説明

新規な共結晶化

本発明は、新規な共結晶及び新規な共結晶化の方法に関する。特に、活性な薬学的成分の塩素塩等の活性剤の塩を含有する共結晶を含む。本発明はまた共結晶の調製方法及び固体状態相のスクリーニング方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2003年1月21日に出願した、米国仮出願第60/441,557号及び第60/441,561号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明による開示は、活性剤、特に活性な薬学的成分(API)を含有する共結晶、及び共結晶に関する方法を記載する。特に、活性な薬学的成分の塩(対イオンとして塩素イオンを有する塩等)及び対イオンと比較的強い相互作用を形成するゲストの、新規な共結晶を提供する。試料の固体状態相が可能であるかどうかを検索する方法、及び共結晶として試料を固化する方法を提供する。固体状態相のための試料をスクリーニングする方法、及び共結晶として試料を凝固する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
共結晶は2個以上の異なる分子を含む結晶である。共結晶の例はケンブリッジ構造データベースで見ることができる。共結晶の例は、Etter,Margaret C.、及びDaniel A.Adsmond(1990)、「2−アミノピリジンの水素結合優先性を研究するための方法としての共結晶化の使用(The use of cocrystallization as a method of studying hydrogen bond preferences of 2−aminopyridine)」、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.1990 589−591、Etter,Margaret C.、John C.MacDonald、及びJoel Bernstein(1990a)、「有機結晶の水素結合パターンのグラフセット分析(Graph−set analysis of hydrogen−bond patterns in organic crystals)」、Acta Crystallogr.、Sect.B、Struct.Sci.B46 256−262、Etter,Margaret C.、Zofia Urbanczyk−Lipkowska、Mohammad Zia−Ebrahimi、及びThomas W.Panunto(1990b)、「ジアリール尿素の水素結合指向性共結晶化及び分子識別特性(Hydrogen bond directed cocrystallization and molecular recognition properties of diarylureas)」、J.Am.Chem.Soc.112 8415−8426にも見ることができ、それらは全体として参照文献により本明細書に組み込まれる。以下の論文も全体として参照文献により本明細書に組み込まれる:Carl Henrik Gorbotz及びHans−Petter Hersleth、2000、「有機化合物の結晶構造への溶媒分子の取り込みに関して(On the inclusion of solvent molecules in the crystal structures of organic compounds)」、Acta Cryst.(2000)、B56、625−534;及びV.S.Senthil Kumar、Ashwini Nangia、Amy K.Katz及びH.L.Carrell、2002、「トランス−1,4−ジチアン−1,4−ジオキシドとモノ及びジカルボン酸の分子複合体(Molecular Complexes of Some Mono− and Dicarboxylic Acids with trans−1,4−Dithiane−1,4−dioxide)」、American Chemical Society、Crystal Growth & Design、Vol.2、No.4、2002。
【0004】
最適な組成物、製剤、及び/又は固体状態相を同定することは薬学分野において重要であり、栄養補助食品、農薬、染料、火薬、高分子添加物、潤滑剤、写真薬剤、並びに構造材料及び電子材料を含む他の分野においても同様に重要である。本明細書に記載された新規な方法は、これらのいずれの分野においても、固体材料が使用される他の分野と同様に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの態様として、新規な共結晶が提供される。新規な共結晶は、1種又は2種以上の活性剤、特にかかる活性剤の塩を含有する。
【0006】
別の態様として、共結晶化に成功する可能性が増大した、新規な共結晶化の方法を提供する。共結晶化の適切な方法は、活性剤の塩を含有する共結晶を同定することを含んでもよく、該塩は活性剤及び負の対イオンを含有する。負の対イオンの配位(例えば、結晶内での水素結合の相互作用)を同定することができる。次いで、結晶内での配位に比べ、より強力に負の対イオンと配位するゲストを選択することができる。活性剤及び/又はゲストの1つの成分を含有する非結合の相互作用の評価に基いて、良好に配位するか、或いは弱い水素結合に含まれるものとして同定される、水素結合受容体部位と強く相互作用する別の1つ若しくは複数の分子又は塩を選択する。受容体部位が、より強い水素結合供与体と相互作用する能力を有し、それによってよりエネルギー的に好ましい相互作用を形成し、それにもかかわらず弱い水素結合を含有する場合、弱い供与体をより強い供与体で置き換える機会が存在する。例えば、結晶内で強い水素結合受容体が弱い水素結合供与体と相互作用をしている場合、系に強い水素結合供与体分子を添加することにより共結晶を生成することができ、得られる共結晶内では強い水素結合供与体分子が弱い供与体に置き換わり、強い水素結合受容体に結合する。適切なゲストを選択した後、活性剤、対イオン、及びゲストを含有する溶液、溶解物又は物理的混合物を調製することができる。溶液又は溶解物は結晶化過程、例えば、溶液又は溶解物から結晶を形成するための蒸発、冷却、又は多くの周知の過程のいずれかに供される。物理的混合物を粉砕することにより、共結晶を形成することができる。活性剤の塩及びゲストを含有する共結晶が形成される。
【0007】
別の態様として、本発明による開示は、新規な型の塩化物塩共結晶構造を生成する共結晶化方法を提供する。該方法は、それまで塩化物塩が望ましくなかった場合におけるAPIの有用な固体塩化物塩を生成するのに役立てることができる。
【0008】
さらに別の態様として、新規な形態の活性医薬成分の塩を提供する。例えば、本発明による開示は、塩酸フルオキセチンと安息香酸、塩酸フルオキセチンとコハク酸、及び塩酸フルオキセチンとフマル酸の新規な共結晶を提供する。多形体、溶媒和物又は水和物が知られていない、或いは多形体、溶媒和物又は水和物が望ましくない場合の、活性医薬成分の新規な形態又は固体状態相を調製することができる。
【0009】
他の態様として、APIを含有する薬物製剤若しくは薬物組成物の1つ又は複数の物理的特性を変更する方法、複数のゲストを有するAPIの一連の共結晶を形成することを含む方法を提供する。該方法はさらに共結晶の物理的特性を測定すること及び/又は薬物製剤若しくは薬物組成物を調製することを含んでもよい。
【0010】
さらに別の態様として、活性剤、特に活性医薬成分、及びその塩についての最適な固体状態相をスクリーニング又は選択するための改善された方法を提供する。スクリーニング方法は、活性剤の遊離の塩基、活性剤の塩化物塩、及び場合によって活性剤の他の塩の結晶化又は結晶化の試み、並びに活性剤の遊離の塩基、活性剤の塩化物塩、及び場合によって活性剤の他の塩の共結晶化又は共結晶化の試みを含む。該方法はさらに1つ又は複数の物理特性等の1つ又は複数の固体形態の特性を評価することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による開示は、共結晶の調査方法、及び1種又は2種以上の活性剤がゲストにより共結晶化されている新規な固体状態相を創造する方法を提供する。薬学的に許容される化合物等のゲストにより活性剤を共結晶化することにより、これまでのかかる活性剤の固体状態相の特性を改善した新規な固体状態相を創製することができる。例えば、活性な医薬組成物の共結晶を含有する新規な薬物製剤は、これまでの薬物製剤の特性より優れている場合がある。活性剤及びゲストは、産業分野に応じて変化し得る。例えば、製剤の分野では活性剤又はゲストはAPIであってよく、共結晶の他の成分は薬学上許容される化合物でなければならない。本発明による技術は、栄養補助食品、農薬、色素、染料、火薬、高分子添加物、潤滑剤、写真薬剤、並びに構造材料及び電子材料を含む他の分野からの活性剤に適用することができる。
【0012】
大まかにいえば、1つの態様は配位不十分な(under coordinated)対イオンの共結晶促進のための使用に関する。発明者は理論と結びつけることを望むものではないが、発明者は、強い水素結合受容体であるが、比較的配位不十分なイオンを含む塩酸塩及び類似の塩を用いて優れた共結晶を形成することができると考えている。この場合「配位不十分なイオン」とは、いくつかの強力な水素結合を形成することのできる、例えば塩素イオン等のイオンをいう。ある配位不十分な対イオン(under coordinated counterion)は該塩の結晶内に水素結合を有してもよいが、共結晶内に追加の水素結合を形成すること及び/又はゲストを有する共結晶内に比較的強い水素結合を形成することができるものである。利用可能な水素結合供与体であって、あるイオンに結合する、水素結合供与体の数について系が制限されるとき、そのイオンは「配位不十分なイオン」である。これらの場合、過剰な水素結合受容体部位は、C−H基等の弱い相互作用供与体により通常満たされている。塩素イオンは結晶構造内では強い水素結合受容体である。フルオキセチン塩酸塩等の結晶構造内において、塩素イオンは、系内で利用可能な2つの強力な水素結合供与体に配位し、且つ塩素イオンは3つのより弱いCH−Cl相互作用も有し、擬8面体配位環境を形成している。その配位領域を満たすために塩化物が用いられた弱いCH供与体を、安息香酸、コハク酸、フマル酸、その他のカルボン酸等のゲストからのより強い水素結合供与体に置き換えることにより、これらの配位部位に結合する機会がある。
【0013】
たとえ、それらのより強い相互作用が、他の相互作用と比較すると比較的弱い場合があるにせよ、比較的弱い相互作用が、より強い相互作用により置き換えられ得ることを認識することは共結晶形成において有用である。例えば、配位不十分な塩化物は1個の強い水素結合供与体及び数個の弱い水素結合供与体又は2個の強い水素結合供与体及び数個の弱い水素結合供与体を有する。共結晶において、弱い相互作用は強い相互作用に置き換えることができるが、これらの強い相互作用は、塩酸フルオキセチン結晶内に存在する強い相互作用(電荷支援(charge−assisted)水素結合)に比べると依然弱い場合がある。有機塩の結晶構造において塩素イオンを含有する最も強い相互作用は、プロトン化窒素塩基と塩素イオンとの間の一定不変の形態である電荷支援水素結合である。中性分子群と塩素イオンとの間の最も強い相互作用は、酸と塩素イオンを含む。例えば、カルボン酸は塩素イオンと強い相互作用を有する。カルボン酸と窒素含有塩基の塩酸塩との組合せが共結晶の形態(実施例に記載されている)に特に適していることを見ることができる。さらに、これらの要素の異なる組合せが他の共結晶を誘導することを予測することができる。例えば、関係する活性分子が、中性カルボン酸部分又はプロトン化窒素のいずれかを含有してもよい。窒素含有有機塩基の塩酸塩であるゲストを備えた中性カルボン酸部分を有するAPIを共結晶化する可能性が存在する。
【0014】
さらに、プロントン化窒素塩基の性質が共結晶化の可能性に影響することが予測される。塩素イオンの空いている受容体部位に対し、多くの強力な水素結合供与体群がカルボン酸ゲストと競合する。望ましい共結晶の形態のためには、唯一の強力な電荷水素結合供与体が存在し、塩素イオン受容体の1つの部位を占有するのみとなる状況を与えることから、窒素塩基は好ましくは第3アミンである。さらに、この唯一の第3アミンを有し、且つ他の強力な供与体を有しない系は、可能な共結晶化のための特に望ましい系を与える。2個のN−H供与体基を有するプロトン化した第2アミンも望ましく、プロトン化した第1アミンであっても用いられる。共結晶化の可能性及び共結晶化に最適なゲスト分子の型を判断するために、さらに強力な水素結合供与体及び受容体の部位を有する系についての特別の考慮が必要である。カルボン酸及び塩酸塩を含む共結晶化の可能性は、系内の利用可能な強い供与体が増加するに従い低下する。共結晶化の評価についてのさらなる指針は、本発明者のこれまでの研究(それらは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に見ることができ、特に、結合していない主題:Scott L.Childs、「分子結晶構造の非結合相互作用(Nonbonded Interactions In Molecular Crystal Structures)」、Emory Univ.、USA、UMIより入手可能な、注文番号、DA3009424(288頁)、Dissertation Abstract Int.Ref.B2001、62(3)、1394に論じられている。ある環境において、距離を測定し、ケンブリッジ構造データベースにおける特徴と比較し、供与体及び受容体のpKaを測定し、又は利用可能な受容体に対する強い水素結合供与体の比率を評価することにより、不十分な位を判断することができる。他の結晶工学理論も用いることができる。
【0015】
共結晶の形成は非常に予測困難である。分子置換パターン又は分子幾何学における変化の作用として構造変化を予測するのは困難である。しかし、本発明による開示は、結晶の設計及び形成において、より高い予測性とより良い成功の可能性を提供する。
【0016】
本発明による技術は、広範な種類の活性剤及びゲストの共結晶を生成するのに用いることができる。例えば、本発明による技術は、中性ゲストを有する活性医薬成分の塩等の活性剤の塩の共結晶を生成するのに用いることができる。代わりに、中性又は両性の活性剤(又は活性剤の塩)の共結晶を正イオン及び負イオンをその中に含有するゲストの塩により生成することができる。活性剤が塩として供給される場合、正に荷電していても負に荷電していてもよく、負の対イオン又は正の対イオンを有していてもよい。例として、塩酸フルオキセチンについて、活性剤フルオキセチンはHClからプロトンを受け入れることにより正に荷電してプロトン化アミンを形成し、塩化イオンは負の対イオンとして存在する。さらに、本発明による方法のいくつかは、中性又は両性の活性剤により、中性ゲスト又はイオン性ゲストを有する共結晶を形成するのに用いることができる。
【0017】
本発明による技術は、これまで開発に不適切な特性が認められたAPIの塩酸塩の安定な固体状態相を生じる機会を提供する。かかる状況において開発を継続する機会は、しばしば安定な水和物又は溶媒和物の偶然の形成に依存するが、本発明による技術は、適切なゲスト分子でAPIの塩酸塩を共結晶化することにより、塩酸塩の別の製剤を体系的に調べることができることを示す。
【0018】
物理特性に関する問題により認められなかったAPIの塩について、共結晶化は魅力的な技術となり得る。共結晶は、個々の成分に比べ異なる物理特性を有するため、望ましくない物理的特性を有するAPIは適切なゲスト分子により共結晶することができ、得られる結晶固体の物理的特性を評価することができる。
【0019】
塩酸フルオキセチンの共結晶は、API塩の物理的特性(溶解性)の変更例を提供する。塩酸フルオキセチン:安息香酸の共結晶は、塩酸フルオキセチンの結晶に比べ、溶解性が低く、溶解速度が小さい。一方、塩酸フルオキセチン:コハク酸の共結晶は、塩酸フルオキセチンの結晶に比べ、溶解性が高く、溶解速度が大きい。
【0020】
共結晶を形成することにより変更し得るAPI又はそれらの塩の他の物理特性は、融点、密度、吸湿性、結晶形態、負荷体積、圧縮性、及び有効期間を含む。さらに、生体利用率、毒性、味覚、物理的安定性、化学的安定性、製造コスト、製造方法等の他の特性は、本発明による共結晶化技術の使用により変更することができる。
【0021】
多形相、水和物又は溶媒和物が特に問題となる、可能な共結晶のための活性剤をスクリーニングすることができる。非晶質材料として単離のみできる中性化合物を共結晶化することができる。共結晶の形成は、物理的特性を変更することにより、活性医薬成分の薬物製剤の性能を向上させることができる。あるAPIは湿式造粒及び圧縮段階において問題がある。生物学的に同等な共結晶はこの問題を是正することができる。共結晶は製造中の化合物の単離又は精製に用いることができる。すべての活性医薬成分の固体状態相を同定するのが望ましい場合、共結晶が特に望ましいといえる。
【0022】
本発明による技術は、活性医薬成分を開発及びスクリーニングする新しい方法を提供する。中性の活性医薬成分の無毒性共結晶形態を調製、スクリーニング、試験、及び商品化することができる。共結晶形態に基づいたスクリーニングは、中性APIについて塩スクリーニングをするのと多くの点で同等である。さらに、塩酸塩構造の新しい型を調製することができる。塩酸塩の特性を調整し、最適化することができる。塩酸塩の新規で、独自で、安定で、市場性のある相を調製することができる。溶解性の高い又は溶解性の低い製剤を調製するかどうかを選択することができる。
【0023】
別の態様として、本発明による技術は水和物の水を除くか減少させるか、及び/又は水和の水が実質的にない共結晶を調製するのにも用いることができる。水和物はゲストとして水を有する共結晶と考えることができる。水とゲストの酸は、結晶構造を安定化する同様の役割を果たす。事実上、ケンブリッジ構造データベース中の約28%のAPIの塩酸塩は水和物であり、これに対し約8%が他のすべての有機構造物である。これは水和に対する親和性を示している。本発明による技術は、この親和性の利用と修正の両方を行い、その中で共結晶に対する親和性(水和による証拠として)が示され、この共結晶に対する親和性が、酸、例えばカルボン酸等の安定なゲストを有する共結晶の形態の採用を可能にする。事実、多くの共結晶において、酸は水分子より強い相互作用を有することができ、共結晶を形成する過程において水和の水と置き換えることができる。したがって、本発明による技術は、水和物から共結晶を調製する方法を提供する。塩の水和物が提供され、水和物は水和の水を含有する。ゲストは対イオンに配位するように選択される。好ましくは、溶媒が対イオンに配位するのに比べ、より強力にゲストが対イオンに配位する。溶液、溶解物又は物理的混合物が調製され、それらには水和物及びゲストが含まれる。溶液又は溶解物は、結晶化過程に供され、又は物理的混合物は粉砕に供され、活性剤の塩及びゲストを含有する共結晶が形成され、該塩は活性剤及び対イオンを含有する。同様に、本発明による技術は溶媒和物から共結晶を調製する方法を提供する。塩の溶媒和物が提供され、溶媒和物は塩と配位した溶媒分子を含有する。ゲストは対イオンと配位するように選択される。好ましくは、溶媒が対イオンに配位するのに比べ、より強力にゲストが対イオンに配位する。溶液、溶解物(melt)又は物理的混合物が調製され、それらには溶媒和物及びゲストが含まれる。溶液又は溶解物は、結晶化過程に供され、又は物理的混合物は粉砕に供され、活性剤の塩の塩及びゲストを含有する共結晶が形成される。該塩は活性剤及び対イオンを含有する。
【0024】
図2(a)及び図2(b)は、塩酸フルオキセチン及び安息香酸(1:1)の共結晶の2次元及び3次元のモデルの図である。図2(a)は塩素イオンがフルオキセチンのアミン基及び安息香酸のヒドロキシル基と相互作用する2次元モデルを示す。これらの相互作用により、水素結合として特徴付けることができ、フルオキセチン塩酸塩及び安息香酸が共結晶に基づく超分子構造を形成する。図2(b)は、フルオキセチン塩酸塩及び安息香酸の超分子組織の3次元モデルを示す。
【0025】
図3(a)及び図3(b)は、塩酸フルオキセチン及びコハク酸(2:1)の共結晶の2次元及び3次元のモデルの図である。図3(a)は塩素イオンがフルオキセチンのアンモニウム基及びコハク酸のヒドロキシル基と相互作用する2次元モデルを示す。これらの相互作用により、水素結合として特徴付けることができ、フルオキセチン塩酸塩の2分子及びコハク酸の1分子が共結晶に基づく超分子構造を形成する。図3(b)は、フルオキセチン塩酸塩及び安息香酸の分子の超分子組織の3次元モデルを示す。
【0026】
図4(a)及び図4(b)は、ナブメトン及び2,3−ナフタレンジオールの2次元の図、及びナブメトン及び2,3−ナフタレンジオール(1:1)の共結晶の3次元モデルを示す。
【0027】
活性剤
活性剤はその活性が望ましいか、関心の対象である分子である。本発明による技術のいずれかに従って、1種又は2種以上の活性剤が共結晶に用いられてもよいことが予測されている。例えば、活性剤が活性医薬成分である場合、医薬活性の活性剤が望ましい。他の活性剤が栄養補助食品、農薬、色素、染料、火薬、高分子添加物、潤滑剤、写真薬剤、又は構造材料及び電子材料であってもよい。
【0028】
活性剤は塩として提供されてもよい。本発明による技術のいずれかに従って、1種又は2種以上の塩が共結晶に用いられてもよいことが予測されている。塩は活性剤から調製しても、又は商業的供給源から得てもよい。活性医薬成分の塩酸塩、特にアミンAPI、は医薬産業において特に好ましい。
【0029】
一般に、本発明による技術は、他のアンモニウム塩と同様にアミンHCl塩に適用したときに、本明細書にさらに詳細に記載するように特に良好な結果を有することが企図される。アンモニウム酸塩において、活性剤は、比較的塩基性(少なくとも1個の相対的に塩基性の窒素)の少なくとも1個のアミン部分を有し、塩はアミン部分と反応する酸により形成される。次いで共結晶は、アンモニウム塩と、塩に対する水素結合供与体として作用するゲストとの間で形成される。共結晶はAPI、例えばブスピロン塩酸塩、フルオキセチン塩酸塩、及びメトホルミン塩酸塩などの塩化物塩から形成することができる。
【0030】
本発明による共結晶は塩化物塩以外の塩を含有してもよく、出発物質は塩酸塩として知られている必要はないため、上記のAPI塩酸塩は関連する化合物の一例にすぎない。事実、多くのAPI関連化合物は、塩酸塩が適切な物質と考えられていないため、塩酸塩ではなく、異なる塩が代わりに商業化されている。本発明による技術は、別の型の塩として市販されているAPIの、塩酸塩を用いることを可能にする。代わりに、塩酸を置き換えることにより、又は塩酸以外の酸により塩基として作用する活性剤を含有する塩を形成することにより、塩酸塩以外の塩を用いるのが望ましい場合がある。以下の酸は、塩素の代わりに使用されるアニオン性対イオンを提供する。これらは比較的強い酸であり、鉱酸を含むがそれに限定されず、カルボン酸ゲストは、アニオン性対イオンの水素結合受容体とともに1個又は2個以上の水素結合を形成すると考えられる。以下のリストは塩基性活性剤と反応し、塩を形成する共役酸である:
硫酸;
リン酸;
臭化水素酸;
硝酸;
ピロリン酸;
メタンスルホン酸;
チオシアン酸;
ナフタレン−2−スルホン酸;
1,5−ナフタレンジスルホン酸;
シクラミン酸;
p−トルエンスルホン酸;
マレイン酸;
L−アスパラギン酸;
2−ヒドロキシエタンスルホン酸;
グリセロリン酸;
エタンスルホン酸;及び
ヨウ化水素酸。
【0031】
本発明による技術は、既知の塩が適切な性質を有していないため、出発物質として塩の範囲を超え、中性形態として市販されている多くの弱塩基を含有する。これらの塩は、繰り返すことができ、塩酸塩の共結晶化を試みることができる。例えば、APIの酒石酸塩として市販されている薬物製剤は、適切なゲスト分子を有する活性剤分子の塩酸塩の共結晶化により再製剤化することができる。このように、共結晶化は、酒石酸塩、硫酸塩、又は他の塩の形態の塩として現在市販されているAPIから有用なHCl共結晶を作製することができる。この理由のため、本発明による開示は、出発物質として塩酸塩でないAPIを含有する。
【0032】
さらに、本発明による技術は塩化物塩以外の塩に関する。APIの臭化水素酸塩及びナトリウム塩が比較的強い非結合相互作用を形成するため、本発明による技術から特に有益であることが企図される。例えば、臭化水素酸塩である臭化水素酸シタロプラム及び臭化水素酸ガランタミンは、安息香酸、コハク酸、及び塩酸塩と適合する他のゲストとの共結晶化が予測される。
【0033】
本発明による技術は、例えばナプロキセンナトリウム、トルメチンナトリウム、及びワルファリンナトリウム等のAPIのナトリウム塩の共結晶を形成するために用いることができる。ナトリウム塩(又は正の対イオンを有するAPIの他の塩)を用いるときは、APIの塩酸塩を用いるときに比べ、異なるゲストが共結晶に適していると考えられる。
【0034】
アニオン及びカチオン
1つの態様として、塩として活性剤を提供する。活性剤の塩が形成される。代わりに又はそれに加えて、塩としてゲストを提供するか、又はゲストの塩を形成する。塩は活性剤及びカチオン又はアニオンのいずれかの対イオンを含有することができる。好ましいカチオン(カチオン及びカチオンを形成することができる化合物)としては、アルミニウム、アンモニウム、ベンザチン、カルシウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメグルミン、ジナトリウム、リチウム、リジン、マグネシウム、メグルミン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛が挙げられる。中でも好ましいアニオンとしては、アセテート、L−アスパルテート、ベシレート、重炭酸塩、炭酸塩、D−カンシラート、L−カンシラート、クエン酸塩、エジシル酸塩、フマル酸塩、グルコネート、臭化水素酸塩/臭化物、塩酸塩/塩化物、D−乳酸塩、L−乳酸塩、DL−乳酸塩、D,L−リンゴ酸塩、L−リンゴ酸塩、メシラート、パモエート、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−酒石酸塩、L−酒石酸塩、D,L−酒石酸塩、メソ−酒石酸塩、安息香酸塩、グルセプテート、D−グルクロン酸塩、ヒベンザート(hybenzate)、イセチオン酸塩、マロン酸塩、硫酸メチル、2−ナプシレート、ニコチネート、硝酸塩、オロチン酸塩、ステアリン酸塩、トシレート、アセフィリネート(acefyllinate)、アセチュレート、アミノサリチル酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳炭酸塩、デカン酸塩、ヘキサン酸塩、コール酸塩、シピオネート、ジクロロアセテート、エデンテート(edentate)、硫酸エチル、フレート(furate)、フシジン酸塩、ガラクタレート(mucate)、ガラクツロン酸塩、没食子酸塩、ゲンチサート(gentisate)、グルタミン酸塩、グルタラート、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩(エナント酸塩)、ヒドロキシ安息香酸塩、馬尿酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ヨウ化物、キシナホ酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩、ナパジシル酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、サリチル酸塩、サリチルサルフェート、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、テレフタレート、チオサリチル酸塩、トリブロフェネート(tribrophenate)、吉草酸塩、バルプロ酸塩、アジピン酸塩、4−アセトアミド安息香酸塩、カンシル酸塩、オクタン酸塩、エストレート、エシレート、グリコール酸塩、チオシアン酸塩、及びウンデシレン酸塩が挙げられる。
【0035】
活性剤の対イオンとして金属カチオンを用いる場合、ゲストとカチオンの間の相互作用は水素結合ではなく、むしろカルボニル等の電子豊富基と金属カチオンとの間の分子内相互作用である。この相互作用はしばしば水素結合より強くないが、なお好ましい相互作用であり、共結晶の安定化に寄与することができる。
【0036】
活性医薬成分の塩酸塩は、特に共結晶の新規な型を製造するために好ましい。この型の固体状態相において、中性ゲスト分子を有する塩酸塩を共結晶化することができる。これを行うことにより、特定の特性を有する固体状態相を創造することができる。例えば、選択したゲスト化合物により、大きい若しくは小さい固有の溶解度及び/又は速い若しくは遅い溶解速度を有する活性医薬成分を含有する固体を形成することができる。
【0037】
ゲスト
ゲストは、活性剤を有する共結晶を形成するために存在する。本発明による技術に従い、1種以上のゲストが共結晶に用いることができると予測される。したがって、ゲストはそれ自身が活性を有することは要求されないが、活性剤に所望される活性を過度に損なうことのない、いくらかの活性を有していてもよい。いくつかの状況において、ゲストは、活性剤と同じ活性又は補足する活性を有していてもよい。ゲストは別のAPIであってもよい。例えば、いくつかのゲストは活性医薬成分の治療効果を促進することができる。医薬製剤について、ゲストはAPI又はその塩と共結晶を形成する薬学上許容される分子であってよい。RTECSデータベースは毒性情報源として有用であり、GRASリストは約2500の関連化合物を含む。
【0038】
ゲストは中性(例えば、以下の実施例における安息香酸及びコハク酸)又はイオン性(例えば、安息香酸ナトリウム又はコハク酸ナトリウム)であってよい。中性ゲストは非イオン性ゲストである。イオン性ゲストは、イオン結合を有する化合物又は錯体である。図5は、いくつかの一般的な種類のゲスト(有機塩基、有機塩、アルコール&アルデヒド、アミノ酸、糖、無機イオン、脂肪族エステル&ケトン、有機酸、及び芳香族エステル&ケトン)を示す。
【0039】
ゲストは、塩素イオン(又は他のアニオン)と水素結合を形成する酸であってよい。例えば、特に限定されるものではないが、適切な酸のゲストとしては:
アスコルビン酸;
グルコヘプトン酸;
セバシン酸;
アルギン酸;
シクラミン酸;
エタン−1,2−ジスルホン酸;
2−ヒドロキシエタンスルホン酸;
2−オキソ−グルタル酸;
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸;
ニコチン酸;
ピログルタミン酸;及び
4−アセトアミド安息香酸
を含む。
【0040】
表1は、現在の好ましいゲストの群を示す。表1に示すゲストは分子構造及び/又は生理的効果に基づいた下位群に配列され得ると考えられる。さらに、上記のリストは、1個以上のゲストを除外する下位リストの記載された説明を提供するものである。
【0041】
表2は、好ましいゲストの別の群を示す。表に示すゲストは分子構造及び/又は生理的効果に基づいた下位群に配列され得ると考えられる。さらに、上記のリストは、1個以上のゲストを除外する下位リストの記載された説明を提供するものである。
【0042】
表3は、現在の適切なゲストと考えられる分子を含む群を示す。表に示すゲストは分子構造及び/又は生理的効果に基づいた下位群に配列され得ると考えられる。さらに、上記のリストは、1個以上のゲストを除外する下位リストの記載された説明を提供するものである。
【0043】
イオン性ゲストは、それら自身塩であり、共結晶を形成するためにあらかじめ用いられる塩基及び酸から形成され得る。例えば、以下の塩基及び酸は反応してイオン性ゲストを形成する。
【0044】
塩基
アンモニア
L−アルギニン
ベネタミン
ベンザチン
ベタイン
水酸化カルシウム
コリン
デアノル
ジエタノールアミン
ジエチルアミン
2−(ジエチルアミノ)エタノール
2−アミノエタノール
エチレンジアミン
N−メチルグルカミン
ヒドラブアミン(Hydrabamine)
1H−イミダゾール
リジン
水酸化マグネシウム
モルホリン
4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン
ピペラジン
水酸化カリウム
ピロリジン
1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン
水酸化ナトリウム
トリエタノールアミン
トロメタミン
水酸化亜鉛
【0045】

(+)−L−酒石酸
1,2,2−トリメチル−1,3−シクロペンタンジカルボン酸
10−ウンデシレン酸
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
(+)−カンファー−10−スルホン酸
2,5−ジヒドロキシ安息香酸
2−フランカルボン酸
2−メルカプト安息香酸
3−シクロペンチルプロピオン酸
3−フェニルプロピオン酸
4−アミノサリチル酸
4−ヒドロキシ安息香酸
酢酸
アジピン酸
アルファ−ヒドロキシプロピオン酸
ベンゼンスルホン酸
安息香酸
炭酸
コール酸
クエン酸
(−)−D−酒石酸
(+)−D−樟脳酸
(+)−D−リンゴ酸
(+)−L−リンゴ酸
2,2−ジクロロ酢酸
DL−10−カンファースルホン酸
DL−グルタミン酸
DL−リンゴ酸
DL−酒石酸
ドデシル硫酸
エタンスルホン酸
エチレンジアミン四酢酸
エチル硫酸
フマル酸
ガラクタル酸
没食子酸
グルコン酸
グルタル酸
グリコール酸
馬尿酸
ヨウ化水素酸
臭化水素酸
塩酸
(−)−L−リンゴ酸
(+)−L−乳酸
(+)−L−酒石酸
D,L−乳酸
ラクトビオン酸
L−アスパラギン酸
ラウリン酸
L−グルタミン酸
マレイン酸
(−)−L−リンゴ酸
マロン酸
D,L−マンデル酸
メタンスルホン酸
ナフタレン−2−スルホン酸
n−酪酸
n−デカン酸
n−ヘキサン酸
硝酸
n−テトラデカン酸
オクタン酸
オレイン酸
オロチン酸
オルトホウ酸
シュウ酸
4−アセトアミド安息香酸
パルミチン酸
パモ酸
リン酸
ピクリン酸
ピバリン酸
プロピオン酸
p−トルエンスルホン酸
ピロリン酸
サリチル酸
ステアリン酸
コハク酸
スルホサリチル酸
硫酸
テレフタル酸
チオシアン酸
吉草酸
バルプロン酸
【0046】
典型的には、適切なゲストは、活性剤又はその塩に対する非共有結合について相補的能力、例えば活性剤又はその塩と水素結合を形成する能力を有する。負の対イオンを有する活性剤に対する適切なゲストは、アルコール、ケトン、エステル、及び/又はカルボン酸の官能性を有する化合物を含むが、これらに限定されるものではない。適切なゲストは、有機酸、有機塩基、有機塩、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、糖、イオン性無機化合物、脂肪族エステル及びケトン、並びに芳香族エステル及びケトンを含有してもよい。
【0047】
中でも現在の好ましい中性ゲストは、室温において液体ではない。また現在の好ましい中性ゲストは、少なくとも3個の炭素原子、代わりに少なくとも4個の炭素原子を有し、溶媒和物を形成しないカルボン酸である。例えば、以下の酸が活性剤と組合される場合、組合せは共結晶に比べ溶媒和物がより適切であると考えられる。以下の酸とは、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸のことである。しかし、本発明のある実施形態においては(例えば、ある共結晶、共結晶化法及びスクリーニング方法においては)、溶媒及び溶媒和物の使用が依然として望ましく、溶媒及び溶媒和物の使用は明示した場合を除いて共結晶又は方法の範囲から除外されない。
【0048】
共結晶の検出
共結晶は、X線回折分析又は他の適切な方法により検出することができる。出発物質及び出発物質の多形体及び/又は溶媒和物及び/又は水和物の物理的性質と異なる、固体の物理的性質(特に融点)の観察は、共結晶が形成されたことの指標となる。
【0049】
結晶工学の方法を記載する。フルオキセチン塩酸塩等の医薬活性成分は、強力な水素結合受容体を有すると認識されている。強力な水素結合供与体又は他の可能なゲスト化合物のライブラリーに対してAPIをスクリーニングする。かかるライブラリーは、無毒性、物理的特性、並びにAPIに対して相補的な水素結合供与体の利用可能性及び幾何学的配置に基づいて選択され、指示される。
【0050】
フルオキセチン塩酸塩の共結晶のスクリーニング結果は、APIの広範な種類の塩酸塩に広く適用可能な共結晶の新しい種類を示す。この新しいアプローチは、APIの塩酸塩を出発物質とする共結晶の創造を可能にする一般的な方法である。塩酸塩からの出発は塩の利点を維持するが、ゲスト分子を添加することにより得られる固体の物理特性を変更する共結晶の方法を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
実施例1
塩酸フルオキセチン及び安息香酸の共結晶化
塩酸フルオキセチン:安息香酸の共結晶化を以下の方法を用いて形成した。1つの調製において、505mgの塩酸フルオキセチン試料及び178mgの安息香酸を加熱しながら5mlのアセトニトリルに溶解した。溶液を小さな結晶化皿中で結晶化した。7分以内に形状の良い結晶物質を形成した。この物質を濾紙上で単離し、空気中で乾燥して546(80%)の塩酸フルオキセチン:安息香酸(1:1)の共結晶を得た。
【0052】
別の調製において、5.00gの試料の塩酸フルオキセチン及び1.76gの安息香酸を加熱しながら50mlのアセトニトリルに溶解した。溶液を大きな蒸発皿中で結晶化した。得られた固体を濾紙上で単離し、空気中で乾燥して5.40g(92%)の塩酸フルオキセチン:安息香酸(1:1)の共結晶を得た。
【0053】
共結晶は比較的遅い溶解速度及び低い水溶解性を示した。共結晶について測定した融点は134℃+/−2℃であった。共結晶は、安息香酸が安全であることが知られており、米国食品医薬品局からのGRASリストに掲載されているため、毒性についての良好な特徴を有していると考えられる。
【0054】
得られる共結晶は、プロトン化されたAPI塩基、塩素イオン、及び中性ゲスト分子を含む三元系である。
【0055】
本発明者は、フルオキセチン塩酸塩の溶媒和物又は水和物が知られていないと考えている。したがって、フルオキセチン塩酸塩の共結晶の形成は、驚くべき成果であり、独自の組成物を提供するものである。
【0056】
実施例2
塩酸フルオキセチン及びコハク酸の共結晶化
塩酸フルオキセチン及びコハク酸の共結晶は以下のように調製した。1つの調製において、458mgの塩酸フルオキセチン試料を8mlのアセトニトリルに溶液をゆるやかに加熱しながら溶解した。78mgのコハク酸試料を加温した溶液に加え、溶解した。溶液を結晶化皿中で急速に蒸発させた。8分間溶媒を蒸発させたときに、形状の良い結晶が塊りとして形成した。生成物を濾紙上で集め、乾燥して401mgの塩酸フルオキセチン:コハク酸(2:1)の共結晶を得た(収率75%)。
【0057】
別の調製において、5.00gの試料の塩酸フルオキセチン及び0.85gのコハク酸を加熱しながらアセトニトリルに溶解した。溶液を開口した蒸発皿中で15分間結晶化した。固体材料を濾紙上で単離し、乾燥して5.40g(収率92%)の塩酸フルオキセチン:コハク酸(2:1)の共結晶を得た。
【0058】
測定した融点は塩酸フルオキセチンについて158℃、コハク酸について184℃、及び共結晶について137℃であった。共結晶は、コハク酸が安全であることが知られており、米国食品医薬品局からの一般に安全と認識された(Generally Recognized As Safe「GRAS」)リストに掲載されているため、毒性についての良好な特徴を有していると考えられる。
【0059】
実施例3
ナブメトン及び2,3−ナフタレンジオールの共結晶化
明示的な例として、中性APIを含有する共結晶をこの実施例で記載する。ナブメトン(中性API)及び2,3−ナフタレンジオールの共結晶は以下のように調製した。4.01gの2,3−ナフタレンジオール試料及び5.7gのナブメトンを50mlのニトロメタンに加熱しながら溶解した。溶液を冷却すると固体が形成され、一晩放置した。固体を残存する溶媒から濾別し、空気中で乾燥して6.61g(68%)のナブメトン:2,3−ナフタレンジオール(1:1)の共結晶を得た。
【0060】
得られた共結晶は、ナブメトン対2,3−ナフタレンジオールのモル比が1:1であった。測定した融点は、ナブメトンについて80℃、2,3−ナフタレンジオールについて162℃、共結晶について98℃であった。共結晶は、毒性について比較的劣った特徴を有していると考えられる。しかしながら、この例は分子構造が類似するゲスト分子の選択に対する1つの基準を示している。この場合、API及びゲストのナフタレン部分の分子認識が共結晶の安定性に寄与している。さらに、共結晶により形成されたより強力なアルコールとケトンとの水素結合は、共結晶の安定性に寄与している。API結晶構造中の水素結合供与体のみが弱いC−H基である。ゲスト分子における強い水素結合供与体は、APIの分子同士の相互作用に比べて、APIとゲストの間で強い分子間相互作用を形成することができる。
【0061】
実施例4
塩酸フルオキセチン:安息香酸共結晶(1:1)の結晶構造解析
塩酸適切なフルオキセチン:安息香酸(1:1)の共結晶をParatone N oilで被覆し、小ファイバループ中に懸濁させ、100Kに冷却した窒素ガス流中、グラファイトモノクロMoKα(0.71073Å)線によるBruker D8 SMART APEX CCD封止管回折計上に設置した。データは、10秒間のフレーム露光及び0.3°のフレーム幅でファイ及びオメガスキャンの一連の組合せを用いて測定した。データの収集、索引作業、初期セルの修正は、すべてSMARTソフトウェアを用いて行った(SMARTバージョン5.624、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。フレームの集積及び最終セルの修正はSAINTソフトウェアを用いて行った(SAINTバージョン6.02、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。最終セルパラメータは、5435反射における最小二乗微調整により決定した。SADABSプログラムは吸収を補正するために用いた(SADABSバージョン2.03、2001、George Sheldrick、University of Gottingen)。
【0062】
構造は直接法及び差フーリエ法(SHELXTL V5.10、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)を用いて解明した。水素原子は、HFIXコマンドを用いて予想される化学的位置に置かれ、乗せられた原子に関する等方性Uijによる最小二乗の最終サイクルに含まれた。C−Hの距離は0.93Å(芳香族及びアミド)、0.98Å(メチン)、0.97Å(メチレン)、又は0.96Å(メチル)に固定された。すべての非水素原子は異方性に微調整された。散乱係数及び異常分散補正は、A.J.C.Wilson(ed)、International Tables for X−ray Crystallography、Volume C.Kynoch、Academic Publishers、Dordrecht、1992、Tables 6.1.1.4(500−502頁)及び4.2.6.8(219−222頁)、the International Tables for X−ray Crystallographyにより行った。公表物質の構造解明、検索、製図及び生成は、SHELXTL V5.10ソフトウェアを用いて行った。追加のデータ収集及び構造検索の詳細を以下の表4に示す。
【0063】
実施例5
塩酸フルオキセチン:コハク酸の共結晶(2:1)の結晶構造解析
塩酸フルオキセチン−コハク酸(2:1)の適切な共結晶をParatone Nオイルで被覆し、小ファイバループ中に懸濁させ、100Kに冷却した窒素ガス流中、グラファイトモノクロMoKα(0.71073Å)線によるBruker D8 SMART APEX CCD封止管回折計上に設置した。データは、10秒間のフレーム露光及び0.3°のフレーム幅でファイ及びオメガスキャンの一連の組合せを用いて測定した。データの収集、索引作業、初期セルの修正は、すべてSMARTソフトウェアを用いて行った(SMARTバージョン5.624、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。フレームの集積及び最終セルの修正はSAINTソフトウェアを用いて行った(SAINTバージョン6.02、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。最終セルパラメータは、5435反射における最小二乗微調整により決定した。SADABSプログラムは吸収を補正するために用いた(SADABSバージョン2.03、2001、George Sheldrick、University of Gottingen)。
【0064】
構造は直接法及び差フーリエ法(SHELXTL V5.10、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)を用いて解明した。水素原子は、HFIXコマンドを用いて予想される化学的位置に置かれ、乗せられた原子に関する等方性Uijによる最小二乗の最終サイクルに含まれた。C−Hの距離は0.93Å(芳香族及びアミド)、0.98Å(メチン)、0.97Å(メチレン)、又は0.96Å(メチル)に固定された。すべての非水素原子は異方性に微調整された。散乱係数及び異常分散補正は、A.J.C.Wilson(ed)、International Tables for X−ray Crystallography、Volume C.Kynoch、Academic Publishers、Dordrecht、1992、Tables 6.1.1.4(500−502頁)及び4.2.6.8(219−222頁)により行った。構造解明、検索、製図及び公表物質の生成は、SHELXTL V5.10ソフトウェアを用いて行った。追加のデータ収集及び構造検索の詳細を以下の表5に示す。
【0065】
実施例6
ナブメトン:2,3−ナフタレンジオール共結晶(1:1)の結晶構造解析
ナブメトン:2,3−ナフタレンジオール共結晶(1:1)の適切な共結晶をParatone Nオイルで被覆し、小ファイバループ中に懸濁させ、100Kに冷却した窒素ガス流中、グラファイトモノクロCuKα(1.54178Å)線によるBruker D8 SMART 1000 CCD封止管回折計上に設置した。データは、10秒間のフレーム露光及び0.3°のフレーム幅でファイ及びオメガスキャンの一連の組合せを用いて測定した。データの収集、索引作業、初期セルの修正は、すべてSMARTソフトウェアを用いて行った(SMARTバージョン5.55、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。フレームの集積及び最終セルの修正はSAINTソフトウェアを用いて行った(SAINTバージョン6.02、1999、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。最終セルパラメータは、2869反射における最小二乗微調整により決定した。
【0066】
構造は直接法及び差フーリエ法(SHELXTL V5.10、1997、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)を用いて解明した。水素原子は、HFIXコマンドを用いて予想される化学的位置に置かれ、乗せられた原子に関する等方性Uijによる最小二乗の最終サイクルに含まれた。C−Hの距離は0.93Å(芳香族及びアミド)、0.98Å(メチン)、0.97Å(メチレン)、又は0.96Å(メチル)に固定された。すべての非水素原子は異方性に微調整された。散乱係数及び異常分散補正は、A.J.C.Wilson(ed)、International Tables for X−ray Crystallography、Volume C.Kynoch、Academic Publishers、Dordrecht、1992、Tables 6.1.1.4(500−502頁)及び4.2.6.8(219−222頁)により行った。構造解明、検索、製図及び公表物質の生成は、SHELXTL V5.10ソフトウェアを用いて行った。追加のデータ収集及び構造検索の詳細を以下の表6に示す。
【0067】
実施例7
活性剤塩及びゲストの共結晶
実施例1及び2の実験を、先の実施例の条件と同様の条件を用い、この開示において先に特定した活性剤の塩及びゲストのそれぞれ可能な組合せにより繰り返す。活性剤の既知の活性による一致性を有する共結晶が形成される。
【0068】
実施例8
活性剤塩及びゲスト塩の共結晶
実施例3の実験を、先の実施例の条件と同様の条件を用い、この開示において先に特定した中性又は両性イオン活性剤及びゲスト塩のそれぞれ可能な組合せにより繰り返す。活性剤の既知の活性による一致性を有する共結晶が形成される。
【0069】
実施例9
塩酸フルオキセチン及びフマル酸の共結晶化
塩酸フルオキセチン及びコハク酸の共結晶を以下のように調製した。6.00gの塩酸フルオキセチンの試料及び1.01gのフマル酸を20mlのエタノールに加熱しながら溶解した。溶液を0.2μmのナイロンフィルタを通して濾過し、8mlの容積に濃縮し、氷浴中で6時間冷却した。固体物質を濾紙上に単離し、空気中で乾燥し、5.74g(収率82%)の塩酸フルオキセチン:フマル酸(2:1)共結晶を得た。測定した融点は、塩酸フルオキセチンについて158℃、フマル酸について>300℃(分解する)及び共結晶について164℃であった。共結晶は、フマル酸が安全であることが知られており、米国食品医薬品局からの一般に安全と認識された(Generally Recognized As Safe「GRAS」)リストに掲載されているため、毒性についての良好な特徴を有していると考えられる。
【0070】
実施例10
塩酸フルオキセチン:フマル酸の共結晶(2:1)の結晶構造解析
塩酸フルオキセチン及びフマル酸の適切な共結晶をParatone Nオイルで被覆し、小ファイバループ中に懸濁させ、100Kに冷却した窒素ガス流中、グラファイトモノクロCuKα(1.54178Å)線によるBruker D8 SMART 1000 CCD封止管回折計上に設置した。データは、10秒間のフレーム露光及び0.3°のフレーム幅でファイ及びオメガスキャンの一連の組合せを用いて測定した。データの収集、索引作業、初期セルの修正は、すべてSMARTソフトウェアを用いて行った(SMARTバージョン5.55、2000、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。フレームの集積及び最終セルの修正はSAINTソフトウェアを用いて行った(SAINTバージョン6.02、1999、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)。最終セルパラメータは、5625反射における最小二乗微調整により決定した。
【0071】
構造は直接法及び差フーリエ法(SHELXTL V5.10、1997、Bruker AXS,Inc.、Analytical X−ray System、5465 East Cheryl Parkway、Madison WI 53711−5373)を用いて解明した。すべての水素原子は、差フーリエ法から位置づけられ、等方性Uijによる最小二乗の最終サイクルに含まれた。すべての非水素原子は異方性に微調整された。散乱係数及び異常分散補正は、A.J.C.Wilson(ed)、International Tables for X−ray Crystallography、Volume C.Kynoch、Academic Publishers、Dordrecht、1992、Tables 6.1.1.4(500−502頁)及び4.2.6.8(219−222頁)により行った。構造解明、検索、製図及び公表物質の生成は、SHELXTL V5.10ソフトウェアを用いて行った。追加のデータ収集及び構造検索の詳細を以下の表Gに示す。
【0072】
優先権を有する文献を含め、本明細書で引用したすべての特許、試験操作、及び他の文献は、かかる文献が本発明と矛盾しない範囲及びかかる合体が許容されるすべての法域について、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0073】
本発明は、特定の実施形態を参照することにより記載及び説明したものであるが、当該技術分野において通常の技術を有する者は、当然のことながら本発明それ自体で本明細書に説明されていない多くの異なる変形に役立てることができる。これらの理由から、本発明の真の範囲を決定する目的のため、従属クレームのみが参照されるべきである。
【0074】
従属クレームは、米国の特許実務に従って単一の従属性を有するが、従属クレームにおける各構成要件は、他の従属クレーム又はメインクレームの各構成要件と合体することができる。
【0075】
(表1)
10−ショウノウスルホン酸
10−ウンデシレン酸
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
2,4−ジヒドロキシ安息香酸
2,5−ジヒドロキシ安息香酸
2−アミノプロピオン酸
2−エチル酪酸
2−フランカルボン酸
2−メルカプト安息香酸
3−メチルブタン酸
3−フェニルプロピオン酸
4−アミノ安息香酸
4−アミノサリチル酸
4−ヒドロキシ安息香酸
アジピン酸
アルギン酸
アニス酸
アルギニン
アスコルビン酸
アスパラギン
アスパラギン酸
アスピリン
ベンゼンスルホン酸
安息香酸
4−アセトアミド安息香酸
β−アラニン
ショウノウ酸
ショウノウスルホン酸
炭酸
コール酸
桂皮酸
クエン酸
シクラミン酸
シクロヘキサンカルボン酸
シクロヘキシル酢酸
システイン
ジフェニル酢酸
ドデシルスルホン酸
エタン−1,2−ジスルホン酸
エタンスルホン酸
エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ
エチレンジアミン四酢酸
エチル硫酸
フマル酸
ガラクタル酸
没食子酸
ゲンチジン酸
グルコヘプトン酸
グルコン酸
グルタミン酸
グルタミン
グルタル酸
グルタル酸、2−オキソ−
グリシン
グリコール酸
馬尿酸
ヒスチジン
ヒドロキシプロリン
イソロイシン
ラクトビオン酸
ラウリン酸
ロイシン
レブリン酸
リシン
マレイン酸
リンゴ酸
マロン酸
マンデル酸
m−メトキシ安息香酸
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸
ナフタレン−2−スルホン酸
n−デカン酸
ナイアシン
ニコチン酸
n−テトラデカン酸
オレイン酸
o−メチル安息香酸
オロト酸
オルトホウ酸
o−トルイル酸
p−アセトアミド安息香酸
パルミチン酸
パモ酸
フェノキシ酢酸
フェニル酢酸
フェニルアラニン
ピクリン酸
ピバル酸
プロリン
p−トルエンスルホン酸
ピログルタミン酸
ピルビン酸
サリチル酸
セバシン酸
セリン
ソルビン酸
ステアリン酸
コハク酸
スルホサリチル酸
酒石酸
テレフタル酸
チオシアン酸
トレオニン
チグリン酸
トリプトファン
チロシン
吉草酸
バリン
【0076】
【表2−1】


【表2−2】


【表2−3】


【表2−4】


【表2−5】


【表2−6】


【表2−7】


【表2−8】


【表2−9】


【表2−10】


【表2−11】


【表2−12】


【表2−13】


【表2−14】


【表2−15】


【表2−16】


【表2−17】


【表2−18】


【表2−19】


【表2−20】


【表2−21】


【表2−22】


【表2−23】


【表2−24】


【表2−25】


【表2−26】


【表2−27】


【表2−28】


【表2−29】


【表2−30】


【表2−31】


【表2−32】


【表2−33】


【表2−34】


【表2−35】


【表2−36】


【表2−37】


【表2−38】


【表2−39】


【表2−40】


【表2−41】


【表2−42】


【表2−43】


【表2−44】


【表2−45】


【表2−46】


【表2−47】


【表2−48】


【表2−49】


【表2−50】


【表2−51】

【0077】
【表3−1】


【表3−2】


【表3−3】


【表3−4】


【表3−5】


【表3−6】


【表3−7】


【表3−8】


【表3−9】


【表3−10】


【表3−11】


【表3−12】


【表3−13】


【表3−14】


【表3−15】


【表3−16】


【表3−17】


【表3−18】


【表3−19】


【表3−20】


【表3−21】


【表3−22】


【表3−23】


【表3−24】


【表3−25】


【表3−26】


【表3−27】


【表3−28】


【表3−29】


【表3−30】


【表3−31】


【表3−32】


【表3−33】


【表3−34】


【表3−35】


【表3−36】


【表3−37】


【表3−38】


【表3−39】


【表3−40】


【表3−41】


【表3−42】


【表3−43】


【表3−44】


【表3−45】


【表3−46】

【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a)と(b)は、活性医薬成分の結晶構造、及びゲスト分子を有する同じAPIを含有する共結晶構造を示す。
【図2】(a)と(b)は、塩酸フルオキセチン及び安息香酸(1:1)の共結晶の2次元及び3次元モデルの図である。
【図3】(a)と(b)は塩酸フルオキセチン及びコハク酸(2:1)の共結晶の2次元及び3次元モデルの図である。
【図4】(a)と(b)は、ナブメトン及び2,3−ナフタレンジオールの2次元の図、及びナブメトン及び2,3−ナフタレンジオール(1:1)の共結晶の3次元モデルを示す。
【図5】一般的な種類のゲストの例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩及び中性ゲストを含有する共結晶であって、前記塩が活性剤及び対イオンを含有し、前記ゲストが少なくとも3個の炭素原子を有するカルボン酸である、溶媒和物でない、上記共結晶。
【請求項2】
前記ゲストが少なくとも4個の炭素原子を有するカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
前記ゲストが表1に示すゲストからなる群から選択される、請求項1に記載の共結晶。
【請求項4】
前記ゲストが表2に示すゲストからなる群から選択される、請求項1に記載の共結晶。
【請求項5】
前記ゲストが表3に示すゲストからなる群から選択される、請求項1に記載の共結晶。
【請求項6】
前記ゲストが
ソルビン酸;
L−(+)−酒石酸;
クエン酸;
安息香酸;
アスピリン;
乳酸;
フマル酸;
(S)−(+)−アルギニン;
グリシン;
(S)−(−)−ヒスチジン;
(S)−(+)−リジン;
DL−酒石酸;
(S)−(−)−フェニルアラニン;
(S)−(−)−チロシン;
フェニル酢酸;
アジピン酸;
ピルビン酸;
コハク酸;
ナイアシン;
4−アミノ安息香酸;
o−メチル安息香酸;
吉草酸;
マレイン酸;
3−メチル酪酸;
L−グルタミン酸;
2,4−ジヒドロキシ安息香酸;
3−フェニルプロピオン酸;
イソカプロン酸;
(L)−(+)−イソロイシン;
L−リンゴ酸;
L−2−アミノプロピオン酸;
L−グルタミン;
L−ヒドロキシプロリン;
L−プロリン;
L−セリン;
L−トレオニン;
L−バリン;
フェノキシ酢酸;
2−エチル酪酸;
L−ロイシン;
L−アスパラギン;
レブリン酸;
(S)−(−)−システイン;
DL−アスパラギン酸;
4−ヒドロキシ安息香酸;
ジフェニル酢酸;
グルタル酸;
o−トルイル酸;
ピバル酸;
DL−リンゴ酸;
ベータ−アラニン;
(S)−(−)−トリプトファン;
マロン酸;
マンデル酸;
グリコール酸;
テレフタル酸;
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;
4−アミノサリチル酸;
オロチン酸;
没食子酸;
ゲンチシン酸;
パモ酸;
n−酪酸;
n−ヘキサン酸;
2−フランカルボン酸;
p−アセトアミド安息香酸;
ガラクタル酸;
ラクトビオン酸;
2−メルカプト安息香酸;
3−シクロペンチルプロピオン酸;
DL−リジン;
ケイ皮酸;
ジクロロ酢酸;
オクタン酸;
イソ酪酸;
アニス酸;
エナント酸;
馬尿酸;
チグリン酸;
シクロヘキサンカルボン酸;
m−メトキシ安息香酸;
D−(+)−樟脳酸;及び
シクロヘキシル酢酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項7】
前記ゲストが
アスコルビン酸;
グルコヘプトン酸;
セバシン酸;
アルギン酸;
シクラミン酸;
エタン−1,2−ジスルホン酸;
2−ヒドロキシエタンスルホン酸;
2−オキソ−グルタル酸;
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸;
ニコチン酸;
ピログルタミン酸;及び
4−アセトアミド安息香酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項1に記載の共結晶。
【請求項8】
前記ゲストが安息香酸、コハク酸、及びフマル酸からなる群から選択される、請求項1に記載の共結晶。
【請求項9】
前記対イオンがハロゲン化物イオンである、請求項1に記載の共結晶。
【請求項10】
前記対イオンが塩化物イオンである、請求項9に記載の共結晶。
【請求項11】
前記対イオンが正の対イオンである、請求項1に記載の共結晶。
【請求項12】
前記活性剤が第2アミン又は第3アミンを含有し、及び前記アミンが前記対イオンによる塩を形成している、請求項1に記載の共結晶。
【請求項13】
前記アミンが第3アミンである、請求項11に記載の共結晶。
【請求項14】
前記活性剤が活性な薬学的成分を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項15】
前記活性剤が栄養補助食品を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項16】
前記活性剤が農薬を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項17】
前記活性剤が色素を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項18】
前記活性剤が染料を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項19】
前記活性剤が火薬を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項20】
前記活性剤が高分子添加物を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項21】
前記活性剤が潤滑剤用添加物を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項22】
前記活性剤が写真薬剤を含有する、請求項1に記載の共結晶。
【請求項23】
塩及び中性ゲストを含有する共結晶であって、前記塩が活性剤及び対イオンを含有し、前記ゲストが強力な水素結合供与体であり、且つ表3に示すゲストから選択される共結晶。
【請求項24】
前記ゲストが少なくとも4個の炭素原子を有するカルボン酸である、請求項23に記載の共結晶。
【請求項25】
前記ゲストが表1に示すゲストからなる群から選択される、請求項23に記載の共結晶。
【請求項26】
前記ゲストが表2に示すゲストからなる群から選択される、請求項23に記載の共結晶。
【請求項27】
前記ゲストが
ソルビン酸;
L−(+)−酒石酸;
クエン酸;
安息香酸;
アスピリン;
乳酸;
フマル酸;
(S)−(+)−アルギニン;
グリシン;
(S)−(−)−ヒスチジン;
(S)−(+)−リジン;
DL−酒石酸;
(S)−(−)−フェニルアラニン;
(S)−(−)−チロシン;
フェニル酢酸;
アジピン酸;
ピルビン酸;
コハク酸;
ナイアシン;
4−アミノ安息香酸;
o−メチル安息香酸;
吉草酸;
マレイン酸;
3−メチル酪酸;
L−グルタミン酸;
2,4−ジヒドロキシ安息香酸;
3−フェニルプロピオン酸;
イソカプロン酸;
(L)−(+)−イソロイシン;
L−リンゴ酸;
L−2−アミノプロピオン酸;
L−グルタミン;
L−ヒドロキシプロリン;
L−プロリン;
L−セリン;
L−トレオニン;
L−バリン;
フェノキシ酢酸;
2−エチル酪酸;
L−ロイシン;
L−アスパラギン;
レブリン酸;
(S)−(−)−システイン;
DL−アスパラギン酸;
4−ヒドロキシ安息香酸;
ジフェニル酢酸;
グルタル酸;
o−トルイル酸;
ピバル酸;
DL−リンゴ酸;
ベータ−アラニン;
(S)−(−)−トリプトファン;
マロン酸;
マンデル酸;
グリコール酸;
テレフタル酸;
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;
4−アミノサリチル酸;
オロチン酸;
没食子酸;
ゲンチシン酸;
パモ酸;
n−酪酸;
n−ヘキサン酸;
2−フランカルボン酸;
p−アセトアミド安息香酸;
ガラクタル酸;
ラクトビオン酸;
2−メルカプト安息香酸;
3−シクロペンチルプロピオン酸;
DL−リジン;
ケイ皮酸;
ジクロロ酢酸;
オクタン酸;
イソ酪酸;
アニス酸;
エナント酸;
馬尿酸;
チグリン酸;
シクロヘキサンカルボン酸;
m−メトキシ安息香酸;
D−(+)−樟脳酸;及び
シクロヘキシル酢酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項23に記載の共結晶。
【請求項28】
前記ゲストが
アスコルビン酸;
グルコヘプトン酸;
セバシン酸;
アルギン酸;
シクラミン酸;
エタン−1,2−ジスルホン酸;
2−ヒドロキシエタンスルホン酸;
2−オキソ−グルタル酸;
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸;
ニコチン酸;
ピログルタミン酸;及び
4−アセトアミド安息香酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項23に記載の共結晶。
【請求項29】
前記ゲストが安息香酸、コハク酸、及びフマル酸からなる群から選択される、請求項23に記載の共結晶。
【請求項30】
前記対イオンがハロゲン化物イオンである、請求項23に記載の共結晶。
【請求項31】
前記対イオンが塩化物イオンである、請求項30に記載の共結晶。
【請求項32】
前記活性剤が第2アミン又は第3アミンを含有し、且つ前記アミンが前記対イオンと塩を形成している、請求項23に記載の共結晶。
【請求項33】
前記アミンが第3アミンである、請求項32に記載の共結晶。
【請求項34】
前記活性剤が活性な薬学的成分を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項35】
前記活性剤が栄養補助食品を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項36】
前記活性剤が農薬を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項37】
前記活性剤が色素を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項38】
前記活性剤が染料を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項39】
前記活性剤が火薬を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項40】
前記活性剤が高分子添加物を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項41】
前記活性剤が潤滑剤用添加物を含有する、請求項23に記載の共結晶。
【請求項42】
前記活性剤が写真薬剤を含有する、請求項23に記載の共結晶
【請求項43】
塩及び中性ゲストを含有する共結晶であって、前記塩が活性剤及び対イオンを含有し、且つ前記対イオンが塩素イオン以外のものである、上記共結晶。
【請求項44】
前記塩が前記活性剤及び鉱酸から形成され、且つ前記鉱酸が前記対イオンを供給する、請求項43に記載の共結晶。
【請求項45】
前記塩が前記活性剤及び無機酸から形成され、且つ前記無機酸が前記対イオンを供給する、請求項43に記載の共結晶。
【請求項46】
前記塩が前記活性剤と
硫酸;
リン酸;
臭化水素酸;
硝酸;
ピロリン酸;
メタンスルホン酸;
チオシアン酸;
ナフタレン−2−スルホン酸;
1,5−ナフタレンジスルホン酸;
シクラミン酸;
p−トルエンスルホン酸;
マレイン酸;
L−アスパラギン酸;
2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸;
グリセロリン酸;
エタンスルホン酸;及び
ヨウ化水素酸
からなる群から選択された酸から形成され、且つ前記酸が前記対イオンを供給する、請求項43に記載の共結晶。
【請求項47】
前記ゲストがリン酸塩である、請求項43に記載の共結晶。
【請求項48】
前記ゲストが臭化物である、請求項43に記載の共結晶。
【請求項49】
前記ゲストが少なくとも3個の炭素原子を有するカルボン酸である、請求項43に記載の共結晶。
【請求項50】
前記ゲストが表1に示すゲストからなる群から選択される、請求項43に記載の共結晶。
【請求項51】
前記ゲストが表2に示すゲストからなる群から選択される、請求項43に記載の共結晶。
【請求項52】
前記ゲストが表3に示すゲストからなる群から選択される、請求項43に記載の共結晶。
【請求項53】
前記ゲストが
ソルビン酸;
L−(+)−酒石酸;
クエン酸;
安息香酸;
アスピリン;
乳酸;
フマル酸;
(S)−(+)−アルギニン;
グリシン;
(S)−(−)−ヒスチジン;
(S)−(+)−リジン;
DL−酒石酸;
(S)−(−)−フェニルアラニン;
(S)−(−)−チロシン;
フェニル酢酸;
アジピン酸;
ピルビン酸;
コハク酸;
ナイアシン;
4−アミノ安息香酸;
o−メチル安息香酸;
吉草酸;
マレイン酸;
3−メチル酪酸;
L−グルタミン酸;
2,4−ジヒドロキシ安息香酸;
3−フェニルプロピオン酸;
イソカプロン酸;
(L)−(+)−イソロイシン;
L−リンゴ酸;
L−2−アミノプロピオン酸;
L−グルタミン;
L−ヒドロキシプロリン;
L−プロリン;
L−セリン;
L−トレオニン;
L−バリン;
フェノキシ酢酸;
2−エチル酪酸;
L−ロイシン;
L−アスパラギン;
レブリン酸;
(S)−(−)−システイン;
DL−アスパラギン酸;
4−ヒドロキシ安息香酸;
ジフェニル酢酸;
グルタル酸;
o−トルイル酸;
ピバル酸;
DL−リンゴ酸;
ベータ−アラニン;
(S)−(−)−トリプトファン;
マロン酸;
マンデル酸;
グリコール酸;
テレフタル酸;
1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸;
4−アミノサリチル酸;
オロチン酸;
没食子酸;
ゲンチシン酸;
パモ酸;
n−酪酸;
n−ヘキサン酸;
2−フランカルボン酸;
p−アセトアミド安息香酸;
ガラクタル酸;
ラクトビオン酸;
2−メルカプト安息香酸;
3−シクロペンチルプロピオン酸;
DL−リジン;
ケイ皮酸;
ジクロロ酢酸;
オクタン酸;
イソ酪酸;
アニス酸;
エナント酸;
馬尿酸;
チグリン酸;
シクロヘキサンカルボン酸;
m−メトキシ安息香酸;
D−(+)−樟脳酸;及び
シクロヘキシル酢酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項43に記載の共結晶。
【請求項54】
前記ゲストが
アスコルビン酸;
グルコヘプトン酸;
セバシン酸;
アルギン酸;
シクラミン酸;
エタン−1,2−ジスルホン酸;
2−ヒドロキシエタンスルホン酸;
2−オキソ−グルタル酸;
ナフタレン−1,5−ジスルホン酸;
ニコチン酸;
ピログルタミン酸;及び
4−アセトアミド安息香酸
からなる群から選択されたカルボン酸である、請求項43に記載の共結晶。
【請求項55】
前記ゲストが安息香酸、コハク酸、及びフマル酸からなる群から選択される、請求項43に記載の共結晶。
【請求項56】
ゲスト及び活性剤を含有する共結晶であって、前記ゲストが対イオンを供給するアミン塩であり、前記活性剤がカルボン酸である共結晶。
【請求項57】
固体活性剤及びゲストに少量の有機溶媒を別々に加えるステップと、
前記活性剤を溶解してAPI及び有機溶媒の溶液を形成するステップと、
前記ゲストを溶解して前記ゲスト及び有機溶媒の溶液を形成するステップと、
前記2つの溶液の混合液を形成するステップ、及び
得られた混合液を固化して前記活性剤及び前記ゲストの共結晶を形成するステップとを含む共結晶を生成する方法。
【請求項58】
活性剤の塩とゲストの共結晶の調製方法であって、前記方法が、
活性剤の塩を選択するステップであって、前記塩は前記活性剤及び対イオンを含有するステップと、
前記結晶内の水素結合の相互作用による前記対イオンの配位を理論計算するステップと、
前記結晶内の前記配位に比べより強力に前記対イオンと配位するゲストを選択するステップと、
前記活性剤、前記対イオン、及び前記ゲストを含有する溶液、溶解物又は物理的混合物を調製するステップと、
前記溶液又は溶解物を結晶化工程に供する、又は物理的混合物を粉砕するステップ、及び
前記活性剤の塩及び前記ゲストを含有する共結晶を形成するステップであって、前記対イオンが強力な水素結合の相互作用により前記ゲストに配位されるステップとを含む方法。
【請求項59】
前記対イオンが負の対イオンであり、且つ前記ゲストが少なくとも1つの配位部位に対して前記活性剤より強力な水素結合供与体である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記結晶が前記対イオンとともに少なくとも1つのC−H水素結合供与体を含有し、前記ゲストが前記少なくとも1つのC−H水素結合供与体を少なくとも1つのO−H水素結合供与体により置き換える、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
薬物製剤の1つ又は複数の物理的特性を変更する方法であって、前記薬物製剤がAPIを含有し、前記方法が:
複数のゲストを有する前記APIの共結晶を形成するステップと;
前記共結晶の少なくとも1つの物理的特性を測定するステップと;
前記少なくとも1つの物理的特性における各ゲストの効果を評価するステップ;及び
望ましい物理的特性を有する前記共結晶の1つから前記薬物製剤を調製するステップとを含む方法。
【請求項62】
前記APIが中性APIである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記APIを塩として供給する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
共結晶医薬組成物の調製方法であって、
活性な薬学的成分の塩を得るステップであって、前記塩が塩素イオン以外の負の対イオンを有するステップと;
前記得られた塩の負の対イオンを塩素イオンで置換するステップ;及び
適切なゲストにより置換された塩を共結晶化するステップとを含む方法。
【請求項65】
水和物から共結晶を調製する方法であって、前記共結晶は塩及び中性ゲストを含有し、そして前記塩は活性剤及び対イオンを含有し、前記方法が、
水和反応の水を含有する前記塩の水和物を供給するステップと;
前記対イオンと配位するゲストを選択するステップと;
前記水和物及び前記ゲストを含有する溶液、溶解物又は物理的混合物を調製するステップと;
前記溶液又は溶解物を結晶化工程に供する、又は前記物理的混合物を粉砕するステップ;及び
前記活性剤の塩及び前記ゲストを含有する共結晶を形成するステップとを含む方法。
【請求項66】
前記ゲストが、前記対イオンと配位する水和物の水に比べ、より強力に前記対イオンと配位する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
溶媒和物から共結晶を調製する方法であって、前記共結晶が溶媒和物ではなく、塩及び中性ゲストを含有し、且つ前記塩が活性剤及び対イオンを含有し、前記方法が、
前記塩と配位した溶媒分子を含有する前記塩の溶媒和物を供給するステップと;
前記溶媒より強力に前記対イオンと配位するゲストを選択するステップと;
前記溶媒和物及び前記ゲストを含有する溶液、溶解物又は物理的混合物を調製するステップと;
前記溶液又は溶解物を結晶化工程に供する、又は前記物理的混合物を粉砕するステップ;及び
前記活性剤の塩及び前記ゲストを含有する共結晶を形成するステップとを含む方法。
【請求項68】
前記ゲストが、前記対イオンと配位する水和物の溶媒水に比べ、より強力に前記対イオンと配位する、請求項67に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−518713(P2006−518713A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501097(P2006−501097)
【出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/001699
【国際公開番号】WO2004/064762
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505273165)エス.エス.シー.アイ.インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】