断熱防湿フィルム
【課題】 施工性に優れ、且つ、高い断熱性能を有する断熱防湿フィルムを提供する。
【解決手段】 ２枚の高分子樹脂フィルム２，３間に形成された断熱層４に粉体断熱材６を充填してなる断熱防湿フィルムであって、２枚の高分子樹脂フィルム２，３が気密性を有し、断熱層４がその延伸方向に平行な面内において複数の区画５に細分化され、断熱層４の各区画５に粉体断熱材６が夫々充填され、断熱層４の各区画５が真空排気され、断熱層４の各区画５の境界部７が気密封止されている。また、粉体断熱材６が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一なガラス質の多孔質球状粒子からなる粉粒体であり、粒径が３〜３０μｍである。
【解決手段】 ２枚の高分子樹脂フィルム２，３間に形成された断熱層４に粉体断熱材６を充填してなる断熱防湿フィルムであって、２枚の高分子樹脂フィルム２，３が気密性を有し、断熱層４がその延伸方向に平行な面内において複数の区画５に細分化され、断熱層４の各区画５に粉体断熱材６が夫々充填され、断熱層４の各区画５が真空排気され、断熱層４の各区画５の境界部７が気密封止されている。また、粉体断熱材６が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一なガラス質の多孔質球状粒子からなる粉粒体であり、粒径が３〜３０μｍである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、建物の壁、床、天井等に使用可能な断熱機能を有する防湿フィルムに関する。
【背景技術】
【０００２】
木造家屋等の建物を建築する際に、建物内への湿気の侵入を防ぐために、内壁材、床材、天井材の内側に防湿フィルムを敷設している。また、建物の壁部、床部、天井部における断熱性を上げるために、一般的に防湿フィルムの一方側に断熱材を敷設する工事が行われている。
【０００３】
建物の壁部、床部、天井部等において、防湿フィルムと断熱材の両方の敷設工事を別々に行う手間を省くため等の理由から、これらを一体化して防湿性能と断熱性能を兼ね備えた断熱材の一方面に防湿フィルムを貼付した構造や、防湿フィルム間に断熱材を挿入した構造等の各種パネル状の断熱防湿フィルムが考案されている（例えば、下記特許文献１〜８参照）。また、これらの断熱防湿フィルムでは、断熱材として、綿状のグラスウールやロックウール等の無機質繊維、板状に加工した発泡樹脂やロックウール等の無機質繊維をバインダーで固化した無機質繊維マット等が使用されている。
【０００４】
【特許文献１】特開２０００−１８６３７９号公報
【特許文献２】特開２０００−３２８６８９号公報
【特許文献３】特開２００１−１０７４８１号公報
【特許文献４】特開２００１−２７１４３７号公報
【特許文献５】特開２００２−１４６９３７号公報
【特許文献６】特開２００２−２９４９４０号公報
【特許文献７】特開２００２−３３９４７４号公報
【特許文献８】特開２００３−２３９４２８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
住宅やビル等の建物の壁部、床部、天井部等を高断熱化する場合、住宅金融公庫の高断熱住宅の規格では、１００〜２００ｍｍ程度の厚さのロックウールが壁や天井等に対して規定されており、熱貫流率が約０．２〜０．５Ｗ／（ｍ２・Ｋ）の断熱性能を有する。
【０００６】
しかしながら、従来の断熱防湿フィルムにおいて、上記住宅金融公庫の高断熱住宅規格並みの断熱性能を実現しようとすれば、断熱材として綿状のグラスウールやロックウール等の無機質繊維を使用した場合では、断熱材の厚みが１００〜２００ｍｍ程度となり、一般の木造住宅に適用する場合に取り扱いに不便なものとなる。逆に、取り扱いに便利なように断熱材の厚みを薄くすれば、断熱性能が低下する。また、断熱材として板状に加工した発泡樹脂やロックウール等の無機質繊維をバインダーで固化した無機質繊維マット等を使用した場合では、断熱材に可撓性がなくなるため、断熱防湿フィルムの面積が大きくなると取り扱いに不便なものとなる。
【０００７】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工性に優れ、且つ、高い断熱性能を有する断熱防湿フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するための本発明に係る断熱防湿フィルムは、２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、前記２枚の高分子樹脂フィルムの少なくとも一方が防湿性能を有し、前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、前記断熱層の各区画の境界が、前記粉体断熱材が移動不可能に封止されていることを第１の特徴とする。
【０００９】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、前記２枚の高分子樹脂フィルムが気密性を有し、前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、前記断熱層の各区画が真空排気され、前記断熱層の各区画の境界が気密封止されていることを第２の特徴とする。
【００１０】
上記各特徴の断熱防湿フィルムによれば、粉体断熱材の各粒子の粒径、形状、多孔質である場合の空隙率等を調整することによって、各区画内に粉体断熱材が密に充填された場合の嵩密度を大幅に低減でき軽量化が図れるとともに、粒子内の空隙及び粒子間の空隙の距離を短くできるため、各区画内での空気の対流を効果的に抑制でき、従来の断熱防湿フィルムの断熱材である無機質繊維や発泡樹脂と比較して大幅な断熱性能の向上が図れる。また、同じ断熱性能であれば、断熱層の厚みを従来の断熱防湿フィルムより薄くでき、更なる軽量化が図れる。
【００１１】
また、粉体断熱材は流動性があり、各区画の壁部を形成する高分子樹脂フィルムも可撓性があるため、断熱防湿フィルム全体が可撓性を有し、施工時の取り扱いが容易となる。例えば、壁面が曲面の場合にも適用が可能となる。更に、断熱層が複数の区画に区分されているため、外力により一つの区画が破壊されても、他の区画の断熱性能が維持され、断熱防湿フィルム全体での高断熱が維持される。例えば、断熱防湿フィルムを壁等に敷設する際に、誤って断熱防湿フィルムに釘等を打ち付けても、当該釘等によって破壊される断熱層が区画により分離されるため、一部の区画において断熱性能が劣化しても、断熱防湿フィルム全体での高断熱が維持される。また、各区画の境界部を釘止め個所に使用できる。
【００１２】
更に、各区画内に重点された粉体断熱材が流動性を有するため、高分子樹脂フィルムに外側から加えられた圧力が区画内で均等に分散して、フィルム面の一部に過大な応力が集中するのを回避できる。
【００１３】
特に、第２の特徴の断熱防湿フィルムによれば、各区画内が真空排気されるため、断熱性能が飛躍的に向上し、断熱防湿フィルムの薄膜化が図れる。また、各区画内が減圧される結果、高分子樹脂フィルムには外側からのみ大気圧が加わるが、当該大気圧を粉体断熱材で分散して支えることができ、高分子樹脂フィルム自体で大気圧を支える必要がないため、通常の防湿フィルムに使用する高分子樹脂フィルムが使用可能となる。
【００１４】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第１または第２の特徴に加えて、前記粉体断熱材が、セラミックス或いはガラスの粉末であることを第３の特徴とする。
【００１５】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第１または第２の特徴に加えて、前記粉体断熱材が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であることを第４の特徴とする。これにより、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子が、粒子形状が球状（球形または略球形）で、且つ、粒径が略一定に揃った粉粒体として形成されるため、粒子間の空隙距離が略一定で充填ガスの平均自由行程以下に短くでき、この結果、１０−１Ｐａ（約１０−３Ｔｏｒｒ）程度の低真空でも粒子間の空隙での対流を効果的に抑制でき、伝導損失の少ない極めて高い断熱性能を実現できる。また、逆ミセル法を用いて合成されるため、多孔質球状粒子がパーライトのような焼成時に形成されるクラック等を有しないため、機械的振動による微粉化の可能性は極めて低く、各区画内に断熱性を損なう大きな空洞部の発生する可能性が極めて低くなる。
【００１６】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第４の特徴に加えて、前記多孔質球状粒子が、ガラス質であることを第５の特徴とする。これにより、多孔質球状粒子が、石英ガラス粒子等のガラス質であると、一般に低温では熱媒体の格子振動の熱伝導への寄与度が大きくなるため、粉体断熱材の多孔質球状粒子がガラス質であることにより、低温での熱伝導をより効果的に抑制できる。
【００１７】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第４または第５の特徴に加えて、前記多孔質球状粒子の直径が、３〜３０μｍであることを第６の特徴とする。多孔質球状粒子の粒径は、大き過ぎると粒子間の空隙距離が大きくなり、そこで対流が生じて断熱性が低下し、逆に小さ過ぎると取り扱い時に飛散しやすく取り扱い難くなるため、多孔質球状粒子の直径は３〜３０μｍであることが好ましい。また、多孔質球状粒子の直径が３〜３０μｍであると、断熱層が真空排気され、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度の真空を保持していれば、断熱層の厚さが３ｍｍ程度で、一般的な高断熱住宅の目標熱抵抗１．０ｍ２・ｈ・Ｋ／ｋｃａｌを達成できる。
【００１８】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記何れかの特徴に加えて、前記断熱層の延伸方向と平行な断面における前記各区画の面積が１〜１００ｃｍ２であることを第７の特徴とする。細分化された区画の面積が小さければ、１区画の破壊による断熱性能の劣化は小さいが、逆に構造が複雑となり、断熱防湿フィルム全体に占める断熱材の充填されない区画間の境界部分の占有面積の割合が大きくなり初期の断熱性能が低下する。そこで、区画破壊による断熱性能の劣化の抑制と初期の高断熱性能を両立可能な区画面積として、１〜１００ｃｍ２程度が好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明に係る断熱防湿フィルム（以下、適宜「本発明フィルム」という。）の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【００２０】
図１に示すように、本発明フィルム１は、気密性及び可撓性を有する低密度ポリエチレンフィルム等の熱可塑樹脂フィルムで形成された２枚の高分子樹脂フィルム２，３間に、本発明フィルム１の延伸方向（図１では、左右方向）に平行な面内において複数の区画に細分化された断熱層４が形成され、断熱層４の各区画５内に粉体断熱材６が密に充填され構成されている。各区画５の上記延伸方向に平行な断面での面積は１〜１００ｍｍ２が好ましく、各区画５の平面視パターン（上記断面形状）は、図２（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、矩形、三角形、６角形等を規則的に密に配列した繰り返しパターンとなっている。
【００２１】
各区画５間の境界部７は熱圧着により気密封止され、区画間で粉体断熱材６が移動不可能な構造となっている。また、各区画５内は、真空排気され、例えば、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度に減圧されている。
【００２２】
粉体断熱材６は、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であり、具体的には、以下の要領で生成される石英ガラス粒子の粉粒体である。即ち、逆ミセル法により、油性の有機溶媒中に粒子原料を含む水溶液である水ガラス溶液（珪酸ナトリウム水溶液）を乳化分散させ、その乳化分散させた水ガラスのコロイドに炭酸ナトリウム等の沈殿剤を加えると、コロイド中の表面張力により球状化していた水ガラス粒子（エマルション粒子）がその形状を保ったままガラス粒子として沈殿するため、沈殿したガラス粒子を濾過分離、洗浄、乾燥して、粒子形状が略完全に球形で粒径も略一定の石英ガラス粒子が、粉体断熱材６として生成される。尚、粒径を略均一に揃える手法として、孔径を均一に揃えた貫通孔を多数有する高分子膜等の多孔膜を利用して、水ガラス溶液をその多孔膜を通過させて有機溶媒中に注入して乳化分散させ粒子原料のエマルション粒子を得る公知の膜乳化逆ミセル法が利用できる。膜乳化逆ミセル法については、例えば、特開平０４−５４６０５号公報、特開平０５−２４０号公報、特開平０５−２３５６５号公報、特開平０５−１９２９０７号公報等に詳細が開示されている。上記要領で生成された石英ガラス粒子の粉粒体は、嵩密度として、１５０〜３００ｋｇ／ｍ３（＝０．１５〜０．３ｇ／ｃｍ３）程度のものが得られる。
【００２３】
本実施形態では、生成された石英ガラス粒子の粒径として、３〜３０μｍの範囲のもの、特に、粉粒体の流動性の観点より１０μｍ前後のものが好ましい。また、石英ガラス粒子の粒径のバラツキとして、体積基準の標準偏差を平均粒径の５０％未満、更に好ましくは、２０％未満に抑えるのが好ましい。従って、当該バラツキ範囲内のものを粒径が略均一と定義する。
【００２４】
尚、嵩密度が１５０〜３００ｋｇ／ｍ３（＝０．１５〜０．３ｇ／ｃｍ３）程度で粒径が略均一で３〜３０μｍの範囲にある粉体断熱材６として、鈴木油脂工業株式会社製の商品名「ゴッドボール」（登録商標）で市販されている多孔質無機質微粒子（石英ガラス粒子）の粉粒体が利用できる。
【００２５】
本発明フィルム１の断熱性能は、断熱層４の厚さ、粉体断熱材６の性状、各区画５内の真空度に依存するが、断熱層４の厚さ３ｍｍ程度、粉体断熱材６が逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体で、粒径（直径）が略均一で３〜３０μｍの範囲にあり、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度の真空を保持していれば、一般的な高断熱住宅の目標熱抵抗１．０ｍ２・ｈ・Ｋ／ｋｃａｌを達成できる。尚、本発明フィルム１の断熱層４の厚さ、粉体断熱材６の性状（粒径等）、各区画５内の真空度は、上記数値例に限定されるものではない。
【００２６】
次に、本発明フィルム１の作製方法について、図３に基づいて簡単に説明する。尚、図３（Ａ）〜（Ｅ）に示す各工程は、真空排気されたチャンバー内８において実施される。
【００２７】
先ず、区画２に相当する部分が低く境界部７に相当する部分が高くなるように凹凸状に加工された金型９に、一方の高分子樹脂フィルム２を乗せて型面に沿って凹凸に加工する（図３（Ａ））。
【００２８】
次に、高分子樹脂フィルム２の凹部２ａ（後に区画５の内部空間となる）に粉体断熱材６を高分子樹脂フィルム２の上面まで密に充填する（図３（Ｂ））。この場合、粉体断熱材６の流動性が高いため、流体として凹部２ａに流し込む。
【００２９】
次に、他方の高分子樹脂フィルム３を高分子樹脂フィルム２の上に被せる（図３（Ｃ））。引き続き、２枚の高分子樹脂フィルム２，３を境界部７において熱で圧着して気密封止する（図３（Ｄ））。これにより、細分化された断熱層４の各区画５内に真空状態で粉体断熱材６が充填される。引き続き、チャンバー内８の真空状態を解除して、本発明フィルム１を金型９から取り外す（図３（Ｅ））。
【００３０】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈１〉上記実施形態では、断熱層４の各区画５内は真空排気され減圧状態となる場合を説明したが、各区画５内を真空排気せずに常圧に設定しても構わない。真空排気しない場合は、断熱性能において上記実施形態より劣るが、従来の断熱防湿フィルムに比べて高断熱で施工性に優れた断熱防湿フィルムが実現できる。
【００３１】
〈２〉上記実施形態では、粉体断熱材６として石英ガラス粒子の粉粒体を使用したが、粉体断熱材６は、石英ガラス粒子の粉粒体に限定されるものではない。従って、粉体断熱材６は石英以外の無機材料を含むガラスやセラミックスであっても構わない。
【００３２】
〈３〉上記実施形態では、高分子樹脂フィルム２，３に気密性及び可撓性を有する低密度ポリエチレンフィルム等の熱可塑樹脂フィルムを用いたが、高分子樹脂フィルム２，３は、上記実施形態で例示した低密度ポリエチレンフィルム等に限定されるものではない。として、可撓性を有しない硬質のフィルムであっても構わない。更に、高分子樹脂フィルム２，３の一方面にアルミニウム等の金属膜をラミネートしたフィルムを用いても構わない。
【００３３】
〈４〉上記実施形態では、石英ガラス粒子の粉粒体からなる粉体断熱材６を、逆ミセル法を用いて合成する方法について簡単に説明したが、逆ミセル法に使用する多孔膜、有機溶媒、沈殿剤等は、公知の膜乳化逆ミセル法で使用されるものが使用できる。
【００３４】
〈５〉上記実施形態では、本発明フィルム１を図３に例示する作製方法により作製する場合を例示したが、本発明フィルム１の作製方法は上記実施形態の方法に限定されるものではない。
【００３５】
尚、図３に例示する作製方法では、チャンバー内８が真空状態であるため、作製過程または作製完了後の本発明フィルム１をハンドリングするのに、通常の真空チャックを使用できないため、例えば、高分子樹脂フィルム２，３に磁性材料を含有させて、磁力によって高分子樹脂フィルム２，３をハンドリングするようにするのも好ましい。
【産業上の利用可能性】
【００３６】
本発明に係る断熱防湿フィルムは、住宅等の建物の壁、床、天井等に使用する防湿フィルムと断熱材に置き換えて使用可能で、本発明に係る断熱防湿フィルムを使用することにより、高断熱住宅の断熱性能が容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における概略構造を示す断面図
【図２】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における細分化された区画の平面視パターン例を示す平面図
【図３】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における製造方法の一例を示す工程断面図
【符号の説明】
【００３８】
１： 本発明に係る断熱防湿フィルム
２，３： 高分子樹脂フィルム
２ａ： 凹部
４： 断熱層
５： 区画
６： 粉体断熱材
７： 境界部
８： チャンバー内
９： 金型
【技術分野】
【０００１】
本発明は、建物の壁、床、天井等に使用可能な断熱機能を有する防湿フィルムに関する。
【背景技術】
【０００２】
木造家屋等の建物を建築する際に、建物内への湿気の侵入を防ぐために、内壁材、床材、天井材の内側に防湿フィルムを敷設している。また、建物の壁部、床部、天井部における断熱性を上げるために、一般的に防湿フィルムの一方側に断熱材を敷設する工事が行われている。
【０００３】
建物の壁部、床部、天井部等において、防湿フィルムと断熱材の両方の敷設工事を別々に行う手間を省くため等の理由から、これらを一体化して防湿性能と断熱性能を兼ね備えた断熱材の一方面に防湿フィルムを貼付した構造や、防湿フィルム間に断熱材を挿入した構造等の各種パネル状の断熱防湿フィルムが考案されている（例えば、下記特許文献１〜８参照）。また、これらの断熱防湿フィルムでは、断熱材として、綿状のグラスウールやロックウール等の無機質繊維、板状に加工した発泡樹脂やロックウール等の無機質繊維をバインダーで固化した無機質繊維マット等が使用されている。
【０００４】
【特許文献１】特開２０００−１８６３７９号公報
【特許文献２】特開２０００−３２８６８９号公報
【特許文献３】特開２００１−１０７４８１号公報
【特許文献４】特開２００１−２７１４３７号公報
【特許文献５】特開２００２−１４６９３７号公報
【特許文献６】特開２００２−２９４９４０号公報
【特許文献７】特開２００２−３３９４７４号公報
【特許文献８】特開２００３−２３９４２８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
住宅やビル等の建物の壁部、床部、天井部等を高断熱化する場合、住宅金融公庫の高断熱住宅の規格では、１００〜２００ｍｍ程度の厚さのロックウールが壁や天井等に対して規定されており、熱貫流率が約０．２〜０．５Ｗ／（ｍ２・Ｋ）の断熱性能を有する。
【０００６】
しかしながら、従来の断熱防湿フィルムにおいて、上記住宅金融公庫の高断熱住宅規格並みの断熱性能を実現しようとすれば、断熱材として綿状のグラスウールやロックウール等の無機質繊維を使用した場合では、断熱材の厚みが１００〜２００ｍｍ程度となり、一般の木造住宅に適用する場合に取り扱いに不便なものとなる。逆に、取り扱いに便利なように断熱材の厚みを薄くすれば、断熱性能が低下する。また、断熱材として板状に加工した発泡樹脂やロックウール等の無機質繊維をバインダーで固化した無機質繊維マット等を使用した場合では、断熱材に可撓性がなくなるため、断熱防湿フィルムの面積が大きくなると取り扱いに不便なものとなる。
【０００７】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工性に優れ、且つ、高い断熱性能を有する断熱防湿フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するための本発明に係る断熱防湿フィルムは、２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、前記２枚の高分子樹脂フィルムの少なくとも一方が防湿性能を有し、前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、前記断熱層の各区画の境界が、前記粉体断熱材が移動不可能に封止されていることを第１の特徴とする。
【０００９】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、前記２枚の高分子樹脂フィルムが気密性を有し、前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、前記断熱層の各区画が真空排気され、前記断熱層の各区画の境界が気密封止されていることを第２の特徴とする。
【００１０】
上記各特徴の断熱防湿フィルムによれば、粉体断熱材の各粒子の粒径、形状、多孔質である場合の空隙率等を調整することによって、各区画内に粉体断熱材が密に充填された場合の嵩密度を大幅に低減でき軽量化が図れるとともに、粒子内の空隙及び粒子間の空隙の距離を短くできるため、各区画内での空気の対流を効果的に抑制でき、従来の断熱防湿フィルムの断熱材である無機質繊維や発泡樹脂と比較して大幅な断熱性能の向上が図れる。また、同じ断熱性能であれば、断熱層の厚みを従来の断熱防湿フィルムより薄くでき、更なる軽量化が図れる。
【００１１】
また、粉体断熱材は流動性があり、各区画の壁部を形成する高分子樹脂フィルムも可撓性があるため、断熱防湿フィルム全体が可撓性を有し、施工時の取り扱いが容易となる。例えば、壁面が曲面の場合にも適用が可能となる。更に、断熱層が複数の区画に区分されているため、外力により一つの区画が破壊されても、他の区画の断熱性能が維持され、断熱防湿フィルム全体での高断熱が維持される。例えば、断熱防湿フィルムを壁等に敷設する際に、誤って断熱防湿フィルムに釘等を打ち付けても、当該釘等によって破壊される断熱層が区画により分離されるため、一部の区画において断熱性能が劣化しても、断熱防湿フィルム全体での高断熱が維持される。また、各区画の境界部を釘止め個所に使用できる。
【００１２】
更に、各区画内に重点された粉体断熱材が流動性を有するため、高分子樹脂フィルムに外側から加えられた圧力が区画内で均等に分散して、フィルム面の一部に過大な応力が集中するのを回避できる。
【００１３】
特に、第２の特徴の断熱防湿フィルムによれば、各区画内が真空排気されるため、断熱性能が飛躍的に向上し、断熱防湿フィルムの薄膜化が図れる。また、各区画内が減圧される結果、高分子樹脂フィルムには外側からのみ大気圧が加わるが、当該大気圧を粉体断熱材で分散して支えることができ、高分子樹脂フィルム自体で大気圧を支える必要がないため、通常の防湿フィルムに使用する高分子樹脂フィルムが使用可能となる。
【００１４】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第１または第２の特徴に加えて、前記粉体断熱材が、セラミックス或いはガラスの粉末であることを第３の特徴とする。
【００１５】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第１または第２の特徴に加えて、前記粉体断熱材が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であることを第４の特徴とする。これにより、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子が、粒子形状が球状（球形または略球形）で、且つ、粒径が略一定に揃った粉粒体として形成されるため、粒子間の空隙距離が略一定で充填ガスの平均自由行程以下に短くでき、この結果、１０−１Ｐａ（約１０−３Ｔｏｒｒ）程度の低真空でも粒子間の空隙での対流を効果的に抑制でき、伝導損失の少ない極めて高い断熱性能を実現できる。また、逆ミセル法を用いて合成されるため、多孔質球状粒子がパーライトのような焼成時に形成されるクラック等を有しないため、機械的振動による微粉化の可能性は極めて低く、各区画内に断熱性を損なう大きな空洞部の発生する可能性が極めて低くなる。
【００１６】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第４の特徴に加えて、前記多孔質球状粒子が、ガラス質であることを第５の特徴とする。これにより、多孔質球状粒子が、石英ガラス粒子等のガラス質であると、一般に低温では熱媒体の格子振動の熱伝導への寄与度が大きくなるため、粉体断熱材の多孔質球状粒子がガラス質であることにより、低温での熱伝導をより効果的に抑制できる。
【００１７】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記第４または第５の特徴に加えて、前記多孔質球状粒子の直径が、３〜３０μｍであることを第６の特徴とする。多孔質球状粒子の粒径は、大き過ぎると粒子間の空隙距離が大きくなり、そこで対流が生じて断熱性が低下し、逆に小さ過ぎると取り扱い時に飛散しやすく取り扱い難くなるため、多孔質球状粒子の直径は３〜３０μｍであることが好ましい。また、多孔質球状粒子の直径が３〜３０μｍであると、断熱層が真空排気され、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度の真空を保持していれば、断熱層の厚さが３ｍｍ程度で、一般的な高断熱住宅の目標熱抵抗１．０ｍ２・ｈ・Ｋ／ｋｃａｌを達成できる。
【００１８】
更に、本発明に係る断熱防湿フィルムは、上記何れかの特徴に加えて、前記断熱層の延伸方向と平行な断面における前記各区画の面積が１〜１００ｃｍ２であることを第７の特徴とする。細分化された区画の面積が小さければ、１区画の破壊による断熱性能の劣化は小さいが、逆に構造が複雑となり、断熱防湿フィルム全体に占める断熱材の充填されない区画間の境界部分の占有面積の割合が大きくなり初期の断熱性能が低下する。そこで、区画破壊による断熱性能の劣化の抑制と初期の高断熱性能を両立可能な区画面積として、１〜１００ｃｍ２程度が好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明に係る断熱防湿フィルム（以下、適宜「本発明フィルム」という。）の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【００２０】
図１に示すように、本発明フィルム１は、気密性及び可撓性を有する低密度ポリエチレンフィルム等の熱可塑樹脂フィルムで形成された２枚の高分子樹脂フィルム２，３間に、本発明フィルム１の延伸方向（図１では、左右方向）に平行な面内において複数の区画に細分化された断熱層４が形成され、断熱層４の各区画５内に粉体断熱材６が密に充填され構成されている。各区画５の上記延伸方向に平行な断面での面積は１〜１００ｍｍ２が好ましく、各区画５の平面視パターン（上記断面形状）は、図２（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、矩形、三角形、６角形等を規則的に密に配列した繰り返しパターンとなっている。
【００２１】
各区画５間の境界部７は熱圧着により気密封止され、区画間で粉体断熱材６が移動不可能な構造となっている。また、各区画５内は、真空排気され、例えば、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度に減圧されている。
【００２２】
粉体断熱材６は、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であり、具体的には、以下の要領で生成される石英ガラス粒子の粉粒体である。即ち、逆ミセル法により、油性の有機溶媒中に粒子原料を含む水溶液である水ガラス溶液（珪酸ナトリウム水溶液）を乳化分散させ、その乳化分散させた水ガラスのコロイドに炭酸ナトリウム等の沈殿剤を加えると、コロイド中の表面張力により球状化していた水ガラス粒子（エマルション粒子）がその形状を保ったままガラス粒子として沈殿するため、沈殿したガラス粒子を濾過分離、洗浄、乾燥して、粒子形状が略完全に球形で粒径も略一定の石英ガラス粒子が、粉体断熱材６として生成される。尚、粒径を略均一に揃える手法として、孔径を均一に揃えた貫通孔を多数有する高分子膜等の多孔膜を利用して、水ガラス溶液をその多孔膜を通過させて有機溶媒中に注入して乳化分散させ粒子原料のエマルション粒子を得る公知の膜乳化逆ミセル法が利用できる。膜乳化逆ミセル法については、例えば、特開平０４−５４６０５号公報、特開平０５−２４０号公報、特開平０５−２３５６５号公報、特開平０５−１９２９０７号公報等に詳細が開示されている。上記要領で生成された石英ガラス粒子の粉粒体は、嵩密度として、１５０〜３００ｋｇ／ｍ３（＝０．１５〜０．３ｇ／ｃｍ３）程度のものが得られる。
【００２３】
本実施形態では、生成された石英ガラス粒子の粒径として、３〜３０μｍの範囲のもの、特に、粉粒体の流動性の観点より１０μｍ前後のものが好ましい。また、石英ガラス粒子の粒径のバラツキとして、体積基準の標準偏差を平均粒径の５０％未満、更に好ましくは、２０％未満に抑えるのが好ましい。従って、当該バラツキ範囲内のものを粒径が略均一と定義する。
【００２４】
尚、嵩密度が１５０〜３００ｋｇ／ｍ３（＝０．１５〜０．３ｇ／ｃｍ３）程度で粒径が略均一で３〜３０μｍの範囲にある粉体断熱材６として、鈴木油脂工業株式会社製の商品名「ゴッドボール」（登録商標）で市販されている多孔質無機質微粒子（石英ガラス粒子）の粉粒体が利用できる。
【００２５】
本発明フィルム１の断熱性能は、断熱層４の厚さ、粉体断熱材６の性状、各区画５内の真空度に依存するが、断熱層４の厚さ３ｍｍ程度、粉体断熱材６が逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体で、粒径（直径）が略均一で３〜３０μｍの範囲にあり、１〜１０−１Ｐａ（約１０−２〜１０−３Ｔｏｒｒ）程度の真空を保持していれば、一般的な高断熱住宅の目標熱抵抗１．０ｍ２・ｈ・Ｋ／ｋｃａｌを達成できる。尚、本発明フィルム１の断熱層４の厚さ、粉体断熱材６の性状（粒径等）、各区画５内の真空度は、上記数値例に限定されるものではない。
【００２６】
次に、本発明フィルム１の作製方法について、図３に基づいて簡単に説明する。尚、図３（Ａ）〜（Ｅ）に示す各工程は、真空排気されたチャンバー内８において実施される。
【００２７】
先ず、区画２に相当する部分が低く境界部７に相当する部分が高くなるように凹凸状に加工された金型９に、一方の高分子樹脂フィルム２を乗せて型面に沿って凹凸に加工する（図３（Ａ））。
【００２８】
次に、高分子樹脂フィルム２の凹部２ａ（後に区画５の内部空間となる）に粉体断熱材６を高分子樹脂フィルム２の上面まで密に充填する（図３（Ｂ））。この場合、粉体断熱材６の流動性が高いため、流体として凹部２ａに流し込む。
【００２９】
次に、他方の高分子樹脂フィルム３を高分子樹脂フィルム２の上に被せる（図３（Ｃ））。引き続き、２枚の高分子樹脂フィルム２，３を境界部７において熱で圧着して気密封止する（図３（Ｄ））。これにより、細分化された断熱層４の各区画５内に真空状態で粉体断熱材６が充填される。引き続き、チャンバー内８の真空状態を解除して、本発明フィルム１を金型９から取り外す（図３（Ｅ））。
【００３０】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈１〉上記実施形態では、断熱層４の各区画５内は真空排気され減圧状態となる場合を説明したが、各区画５内を真空排気せずに常圧に設定しても構わない。真空排気しない場合は、断熱性能において上記実施形態より劣るが、従来の断熱防湿フィルムに比べて高断熱で施工性に優れた断熱防湿フィルムが実現できる。
【００３１】
〈２〉上記実施形態では、粉体断熱材６として石英ガラス粒子の粉粒体を使用したが、粉体断熱材６は、石英ガラス粒子の粉粒体に限定されるものではない。従って、粉体断熱材６は石英以外の無機材料を含むガラスやセラミックスであっても構わない。
【００３２】
〈３〉上記実施形態では、高分子樹脂フィルム２，３に気密性及び可撓性を有する低密度ポリエチレンフィルム等の熱可塑樹脂フィルムを用いたが、高分子樹脂フィルム２，３は、上記実施形態で例示した低密度ポリエチレンフィルム等に限定されるものではない。として、可撓性を有しない硬質のフィルムであっても構わない。更に、高分子樹脂フィルム２，３の一方面にアルミニウム等の金属膜をラミネートしたフィルムを用いても構わない。
【００３３】
〈４〉上記実施形態では、石英ガラス粒子の粉粒体からなる粉体断熱材６を、逆ミセル法を用いて合成する方法について簡単に説明したが、逆ミセル法に使用する多孔膜、有機溶媒、沈殿剤等は、公知の膜乳化逆ミセル法で使用されるものが使用できる。
【００３４】
〈５〉上記実施形態では、本発明フィルム１を図３に例示する作製方法により作製する場合を例示したが、本発明フィルム１の作製方法は上記実施形態の方法に限定されるものではない。
【００３５】
尚、図３に例示する作製方法では、チャンバー内８が真空状態であるため、作製過程または作製完了後の本発明フィルム１をハンドリングするのに、通常の真空チャックを使用できないため、例えば、高分子樹脂フィルム２，３に磁性材料を含有させて、磁力によって高分子樹脂フィルム２，３をハンドリングするようにするのも好ましい。
【産業上の利用可能性】
【００３６】
本発明に係る断熱防湿フィルムは、住宅等の建物の壁、床、天井等に使用する防湿フィルムと断熱材に置き換えて使用可能で、本発明に係る断熱防湿フィルムを使用することにより、高断熱住宅の断熱性能が容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【００３７】
【図１】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における概略構造を示す断面図
【図２】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における細分化された区画の平面視パターン例を示す平面図
【図３】本発明に係る断熱防湿フィルムの一実施形態における製造方法の一例を示す工程断面図
【符号の説明】
【００３８】
１： 本発明に係る断熱防湿フィルム
２，３： 高分子樹脂フィルム
２ａ： 凹部
４： 断熱層
５： 区画
６： 粉体断熱材
７： 境界部
８： チャンバー内
９： 金型
【特許請求の範囲】
【請求項１】
２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、
前記２枚の高分子樹脂フィルムの少なくとも一方が防湿性能を有し、
前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、
前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、
前記断熱層の各区画の境界が、前記粉体断熱材が移動不可能に封止されていることを特徴とする断熱防湿フィルム。
【請求項２】
２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、
前記２枚の高分子樹脂フィルムが気密性を有し、
前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、
前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、
前記断熱層の各区画が真空排気され、
前記断熱層の各区画の境界が気密封止されていることを特徴とする断熱防湿フィルム。
【請求項３】
前記粉体断熱材が、セラミックス或いはガラスの粉末であることを特徴とする請求項１または２に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項４】
前記粉体断熱材が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であることを特徴とする請求項１または２に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項５】
前記多孔質球状粒子が、ガラス質であることを特徴とする請求項４に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項６】
前記多孔質球状粒子の直径が、３〜３０μｍであることを特徴とする請求項４または５に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項７】
前記断熱層の延伸方向と平行な断面における前記各区画の面積が１〜１００ｃｍ２であることを特徴とする請求項１〜６の何れか１項に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項１】
２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、
前記２枚の高分子樹脂フィルムの少なくとも一方が防湿性能を有し、
前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、
前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、
前記断熱層の各区画の境界が、前記粉体断熱材が移動不可能に封止されていることを特徴とする断熱防湿フィルム。
【請求項２】
２枚の高分子樹脂フィルム間に形成された断熱層に粉体断熱材を充填してなる断熱防湿フィルムであって、
前記２枚の高分子樹脂フィルムが気密性を有し、
前記断熱層がその延伸方向に平行な面内において複数の区画に細分化され、
前記断熱層の各区画に前記粉体断熱材が夫々充填され、
前記断熱層の各区画が真空排気され、
前記断熱層の各区画の境界が気密封止されていることを特徴とする断熱防湿フィルム。
【請求項３】
前記粉体断熱材が、セラミックス或いはガラスの粉末であることを特徴とする請求項１または２に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項４】
前記粉体断熱材が、逆ミセル法を用いて合成した粒径が略均一な多孔質球状粒子からなる粉粒体であることを特徴とする請求項１または２に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項５】
前記多孔質球状粒子が、ガラス質であることを特徴とする請求項４に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項６】
前記多孔質球状粒子の直径が、３〜３０μｍであることを特徴とする請求項４または５に記載の断熱防湿フィルム。
【請求項７】
前記断熱層の延伸方向と平行な断面における前記各区画の面積が１〜１００ｃｍ２であることを特徴とする請求項１〜６の何れか１項に記載の断熱防湿フィルム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００６−２２５８５２（Ｐ２００６−２２５８５２Ａ）
【公開日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３７２５３（Ｐ２００５−３７２５３）
【出願日】平成１７年２月１５日（２００５．２．１５）
【出願人】（３０４０５７４７２）株式会社ルネッサンス・エナジー・インベストメント (12)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年２月１５日（２００５．２．１５）
【出願人】（３０４０５７４７２）株式会社ルネッサンス・エナジー・インベストメント (12)
【Ｆターム（参考）】
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