断線検出装置、制御装置および電力調整器
【課題】負荷の電力線の本数、スイッチング素子および電流センサの数を削減する。
【解決手段】3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と3本の第2の電力線L2−1〜L2−3とを、仮想的にそれぞれ横(行)方向と縦(列)方向とに平行に配列したときの各交差部分に、熱板1を加熱する9個の第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を接続し、第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6を制御して、各ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、行方向の共通の電力線に設けられた1個のCT11の出力に基づいて、断線検出装置10で各ヒータ2−1〜2−9の断線を検出するようにしている。
【解決手段】3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と3本の第2の電力線L2−1〜L2−3とを、仮想的にそれぞれ横(行)方向と縦(列)方向とに平行に配列したときの各交差部分に、熱板1を加熱する9個の第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を接続し、第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6を制御して、各ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、行方向の共通の電力線に設けられた1個のCT11の出力に基づいて、断線検出装置10で各ヒータ2−1〜2−9の断線を検出するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータなどの負荷の断線を検出する断線検出装置、それを用いた制御装置および電力調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、被加熱物を、熱板上に載置して加熱処理するような温度制御においては、温度調節器は、熱板に配設された温度センサからの検出温度に基づいて、熱板の温度が設定温度になるように、熱板に配設されたヒータの通電を制御することにより行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−274069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記熱板に、複数のヒータおよび複数の温度センサを配設して複数の制御点、すなわち、複数チャンネルの温度制御を行なう場合には、各ヒータを個別に駆動できるように、各ヒータと電源とを、スイッチング素子を介してそれぞれ接続し、前記スイッチング素子の開閉を制御して各ヒータを個別に駆動できるようにしている。
【0005】
このため、チャンネル数が多くなる程、スイッチング素子の個数およびヒータの電力線の本数が増大し、電力線は、熱板とスイッチング素子との間を長く引き回されることになり、空間設計や配線作業が煩雑になるといった課題がある。
【0006】
更に、各チャンネルのヒータの断線を検出しようとすると、複数のチャンネル毎に高価なCT(カレントトランス)等の電流センサを設置しなければらず、コストおよび設置スペースが増大するという課題もある。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みて為されたものであって、負荷の電力線の本数、スイッチング素子および電流センサの数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の断線検出装置は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備えている。
【0009】
負荷としては、例えば、ヒータ、ランプ、あるいはモータなどがある。
【0010】
電源は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。
【0011】
開閉手段は、リレーであってもよいし、トランジスタ、サイリスタあるいはトライアック等の半導体素子であってもよい。
【0012】
「前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列」とは、複数の第1の電力線、複数の第2の電力線および複数の負荷の実際の物理的な配列に拘らず、両電力線と負荷との接続状態を定義するための仮想的な配列をいう。したがって、この仮想的な配列は、両電力線および負荷の実際の物理的な配列を制約するものではない。
【0013】
また、「横方向と縦方向とに平行に配列」とは、複数の第1の電力線を横方向(行方向)に平行に配列し、複数の第2の電力線を縦方向(列方向)に平行に配列することをいい、したがって、両電力線が交差する部分が生じる。
【0014】
「両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され」とは、仮想的に配列された両電力線が交差する部分に対応して、各負荷が両電力線間に電気的に接続されることをいう。
【0015】
複数の第1の電力線および複数の第2の電力線は、それぞれ横方向(行方向)および縦方向(列方向)に平行に仮想的に配列され、それらの交点に対応して各負荷が、両電力線間に接続されるので、複数の各負荷は、行方向の複数の第1の電力線と列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されることになる。
【0016】
両電力線が交差する部分の全てに、負荷をそれぞれ接続して完全なマトリックス接続とするのが好ましいが、前記交差する部分の全てに負荷をそれぞれ接続するのではなく、負荷が接続されない前記交差する部分があってもよい。すなわち、不完全なマトリックス接続であってもよい。また、前記交差する部分に、負荷を接続しない場合には、前記両電力線とは別の電力線に接続される負荷を、前記交差する部分に対応して設けてもよい。
【0017】
制御装置は、開閉手段の開閉量を制御して負荷に供給する電力を制御するものであり、この電力制御は、ON/OFF制御、位相制御、あるいは、サイクル制御などが好ましい。
【0018】
複数の負荷を選択して駆動するとは、複数の負荷の内、1個の負荷を選択して駆動してもよいし、複数の負荷を選択して同時に駆動してもよい。
【0019】
電流センサは、複数の第1の電力線および複数の第2の電力線の各電力線にそれぞれ設けてもよいし、複数の第1の電力線の各電力線のみにそれぞれ設けてもよいし、あるいは、複数の第2の電力線の各電力線のみにそれぞれ設けてもよいし、少なくとも1個の電流センサを、共通化された電力線に設ければよい。
【0020】
負荷の駆動状態とは、いずれの負荷が選択されて駆動されているかという負荷の選択の状態、また、駆動されている負荷の電力制御の状態、例えば、負荷に対する操作量の状態などをいう。
【0021】
本発明の断線検出装置は、制御装置や電力調整器などに内蔵させてもよい。
【0022】
本発明の断線検出装置によると、制御装置によって、第1,第2の開閉手段の開閉を制御することによって、仮想的に横方向(行方向)に平行に配列された複数の第1の電力線と、仮想的に縦方向(列方向)に平行に配列された複数の第2の電力線との交差部分に接続された負荷、すなわち、行方向の複数の第1の電力線と、列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0023】
(2)本発明の他の実施形態では、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0024】
正常時の前記複数の負荷の抵抗値は、予め複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動し、電流センサの出力に基づいてそれぞれ求めるのが好ましい。
【0025】
抵抗値を用いてとは、例えば、抵抗値を用いて負荷の駆動状態に応じた電流値を求めたり、抵抗値を用いて負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値を求めることなどをいう。
【0026】
この実施形態によると、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、負荷の駆動状態に応じて正常時に電力線を流れる電流の値や負荷の駆動状態に応じた正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0027】
(3)本発明の一つの実施形態では、前記判定手段は、前記制御装置によって駆動される負荷が選択されるタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得するものである。
【0028】
負荷が選択されるタイミングに応じて電流値を取得するとは、負荷が選択されるタイミングと同じタイミングで電流値を取得してもよいが、負荷が選択されるタイミングから一定期間遅れたタイミング、例えば、次の負荷が選択される直前のタイミングで電流値を取得することをいい、前記一定期間は、負荷を選択した後、判定用の電流値が安定するのに要する期間であるのが好ましい。
【0029】
電流センサの出力に基づく判定用の電流値とは、電流センサの出力を全波整流し平均化した断線の判定に用いる電流値、あるいは、電流センサの出力のピーク値をホールドした断線の判定に用いる電流値などをいう。
【0030】
この実施形態によると、負荷が選択されて駆動される度に、電流センサの出力に基づく断線判定用の安定した電流値がサンプリングされて断線の有無が判定される。
【0031】
(4)本発明の他の実施形態では、前記制御装置は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0032】
制御装置は、複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する以外に、2個以上の負荷を選択して同時に駆動するモードや複数の負荷の全てを同時に駆動するモードを有してもよい。
【0033】
この実施形態によると、負荷を1個ずつ順番に選択して駆動するので、複数の第1の電力線または複数の第2の電力線を共通化した1本の電力線に、1個の電流センサを設けて各負荷の断線を検出することが可能となり、電流センサの個数を1個にすることができる。
【0034】
(5)上記(4)の実施形態では、前記制御装置は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長し、前記判定手段は、前記制御装置によって前記期間が延長された前記負荷の断線の有無を判定するようにしてもよい。
【0035】
前記期間を延長する負荷は、例えば、操作量が大きな負荷、あるいは、制御量が小さいチャンネルの負荷、例えば、温度が低いチャンネルの負荷などとし、これらの負荷の断線の有無を優先的に判定するようにしてもよい。
【0036】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0037】
(6)上記(5)の実施形態では、前記制御装置は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせてもよい。
【0038】
各制御周期において、前記期間が延長される負荷は、1個であるのが好ましく、期間を延長する負荷は、制御周期毎に順番にずらすのが好ましい。
【0039】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0040】
(7)本発明の他の実施形態では、前記制御装置は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定するものである。
【0041】
予め定めた個数は、1個であってもよいし、複数であってもよい。
【0042】
操作量の大きな予め定めた個数の負荷とは、複数の負荷の内から操作量の大きな順に選ばれる予め定めた個数の負荷をいう。
【0043】
この実施形態によると、操作量の大きな負荷、すなわち、第1,第2の開閉手段がON(閉)している期間が長い負荷、したがって、電流センサの出力が安定する期間を十分に確保できる負荷についてのみ断線を検出するので、精度の高い断線検出が可能となる。
【0044】
また、操作量の小さな負荷が断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって、操作量が大きくなる結果、操作量が大きな予め定めた個数の負荷に含まれることになって、断線が検出されることになる。
【0045】
(8)本発明の断線検出装置は、複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備え、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0046】
本発明の断線検出装置によると、制御装置によって、開閉手段の開閉を制御することで、共通の電力線と前記開閉手段との間に接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0047】
しかも、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0048】
(9)本発明の制御装置は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備えている。
【0049】
本発明の制御装置によると、第1,第2の開閉手段の開閉を制御することによって、仮想的に横方向(行方向)に平行に配列された複数の第1の電力線と、仮想的に縦方向(列方向)に平行に配列された複数の第2の電力線との交差部分に接続された負荷、すなわち、行方向の複数の第1の電力線と、列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0050】
(10)本発明の一つの実施形態では、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0051】
この実施形態によると、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0052】
(11)本発明の他の実施形態では、前記判定手段は、駆動する負荷を選択するタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得するものである。
【0053】
この実施形態によると、負荷が選択されて駆動される度に、電流センサの出力に基づく断線判定用の安定した電流値がサンプリングされて断線の有無が判定される。
【0054】
(12)本発明の更に他の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0055】
この実施形態によると、負荷を1個ずつ選択して駆動するので、複数の第1の電力線または複数の第2の電力線を共通化した1本の電力線に、1個の電流センサを設けて各負荷の断線を検出することが可能となり、電流センサの個数が1個となる。
【0056】
(13)上記(12)の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長し、前記判定手段は、前記期間が延長された負荷の断線の有無を判定するようにしてもよい。
【0057】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0058】
(14)上記(13)の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせてもよい。
【0059】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0060】
(15)本発明の他の実施形態では、前記駆動制御手段は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定するものである。
【0061】
この実施形態によると、操作量の大きな負荷、すなわち、第1,第2の開閉手段がON(閉)している期間が長い負荷、したがって、電流センサの出力が安定する期間を十分に確保できる負荷についてのみ断線を検出するので、精度の高い断線検出が可能となる。
【0062】
また、操作量の小さな負荷が断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって、操作量が大きくなる結果、操作量が大きな予め定めた個数の負荷に含まれることになって、断線が検出されることになる。
【0063】
(16)本発明の一つの実施形態では、前記駆動制御手段は、複数の負荷を同時に選択して駆動するものであって、前記判定手段によって、同時に駆動される前記複数の負荷のいずれかが断線していると判定されたときには、前記複数の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0064】
この実施形態によると、複数の負荷を同時に駆動して断線は検出されたものの、どの負荷が断線したかを特定できないときに、前記複数の負荷を順番に駆動することによって、複数の負荷のいずれの負荷が断線したかを特定することができる。
【0065】
(17)本発明の好ましい実施形態では、前記判定手段によって、断線と判定されたときには、それを報知する断線報知手段を備えている。
【0066】
断線報知手段は、表示や接点出力などによって断線および断線した負荷を報知するのが好ましい。
【0067】
この実施形態によると、断線が検出されたときには、それを報知するので、ユーザは、迅速に適切な措置をとることができる。
【0068】
(18)本発明の制御装置は、複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、前記開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0069】
本発明の制御装置によると、開閉手段の開閉を制御することによって、共通の電力線と前記開閉手段との間に接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0070】
しかも、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0071】
(19)本発明の電力調整器は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1の電力線と電源との間、または、前記第2の電力線と前記電源との間に設けられるとともに、前記複数の負荷を選択して駆動する制御装置によって制御される電力調整器であって、前記複数の負荷の駆動状態を示すデータが、前記制御装置から入力される入力部と、前記複数の負荷の駆動状態に応じた基準抵抗値が予め記憶される記憶部と、当該電力調整器が設けられている電力線を流れる電流を検出する電流センサの出力および前記制御装置からの制御信号に基づいて、抵抗値を算出する算出部と、前記入力部に入力される駆動状態に対応する前記基準抵抗値と前記算出部で算出される抵抗値とに基づいて、断線の有無を判定する判定部とを備えている。
【0072】
複数の負荷の駆動状態とは、複数の負荷の内のいずれの負荷が選択されて駆動されているかという駆動状態をいう。
【0073】
基準抵抗値としては、負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値であるのが好ましい。
【0074】
制御装置からの制御信号は、操作量であるのが好ましく、算出部では、電流センサの出力に基づく電流値と操作量に基づく印加電圧とから合成抵抗値を算出するのが好ましい。
【0075】
電流センサは、当該電力調整器に内蔵させてもよいし、別に設けてもよい。
【0076】
本発明の電力調整器によると、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間にマトリックス接続された負荷の断線を、制御装置から入力される負荷の駆動状態を示すデータ、予め記憶された基準抵抗値、電流センサの出力および制御装置からの制御信号に基づいて検出することができる。
【発明の効果】
【0077】
本発明によれば、複数の電力線を複数の負荷で共用化しているので、従来例に比べて、電力線等の本数、したがって、該電力線に設けて電流を検出する電流センサの個数を削減することができ、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易になるとともに、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の実施形態の温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図2】図1の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図3】図1の実施形態のステップ応答波形を示す図である。
【図4】図1の電流検出部の構成を示す図である。
【図5】図4の各部の波形を示す図である。
【図6】ヒータの印加電圧と電流検出部で検出される平均電流を示す図である。
【図7】電流検出の他の例を示す図である。
【図8】図1の判定部の構成を示す図である。
【図9】位相制御された印加電圧を示す図である。
【図10】合成抵抗値の変化に基づく断線判定を説明するための図である。
【図11】電流の回り込みによる合成抵抗値を説明する図である。
【図12】断線時の図11(C)に対応する図である。
【図13】本発明の他の実施形態の図1に対応する図である。
【図14】図13の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【図16】図15の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図17】本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【図18】複数のヒータの同時駆動の例を示す図である。
【図19】複数のヒータの同時駆動の他の例を示す図である。
【図20】複数のヒータに対応する接続用端子のオン(1)/オフ(0)状態と合成抵抗値との関係を示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態の図2に対応する図である。
【図22】本発明の他の実施形態の各チャンネルの操作量と電流検出部の出力を示す図である。
【図23】本発明の係る電力調整器のブロック図である。
【図24】本発明の他の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0080】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態に係る制御装置としての温度調節器5を備える温度制御システムの概略構成図である。
【0081】
この温度制御システムは、熱板1の9つの制御点の温度を制御する、9チャンネルの制御を行うものであり、熱板1には、負荷として9個の第1〜第9のヒータ2−1〜2−9および図示しない9個の温度センサが配設されている。
【0082】
この実施形態では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9は、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続される。
【0083】
すなわち、第1〜第3のヒータ2−1〜2−3の各一端が、上側の行方向の第1の電力線L1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6のヒータ2−4〜2−6の各一端が、中間の行方向の第1の電力線L1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9のヒータ2−7〜2−9の各一端が、下側の行方向の第1の電力線L1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。
【0084】
つまり、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3を行方向に平行に配列し、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3を列方向に平行に配列したときに、両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3が交差する部分、すなわち、9箇所の交差部分で、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の各一端が第1の電力線L1−1〜L1−3にそれぞれ接続されるとともに、各他端が第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続されている。
【0085】
なお、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3を行方向に平行に配列し、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3を列方向に平行に配列しているが、かかる配列は、必ずしも両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3の実際の物理的配列を示すものではなく、両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3と各ヒータ2−1〜2−9との接続状態を明確に示すための仮想的な配列である。
【0086】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3は、第1〜第3の電力調整器3−1〜3−3を介して交流電源4の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3は、第4〜第6の電力調整器3−4〜3−6を介して交流電源4の他端に接続される。
【0087】
このように9個のヒータ2−1〜2−9は、3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続されているので、行方向に対応する第1〜第3の電力調整器3−1〜3−3と、列方向に対応する第4〜第6の電力調整器3−4〜3−6とを制御することにより、いずれかのヒータ2−1〜2−9を選択して交流電源4からの電力によって駆動することができる。
【0088】
この温度制御システムは、熱板1に配設された9個の図示しない温度センサからの検出温度(PV)と設定温度目標温度とに基づいて、PID演算等を行って算出される9チャンネル分の操作量を上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に振り分けて出力する温度調節器5と、この温度調節器5からの操作量に基づいて、9個のヒータ2−1〜2−9への交流電力を位相制御する上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6とを備えている。
【0089】
温度調節器5は、熱板1に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度が入力される制御量入力部6と、例えば、上位機器から目標温度が入力される目標値入力部7と、制御量入力部6からの検出温度に基づいて、駆動するヒータを選択する駆動対象選択部8と、制御量入力部6からの検出温度と目標値入力部7からの目標温度とに基づいて、PID演算等を行って9チャンネル分の操作量を算出するとともに、駆動対象選択部8で後述のように選択されるヒータに応じて、9チャンネル分の操作量を、第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に振り分けて出力する操作量算出部9とを備えている。駆動対象選択部8と操作量算出部9とによって、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を選択して駆動する駆動制御手段が構成される。
【0090】
更に、この実施形態の温度調節器5は、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の断線を検出する断線検出装置10を内蔵している。この断線検出装置10は、行方向の電力調整器3−1〜3−3よりも交流電源4側の電力線に設けられた電流センサとしてCT(カレントトランス)11の出力に基づいて、負荷電流を検出する電流検出部12と、電流検出部12の出力、および、ヒータの駆動状態として、駆動するヒータおよびそのヒータの操作量に基づいて、断線の有無を後述のように判定する判定部13と、判定部13で断線であると判定されたときに、それを報知する断線報知部14とを備えている。電流検出部12および判定部12によって断線の有無を判定する判定手段が構成される。
【0091】
この実施形態では、温度調節器5は、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を、1個ずつ順番に時分割で駆動する、すなわち、1個ずつ順番にスキャン(走査)する。
【0092】
図2は、この時分割駆動を説明するための図であり、同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータ2−1〜2−9に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、後述の異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図2では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9に個別的に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の内、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の操作量のみを代表的に示している。
【0093】
先ず、同図(a)に示すように、駆動対象選択部8によって、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、以下同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に100msecの期間tに亘って選択され、制御周期Tにおいて、各ヒータ2−1〜2−9が1個ずつ順番に選択される。
【0094】
第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、選択された期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第1のチャンネルの操作量とされ、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオンに対応する100%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第1のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第4の電力調整器3−4のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第1のヒータ2−1に与えられて駆動される。
【0095】
次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、選択された期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第2のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y2用の操作量は、オンに対応する100%にされる。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第2のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第5の電力調整器3−5のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第2のヒータ2−2に与えられて駆動される。
【0096】
次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、選択されている期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第3のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y3用の操作量は、オンに対応する100%にされる。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第3のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第6の電力調整器3−6のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第3のヒータ2−3に与えられて駆動される。
【0097】
以下、同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に時分割で選択されて駆動される。
【0098】
なお、図3に、目標温度SPを10℃変化させたときのステップ応答波形を示しており、同図(a)は目標温度SPを、同図(b)は各チャンネルの検出温度PVをそれぞれ示している。チャンネル毎に順番に駆動するので、同図(b)に示すように、多少のチャンネル間の温度のばらつきは認められるものの、高い精度が要求されない汎用的な用途の温度制御の性能としては、十分である。
【0099】
この実施形態の温度調節器5は、上述のように断線検出装置10を内蔵しており、この断線検出装置10によってヒータの断線を検出するものである。
【0100】
図4は、図1の断線検出装置10の電流検出部12の構成を示す図であり、図5は、各部の波形の例を示す図である。
【0101】
この実施形態の電流検出部12は、ローパスフィルタ(LPF)を用いて平均電流から実効電流を求めるものである。この電流検出部121は、電流センサであるCT11からの図5(a)に示される出力を、図5(b)に示すように全波整流する全波整流部15と、この全波整流部15の出力から図5(c)に示すように、直流成分のみを取り出して平均電流にするローパスフィルタ16と、このローパスフィルタ16の出力をA/D変換するA/D変換部17と、このA/D変換部17からのディジタルデータから実効電流を算出するCPU18とを備えている。なお、A/D変換部17およびCPU18は、断線の有無の判定、操作量の算出、および、駆動対象の選択等の各種機能を有するマイクロコンピュータ25に含まれている。
【0102】
このようにローパスフィルタ16を用いて平均電流にするので、電源ノイズの影響を低減することができる。このローパスフィルタ16のカットオフ周波数は、例えば、20Hz程度が好ましい。
【0103】
この実施形態では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を1個ずつ時分割に選択して順番に駆動しており、駆動するヒータを選択した瞬間、すなわち、駆動するヒータを切換えた瞬間には、ローパスフィルタ16の時定数のために電流が未だ安定しておらず、正確に検出することができない虞がある。
【0104】
図6(a),(b)は、電流検出部12で検出される平均電流およびヒータへの印加電圧を示す図であり、上述の各チャンネルのヒータが選択されて駆動される期間t(100msec)を併せて示している。
【0105】
操作量に応じて位相制御された電圧の印加を、同図(b)に示すように開始した後、電流検出部12で検出される平均電流が安定するまでには、同図(a)に示すように、50msec程度必要である。
【0106】
そこで、この実施形態では、上述の図2(d)の矢印で示す異常判定のタイミングのように、駆動するヒータを選択するタイミングに応じて、切換えた後一定期間、例えば、70msecが経過した時、すなわち、次に駆動するヒータに切換える前に、平均電流をサンプリングして断線の有無を判定するようにしている。
【0107】
なお、本発明の他の実施形態として、電流検出部12では、図7に示すように、電流のピーク値Pをホールドし、このピーク値Pおよび操作量に基づく出力位相角から実効電流を求めるようにしてもよい。この場合には、上述のように電流が安定するまで待つ必要がなく、半波単位のより早いタイミングで断線の有無を判定することができる。
【0108】
図8は、図1の断線検出装置10の判定部13の構成を示す図である。この実施形態の判定部13は、操作量算出部9からの操作量に基づいて、ヒータの印加電圧の割合を示す出力位相角を算出する出力位相角算出部30と、出力位相角からヒータの印加電圧を算出する印加電圧算出部31と、ヒータの印加電圧と電流検出部12で求められる実効電流とに基づいて、合成抵抗値を算出する合成抵抗値算出部20と、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の抵抗値を基準抵抗値として予め記憶する基準抵抗値記憶部19と、これら基準抵抗値と、いずれのヒータが選択されているかに応じて、合成抵抗値を推定する合成抵抗推定部32と、合成抵抗推定部32で推定された合成抵抗値と合成抵抗値算出部20で算出された合成抵抗値とを比較し、その変化率に基づいて駆動しているヒータの断線の有無を判定する断線判定部21とを備えている。
【0109】
図9は、位相制御されたヒータの印加電圧を示しており、出力位相角算出部30では、操作量に基づいて、図9に示される出力位相角を算出する。断線判定部21では、前記変化率が閾値を越えたときに、断線であると判定する。この断線判定部21によって断線と判定されたときには、断線報知部14によって、ヒータが断線した旨や断線したヒータを特定する報知がなされる。この報知は、例えば、表示部によるエラー表示や接点出力によって行われる。
【0110】
図10は、判定部13における合成抵抗値の変化に基づく断線判定を説明するための図である。
【0111】
ここでは、簡略化のために、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を20Ωとし、第1のヒータ2−1が断線した場合に、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1の第1,第4のスイッチ22−1,22−4がオンされて第1のヒータ2−1を選択し、100Vの電圧を印加して駆動している状態を想定する。
【0112】
この状態において、断線が生じていない正常時には、図11(a)に示すように、電流の回り込みによって回り込みのループが形成され、同図(b)、(c)に示すように、第1のヒータ2−1の抵抗値20Ωに、並列に他のヒータによる抵抗値25Ωが接続されているのと等価となり、合成抵抗値は、11.1Ωとなる。このとき、電流検出部12で検出される負荷電流は、9Aとなるはずである。
【0113】
これに対して、第1のヒータ2−1が断線しているときには、図12に示すように、合成抵抗値は25Ωとなり、電流検出部12で検出される負荷電流は、4Aとなるはずである。
【0114】
このように断線時には、合成抵抗値あるいは電流値が変化するので、それに基づいて、断線を検出することができる。
【0115】
この実施形態では、合成抵抗値の変化に基づいて断線を検出しており、例えば、第1のヒータ2−1を選択して100Vの電圧を印加しているときに、電流検出部12で検出される電流値が4Aであれば、合成抵抗値25Ωが算出される一方、第1のヒータ2−1が選択されて駆動されているときの合成抵抗値は、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値20Ωに基づいて、上述のように11.1Ωとなる。
【0116】
したがって、両合成抵抗値を比較し、その変化率が閾値を越えることによって、断線と判定することができる。
【0117】
このように各チャンネルのヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動するとともに、電流検出部12で検出される電流値と操作量(出力位相角)に基づく印加電圧とから合成抵抗値を算出する一方、いずれのヒータを選択して駆動しているかの駆動状態に応じて、基準抵抗値から合成抵抗値を推定し、両合成抵抗値を比較して、その変化率に基づいて、選択しているヒータが断線しているか否かを検出するものである。
【0118】
次に、この実施形態の断線検出の手順を説明する。
【0119】
先ず、ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、その操作量(出力位相角)に基づく印加電圧と、CT11の出力から電流検出部12で検出される電流値とに基づいて、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値をそれぞれ算出し、判定部13の基準抵抗値記憶部19に基準抵抗値として予め記憶する。
【0120】
実運転時には、上述のようにヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、CT11の出力に基づいて、電流検出部12で電流値を検出する。判定部13では、駆動しているヒータの操作量出力位相角に基づく印加電圧と、上述の異常判定のタイミングで取得した電流検出部12からの電流値とに基づいて合成抵抗値を算出する。
【0121】
一方、予め記憶した基準抵抗値から、選択しているヒータに応じて、例えば、上述の図10に示すように、合成抵抗値を推定する。
【0122】
検出した電流値に基づく合成抵抗値と、予め記憶した基準抵抗値に基づく合成抵抗値とを比較し、その変化率が閾値を越えたときに、選択して駆動した1個のヒータが断線していると判定し、断線報知部14で断線である旨を報知するものである。
【0123】
以上のように、行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9をマトリックス接続して順番に選択的に駆動するので、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子の個数を削減することができるとともに、断線を検出するための高価なCTを1個にすることができる。これによって、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易になるとともに、コストを低減することができる。
【0124】
また、従来の温度調節器では、チャンネル毎に、ヒータ制御用の端子と、CTが接続される断線検出用の端子とがそれぞれ必要であったのに対して、この実施形態では、断線検出用の端子については、9チャンネルについて1個のCTを接続する端子を設ければよく、端子効率が向上する。
【0125】
この実施形態では、抵抗値に基づいて断線の有無を判定したけれども、本発明の他の実施形態として、電流検出部12で検出される電流値に基づいて、断線を検出してもよい。すなわち、電流検出部12で検出される電流値、例えば、上述の図12の電流値4Aと、基準抵抗値に基づく合成抵抗値と操作量(出力位相角)から求まる印加電圧とから算出される電流値、例えば、上述の図11に示される電流値9Aとを比較し、電流値の変化率が閾値を越えているときに、断線と判定するようにしてもよい。
【0126】
上述の実施形態では、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3と、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3とが交差する9箇所全てに、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9をそれぞれ接続したけれども、交差する9箇所の内、ヒータを設けない箇所があってもよい。また、交差する9箇所の内、前記両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3に接続されるヒータに代えて、前記両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3とは異なる別の電力線に対して、個別に接続されるヒータ、あるいは、マトリックス接続されるヒータを設ける箇所があってもよい。
【0127】
(実施形態2)
図13は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0128】
この実施形態では、上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に代えて、第1〜第6のSSR23−1〜23−6およびそれらを制御する電力調整器としてのPWMコントローラ24を設けたものである。このPWMコントローラ24は、サイクル制御、すなわち、交流電源のゼロ電圧時に合わせてスイッチング素子を導通させ、導通サイクル数と非導通サイクル数との比率を変えることにより負荷への平均供給電力を制御するものである。
【0129】
図14は、この実施形態の時分割駆動を説明するための図であり、上述の図2に対応する図である。同図(a)は駆動対象選択部8によって選択される各ヒータ2−1〜−9に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9−1による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9−1による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図14では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9に個別的に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の内、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の操作量のみを代表的に示している。
先ず、同図(a)に示すように、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、以下同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に100msecの期間tに亘って選択され、制御周期Tにおいて、各ヒータ2−1〜2−9が順番に選択される。
【0130】
第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、選択された期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第1のチャンネルの操作量とされ、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオンに対応する100%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第1のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第4のSSR23−4の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第1のヒータ2−1が駆動される。
【0131】
次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、選択された期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第2のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y2用の操作量は、オンに対応する100%される。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第2のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第5のSSR23−5の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第2のヒータ2−2が駆動される。
【0132】
次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、選択されている期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第3のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y3用の操作量は、オンに対応する100%される。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第3のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第6のSSR23−6の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第3のヒータ2−3が駆動される。
【0133】
以上のようにして1番目の行方向の第1〜第3のヒータ2−1〜2−3が、時分割に、かつ、操作量に応じたサイクル制御によって駆動される。
【0134】
2番目および3番目の行方向の第4〜第9のヒータ2−4〜2−9も同様にして、時分割で、かつ、操作量に応じたサイクル制御によって駆動される。
【0135】
その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0136】
(実施形態3)
図15は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0137】
この実施形態では、上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に代えて、第1〜第6のスイッチ22−1〜22−6を設けるとともに、1個の電力調整器26によって操作量に応じた位相制御を行うものである。
【0138】
第1〜第6のスイッチ22−1〜22−6は、例えば、半導体素子からなり、操作量算出部9−2によって、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を時分割で順番に駆動するようにオンオフ制御される。電力調整器26は、操作量算出部9−2からの操作量に応じて位相制御を行う。
【0139】
図16は、この実施形態の時分割駆動を説明するための図であり、上述の図2に対応する図である。同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータに対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9−2によって制御される接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1のオンオフ状態を、同図(c)は操作量算出部9−2によって制御される接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4のオンオフ状態を、同図(d)は操作量算出部9−2による操作量の例を、同図(e)は電流検出部12の出力を、それぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図16では、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の第1,第4のスイッチ22−1,22−4のオンオフ状態のみを代表的に示している。
【0140】
先ず、同図(a)に示すように、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態とされ、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4も同図(c)に示すようにオン状態とされる。これによって、電力調整器26は、第1,第4のスイッチ22−1,22−4によって選択された第1のヒータ2−1に対して、同図(d)に示される第1のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第1のヒータ2−1を駆動する。
【0141】
次に、同図(a)に示すように、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、100msecの期間tに亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態に維持され、図示しない接続用端子Y2用の第5のスイッチ22−5がオン状態とされる一方、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4は、同図(c)に示すようにオフ状態される。これによって、電力調整器26は、第1,第5のスイッチ22−1,22−5によって選択された第2のヒータ2−2に対して、同図(d)に示される第2のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第2のヒータ2−2を駆動する。
【0142】
次に、同図(a)に示すように、第3のチャンネル、すなわち、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、100msecの期間tに亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態に維持され、図示しない接続用端子Y3用の第6のスイッチ22−6がオン状態とされる一方、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4は、同図(c)に示すようにオフ状態される。これによって、電力調整器26は、第1,第6のスイッチ22−1,22−6によって選択された第3のヒータ2−3に対して、同図(d)に示される第3のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第3のヒータ2−3を駆動する。
【0143】
以上のようにして1番目の行方向の第1〜第3のヒータ2−1〜2−3が、時分割に、かつ、操作量に応じた位相制御によって駆動される。
【0144】
2番目および3番目の行方向の第4〜第9のヒータ2−4〜2−9も同様にして、時分割で、かつ、操作量に応じて駆動される。
【0145】
その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0146】
(実施形態4)
上述の各実施形態では、電流センサとしてCT11を1個だけ設けたけれども、電力線のケーブルが太い場合には、CTを取り付けることができない。また、上述の各実施の形態のように、各ヒータ2−1〜2−9を時分割で順番に選択して駆動する場合には、1個のCTだけで断線したヒータを特定できるけれども、複数のヒータを同時に選択して駆動する場合には、1個のCTでは、断線したヒータを特定することができない。
【0147】
そこで、本発明の他の実施形態として、例えば、図17に示すように、行方向の3本の各電力線L1−1〜L1−3に、それぞれ第1〜第3のCT11−1〜11−3を設けて行毎に断線を検出するようにしてもよい。なお、この図17において、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0148】
ここで、複数のヒータを同時に駆動する例を、図17および図18に示す。
【0149】
図18は、同時に駆動するヒータが行方向に並んでいる場合の例を示しており、例えば、第1,第2のヒータ2−1,2−2を、操作量50%,70%でそれぞれ駆動する場合の例を示している。この場合、該当行の電力調整器3−1に操作量100%出力し、列方向の該当する電力調整器3−4,3−5に操作量50%,70%をそれぞれ出力する。
【0150】
同時に駆動するヒータが列方向に並んでいる場合も同様に、該当列の電力調整器に操作量100%出力し、行方向の該当する電力調整器に、駆動するヒータの操作量をそれぞれ出力する。
【0151】
図19は、同時に駆動するヒータ2−1,2−3,2−7,2−9が行方向および列方向に並んでいる場合であって、列方向に並んでいるヒータ2−1,2−7;2−3,2−9の操作量が同じ場合の例を示しており、例えば、第1のヒータ2−1と第7のヒータ2−7の操作量が共に90%であり、第3のヒータ2−3と第9のヒータ2−9の操作量が共に70%である場合を示している。この場合、該当行の電力調整器3−1,3−3に操作量100%を出力し、列方向の該当する電力調整器3−4,3−6に操作量90%,70%を出力する。
【0152】
行方向に並んでいるヒータの操作量が同じ場合も同様に、該当列の電力調整器に操作量100%を出力し、行方向の該当する電力調整器に駆動するヒータの操作量をそれぞれ出力する。
【0153】
なお、以上は駆動の一例に過ぎず、様々な組み合わせで駆動してもよい。
【0154】
このように複数のヒータを同時に選択して駆動した場合も、上述の図11に示される1個のヒータ2−1を選択して駆動した場合と同様に、電流の回り込みによる合成抵抗値を算出することができる。
【0155】
図20は、上述の図10の行方向の接続用端子X1〜X3に接続されたスイッチ22−1〜22−3および列方向の接続用端子Y1〜Y3に接続されたスイッチ22−4〜22−6のオン「1」/オフ「0」状態、すなわち、いずれのヒータを選択して駆動しているかに応じた合成抵抗値の例を示すものであり、この図20は、上述とは異なり、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を10Ωとして算出した例を示している。
【0156】
この図20に示すように、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされる、すなわち、X1〜X3のいずれか一つが「1」であって、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされる、すなわち、Y1〜Y3のいずれか一つが「1」であるときには、合成抵抗値は、5.6Ωとなる。また、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたときには、合成抵抗値は、3.9Ωとなる。また、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたときには、2.2Ωとなる。更に、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、3.3Ωとなる。また、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、1.7Ωとなる。更に、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、1.1Ωとなる。
【0157】
以上のように行方向の接続用端子X1〜X3と、列方向の接続用端子Y1〜Y3のスイッチのオン/オフF状態、すなわち、ヒータを選択して駆動する状態に応じて、予め計測した各ヒータの基準抵抗値から合成抵抗値を推定することができる。
【0158】
次に、この実施形態の断線検出の手順について説明する。
【0159】
先ず、ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、その操作量(出力位相角)に基づく印加電圧と、選択して駆動するヒータの行に対応する第1のCT11−1ないし第3のCT11−3のいずかの出力に基づく電流検出部12の電流値とに基づいて、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を基準抵抗値として順番に算出し、上述の判定部13の基準抵抗値記憶部19に予め記憶しておく。
【0160】
実運転時には、ヒータの複数を同時に駆動し、駆動しているヒータの行に対応するCT11−1〜11−3で電流値をそれぞれ計測する。例えば、第1,第4,第7のヒータ2−1,2−4,2−7を選択して同時に駆動している場合には、第1,第4,第7のヒータ2−1,2−4,2−7にそれぞれ対応する第1〜第3のCT11−1〜11−3で電流値をそれぞれ計測する。更に、各ヒータ2−1,2−4,2−7の操作量出力位相角に基づく各印加電圧をそれぞれ算出する。算出された印加電圧のうち最も小さな印加電圧と、第1〜第3のCT11−1〜11−3に基づく各電流値とから、駆動したヒータの行の数だけ、この例では、X1−Y1間、X2−Y1間、X3−Y1間の3つの合成抵抗値をそれぞれ算出する。
【0161】
予め記憶した基準抵抗値から合成抵抗値を、オンした行ごとに推定する。すなわち、この例では、上述の図20のX1−Y1間の合成抵抗値、X2−Y1間の合成抵抗値、X3−Y1間の合成抵抗値をそれぞれ推定することになる。
【0162】
第1〜第3のCT11−1〜11−3で実測された電流値に基づいて算出した各行の合成抵抗値と、予め記憶した基準抵抗値から推定した各行の合成抵抗値とをそれぞれ比較し、その変化率が閾値を越えたときに、その行のヒータが断線していると判定するものである。
【0163】
以上のようにして各行のヒータの断線を検出することができる。
【0164】
なお、各行のヒータの複数を同時に駆動するために、断線したヒータを特定できない場合には、同時に駆動した前記複数のヒータを順番に駆動することにより、上述の実施形態1と同様にして断線したヒータを特定することができる。
【0165】
この実施形態では、各行に対応する電力線L1−1〜L1−3にCT11−1〜11−3および電力調整器3−1〜3−3をそれぞれ設けるので、CT内蔵の電力調整器を用いてもよい。
【0166】
(実施形態5)
図21は、本発明の他の実施形態の図2に対応する図であり、同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータに対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。
【0167】
上述の実施形態1では、図2に示す制御周期Tにおいて、全てのヒータ2−1〜2−9の断線を検出できるように、各チャンネルのヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動する期間tを、電流検出部12によって電流を安定して検出できるように、例えば、100msecとし、制御周期Tが、例えば、900msecであったけれども、制御性能を高めるには、制御周期Tを短くすることが望まれる。
【0168】
そこで、この実施形態では、制御周期T1において、全てのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するのではなく、1個のヒータの断線を検出し、制御周期T1毎に、断線を検出するヒータを順番にずらすものである。例えば、第1の制御周期T1では、第1のヒータ2−1の断線を検出し、第2の制御周期T1では、第2のヒータ2−2の断線を検出し、第3の制御周期T1では、第3のヒータ2−3の断線を検出し、同様に、制御周期T1毎に、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9の断線を順番に検出するものである。
【0169】
これによって、断線を検出するヒータを選択して駆動する期間tは、上述の実施の形態1と同様に、電流検出部12によって電流を安定して検出できるように、例えば、100msecとする一方、断線を検出しないヒータを駆動して選択する期間t1は、電流を検出する必要がないので、例えば、50msecと短くしている。これによって、制御周期T1は、例えば、500msecとなり、実施形態1の制御周期Tの900msecに比べて、大幅に短縮することができる。
【0170】
その他の構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0171】
(実施形態6)
上述の実施形態2のサイクル制御では、全てのチャンネルのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するために、操作量が小さいチャンネルのヒータの断線を検出しようとすると、制御周期におけるオン期間が短いために、電流を安定して検出することができない。したがって、電流を安定して検出しようとすると、操作量を大きくしてオン期間を余分に設定しなければならない。
【0172】
そこで、この実施形態では、図22に示すように、全てのチャンネルのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するのではなく、操作量の大きなチャンネルのヒータについてのみ断線の検出を行うようにしている。図22は、各チャンネルCH1〜CH9の操作量に応じたオンオフ状態を示し、ハイレベルがオンの期間、すなわち、ヒータが駆動されている期間を示している。
【0173】
この実施形態では、各チャンネルCH1〜CH9のヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動するのではなく、最大3チャンネルのヒータを同時に選択して駆動する例を示しており、操作量の大きな3つのチャンネルのヒータについてのみ断線を検出するようにしている。
【0174】
この図22に示すように、最初の制御周期T2では、操作量40%の第1のチャンネルCH1のヒータ2−1がオンしている期間が一番長く、次に操作量30%の第7のチャンネルCH7のヒータ2−7がオンしている期間が長く、更に、操作量20%の第4のチャンネルCH4のヒータ2−4がオンしている期間が長い。この最初の制御周期T2においては、操作量が大きな第1,第7,第4のチャンネルCH1,7,4のヒータ2−1,2−7,2−4の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0175】
また、次の制御周期T2では、操作量20%の第2,第3,第9のチャンネルCH2,3,9のヒータ2−2,2−3,2−9がオンしている期間が長い。この第2の制御周期T2においては、操作量が大きな第2,第3,第9のチャンネルCH2,3,9のヒータ2−2,2−3,2−9の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0176】
更に、次の第3の制御周期T2では、操作量20%の第2,第3,第4のチャンネルCH2,3,4のヒータ2−2,2−3,2−4がオンしている期間が長い。この第3の制御周期T2においては、操作量が大きな第2,第3,第4のチャンネルCH2,3,4のヒータ2−2,2−3,2−4の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0177】
このように制御周期T2において、操作量の大きなチャンネルのヒータ、すなわち、オンしている期間が長いヒータの断線を検出するので、電流検出部12で電流を安定して検出することができる。
【0178】
操作量が小さなチャンネルのヒータの断線は検出しないけれども、かかる操作量の小さなチャンネルのヒータが断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって操作量も大きくなるので、操作量の大きなチャンネルとなり、断線が検出されることになる。
【0179】
なお、この実施形態では、操作量の大きな順番で3チャンネルのヒータの断線を検出したけれども、3チャンネルに限らず、1チャンネルは勿論、2チャンネル、あるいは、4チャンネル以上のヒータの断線を検出してもよい。
【0180】
また、操作量の大きなチャンネルの操作量が同一となった場合には、予め定めた順番、例えば、チャンネル数の若い順にヒータの断線を検出すればよい。
【0181】
また、この実施形態では、サイクル制御に適用して説明したけれども、位相制御などにも適用してもよい。
【0182】
(実施形態7)
上述の各実施形態では、温度調節器で断線を検出したけれども、本発明の他の実施形態として、電力調整器に断線検出機能を内蔵させてもよい。
【0183】
図23は、断線検出機能を有する電力調整器のブロック図である。
【0184】
この電力調整器33は、例えば、上述の図17に示すように、或る行のヒータの断線を検出するものである。
【0185】
この電力調整器33は、行方向の電力線L1と交流電源4との間に介装されたスイッチング素子としてのサイリスタ34を備え、図示ない温度調節器からの操作量に基づいて、出力位相角算出部30で出力位相角を算出し、トリガ回路35で出力位相角に応じたトリガ信号を生成してサイリスタ34に出力してヒータに供給する電力の位相制御を行うものである。
【0186】
この実施形態の電力調整器33は、ヒータの断線を検出できるように、行方向の電力線L1に設けられたCT36からの出力に基づいて、電流検出部37で上述の実施形態と同様に負荷電流を検出する一方、印加電圧算出部31で出力位相角から印加電圧を算出し、この印加電圧と電流検出部37で検出した負荷電流とから合成抵抗算出部38で合成抵抗を算出する。
【0187】
一方、合成抵抗記憶部39には、いずれのヒータが選択されて駆動されているか、すなわち、ヒータの駆動状態に応じた合成抵抗値が予め記憶されている。また、図示しない温度調節器から、いずれのヒータを選択して駆動しているかの駆動状態を示すデータ、具体的には、各行および各列に対応する上述の接続用端子X1,Y1〜X3,Y3のオンオフの動作パターンを番号付けした動作IDが動作ID入力部40に与えられる。断線判定部41では、動作IDに対応する合成抵抗記憶部39の合成抵抗と、合成抵抗算出部38からの合成抵抗とを比較し、その変化率が閾値以上であるか否かに基づいて、断線の有無を判定し、断線と判定されたときには、断線報知部42でそれを報知するものである。
【0188】
(実施形態8)
上述の各実施形態では、熱板1の各ヒータ2−1〜2−9をマトリックス接続したけれども、本発明の他の実施形態として複数のヒータを1列あるいは1行として接続してもよく、例えば、図24に示すように、3個のヒータ2−1〜2−3を、一列に接続し、各ヒータ2−1〜2−3の各一端の電力線の接続用端子X1,X2,X3を、電力調整器3−1〜3−3をそれぞれ介して交流電源4の一端に接続する一方、各ヒータ3−1〜3−3の各他端を共通に接続した電力線の接続用端子Yを、交流電源4の他端に接続してもよい。
【0189】
(その他の実施形態)
CTが1個だけの上述の実施形態1〜3では、ヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動したけれども、上述の実施形態4と同様に、複数のヒータを同時に駆動するようにしてもよい。この場合、同時に駆動した複数のヒータの断線が検出されたときには、前記複数のヒータを順番に1個ずつ駆動して、断線したヒータを特定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、複数の負荷を駆動するシステムなどに有用である。
【符号の説明】
【0191】
1 熱板
2−1〜2−9 ヒータ
3−1〜3−6,33 電力調整器
4 交流電源
5,5−1〜5−4 温度調節器
11,11−1〜11−3 CT
12 電流検出部
13 判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータなどの負荷の断線を検出する断線検出装置、それを用いた制御装置および電力調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、被加熱物を、熱板上に載置して加熱処理するような温度制御においては、温度調節器は、熱板に配設された温度センサからの検出温度に基づいて、熱板の温度が設定温度になるように、熱板に配設されたヒータの通電を制御することにより行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−274069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記熱板に、複数のヒータおよび複数の温度センサを配設して複数の制御点、すなわち、複数チャンネルの温度制御を行なう場合には、各ヒータを個別に駆動できるように、各ヒータと電源とを、スイッチング素子を介してそれぞれ接続し、前記スイッチング素子の開閉を制御して各ヒータを個別に駆動できるようにしている。
【0005】
このため、チャンネル数が多くなる程、スイッチング素子の個数およびヒータの電力線の本数が増大し、電力線は、熱板とスイッチング素子との間を長く引き回されることになり、空間設計や配線作業が煩雑になるといった課題がある。
【0006】
更に、各チャンネルのヒータの断線を検出しようとすると、複数のチャンネル毎に高価なCT(カレントトランス)等の電流センサを設置しなければらず、コストおよび設置スペースが増大するという課題もある。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みて為されたものであって、負荷の電力線の本数、スイッチング素子および電流センサの数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の断線検出装置は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備えている。
【0009】
負荷としては、例えば、ヒータ、ランプ、あるいはモータなどがある。
【0010】
電源は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよい。
【0011】
開閉手段は、リレーであってもよいし、トランジスタ、サイリスタあるいはトライアック等の半導体素子であってもよい。
【0012】
「前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列」とは、複数の第1の電力線、複数の第2の電力線および複数の負荷の実際の物理的な配列に拘らず、両電力線と負荷との接続状態を定義するための仮想的な配列をいう。したがって、この仮想的な配列は、両電力線および負荷の実際の物理的な配列を制約するものではない。
【0013】
また、「横方向と縦方向とに平行に配列」とは、複数の第1の電力線を横方向(行方向)に平行に配列し、複数の第2の電力線を縦方向(列方向)に平行に配列することをいい、したがって、両電力線が交差する部分が生じる。
【0014】
「両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され」とは、仮想的に配列された両電力線が交差する部分に対応して、各負荷が両電力線間に電気的に接続されることをいう。
【0015】
複数の第1の電力線および複数の第2の電力線は、それぞれ横方向(行方向)および縦方向(列方向)に平行に仮想的に配列され、それらの交点に対応して各負荷が、両電力線間に接続されるので、複数の各負荷は、行方向の複数の第1の電力線と列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続されることになる。
【0016】
両電力線が交差する部分の全てに、負荷をそれぞれ接続して完全なマトリックス接続とするのが好ましいが、前記交差する部分の全てに負荷をそれぞれ接続するのではなく、負荷が接続されない前記交差する部分があってもよい。すなわち、不完全なマトリックス接続であってもよい。また、前記交差する部分に、負荷を接続しない場合には、前記両電力線とは別の電力線に接続される負荷を、前記交差する部分に対応して設けてもよい。
【0017】
制御装置は、開閉手段の開閉量を制御して負荷に供給する電力を制御するものであり、この電力制御は、ON/OFF制御、位相制御、あるいは、サイクル制御などが好ましい。
【0018】
複数の負荷を選択して駆動するとは、複数の負荷の内、1個の負荷を選択して駆動してもよいし、複数の負荷を選択して同時に駆動してもよい。
【0019】
電流センサは、複数の第1の電力線および複数の第2の電力線の各電力線にそれぞれ設けてもよいし、複数の第1の電力線の各電力線のみにそれぞれ設けてもよいし、あるいは、複数の第2の電力線の各電力線のみにそれぞれ設けてもよいし、少なくとも1個の電流センサを、共通化された電力線に設ければよい。
【0020】
負荷の駆動状態とは、いずれの負荷が選択されて駆動されているかという負荷の選択の状態、また、駆動されている負荷の電力制御の状態、例えば、負荷に対する操作量の状態などをいう。
【0021】
本発明の断線検出装置は、制御装置や電力調整器などに内蔵させてもよい。
【0022】
本発明の断線検出装置によると、制御装置によって、第1,第2の開閉手段の開閉を制御することによって、仮想的に横方向(行方向)に平行に配列された複数の第1の電力線と、仮想的に縦方向(列方向)に平行に配列された複数の第2の電力線との交差部分に接続された負荷、すなわち、行方向の複数の第1の電力線と、列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0023】
(2)本発明の他の実施形態では、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0024】
正常時の前記複数の負荷の抵抗値は、予め複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動し、電流センサの出力に基づいてそれぞれ求めるのが好ましい。
【0025】
抵抗値を用いてとは、例えば、抵抗値を用いて負荷の駆動状態に応じた電流値を求めたり、抵抗値を用いて負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値を求めることなどをいう。
【0026】
この実施形態によると、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、負荷の駆動状態に応じて正常時に電力線を流れる電流の値や負荷の駆動状態に応じた正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0027】
(3)本発明の一つの実施形態では、前記判定手段は、前記制御装置によって駆動される負荷が選択されるタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得するものである。
【0028】
負荷が選択されるタイミングに応じて電流値を取得するとは、負荷が選択されるタイミングと同じタイミングで電流値を取得してもよいが、負荷が選択されるタイミングから一定期間遅れたタイミング、例えば、次の負荷が選択される直前のタイミングで電流値を取得することをいい、前記一定期間は、負荷を選択した後、判定用の電流値が安定するのに要する期間であるのが好ましい。
【0029】
電流センサの出力に基づく判定用の電流値とは、電流センサの出力を全波整流し平均化した断線の判定に用いる電流値、あるいは、電流センサの出力のピーク値をホールドした断線の判定に用いる電流値などをいう。
【0030】
この実施形態によると、負荷が選択されて駆動される度に、電流センサの出力に基づく断線判定用の安定した電流値がサンプリングされて断線の有無が判定される。
【0031】
(4)本発明の他の実施形態では、前記制御装置は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0032】
制御装置は、複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する以外に、2個以上の負荷を選択して同時に駆動するモードや複数の負荷の全てを同時に駆動するモードを有してもよい。
【0033】
この実施形態によると、負荷を1個ずつ順番に選択して駆動するので、複数の第1の電力線または複数の第2の電力線を共通化した1本の電力線に、1個の電流センサを設けて各負荷の断線を検出することが可能となり、電流センサの個数を1個にすることができる。
【0034】
(5)上記(4)の実施形態では、前記制御装置は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長し、前記判定手段は、前記制御装置によって前記期間が延長された前記負荷の断線の有無を判定するようにしてもよい。
【0035】
前記期間を延長する負荷は、例えば、操作量が大きな負荷、あるいは、制御量が小さいチャンネルの負荷、例えば、温度が低いチャンネルの負荷などとし、これらの負荷の断線の有無を優先的に判定するようにしてもよい。
【0036】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0037】
(6)上記(5)の実施形態では、前記制御装置は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせてもよい。
【0038】
各制御周期において、前記期間が延長される負荷は、1個であるのが好ましく、期間を延長する負荷は、制御周期毎に順番にずらすのが好ましい。
【0039】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0040】
(7)本発明の他の実施形態では、前記制御装置は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定するものである。
【0041】
予め定めた個数は、1個であってもよいし、複数であってもよい。
【0042】
操作量の大きな予め定めた個数の負荷とは、複数の負荷の内から操作量の大きな順に選ばれる予め定めた個数の負荷をいう。
【0043】
この実施形態によると、操作量の大きな負荷、すなわち、第1,第2の開閉手段がON(閉)している期間が長い負荷、したがって、電流センサの出力が安定する期間を十分に確保できる負荷についてのみ断線を検出するので、精度の高い断線検出が可能となる。
【0044】
また、操作量の小さな負荷が断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって、操作量が大きくなる結果、操作量が大きな予め定めた個数の負荷に含まれることになって、断線が検出されることになる。
【0045】
(8)本発明の断線検出装置は、複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備え、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0046】
本発明の断線検出装置によると、制御装置によって、開閉手段の開閉を制御することで、共通の電力線と前記開閉手段との間に接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0047】
しかも、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0048】
(9)本発明の制御装置は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備えている。
【0049】
本発明の制御装置によると、第1,第2の開閉手段の開閉を制御することによって、仮想的に横方向(行方向)に平行に配列された複数の第1の電力線と、仮想的に縦方向(列方向)に平行に配列された複数の第2の電力線との交差部分に接続された負荷、すなわち、行方向の複数の第1の電力線と、列方向の複数の第2の電力線との間に、マトリックス接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0050】
(10)本発明の一つの実施形態では、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0051】
この実施形態によると、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0052】
(11)本発明の他の実施形態では、前記判定手段は、駆動する負荷を選択するタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得するものである。
【0053】
この実施形態によると、負荷が選択されて駆動される度に、電流センサの出力に基づく断線判定用の安定した電流値がサンプリングされて断線の有無が判定される。
【0054】
(12)本発明の更に他の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0055】
この実施形態によると、負荷を1個ずつ選択して駆動するので、複数の第1の電力線または複数の第2の電力線を共通化した1本の電力線に、1個の電流センサを設けて各負荷の断線を検出することが可能となり、電流センサの個数が1個となる。
【0056】
(13)上記(12)の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長し、前記判定手段は、前記期間が延長された負荷の断線の有無を判定するようにしてもよい。
【0057】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0058】
(14)上記(13)の実施形態では、前記駆動制御手段は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせてもよい。
【0059】
この実施形態によると、断線を検出する負荷についてのみ、該負荷を選択して駆動する期間を延長するので、電流センサの出力が安定するのに必要な期間を確保して精度よく断線を検出することができるとともに、他の負荷を選択して駆動する各期間は、短くできるので、制御周期内で複数の負荷の全てについて断線を検出する構成に比べて、制御周期を短くすることが可能となり、制御性能を向上させることができる。
【0060】
(15)本発明の他の実施形態では、前記駆動制御手段は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定するものである。
【0061】
この実施形態によると、操作量の大きな負荷、すなわち、第1,第2の開閉手段がON(閉)している期間が長い負荷、したがって、電流センサの出力が安定する期間を十分に確保できる負荷についてのみ断線を検出するので、精度の高い断線検出が可能となる。
【0062】
また、操作量の小さな負荷が断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって、操作量が大きくなる結果、操作量が大きな予め定めた個数の負荷に含まれることになって、断線が検出されることになる。
【0063】
(16)本発明の一つの実施形態では、前記駆動制御手段は、複数の負荷を同時に選択して駆動するものであって、前記判定手段によって、同時に駆動される前記複数の負荷のいずれかが断線していると判定されたときには、前記複数の負荷を順番に選択して駆動するものである。
【0064】
この実施形態によると、複数の負荷を同時に駆動して断線は検出されたものの、どの負荷が断線したかを特定できないときに、前記複数の負荷を順番に駆動することによって、複数の負荷のいずれの負荷が断線したかを特定することができる。
【0065】
(17)本発明の好ましい実施形態では、前記判定手段によって、断線と判定されたときには、それを報知する断線報知手段を備えている。
【0066】
断線報知手段は、表示や接点出力などによって断線および断線した負荷を報知するのが好ましい。
【0067】
この実施形態によると、断線が検出されたときには、それを報知するので、ユーザは、迅速に適切な措置をとることができる。
【0068】
(18)本発明の制御装置は、複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、前記開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定するものである。
【0069】
本発明の制御装置によると、開閉手段の開閉を制御することによって、共通の電力線と前記開閉手段との間に接続された負荷を選択して駆動することができ、負荷毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数、したがって、断線を検出するために前記電力線に設ける電流センサの個数を削減できるとともに、スイッチング素子等の開閉手段の個数も削減することができる。
【0070】
しかも、判定手段では、正常時の複数の負荷の抵抗値に基づいて、正常時に電力線を流れる電流の値や正常時の合成抵抗値を求めることができる一方、電流センサの出力から電力線を流れる電流の値や合成抵抗値を求めることができるので、それらを比較して断線の有無を判定することができる。
【0071】
(19)本発明の電力調整器は、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1の電力線と電源との間、または、前記第2の電力線と前記電源との間に設けられるとともに、前記複数の負荷を選択して駆動する制御装置によって制御される電力調整器であって、前記複数の負荷の駆動状態を示すデータが、前記制御装置から入力される入力部と、前記複数の負荷の駆動状態に応じた基準抵抗値が予め記憶される記憶部と、当該電力調整器が設けられている電力線を流れる電流を検出する電流センサの出力および前記制御装置からの制御信号に基づいて、抵抗値を算出する算出部と、前記入力部に入力される駆動状態に対応する前記基準抵抗値と前記算出部で算出される抵抗値とに基づいて、断線の有無を判定する判定部とを備えている。
【0072】
複数の負荷の駆動状態とは、複数の負荷の内のいずれの負荷が選択されて駆動されているかという駆動状態をいう。
【0073】
基準抵抗値としては、負荷の駆動状態に応じた合成抵抗値であるのが好ましい。
【0074】
制御装置からの制御信号は、操作量であるのが好ましく、算出部では、電流センサの出力に基づく電流値と操作量に基づく印加電圧とから合成抵抗値を算出するのが好ましい。
【0075】
電流センサは、当該電力調整器に内蔵させてもよいし、別に設けてもよい。
【0076】
本発明の電力調整器によると、複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間にマトリックス接続された負荷の断線を、制御装置から入力される負荷の駆動状態を示すデータ、予め記憶された基準抵抗値、電流センサの出力および制御装置からの制御信号に基づいて検出することができる。
【発明の効果】
【0077】
本発明によれば、複数の電力線を複数の負荷で共用化しているので、従来例に比べて、電力線等の本数、したがって、該電力線に設けて電流を検出する電流センサの個数を削減することができ、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易になるとともに、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の実施形態の温度調節器を備えるシステムの概略構成図である。
【図2】図1の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図3】図1の実施形態のステップ応答波形を示す図である。
【図4】図1の電流検出部の構成を示す図である。
【図5】図4の各部の波形を示す図である。
【図6】ヒータの印加電圧と電流検出部で検出される平均電流を示す図である。
【図7】電流検出の他の例を示す図である。
【図8】図1の判定部の構成を示す図である。
【図9】位相制御された印加電圧を示す図である。
【図10】合成抵抗値の変化に基づく断線判定を説明するための図である。
【図11】電流の回り込みによる合成抵抗値を説明する図である。
【図12】断線時の図11(C)に対応する図である。
【図13】本発明の他の実施形態の図1に対応する図である。
【図14】図13の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【図16】図15の9個のヒータの時分割駆動を示す図である。
【図17】本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【図18】複数のヒータの同時駆動の例を示す図である。
【図19】複数のヒータの同時駆動の他の例を示す図である。
【図20】複数のヒータに対応する接続用端子のオン(1)/オフ(0)状態と合成抵抗値との関係を示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態の図2に対応する図である。
【図22】本発明の他の実施形態の各チャンネルの操作量と電流検出部の出力を示す図である。
【図23】本発明の係る電力調整器のブロック図である。
【図24】本発明の他の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0080】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態に係る制御装置としての温度調節器5を備える温度制御システムの概略構成図である。
【0081】
この温度制御システムは、熱板1の9つの制御点の温度を制御する、9チャンネルの制御を行うものであり、熱板1には、負荷として9個の第1〜第9のヒータ2−1〜2−9および図示しない9個の温度センサが配設されている。
【0082】
この実施形態では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9は、行方向の3本の第1の電力線L1−1〜L1〜3と、列方向の3本の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続される。
【0083】
すなわち、第1〜第3のヒータ2−1〜2−3の各一端が、上側の行方向の第1の電力線L1−1に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。また、第4〜第6のヒータ2−4〜2−6の各一端が、中間の行方向の第1の電力線L1−2に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。更に、第7〜第9のヒータ2−7〜2−9の各一端が、下側の行方向の第1の電力線L1−3に接続され、各他端が、3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続される。
【0084】
つまり、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3を行方向に平行に配列し、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3を列方向に平行に配列したときに、両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3が交差する部分、すなわち、9箇所の交差部分で、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の各一端が第1の電力線L1−1〜L1−3にそれぞれ接続されるとともに、各他端が第2の電力線L2−1〜L2−3にそれぞれ接続されている。
【0085】
なお、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3を行方向に平行に配列し、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3を列方向に平行に配列しているが、かかる配列は、必ずしも両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3の実際の物理的配列を示すものではなく、両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3と各ヒータ2−1〜2−9との接続状態を明確に示すための仮想的な配列である。
【0086】
熱板1から引き出された3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3の各接続用端子X1〜X3は、第1〜第3の電力調整器3−1〜3−3を介して交流電源4の一端に接続される。また、熱板1から引き出された3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3の各接続用端子Y1〜Y3は、第4〜第6の電力調整器3−4〜3−6を介して交流電源4の他端に接続される。
【0087】
このように9個のヒータ2−1〜2−9は、3本の行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と3本の列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、マトリックス接続されているので、行方向に対応する第1〜第3の電力調整器3−1〜3−3と、列方向に対応する第4〜第6の電力調整器3−4〜3−6とを制御することにより、いずれかのヒータ2−1〜2−9を選択して交流電源4からの電力によって駆動することができる。
【0088】
この温度制御システムは、熱板1に配設された9個の図示しない温度センサからの検出温度(PV)と設定温度目標温度とに基づいて、PID演算等を行って算出される9チャンネル分の操作量を上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に振り分けて出力する温度調節器5と、この温度調節器5からの操作量に基づいて、9個のヒータ2−1〜2−9への交流電力を位相制御する上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6とを備えている。
【0089】
温度調節器5は、熱板1に配設された図示しない9個の温度センサからの検出温度が入力される制御量入力部6と、例えば、上位機器から目標温度が入力される目標値入力部7と、制御量入力部6からの検出温度に基づいて、駆動するヒータを選択する駆動対象選択部8と、制御量入力部6からの検出温度と目標値入力部7からの目標温度とに基づいて、PID演算等を行って9チャンネル分の操作量を算出するとともに、駆動対象選択部8で後述のように選択されるヒータに応じて、9チャンネル分の操作量を、第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に振り分けて出力する操作量算出部9とを備えている。駆動対象選択部8と操作量算出部9とによって、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を選択して駆動する駆動制御手段が構成される。
【0090】
更に、この実施形態の温度調節器5は、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の断線を検出する断線検出装置10を内蔵している。この断線検出装置10は、行方向の電力調整器3−1〜3−3よりも交流電源4側の電力線に設けられた電流センサとしてCT(カレントトランス)11の出力に基づいて、負荷電流を検出する電流検出部12と、電流検出部12の出力、および、ヒータの駆動状態として、駆動するヒータおよびそのヒータの操作量に基づいて、断線の有無を後述のように判定する判定部13と、判定部13で断線であると判定されたときに、それを報知する断線報知部14とを備えている。電流検出部12および判定部12によって断線の有無を判定する判定手段が構成される。
【0091】
この実施形態では、温度調節器5は、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を、1個ずつ順番に時分割で駆動する、すなわち、1個ずつ順番にスキャン(走査)する。
【0092】
図2は、この時分割駆動を説明するための図であり、同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータ2−1〜2−9に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、後述の異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図2では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9に個別的に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の内、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の操作量のみを代表的に示している。
【0093】
先ず、同図(a)に示すように、駆動対象選択部8によって、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、以下同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に100msecの期間tに亘って選択され、制御周期Tにおいて、各ヒータ2−1〜2−9が1個ずつ順番に選択される。
【0094】
第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、選択された期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第1のチャンネルの操作量とされ、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオンに対応する100%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第1のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第4の電力調整器3−4のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第1のヒータ2−1に与えられて駆動される。
【0095】
次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、選択された期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第2のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y2用の操作量は、オンに対応する100%にされる。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第2のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第5の電力調整器3−5のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第2のヒータ2−2に与えられて駆動される。
【0096】
次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、選択されている期間tでは、操作量算出部9によって、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第3のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y3用の操作量は、オンに対応する100%にされる。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、第1の電力調整器3−1で、第3のチャンネルの操作量に応じた位相制御が行われる一方、第6の電力調整器3−6のスイッチング素子がオン状態とされ、交流電力が位相制御されて第3のヒータ2−3に与えられて駆動される。
【0097】
以下、同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に時分割で選択されて駆動される。
【0098】
なお、図3に、目標温度SPを10℃変化させたときのステップ応答波形を示しており、同図(a)は目標温度SPを、同図(b)は各チャンネルの検出温度PVをそれぞれ示している。チャンネル毎に順番に駆動するので、同図(b)に示すように、多少のチャンネル間の温度のばらつきは認められるものの、高い精度が要求されない汎用的な用途の温度制御の性能としては、十分である。
【0099】
この実施形態の温度調節器5は、上述のように断線検出装置10を内蔵しており、この断線検出装置10によってヒータの断線を検出するものである。
【0100】
図4は、図1の断線検出装置10の電流検出部12の構成を示す図であり、図5は、各部の波形の例を示す図である。
【0101】
この実施形態の電流検出部12は、ローパスフィルタ(LPF)を用いて平均電流から実効電流を求めるものである。この電流検出部121は、電流センサであるCT11からの図5(a)に示される出力を、図5(b)に示すように全波整流する全波整流部15と、この全波整流部15の出力から図5(c)に示すように、直流成分のみを取り出して平均電流にするローパスフィルタ16と、このローパスフィルタ16の出力をA/D変換するA/D変換部17と、このA/D変換部17からのディジタルデータから実効電流を算出するCPU18とを備えている。なお、A/D変換部17およびCPU18は、断線の有無の判定、操作量の算出、および、駆動対象の選択等の各種機能を有するマイクロコンピュータ25に含まれている。
【0102】
このようにローパスフィルタ16を用いて平均電流にするので、電源ノイズの影響を低減することができる。このローパスフィルタ16のカットオフ周波数は、例えば、20Hz程度が好ましい。
【0103】
この実施形態では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を1個ずつ時分割に選択して順番に駆動しており、駆動するヒータを選択した瞬間、すなわち、駆動するヒータを切換えた瞬間には、ローパスフィルタ16の時定数のために電流が未だ安定しておらず、正確に検出することができない虞がある。
【0104】
図6(a),(b)は、電流検出部12で検出される平均電流およびヒータへの印加電圧を示す図であり、上述の各チャンネルのヒータが選択されて駆動される期間t(100msec)を併せて示している。
【0105】
操作量に応じて位相制御された電圧の印加を、同図(b)に示すように開始した後、電流検出部12で検出される平均電流が安定するまでには、同図(a)に示すように、50msec程度必要である。
【0106】
そこで、この実施形態では、上述の図2(d)の矢印で示す異常判定のタイミングのように、駆動するヒータを選択するタイミングに応じて、切換えた後一定期間、例えば、70msecが経過した時、すなわち、次に駆動するヒータに切換える前に、平均電流をサンプリングして断線の有無を判定するようにしている。
【0107】
なお、本発明の他の実施形態として、電流検出部12では、図7に示すように、電流のピーク値Pをホールドし、このピーク値Pおよび操作量に基づく出力位相角から実効電流を求めるようにしてもよい。この場合には、上述のように電流が安定するまで待つ必要がなく、半波単位のより早いタイミングで断線の有無を判定することができる。
【0108】
図8は、図1の断線検出装置10の判定部13の構成を示す図である。この実施形態の判定部13は、操作量算出部9からの操作量に基づいて、ヒータの印加電圧の割合を示す出力位相角を算出する出力位相角算出部30と、出力位相角からヒータの印加電圧を算出する印加電圧算出部31と、ヒータの印加電圧と電流検出部12で求められる実効電流とに基づいて、合成抵抗値を算出する合成抵抗値算出部20と、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9の抵抗値を基準抵抗値として予め記憶する基準抵抗値記憶部19と、これら基準抵抗値と、いずれのヒータが選択されているかに応じて、合成抵抗値を推定する合成抵抗推定部32と、合成抵抗推定部32で推定された合成抵抗値と合成抵抗値算出部20で算出された合成抵抗値とを比較し、その変化率に基づいて駆動しているヒータの断線の有無を判定する断線判定部21とを備えている。
【0109】
図9は、位相制御されたヒータの印加電圧を示しており、出力位相角算出部30では、操作量に基づいて、図9に示される出力位相角を算出する。断線判定部21では、前記変化率が閾値を越えたときに、断線であると判定する。この断線判定部21によって断線と判定されたときには、断線報知部14によって、ヒータが断線した旨や断線したヒータを特定する報知がなされる。この報知は、例えば、表示部によるエラー表示や接点出力によって行われる。
【0110】
図10は、判定部13における合成抵抗値の変化に基づく断線判定を説明するための図である。
【0111】
ここでは、簡略化のために、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を20Ωとし、第1のヒータ2−1が断線した場合に、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1の第1,第4のスイッチ22−1,22−4がオンされて第1のヒータ2−1を選択し、100Vの電圧を印加して駆動している状態を想定する。
【0112】
この状態において、断線が生じていない正常時には、図11(a)に示すように、電流の回り込みによって回り込みのループが形成され、同図(b)、(c)に示すように、第1のヒータ2−1の抵抗値20Ωに、並列に他のヒータによる抵抗値25Ωが接続されているのと等価となり、合成抵抗値は、11.1Ωとなる。このとき、電流検出部12で検出される負荷電流は、9Aとなるはずである。
【0113】
これに対して、第1のヒータ2−1が断線しているときには、図12に示すように、合成抵抗値は25Ωとなり、電流検出部12で検出される負荷電流は、4Aとなるはずである。
【0114】
このように断線時には、合成抵抗値あるいは電流値が変化するので、それに基づいて、断線を検出することができる。
【0115】
この実施形態では、合成抵抗値の変化に基づいて断線を検出しており、例えば、第1のヒータ2−1を選択して100Vの電圧を印加しているときに、電流検出部12で検出される電流値が4Aであれば、合成抵抗値25Ωが算出される一方、第1のヒータ2−1が選択されて駆動されているときの合成抵抗値は、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値20Ωに基づいて、上述のように11.1Ωとなる。
【0116】
したがって、両合成抵抗値を比較し、その変化率が閾値を越えることによって、断線と判定することができる。
【0117】
このように各チャンネルのヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動するとともに、電流検出部12で検出される電流値と操作量(出力位相角)に基づく印加電圧とから合成抵抗値を算出する一方、いずれのヒータを選択して駆動しているかの駆動状態に応じて、基準抵抗値から合成抵抗値を推定し、両合成抵抗値を比較して、その変化率に基づいて、選択しているヒータが断線しているか否かを検出するものである。
【0118】
次に、この実施形態の断線検出の手順を説明する。
【0119】
先ず、ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、その操作量(出力位相角)に基づく印加電圧と、CT11の出力から電流検出部12で検出される電流値とに基づいて、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値をそれぞれ算出し、判定部13の基準抵抗値記憶部19に基準抵抗値として予め記憶する。
【0120】
実運転時には、上述のようにヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、CT11の出力に基づいて、電流検出部12で電流値を検出する。判定部13では、駆動しているヒータの操作量出力位相角に基づく印加電圧と、上述の異常判定のタイミングで取得した電流検出部12からの電流値とに基づいて合成抵抗値を算出する。
【0121】
一方、予め記憶した基準抵抗値から、選択しているヒータに応じて、例えば、上述の図10に示すように、合成抵抗値を推定する。
【0122】
検出した電流値に基づく合成抵抗値と、予め記憶した基準抵抗値に基づく合成抵抗値とを比較し、その変化率が閾値を越えたときに、選択して駆動した1個のヒータが断線していると判定し、断線報知部14で断線である旨を報知するものである。
【0123】
以上のように、行方向の第1の電力線L1−1〜L1−3と列方向の第2の電力線L2−1〜L2−3との間に、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9をマトリックス接続して順番に選択的に駆動するので、ヒータ毎に、スイッチング素子を介して電源に個別に接続して駆動する従来例に比べて、電力線の本数およびスイッチング素子の個数を削減することができるとともに、断線を検出するための高価なCTを1個にすることができる。これによって、電力線を引き回すための空間設計や配線作業が容易になるとともに、コストを低減することができる。
【0124】
また、従来の温度調節器では、チャンネル毎に、ヒータ制御用の端子と、CTが接続される断線検出用の端子とがそれぞれ必要であったのに対して、この実施形態では、断線検出用の端子については、9チャンネルについて1個のCTを接続する端子を設ければよく、端子効率が向上する。
【0125】
この実施形態では、抵抗値に基づいて断線の有無を判定したけれども、本発明の他の実施形態として、電流検出部12で検出される電流値に基づいて、断線を検出してもよい。すなわち、電流検出部12で検出される電流値、例えば、上述の図12の電流値4Aと、基準抵抗値に基づく合成抵抗値と操作量(出力位相角)から求まる印加電圧とから算出される電流値、例えば、上述の図11に示される電流値9Aとを比較し、電流値の変化率が閾値を越えているときに、断線と判定するようにしてもよい。
【0126】
上述の実施形態では、3本の第1の電力線L1−1〜L1−3と、3本の第2の電力線L2−1〜L2−3とが交差する9箇所全てに、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9をそれぞれ接続したけれども、交差する9箇所の内、ヒータを設けない箇所があってもよい。また、交差する9箇所の内、前記両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3に接続されるヒータに代えて、前記両電力線L1−1〜L1−3,L2−1〜L2−3とは異なる別の電力線に対して、個別に接続されるヒータ、あるいは、マトリックス接続されるヒータを設ける箇所があってもよい。
【0127】
(実施形態2)
図13は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0128】
この実施形態では、上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に代えて、第1〜第6のSSR23−1〜23−6およびそれらを制御する電力調整器としてのPWMコントローラ24を設けたものである。このPWMコントローラ24は、サイクル制御、すなわち、交流電源のゼロ電圧時に合わせてスイッチング素子を導通させ、導通サイクル数と非導通サイクル数との比率を変えることにより負荷への平均供給電力を制御するものである。
【0129】
図14は、この実施形態の時分割駆動を説明するための図であり、上述の図2に対応する図である。同図(a)は駆動対象選択部8によって選択される各ヒータ2−1〜−9に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9−1による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9−1による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図14では、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9に個別的に対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の内、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の操作量のみを代表的に示している。
先ず、同図(a)に示すように、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、同じく100msecの期間tに亘って選択され、以下同様にして、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9まで順番に100msecの期間tに亘って選択され、制御周期Tにおいて、各ヒータ2−1〜2−9が順番に選択される。
【0130】
第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、選択された期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第1のチャンネルの操作量とされ、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオンに対応する100%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第1のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第4のSSR23−4の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第1のヒータ2−1が駆動される。
【0131】
次に、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、選択された期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第2のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y2用の操作量は、オンに対応する100%される。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第2のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第5のSSR23−5の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第2のヒータ2−2が駆動される。
【0132】
次に、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、選択されている期間tでは、接続用端子X1用の操作量は、同図(b)に示す第3のチャンネルの操作量とされ、図示しない接続用端子Y3用の操作量は、オンに対応する100%される。なお、接続用端子Y1用の操作量は、同図(c)に示すようにオフに対応する0%とされる。これによって、PWMコントローラ24は、第1のSSR23−1に対して、第3のチャンネルの操作量に応じたサイクル制御を行う一方、第6のSSR23−6の接点をオン状態に制御し、サイクル制御された電力に応じて第3のヒータ2−3が駆動される。
【0133】
以上のようにして1番目の行方向の第1〜第3のヒータ2−1〜2−3が、時分割に、かつ、操作量に応じたサイクル制御によって駆動される。
【0134】
2番目および3番目の行方向の第4〜第9のヒータ2−4〜2−9も同様にして、時分割で、かつ、操作量に応じたサイクル制御によって駆動される。
【0135】
その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0136】
(実施形態3)
図15は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0137】
この実施形態では、上述の第1〜第6の電力調整器3−1〜3−6に代えて、第1〜第6のスイッチ22−1〜22−6を設けるとともに、1個の電力調整器26によって操作量に応じた位相制御を行うものである。
【0138】
第1〜第6のスイッチ22−1〜22−6は、例えば、半導体素子からなり、操作量算出部9−2によって、第1〜第9のヒータ2−1〜2−9を時分割で順番に駆動するようにオンオフ制御される。電力調整器26は、操作量算出部9−2からの操作量に応じて位相制御を行う。
【0139】
図16は、この実施形態の時分割駆動を説明するための図であり、上述の図2に対応する図である。同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータに対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9−2によって制御される接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1のオンオフ状態を、同図(c)は操作量算出部9−2によって制御される接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4のオンオフ状態を、同図(d)は操作量算出部9−2による操作量の例を、同図(e)は電流検出部12の出力を、それぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。なお、この図16では、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1用の第1,第4のスイッチ22−1,22−4のオンオフ状態のみを代表的に示している。
【0140】
先ず、同図(a)に示すように、第1のチャンネル、すなわち、第1のヒータ2−1に対応する接続用端子X1,Y1が、一定期間t、例えば、100msecの期間に亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態とされ、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4も同図(c)に示すようにオン状態とされる。これによって、電力調整器26は、第1,第4のスイッチ22−1,22−4によって選択された第1のヒータ2−1に対して、同図(d)に示される第1のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第1のヒータ2−1を駆動する。
【0141】
次に、同図(a)に示すように、第2のチャンネル、すなわち、第2のヒータ2−2に対応する接続用端子X1,Y2が、100msecの期間tに亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態に維持され、図示しない接続用端子Y2用の第5のスイッチ22−5がオン状態とされる一方、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4は、同図(c)に示すようにオフ状態される。これによって、電力調整器26は、第1,第5のスイッチ22−1,22−5によって選択された第2のヒータ2−2に対して、同図(d)に示される第2のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第2のヒータ2−2を駆動する。
【0142】
次に、同図(a)に示すように、第3のチャンネル、すなわち、第3のヒータ2−3に対応する接続用端子X1,Y3が、100msecの期間tに亘って選択され、このとき、接続用端子X1用の第1のスイッチ22−1は、同図(b)に示すようにオン状態に維持され、図示しない接続用端子Y3用の第6のスイッチ22−6がオン状態とされる一方、接続用端子Y1用の第4のスイッチ22−4は、同図(c)に示すようにオフ状態される。これによって、電力調整器26は、第1,第6のスイッチ22−1,22−6によって選択された第3のヒータ2−3に対して、同図(d)に示される第3のチャンネルの操作量に応じた位相制御を行って第3のヒータ2−3を駆動する。
【0143】
以上のようにして1番目の行方向の第1〜第3のヒータ2−1〜2−3が、時分割に、かつ、操作量に応じた位相制御によって駆動される。
【0144】
2番目および3番目の行方向の第4〜第9のヒータ2−4〜2−9も同様にして、時分割で、かつ、操作量に応じて駆動される。
【0145】
その他の構成は、上述の実施形態1と同様である。
【0146】
(実施形態4)
上述の各実施形態では、電流センサとしてCT11を1個だけ設けたけれども、電力線のケーブルが太い場合には、CTを取り付けることができない。また、上述の各実施の形態のように、各ヒータ2−1〜2−9を時分割で順番に選択して駆動する場合には、1個のCTだけで断線したヒータを特定できるけれども、複数のヒータを同時に選択して駆動する場合には、1個のCTでは、断線したヒータを特定することができない。
【0147】
そこで、本発明の他の実施形態として、例えば、図17に示すように、行方向の3本の各電力線L1−1〜L1−3に、それぞれ第1〜第3のCT11−1〜11−3を設けて行毎に断線を検出するようにしてもよい。なお、この図17において、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0148】
ここで、複数のヒータを同時に駆動する例を、図17および図18に示す。
【0149】
図18は、同時に駆動するヒータが行方向に並んでいる場合の例を示しており、例えば、第1,第2のヒータ2−1,2−2を、操作量50%,70%でそれぞれ駆動する場合の例を示している。この場合、該当行の電力調整器3−1に操作量100%出力し、列方向の該当する電力調整器3−4,3−5に操作量50%,70%をそれぞれ出力する。
【0150】
同時に駆動するヒータが列方向に並んでいる場合も同様に、該当列の電力調整器に操作量100%出力し、行方向の該当する電力調整器に、駆動するヒータの操作量をそれぞれ出力する。
【0151】
図19は、同時に駆動するヒータ2−1,2−3,2−7,2−9が行方向および列方向に並んでいる場合であって、列方向に並んでいるヒータ2−1,2−7;2−3,2−9の操作量が同じ場合の例を示しており、例えば、第1のヒータ2−1と第7のヒータ2−7の操作量が共に90%であり、第3のヒータ2−3と第9のヒータ2−9の操作量が共に70%である場合を示している。この場合、該当行の電力調整器3−1,3−3に操作量100%を出力し、列方向の該当する電力調整器3−4,3−6に操作量90%,70%を出力する。
【0152】
行方向に並んでいるヒータの操作量が同じ場合も同様に、該当列の電力調整器に操作量100%を出力し、行方向の該当する電力調整器に駆動するヒータの操作量をそれぞれ出力する。
【0153】
なお、以上は駆動の一例に過ぎず、様々な組み合わせで駆動してもよい。
【0154】
このように複数のヒータを同時に選択して駆動した場合も、上述の図11に示される1個のヒータ2−1を選択して駆動した場合と同様に、電流の回り込みによる合成抵抗値を算出することができる。
【0155】
図20は、上述の図10の行方向の接続用端子X1〜X3に接続されたスイッチ22−1〜22−3および列方向の接続用端子Y1〜Y3に接続されたスイッチ22−4〜22−6のオン「1」/オフ「0」状態、すなわち、いずれのヒータを選択して駆動しているかに応じた合成抵抗値の例を示すものであり、この図20は、上述とは異なり、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を10Ωとして算出した例を示している。
【0156】
この図20に示すように、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされる、すなわち、X1〜X3のいずれか一つが「1」であって、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされる、すなわち、Y1〜Y3のいずれか一つが「1」であるときには、合成抵抗値は、5.6Ωとなる。また、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたときには、合成抵抗値は、3.9Ωとなる。また、例えば、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたときには、2.2Ωとなる。更に、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか一つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか一つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、3.3Ωとなる。また、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のいずれか二つのスイッチがオンされたとき、あるいは、行方向の接続用端子X1〜X3のいずれか二つのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、1.7Ωとなる。更に、行方向の接続用端子X1〜X3のすべてのスイッチがオンされ、列方向の接続用端子Y1〜Y3のすべてのスイッチがオンされたときには、1.1Ωとなる。
【0157】
以上のように行方向の接続用端子X1〜X3と、列方向の接続用端子Y1〜Y3のスイッチのオン/オフF状態、すなわち、ヒータを選択して駆動する状態に応じて、予め計測した各ヒータの基準抵抗値から合成抵抗値を推定することができる。
【0158】
次に、この実施形態の断線検出の手順について説明する。
【0159】
先ず、ヒータ2−1〜2−9を1個ずつ順番に選択して駆動し、その操作量(出力位相角)に基づく印加電圧と、選択して駆動するヒータの行に対応する第1のCT11−1ないし第3のCT11−3のいずかの出力に基づく電流検出部12の電流値とに基づいて、各ヒータ2−1〜2−9の抵抗値を基準抵抗値として順番に算出し、上述の判定部13の基準抵抗値記憶部19に予め記憶しておく。
【0160】
実運転時には、ヒータの複数を同時に駆動し、駆動しているヒータの行に対応するCT11−1〜11−3で電流値をそれぞれ計測する。例えば、第1,第4,第7のヒータ2−1,2−4,2−7を選択して同時に駆動している場合には、第1,第4,第7のヒータ2−1,2−4,2−7にそれぞれ対応する第1〜第3のCT11−1〜11−3で電流値をそれぞれ計測する。更に、各ヒータ2−1,2−4,2−7の操作量出力位相角に基づく各印加電圧をそれぞれ算出する。算出された印加電圧のうち最も小さな印加電圧と、第1〜第3のCT11−1〜11−3に基づく各電流値とから、駆動したヒータの行の数だけ、この例では、X1−Y1間、X2−Y1間、X3−Y1間の3つの合成抵抗値をそれぞれ算出する。
【0161】
予め記憶した基準抵抗値から合成抵抗値を、オンした行ごとに推定する。すなわち、この例では、上述の図20のX1−Y1間の合成抵抗値、X2−Y1間の合成抵抗値、X3−Y1間の合成抵抗値をそれぞれ推定することになる。
【0162】
第1〜第3のCT11−1〜11−3で実測された電流値に基づいて算出した各行の合成抵抗値と、予め記憶した基準抵抗値から推定した各行の合成抵抗値とをそれぞれ比較し、その変化率が閾値を越えたときに、その行のヒータが断線していると判定するものである。
【0163】
以上のようにして各行のヒータの断線を検出することができる。
【0164】
なお、各行のヒータの複数を同時に駆動するために、断線したヒータを特定できない場合には、同時に駆動した前記複数のヒータを順番に駆動することにより、上述の実施形態1と同様にして断線したヒータを特定することができる。
【0165】
この実施形態では、各行に対応する電力線L1−1〜L1−3にCT11−1〜11−3および電力調整器3−1〜3−3をそれぞれ設けるので、CT内蔵の電力調整器を用いてもよい。
【0166】
(実施形態5)
図21は、本発明の他の実施形態の図2に対応する図であり、同図(a)は駆動対象選択部8によって選択されるヒータに対応する接続用端子X1,Y1〜X3,Y3の選択状態を、同図(b)は操作量算出部9による接続用端子X1用の操作量の例を、同図(c)は操作量算出部9による接続用端子Y1用の操作量の例を、同図(d)は電流検出部12の出力をそれぞれ示し、併せて、異常判定のタイミングを矢印で示している。
【0167】
上述の実施形態1では、図2に示す制御周期Tにおいて、全てのヒータ2−1〜2−9の断線を検出できるように、各チャンネルのヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動する期間tを、電流検出部12によって電流を安定して検出できるように、例えば、100msecとし、制御周期Tが、例えば、900msecであったけれども、制御性能を高めるには、制御周期Tを短くすることが望まれる。
【0168】
そこで、この実施形態では、制御周期T1において、全てのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するのではなく、1個のヒータの断線を検出し、制御周期T1毎に、断線を検出するヒータを順番にずらすものである。例えば、第1の制御周期T1では、第1のヒータ2−1の断線を検出し、第2の制御周期T1では、第2のヒータ2−2の断線を検出し、第3の制御周期T1では、第3のヒータ2−3の断線を検出し、同様に、制御周期T1毎に、第4のヒータ2−4から第9のヒータ2−9の断線を順番に検出するものである。
【0169】
これによって、断線を検出するヒータを選択して駆動する期間tは、上述の実施の形態1と同様に、電流検出部12によって電流を安定して検出できるように、例えば、100msecとする一方、断線を検出しないヒータを駆動して選択する期間t1は、電流を検出する必要がないので、例えば、50msecと短くしている。これによって、制御周期T1は、例えば、500msecとなり、実施形態1の制御周期Tの900msecに比べて、大幅に短縮することができる。
【0170】
その他の構成は、上述の実施の形態1と同様である。
【0171】
(実施形態6)
上述の実施形態2のサイクル制御では、全てのチャンネルのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するために、操作量が小さいチャンネルのヒータの断線を検出しようとすると、制御周期におけるオン期間が短いために、電流を安定して検出することができない。したがって、電流を安定して検出しようとすると、操作量を大きくしてオン期間を余分に設定しなければならない。
【0172】
そこで、この実施形態では、図22に示すように、全てのチャンネルのヒータ2−1〜2−9の断線を検出するのではなく、操作量の大きなチャンネルのヒータについてのみ断線の検出を行うようにしている。図22は、各チャンネルCH1〜CH9の操作量に応じたオンオフ状態を示し、ハイレベルがオンの期間、すなわち、ヒータが駆動されている期間を示している。
【0173】
この実施形態では、各チャンネルCH1〜CH9のヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動するのではなく、最大3チャンネルのヒータを同時に選択して駆動する例を示しており、操作量の大きな3つのチャンネルのヒータについてのみ断線を検出するようにしている。
【0174】
この図22に示すように、最初の制御周期T2では、操作量40%の第1のチャンネルCH1のヒータ2−1がオンしている期間が一番長く、次に操作量30%の第7のチャンネルCH7のヒータ2−7がオンしている期間が長く、更に、操作量20%の第4のチャンネルCH4のヒータ2−4がオンしている期間が長い。この最初の制御周期T2においては、操作量が大きな第1,第7,第4のチャンネルCH1,7,4のヒータ2−1,2−7,2−4の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0175】
また、次の制御周期T2では、操作量20%の第2,第3,第9のチャンネルCH2,3,9のヒータ2−2,2−3,2−9がオンしている期間が長い。この第2の制御周期T2においては、操作量が大きな第2,第3,第9のチャンネルCH2,3,9のヒータ2−2,2−3,2−9の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0176】
更に、次の第3の制御周期T2では、操作量20%の第2,第3,第4のチャンネルCH2,3,4のヒータ2−2,2−3,2−4がオンしている期間が長い。この第3の制御周期T2においては、操作量が大きな第2,第3,第4のチャンネルCH2,3,4のヒータ2−2,2−3,2−4の断線の有無の判定を、同図(b)の矢印で示す異常判定のタイミングで行なうものである。
【0177】
このように制御周期T2において、操作量の大きなチャンネルのヒータ、すなわち、オンしている期間が長いヒータの断線を検出するので、電流検出部12で電流を安定して検出することができる。
【0178】
操作量が小さなチャンネルのヒータの断線は検出しないけれども、かかる操作量の小さなチャンネルのヒータが断線した場合には、偏差が徐々に大きくなって操作量も大きくなるので、操作量の大きなチャンネルとなり、断線が検出されることになる。
【0179】
なお、この実施形態では、操作量の大きな順番で3チャンネルのヒータの断線を検出したけれども、3チャンネルに限らず、1チャンネルは勿論、2チャンネル、あるいは、4チャンネル以上のヒータの断線を検出してもよい。
【0180】
また、操作量の大きなチャンネルの操作量が同一となった場合には、予め定めた順番、例えば、チャンネル数の若い順にヒータの断線を検出すればよい。
【0181】
また、この実施形態では、サイクル制御に適用して説明したけれども、位相制御などにも適用してもよい。
【0182】
(実施形態7)
上述の各実施形態では、温度調節器で断線を検出したけれども、本発明の他の実施形態として、電力調整器に断線検出機能を内蔵させてもよい。
【0183】
図23は、断線検出機能を有する電力調整器のブロック図である。
【0184】
この電力調整器33は、例えば、上述の図17に示すように、或る行のヒータの断線を検出するものである。
【0185】
この電力調整器33は、行方向の電力線L1と交流電源4との間に介装されたスイッチング素子としてのサイリスタ34を備え、図示ない温度調節器からの操作量に基づいて、出力位相角算出部30で出力位相角を算出し、トリガ回路35で出力位相角に応じたトリガ信号を生成してサイリスタ34に出力してヒータに供給する電力の位相制御を行うものである。
【0186】
この実施形態の電力調整器33は、ヒータの断線を検出できるように、行方向の電力線L1に設けられたCT36からの出力に基づいて、電流検出部37で上述の実施形態と同様に負荷電流を検出する一方、印加電圧算出部31で出力位相角から印加電圧を算出し、この印加電圧と電流検出部37で検出した負荷電流とから合成抵抗算出部38で合成抵抗を算出する。
【0187】
一方、合成抵抗記憶部39には、いずれのヒータが選択されて駆動されているか、すなわち、ヒータの駆動状態に応じた合成抵抗値が予め記憶されている。また、図示しない温度調節器から、いずれのヒータを選択して駆動しているかの駆動状態を示すデータ、具体的には、各行および各列に対応する上述の接続用端子X1,Y1〜X3,Y3のオンオフの動作パターンを番号付けした動作IDが動作ID入力部40に与えられる。断線判定部41では、動作IDに対応する合成抵抗記憶部39の合成抵抗と、合成抵抗算出部38からの合成抵抗とを比較し、その変化率が閾値以上であるか否かに基づいて、断線の有無を判定し、断線と判定されたときには、断線報知部42でそれを報知するものである。
【0188】
(実施形態8)
上述の各実施形態では、熱板1の各ヒータ2−1〜2−9をマトリックス接続したけれども、本発明の他の実施形態として複数のヒータを1列あるいは1行として接続してもよく、例えば、図24に示すように、3個のヒータ2−1〜2−3を、一列に接続し、各ヒータ2−1〜2−3の各一端の電力線の接続用端子X1,X2,X3を、電力調整器3−1〜3−3をそれぞれ介して交流電源4の一端に接続する一方、各ヒータ3−1〜3−3の各他端を共通に接続した電力線の接続用端子Yを、交流電源4の他端に接続してもよい。
【0189】
(その他の実施形態)
CTが1個だけの上述の実施形態1〜3では、ヒータ2−1〜2−9を順番に選択して駆動したけれども、上述の実施形態4と同様に、複数のヒータを同時に駆動するようにしてもよい。この場合、同時に駆動した複数のヒータの断線が検出されたときには、前記複数のヒータを順番に1個ずつ駆動して、断線したヒータを特定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、複数の負荷を駆動するシステムなどに有用である。
【符号の説明】
【0191】
1 熱板
2−1〜2−9 ヒータ
3−1〜3−6,33 電力調整器
4 交流電源
5,5−1〜5−4 温度調節器
11,11−1〜11−3 CT
12 電流検出部
13 判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備えることを特徴とする断線検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定する請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記制御装置によって駆動される負荷が選択されるタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得する請求項1または2に記載の断線検出装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の断線検出装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長するものであり、
前記判定手段は、前記制御装置によって前記期間が延長された前記負荷の断線の有無を判定する請求項4に記載の断線検出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせる請求項5に記載の断線検出装置。
【請求項7】
前記制御装置は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、
前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の断線検出装置。
【請求項8】
複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、
前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定することを特徴とする断線検出装置。
【請求項9】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、
前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項10】
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定する請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記判定手段は、駆動する負荷を選択するタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得する請求項9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記駆動制御手段は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する請求項9ないし11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記駆動制御手段は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長するものであり、
前記判定手段は、前記期間が延長された負荷の断線の有無を判定する請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記駆動制御手段は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせる請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記駆動制御手段は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、
前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定する請求項9ないし12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記駆動制御手段は、複数の負荷を同時に選択して駆動するものであって、前記判定手段によって、同時に駆動される前記複数の負荷のいずれかが断線していると判定されたときには、前記複数の負荷を順番に選択して駆動する請求項9ないし11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記判定手段によって、断線と判定されたときには、それを報知する断線報知手段を備える請求項9ないし16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、
前記開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定することを特徴とする制御装置。
【請求項19】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1の電力線と電源との間、または、前記第2の電力線と前記電源との間に設けられるとともに、前記複数の負荷を選択して駆動する制御装置によって制御される電力調整器であって、
前記複数の負荷の駆動状態を示すデータが、前記制御装置から入力される入力部と、
前記複数の負荷の駆動状態に応じた基準抵抗値が予め記憶される記憶部と、
当該電力調整器が設けられている電力線を流れる電流を検出する電流センサの出力および前記制御装置からの制御信号に基づいて、抵抗値を算出する算出部と、
前記入力部に入力される駆動状態に対応する前記基準抵抗値と前記算出部で算出される抵抗値とに基づいて、断線の有無を判定する判定部とを備えることを特徴とする電力調整器。
【請求項1】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備えることを特徴とする断線検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定する請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記制御装置によって駆動される負荷が選択されるタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得する請求項1または2に記載の断線検出装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の断線検出装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長するものであり、
前記判定手段は、前記制御装置によって前記期間が延長された前記負荷の断線の有無を判定する請求項4に記載の断線検出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせる請求項5に記載の断線検出装置。
【請求項7】
前記制御装置は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、
前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の断線検出装置。
【請求項8】
複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉が制御装置で制御されることによって駆動される前記負荷の断線を検出する断線検出装置であって、
前記制御装置は、前記複数の負荷を選択して駆動するものであり、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記制御装置によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段を備え、
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定することを特徴とする断線検出装置。
【請求項9】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線との間に、複数の負荷が接続され、前記複数の第1の電力線が、複数の第1の開閉手段をそれぞれ介して電源に接続される一方、前記複数の第2の電力線が、複数の第2の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記複数の第1の電力線と前記複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、前記複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、
前記第1,第2の開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項10】
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定する請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記判定手段は、駆動する負荷を選択するタイミングに応じて前記電流センサの出力に基づく判定用の電流値を取得する請求項9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記駆動制御手段は、前記複数の負荷の内の1個の負荷を順番に選択して駆動する請求項9ないし11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記駆動制御手段は、前記1個の負荷を順番に選択して前記複数の負荷の全てを選択して駆動するのに要する制御周期において、前記複数の負荷の内の少なくとも1個の負荷を選択して駆動する期間を、他の各負荷をそれぞれ選択して駆動する各期間よりも延長するものであり、
前記判定手段は、前記期間が延長された負荷の断線の有無を判定する請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記駆動制御手段は、前記期間を延長する負荷を、前記制御周期毎に異ならせる請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記駆動制御手段は、制御周期毎に、操作量に応じて前記第1,第2の開閉手段の開閉量を制御して駆動する負荷に供給する電力を制御するものであり、
前記判定手段は、前記制御周期毎に、前記操作量の大きな予め定めた個数の負荷についてのみ断線の有無を判定する請求項9ないし12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記駆動制御手段は、複数の負荷を同時に選択して駆動するものであって、前記判定手段によって、同時に駆動される前記複数の負荷のいずれかが断線していると判定されたときには、前記複数の負荷を順番に選択して駆動する請求項9ないし11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記判定手段によって、断線と判定されたときには、それを報知する断線報知手段を備える請求項9ないし16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
複数の負荷の各一端が、共通の電力線を介して電源に接続されるとともに、各他端が、複数の開閉手段をそれぞれ介して前記電源に接続され、前記開閉手段の開閉を制御して前記複数の負荷を駆動する制御装置であって、
前記開閉手段の開閉を制御して、前記複数の負荷を選択して駆動する駆動制御手段と、
前記電源と前記負荷との間の電力線に流れる電流を検出する電流センサの出力、および、前記駆動制御手段によって制御される前記複数の負荷の駆動状態に基づいて、負荷の断線の有無を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、正常時の前記複数の各負荷の抵抗値を用いて前記断線の有無を判定することを特徴とする制御装置。
【請求項19】
複数の第1の電力線と複数の第2の電力線とを、それぞれ仮想的に横方向と縦方向とに平行に配列したときに、両電力線が交差する部分で、複数の各負荷の一端が前記第1の電力線に接続されるとともに、他端が前記第2の電力線に接続され、前記第1の電力線と電源との間、または、前記第2の電力線と前記電源との間に設けられるとともに、前記複数の負荷を選択して駆動する制御装置によって制御される電力調整器であって、
前記複数の負荷の駆動状態を示すデータが、前記制御装置から入力される入力部と、
前記複数の負荷の駆動状態に応じた基準抵抗値が予め記憶される記憶部と、
当該電力調整器が設けられている電力線を流れる電流を検出する電流センサの出力および前記制御装置からの制御信号に基づいて、抵抗値を算出する算出部と、
前記入力部に入力される駆動状態に対応する前記基準抵抗値と前記算出部で算出される抵抗値とに基づいて、断線の有無を判定する判定部とを備えることを特徴とする電力調整器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−181255(P2010−181255A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24557(P2009−24557)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]