説明

断熱容器

【課題】 外スリーブの貼合せ個所に設けた変形用片部を確実に断熱把持部に変形することができる断熱容器を提供する。
【解決手段】容器本体の胴部壁外周面に筒体の外スリーブを外嵌して上下の一方を固定し、前記外スリーブには外周に沿って上下に延びるスリット群からなるスリット形成区間部を形成し、該スリット形成区間部を除いた個所に収縮変形フィルムを貼り付けて、該フィルムの収縮変形により外スリーブを圧縮変形させる断熱容器において、外側貼合せ部の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、外側貼合せ部に形成された変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収縮変形フィルムを用いて、容器の扁平な胴部の一部を外方へ突出させて断熱把持部に変形させることができる断熱容器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の胴部壁外周面に外スリーブをスライド可能に外嵌して上下いずれか一方を固着すると共に、上記外スリーブを上下方向に圧縮して外スリーブに設けた複数のスリット形成区間部を外スリーブの外方に突出する断熱把持部に形成する断熱容器として、本出願人は、人の力などを用いて前記外スリーブを押し上げたり、押し下げたりすることでスリット形成区間部を断熱把持部に変形させる構造として特開2006−44723号や特開2006−160346号を提案し、相応の成果を挙げている。
一方、熱収縮フィルムを用いた構成として、特開2007−137468号の断熱性発現粘着ラベルが開示されているが、熱収縮による変形を横方向H形の切目線で吸収する構成となっており、ラベルにしか適用できないという欠点があった。
そこで本出願人は、WO2009/054110を提案しており、図19で示すように、カップ状容器1の容器本体2の胴部壁3の外周面に筒体の外スリーブ5を容器本体2にスライド可能に外嵌し、外スリーブ5の上下いずれか一方(図示例では上方)を固定しており、前記外スリーブ5は、その高さ方向の一定範囲にわたって縦向きに延びるスリット7群からなり、隣接する一対のスリット7により短冊状の片部15を形成するスリット形成区間部11を有している。
上記外スリーブ5の内壁面には、図17及び図18に示すように収縮変形フィルム20が取り付けられている。
即ち、収縮変形フィルム20は、外スリーブ5の内壁面で前記スリット形成区間部11を超えた上方に上部21が接着剤などで固着され、スリット形成区間部11を覆う中間部22は固着されず、前記スリット形成区間部11を超えた下方に下部23が固着されている。
そして、前記収縮変形フィルム20の中間部22を収縮させることで外スリーブ5のスリット形成区間部11を上下方向に圧縮し前記短冊状の片部15を外スリーブ5の外方へ突出するように折り曲げて断熱把持部16を形成可能としており、これは外スリーブ5の貼合せ個所10においても同様である。
【0003】
前記外スリーブ5は、図17及び図18に示す展開時の長手方向の両端に筒体の貼合せ個所10となる内側貼合せ部10bと外側貼合せ部10aとが形成されており、前記スリット形成区間部11に前記外側貼合せ部10aが含まれており、前記内側貼合せ部10bには前記外側貼合せ部10aに形成された短冊状の片部(説明の便宜上15'とする)に対応する切欠部10cが形成されており、前記内側貼合せ部10bは、上記切欠部10cを除いた個所で前記外側貼合せ部10aの内側に貼り合わされる構造となっている。
これにより、収縮変形フィルム20として直接に熱収縮フィルムを用い、またはマイクロ波を用いて間接的に加熱する収縮フィルムを用いて前記スリット形成区間部11の短冊状の片部15および前記短冊状の片部15'を断熱把持部16に変形させることができる。
【0004】
更に、外スリーブ5の外側貼合せ部10aの短冊状の片部15’に対応するように内側貼合せ部10bに切欠部10cを設けているので、外側貼合せ部10aに形成された短冊状の片部15’の裏面に対応する収縮変形フィルム20の中間部22は、前記内側貼合せ部10bの切欠部10cに整合するので内側貼合せ部10bの表面と接することがなく、外側貼合せ部10aに形成された短冊状の片部15’とも内側貼合せ部10bの表面とも接着されずにフリーな状態に保持される(図20参照)。
そして、加熱により収縮変形フィルム20が収縮する際に、筒体となった外スリーブ5のスリット形成区間部11に対応する中間部22はすべての周囲において貼り付けられずフリーの状態となっているので、確実に収縮することができ、外スリーブ5の短冊状の片部15を図19の扁平な待機状態から図21の短冊状の片部15’を上下に圧縮させて、く字状に突出した断熱把持部16に変形することができ、相応の成果を挙げている。
なお図中、8は山折り線、8’は短冊状の片部15’に形成された山折り線、9は谷折り線、9’は短冊状の片部15’に形成された谷折り線、19aは外スリーブ5の内側貼合せ部10bの表面に形成された半切り状の点線などからなる接着補助用罫線部、19bは収縮変形フィルム20で前記接着補助用罫線部19aに対応する個所に設けられてヒートシール等により強固な接着を行うための溝、スリットまたは窪んだ谷部などからなる表面積が広く形成された接着用補助部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2009/054110 図11〜図13参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外スリーブ5は、収縮変形フィルム20の収縮で上下方向に圧縮されるため、容器1の胴部壁3が傾斜面の場合、図15(d)で示すように、胴部壁3の外周面に対して外スリーブ5との間にクリアランスcを設けておき、外スリーブ5の圧縮時に略垂直方向Vに上昇する外スリーブ5の下端が胴部壁3の外周面によって遮られずに変形しうるように設定する必要がある。
従来構造では、前記外スリーブ5の貼合せ個所10では、他の個所に比べて二倍の厚みとなるが、切欠部10cを設けた場合、外側貼合せ部10aに形成された短冊状の片部15’は、胴部壁3との間に本来のクリアランスcに加えて切欠部10cの隙間sが増える(図15(a)参照)。
そのため外スリーブ5が圧縮方向(上向き)に変形すると、通常の短冊状の片部15の山折り線9は内向きの力が加わってもクリアランスcは僅かである(図15(d)参照)ので、圧縮時に山折り線8が胴部壁3に衝合しても反発して外向きに突出する変形を行うが、外側貼合せ部10aに形成された短冊状の片部15’の山折り線8’は、前記図15(a)の場合、クリアランスcに隙間sが加わって胴部壁3までの距離が長くなり、また素材の性質などにより内向きの力が加わると内折れしてしまい、図22(a)のように折れ線以外の個所で座屈変形したり、図22(b)のように山折り線が谷折り線のように逆に内向きに折れ曲がって貼合せ個所10の短冊状の片部15’だけがく字状に変形できない現象が生じることがある。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その主たる課題は、筒状となる外スリーブの外側貼合せ部に形成された片部の山折り線を確実に外向きに折り曲げることができるようにした断熱容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
容器本体の胴部壁外周面に筒体の外スリーブを外嵌し上下いずれか一方を固定すると共に、前記外スリーブの外周に沿って高さ方向の一定範囲にわたってスリット群からなるスリット形成区間部を形成してなり、
前記外スリーブの内壁面に、前記スリット形成区間部を超えた上方に上部が固着され、スリット形成区間部を覆う中間部は固着されず、前記スリット形成区間部を超えた下方に下部が固着される収縮変形フィルムを取り付け、
前記収縮変形フィルムを収縮させて前記スリット形成区間部を上下方向に圧縮し前記左右に隣接するスリット間に形成される変形用片部を外スリーブの外方へ折り曲げて断熱把持部を形成してなり、
前記外スリーブが、展開時の長手方向の両端に筒体の貼合せ個所となる内側貼合せ部と外側貼合せ部とを形成してなる断熱容器において、
前記外側貼合せ部の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、外側貼合せ部に形成された変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
容器本体の胴部壁外周面に筒体の外スリーブを外嵌し上下いずれか一方を固定すると共に、前記外スリーブの外周に沿って高さ方向の一定範囲にわたってスリット群からなるスリット形成区間部を形成してなり、
前記外スリーブの内壁面に、前記スリット形成区間部を超えた上方に上部が固着され、スリット形成区間部を覆う中間部は固着されず、前記スリット形成区間部を超えた下方に下部が固着される収縮変形フィルムを取り付け、
前記収縮変形フィルムを収縮させて前記スリット形成区間部を上下方向に圧縮し前記左右に隣接するスリット間に形成される変形用片部を外スリーブの外方へ折り曲げて断熱把持部を形成してなり、
前記外スリーブが、展開時の長手方向の両端に筒体の貼合せ個所となる内側貼合せ部と外側貼合せ部とを有してなる断熱容器において、
該内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか一方が前記スリット形成区間部に含まれて変形用片部を有しており、内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか他方に前記一方に形成された変形用片部に対応する切欠部が形成され、
前記変形用片部が形成された内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか一方の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着されていることを特徴とする。
また、請求項3の発明では、
前記変形用片部に該変形用片部を外方へ折曲げるための山折り線が形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記外側貼合せ部に変形用片部が形成され、前記内側貼合せ部に切欠部が形成されており、
前記内側貼合せ部には前記変形用片部の内面に対応する個所に、内側貼合せ部の上部または下部に連接して前記外側貼合せ部の変形用片部の山折り線の対応個所に重なる受片部と、前記外側貼合せ部の変形用片部に対応した個所で上記受片部を除いた個所に形成した切欠部とを設けてなることを特徴とする。
請求項5の発明では、
前記容器本体の胴部壁の外周面が垂直に対して所定角度傾斜する傾斜面に設定され、筒体の外スリーブが前記傾斜面より小さい角度で傾斜する傾斜面に設定されて、外スリーブと容器本体の胴部壁外周面との隙間が、外スリーブの圧縮方向に向かって徐々に狭くなっており、
外側貼合せ部に形成された山折り線が、外スリーブと容器本体の胴部壁外周面との隙間が狭くなる側に配置されていることを特徴とする。
請求項6の発明では、
前記外スリーブに設けられた変形用片部が、変形用片部を仕切るスリットの上端およびまたは下端に接続されて横切る谷折れ線と、該谷折れ線と所定長さ離間して上記変形用片部を中途位置で横切る山折り線とを有していることを特徴とする。
請求項7の発明では、
前記外側貼合せ部に1つの変形用片部を形成し、該変形用片部の山折り線が変形用片部の上半分の領域内に配置されていることを特徴とする。
請求項8の発明では、
前記山折り線が、点線状に穿設した折曲線または外表面側をハーフカットした折曲線からなっていることを特徴とする。
請求項9の発明では、
前記内側貼合せ部で、切欠部および受片部を除いた個所に、収縮変形フィルムの接着を補助する溝状の接着補助用罫線部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この請求項1の発明では、外スリーブを変形させてスリット形成区間部に形成された片部を外方へ突出させて断熱把持部とする際に、外側貼合せ部の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、外側貼合せ部に形成された変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着することで、外側貼合せ部に形成された変形用片部を除き外側貼合せ部と内側貼合せ部とをほぼ隙間無く密着することができる。
これにより、内側貼合せ部の外表面には外側貼合せ部の収縮変形フィルムのみが接着されて外側貼合せ部と収縮変形フィルムとの間に隙間が生じることが無いようにして、外側貼合せ部に形成された変形用片部を確実に外向きに突出するように変形させることができる。
請求項2の発明では、内側貼合せ部と外側貼合せ部のいずれか一方に変形用片部を設け、他方に切欠部を設けることで、変形用片部が内側貼合せ部にあっても内側貼合せ部の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、内側貼合せ部に形成された変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着することで、外側貼合せ部の切欠部を介して外向きに突出変形することができる。また、変形用片部が外側貼合せ部に形成された場合は、内側貼合せ部に形成された切欠部を除いて外側貼合せ部と内側貼合せ部とをほぼ隙間無く密着して変形用片部を外向きに突出変形することができる。
また、請求項4の発明では、外側貼合せ部に形成されたスリット形成区間部の変形用片部の山折り線に対応して、その内面で重なる位置に前記外側貼合せ部に貼合されない受片部を内側貼合せ部に設けることで、外スリーブの圧縮時に山折り線に内向きの力が作用しても受片部で衝合して受け、同時に切欠部により変形用片部の変形を促して、一層確実に山折り線を外向きに突出するように変形させることができる。
受片部は、外スリーブの圧縮時に容器の胴部壁と外スリーブとのクリアランスがより狭い個所に設ければ山折り線を更に確実に外向きに突出するように変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1のカップ状容器の変形後の斜視図である。
【図2】実施例1の外スリーブの展開図である。
【図3a】実施例1の外スリーブのスリット形成区間部の配置の異なる例を示す展開図である。
【図3b】実施例2の外スリーブの展開図である。
【図3c】実施例2の外スリーブの切欠部の配置の別の例を示す展開図である。
【図3d】実施例3の外スリーブの展開図である。
【図4】実施例4のカップ状容器の変形前の斜視図である。
【図5】図4の部分断面図である。
【図6】同カップ状容器の変形後の斜視図である。
【図7】図6の部分断面図である。
【図8】実施例4の外スリーブの展開図である。
【図9】実施例5のカップ状容器の変形後の斜視図である。
【図10】図9の部分断面図である。
【図11】実施例5の外スリーブの展開図である。
【図12】実施例6のカップ状容器の変形前の斜視図である。
【図13】実施例7のカップ状容器の変形後の斜視図である。
【図14】実施例7の外スリーブの展開図である。
【図15】(a)は受片部を有しない従来構造の外スリーブの貼合せ個所の拡大断面図、(b)は受片部を有しない実施例1の外スリーブの貼合せ個所の拡大断面図、(c)は受片部を上部に設けた実施例5の貼合せ個所の拡大断面図、(d)は外スリーブの貼合せ個所以外の個所の拡大断面図である。
【図16】容器が角形の実施例8の断熱容器を示した斜視図である。
【図17】従来例の外スリーブの展開図である。
【図18】図17の反対側から見た外スリーブの展開図である。
【図19】従来例のカップ状容器の変形前の斜視図である。
【図20】図19の部分断面図である。
【図21】従来例のカップ状容器の変形後の部分断面図である。
【図22】(a)は片部が内折れした一例の部分断面図、(b)は同じく内折れした他の例の部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
外スリーブの内壁面にスリット形成区間部を覆う中間部を除いて貼り付けられる収縮変形フィルムを、外スリーブの貼合せ個所の変形用片部に対応する個所を除き、上記変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着することで、貼合せ個所の変形用片部の外方への突出変形を実現した。
以下に、この発明の断熱容器をカップ状容器に適用した実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
[カップ状容器]
図1に示す実施例1のカップ状容器1は、内面が耐水加工された胴部壁3と底部壁(図示省略)を有するカップ状の容器本体2と筒体の外スリーブ5とから形成される。
外スリーブ5は、高さ方向の一定範囲にわたって複数形成されたスリット7群からなるスリット形成区間部11が形成されており、前記胴部壁3の外周面を覆うように外嵌されている。
【0012】
本実施例で、カップ状容器1は、紙材のみで形成されているもの、紙材に合成樹脂フィルムをラミネートしたもの、あるいは紙材に合成樹脂を含浸させたもの、さらには紙材と合成樹脂フィルムや金属箔を積層したもの、合成樹脂などで、カップ形状をしたものをいい、キャップの有無は問わない。
この発明での容器は、カップ形状に限らず、任意の形状であってもよい。
【0013】
[外スリーブ]
外スリーブ5は、図2に展開図を示しており、紙製又は合成樹脂ラミネート紙等の紙を基材とするシート材で、容器本体2の断面テーパ状の胴部壁3の外周面に沿って嵌合するように容器本体2の胴部壁3の形状に沿って僅かなクリアランスを隔てた断面テーパー形状の筒体となって容器本体2に外嵌されている(図15(b)参照)。
前記外スリーブ5は、その上部が容器本体2の開口上部のカール部13近傍位置まで延びその上端部が容器本体2に接着剤等で固定されており、下部が容器本体2の中途位置乃至下端寄りの位置まで延びている。
上記固定手段は、接着でもよいし、係止手段を用い、あるいは摩擦力その他適宜の係止手段を用いてもよい。
【0014】
容器本体2の胴部壁3は、前述のように上向きに漸次拡径する断面テーパ状の筒体に設定されている。
一方、外スリーブ5の筒体は、前記胴部壁3の外周面と同様に上向きに漸次拡径する断面テーパ状に形成されており、下端で胴部壁3の外周面との間にクリアランスcが生じる形態となっている(図15(d)参照)。
外スリーブ5と胴部壁3の外周面との間のクリアランスcは、外スリーブ5の下端で最も広く、外スリーブ5の圧縮方向、本実施例では上方向に向かって徐々に隙間が狭くなって上端で密着しているので、外スリーブ5の圧縮時に外スリーブ5の下端が胴部壁3の外周面に沿ってスムーズに上昇することができる。
外スリーブ5は、圧縮による上限位置で外スリーブ5の下部が胴部壁3の外周面にほぼ接するようになることが好ましい。
なお、胴部壁3が垂直の場合には、外スリーブ5も摺動可能な極く僅かな隙間を隔てて略平行に配置されていてもよい。
【0015】
[スリット形成区間部]
外スリーブ5のほぼ中間部には、縦方向で同じ長さに延び且つ略等間隔に配置されるスリット7が全周にわたって設けられており、隣接する一対のスリット7、7間に略短冊状の変形用片部15が仕切られたスリット形成区間部11が形成されている。
本実施例では、スリット7が下向きに略平行(展開時に略放射状)に延びる直線の裁断線からなって筒状の外スリーブ5を一周しているが、円弧状、波形状などの曲線やこれらの組合せなどであってもよい。
【0016】
[変形用片部]
上記隣接するスリット7間には、ほぼ同じ横幅を有して帯状に延びる変形用片部15が形成されている。
本実施例では、変形用片部15は同じ高さで連続して並んで筒状の外スリーブ5を周回しているが、この発明では、外スリーブの同じ高さ位置の複数個所に部分的に変形用片部15が形成されるものでもよい。
本実施例では外スリーブ5の貼合せ個所10に後述のように変形用片部が形成される。
【0017】
[内側貼合せ部、外側貼合せ部]
前記外スリーブ5は、図2に示すように、展開状態で略扇形状となっており、その左右両端部で、容器本体2に巻き付けた際に内側に重なる内側貼合せ部10bと、外側に重なる外側貼合せ部10aとが形成されている。
本実施例ではスリット形成区間部11に形成される多数の変形用片部15は全て同一形状で並列に並んでおり、また内側貼合せ部10bと外側貼合せ部10aは変形用片部15と同じ横幅に設定されている。
【0018】
そして、外側貼合せ部10aは、内側に他のスリット7と同じ1つのスリット7aを有し、外側にはスリットの代わりに外スリーブ5の端縁7a’とした1つの変形用片部15aが形成される(説明の便宜上、各符号にaを付した)。
なお、本実施例では外側貼合せ部10aに形成される変形用片部15aは1つの場合を例示したが、複数並んで設けてもよい。
本実施例では内側貼合せ部10bには変形用片部を設けない。
しかし、この発明では、後述のように外側貼合せ部10aに切欠部31を設ければ、内側貼合せ部10bに変形用片部15bを設けることができる(図3c参照)。
【0019】
[収縮変形フィルム]
前記外スリーブ5の内壁面には、収縮変形フィルム20が取り付けられている。
該収縮変形フィルム20は、緊張状態でその上部21が前記スリット形成区間部11の上方に固着され、その下部23がスリット形成区間部11の下方に固着されており、中間部22はスリット形成区間部11が形成された中間部分とは固着されず自由な状態となっている。
【0020】
また、この実施例では、外側貼合せ部10a及び内側貼合せ部10bの内壁面に取り付けられる収縮変形フィルム20の固着個所(図2で斜線で示した。以下の図でも同じ)は、外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aに対応する非接着個所の中間部22を除き、上部21aは変形用片部15aの上端近傍まで固着され、下部23aは変形用片部15aの下端近傍まで接着剤を塗布して接着した密着延長部23Aを形成している。
これにより、収縮変形フィルム20の上部21と下部23とは、外側貼合せ部10aの変形用片部15aに対応する個所を除き、その上端近傍および下端近傍まで固着される。
【0021】
即ち、図示例ではフィルム貼付装置の関係で収縮変形フィルム20の上部21、21aは、変形用片部15、15aの上端近傍まで固着されているので、前記上部21aには密着延長部を設ける必要がないが、下部23、23aは変形用片部15、15aの下端から比較的長く離間させており中間部22としている。
しかし、それでは外スリーブ5の貼合せ個所10での変形用片部15aが正確に変形しないことが偶にあるので、本実施例では収縮変形フィルム20の中間部22の内、外側貼合せ部10aの変形用片部15aと重なる対応個所は接着せずに中間部22とし、下部23aは変形用片部15aの下端となるスリット7aの下端近傍まで接着等で固着した密着延長部23Aを形成している。
【0022】
そのため貼合せ個所10において収縮変形フィルム20は、変形用片部15aの対応個所を除いて外側貼合せ部10aに一体に固着されるので、無駄な隙間が生ずることなく、圧縮時に変形用片部15aの内折れを防止することができる(図15(b)参照)。
なお、内側貼合せ部10bは、前記変形用片部15aの圧縮変形の障碍とならないようにほぼ平坦状態となることが好ましい。例えば、図2に示すように内側貼合せ部10bに圧縮変形分を吸収しうる長さの切欠31bを設けたり、後述の図3aに示すように内側貼合せ部10bの内面に収縮変形フィルム20を貼り付けないなど、内側貼合せ部10bの平坦面を維持するような構成を採ればよい。
【0023】
本実施例では、上部21は変形用片部15の上端近傍まで固着されている場合を示したが、図3aに示すように上部21が変形用片部15、15aから離れている場合には、貼合せ個所10で変形用片部15aの上端となるスリット7aの上端近傍まで接着等で固着した密着延長部21Aを形成すればよい。
また、上部21と下部23の両方が変形用片部15、15aと離れている場合には、図示しないが、貼合せ個所10で上部21aと下部23aのそれぞれに前記延長密着部21Aおよび23Aを形成すればよい。
【0024】
本実施例の前記外スリーブ5は、後述の実施例2と同様に、貼合せ個所10で前記内側貼合せ部10bの上に外側貼合せ部10aを重ね、変形用片部15aと重なる個所を除き、外側貼合せ部10aの内面(収縮変形フィルムの取付面)の上部を内側貼合せ部10bの表面の上部に接着し、裏面の下部を内側貼合せ部10bの表面の下部に接着して筒体としている。
【0025】
上記収縮変形フィルム20は、熱収縮変形時に外スリーブ5を外方へ突出させる収縮力を有すると共に、収縮後に収縮形状を維持する強度を有する素材が好ましく、本実施例の場合は、収縮率70%のPET樹脂フィルムを用いた。
ここでPET樹脂フィルムは一軸延伸フィルムが望ましいが、この発明では上記フィルムの種類や収縮率は一例であってこれに限定されるものではない。
また、収縮後の収縮形状の維持は前記収縮変形フィルム20の強度だけによらず、外スリーブ5と容器本体2の胴部壁3との摩擦力を利用してもよい。
【0026】
そして、前記収縮変形フィルム20が収縮すると、本実施例では、外スリーブ5の上部が容器本体2の胴部壁3に固定されているので、スリット形成区間部11は下部が上方に押し上げられ、これに伴い隣接するスリット7、7間の変形用片部15a、15bが、外向きに突出して胴部壁3との間に断熱用の空間を形成し、断熱把持部16が形成される。
【0027】
上記実施例では、外スリーブ5の上部を容器本体2の胴部壁3の上部に固定した場合を例示したが、外スリーブ5の下部を容器本体2の胴部壁3に固定してもよい。
その場合は、胴部壁3及び外スリーブ5は断面が垂直か、または実施例とは逆に上方に向かって漸次幅狭となる断面テーパ状となる。
そして、図示しないが、スリット形成区間部11は上部が下方に押し下げられ、これに伴い隣接するスリット7、7間の変形用片部15が外向きに突出し略く字状に屈曲して、断熱把持部16が形成される。
【0028】
また、加熱により収縮変形フィルム20を変形させる場合、カップ状容器1を包装するシュリンクフィルムの熱収縮温度を前記収縮変形フィルム20の熱収縮温度より低く設定しておけば、変形前の形態でカップ状容器を包装することができ、使用時に加熱することで断熱把持部16を形成することができる。
この断熱把持部16の形成時期は、上記の容器使用時に限らず、任意の段階で行うことができる。
例えば、前記シュリンクフィルムの熱収縮温度を前記収縮変形フィルム20の熱収縮温度以上にしておけば、カップ状容器1の包装時に同時に断熱把持部16を形成することができる。
【実施例2】
【0029】
図3bは、外スリーブ5の異なる実施例2を示す。
外スリーブ5は、外側貼合せ部10aまたは内側貼合せ部10bのいずれか一方に、切欠部31を設けている。
図3bでは、内側貼合せ部10bに切欠部31を設けた場合を示す。
【0030】
[切欠部]
本実施例では、前記内側貼合せ部10bに、前記外側貼合せ部10aに形成される変形用片部15aに対応する個所に切欠部31が形成される。
切欠部31は、内側貼合せ部10bに接する変形用片部15bの外側のスリット形成個所7b’に沿って切り欠かれ、略コ字状の切欠となり、内面の収縮変形フィルム20も同様に切り欠かれている。
切欠部31の長さは上記実施例に限定されず、変形用片部15bの変形時の圧縮長さ以上あることが好ましい。
【0031】
また、内側貼合せ部10bに切欠部31を設けることで、内側貼合せ部10bに対応する収縮変形フィルム20は収縮を行わないので、内側貼合せ部10bには前記実施例のような延長密着部を形成する必要がない。
そこで、実施例2では、外側貼合せ部10aの内壁面に取り付けられる収縮変形フィルム20の固着個所は、上部21、21a、21bが変形用片部15、15a、15bの上端近傍まで固着され、下部23、23bが変形用片部15、15bから離間した位置で固着されている。
そして、外側貼合せ部10aでの下部23aに、変形用片部15aの下端近傍まで接着剤を塗布して接着した密着延長部23Aが形成されている。
【0032】
そして、外スリーブ5は、貼合せ個所10で前記内側貼合せ部10bの上に外側貼合せ部10aを重ねて、変形用片部15aと重なる個所を除き、外側貼合せ部10aの内面に対応する収縮変形フィルム20を切欠部31の上部に上部接着H1し、下部に下部接着H2して筒体としている(図15(b)参照)。
ここで部接着H1および上下部接着H2個所は、外側貼合せ部10bの収縮変形フィルム20との接着個所に合わせて接着することが好ましい。
【0033】
これにより、外側貼合せ部10aの変形用片部15aは、その内面に取り付けられた収縮変形フィルム20の収縮により貼合せ個所10の下部を引き上げ変形用片部15aを外方へ突出するように変形させることができる。
その他の構成は前記実施例1に準じるのでその説明を省略する。
上記実施例2では、内側貼合せ部10bに切欠部31を設けたが、図3cに示すように、内側貼合せ部10bに変形用片部15bを形成し、外側貼合せ部10aに内側貼合せ部10bの変形用片部15bに対応する個所に切欠部31’を形成してもよい。
【0034】
この場合、変形用片部15bの上に切欠部31’が重なって、内側貼合せ部10bと外側貼合せ部10aとが貼合されるが、同様に内側貼合せ部10bの変形用片部15bは、その内面に取り付けられた収縮変形フィルム20の収縮により貼合せ個所10の下部を引き上げ変形用片部15bを外方へ突出するように変形させることができる。
【実施例3】
【0035】
図3dは、外スリーブ5の変形用片部15を収縮変形フィルム20の収縮で圧縮して外方へ突出変形させる際に折曲げ起点となるガイド用の罫線を設けた実施例3を示す。
図示例の場合、変形用片部15の中途個所にガイド用罫線の一例としての山折り線8を設けている。
前記罫線は、点線状に穿設した折曲線や、外表面側のみを切断したハーフカットなど公知の折り曲げ線が用いられる。
山折り線8にハーフカットを用いれば、折り曲げを容易に行うことができる。
【0036】
ガイド用罫線としては、山折り線8に限らず、谷折り線または後述のように山折り線と谷折り線との組み合わせて用いてもよい。
また、変形用片部15は外側貼合せ部10aの変形用片部15a(または内側貼合せ部10bの変形用片部15b)の各個に一律に設けるものであっても、その一部に設けるものであってもよい。
更に、ガイド用罫線は1つの変形用片部15に複数設けてもよく、その形状や配置も特に限定されない。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【実施例4】
【0037】
図4から図8には、切欠部31と受片部30とを組み合わせた外スリーブ5を有する実施例4のカップ状容器1を示す。
本実施例4の外スリーブ5はスリット7が円弧形状からなっている。
また、隣接するスリット7間に形成される変形用片部15には、該変形用片部15を形成する一対のスリット7の上端または下端に接続されて変形用片部15を横切る谷折れ線9と、該谷折れ線9と所定長さ離間して上記各変形用片部15を中途位置で横切る山折り線8とが形成されている。
前記谷折り線9の位置を隣接する変形用片部15間で交互に変形用片部15の上端と下端に変えて、圧縮変形時の隣接する突出個所が上下に異なるように配置している。
【0038】
[受片部]
また、本実施例4では、内側貼合せ部10bに、外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aと対応する個所で上部に切欠部31を、下部に受片部30を形成した構成からなっている(図8参照)。
即ち、外スリーブ5には、前記外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aの圧縮変形前の山折り線8aに対応する個所で内側に重なる位置に受片部30が設けられている。
【0039】
上記受片部30は、内側貼合せ部10bに形成されるものであり、内側貼合せ部10bに隣接する変形用片部(説明の便宜上、15cとする。)の外側のスリットの一部7bにより該変形用片部15cと切り離されている。
ここで、受片部30は、外スリーブ5の変形用片部15、15aと胴部壁3の外周面との間のクリアランスcが広い個所、即ち、図示例では外側貼合せ部10aの変形用片部15aの下側に対応する個所に重なるように配置される(図7参照)。
【0040】
この受片部30は、外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aの山折り線8bが下部に近い場合には内側貼合せ部10bの下部と連接し(図8参照)、後述の実施例5のように内側貼合せ部10bの上部に近い場合には上部と連設する(図11参照)ことで、切欠部31を広く設定することができる。
変形用片部15aに対応する個所で中央位置にある場合には内側貼合せ部10bの上部と連設することが胴部壁3の外周面とのクリアランスcが狭くなるので好ましい。
【0041】
[切欠部]
前記内側貼合せ部10bには、前記外側貼合せ部10aに形成される変形用片部15aに対応する個所で受片部30を除いた個所に切欠部31が形成される。
切欠部31は、前記受片部30に隣接してその上部または下部に配置されており、内側貼合せ部10bに接する変形用片部15bの外側のスリットで前記受片部30を形成する一部7bを除いたスリット形成個所7b’に沿って切り欠かれ、略コ字状の切欠となっている。
換言すると、スリット形成個所7b’と前記スリットの一部7bとにより、通常のスリット7に相当し、内側貼合せ部10bに隣接する変形用片部15cのスリットとして機能する。
【0042】
また、本実施例では、外側貼合せ部10aの内壁面に取り付けられる収縮変形フィルム20は、図3bや図3dと同様に、外側貼合せ部10aでの下部23aに密着延長部23Aを形成している。
【0043】
[接着補助用罫線部]
上記内側貼合せ部10bの表面で、上記受片部30および切欠部31を除いたその上方個所17および下方個所18には、半切り状の点線からなる接着補助用罫線部19aが上下に複数整列して配置されている。
一方、前記内側貼合せ部10bの上に重なる外側貼合せ部10aの裏面の収縮変形フィルム20には、前記接着補助用罫線部19aに対応する位置に溝、スリットまたは窪んだ谷部などのように表面積が広く形成された接着用補助部(図示省略)を設けることが好ましい。
そこで、貼合せ個所10で接着面となる内側貼合せ部10bの前記上方個所17と下方個所18の外表面とは、外側貼合せ部10aの裏面に対応する収縮変形フィルム20と接してヒートシール等により上部接着H1、下部接着H2されるが、その際に多数の接着補助用罫線部19の溝の上に前記フィルム20の接着用補助部19bが重なって溶着されるので、接着力を高めることができる。
なお、このようにして筒状に形成された外スリーブ5は、その上部内面が胴部壁3の上部に接着H3されているが、カール部13に巻き込んで固定してもよい。
その他の構成は前記実施例と同様であるので、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【実施例5】
【0044】
次に、図9から図11に示す実施例5のカップ状容器1は、前記実施例4の外スリーブ5の外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aの谷折り線9がスリット7aの上端間に配置され、山折り線8が前記谷折り線9より所定長さだけ下方に配置されている。
また、内側貼合せ部10bには、外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aと対応する個所で山折り線8に対応する上部に受片部30を、下部に切欠部31を形成した構成からなっている。
【0045】
そして、実施例4と同様に、外側貼合せ部10aと内側貼合せ部10bとが二重に重なった貼合せ個所10では、外側貼合せ部10aに形成された変形用片部15aの山折り線9aは内折れ方向に変化しようとすると受片部30と衝合するので、これに反発して外向きに折れ曲がることができる(図15(c)参照)。
その他の構成は前記実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0046】
この場合、山折り線8が実施例4に比して変形用片部15aの上方位置に配置されているので、受片部30も上方位置に配置することができ、外スリーブ5と容器本体2の胴部壁3の外周面とのクリアランスcが実施例1より狭いので、受片部30によって山折り線8の内折れをより確実に防止することができる。
【実施例6】
【0047】
図12に示す外スリーブ5は、スリット7を直線状としたスリット形成区間部11であって、その他の構成は前記実施例5と同一の構成からなっているので、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
図示しないが、実施例4と同様に山折り線8と谷折り線9を配置してもよい。
【実施例7】
【0048】
図13および図14に示す外スリーブ5は、スリット7を直線状としたスリット形成区間部11であって、スリット7間に形成される変形用片部15の中央部に山折り線9のみを有する実施例7を示す。
罫線については、図3dと同様である。
また、本実施例7では、山折り線9は変形用片部15の中央に配置したので、受片部30は上記山折り線9に対応してこれと衝合可能な位置まで延びており、内側貼合せ部10bの上部と連設されている。
上記以外の構成は前記実施例と同様であるので、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
上記各実施例では収縮変形フィルム20として、熱収縮フィルムを用いた場合を例示したが、上記フィルムに代えて、電子レンジのマイクロ波が照射されることにより前記収縮変形フィルム20が収縮し前記スリット形成区間部11を圧縮して外方へ突出させて断熱把持部16を形成するものでもよい。
例えば、アルミ蒸着フィルムなどのサセプターフィルムを用いてもよい。
【0050】
また、収縮変形フィルム20として、形状記憶樹脂からなるフィルムを用いてもよい。
この場合、所定温度の加熱が行われると、伸張状態のフィルムが予め設定されている収縮状態の形態に変化させることができるので、同様にこの発明の収縮変形フィルム20として使用することができる。
【0051】
また、片部に形成される山折り線は、1本の場合を例示したが複数本であってもよい。
山折り線や谷折り線は水平に形成される場合を例示したが、スリットの端部から斜めに延びる線であってもよい。
山折り線が斜めに傾斜する場合、受片部は山折り線の少なくとも半分以上と重なるように形成されることが好ましい。
山折り線が複数ある場合には、一方の山折り線に対応するように受片部を設けてもよい。
【0052】
また、容器本体2の形状は円筒状でなくてもよく図16に示す実施例8のカップ状容器1のように角形のボックス状であってもよく、その場合、外スリーブ5も角筒形状となる。
また、変形用片部15は連続して設けなくてもよく、外周に沿って一定間隔を隔てて配置するものでもよい。その際に山折り線8または山折り線8と谷折り線9は、作動部分となるので、外スリーブ5の外周に沿って一周するように配置する必要がある。その他の構成は前記実施例と同様であり、説明を省略する。
【0053】
各実施例では、収縮変形フィルム20を外スリーブ5の裏面全域に重ねて、所定個所を貼り付けたが、少なくとも外スリーブ5のスリット7を完全に覆って、スリット7間に形成される変形用片部15を変形可能な範囲に部分的に重ねて貼り付けるものであってもよい。
また、各実施例の要素を適宜に組み合わせたものであってもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上記各実施例ではカップ状容器に適用し、その用途は食器や自動販売機の飲料カップなどに用いることができるが、この発明では容器の用途や収納物の種類は特に限定されない。
また、本発明の容器の形状は断面円形のカップ状容器に限らず、断面四角形、楕円形等非円形容器などにも適用できる。
また、容器構成は容器本体と外スリーブの二重構成を示したが、多重構造であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 カップ状容器
2 容器本体
3 胴部壁
4 底部壁
5 外スリーブ
7 スリット
8 山折り線
8a 外側貼合せ部に片部に形成された山折り線
9 谷折り線
9a 外側貼合せ部に片部に形成された谷折り線
10a 外側貼合せ部
10b 内側貼合せ部
10c 切欠部
11 スリット形成区間部
12 上端部
13 カール部
15 片部
15a 外側貼合せ部に形成された片部
16 断熱把持部
17 上方個所
18 下方個所
19 接着補助用罫線部
20 収縮変形フィルム
21 上部
22 中間部
23 下部
30 受片部
31 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の胴部壁外周面に筒体の外スリーブを外嵌し上下いずれか一方を固定すると共に、前記外スリーブの外周に沿って高さ方向の一定範囲にわたってスリット群からなるスリット形成区間部を形成してなり、
前記外スリーブの内壁面に、前記スリット形成区間部を超えた上方に上部が固着され、スリット形成区間部を覆う中間部は固着されず、前記スリット形成区間部を超えた下方に下部が固着される収縮変形フィルムを取り付け、
前記収縮変形フィルムを収縮させて前記スリット形成区間部を上下方向に圧縮し前記左右に隣接するスリット間に形成される変形用片部を外スリーブの外方へ折り曲げて断熱把持部を形成してなり、
前記外スリーブが、展開時の長手方向の両端に筒体の貼合せ個所となる内側貼合せ部と外側貼合せ部とを形成してなる断熱容器において、
前記外側貼合せ部の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、外側貼合せ部に形成された変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
容器本体の胴部壁外周面に筒体の外スリーブを外嵌し上下いずれか一方を固定すると共に、前記外スリーブの外周に沿って高さ方向の一定範囲にわたってスリット群からなるスリット形成区間部を形成してなり、
前記外スリーブの内壁面に、前記スリット形成区間部を超えた上方に上部が固着され、スリット形成区間部を覆う中間部は固着されず、前記スリット形成区間部を超えた下方に下部が固着される収縮変形フィルムを取り付け、
前記収縮変形フィルムを収縮させて前記スリット形成区間部を上下方向に圧縮し前記左右に隣接するスリット間に形成される変形用片部を外スリーブの外方へ折り曲げて断熱把持部を形成してなり、
前記外スリーブが、展開時の長手方向の両端に筒体の貼合せ個所となる内側貼合せ部と外側貼合せ部とを有してなる断熱容器において、
該内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか一方が前記スリット形成区間部に含まれて変形用片部を有しており、内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか他方に前記一方に形成された変形用片部に対応する切欠部が形成され、
前記変形用片部が形成された内側貼合せ部または外側貼合せ部のいずれか一方の内壁面に取り付けられる収縮変形フィルムの固着個所が、変形用片部に対応する個所を除き、変形用片部の上端近傍および下端近傍まで固着されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項3】
変形用片部に該変形用片部を外方へ折曲げるための山折り線が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱容器。
【請求項4】
外側貼合せ部に変形用片部が形成され、内側貼合せ部に切欠部が形成されており、
内側貼合せ部には前記変形用片部の内面に対応する個所に、内側貼合せ部の上部または下部に連接して前記外側貼合せ部の変形用片部の山折り線の対応個所に重なる受片部と、前記外側貼合せ部の変形用片部に対応した個所で上記受片部を除いた個所に形成した切欠部とを設けてなることを特徴とする請求項3に記載の断熱容器。
【請求項5】
容器本体の胴部壁の外周面が垂直に対して所定角度傾斜する傾斜面に設定され、筒体の外スリーブが前記傾斜面より小さい角度で傾斜する傾斜面に設定されて、外スリーブと容器本体の胴部壁外周面との隙間が、外スリーブの圧縮方向に向かって徐々に狭くなっており、
山折り線が、外スリーブと容器本体の胴部壁外周面との隙間が狭くなる側に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の断熱容器。
【請求項6】
外スリーブに設けられた変形用片部が、変形用片部を仕切るスリットの上端およびまたは下端に接続されて横切る谷折れ線と、該谷折れ線と所定長さ離間して上記変形用片部を中途位置で横切る山折り線とを有していることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の断熱装置。
【請求項7】
外側貼合せ部に1つの変形用片部を形成し、
該変形用片部の山折り線が変形用片部の上半分の領域内に配置されていることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の断熱容器。
【請求項8】
前記山折り線が、点線状に穿設した折曲線または外表面側をハーフカットした折曲線からなっていることを特徴とする請求項3から7のいずれかに記載の断熱容器。
【請求項9】
前記内側貼合せ部で、切欠部および受片部を除いた個所に、収縮変形フィルムの接着を補助する溝状の接着補助用罫線部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の断熱容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2011−116411(P2011−116411A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275810(P2009−275810)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】