説明

料金精算システム

【課題】有料自動駐車場あるいは自動販売機などにおいて、迅速な精算処理が可能となるようにするとともに、カード決済に伴う通信時間を必要最小限となるようにし、通信コストを低減する料金精算システムとなるようにする。
【解決手段】料金の精算を司る装置を起動する動体近接検知手段および無線通信手段を設け、前記動体近接検知手段により検知した検知信号により前記無線通信手段が起動されることにより、利用者が料金の精算処理を開始する以前に無線通信網を介してカード精算用遠隔サーバのログオンを完了し、利用者による料金のカード決済が可能となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の料金精算機あるいは自動販売機などにおいて迅速なカード決済が可能となるようにした料金精算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
料金の精算に関して特に一般的な有料駐車場では、入出庫ゲートに駐車券発行機や料金精算機が設置されており、入庫時に利用者が入口ゲートで駐車カードを受取り、出庫時に出口ゲートなどにおいてこの駐車カードによる料金の精算を行うようにしている。したがって、利用者は料金の精算にあたり、駐車カードにより料金精算機を操作して精算料金を確認し、その料金を投入するという精算処理を行わなければならない。この間、運転者は車両の安全を確保していなければならず、多くの時間を要することから出口ゲート付近において渋滞が生じ易いものとなっている。
【0003】
有料駐車場には慢性的にこのような問題があるため、この解決策として、駐車料金の精算をクレジットカードによる電子決済により迅速に行おうとする試みがある(特許文献1参照)。これは、出庫信号に含まれる駐車場の識別データに基づいてこの識別データが示す駐車場の駐車料金計算装置に、駐車スペースの識別データと出庫信号の受信時刻を示すデータを送信し、駐車料金精算手段が、出庫信号受信手段によって受信した出庫信号に含まれるクレジットカードの番号データに基づいて、駐車料金データ受信手段が受信した駐車料金データによって示される駐車料金をクレジット会社に請求するようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−256995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術による場合、利用者は情報端末機(携帯電話など)からインターネットを介して駐車料金精算Webサイトにアクセスし、駐車料金を精算するための所用の入力操作を行う必要がある。即ち、利用者は情報端末に、車両が駐車している駐車場の識別番号とそのブース番号を入力し、さらに、駐車料金の決済を行うクレジットカードのカード番号を入力してそれぞれの番号を示すデータを含む出庫信号を駐車料金精算Webサイトに送信する。
【0005】
情報端末機からの出庫信号を受信した駐車料金精算Webサイトは、この受信した出庫信号に含まれるクレジットカードの番号データを記録するとともに、駐車場の識別番号データに基づいてその識別番号を有する駐車場のホストコンピュータにインターネットを介してアクセスし、このホストコンピュータに出庫信号に含まれるブース番号データを、情報端末機からの出庫信号を駐車料金精算Webサイトが受信した時刻を示す出庫時刻データとともに送信する。
【0006】
駐車料金精算Webサイトからブース番号データおよび出庫時刻データを受信したホストコンピュータは、その受信したデータが示すブース番号と同じブース番号に対応する車両の入庫時にメモリに記憶されている入庫時刻データを読み出して、この入庫時刻データと受信した出庫時刻データとから駐車料金を算出する。
【0007】
そして、ホストコンピュータは、このようにして算出した駐車料金を示す駐車料金データを、インターネットを介して駐車料金Webサイトに送信するとともに、出庫ゲートの車止めを車両の出庫を許容する方向に駆動する信号を出力する。この駆動信号により車止めが解除され、利用者は車両を出庫させることが可能となる。
【0008】
このような従来のシステムにおいて迅速な精算を行うにはホストコンピュータを、インターネットおよび専用線を介して駐車料金Webサイトに常時接続しておかなければならず、運用コストが高くなる要因となっている。この運用コストを低減するためには、精算の都度、通信回線を接続するようにすればよいのであるが、回線接続時間やデータベースのログオン時間が必要となるため、精算処理にかかる時間を短縮することができなくなる。かかる問題は、飲料水などの物品の自動販売機などにおいても同様に課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑み、以下に述べる各手段により上記課題を解決するようにした。即ち、請求項1記載の発明では、料金の精算を司る装置を起動する動体近接検知手段および無線通信手段を設け、前記動体近接検知手段により検知した検知信号により前記無線通信手段が起動されることにより、利用者が料金の精算を開始する以前に無線通信網を介してカード精算用遠隔サーバのログオンが完了し、利用者による料金のカード決済が可能となる料金精算システムとなるようにする。
【0010】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の料金精算システムにおいて、カード決済の対象となる装置が駐車場精算機であるようにする。
【0011】
請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の料金精算システムにおいて、カード決済の対象となる装置が自動販売機であるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者が料金の精算処理を開始する段階において、既に精算ホストセンターとの接続が完了しているため、迅速なカード決済が可能となり、精算に要する無駄な時間を排除することができる料金精算システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の料金精算システムを有料駐車場に実施した状態を示すもので、駐車場の入庫路Rinに沿って登録ナンバー読取装置Bと入庫ゲート装置Dが設置され、出庫路Routに沿って登録ナンバー読取装置Eと出庫ゲート装置Fが設置される。そして、入庫路Rinと出庫路Routの間に料金精算機Gが設置され、前記車両ナンバー読取装置Eから駐車場の方向に離間した位置に動体近接検出装置Aを設置する。
【0015】
前記登録ナンバー読取装置Bは、既知の装置であり、大凡の構成は図2に示すように、登録ナンバー読取機11、計時装置12、処理部13、通信部14からなる。前記登録ナンバー読取機1は、車両の接近を検知する検知器と、この検知器からの検知信号に基づいて車両CのナンバープレートCnを撮影する撮像機、および撮像したナンバープレートCnの登録ナンバーを認識して出力する画像処理回路を主体に構成されている。
【0016】
前記登録ナンバー読取機11から出力された登録ナンバーが処理部13に入力すると、通過許可信号Sとともに、計時装置12から読み取った現在時刻を当該車両の入庫時刻として付加された登録ナンバー信号Nが通信部4に出力される。このようにして生成された通過許可信号Sおよび登録ナンバー信号Nは、通信部4から入庫ゲート装置Dおよび料金精算機Gへ転送される。料金精算機Gは登録ナンバー信号Nおよびこれに付帯させて時刻データを記憶する。
【0017】
入庫ゲート装置Dは、図3に示すように、通信部21、処理部22、ゲート駆動部23、車両検知部24からなる。通信部21は登録ナンバー読取装置Bの通信部14からの通過許可信号Sを受信し、処理部22に与える。処理部22は入力した通過許可信号Sに基づいてゲート駆動部Dに駆動信号を与え、ゲート25aを駆動して入庫路Rinの遮断を解除し、車両Cの通過が可能となる。そして、車両Cの通過を車両検知部24が検知するとゲート25aが再び駆動され入庫路Rinの遮断が行われる。
【0018】
出庫路Routに沿って設置される登録ナンバー読取装置Eは、前記登録ナンバー読取装置Bと同一の構成であり、出庫ゲート装置Fは前記入庫ゲート装置Dと同一に構成されている。したがって、登録ナンバー読取装置Eに生成された通過許可信号Sおよび登録ナンバー信号Nは出庫ゲート装置Fに転送され、ゲート25bを駆動して出庫路Routの遮断を解除し、車両Cの通過が可能となる。
【0019】
つぎに、料金精算機Gは、図4に示すように通常の現金決済機30に加え、クレジットカードによるカード決済が可能となるようにした機能が付加されている。この料金精算機Gには、動体近接検知信号入力部31、無線通信装置32、カードリーダ33、精算制御装置34を備え、アンテナ35と携帯電話通信網40およびカード精算用遠隔サーバ50に接続が可能となるようにしている。
【0020】
また、この料金精算機Gから駐車場側に離間した位置に、光あるいは超音波などを利用した検知手段による動体近接検出装置Aを設置し、車両Cが料金の精算エリアに達する前(例えば、7〜10秒)に、車両の出庫があることを料金精算機Gに認識させるようにしている。即ち、車両Cが出庫路Routを走行して来ると、まず、動体近接検出装置Aがこれを検知し、その検知信号Pが料金精算機Gの動体近接検知信号入力部31に入力する。
【0021】
前記検知信号Pが動体近接検知信号入力部31に入力すると、この動体近接検知信号入力部31は無線通信装置32および精算制御装置34を起動する。そして、無線通信装置32は直ちに携帯電話通信網40を介してカード精算用サーバ50と接続し、ログオンする。この間、車両Cは次第に登録ナンバー読取装置Eに接近し、登録ナンバーの読み取りが行われる。
【0022】
このようにして登録ナンバー読取装置Eにより読み取られた登録ナンバーの登録ナンバー信号Nは、精算制御装置34に転送される。この精算制御装置34は、入庫時に登録ナンバー読取装置Bにより読み取った登録ナンバー信号Nを記憶しており、出庫時に入力した登録ナンバー信号Nとの照合を行う。この結果、入庫時刻と出庫時刻から駐車料金が算出される。
【0023】
そして、当該車両Cが料金精算機Gに達し、利用者がクレジットカードのカードデータの読込操作をカードリーダ33に行うと、既に接続されている携帯電話通信網40を介してカード精算用遠隔サーバ50にカードデータおよび精算データが転送される。カード精算遠隔サーバ50には、当該利用者のカードデータと車両の登録ナンバーが紐付けされて記録されていることから、直ちに認証が行われカード決済を完了する。
【0024】
このようにして、カード精算用遠隔サーバ50においてカード決済が完了すると、その精算データが携帯電話通信網40を介して料金精算機Gの無線通信装置32に入力し、この精算データに基づいて精算制御装置34から出力される制御信号Jにより出庫ゲート装置Fが駆動され、ゲート25bによる出庫路Routの遮断が解除される。なお、精算データを受信した後は、携帯電話通信網40との接続は切断される。
【0025】
このように、上記の料金精算システムによれば、利用者が料金の精算を開始する時点でカード精算用遠隔サーバ50と料金精算機Gがデータ通信可能の状態となっているため、カード精算用遠隔サーバ50をログオンする時間が不要となり、精算処理を迅速に行うことができる。しかも、精算処理が終了すると携帯電話通信網40との接続は切断されることから、データ通信の時間が僅かとなり、通信コストを大きく低減することができる。
【0026】
図5は、本発明を飲料水などの自動販売機60に応用した例を示すもので、この場合は、動体近接検出装置Aおよび料金精算機Gを自動販売機60の本体に配設するようにしている。このように自動販売機60に動体近接検出装置Aを配設した場合は、自動販売機60の利用者が動体近接検出装置Aに検知されると、携帯電話通信網40との接続が開始されるのであるが、携帯電話通信網40に接続してカード精算遠隔サーバ50をログオンするまでの時間は、通常7〜10秒程度かかることになる。
【0027】
しかしながら、利用者が商品を選択する時間およびカードを取り出す時間などを合計すると、前記程度の時間は経過しているため、精算処理に不都合を生じることはない。そして、利用者は所望の商品を選択した後、カードリーダ33で精算処理を行うと、カードデータが携帯電話通信網40を介してカード精算遠隔サーバ50に送られ、返送されて来た精算データを受信することにより選択した商品が提供されることになる。
【0028】
以上詳細に説明したように、本発明の料金精算システムによれば、カードによる実際の精算が開始される前に、カード精算遠隔サーバとのデータ通信が可能となり、必要最小限の通信コストにより迅速な精算処理が可能となるなど本発明特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を有料駐車場にした状態の概要を示す図である。
【図2】登録ナンバー読取装置の構成を示す図である。
【図3】入出庫ゲートの構成を示す図である。
【図4】料金精算機の構成を示す図である。
【図5】本発明を自動販売機に実施した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
A・・・・・・動体近接検出装置
B・・・・・・登録ナンバー読取装置
C・・・・・・車両
D・・・・・・入庫ゲート装置
E・・・・・・登録ナンバー読取装置
F・・・・・・出庫ゲート
G・・・・・・料金精算機
30・・・・・現金決済機
31・・・・・動体近接検知信号入力部
32・・・・・無線通信装置
33・・・・・カードリーダ
34・・・・・精算制御装置
35・・・・・アンテナ
40・・・・・携帯電話通信網
50・・・・・カード精算用遠隔サーバ
60・・・・・自動販売機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金の精算を司る装置を起動する動体近接検知手段および無線通信手段を設け、前記動体近接検知手段により検知した検知信号により前記無線通信手段が起動されることにより、利用者が料金の精算処理を開始する以前に無線通信網を介してカード精算用遠隔サーバのログオンを完了し、利用者による料金のカード決済が可能となるようにしたことを特徴とする料金精算システム。
【請求項2】
カード決済の対象となる装置が駐車精算機であることを特徴とする請求項1記載の料金精算システム。
【請求項3】
カード決済の対象となる装置が自動販売機であることを特徴とする請求項1記載の料金精算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−259162(P2009−259162A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110316(P2008−110316)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(505124258)株式会社CSC (6)
【Fターム(参考)】