるので、文字の視認性の悪化が緩和され、使用者にとって文章が読みやすくなる。また文章のジャンルが文字の表示サイズの変更が不許可とされたジャンルである場合は、文字の表示サイズは変更されないので、文字の表示サイズの変化によって文章の内容が損なわれるジャンルの文章については、文字の表示サイズの変更を不許可としておくことにより、文章の内容が損なわれることはない。
【0053】
尚、以上の実施の形態1〜3においては、文章の内容に応じて分類された種別として、文章の出典元の書籍を日本十進分類法で分類したジャンルを用いた例を示したが、他の方法で文章の内容を分類した種別を用いてもよい。また実施の形態1〜3においては、文章表示装置は内部に備えた表示部12に文章を表示する形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の文章表示装置は、外部のディスプレイに文章を表示する形態であってもよい。また、本発明の文章表示装置は、文章表示専用の電子機器である必要はなく、PC又は携帯電話機等の汎用のコンピュータを用いて構成された形態であってもよい。汎用のコンピュータを用いた文章表示装置は、本発明の文章表示装置に必要な処理を実行するためのプログラムを記憶し、通信ネットワーク又は記録媒体から取得した文章データに基づいた文章を表示する処理を行う。
【符号の説明】
【0054】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
9 照度センサ
12 表示部
20 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章を表示する文章表示装置において、
表示する文章の内容に応じて分類された種別を判定する文章判定手段と、
該文章判定手段の判定結果に応じて、前記文章に含まれる文字の表示形態を調整する調整手段と
を備えることを特徴とする文章表示装置。
【請求項2】
外部の照度を検出する照度センサを更に備え、
前記文章判定手段は、
前記文章の種別が文字の表示形態の調整を予め許可されている種別であるか否かを判定するように構成してあり、
前記調整手段は、
前記文章判定手段により、前記文章の種別が文字の表示形態の調整を予め許可されている種別であると判定された場合に、前記照度センサが検出した外部の照度が所定の基準値以下であるか否かを判定する手段と、
前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字の表示形態をより視認性が高い表示形態へ変更する変更手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の文章表示装置。
【請求項3】
前記変更手段は、
前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字のサイズを拡大するように構成してあること
を特徴とする請求項2に記載の文章表示装置。
【請求項4】
前記変更手段は、
前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる特定の漢字を仮名へ変換するように構成してあること
を特徴とする請求項2に記載の文章表示装置。
【請求項5】
前記変更手段は、
前記照度が所定の基準値以下である場合に、前記文章に含まれる文字の書体を、文字の種類に応じて予め定められている書体へ変更するように構成してあること
を特徴とする請求項2に記載の文章表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−113170(P2012−113170A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262868(P2010−262868)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】