説明

新規な有機発光化合物及びこれを使用する有機発光素子

【課題】高い発光効率を示す新規な有機発光化合物、及びこれを含有する有機発光素子及び有機太陽電池を提供する。
【解決手段】有機発光化合物として例えば下記反応で得られるイリジウム化合物が例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い発光効率を示す新規な有機発光化合物及びこれを含有する有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(有機発光ダイオード)に於ける発光効率を決定するための最も重要な要因は、発光材料の種類である。現在まで、発光材料として蛍光材料が広く使用されてきたが、りん光材料の開発は、発光機構に鑑みて、理論的に4倍まで発光効率を改良するための最良の方法の一つである。
【0003】
現在まで、赤色、緑色及び青色のそれぞれに(acac)Ir(btp)、Ir(ppy)及びFirpicを含むりん光材料として、イリジウム(III)錯体が広く知られている。特に、多数のりん光材料が、日本、ヨーロッパ及び米国に於いて、最近研究されている。
【0004】
【化1】

【0005】
従来の赤色りん光材料の中で、幾つかの材料が、良好なEL(エレクトロルミネセンス)特性を有すると報告されている。しかしながら、これらの中で商業化のレベルに到達したものは非常に希である。最も好ましい材料として、1−フェニルイソキノリンのイリジウム錯体を挙げることができ、これは、優れたEL特性を有し、高い発光効率で暗赤色の色純度を示すことが知られている。[A.Tsuboyamaら、J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979参照]。
【0006】
【化2】

【0007】
更に、赤色材料は寿命について顕著な問題がなく、良好な色純度又は発光効率を有していれば、商業化が容易な傾向にある。従って、上記のイリジウム錯体は、その優れた色純度及び発光効率のため、非常に高い商業化の可能性を有する材料である。
【0008】
しかしながら、中から大サイズのOLEDパネルのためには、既知の材料のものよりも高いEL特性のレベルが実際に必要であるが、このイリジウム錯体は、単に小型ディスプレイに適用可能な材料と判断されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A.Tsuboyama et al.,J.Am.Chem.Soc.2003,125(42),12971−12979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような従来技術の問題点を克服するために、本発明者らは、優れた発光効率及び驚くほど改良された寿命を有する有機ELデバイスを実現する、新規な有機発光化合物を開発するために鋭意研究した結果、主リガンド化合物において、キノリンの4位又は6位にフェニル誘導体を導入することによって合成されたイリジウム錯体を、発光素子のドーパントとして適用するとき、発光効率及び寿命特性が改良されることを見出し、本発明を完成した。従って、本発明の目的は、従来の赤色りん光材料と比較したとき、一層優れた特性を与える骨格を有する、新規な発光化合物を提供することである。本発明の他の目的は、中から大サイズのOLEDパネルに適用可能な、新規な有機発光化合物を提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、この新規な有機発光化合物を含有する、有機発光素子及び有機太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、新規な有機発光化合物及びこの化合物を含有する有機発光素子に関する。特に、本発明に従った有機発光化合物は、これらが、下記化学式(1)によって表されることを特徴とする:
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、Lは有機リガンドであり、
〜Rは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し、
及びRは、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ若しくはジ(C6〜C60)アリールアミノを表し又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
及びRのアルキル、アリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル(spirobifluorenyl)及び
【0015】
【化4】

【0016】
から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
nは、1〜3の整数である]。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、OLEDの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、図1は、ガラス1、透明電極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7及びAlカソード8を含有する、OLEDの断面図を示す。
【0019】
本明細書中に記載された用語「アルキル」及び「アルキル」部分を含有する全ての置換基は、直鎖状及び分枝鎖状の両方を含む。
【0020】
本明細書中に記載された用語「アリール」は、1個の水素原子の除去によって、芳香族炭化水素から誘導される有機基を意味する。それぞれの環は、4〜7個、好ましくは5〜6個の環原子を含有する単環式又は縮合環系を含有する。具体例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル及びフルオランテニルが含まれるが、この例は、これらに限定されない。
【0021】
本明細書中に記載された用語「ヘテロアリール」は、芳香族環の骨格原子としてのN、O及びSから選択された1〜4個のヘテロ原子を含み、他の芳香族環骨格原子のための炭素原子を含有するアリール基を意味する。ヘテロアリール基は、5員又は6員の、単環式ヘテロアリール又は1個以上のベンゼン環と縮合された多環式ヘテロアリールであってよく、部分的に飽和されていてもよい。ヘテロアリール基の環内のヘテロ原子は、酸化されるか又は四級化されて、二価のアリール基、例えばN−オキシド及び第四級塩を形成することができる。具体例には、単環式ヘテロアリール基、例えば、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル;多環式ヘテロアリール基、例えば、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル及びベンゾジオキソリル並びにこれらの対応するN−オキシド(例えば、ピリジルN−オキシド、キノリルN−オキシド)及び第四級塩が含まれるが、この例は、これらに限定されない。
【0022】
化学式(1)のナフチルは、1−ナフチル又は2−ナフチルであってよく、アントリルは、1−アントリル、2−アントリル又は9−アントリルであってよく、フルオレニルは、1−フルオレニル、2−フルオレニル、3−フルオレニル、4−フルオレニル又は9−フルオレニルであってよい。
【0023】
本明細書中に記載された「(C1〜C60)アルキル」部分を含む置換基は、1〜60個の炭素原子、1〜20個の炭素原子又は1〜10個の炭素原子を含有してよい。「(C6〜C60)アリール」部分を含む置換基は、6〜60個の炭素原子、6〜20個の炭素原子又は6〜12個の炭素原子を含有してよい。「(C3〜C60)ヘテロアリール」部分を含む置換基は、3〜60個の炭素原子、4〜20個の炭素原子又は4〜12個の炭素原子を含有してよい。「(C3〜C60)シクロアルキル」部分を含む置換基は、3〜60個の炭素原子、3〜20個の炭素原子又は3〜7個の炭素原子を含有してよい。「(C2〜C60)アルケニル又はアルキニル」部分を含む置換基は、2〜60個の炭素原子、2〜20個の炭素原子又は2〜10個の炭素原子を含有してよい。
【0024】
縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン又は(C3〜C12)アルケニレンによる結合によって、化学式(1)中のR及びRから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、インデン又はフェナントレンである。大括弧([])内の化合物はイリジウムの主リガンドとして機能し、Lは補助リガンドとして機能する。本発明に従った有機発光化合物には、また、主リガンド:補助リガンド=2:1の比を有する錯体(n=2)及び主リガンド:補助リガンド=1:2の比を有する錯体(n=1)並びに補助リガンド(L)を含有しないトリスキレート化錯体(n=3)が含まれる。
【0025】
本発明に従った有機発光化合物は、化学式(2)〜(7)の一つによって表される化合物によって例示することができる:
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
[式中、L、R、R、R、R、R、R、R及びnは、化学式(1)に於けるように定義され、
11〜R18は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル又は
【0029】
【化7】

【0030】
を表し、
11〜R18のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル又はフルオレニルは、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ及び(C6〜C60)アリールから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
19及びR20は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル若しくは(C6〜C60)アリールを表し、又はR19及びR20は、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
21は、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C60)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C60)アリールフルオレニルを表し、
mは、1〜5の整数である]。
【0031】
11〜R18は、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、トリフルオロメチル、フルオロ、シアノ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、メチルカルボニル、エチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、フェニルカルボニル、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又は
【0032】
【化8】

【0033】
を表し、そしてフルオレニルは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、フェニル、ナフチル、アントリル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルによって更に置換されていてよい。
【0034】
化学式(1)に於いて、R〜Rは、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フルオロ、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル又はトリフェニルシリルを表し、そしてRは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル又はスピロビフルオレニルを表す。
【0035】
本発明に従った有機発光化合物は、下記の化合物によって具体的に例示することができるが、これらは上記の化合物に限定されない。
【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】

【0039】
【化12】

【0040】
[式中、Lは、有機リガンドを表し、
及びRは、独立に、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フルオロ、フェニル又はナフチルを表し、
51及びR52は、独立に、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、フェニル若しくはナフチルを表し、又はR51及びR52は、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって、互いに結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
53は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、トリメチルシリル、トリプロピルシリル、トリ(t−ブチル)シリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、フェニル又はナフチルを表し、
mは、1〜5の整数であり、
nは、1〜3の整数である]。
【0041】
本発明に従った有機発光化合物の補助リガンド(L)には、下記の構造が含まれる:
【0042】
【化13】

【0043】
[式中、R31及びR32は、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル、又はハロゲンを表し、
33〜R39は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はハロゲンを表し、
40〜R43は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか又は有しないフェニルを表し、そして
44は、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル、又はハロゲンを表す]。
【0044】
本発明に従った有機発光化合物の補助リガンド(L)は、下記の構造によって例示することができるが、これらは上記の構造に限定されない。
【0045】
【化14】

【0046】
本発明に従った有機発光化合物の製造方法は、下記に示される反応スキーム(1)〜(3)を参照することによって説明される。
【0047】
【化15】

【0048】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びLは、化学式(1)に於けるように定義される]
【0049】
反応スキーム(1)は、n=1を有する化学式(1)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl)及び補助リガンド化合物(L−H)が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱され、その後ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階に於いて、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒であり、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で主リガンド化合物と共に加熱されて、最終生成物として、1:2の主リガンド:補助リガンドの比を有する有機りん光イリジウム化合物をもたらす。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−メトキシエチルエーテルと共に混合されているAgCFSO、NaCO又はNaOHと共に実施される。
【0050】
反応スキーム(2)は、n=2を有する化学式(1)の化合物をもたらし、ここでは、三塩化イリジウム(IrCl)及び主リガンド化合物が、1:2〜3のモル比で、溶媒中で混合され、この混合物が還流下で加熱され、その後ジイリジウム二量体を単離する。この反応段階に於いて、好ましい溶媒は、アルコール又はアルコール/水の混合溶媒、例えば、2−エトキシエタノール及び2−エトキシエタノール/水混合物である。単離されたジイリジウム二量体は、次いで、有機溶媒中で補助リガンド化合物(L−H)と共に加熱されて、最終生成物として、2:1の主リガンド:補助リガンドの比を有する有機りん光イリジウム化合物をもたらす。最終生成物中の、主リガンド化合物と補助リガンド(L)とのモル比は、組成に依存する反応剤の適切なモル比によって決定される。この反応は、有機溶媒、例えば、2−エトキシエタノール、2−メトキシエチルエーテル及び1,2−ジクロロエタンと共に混合されているAgCFSO、NaCO又はNaOHと共に実施することができる。
【0051】
反応スキーム(3)は、n=3を有する化学式(1)の化合物をもたらし、ここでは、反応スキーム(2)に従って製造されたイリジウム錯体及び主リガンド化合物が、1:2〜3のモル比でグリセロール中で混合され、この混合物が還流下で加熱されて、3個の主リガンドで配位された有機りん光イリジウム錯体を得る。
【0052】
本発明に於いて主リガンドとして使用される化合物は、従来のプロセスに基づいて、反応スキーム(4)に従って製造することができる。
【0053】
【化16】

【0054】
[式中、R〜Rは、化学式(1)に於けるように定義される]
【0055】
本発明は、また、1個以上の、化学式(1)によって表される有機発光化合物を含有する有機太陽電池を提供する。
【0056】
本発明は、また、第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1個の有機層を含む有機発光素子であって、この有機層が、化学式(1)によって表される1個以上の化合物を含有する有機発光素子を提供する。
【0057】
本発明に従った有機発光素子は、有機層が、0.01〜10重量%の量で、発光ドーパントとしての化学式(1)によって表される1個以上の有機発光化合物及び1個以上のホスト(host)を含有する発光領域を含むことを特徴とする。本発明に従った有機発光素子に適用されるホストは、特に制限されないが、1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シラン又は化学式(8)〜(11)の一つによって表される化合物によって例示することができる。
【0058】
【化17】

【0059】
化学式(8)に於いて、R91〜R94は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し又はR91〜R94のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
91〜R94のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0060】
【化18】

【0061】
化学式(11)に於いて、リガンドL及びLは、独立に、下記の構造から選択され、
【0062】
【化19】

【0063】
は、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であり、他方、yは、Mが3価金属であるとき1であり、
Qは、(C6〜C60)アリールオキシ又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C60)アルキル又は1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
101〜R104は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、ピリジン又はキノリンは、R101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成することができ、
環A及びR101〜R104のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0064】
リガンドL及びLは、独立に、下記の構造から選択される。
【0065】
【化20】

【0066】
[式中、Xは、O、S又はSeを表し、
101〜R104は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し、又はR101〜R104のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
111〜R116及びR121〜R139は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し又はR111〜R116及びR121〜R139のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
101〜R104、R111〜R116及びR121〜R139のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい]。
【0067】
化学式(11)に於いて、Mは、Be、Zn、Mg、Cu及びNiから選択された2価金属又はAl、Ga、In及びBから選択された3価金属であり、Qは、下記の構造から選択される。
【0068】
【化21】

【0069】
化学式(8)の化合物は、下記の構造によって表される化合物によって特に例示することができるが、これらは下記のものに限定されない。
【0070】
【化22】

【0071】
化学式(9)〜(11)の一つによって表される化合物は、下記の構造の一つを有する化合物によって特に例示することができるが、これらは下記のものに限定されない。
【0072】
【化23】

【0073】
【化24】

【0074】
【化25】

【0075】
【化26】

【0076】
発光層は、発光(エレクトロルミネセンス)が生じる層を意味し、これは、単一層であっても、ラミネートされた2枚以上の層からなる複数層であってよい。ホスト−ドーパントの混合物が、本発明の構成に従って使用されるとき、デバイス寿命及び発光効率に於ける顕著な改良を確認することができた。
【0077】
本発明に従った有機発光素子は、更に、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物から選択された1種以上の化合物、並びに化学式(1)によって表される有機発光化合物を含有することができる。アリールアミン系化合物又はスチリルアリールアミン系化合物の例には、化学式(12)によって表される化合物が含まれるが、これらはこの化合物に限定されない。
【0078】
【化27】

【0079】
[式中、Ar11及びAr12は、独立に、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C6〜C60)アリールアミノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル若しくは(C3〜C60)シクロアルキルを表し、又はAr11及びAr12は、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
gが1であるとき、Ar13は、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール又は下記の構造式:
【0080】
【化28】

【0081】
の一つによって表されるアリールを表し、
gが2であるとき、Ar13は、(C6〜C60)アリーレン、(C4〜C60)ヘテロアリーレン又は下記の構造式:
【0082】
【化29】

【0083】
[式中、Ar21及びAr22は、独立に、(C6〜C60)アリーレン又は(C4〜C60)ヘテロアリーレンを表し、
151、R152及びR153は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールを表し、
tは、1〜4の整数であり、wは、0又は1の整数である]
の一つによって表されるアリーレンを表し、そして
Ar11及びAr12のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル又はAr13のアリール、ヘテロアリール、アリーレン若しくはヘテロアリーレン又はAr21及びAr22のアリーレン若しくはヘテロアリーレン又はR151〜R153のアルキル若しくはアリールは、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルからなる群から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい]。
【0084】
アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物は、下記の化合物によって更に特に例示できるが、これらは下記の化合物に限定されない。
【0085】
【化30】

【0086】
本発明に従った有機発光素子に於いて、有機層は、更に、第1族、第2族、第4周期及び第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移金属の有機金属からなる群から選択された1種以上の金属並びに化学式(1)によって表される有機発光化合物を含有していてよい。この有機層は、発光層に加えて、電荷生成層を含有していてよい。
【0087】
本発明は、独立発光方式のピクセル構造を有する発光素子であって、サブピクセルとして化学式(1)の化合物並びに同時に平行にパターン形成された、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択された1種以上の化合物を含有する1個以上のサブピクセルを含有する有機発光素子を含有する有機発光素子を実現することができる。
【0088】
更に、この有機発光素子は、同時に、青又は緑の波長の発光ピークを有する化合物から選択された1種以上の化合物を含有する、有機ディスプレイである。青又は緑の波長の発光ピークを有する化合物は、化学式(13)〜(17)の一つによって表される化合物によって例示することができるが、これらは下記の化合物に限定されない。
【0089】
【化31】

【0090】
化学式(14)に於いて、Ar101及びAr102は、独立に、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C6〜C60)アリールアミノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル若しくは(C3〜C60)シクロアルキルを表し、又はAr101及びAr102は、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
hが1であるとき、Ar103は、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール又は下記の構造式:
【0091】
【化32】

【0092】
の一つによって表されるアリールを表し、
hが2であるとき、Ar103は、(C6〜C60)アリーレン、(C4〜C60)ヘテロアリーレン又は下記の構造式:
【0093】
【化33】

【0094】
[式中、Ar201及びAr202は、独立に、(C6〜C60)アリーレン又は(C4〜C60)ヘテロアリーレンを表し、
161、R162及びR163は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールを表し、
iは、1〜4の整数であり、jは、0又は1の整数である]
の一つによって表されるアリーレンを表し、そして
Ar101及びAr102のアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル又はAr103のアリール、ヘテロアリール、アリーレン若しくはヘテロアリーレン、又はAr201及びAr202のアリーレン若しくはヘテロアリーレン、又はR161〜R163のアルキル若しくはアリールは、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルからなる群から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0095】
【化34】

【0096】
化学式(15)に於いて、R301〜R304は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し、又はR301〜R304のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
301〜R304のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい。
【0097】
【化35】

【0098】
化学式(16)及び(17)に於いて、
11は、(C6〜C60)アリーレン又は(C4〜C60)ヘテロアリーレンを表し、
12は、アントラセニレンを表し、
Ar301〜Ar304は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、ハロゲン、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C5〜C60)シクロアルキル及び(C6〜C60)アリールから選択され、Ar301〜Ar304のシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールは、(C1〜C60)アルキル、ハロ(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル及びトリ(C6〜C60)アリールシリルからなる群から選択された少なくとも1個の置換基を有するか又は有しない(C6〜C60)アリール又は(C4〜C60)ヘテロアリール;1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル並びにトリ(C6〜C60)アリールシリルからなる群から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、そして
p、q、r及びsは、独立に、0〜4の整数を表す。
【0099】
化学式(16)又は(17)によって表される化合物は、化学式(18)〜(21)の一つによって表される誘導体によって例示することができる。
【0100】
【化36】

【0101】
化学式(18)〜(20)に於いて、R311及びR312は、独立に、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール又はN、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル又は(C3〜C60)シクロアルキルを表し、R311及びR312のアリール又はヘテロアリールは、(C1〜C60)アルキル、ハロ(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル及びトリ(C6〜C60)アリールシリルからなる群から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
313〜R316は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、ハロゲン、(C4〜C60)ヘテロアリール、(C5〜C60)シクロアルキル又は(C6〜C60)アリールを表し、R313〜R316のヘテロアリール、シクロアルキル又はアリールは、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル及びトリ(C6〜C60)アリールシリルからなる群から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
及びGは、独立に、化学結合又は(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1個以上の置換基を有するか又は有しない(C6〜C60)アリーレンを表し、
Ar41及びAr42は、下記の構造:
【0102】
【化37】

【0103】
から選択された(C4〜C60)ヘテロアリール又はアリールを表し、
Ar41及びAr42のアリール又はヘテロアリールは、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C6〜C60)アリール及び(C4〜C60)ヘテロアリールから選択された1個以上の置換基によって置換されていてよく、
31は、(C6〜C60)アリーレン、(C4〜C60)ヘテロアリーレン又は下記の構造:
【0104】
【化38】

【0105】
によって表される化合物を表し、
31のアリーレン又はヘテロアリーレンは、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール及びハロゲンから選択された1個以上の置換基によって置換されていてよく、
321、R322、R323及びR324は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル若しくは(C6〜C60)アリールを表し又はこれらのそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
331、R332、R333及びR334は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール若しくはハロゲンを表し又はこれらのそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができる。
【0106】
【化39】

【0107】
化学式21に於いて、
41及びL42は、独立に、化学結合又は(C6〜C60)アリーレン若しくは(C3〜C60)ヘテロアリーレンを表し、L41及びL42のアリーレン又はヘテロアリーレンは、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、(C6〜C60)アリール、(C3〜C60)ヘテロアリール、トリ(C1〜C30)アルキルシリル、ジ(C1〜C30)アルキル(C6〜C30)アリールシリル及びトリ(C6〜C30)アリールシリルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
201〜R219は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し、又はR201〜R219のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
Ar51は、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル又は下記の構造:
【0108】
【化40】

【0109】
から選択された置換基を表し、
220〜R232は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ又はヒドロキシルを表し、
及びEは、独立に、化学結合、−(CR233234−、−N(R235)−、−S−、−O−、−Si(R236)(R237)−、−P(R238)−、−C(=O)−、−B(R239)−、−In(R240)−、−Se−、−Ge(R241)(R242)−、−Sn(R243)(R244)−、−Ga(R245)−又は−C(R246)=C(R247)−を表し、
233〜R247は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し、又はR233〜R247のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
Ar51のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アダマンチル若しくはビシクロアルキル又はR201〜R232のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノは、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、(C1〜C60)アルコキシ、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
xは、1〜4の整数であり、
zは、0〜4の整数である。
【0110】
緑又は青色発光を有する有機化合物及び有機金属化合物は、下記の化合物によって一層具体的に例示することができるが、これらは下記の化合物に限定されない。
【0111】
【化41】

【0112】
【化42】

【0113】
【化43】

【0114】
【化44】

【0115】
【化45】

【0116】
【化46】

【0117】
【化47】

【0118】
【化48】

【0119】
【化49】

【0120】
【化50】

【0121】
【化51】

【0122】
【化52】

【0123】
【化53】

【0124】
【化54】

【0125】
【化55】

【0126】
【化56】

【0127】
本発明に従った有機発光素子に於いて、カルコゲニド層、金属ハロゲン化物層及び金属酸化物層から選択された1個以上の層(以下、「表面層」という)を、電極対の少なくとも一方側の内表面上に置くことが好ましい。特に、発光媒体層(EL medium layer)のアノード表面上にシリコン及びアルミニウム金属(酸化物を含む)のカルコゲニド層を配置し、発光媒体層のカソード表面上に金属ハロゲン化物層又は金属酸化物層を配置することが好ましい。その結果、駆動の安定化を得ることができる。
【0128】
カルコゲニドの例には、好ましくは、SiO(1≦x≦2)、AlO(1≦x≦1.5)、SiON、SiAlONなどが含まれる。金属ハロゲン化物の例には、好ましくは、LiF、MgF、CaF、希土類金属のフッ化物などが含まれる。金属酸化物の例には、好ましくは、CsO、LiO、MgO、SrO、BaO、CaOなどが含まれる。
【0129】
本発明に従った有機発光素子に於いて、このようにして制作された電極対の少なくとも1方の表面上に、電子輸送化合物及び還元性ドーパントの混合領域又は正孔輸送化合物及び酸化性ドーパントの混合領域を配置することも好ましい。このような方式により、電子輸送化合物はアニオンまで還元されるため、この混合領域から発光媒体への電子の注入及び輸送が容易になる。更に、正孔輸送化合物が酸化されてカチオンを生成するので、この混合領域から発光媒体への正孔の注入及び輸送が容易になる。好ましい酸化性ドーパントには、種々のルイス酸及び受容体化合物が含まれる。好ましい還元性ドーパントには、アルカリ金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、希土類金属及びこれらの混合物が含まれる。
【0130】
従来のりん光材料よりも優れたEL特性及び熱安定性の骨格を有する、本発明に従った有機発光化合物は、従来の材料に比較して、より高い量子効率及びより低い動作電圧を提供する。従って、本発明に従った有機発光化合物をOLEDパネルに適用すると、中から大サイズを有するOLEDの開発に於いて、更に向上した結果が期待される。この化合物を、高効率の材料として有機太陽電池に適用すると、従来の材料に比較して一層優れた特性が期待される。
【実施例】
【0131】
最良の形態
本発明を、更に、本発明に従った化合物、その製造方法及びそれから製造されたデバイスの発光特性に関して、本発明の代表的な化合物を参照することによって説明するが、実施形態の例示のみのために示すものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0132】
製造実施例
[製造実施例1]化合物(104)の製造
【0133】
【化57】

【0134】
化合物(A)の製造
氷酢酸(10mL)中に、2−アミノベンゾフェノン(1.0g、5.1ミリモル)を溶解させ、この溶液を0℃にまで冷却した。これに、臭化カリウム(0.7g、5.6ミリモル)、ホウ酸ナトリウム水和物(0.9g、6.1ミリモル)及びモリブデン酸アンモニウム(0.06g、0.05ミリモル)を添加し、得られた混合物を0℃で1時間、次いで室温で2時間攪拌した。反応が完結したとき、氷水を添加して固体を生じさせ、この固体を濾過し、水で洗浄して、化合物(A)(1.4g、99%)を得た。
【0135】
化合物(B)の製造
反応容器に、化合物(A)(1.0g、3.6ミリモル)、アセトフェノン(0.4mL、3.3ミリモル)、氷酢酸(5mL)及び硫酸(0.03mL)を装入し、この混合物を、還流下で、アルゴンガス雰囲気中で撹拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却し、過剰量の水酸化アンモニウム水溶液を添加した。生成した固体を濾過し、蒸留水で洗浄した。カラムクロマトグラフィーによる精製によって、化合物(B)(0.8g、65%)を得た。
【0136】
化合物(C)の製造
トルエン(30mL)及びエタノール(15mL)中に、化合物(B)(1.3g、3.6ミリモル)、フェニルボロン酸(0.4g、3.6ミリモル)及びテトラキスパラジウム(0)トリフェニルホスフィン(Pd(PPh)(0.2g、0.14ミリモル)を溶解させた。これに、2M炭酸ナトリウム水溶液(18mL)を添加した後、得られた混合物を、120℃で還流下で4時間攪拌した。次いで、この混合物を25℃にまで冷却し、蒸留水(200mL)を添加して、反応を停止した。得られた混合物を酢酸エチル(300mL)によって抽出し、抽出物を減圧下で乾燥した。ジクロロメタン及びメタノールからの再結晶によって、化合物(C)(0.8g、60%)を得た。
【0137】
化合物(D)の製造
化合物(C)(0.8g、2.1ミリモル)及び塩化イリジウム(IrCl)(0.3g、1.0ミリモル)を、2−エトキシエタノール(12mL)及び蒸留水(4mL)中に溶解させ、この溶液を、還流下で24時間攪拌した。この反応が完結したとき、反応混合物を室温にまで冷却し、製造された沈殿を、濾過し、乾燥して、化合物(D)(0.6g、61%)を得た。
【0138】
化合物(104)の製造
化合物(D)(0.6g、0.3ミリモル)、2,4−ペンタンジオン(0.1mL、0.9ミリモル)及びNaCO(0.2g、1.8ミリモル)を、2−エトキシエタノール(10mL)中に溶解させ、この溶液を4時間加熱した。反応が完結したとき、この反応混合物を室温にまで冷却し、製造された固体沈殿を濾過した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー及び再結晶による精製によって、化合物(104)(0.4g、60%)を、赤色結晶として得た。
【0139】
製造実施例1と同じ手順に従って、表1中の有機発光化合物(化合物1〜化合物1017)を製造した。それらのH NMR及びMS/FABデータを、表2中に記載する。
【0140】
【化58】

【0141】
【表1】

【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
【表5】

【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
【表8】

【0149】
【表9】

【0150】
【表10】

【0151】
【表11】

【0152】
【表12】

【0153】
【表13】

【0154】
【表14】

【0155】
【表15】

【0156】
【表16】

【0157】
【表17】

【0158】
【表18】

【0159】
【表19】

【0160】
【表20】

【0161】
【表21】

【0162】
【表22】

【0163】
【表23】

【0164】
【表24】

【0165】
【表25】

【0166】
【表26】

【0167】
【表27】

【0168】
【表28】

【0169】
【表29】

【0170】
【表30】

【0171】
【表31】

【0172】
【表32】

【0173】
【表33】

【0174】
【表34】

【0175】
【表35】

【0176】
【表36】

【0177】
【表37】

【0178】
【表38】

【0179】
【表39】

【0180】
【表40】

【0181】
【表41】

【0182】
【表42】

【0183】
【表43】

【0184】
【表44】

【0185】
【表45】

【0186】
【表46】

【0187】
【表47】

【0188】
【表48】

【0189】
【表49】

【0190】
【表50】

【0191】
【表51】

【0192】
【表52】

【0193】
【表53】

【0194】
【表54】

【0195】
【表55】

【0196】
【表56】

【0197】
【表57】

【0198】
【表58】

【0199】
【表59】

【0200】
【表60】

【0201】
【表61】

【0202】
【表62】

【0203】
【表63】

【0204】
【表64】

【0205】
【表65】

【0206】
【表66】

【0207】
【表67】

【0208】
【表68】

【0209】
【表69】

【0210】
【表70】

【0211】
【表71】

【0212】
【表72】

【0213】
【表73】

【0214】
【表74】

【0215】
【表75】

【0216】
【表76】

【0217】
【表77】

【0218】
【表78】

【0219】
【表79】

【0220】
【表80】

【0221】
【表81】

【0222】
【表82】

【0223】
【表83】

【0224】
【表84】

【0225】
【表85】

【0226】
【表86】

【0227】
【表87】

【0228】
【表88】

【0229】
【表89】

【0230】
【表90】

【0231】
【表91】

【0232】
【表92】

【0233】
【表93】

【0234】
【表94】

【0235】
【表95】

【0236】
【表96】

【0237】
【表97】

【0238】
【表98】

【0239】
【表99】

【0240】
【表100】

【0241】
【表101】

【0242】
【表102】

【0243】
【表103】

【0244】
【表104】

【0245】
【表105】

【0246】
【表106】

【0247】
【表107】

【0248】
【表108】

【0249】
【表109】

【0250】
実施例1
OLED(1)の製造
本発明に従った有機発光化合物を使用することによって、OLED素子を製造した。
【0251】
最初に、OLED用のガラス(サムスン・コーニング社(Samsung Corning)によって製造された)(1)から製造された透明電極ITO薄膜(15Ω/□)(2)を、トリクロロエチレン、アセトン、エタノール及び蒸留水による超音波洗浄に逐次的に付し、そして使用時までイソプロパノール中に貯蔵した。
【0252】
次いで、ITO基体を、真空蒸着装置の基体ホルダー内に装着し、4,4′,4″−トリス(N,N−(2−ナフチル)−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を、真空蒸着装置のセル内に置き、次いで、この装置を、チャンバー内を10−6トールの真空度まで排気した。電流をセルに印加して、2−TNATAを蒸発させ、それによって、ITO基体の上に、60nmの厚さを有する正孔注入層(3)の蒸着物を設けた。
【0253】
【化59】

【0254】
次いで、真空蒸着装置の他のセルに、N,N′−ビス(α−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミン(NPB)を装入し、電流をこのセルに印加して、NPBを蒸発させ、それによって、正孔注入層の上に、20nmの厚さの正孔輸送層(4)の蒸着物を設けた。
【0255】
【化60】

【0256】
該真空蒸着装置の他のセル内に、発光ホスト材料として4,4′−N,N′−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)を装入し、本発明に従った有機発光化合物(化合物44)を、更に他のセル内に装入した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングすることにより、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有する発光層(5)を蒸着した。適切なドーピング濃度は、CBP基準で4〜10モル%である。
【0257】
【化61】

【0258】
次いで、発光層の上に、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)を、NPBについてと同じ方法で、10nmの厚さで正孔ブロッキング層として蒸着し、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(III)(Alq)を、20nmの厚さの電子輸送層(6)として蒸着し、次いで、リチウムキノラート(Liq)を、1〜2nmの厚さの電子注入層(7)として蒸着した。その後、Alカソード(8)を、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0259】
【化62】

【0260】
実施例2
OLED(2)の製造
正孔注入層及び正孔輸送層を、実施例1の手順に従って形成し、発光層を下記のようにして蒸着した。該真空蒸着装置の他のセル内に、本発明に従った発光ホスト材料としてH−2を装入し、本発明に従った有機発光化合物(化合物12)を、更に他のセル内に装入した。この2種の材料を、異なった速度で蒸発させてドーピングを実施して、正孔輸送層の上に30nmの厚さを有する発光層(5)を蒸着した。適切なドーピング濃度は、ホスト基準で4〜10モル%である。次いで、正孔遮断層、電子輸送層及び電子注入層を、実施例1に於けると同じ手順に従って蒸着し、次いで、Alカソードを、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0261】
実施例3
OLED(3)の製造
正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を、実施例2に於けると同じ手順に従って形成し、次いで、電子輸送層及び電子注入層を蒸着した。その後、Alカソードを、他の真空蒸着装置を使用することによって、150nmの厚さで蒸着して、OLEDを製造した。
【0262】
実施例1〜3に従って製造したOLEDの性能を確認するために、これらのOLEDの発光効率を、10mA/cmで測定した。種々の特性を表3に示す。
【0263】
【表110】

【0264】
ppy及びスチリルキノリンがそれぞれ補助リガンドとして導入された化合物(176)及び化合物(188)は、10cd/A以上の高い発光効率を示した。Fが、電子求引剤としてリガンドに適用された化合物(335)は、高効率を示す効果を得た。補助リガンドとしてフェニル(6−フェニルピリジン−3−イル)メタノンを使用する化合物(787)は、本発明によって開発された化合物の中で最高の効率を示した。
【0265】
同一の素子構造を用い、CBPの代わりに本発明に従ったホストを使用することによって、実質的に同一の効率及び動作電圧になった。従って、これらのホストをCBPに置き換えることができることが期待される。本発明に従ったホストを、正孔遮断層を使用することなく、使用するとき、この素子は、従来のホストを使用するものに対して比較したとき、匹敵するか又はより高い発光効率を示し、少なくとも0.9Vほどの動作電圧の低減により、OLEDの電力消費を著しく節減する効果をもたらす。本発明をOLEDの大量生産に応用する場合、大量生産のための時間を短縮し、その商業化に於いて大きい利益をもたらすこともできる。
【符号の説明】
【0266】
1 ガラス
2 透明電極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 Alカソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1):
【化1】

[式中、Lは有機リガンドであり、
〜Rは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し、
及びRは、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ若しくはジ(C6〜C60)アリールアミノを表し又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
及びRのアルキル、アリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル及び
【化2】

から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、および
nは、1〜3の整数である]
によって表される有機発光化合物。
【請求項2】
化学式(2)〜(7):
【化3】

【化4】

[式中、L、R、R、R、R、R、R、R及びnは、請求項1に於けるように定義され、
11〜R18は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル又は
【化5】

を表し、
11〜R18のアルキル、フェニル、ナフチル、アントリル又はフルオレニルは、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ及び(C6〜C60)アリールから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
19及びR20は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル若しくは(C6〜C60)アリールを表し、又はR19及びR20は、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
21は、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、フェニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、ナフチル、9,9−ジ(C1〜C60)アルキルフルオレニル又は9,9−ジ(C6〜C60)アリールフルオレニルを表し、および
mは、1〜5の整数である]
の一つによって表される化合物から選択される、請求項1記載の有機発光化合物。
【請求項3】
リガンド(L)が、下記の化学式:
【化6】

[式中、R31及びR32は、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表し、
33〜R39は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はハロゲンを表し、
40〜R43は、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか又は有しないフェニルを表し、および
44は、(C1〜C60)アルキル、1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル又はハロゲンを表す]
の一つによって表される構造を有する、請求項1記載の有機発光化合物。
【請求項4】
第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に介在させられた少なくとも1個の有機層を含む有機発光素子であって、前記有機層が、化学式(1):
【化7】

[式中、Lは有機リガンドであり、
〜Rは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し、
及びRは、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ若しくはジ(C6〜C60)アリールアミノを表し又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
及びRのアルキル、アリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル及び
【化8】

から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、
nは、1〜3の整数である]
によって表される有機発光化合物、並びに1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン、ポリビニルカルバゾール、m−ビスカルバゾリルフェニル、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、1,3,5−トリ(2−カルバゾリルフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−カルバゾリル−5−メトキシフェニル)ベンゼン、ビス(4−カルバゾリルフェニル)シランから選択される1個以上のホスト、又は化学式(8)〜(11):
【化9】

[化学式(8)に於いて、R91〜R94は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し又はR91〜R94のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
91〜R94のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい]、
【化10】

[化学式(11)に於いて、リガンド、L及びLは、独立に、下記の構造:
【化11】

から選択され、
は、2価又は3価金属であり、
yは、Mが2価金属であるとき0であり、他方、yは、Mが3価金属であるとき1であり、
Qは、(C6〜C60)アリールオキシ又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、Qのアリールオキシ及びトリアリールシリルは、(C1〜C60)アルキル又は(C6〜C60)アリールによって更に置換されていてよく、
Xは、O、S又はSeを表し、
環Aは、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ピリジン又はキノリンを表し、
環Bは、ピリジン又はキノリンを表し、環Bは、(C1〜C60)アルキル又は1個以上の(C1〜C60)アルキル置換基を有するか若しくは有しないフェニル若しくはナフチルによって更に置換されていてよく、
101〜R104は、独立に、水素、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ若しくはヒドロキシルを表し又はR101〜R104のそれぞれは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによって、隣接する置換基に結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、ピリジン又はキノリンは、R101と一緒に化学結合を形成して、縮合環を形成することができ、
環A及びR101〜R104のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールシリル、アルキルシリル、アルキルアミノ若しくはアリールアミノ、又は縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C60)アルキレン若しくは(C3〜C60)アルケニレンによる、隣接する置換基への結合によってそれらから形成された脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、ハロゲン、(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、(C4〜C60)ヘテロアリール、N、O及びSから選択された1個以上のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員のヘテロシクロアルキル、(C3〜C60)シクロアルキル、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、ジ(C1〜C60)アルキル(C6〜C60)アリールシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、アダマンチル、(C7〜C60)ビシクロアルキル、(C2〜C60)アルケニル、(C2〜C60)アルキニル、シアノ、(C1〜C60)アルキルアミノ、(C6〜C60)アリールアミノ、(C6〜C60)アリール(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルキルオキシ、(C1〜C60)アルキルチオ、(C6〜C60)アリールオキシ、(C6〜C60)アリールチオ、(C1〜C60)アルコキシカルボニル、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、カルボキシル、ニトロ及びヒドロキシルから選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよい]、
の一つによって表される1個以上のホストを含有する発光領域を含む有機発光素子。
【請求項5】
前記有機層が、アリールアミン系化合物及びスチリルアリールアミン系化合物からなる群から選択された1種以上の化合物、又は第1族、第2族、第4周期及び第5周期遷移金属、ランタニド金属並びにd−遷移元素の有機金属からなる群から選択された1種以上の金属を含有する、請求項4記載の有機発光素子。
【請求項6】
同時に、青及び緑の波長で発光ピークを有する、請求項4記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記有機層が、発光層及び電荷生成層を含有する、請求項4記載の有機発光素子。
【請求項8】
還元性ドーパント及び有機物質の混合領域又は酸化性ドーパント及び有機物質の混合領域が、電極の対の間の片方又は両方の電極の内側表面上に配置されている、請求項4記載の有機発光素子。
【請求項9】
化学式(1):
【化12】

[式中、Lは有機リガンドであり、
〜Rは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、(C1〜C60)アルコキシ、(C3〜C60)シクロアルキル、ハロゲン、トリ(C1〜C60)アルキルシリル又はトリ(C6〜C60)アリールシリルを表し、
及びRは、独立に、水素、(C1〜C60)アルキル、ハロゲン又は(C6〜C60)アリールを表し、
及びRは、独立に、水素、1個以上のハロゲン置換基を有するか若しくは有しない(C1〜C60)アルキル、(C6〜C60)アリール、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ若しくはジ(C6〜C60)アリールアミノを表し又はR及びRは、縮合環を有するか若しくは有しない、(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによって結合されて、脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環を形成することができ、
及びRのアルキル、アリール、又は縮合環を有するか若しくは有しない(C3〜C12)アルキレン若しくは(C3〜C12)アルケニレンによる結合によって、それらから形成される脂環式環又は単環式若しくは多環式芳香族環は、1個以上のハロゲン置換基を有するか又は有しない(C1〜C60)アルキル、ハロゲン、シアノ、トリ(C1〜C60)アルキルシリル、トリ(C6〜C60)アリールシリル、(C1〜C60)アルコキシ、(C1〜C60)アルキルカルボニル、(C6〜C60)アリールカルボニル、ジ(C1〜C60)アルキルアミノ、ジ(C6〜C60)アリールアミノ、フェニル、ナフチル、アントリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル及び
【化13】

から選択された1個以上の置換基によって更に置換されていてよく、および
nは、1〜3の整数である]
によって表される有機発光化合物を含有する有機発光化合物を含む有機太陽電池。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−173630(P2009−173630A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−295439(P2008−295439)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(508223435)グラセル・ディスプレイ・インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】