説明

新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物

【課題】新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


(式中、AおよびAは、置換基を有することもある複素環およびジアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)で示される有機モリブデン化合物は、摩擦調節剤として潤滑油に使用することができる。特に、AおよびAが、1-ピロリジニル基の場合に優れた摩擦低減効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤の摩擦特性を適切なレベルに調整するために摩擦調整剤(フリクションモディファイア)があり、省燃費を目指したギヤ油やエンジン油のような潤滑組成物には摩擦低減作用のある摩擦調整剤が使用されており、自動変速機の湿式クラッチ部分に用いる潤滑組成物ではある程度高い摩擦レベルを維持するため摩擦向上作用のある摩擦調整剤が使用されている。これらの摩擦調整剤としては多くのタイプのものが提案されている。
【0003】
そして、その摩擦調整剤として最も代表的なものが有機モリブデン化合物であるが、非特許文献1にみられるように、これらの有機モリブデン化合物は、下記式(2)および(3)に示されているように1分子中に2個のMo元素を含有する化合物である。
【化2】

また、特許文献1〜5においても1分子中に2個のMo元素含有化合物が開示されている。
そして、前記一般式(2)で示されるように分子中にリンを含有する化合物は、エンジン油に添加される場合、排ガス浄化装置の触媒毒となるという問題を含んでおり、リンを含まない化合物が求められている。
【0004】
【非特許文献1】昭和61年7月25日、株式会社 幸書房発行、桜井俊男編著「新版石油製品添加剤」
【特許文献1】特許第3495764号公報
【特許文献2】特公昭45−24562号公報
【特許文献3】特開昭52−19629号公報
【特許文献4】特開昭52−106824号公報
【特許文献5】特開昭48−56202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化3】

(式中、AおよびAは、置換基を有することもある複素環およびジアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示される有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第2は、前記置換基を有することもある複素環が、5員環および6員環よりなる群から選ばれた複素環であって、前記5員環は、テトラゾール型、トリアゾール型、ピラゾール型、ピラゾリジン型、イミダゾール型、オキサゾリジン型、チアゾリジン型、ピロリジン型、ピロリン型およびピロール型よりなる群から選ばれた5員環であり、前記6員環はピペラジン型、ピラジン型、チオモルホリン型、チアジン型、モルホリン型、オキサジン型およびピペリジン型よりなる群から選ばれた6員環である請求項1記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第3は、AおよびAがジアルキルアミノ基であって、Aが−N(R10,R11)、Aが−N(R10′,R11′)であって、R10、R11、R10′およびR11′が、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である請求項1記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第4は、AおよびAが、−N(CH、−N(C、−N(C、−N(C、−N(C11、−N(C13、−N(C15、−N(C17よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である請求項1記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第5は、AおよびAが、いずれも1−ピロリジル基である請求項1記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第6は、請求項1〜5いずれか記載の有機モリブデン化合物よりなる摩擦調整剤に関する。
本発明の第7は、請求項6記載の摩擦調整剤を含有する潤滑組成物に関する。
【0007】
本発明の化合物は、例えば下記の反応により製造することができる。
【0008】
(1)
【化4】

【0009】
(2)(イ)中間体の合成
【化5】


【化6】


(ロ)中間体から本発明化合物の合成
下記式中、PPhは、トリフェニルホスフィンを示す。
【化7】

【化8】

【0010】
【化9】

として表すことができる。式中、Z〜Zは、C、O、NおよびSよりなる群からそれぞれ独立して選ばれた元素であり、これらのうちCやNの場合には隣りのCやNと2重結合を形成してもよい。R〜RおよびR1′〜R4′は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるがZ〜Zが環形成で結合手が飽和している場合はこれらの基は存在しない。
【0011】
【化10】

として表すことができる。式中、Z〜Zは、C、O、NおよびSよりなる群からそれぞれ独立して選ばれた元素であり、これらのうちCやNの場合には隣りのCやNと2重結合を形成してもよい。R〜RおよびR5′〜R9′は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるがZ〜Zが環形成で結合手が飽和している場合はこれらの基は存在しない。
【0012】
前記AまたはAの具体例としては、下記の場合を挙げることができる。

【表1】

【表2】

【0013】
前記テトラゾール型などの5員環やモルホリン型などの6員環にはR〜RおよびR1′〜R9′で示される置換基があってもよい。この置環基である炭素数1〜30のアルキル基は、直鎖のものでも分岐のものでもよい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルなどを挙げることができる。
【0014】
本発明の化合物は、大きく分けると、タイプI〜VIに分けることができる。
(1)タイプI
【化11】

なお、R10およびR11は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
(2)タイプII
【化12】

(3)タイプIII
およびAが共に5員環のケース
(4)タイプIV
およびAが共に6員環のケース
(5)タイプV
が6員環で、Aが5員環のケース
(6)タイプVI
が−N(R10,R11)で、Aが−N(R10′,R11′)のケース
【0015】
タイプIの化合物をさらに具体化すると下記の化合物群として示すことができる。
下記、式中R〜RおよびR′〜R4′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものであり、また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。さらに、R10およびR11は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。

【化13】


【0016】
【化14】

【0017】
タイプIIの化合物をさらに具体化すると下記化合物群として示すことができる。
【化15】

【0018】
【化16】

なお、式中R〜R、R′〜R9′およびR10〜R11は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものであり、また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。さらに、R10およびR11は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
【0019】
タイプIIIの化合物としては、AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化17】

【0020】
【化18】

【0021】
【化19】

【0022】
【化20】

【0023】
【化21】

【0024】
【化22】

【0025】
【化23】

【0026】
【化24】

【0027】
【化25】

【0028】
【化26】

【0029】
【化27】

【0030】
【化28】

なお、式中R〜R、R′〜R4′、R12〜R15およびR12′〜R15′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0031】
タイプIVの化合物における、AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化29】

【0032】
【化30】

【0033】
【化31】

【0034】
【化32】

【0035】
【化33】

【0036】
【化34】

なお、式中R〜R、R′〜R9′、R16〜R20およびR16′〜R20′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0037】
タイプVの化合物における複素環AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化35】

【0038】
【化36】

【0039】
【化37】

【0040】
【化38】

【0041】
【化39】

【0042】
【化40】

【0043】
【化41】

【0044】
【化42】

【0045】
【化43】

【0046】
【化44】

【0047】
【化45】

【0048】
【化46】

【0049】
【化47】

【0050】
【化48】

なお、式中R〜R、R′〜R9′、R12〜R15およびR12′〜R15′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0051】
TypeIの具体的化合物
テトラゾイルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピローリルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体。
タイプIの例示化合物の名称において、アルキルとはC1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基および炭素数3〜30のアルキル基で、ノルマル体およびIso体を含むプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンタシル等である。
【0052】
TypeIIの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとジアルキルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体。
タイプIIの例示化合物の名称において、アルキルとはC1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基および炭素数3〜30のアルキル基で、ノルマル体およびIso体を含むプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンタシル等である。
【0053】
TypeIIIの具体的化合物
テトラゾイルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピローリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体。
【0054】
TypeIVの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとピペラジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体。
【0055】
TypeVの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジチオオキソモリブデン錯体。
【0056】
TypeVIの具体的化合物
ジメチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジエチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジプロピルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジブチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジペンチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘキシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘプチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジオクチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジノニルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジウンデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジドデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジトリデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジテトラデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジペンタデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘキサデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘプタデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジオクタデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジノナデシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジエイコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘンイコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジドコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジトリコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジテトラコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジペンタコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘキコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジヘプタコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジオクタコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジノナコシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体、ジトリアコンタシルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体およびこれらの混合アルキルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体。
【0057】
本発明の潤滑組成物としては、潤滑油やグリースなどを挙げることができる。本発明化合物の潤滑組成物中の存在量は、従来の摩擦調整剤と同様であり、例えば通常組成物に対し、0.1〜10重量%程度の割合で配合する。
【発明の効果】
【0058】
(1)新規なリンを含まないMo系摩擦調整剤が得られた。
(2)油中Mo含有量を同量にして既存のMo系摩擦低減剤と比較すると本発明化合物は更に低い摩擦係数を示し、各種省エネルギー潤滑油の添加剤として利用できる。
(3)本発明化合物はリンを含まないことにより、特に省燃費エンジンオイルの摩擦調整剤としての利用に適する。
【実施例】
【0059】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0060】
実施例1
ジメチルジチオカルバマトジチオオキソモリブデン錯体
【化49】

の合成例
(第1工程)
NaMoO+2NaSCNEt+4HCl
→MoO(EtNCS+2HO+4NaCl
ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(5.0g、0.02mol)とモリブデン酸ナトリウム(2.7g、0.01mol)を500mlのナスフラスコに加え、50mlの水に溶かした。そこに0.04molの希塩酸(濃塩酸4mlに水を加え、全量を300mlにしたもの)を滴下ロートから約2時間かけて滴下した後、得られた沈殿物を吸引ろ過し、水、エタノール、ジエチルエーテルでよく洗った後乾燥させた。得られた結晶をジクロロメタンとn−ヘキサンで再結晶を2回行って精製し、ジエチルジチオカルバマトオキソモリブデン錯体を収率85%で得た。この化合物は黄褐色粉体である。
【化50】

Ar下で、還流管を付けた二口フラスコに前記ジエチルジチオカルバマトオキソモリブデン錯体(1.0g、2.3mmol)とトリフェニルホスフィン(1.0g、3.8mmol)を加え、1,2−ジクロロエタン10ml中で90℃前後で10〜15分間加熱還流を行った。赤色に変化した混合溶液にさらにSもしくは硫化プロピレンを3.2mmol加え、Sの場合は30分間、硫化プロピレンの場合は1.5時間加熱還流を行った。得られた反応混合物をシリカゲルカラムによって精製し、得られた結晶を再結晶にてさらに精製を行った。
錯体:暗緑色結晶、収率37%(Sより合成)NMR及びIRにより目的物の生成の確認を行った。
HNMR(CDCl)δ=1.09,1.38,1.40and1.45(4t,4×3H),3.48and3.57(m,2H),3.8−4.0(m,3×2H)
IR(KBr):ν(CN)1529s,1497s;ν(Mo=O)922s;ν(S−S)554cm−1
【0061】
実施例2
ピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体
【化51】

の合成例
(第1工程)
中間組成物ピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体の合成
【化52】

NaMoO+2NHCN(C)+4HCl
→MoO(CNCS+2NaCl+2NHCl
モリブデン酸ナトリウム(7.3g、0.03mol)とピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(9.9g、0.06mol)を500mlのナスフラスコに加え、100mlの水に溶かし、0.12mol希塩酸300mlを滴下ロートから約2時間かけて滴下した。得られた沈殿物を吸引ろ過し、水・エーテル・メタノール・アセトンでよく洗い、水分を除去した。さらに水分を除去するため、真空下のデシケーター内で2日間放置した。ジクロロメタン・メタノールで再結晶を行い、〔化52〕に示すピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体を得た。
錯体:黄色粉末、収率72%
【化53】

前記〔化52〕に示す錯体(1.0g,2.3mmol)とトリフェニルホスフィン(1.0g,3.8mmol)を10mlの1,2−ジクロロエタン中で10分間過熱還流し、さらにそこに硫化プロピレン(0.77ml,9.9mmol)を加えて1〜2時間過熱還流を行った。得られた反応混合物をカラムクロマトグラフィーにて単離精製を行い、ピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体を得た。
錯体:青緑色結晶、収率82%
NMRと元素分析を行い目的化合物の生成を確認した。
HNMR(CDCl)δ=1.95〜2.00(m,2H×1),2.04〜2.16(m,2H×2),3.36〜3.50(m,2H×1),3.77〜4.02(m,2H×4)
Elemental Anal.Calcd(%)forC1016OMo:C,25.63;H,3.44;N,5.98;S,41.06;O,3.41;Mo,20.47.found(%):C,25.60;H,3.27;N,5.75.
前記ピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体を、「分散剤(アルケニルコハク酸ポリアルキレンポリイミド 商品名InfinumC9266)5%を添加したAPIグループIII鉱油(100℃における粘度4.23mm/s)」中に、Mo含有量500ppmとなるよう加え、潤滑油組成物を調整した。
【0062】
比較例1
前記ピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体の代わりに、
【化54】

を用いたほかは、前記と同様にして、潤滑油組成物を調整した。
【0063】
本発明のピロリジニルジチオカルバマトとジチオオキソモリブデンとの錯体を摩擦調整剤として用いた実施例2の潤滑油組成物と、市販の摩擦調整剤を用いた比較例1の潤滑油組成物をSRV試験機(図2に示すシリンダー・オン・ディスク型の往復動試験機)により、下表3の条件にて30分間摩擦係数の測定評価を行い、その結果を図1に示す。試験片は52100鋼である。
【表3】


【表4】

図1に示すように、実施例2のものは、比較例1のものと較べて、はるかに低い摩擦係数を示す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明化合物を潤滑油調整剤として用いた潤滑油と潤滑油調整剤として市販品を用いた潤滑油の時間経過とその摩擦係数の変化を調べたグラフである。
【図2】摩擦係数の測定に用いたシリンダー・オン・ディスク型の往復動試験機の概念概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、AおよびAは、置換基を有することもある複素環およびジアルキルアミノ基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示される有機モリブデン化合物。
【請求項2】
前記置換基を有することもある複素環が、5員環および6員環よりなる群から選ばれた複素環であって、前記5員環は、テトラゾール型、トリアゾール型、ピラゾール型、ピラゾリジン型、イミダゾール型、オキサゾリジン型、チアゾリジン型、ピロリジン型、ピロリン型およびピロール型よりなる群から選ばれた5員環であり、前記6員環はピペラジン型、ピラジン型、チオモルホリン型、チアジン型、モルホリン型、オキサジン型およびピペリジン型よりなる群から選ばれた6員環である請求項1記載の有機モリブデン化合物。
【請求項3】
およびAがジアルキルアミノ基であって、Aが−N(R10,R11)、Aが−N(R10′,R11′)であって、R10、R11、R10′およびR11′が、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である請求項1記載の有機モリブデン化合物。
【請求項4】
およびAが、−N(CH、−N(C、−N(C、−N(C、−N(C11、−N(C13、−N(C15、−N(C17よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である請求項1記載の有機モリブデン化合物。
【請求項5】
およびAが、いずれも1−ピロリジル基である請求項1記載の有機モリブデン化合物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の有機モリブデン化合物よりなる摩擦調整剤。
【請求項7】
請求項6記載の摩擦調整剤を含有する潤滑組成物。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−189562(P2008−189562A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23211(P2007−23211)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】