説明

斜張橋における斜材定着ナット取付け治具と斜材定着ナットのセット方法

【課題】斜張橋における斜材ケーブルの緊張、調整のための重量のある定着ナットを安全に揚重設備を用いて簡単に持ち上げて、容易に回転させ定着ブロックのねじ端部に嵌合する作業を迅速に行えるようにする。
【解決手段】斜張橋の斜材ケーブルの端部に設けたケーブル緊張用の定着ブロックに設けたねじ部に定着ナットを螺合するに際し、定着ナット14の円周方向外側にタップ穴21を設けてこれにボールベアリング24付きのねじ部材22を設置し、ボールベアリング24が嵌合する円周溝26を内周縁に有すると共に、吊上げ機器で吊上げる吊りピース31を有し、2分割部材25aを結合してなる円周リング25を定着ナット14の外周を取囲んで設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、斜張橋における斜材ケーブルの定着部に用いられる定着ナットの取付け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
斜張橋は、主塔と主桁の間に斜めに架設した多数の斜材ケーブルによって桁(橋床)を主塔で支持した構造を持つもので、主桁の断面や重量を減らして長大な橋梁を建設するのに適した構造を持つ橋としての認識が高まっている。図4はファン形式構造の斜張橋の外観を示したもので、主塔1と箱桁構造の主桁2の間に斜材ケーブル3が張設されていて、該斜材ケーブル3はプレストレスが導入された後、その端部は主塔1と主桁2に定着されている。
【0003】
斜張橋の建設は、前述のように主塔1と主桁2の間に多数のPC鋼材を予備緊張して架設し、最終的には、このPC鋼材を束ねた斜材ケーブル3の全体を所要の緊張力となるように緊張調整するのが普通である。なお、斜材ケーブル3の構成は、図6(b)に示すように、通常、素線を撚ったPC鋼材33を多数束ねて被覆材34で被覆して構成され、ケーブル両端部に定着ブロックを設けたプレファブケーブルであって、定着ブロックの多数の貫通孔にPC鋼材33が1本1本嵌挿されて3つ割わり楔で固定され、定着ブロックの定着用ねじ部に定着ナットを各々取り付け、この定着ナットを締め付けて支圧板に当接係合させることで、斜材ケーブル3に半永久的に緊張力を導入した状態を保持できるように構成されている(関連構造は後に図5(b)を参照して説明する)。
【0004】
上述のように、斜張橋は近時においてはその規模が極めて大掛かりなものも建設されるようになってきており、そのため桁重量も大きなものとなるため、主塔によって主桁を吊持ちするための斜材ケーブルに与える緊張力も大きくなっている。その結果、斜材ケーブル緊張に使用する装置も大型で大重量なものとなり、かかる斜材ケーブル緊張装置を容易に設置することが望まれており、また、建設後の様々な要因によって斜材ケーブル緊張力を調整して緊張力状態を望ましい状態に維持する作業が必要になる。
【0005】
斜材ケーブル3にその主桁2において予想される活荷重応力変動分以上のプレストレスをジャッキ等の緊張手段で導入し、斜材ケーブルの端部に設けた定着ブロックの定着用ねじ部に定着ナットを締め込んで本定着させる構造については、特開平6−26012号(従来技術1)、特開平2001−200509号(従来技術2)などに開示されている。
【特許文献1】特開平6−26012号公報
【特許文献2】特開2001−200509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
斜材ケーブルにプレストレスを導入するために、定着ナットを定着ブロックの外周に設けた定着用ねじ部へ取り付ける際、重量物である定着ナットを定着ねじ端部が位置する所定の高さまで持ち上げ、該定着用ねじ部に嵌合させる必要がある。定着ナットは重量があるため揚重設備を用いて持ち上げるのが普通であるが、さらに、定着ナットを吊上げた状態で定着ブロックに嵌合させるために回転させる作業が必要であり、この作業に多くの労力と時間を必要とする。すなわち、重量物である定着ナットを所定の高さまで持ち上げ、定着用ねじ端部に当てがった状態を保持したまま回転させて、ねじ部から脱出しない程度まで所定量ねじ込む初期作業が大変困難で、かつ手間取る作業であり、従来この問題を簡易に解決できる手段がなかった。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決するために提案されたもので、斜張橋における斜材ケーブルの緊張、調整のための重量のある定着ナットを安全に揚重設備を用いて簡単に持ち上げて、容易に回転させ定着ブロックのねじ端部に嵌合する作業を迅速に行えるようにした、定着ナット取付け治具とそのセット方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、次のように構成する。
【0009】
第1の発明は、斜張橋の塔と桁の間に架け渡した斜材ケーブルの端部に設けてある定着ブロックを、前記塔または桁の斜材ケーブル定着部に設け、前記斜材ケーブルをその延長方向に牽引緊張した状態で前記定着ブロックのねじ部に定着ナットを螺合させるようにした斜材ケーブル緊張装置における前記定着ナットの取付け治具であって、前記定着ナットの外周面に、ねじ部付きボールベアリングを介して前記定着ナットを回転自在に支持する円周リングを配置すると共に、前記円周リングを介して前記定着ナットを回転自在に吊上げ保持可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記定着ナットの外周面にタップ穴を設けてこれに前記ねじ部付きボールベアリングのねじ部を締結し、前記円周リングは、前記ボールベアリングが嵌合する円周溝を内周縁に有すると共に、吊上げ機器で吊上げる吊りピースを有し、かつ、分割可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、前記円周リングを、連結部材により連結してなる第1と第2の円周リングから構成し、第1の円周リングの断面はLであってその直角の各部にねじ部付きボールベアリングを配設することで、該ボールベアリングを前記定着ナットの外周面と一側端面に接触させ、第2の円周リングは前記定着ナットの外周面と接触させていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る斜張橋における斜材定着ナットのセット方法は、斜張橋の塔と桁の間に架け渡した斜材ケーブルの端部に設けてある定着ブロックを、前記塔または桁の斜材ケーブル定着部に設け、前記斜材ケーブルをその延長方向に牽引緊張した状態で前記定着ブロックのねじ部に定着ナットを螺合させるに際し、前記定着ナットの外周面に、ねじ部付きボールベアリングを介して前記定着ナットを回転自在に支持する円周リングを配置したうえ、前記円周リングを吊上げ機器で吊上げて定着ナットを傾斜させた状態で定着ブロックのねじ端部に対峙させベアリングにナット荷重が作用した状態で定着ナットを回転させ、定着ブロックの部に嵌合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、大重量物である定着ナットを円周リングに回転自在に支持させることがきるので、この円周リングを介して吊上げ機器により定着ナットを回転自在な状態で吊上げ保持して、定着ブロックに設けた定着用ねじ部の端部に定着ナットを円滑に誘導(移動)し嵌合させることができ、複雑な定着ナットの支持装置や設備を必要とせず、低コストでしかも迅速な施工作業が可能となる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
【0015】
図4〜図6は、桁の幅方向中央の位置において、主塔1と主桁2の間に斜材ケーブル3を架設した「一面吊り」形式の道路橋としての斜張橋に本発明を適用した例を示している。図5(a)は、斜張橋の箱桁構造の主桁2の一部を桁長手方向に断面した一部を示しており、主桁2には幅方向に空洞部4が形成され、空洞部4の桁長手方向は一定の間隔で隔壁5で仕切られている。
【0016】
また、主桁2の上部スラブ6には、桁長手方向に間欠して、図に示すように斜材ケーブル3の下端を固定する隆起部7が設けられており、この隆起部7には定着具嵌合孔8が形成されている。定着具嵌合孔8は、隆起部7の形成前に斜材ケーブル下端の筒状の定着具10(図5bに示す)を所定の位置にセットし、その後、コンクリートを打設することで設けられる。なお、主塔1から離れるごとに異なる各斜材ケーブル3の架設角度にあわせて定着具10の設置角度は変化する。定着具嵌合孔8の下端開口部には段付き座ぐり部11が設けられて、そこに支圧板12が嵌合され、斜材ケーブル下端に固定の定着ブロック19は、その外周に設けた定着ねじ部13に定着ナット14をねじ込んで介して支圧板12により支持するようになっている。
【0017】
図6(a)は架設された斜張橋の斜材ケーブル3の上端部の固定構造を示す。斜材ケーブル3の主塔1側の端部では、同図に示すように、筒状の塔上定着具15が主塔1の嵌合穴16に固定され、その嵌合穴16の上側段付き座ぐり部17に組み付けた支圧板18に対応して、筒状の上記定着具15内を通った斜材ケーブル3の上端に設けた定着ブロック15aが係合することで、該斜材ケーブル上端が主塔1に固定される。
【0018】
図5(b)は、斜張橋の斜材ケーブル3の下端部の固定構造固定構造を示す。斜材ケーブル下端の桁側の固定構造においては、上記のようにコンクリート打設で形成する主桁2の隆起部7に筒状の定着具10を固定し、この定着具10内を通した斜材ケーブル3の下端を定着ブロック19に連結し、この定着ブロック19の外周に設けた斜材ケーブル固定用の定着ねじ部13に螺合した定着ナット14を支圧板18に係合させて、定着ブロック19を介して斜材ケーブル下端を定着するように構成されている。
【0019】
斜材ケーブル3の下端の構造は、定着具10の筒体内に内装されたトランペット管20内において、斜材ケーブル3を構成する多数のPC鋼材を互いの間隔を広げるように張設させて定着ブロック19の各貫通孔に1本1本嵌挿し、くさびで個々に固定する。このような斜材ケーブルの構成等は既存のものと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0020】
本発明の特徴は、斜張橋の斜材ケーブル3の定着部に用いられる重量物である定着ナット14を回転自在に吊上げることができる簡単な治具を提供することにあり、図1〜図3は第1実施例に係る吊上げ治具を示し、図7、図8は第2実施例に係る吊り上げ治具を示す。
【0021】
図1〜図3に示す第1実施例の吊上げ治具は、円周リング25を主構成要素とし、この円周リング25を用いて定着ナット14を所定の高さに回転自在に保持したうえ、レバーブロック等の吊上げ機器により吊上げることで定着ブロック19に容易かつ迅速に嵌合させる点にある。
【0022】
第1実施例に係る吊上げ治具の構成を図1〜図3によって説明する。定着ナット14は、内周面に雌ねじ14aを有するリングナットとして構成されている。この定着ナット14の外周面に円周方向に間隔を置いて複数のタップ穴21を設け、このタップ穴21にねじ部付きボールベアリング22のねじ部を螺合する。ねじ部付きボールベアリング22の頭部には凹部23が形成されていて、この凹部23にボールベアリング24が回転自在でかつ脱嵌しないように収容されている。
【0023】
円周リング25は、前記ねじ部材22の頭部のボールベアリング24が嵌合する円周溝26を内周縁に有すると共に、2分割部材25aを着脱自在に結合して構成される。すなわち、円周リング25を定着ナット14に装着するときは、分割した2分割部材25aで定着ナット14の外周を抱持し、2分割部材25aの両端部に設けた連結片27のボルト孔28にボルト29を挿入し、ナット30を締結することで定着ナット14の外周を取囲んで設けた
うえ、2分割部材25aを一体化させる。2分割部材25aの両横部には係合孔35を有する吊りピース31が設けられている。
【0024】
図1〜図3では、ねじ部付きボールベアリング22のねじ部をタップ穴21を介して定着ナット14の外周面に締結したが、これと反対にねじ部付きボールベアリング22を円周リング25に設け、該ボールベアリングが定着ナット14の外周面に沿って回転するように設けてもよい(具体的構造は第2実施例で説明する)。
【0025】
第1実施例に係る斜材定着ナット取付け治具を用いて定着ナット14を定着ブロック19にセットするに際しては、図3に示すように定着ナット14を回転自在に支持した円周リング25の吊りピース31にレバーブロック等の吊上げ機器の吊上げ索32を係合して該定着ナット14を所定の高さまで持ち上げ、定着ブロック19(図5bに示す)におけるねじ端部に対峙させる。こうしてボールベアリング24を介してナット荷重が円周リング25に作用した状態で定着ナット14を回転させ定着ねじ部13に容易にねじ込むことができる。
【0026】
定着ねじ部13に定着ナット14が所定長ねじ込まれた後は、定着ナット14の荷重は定着ブロック19で支持されるので、この段階で円周リング25を2分割部材25aに分割して定着ブロック19から取り外す。その後、図示しない油圧ジャッキ装置を用いて斜材ケーブル下端の定着ブロック19を所定の力で該斜材ケーブル延長方向に牽引緊張させ、そのことで生じた隙間を定着ナット14が支圧板18に当接係合するまでねじ込むことで埋めてその緊張力を半永久的に確保するものである。
【0027】
図7、図8によって、第2実施例に係る斜材定着ナットの取付け治具を説明する。第2実施例では、定着ナット14の外周面を取り囲むように、かつナット両端部に第1円周リング36と第2円周リング37が間隔をあけて平行に配置されている。この第1と第2の円周リング36、37の内側にねじ部付きボールベアリング22aが等角間隔で複数設けられており、そのボールベアリング24が定着ナット14の外周面に沿って回転できるように設けられている。
【0028】
第1円周リング36は、定着ブロック19(図5bに示す)の傾斜に合わせ傾斜して保持する定着ナット14の下端側に配設するもので、リング断面はL字型であり、その水平部36aと垂直部36bの内側にねじ部付きボールベアリング22aが設けてある。したがって、一方の部材22aのボールベアリング24は定着ナット14の外周面と接して回転し、他方の部材22aのボールベアリング24は定着ナット14の一端面と接して回転する。
【0029】
第2円周リング37は所定幅の平鋼板からなり、定着ナット14の他端側の外周面に沿って配置されている。この第2円周リング37に設けたねじ部付きールベアリング22aのベアリング24は定着ナット14の外周面と接して回転する。第1と第2の円周リング36、37の間は、円周方向に90°間隔で配設した連結部プレート38で連結されている。その結合手段として、各ねじ部付きボールベアリング22aのねじ部39を第1と第2の円周リング36、37及び連結プレート38のボルト孔に挿通させ、その先端にナット40を締結することで第1と第2の円周リング36、37と連結プレート38を結合している。第2の円周リング36の垂直片36bに設けるねじ部付きボールベアリング22aも前記と同じ手段で固定される。また、各連結プレート38には、係合孔35を有する吊りピース31が設けられている。
【0030】
第2実施例において、図7に示すように第1、第2の円周リング36、37の内側に定着ナット14を回転自在に支持したうえ、図8(b)に示すように定着ナット14の一端側(図8bの右端側)が上部側になるように傾斜させて吊りピース31で吊上げるとき、定着ナット14の下端側の端面には、第1円周リング36の垂直部36bに設けたねじ部付きボールベアリング22aが回転自在に接しているので、この状態で定着ナット14は斜め下方に荷重が作用するがナット取付け治具から脱出することがなく、傾斜状態で安定して回転自在に保持できる。
【0031】
したがって、第2実施例によっても、定着ナット14を定着ブロック19(図5bに示す)におけるねじ端部に傾斜して対峙させることができ、ボールベアリング24を介してナット荷重が円周リング25に作用した状態で定着ナット14を回転させ定着ねじ部13に容易にねじ込むことができる。定着ナット14を定着ブロック19に締結した後は、ナット取付け治具を斜め下方に移動させることで該定着ナット14から容易に離脱することができる。
【0032】
定着ナット14を斜材ケーブル3の両端(つまり、主塔1側または主桁2側)に設ける場合は、前記緊張用のジャッキを主塔1側に設けて施工してもよいし、主桁2の定着部側に設けて施工してもよい。なお、図では、主桁2側に定着ナット14を設ける場合を示している。また、斜材ケーブル3を主桁2側の定着部で緊張させてプレストレスを導入した後、斜材ケーブル管内にグラウトを充填注入してグラウトキャップで注入孔を閉塞する点は従来と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)は、本発明の第1実施例に係る斜材定着ナット取付け治具の断面図、(b)は、同図(b)のA−A断面図である。
【図2】本発明に係る定着ナットと円周リングの分離した斜視図である。
【図3】本発明に係る定着ナットと円周リングを一体化した斜視図である。
【図4】本発明が適用される斜張橋の全体概要の1例を示した図である。
【図5】(a)は、本発明適用される斜張橋の桁を桁長手方向に断面して示した図、(b)は、本発明の斜材定着ナット取付け治具が適用される斜張ケーブルの桁側の定着構造を示す断面図である。
【図6】(a)は、図5に示す斜張ケーブルの主塔側の定着構造を示す断面図、(b)は、斜張ケーブルの断面図である。
【図7】(a)は、本発明の第2実施例に係る斜材定着ナット取付け治具の断面図、(b)は、同図(b)のC−C断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第2実施例に係る斜材定着ナット取付け治具の側面図、(b)は、斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 主塔
2 主桁
3 斜材ケーブル
4 空胴部
5 隔壁
6 上部スラブ
7 隆起部
8 定着具嵌入孔
10 定着具
11 段付き座ぐり部
12 支圧板
13 定着ねじ部
14 定着ナット
14a 雌ねじ
15 塔上定着具
15a 定着ブロック
16 嵌合穴
17 上側段付き座ぐり部
18 支圧板
19 定着ブロック
20 トランペット管
21 タップ穴
22 ねじ部付きボールベアリング
23 凹部
24 ボールベアリング
25 円周リング
25a 分割部材
26 円周溝
27 連結片
28 ボルト孔
29 ボルト
30 ナット
31 吊りピース
32 吊上げ索
33 PC鋼材
34 被覆材
35 係合孔
36 第1円周リング
36a 水平部
36b 垂直部
37 第2円周リング
38 連結プレート
39 ねじ部
40 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜張橋の塔と桁の間に架け渡した斜材ケーブルの端部に設けてある定着ブロックを、前記塔または桁の斜材ケーブル定着部に設け、前記斜材ケーブルをその延長方向に牽引緊張した状態で前記定着ブロックのねじ部に定着ナットを螺合させるようにした斜材ケーブル緊張装置における前記定着ナットの取付け治具であって、前記定着ナットの外周面に、ねじ部付きボールベアリングを介して前記定着ナットを回転自在に支持する円周リングを配置すると共に、前記円周リングを介して前記定着ナットを回転自在に吊上げ保持可能に設けたことを特徴とする斜張橋における斜材定着ナット取付け治具。
【請求項2】
請求項1記載において、前記定着ナットの外周面にタップ穴を設けてこれに前記ねじ部付きボールベアリングのねじ部を締結し、前記円周リングは、前記ボールベアリングが嵌合する円周溝を内周縁に有すると共に、吊上げ機器で吊上げる吊りピースを有し、かつ、分割可能に構成したことを特徴とする斜張橋における斜材定着ナット取付け治具。
【請求項3】
請求項1記載において、前記円周リングを、連結部材により連結してなる第1と第2の円周リングから構成し、第1の円周リングの断面はLであってその直角の各部にねじ部付きボールベアリングを配設することで、該ボールベアリングを前記定着ナットの外周面と一側端面に接触させ、第2の円周リングは前記定着ナットの外周面と接触させていることを特徴とする斜材定着ナット取付け治具。
【請求項4】
斜張橋の塔と桁の間に架け渡した斜材ケーブルの端部に設けてある定着ブロックを、前記塔または桁の斜材ケーブル定着部に設け、前記斜材ケーブルをその延長方向に牽引緊張した状態で前記定着ブロックのねじ部に定着ナットを螺合させるに際し、前記定着ナットの外周面に、ねじ部付きボールベアリングを介して前記定着ナットを回転自在に支持する円周リングを配置したうえ、前記円周リングを吊上げ機器で吊上げて定着ナットを傾斜させた状態で定着ブロックのねじ端部に対峙させベアリングにナット荷重が作用した状態で定着ナットを回転させ、定着ブロックの部に嵌合させることを特徴とする斜張橋における斜材定着ナットのセット方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−112171(P2006−112171A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302502(P2004−302502)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(000103769)オリエンタル建設株式会社 (136)
【Fターム(参考)】