説明

新規な4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物、その製造方法、およびその用途

【課題】 光重合増感性能に優れた新規な化合物を提供する。
【解決手段】 下記式(1)で示される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物。(式中、Rはアルキル基などを示し、Rは水素原子、アルキル基などを示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、X,Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子などを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物に関する。さらに詳しくは、光重合増感剤として有用な4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物、その製造方法、およびこの化合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から光カチオン重合において、4−アルコキシナフトールが光重合増感剤として機能することは良く知られている(特許文献1参照)。しかしながら、従来のジヒドロキシナフタレンは昇華性が高く、光硬化性組成物を硬化させる際の加熱工程で、揮発するという欠点があった。そのため、ナフタレン骨格にアクリル基の導入を試みたが、得られたアクリレート体は光増感性能に乏しく、望ましいものではなかった(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−263804号公報
【特許文献2】特開昭62−192340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、これら欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。
1.光重合増感性能に優れた新規な化合物を提供すること。
2.上記化合物を光重合増感剤として含む光硬化性組成物を提供すること。
3.上記化合物を光重合増感剤として含み、光硬化させる際の加熱工程で揮発(昇華)し難い光硬化性組成物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、第一発明では、構造式(1)で示される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物を提供する。
【0005】
【化1】

【0006】
{構造式(1)において、R1はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基のいずれかを示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシメチル基、アリルオキシメチル基、アリールオキシメチル基のいずれかを示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、X、Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基のいずれかを示す。}
【0007】
また第二発明では、4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物に、酸化アルキレン化合物を付加反応させて、ついで、この化合物に塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルを反応させることを特徴とする、第一発明に係る4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物の製造方法を提供する。
【0008】
さらに第三発明では、第一発明に係る4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物を有効成分として含有することを特徴とする、光重合増感剤を提供する。
【0009】
さらにまた第四発明では、第三発明に係る光重合増感剤、光重合開始剤および光重合性モノマーからなることを特徴とする光硬化性組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.第一発明に係る4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物は新規な化合物であり、光ラジカル重合、光カチオン重合における光重合増感剤として優れた効果を発揮する。
2.第二発明に係る製造方法によれば、第一発明に係る化合物を、工業的有利に製造することができる。
3.第三発明に係る光重合増感剤は、これを含む光硬化性組成物を硬化させる際の加熱工程で揮発(昇華)し難い。
4.第四発明に係る光硬化性組成物を光硬化させた後の製品は、残留成分が溶出・揮発し難く、優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一発明に係る化合物は、上記構造式(1)によって示される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物である。
【0012】
構造式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などが挙げられる。Rで表されるヒドロキシアルキル基としては2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブトキシ基が挙げられ、R1で表されるアルコキシエチル基としては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−フェノキシエチル基が挙げられ、R1で表されるハロゲン化アルキル基としては、2−フルロロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロブチル基などが挙げられる。
【0013】
構造式(1)において、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などが挙げられる。Rで表されるアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、Rで表されるアルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、ブトキシメチル基、2−エチルヘキシルオキシメチル基、2−オクチルオキシメチル基などが挙げられ、Rで表されるアリルオキシメチル基としては、メタリルオキシメチル基などが挙げられ、また、Rで表されるアリールオキシメチル基としては、フェノキシメチル基などが挙げられる。構造式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0014】
構造式(1)において、XまたはYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2-エチルヘキシル基などが挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基などが挙げられ、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基などが挙げられ、アリールチオ基としては、フェニルチオ基、o−トリルチオ基、m−トリルチオ基、p−トリルチオ基、p−ヒドロキシフェニルチオ基などが挙げられる。
【0015】
構造式(1)で示される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシナフタレン化合物としては、次のものが挙げられる。すなわち、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどである。
【0016】
さらに、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ))ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0017】
また、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ))ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0018】
さらに、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−ヘキルオキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−ヘキシルオキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0019】
さらにまた、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ))ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0020】
またさらに、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ))ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0021】
また、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシブトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシブトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどが挙げられる。
【0022】
前記構造式(1)で表される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物の代表的なものは、以下の構造式(2)〜構造式(17)として示されるものである。
【0023】
【化2】

【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
【化8】

【0030】
【化9】

【0031】
【化10】

【0032】
【化11】

【0033】
【化12】

【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
【化15】

【0037】
【化16】

【0038】
【化17】

【0039】
第一発明に係る4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物は、4−アルコキシ−1−ナフトール化合物に、塩基の存在または非存在下、溶剤の存在下または非存在下、酸化アルキレンを付加させる第一反応、この第一反応によって得られる4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物にさらに、塩基の存在または非存在下、溶剤の存在下または非存在下、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルを反応させる第二反応によって製造できる。
【0040】
第一反応で使用できる4−アルコキシ−1−ナフトール化合物としては、例えば次のような化合物が挙げられる。すなわち、4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−プロポキシ−1−ナフトール、4−(i−プロポキシ)−1−ナフトール、4−ブトキシ−1−ナフトール、4−(i−ブトキシ)−1−ナフトール、4−ペンチルオキシ−1−ナフトール、4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、4−へプチルオキシ−1−ナフトール、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−ナフトール、4−オクチルオキシ−1−ナフトール、4−デシルオキシ−1−ナフトール、4−ドデシルオキシ−1−ナフトール、4−(2−メトキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−エトキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−クロロエトキシ)−1−ナフトール、4−(2−ブロモエトキシ)−1−ナフトール、4−(3−クロロプロポキシ)−1−ナフトール、2−メチル−4−メトキシ−1−ナフトール、2−メチル−4−エトキシ−1−ナフトール、2−メチル−4−プロポキシ−1−ナフトール、2−メチル−4−(i−プロポキシ)−1−ナフトール、2−メチル−4−ブトキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−メトキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−エトキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−プロポキシ−1−ナフトール、2−クロロ−4−(i−プロポキシ)−1−ナフトール、2クロロ−4−ブトキシ−1−ナフトールなどである。
【0041】
第一反応において、4−アルコキシ−1−ナフトール化合物との付加反応に使用できる酸化アルキレンとしては、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、1−ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0042】
第一反応において、塩基としてアルカリ性化合物を使用する場合は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような無機のアルカリ化合物が好適である。アルカリ性化合物は、通常、水溶液として使用される。溶媒を使用する場合の溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、アミン系溶媒などが挙げられる。アルコール系溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、アセトンなどが挙げられ、エーテル系溶媒の具体例としては、テトラヒドフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられ、アミド系溶媒の具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0043】
4−アルコキシ−1−ナフトール化合物に対する酸化アルキレンの添加量は、2モル倍〜10モル倍の範囲で選ぶのが好ましい。前者に対する後者の添加量が2モル倍以下であると、未反応の4−アルコキシ−1−ナフトール化合物が残留し、生成物の純度が低下する。他方10モル倍以上であると、反応液から生成物の結晶が析出しにくくなる場合があり、好ましくない。前者に対する後者の添加量のより好ましい量は、2.2モル倍〜5モル倍の範囲である。反応系にアルカリ化合物を存在させる場合は、通常、4−アルコキシ−1−ナフトール化合物と等モル程度とするのが好ましい。第一反応は、通常、室温で行われる。反応の進行が遅い場合は、50℃前後に加熱することもできる。反応の進行とともに、4−アルコキシ−1−ナフトール化合物のアルカリ金属塩に由来する赤色が消失するので、反応の進行を容易に確認することができる。反応終了後、反応液を冷却し、析出した結晶を濾別・乾燥して、相当する4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物を得ることができる。
【0044】
第二反応では、第一の反応で得られた4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物と、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルとを、塩基の存在または非存在下、溶媒の存在または非存在下、反応させることにより(メタ)アクリル化させ、相当する4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物が得られる。
【0045】
第二の反応において、原料として使用できるものは、第一反応において、4−アルコキシ−1−ナフトール化合物に酸化アルキレンを付加して得られた、4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物である。具体的には、次の化合物が挙げられる。すなわち、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−エトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなどである。
【0046】
さらに、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−プロポキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(i−プロポキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなども挙げられる。
【0047】
また、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−メトキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなども挙げられる。
【0048】
またさらに、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、4−(2−クロロエトキシ)−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなども挙げられる。
【0049】
さらにまた、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3ブトキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−メチル−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシブトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシヘプチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシオクチルオキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−2−フェニルエトキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3ブトキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−(2−エチル)ヘキシルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−ステアリルオキシプロポキシ)ナフタレン、2−クロロ−4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)ナフタレンなども挙げられる。
【0050】
第二反応を遂行する際、4−アルコキシ−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物と、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルとの添加モル比率は、好ましくは2.0〜10.0の範囲で選ばれる。前者に対する後者の添加モル比率が2.0未満では、未反応のナフタレン化合物が残り、また添加比率が10.0を超えると、第二反応で使用した塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイル自体が重合するため、目的物である4−アルコキシ−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物の分離が困難で、目的物の純度が低下するので好ましくない。上記の添加モル比は、より好ましいのは2.2〜6.0の範囲である。
【0051】
第二反応を塩基の存在下で遂行する場合、使用できる塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、γ−ピコリンのような有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのような無機塩基などが挙げられる。これら塩基の塩化アクロイルまたは塩化メタアクリロイルに対する添加モル比は、好ましくは1.0〜1,5である。この添加モル比が1.0未満であると、ナフタレン化合物が未反応のまま残存し、1,5を超えると、生成物の反応液に対する溶解性が高くなって結晶化し難くなるので好ましくない。この添加モル比は、より好ましくは1.1〜1.2である。
【0052】
第二反応を溶媒の存在下で遂行する場合、使用できる反応溶媒としては、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルと反応しないものであればよく、特に種類を選ばない。具体的には、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、メチルナフタレン、クロルナフタレンなどの芳香族系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、1,2−ジクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒が挙げられる。反応温度は、0℃〜80℃の範囲で選ぶのが好ましい。反応温度が0℃以下であると、反応速度が遅く時間がかかりすぎ、80℃以上であると、塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイル自体の重合が進行し、生成物の純度が低下するため好ましくない。より好ましい反応温度は、20℃〜50℃の範囲である。溶媒に対する反応物の濃度は、特に制限はなく、溶媒に溶解し難い場合には、反応物をスラリー状態に分散させて反応させることもできる。
【0053】
得られた反応生成物は、赤外スペクトル分析法、マススペクトル分析法、H−NMRスペクトル分析法などによって、これらの化合物がビス(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物であることを確認することができる。いずれの化合物も、赤外スペクトル分析法では、1720cm−1付近にエステル基に帰因する強いCO伸縮振動を示し、H−NMRスペクトル分析法では、AMX型のアクリル基特有のスペクトルを示すので、容易に確認することができる。
【0054】
<化合物の用途>
上記反応によって得られる第一発明に係る化合物、すなわち、4−アルコキシ−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物は、新規化合物である。この第一発明に係る化合物は、光重合性モノマーの光増感剤として使用できるほか、この化合物を配合して光硬化性組成物を調製することができる。
【0055】
第一発明に係る化合物を光増感剤として使用する場合は、第一発明に係る化合物を、光重合性モノマーおよび光重合開始剤とともに配合して光硬化性組成物を調製する。この光硬化性組成物は、光を照射により容易に硬化させることができる。
【0056】
光重合性モノマーとしては、カチオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。光重合性のカチオン重合性モノマーとしては、エポキシ化合物類、ビニルエーテル類などが挙げられる。エポキシ化合物類として一般的なものは、脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族のグリシジルエーテルなどである。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートが挙げられる。市販されている製品としては、例えば、ダウ・ケミカル社製、商品名:UVR6105、UVR6110などが挙げられる。エポキシ変性シリコーンとしては、東芝GEシリコーン社製、商品名:UV−9300などが挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0057】
光重合性のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレートなどが挙げられる。これらラジカル重合性モノマーは、一種でも二種以上の混合物であってもよい。
【0058】
第一発明に係る化合物を光増感剤として使用する場合の配合量は、上記光重合性モノマーに対して、0.01〜2.0重量%の範囲が好ましい。光増感剤の配合量が少なすぎると、光硬化性組成物の硬化速度が遅くなり、また光増感剤の配合量が多すぎると、硬化物の物性が悪化するので、いずれも好ましくない。光増感剤のより好ましい配合量は、0.1〜1.0重量%の範囲である。
【0059】
光重合開始剤としては、オニウム塩を使用することができる。オニウム塩としては、通常、スルホニウム塩またはヨードニウム塩が使用される。スルホニウム塩としては、S,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウム、ビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートなどが挙げられる。市販されている製品としては、例えば、ダウ・ケミカル社製、商品名:UVI6992が挙げられる。一方、ヨードニウム塩としては、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートが挙げられる。市販されている製品としては、例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア250、ローディア社製、商品名:2074などが挙げられる。開始剤の光重合性モノマーに対する添加量は、0.01〜5.0重量%の範囲が好ましく、さらに好ましいのは0.05〜2.0重量%の範囲である。
【0060】
本発明の第四発明に係る光硬化性組成物には、光重合性モノマー、第一発明に係る化合物を光増感剤、光重合開始剤より構成され、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、希釈剤、着色剤、有機または無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤などの各種樹脂添加剤を、通常の使用範囲で配合することができる。
【0061】
希釈剤としては、エポキシアクリレートなどのようなエポキシ系希釈剤、オキサシクロブタンなどのオキセタン系希釈剤、ビニルエーテル系希釈剤、(メタ)アクリル単量体系希釈剤などが挙げられる。着色剤としては、青色顔料、赤色顔料、白色顔料、黒色顔料などが挙げられる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックなどが挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどが挙げられる。
【0062】
赤色顔料としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、レーキレッドDブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが挙げられる。その他の顔料としては、例えば、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどが挙げられる。
【0063】
本発明の第四発明に係る光硬化性組成物は、これを基材上に塗布したのち、この塗布膜に紫外領域の光線を照射することにより硬化させることができる。塗布方法は、光硬化性組成物を基材上に塗布できる方法であれば特に制限はなく、バーコート法、スプレーコート法などによることができる。基材は、鋼板、印刷製版、フィルム、紙、アルミニウム箔などの外観が平面を呈するもののほか、曲面を呈するもの、塊状を呈するものなど、いずれであってもよい。基材上に塗布した光硬化性組成物は、特に波長領域300〜400nmの光線を照射することにより、速やかに硬化させることができる。この場合の光源としては、波長領域300〜400nmに含まれる光線を発光できる光源であれば特に制限はなく、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、太陽光、メタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線(UV)LEDランプ、フュージョン社製のHランプ、Dランプなどが挙げられる。
【0064】
光照射は、酸素非存在下で行うのが好ましい。酸素存在下で照射すると、酸素により光重合反応の進行が阻害され、硬化膜の表面のベタツキ(タック)が取れず、開始剤を大量添加する必要がある。酸素非存在下での光硬化方法としては、窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス雰囲気下で行う方法が挙げられる。また、酸素非過性の膜によって被覆し、膜の上方から光を照射する方法を採用することもできる。なお、光硬化完了の確認は、タック(ベタツキ)フリーテスト(指触テスト)によって行うことができる。このタックフリーテストは、フィルムなどの基材表面の硬化膜を指先で触り、タックを確認し、硬化膜のタックがなくなるまでの時間を「タック・フリー・タイム」(光照射時間)とし、この時間の長短で硬化反応の遅速を判定することができる。「タック・フリー・タイム」が短いほど、硬化速度が速いことを意味する。
【0065】
本発明の第四発明に係る光硬化性組成物を、例えば、フィルム表面に塗布して硬化させるには、次の手順で行う。すなわち、フィルム表面に、光硬化性組成物をバーコート法により塗布する。基材がフィルムの場合、その厚さが通常30〜100μm程度のものに、塗布膜の厚さが数μm〜数十μmになるようなロッドナンバーのバーコーターを使用して塗布する。このようにして得られた塗布物に、上記した光源の光を照射することにより、光重合性モノマーを含む光重合性組成物を、速やかに硬化させることができる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0067】
[実施例1]
<4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(4)で示した化合物}の製造>
(第一反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、4-メトキシ−1−ナフトール3.5g(20ミリモル)をメタノール15mlに溶解した溶液として仕込み、ついで酸化プロピレン4g(70ミリモル)を仕込んだ。つぎに、水酸化ナトリウム0.8g(20ミリモル)を水3mlに溶解した水溶液を添加し、室温下、攪拌を続けた。2日後、結晶が析出していたので、反応液を濃縮してさらに結晶を析出させた後、濾過・乾燥し薄青い白色の粉末2.8g(12ミリモル)を得た。生成物の4−メトキシ−1−ナフトールに対する収率は60モル%であり、融点は97〜98℃であった。
【0068】
(第二反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が30mlの三口フラスコに、上記第一反応で得られた、4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン464mg(2ミリモル)を、5mlのアセトンに溶解して仕込んだ。ついで塩化アクリロイル400mg(4.5ミリモル)を添加し、続いて、トリエチルアミン450mg(4.5ミリモル)のアセトン溶液を、三口フラスコを水冷しながら添加した。反応液は弱い発熱(約3℃上昇)し、反応液中に直ちに白い沈殿が大量に生じたので、10分間攪拌を継続した後、水1.5gを加えたところ、白色沈殿は全て溶解した。水をさらに2.5g加え、反応液が若干は白濁したところで、反応液に減圧を適用しアセトンを飛散させたところ、うす赤いオイル状物が沈降してきた。これに、塩化メチレンを4g加えてオイルを溶解し、よく水洗いした後、シリカゲルカラムに掛けた。留出した塩化メチレン溶液を濃縮し、うす赤いオイル220mgを得た。生成物の4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレンに対する収率は、37モル%であった。
【0069】
得られた生成物について、(1)屈折率(JIS K0062に準拠した屈折率測定装置、アタゴ社製、型式:IT)、(2)赤外線(IR)分光光度計(日本分光社製、型式:IR−810)によるIRスペクトル、(3)核磁気共鳴装置(NMR)(日本電子社製、型式:GSX FT NMR Spectorometer)によるH−NMR、(4)Massスペクトル(島津製作所社製、質量分析計、型式:GCMS−QP5000)などを測定した。
【0070】
測定結果は次のとおりであり、生成物は4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンであることが確認された。
(1)融点:室温で液状
(2)屈折率:1.586
(3)赤外線(IR)吸収スペクトル(KBr、cm−1):1718、1621、1588、1458、1380、1265、1234、1190、1154、1096、800、760、660などの波長に吸収が認められた。
(4)H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.50(d,J=9Hz、3H)、3.97(s,3H)、4.14(d,J=5Hz,1H)、4.19(d,J=5Hz,1H)、5.50(m,1H)、5.85(d,J=11Hz,1H)、6.17(dd,J=11Hz,J=17Hz,1H)、6.45(d,J=17Hz,1H)、6.68(s,1H),6.70(s,1H)、7.50(m,2H),8.20(m,2H)。
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=286(M
【0071】
[実施例2]
<4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(12)で示した化合物}の製造>
(第一反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が100mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、4−ブトキシ−1−ナフトール4.3g(20ミリモル)をメタノール16mlに溶解した溶液として仕込み、ついで酸化プロピレン4g(70ミリモル)を仕込んだ。次に、水酸化ナトリウム0.8g(20ミリモル)を水3mlに溶解した水溶液を添加し、室温下、攪拌を続けた。2日後、結晶が析出していたので、反応液を濃縮してさらに結晶を析出させた後、濾過・乾燥し白色の粉末3.1g(11ミリモル)を得た。生成物の4−ブトキシ−1−ナフトールに対する収率は、55モル%であり、融点は92〜93℃であった。
【0072】
(第二反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が30mlの三口フラスコに、上記第一反応で得られた、4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン548mg(2ミリモル)を4mlのアセトンに溶解した溶液として仕込み、ついで塩化アクリロイル400mg(4.5ミリモル)を仕込んだ。次に、トリエチルアミン450mg(4.5ミリモル)を1mlのアセトンに溶解した溶液を、三口フラスコを水冷しつつ添加した。反応液は弱く発熱し、反応液中に直ちに白い沈殿が大量に生じた。反応液を10分間攪拌した後、水1.5gを加えたところ、白色沈殿は全て溶解した。反応液に水をさらに2.5g加え、少し白濁したところで冷蔵庫に一夜保管したところ、反応液の底に薄黄色のオイル状物が沈殿していた。反応液を減圧濃縮してアセトンを飛散させると、オイル状物が増えてくるので、上澄みを捨て、よく水洗いして無色のオイル状物340mgを得た。生成物の4−ブトキシ−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレンに対する収率は、52モル%であった。
【0073】
得られた薄黄色オイル状生成物について、実施例1におけると同様の手順で分析した結果はつぎのとおりであり、生成物は4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンと確認された。
(1)融点:室温で液状
(2)屈折率:n=1.553
(3)赤外線(IR)吸収スペクトル(KBr、cm−1):2950、2920、2860、1720、1621、1592、1456、1400、1378、1270、1254、1192、1156、1096、800、760などの波長に吸収が認められた。
(4)H―NMR(CDCl,270MHz)δ:1.02(t,J=9Hz,3H)、1.50(d,J=9Hz,3H)、1.60(m,2H)、1.90(m,2H)、4.06(t,J=3Hz,2H)、4.13(d,J=5Hz、1H)、4.17(d,J=5Hz,1H)、5.50(m,1H)、5.84(d,J=11Hz,1H)、6.17(dd,J=11Hz,J=17Hz,1H)、6.45(d,J=17Hz,1H)、6.69(s,1H)、6.70(s,1H)、7.50(m,2H)、8.20(m,2H)
(5)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=328(M
【0074】
[実施例3]
<4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンの合成>
(第一反応)
攪拌機、温度計を装備した容量100mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−ナフトール5.6g(20ミリモル)をメタノール25mlに溶解した溶液として仕込み、ついで、酸化プロピレン4g(70ミリモル)を添加した。つぎに、水酸化ナトリウム0.8g(20ミリモル)を水3mlに溶解した水溶液を添加し、室温下、攪拌を継続した。2日後、結晶が析出していたので、反応液を濃縮してさらに結晶を析出させた後、濾過・乾燥して白色の粉末5.1g(15ミリモル)を得た。生成物の4−(2−フェノキシエトキシ)−1−ナフトールに対する収率は、75モル%であり、融点は76〜77℃であった。
【0075】
(第二反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が30mlの三口フラスコに、上記第一反応で得られた、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレン676mg(2ミリモル)を5mlのアセトンに溶解した溶液を仕込んだ。ついで塩化アクリロイル400mg(4.5ミリモル)を添加した。次に、トリエチルアミン460mg(4.5ミリモル)を1mlのアセトンに溶解した溶液を、三口フラスコを水冷しつつ添加した。反応液は弱く発熱し、反応液中に直ちに白い沈殿が大量に生じた。反応液を10分間攪拌した後、水1.5gを加えたところ、白色沈殿は全て溶解した。水をさらに2.5g加え、少し白濁したところで冷蔵庫に一夜保管したところ、反応液の底に結晶が析出していた。結晶を吸引濾過して分離し、よく水洗いした後、乾燥し、260mg白色の粉末を得た。生成物の4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−ヒドロキシプロポキシ)ナフタレンに対する収率は、35モル%であった。
【0076】
生成物について実施例1におけると同様の手順で分析した結果はつぎのとおりであり、生成物は4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンと確認された。
(1)融点:93〜94℃
(2)IR(KBr、cm−1):2980、2926、2860、1724、1620、1590、1492、1454、1400、1380、1362、1265、1250、1230、1190、1150、1094、1080、1070、1020、970、930、900、768、744、682などの波長に吸収が認められた。
(3)H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.49(d,J=9Hz,3H)4.13(d,J=5Hz,1H)、4.18(d,J=5Hz,1H)、4.60(s,4H)、5.50(m,1H)、5.83(d,J=11Hz,1H)、6.17(dd,J=11Hz,J=17Hz,1H)、6.44(d,J=17Hz,1H)、6.69(d,J=8Hz、1H)、6.75(d,J=8Hz,1H)、6.95(t,J=8Hz,1H)、7.0(d,J=8Hz,2H)、7.30(t,J=8Hz,2H)、7.50(m,2H)、8.20(m,2H)
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=392(M
【0077】
[実施例4]
<4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレンの合成>
(第一反応)
温度計、攪拌機を装備した容量が100mlのオートクレーブに、4−メトキシ−1−ナフトール5.2g(30ミリモル)をメタノール30mlに溶解して仕込み、つぎに、水酸化ナトリウム1.2g(30ミリモル)の水6mlに溶解した水溶液を添加した。ついで、酸化エチレンを4.4g(100ミリモル)を、圧力が0.3MPaを超えないように15分かけて圧入した。その後、室温で攪拌を続け、2日間攪拌を継続した後、生成したスラリー状の反応混合物に水を20ml加え、よく攪拌し、吸引ろ過した。反応生成物を十分に水洗いし、乾燥した後、白色の粉末4.4g(20ミリモル)を得た。 生成物の4−メトキシ−1−ナフトールに対する収率は67モル%であり、融点は 98〜99℃であった。
【0078】
(第二反応)
攪拌機、温度計を装備した容量が30mlの三口フラスコに、上記第一反応で得られた4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレン436mg(2ミリモル)をアセトン4mlに溶解した溶液として仕込んだ。つぎに、塩化メタアクリロイル240mg(2.4ミリモル)加えた。ついで、三口フラスコを氷水で冷却しながら、トリエチルアミン202mg(2ミリモル)をアセトン1mlに溶解した溶液を添加した。反応液は弱く発熱し、反応液中に直ちに白い沈殿が生じた。反応液を10分攪拌した後、水1.5gを加えたところ、白色沈殿はすべて溶解した。水をさらに2g加え、少し白濁したところで冷蔵庫に一夜保管したところ、結晶が析出していた。結晶を吸引濾過して分離し、良く水洗いした後、乾燥して、160mgの白色の結晶を得た。生成物の4−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ナフタレンに対する収率は、30モル%であった。
【0079】
生成物について実施例1におけると同様の手順で分析した結果はつぎのとおりであり、生成物は4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレンと確認された。
(1)融点:69〜70℃
(2)IR(KBr,cm−1)2945,1713,1688,1464,1440,1380,1318,1268,1164,1100,1084,940,760
(3)H−NMR(CDCl,270MHz)δ:1.99(s,3H)、3.99(s,3H)、4.37(t,J=8Hz,2H)、4.65(t,J=8Hz,2H)、5.60(d,J=2Hz,1H)、6.19(d,J=2Hz,1H)、6.69(d,J=9.5Hz,1H)、6.74(d,J=)。5Hz,1H)、7.50(m,2H)、8.21(m,2H)
(4)Massスペクトル:(EI−MS)m/z=286(M
【0080】
[光重合増感剤としての評価試験−1]
モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に、トリル−i−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(チバ・スペシャリティ社製、商品名:イルガキュア250、以下同じ)を2重量部、実施例1に記載の方法で製造した、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(2)で示した化合物}1.0部を加え、均一な光硬化性組成物とした。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(東レ社製、商品名:ルミラー)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで窒素雰囲気下、UV−LEDランプ(波長が395nmで最も強い光線を有する光源、サンダー社製、型式:SDL−10M3CUV、以下同じ)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、2.8分であった。
【0081】
[光重合増感剤としての評価試験−2]
モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に、トリル−i−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)を2重量部、実施例2に記載の方法で製造した、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(10)で示した化合物}1.0重量部を加え、均一な光硬化性組成物とした。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(東レ社製、商品名:ルミラー)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで窒素雰囲気下、高圧水銀ランプ(上に同じ)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、1.1分であった。
【0082】
[光重合増感剤としての評価試験−3]
モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に、トリル−i−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)を2重量部、実施例3に記載の方法で製造した、4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン1.0重量部を加え、均一な光硬化性組成物とした。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(同上)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで窒素雰囲気下、UV−LEDランプ(同上)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、2.4分であった。
【0083】
[光重合増感剤としての評価試験−4]
モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート100重量部に、トリル−i−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)を2重量部、実施例4に記載の方法で製造した4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレン1.0重量部を加え、均一な光硬化性組成物とした。この光硬化性組成物をバーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(同上)表面に、膜厚さが12ミクロンになるように塗布した。ついで窒素雰囲気下、UV−LEDランプ(同上)を使用し、照射強度3mW/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、45秒であった。
【0084】
[光重合増感剤としての評価試験−比較例1]
光重合増感剤としての評価試験−1に記載の例において、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシエトキシ)ナフタレンを添加しなかったほかは、同例におけると同様の手順で光硬化組成物を調製し、ポリエステルフィルム表面に塗布し、ついで窒素雰囲気下、UV−LEDランプ(上に同じ)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射したが、25分間照射しても硬化しなかった。
【0085】
[光重合増感剤としての評価試験−5]
モノマーとして脂環式エポキシ化合物(DOW社製、UVR−6105)に対し、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)2重量部、実施例1に記載の方法で製造した4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(2)で示した化合物}0.5重量部を混合し、光硬化組成物を調製した。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(同上)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで、表面からUV−LEDランプ(同上)を使用して、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、2.7分であった。
【0086】
[光重合増感剤としての評価試験−6]
モノマーとして脂環式エポキシ化合物(同上)に対し、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)2重量部、実施例2に記載の方法で製造した4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレン{構造式(10)で表される化合物}0.5部を混合し、光硬化組成物を調製した。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(同上)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで、表面からUV−LEDランプ(上に同じ)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、4.2分であった。
【0087】
[光重合増感剤としての評価試験−7]
モノマーとして脂環式エポキシ化合物(同上)に対し、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(同上)2重量部、実施例3に記載の方法で製造した4−(2−フェノキシエトキシ)−1−(2−アクリルオキプロポキシ)ナフタレン0.5部を混合し、光硬化組成物を調製した。この光硬化性組成物を、バーコーターによって、厚さが100μmのポリエステルフィルム(同上)表面に、膜厚が12μmになるように塗布した。ついで、表面からUV−LEDランプ(同上)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は、4.2分であった。
【0088】
[光重合増感剤としての評価試験−比較例2]
光重合増感剤としての評価試験−5に記載の例において、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンを添加しなかったほかは、同例におけると同様の手順で光硬化組成物を調製し、ポリエステルフィルム(同上)表面に塗布し、ついで窒素雰囲気下、UV−LEDランプ(同上)を使用し、照射強度を3mw/cmとして照射した。35分間照射しても硬化しなかった。
【0089】
[硬化性組成物の昇華試験例−1]
光重合増感剤としての評価試験−1に記載の方法で調製した光硬化性組成物を塗布したポリエステルフィルム(同上)を、温度を180℃に調節したオーブン中で加熱した。ポリエステルフィルムを、一定時間ごとにオーブンから出して、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンに起因するUVスペクトルのうち、波長331nm近傍のUV吸光ピークを、紫外・可視分光光度計(島津製作所社製、型式:UV2200)によって測定した。図1と図2に、この例で測定したUVスペクトルを示した。波長が331nmの吸光度ピーク高さを、加熱前(図1)と加熱後(図2)とを比較し、加熱後の吸光度ピークの低下割合を調べて、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンの昇華の程度を判定した。その結果、10分間の過熱後に吸収度のピーク高さが加熱前より約17%低下していたので、約17%程度昇華していると判定した。
【0090】
[硬化性組成物の昇華試験例−2]
光重合増感剤としての評価試験−2に記載の方法で調製した光硬化性組成物を、硬化性組成物の昇華試験例−1におけると同様にして、ポリエステルフィルム(同上)に塗布し、このポリエステルフィルムを、温度を180℃に調節したオーブン中で加熱した。ポリエステルフィルムを、一定時間ごとにオーブンから出して、UVスペクトルを測定した(測定装置は、上に同じ)。4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンに起因する、波長が331nm近傍のUV吸光度スペクトルを、図3と図4に示した。波長が331nmのUV吸光度ピーク高さを、加熱前(図3)と加熱後(図4)とを比較し、加熱後の吸光度ピークの低下割合を調べて、4−ブトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンの昇華の程度を判定した。10分間加熱後(図4)の波長331nmのUVスペクトルは、加熱前(図3)のものに比較して吸光度はほとんど変らず、10分間の加熱後に4%しか昇華していなことが判明した。
【0091】
[硬化性組成物の昇華試験例−3]
光重合増感剤としての評価試験−4に記載の方法で調整した光硬化性組成物を、ポリエステルフィルム(同上)に塗布し、昇華試験例−1におけると同様にして、温度を180℃に調節したオーブン中で加熱した。ポリエステルフィルムを一定時間ごとにオーブンから出し、UVスペクトルを測定した。4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレンに起因する、波長が331nm近傍の吸光度スペクトルを図5と図6に、この例で測定したUVスペクトルを示した。波長が331nmの吸光度ピークの低下割合を調べて、4−メトキシ−1−(2−メタクリルオキシエトキシ)ナフタレンの昇華の程度を判定した。10分間加熱後(図6)の波長331nmのUVスペクトルは、加熱前(図5)のものに比較して吸光度はほとんど変らず、10分間の加熱後に5%しか昇華していなことが判明した。
【0092】
[硬化性組成物の昇華試験例−4(比較例)]
光重合増感剤としての評価試験1に記載の例において、4−メトキシ−1−(2−アクリルオキシプロポキシ)ナフタレンの代わりに、4−メトキシ−1−エトキシナフタレンを使用したほかは、同例におけると同様の手順で光硬化性組成物を調製した。この光硬化性組成物をポリエステルフィルム(同上)に塗布し、昇華試験例−1におけると同様にして、温度を180℃に調節したオーブン中で加熱した。ポリエステルフィルムを一定時間ごとにオーブンから出し、UVスペクトルを測定した。測定結果を、図7と図8に示した。10分間加熱後(図8)の4−メトキシ−1−エトキシナフタレンに起因する波長335nmの吸光度は、加熱前(図7)のものに比較して大幅に低下し、約70%程度昇華していることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の第一発明に係る4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物は、新規な化合物であり、この化合物は光重合性モノマー、および光重合開始剤よりなる光硬化性組成物に配合して、光重合増感剤として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】昇華試験例−1における加熱前の試料のUVスペクトルである。
【図2】昇華試験例−1における加熱後の試料のUVスペクトルである。
【図3】昇華試験例−2における加熱前の試料のUVスペクトルである。
【図4】昇華試験例−2における加熱後の試料のUVスペクトルである。
【図5】昇華試験例−3における加熱前の試料のUVスペクトルである。
【図6】昇華試験例−3における加熱後の試料のUVスペクトルである。
【図7】昇華試験例−4における加熱前の試料のUVスペクトルである。
【図8】昇華試験例−4における加熱後の試料のUVスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(1)で示される4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物。
【化1】

{構造式(1)において、R1はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基のいずれかを示し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシメチル基、アリルオキシメチル基、アリールオキシメチル基のいずれかを示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、X、Yは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、スルホン酸基のいずれかを示す。}
【請求項2】
4−アルコキシ−1−(2−ヒドロキシアルコキシ)ナフタレン化合物に、酸化アルキレン化合物を付加反応させて、ついで、この化合物に塩化アクリロイルまたは塩化メタアクリロイルを反応させることを特徴とする、請求項1に記載の4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物の製造方法。
【請求項3】
酸化アルキレンが、酸化エチレンまたは酸化プロピレンである、請求項2に記載の1,4−ビス(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物の製造方法。
【請求項4】
光重合増感剤において、請求項1に記載の4−アルコキシ−1−(2−(メタ)アクリルオキシアルコキシ)ナフタレン化合物を有効成分として含有することを特徴とする、光重合増感剤。
【請求項5】
光硬化性組成物において、請求項4に記載の光重合増感剤、光重合開始剤、および、光重合性モノマーからなることを特徴とする、光硬化性組成物。
【請求項6】
光重合開始剤が、オニウム塩である請求項5に記載の光硬化性組成物。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−1640(P2008−1640A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172953(P2006−172953)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】