説明

新規のイヌインフルエンザウイルス及びこのワクチン

本発明は新規のインフルエンザウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Canine/Korea/02/07(H3N2)及びA/Canine/Korea/03/07(H3N2)、これらの中で一つ以上を有効成分として包含するワクチン組成物、前記組成物を個体に投与してインフルエンザウイルス感染疾患を予防又は治療する方法、及び検定キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規のインフルエンザウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)、 A/Canine/Korea/02/07(H3N2)及びA/Canine/Korea/03/07(H3N2)、これらの中の一つ以上を有效成分で含むワクチン組成物、前記組成物を個体に投与してインフルエンザウイルスの感染疾患を予防又は治療する方法、及び検定キットに関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザ(Influenza)はオルソミックソビリデ(Orthomyxoviridae)のインフルエンザウイルスタイプA(Influenza Virus type A)により誘発される疾病として、人間、ブタ、ウマ、鳥類等で、経済的に重要な疾病だ。A型のインフルエンザの血清型は二つの表面タンパク質、すなわち、血球凝集素(Hemagglutinin)及びノイラミニダーゼ(Neuraminidase)の種類により区分され、H血清型とN血清型がある。インフルエンザウイルスの血清型は各々H血清型とN血清型で表示し(例:H9N2)、鳥インフルエンザウイルスはH血清型が16種、N血清型が9種の種類があり、算術的に存在可能なインフルエンザウイルスの血清型は144種である。
【0003】
インフルエンザは人獣類共通伝染病として、インフルエンザウイルスタイプA は変異性が大きく、一つの種から他の種にすぐ伝染されることができる可能性を有し、高病原性インフルエンザの世界的な伝染を解決する事が大きい課題に浮び上がっている。しかし、インフルエンザウイルスが、関係がない全然新しい種に伝染されることはいくつかの報告事例があるが、有りふれた事ではない。
イヌインフルエンザウイルスは新種ウイルスとして、現在、イヌにはワクチン又は自然免疫に成れない状態で、全ての種と年齢で感染性があるウイルスである。急性呼吸器疾患を引き起こすイヌインフルエンザウイルスはひどい咳、熱、鼻腔の分泌物等の臨床症状を有する。
【0004】
イヌインフルエンザは、初めに、2004年アメリカのフロリダ州のグレーハウンドイヌの競走場で発生されたと報告された。その後、アメリカのテキサス、アラバマ、アーカンソ州等で、イヌインフルエンザが発生し、イヌの新種伝染病に認識され始めた。アメリカで発生したイヌインフルエンザの免学的の調査によれば、ウマインフルエンザH3N8とほとんど同一に明かになり、ウマからイヌにインフルエンザが伝染して、新しいイヌインフルエンザウイルスが生成されたと推測している。このようにウマインフルエンザH3N8により競走用のイヌに発病された出血性肺炎や、イヌから分離したヒトインフルエンザH3N2に対する報告があるが、イヌにより発病されたインフルエンザの血清学的で、ウイルス学的な証拠は十分に提示することができずにいる。
【0005】
また、鳥インフルエンザがイヌに伝染された例も報告されており、鳥インフルエンザがイヌに伝染されるメカニズムは疫学的に二つで推測されることができる。一つは、イヌの飼育場で料理されていないカモとニワトリの副産物をイヌの餌にし、ウイルスの伝染が起きる可能性と、もう一つは、正常なイヌと鳥インフルエンザに感染されたイヌの直接的接触、又は呼吸器の伝染により起きる可能性である。このように感染されたイヌが違う環境に露出され、他のイヌと接触したため、イヌインフルエンザの確立に助けを与えたと推測している。
このイヌインフルエンザウイルは、致死率が高い2次感染の可能性のため、ワクチンで予防することが重要だ。しかし、現在全世界的に、市販されているイヌインフルエンザウイルスワクチンはない状態である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景下で、本発明者達は、最近韓国でインフルエンザに感染されたイヌから新規のイヌインフルエンザウイルスを分離し、これらウイルスのウイルス学的、血清学的、病原素的及び系統発生学的分析を通じて鳥インフルエンザタイプAの全体遺伝子が鳥類とイヌという種を飛び越して伝染されたことを確認し、いっそう、これらウイルスに対する安全性が高いワクチンの開発成功で本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの目的は、新規のH3N2型のイヌインフルエンザウイルスを提供するためのものである。
本発明の他の目的は、前記インフルエンザウイルスつのタンパク質性分をコードするヌクレオチド配列を提供するためのものである。
本発明の更に他の目的は、前記新規ウイルスに対する免疫を形成させることができるワクチン組成物を提供するためのものである。
本発明の更に他の一つの目的は、 本発明のウイルス又はこの抗原を含むH3N2血清型インフルエンザウイルスの検定キットを提供するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Dove/Korea/S11/03(H3N2)、A/Duck/Korea/S7/03(H3N2)及びA/Chicken/Korea/S6/03(H3N2)インフルエンザウイルスのNA遺伝子に対する全体アミノ酸配列を比較したものである。
【図2】図2は、A/Equine/Jilin/1/1989(H3N8)、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Dove/Korea/S11/03(H3N2)インフルエンザウイルスのHA遺伝子に対する全体アミノ酸配列を比較したものである。
【図3】図3は、A/Equine/Jilin/1/1989(H3N8)、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Canine/Korea/02/07(H3N2)、A/Canine/Korea/03/07(H3N2)、A/Dove/Korea/S11/03(H3N2)、A/Duck/Korea/S7/03(H3N2)及びA/Chicken/Korea/S6/03 (H3N2)インフルエンザウイルスのHA遺伝子に対する部分的アミノ酸配列を比較したものである。
【図4】図4は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスの系統発生学的関連性をHA遺伝子塩基配列で分析したものである。
【図5】図5は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスの系統発生学的関連性をNA遺伝子塩基配列で分析したものである。
【図6】図6は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスを接種した接種群と、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスを接種しない対照群の体温変化、抗体価変化及びウイルス排出を一週間の間に測定した結果を現わしたものである。
【図7】図7は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスを接種した接種群と、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスを接種しない対照群の気管と肺での組職病理学的病便を現わしたものである。(A、C:対照群、B、D、F:接種群)(A)接種9日後の対照群のイヌで、正常的な気管の偽重層円柱上皮ライニング(pseudostratified columnar epithelium lining、400倍擴大);(B)接種9日後の接種群のイヌで、壊死された気管(n)、扁平上皮化生(squamous metaplasia、 s)、上皮細胞の過形成及び結締組織での慢性炎症(C)(400倍擴大);(C)接種3日後の対照群の正常肺胞(200倍擴大);(D)接種3日後の接種群の深刻な壊死性気管支炎(severe diffuse necrotizing bronchitis)と気管支腔での化膿性炎症を同伴した細気管支炎(100倍擴大);(E)接種6日後の接種群の深刻な壊死性細気管支炎(脱落された壊死性細胞及び好中球が満たされ、弱い又は普通の慢性的細気管支の周辺に炎症が見える(200倍擴大);(F)接種9日後、接種群の深刻な壊死性肺胞炎(肺胞腔(ad)と肺胞(a)での壊死細胞浸潤(200倍擴大)。H&E 染色)
【発明を実施するための形態】
【0009】
一つの様態として、本発明は新規のH3N2型のイヌインフルエンザウイルスに関する。
本発明は、配列番号9のアミノ酸配列又はこれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示される血球凝集素(HA)を含むH3N2血清型のインフルエンザウイルスに関する。
また、本発明のイヌインフルエンザウイルスの、全体ノイラミニダーぜ(NA)アミノ酸配列(図1)及び全体血球凝集素(HA)アミノ酸配列(図2)を分析した結果、本院発明で分離したイヌインフルエンザウイルスは既存に周知されたウマインフルエンザウイルスH3N8と比較した際、非常に特徴的にアミノ酸配列が変化されていることを確認することができる。特に、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、 A/Canine/Korea/02/07(H3N2)及びA/Canine/Korea/03/07(H3N2)のHAアミノ酸配列分析でアミノ酸配列番号27、127、142、176、188、209、212 及び252の位置で、各々N(Asparagine)、I (Isoleucine)、 T(Threonine)、T(Threonine)、N(Asparagine)、S(Serine)、I(Isoleucine)及び I(Isoleucine)の8個のアミノ酸が特徴的に変化されていることを確認することができた(図3)。配列番号9のアミノ酸配列と、少なくとも95%以上の相同性を有するアミノ酸配列は、配列番号9で表示されるアミノ酸配列中97、127、142、176、188、209、212及び252の位置に、少なくとも一つのアミノ酸配列と同一アミノ酸残基を含む。
【0010】
また、本発明によるH3N2血清型のインフルエンザウイルスは、配列番号11のアミノ酸配列又はこれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示されるノイラミニダーぜタンパク質(NA)を含む。
以外に、本発明による新規のインフルエンザウイルスは、配列番号3の塩基配列で表示される非構造性タンパク質(NS)、配列番号4の塩基配列で表示されるマトリックスタンパク質(M)、配列番号5の塩基配列で表示される核タンパク質(NP)、配列番号6の塩基配列で表示される重合酵素タンパク質(PA)、配列番号7の塩基配列で表示される重合酵素タンパク質2(PB2)、及び配列番号8の塩基配列で表示される重合酵素タンパク質1(PB1)、及びこの結合物により選択されたタンパク質を追加で含むことができる。
【0011】
本発明で、血球凝集素又はノイラミニダーぜタンパク質に用いられた用語「相同性」(homology)というのは、野生型(wild type)アミノ酸配列との類似程度を現わすためである。本発明のインフルエンザウイルスタンパク質で表現される血球凝集素又はノイラミニダーぜタンパク質は、配列番号9及び11のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上の相同性を有する。一般的にタンパク質の相同物は目的タンパク質と同一活性部位を含む。アミノ酸配列間の相同性の比較は肉眼で、又は購入が容易な比較プログラムを利用して遂行することができる。市販されるコンピュータープログラムは二つ以上の配列間の相同性を百分率(%)で計算し、相同性(%)は隣接した配列により計算されることができる。
【0012】
本発明のイヌインフルエンザウイルスは、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Canine/Korea/02/07(H3N2)及びA/Canine/Korea/03/07 (H3N2)を含む。
前記A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスは、鳥インフルエンザウイルスと95.5乃至98.9%の相同性を有する。特に、HA(Hemagglutinin)及びNA(Neuraminidase)遺伝子は、韓国で分離されたハトインフルエンザウイルスであるA/Dove/Korea/S11/03(H3N2)と最も高い相同性を見せ、NS(nonstructural)遺伝子は、中国で分離されたニワトリインフルエンザウイルスであるA/Chicken/Nanchang/7-010/2000(H3N6)と最も高い相同性を見せる。PB1(Polymerase basic protein 1)、PB2、PA(Polymerase)、NP(nucleoprotein)及びM(matrix)遺伝子は、香港、日本及び中国で分離された鳥インフルエンザウイルスと高い相同性を見せた。A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスは、2007年9月19日付で、大韓民国大田市儒城区魚隠洞に位置する韓国生命工学研究院生物資源センターにKCTC11205BPで寄託された。
【0013】
A/Canine/Korea/01/07(H3N2))インフルエンザウイルスの血球凝集素(HA)遺伝子は、配列番号1に記載された塩基配列を含み、ノイラミニダーぜ(NA)遺伝子は、配列番号2に記載された塩基配列を含む。配列番号9は、HA遺伝子及びアミノ酸の全体配列を表示し、配列番号11は、NA遺伝子及びアミノ酸の全体配列を表示する。また、非構造性タンパク質(NS)遺伝子は、配列番号3に記載された塩基配列を含み、マトリックスタンパク質(M)遺伝子は、配列番号4に記載された塩基配列を含み、核タンパク質(NP)遺伝子は、配列番号5に記載された塩基配列を含み、重合酵素タンパク質(PA)遺伝子は、配列番号6に記載された塩基配列を含み、重合酵素タンパク質 2(PB2)遺伝子は、配列番号7に記載された塩基配列を含み、重合酵素タンパク質 1(PB1)遺伝子は、配列番号8に記載された塩基配列を含む。
【0014】
本発明による前記A/Canine/Korea/02/07(H3N2)インフルエンザウイルスのHA遺伝子は、配列番号13に記載された塩基配列を含み、NA遺伝子は、配列番号14に記載された塩基配列を含む。これらHA及びNAの遺伝子及びアミノ酸は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスのHA及びNAの遺伝子及びアミノ酸と分析すると、ウイルス間に98%の相同性を有し、同一ウイルスに確認される。A/Canine/Korea/02/07(H3N2)インフルエンザウイルスは2007年9月19日付きで、大韓民国大田市儒城区魚隠洞に位置する韓国生命工学研究院生物資源センターにKCTC11206BPで寄託される。
【0015】
前記A/Canine/Korea/03/07(H3N2)インフルエンザウイルスのHA遺伝子は、配列番号1に記載された塩基配列を含み、NA遺伝子は配列番号16に記載された塩基配列を含む。これらHA及びNAの遺伝子及びアミノ酸は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)インフルエンザウイルスのHA及びNAの遺伝子及びアミノ酸と各々99%の相同性を見せ、A/Canine/Korea/02/07(H3N2)インフルエンザウイルスのHA及びNAの遺伝子及びアミノ酸とは98%の相同性を有することで、同一ウイルスで確認される。A/Canine/Korea/03/07(H3N2)インフルエンザウイルスは2007年9月19日付きで、大韓民国大田市儒城区魚隠洞に位置する韓国生命工学研究院生物資源センターにKCTC11207BPで寄託される。
本発明によるイヌインフルエンザウイルスは韓国のイヌの鼻腔から分離したことで、これらウイルスは図4及び図5で図示した系統図と同じ系統発生学的関連性を有する。代表的に、図4 及び図5はA/Canine/Korea/01/07 (H3N2) インフルエンザウイルスの系統発生学的関連性をHAと NAをを利用して分析したものである。 HAと NAの系統図によれば、本発明のインフルエンザウイルスは鳥インフルエンザウイルスと群落(cluster)を成し、HA及びNA遺伝子はウマとイヌから分離されたH3N8ウイルスとは異なる群落に属することと確認された。
【0016】
本発明によるイヌインフルエンザウイルスはイヌに攻撃接種した際、体温上昇及び肺の炎症を起こす病原性が確認され、韓国内のイヌで流行するウイルス種だということを知ることができた。ここに、本発明のイヌインフルエンザウイルスに対するワクチンを製造し投与した結果、ほとんどのイヌにインフルエンザウイルスに対する免疫を形成し、又はイヌを通じるウイルス伝染及び新種のインフルエンザウイルスの生成を抑制させることができた。
もう一つの様態として、本発明は配列番号9のアミノ酸配列又はそれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示される血球凝集素(HA)をコードするヌクレオチド に関することであり、好ましくは配列番号9の塩基配列を有するヌクレオチド である。
また、本発明は配列番号11のアミノ酸配列又はそれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示されるノイラミニダーゼ(NA)をコードするヌクレオチド に関することであり、好ましくは配列番号10の塩基配列を有するヌクレオチド である。
【0017】
もう一つの様態として、本発明はイヌインフルエンザウイルスに対する免疫を形成できるワクチンの組成物に関する。
好ましくは、本発明のワクチンの組成物はイヌインフルエンザウイルス又はこの抗原を有效成分として含む。より具体的に、前記イヌインフルエンザウイルスはA/Canine/Korea/01/07 (H3N2)、A/Canine/Korea/02/07 (H3N2)、A/Canine/Korea/03/07 (H3N2) 及びこの結合物で成る群から一種以上が選択させられる。
本発明にて用いられる前記抗原はウイルスの構成成分中で免疫機能を起せる抗原成分を指し、配列番号9のアミノ酸配列又はそれと90%以上、好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示される血球凝集素(HA)又はこれの断片を含むことができる。また、前記95%以上の相同性を有するアミノ酸配列は配列番号9で表示されるアミノ酸配列中97、127、142、176、188、209、212、及び252の位置のアミノ酸残基中の一つ以上が配列番号9の当該アミノ酸残基と同一血球凝集素(HA)又はこれの断片を含む。
【0018】
また、前記抗原は配列番号11のアミノ酸配列又はそれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示されるノイラミニダーゼ(NA)又はこの断片を含む。
本発明によるワクチンは弱毒化された生ワクチン又は死ワクチン、サブユニットワクチン(Subunit vaccine)合成ワクチン(Synthetic vaccine)又は遺伝工学ワクチン(Genetic vaccine)であるが、効果的な免疫反応を誘導する生ワクチンが好ましい。
用語「生ワクチン」というのは、生きているウイルス活性成分を含むワクチンを意味する。用語「弱毒化(attenuation)」というのは、生きている病原体の毒性を人工的に弱化したことであり、病原体の必需代謝に関与する遺伝子を変異させ体内で、疾病を起こせずに免疫体系だけを刺激し免疫性を誘導することを意味する。ウイルスの弱毒化は紫外線(UV)照射、薬品処理又は試験管内での高次連続継代培養により達成される。また、弱毒化は明確な遺伝の変化をさせることで、例えば毒性を提供すると周知られたウイルス配列の特定損失又はウイルスゲノム内へのヌクレオチドの挿入により達成される。
【0019】
用語「屍毒ワクチン」は、不活化ワクチン又は死菌ワクチンともいい、死んだウイルスを含むワクチンである。この例として、全ウイルスワクチン(whole-virus vaccine)及び分割ワクチンがあり、これらはすでに周知の方法で容易に製造できる。例えば、全ウイルスワクチンはウイルス全体にホルマリン処理し製造でき、分割ワクチンはウイルスにエーテル処理をして外皮だけを粉砕、抽出して製造できる。
用語「サブユニットワクチン」はウイルスの構成成分中で免疫機能を起せる抗原成分だけを抽出し製造したワクチンで、ウイルス防御に必要な抗原部位だけに対して免疫形成を誘導し副作用を最小化できる。例えばイヌインフルエンザウイルスのHAタンパク質及び/又はNAタンパク質を抽出して用いられる。
用語「合成ワクチン」は、ウイルスの抗原又は抗原決定基だけを化学的に合成し、又は再組合DNA技術で生産したペプチドを含むワクチンで、例えば、イヌインフルエンザウイルスのHAタンパク質及び/又はNAタンパク質を合成して用いられる。
【0020】
遺伝工学ワクチンは、ウイルスの病原性を起こす特異遺伝子を変形し、又は除去したものである。
また、本発明のインフルエンザワクチンは、イヌに発生するインフルエンザ以外の疾病を予防するため作られる他のワクチンの製造に用いられる不活化された菌体又は抗原と混合し、インフルエンザを含む他の疾病を共に予防できる混合ワクチン又は複合ワクチンで用いられるのが好ましい。用語「混合ワクチン」というのは、相違するウイルスワクチンを共に用いられたワクチンを指し、用語「複合ワクチン」というのは、ウイルスワクチンと細菌ワクチンを共に用いられたワクチンを指す。本発明の具体的な実施例として、例えば、イヌパラインフルエンザウイルス(canine parainfluenza virus)、イヌジステンパーウイルス(canine distemper virus)、イヌアデノウイルス (canine adenovirus)、イヌボデテラブロンキセプテイカ菌(Bordetella bronchiseptica)と混合又は複合されてワクチンに用いられる。
【0021】
本発明のイヌインフルエンザウイルスワクチンは、一例として (a)イヌインフルエンザウイルスを孵化卵に注入して増殖させる段階;(b)前記孵化卵より漿尿膜腔液を抽出してここにホルマリン、BPL(betapropioactone)又はBEI(binaryethilimine)を処理する段階;及び (c)前記ホルマリンの処理された漿尿膜腔液から不活化されたウイルスを抽出し、これをイヌウイルスワクチンに製造する段階を通じて製造できる。各段階の詳しい方法は下記の通りである。
前記(a)段階は、イヌインフルエンザウイルスを9乃至11日齢の孵化卵に注入し、孵化卵は30乃至40℃で24乃至72時間おき、ウイルスの増殖を誘導する。前記 (b) 段階では、通常の方法で漿尿膜腔液を抽出して、ここに最終濃度0.005乃至0.2(v/w)%でホルマリン、BEI又はBPLを加えて低温に放置しウイルスを不活化させる。前記 (c) 段階ではホルマリン、BEI又はBPLが処理された漿尿幕腔液を円心分離又は濾過を通じて不活化されたウイルスを抽出する。抽出されたウイルスは、水酸化アルミナゲルに吸着させる。前記ワクチン製造方法は、公知の方法を採択し、又は一部修正を経て容易に実施できる。
【0022】
また本発明のワクチン組成物は追加的に溶媒、免疫増強剤(adjuvant)及び賦形剤で成る群から選択された一種以上をさらに含む。前記溶媒としては生理食塩水又は蒸留水があり、免疫増強剤としてはフロイント(Freund's)不完全体又は完全体免疫増強剤 、アルミニウム水酸化物ゲル(hydroxide gel)及び植物性オイル及び鉱物性オイル等があり、賦形剤としてはアルミニウムホスフエイト(phosphate)、アルミニウム水酸化物又は硫酸アルミニウムカリウム(potassium sulphate)があるが、これに限定されなく、当該分野の通常の知識を有する技術者によく周知されている、ワクチン製造に用いられる公知の物質全てを含む。
好ましくは、本発明のワクチン組成物はイヌインフルエンザウイルスを25 HAU(hemagglutination unit, 血球凝集段位)で含むが、これに限定されない。
ただ、ワクチンの血球凝集段位が25HAU未満の場合、イヌに効果的に抗体形成を誘導できないこともあり、25HAUを超過する場合、効率に比して非経済的である。
【0023】
本発明のワクチン組成物は経口型又は非経口型製剤として製造でき、好ましくは非経口型製剤の注射液剤として製造し、真皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下内、鼻腔又は硬膜外(eidural)の経路をもって投与できる。
本発明のワクチン組成物は、A/Canine/Korea/01/07(H3N2)、A/Canine/Korea/02/07 (H3N2)、又はA/Canine/Korea/03/07 (H3N2)に感染されることができ、前記インフルエンザウイルスを他の個体に伝染させる全種類の家禽及び鳥類、例えば、イヌ、ブタ、ニワトリ、カモ、シチメンチョウ等及び人にでも用いることができる。
もう一つの様態として、本発明は、前記ワクチン組成物をインフルエンザウイルスの感染が疑われる個体に投与し、インフルエンザウイルスの感染疾患を予防又は治療する方法に関する。
【0024】
本発明での用語「インフルエンザウイルスの感染疾患」というのは、インフルエンザウイルスの感染により誘発される疾患として、副鼻腔炎、発作的喘息、中耳炎、嚢胞性線維症(cystic fibrosis)、気管支炎、肺炎、下痢等を例示できるが(PitkarantaとHayden、1998、Ann. Med.)、本発明はこれらに制限されない。
本発明での用語「個体」というのは、インフルエンザウイルスにすでに感染されたり感染される可能性がある人間を含め、全ての動物を意味する。本発明の抽出物が含まれた組成物を個体に投与することにより、前記疾患を効果的に予防し、治療できる。例えば、本発明のワクチン組成物で多様なインフルエンザウイルスの亞形又は変異形のインフルエンザウイルスに感染された人間を治療できる。また、本発明のワクチン組成物で多様なインフルエンザウイルスの亞形又は変異形の鳥インフルエンザウイルスに感染された人間を治療できる。また、多様なインフルエンザウイルスの亞形また変異形の鳥インフルエンザウイルスに感染されたニワトリやブタを治療できる。本発明のワクチン組成物を既存のインフルエンザウイルス感染疾患治療剤と並行し投与できる。
【0025】
本発明での用語「予防」というのは、ワクチン組成物の投与により、インフルエンザウイルスの感染を抑制し、発病を遅延させる全ての行為を意味する。本発明での用語「治療」というのは、ワクチン組成物の投与により、インフルエンザウイルスの感染による病状が好転され、有利に変える全ての行為を意味する。
本発明のワクチン組成物は薬剤学的に有効な量で投与する。用語「薬剤学的に有効な量」は医学的治療に適用できる合理的な効果/危険の比率で疾患を治療しに十分な量を意味し、有効用量の水準は個体の種類及び重症度、年齢、性別、感染されたウイルスの種類、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路、排出比率、治療期間、共に用いられる薬物を含んだ要素及びその他の医学分野でよく周知された要素により決定される。本発明の組成物は個別治療剤に投与し、他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次的又は同時に投与できる。そして、単一投与又は多重投与もできる。前記要素を全て考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果を上げる量を投与することが重要であり、当業者により容易に決定される。
【0026】
もう一つの様態として、本発明は、前記インフルエンザウイルス又はこの抗原を含むH3N2血清型インフルエンザウイルスの検定キットに関する。
本発明のインフルエンザウイルス又はこの抗原は、抗原/抗体複合体の反応を通じて感染の恐れがある又はすでに感染された細胞中のインフルエンザウイルスを除去するにのみならずインフルエンザウイルスを特異的に検出するためにも用いられる。
このような検定キットは本発明のインフルエンザウイルスのみならず、疫学的な分析に用いられる当分野で一般的に用いられる道具、試薬等が含まれる。このような道具/試薬としては適合な擔体、検出可能な信号を生成できる標識物質、溶解剤、洗浄剤、緩衝剤、安定化剤等を含むが、これに制限されない。標識物質が酵素の場合は、酵素活性を測定できる基質や反応停止剤を含める。適合擔体としては可溶性擔体ー例えば当分野で周知された生理学的に許容される緩衝液(一例としてPBS)、不溶性擔体ー例えばポリエスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッソ樹脂、cross-linked デキストラン(dextran)、多糖類(poly-saccharide)、ラテックスに金属を鍍金した磁性微粒子のような高分子、その他、紙、ガラス、金属、アガローズ(agarose)及びこれらの組合であるが、これらに限定されない。
【0027】
抗原/抗体の複合体形成は組織免疫染色、放射能免疫分析法(RIA)、酵素免疫分析法(ELISA)、ウエスタンブロチング(Western Blotting)、免疫沈澱分析法(Immunoprecipitation Assay)、免疫拡散分析法(Immunodiffusion)、補体結合分析法(Complement Fixation Assay)、FACS、タンパク質チープ(protein chip)等があり、これらに限定されない。
抗原/抗体復合体の形成を定性又は定量的に測定できるようにするラベルには酵素、蛍光物、リガンド、発光物、微素粒子(microparticle)、レドックス分子及び放射線同位元素等があり、絶対にこれで制限されることはない。検出ラベルで利用の可能な酵素にはベータ−グルクロニダーゼ、ベータ−D-グルコシダーゼ,ベータ−D-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アセチルコリンエステラーゼ。グルコースオキシダーゼ、へキソキナーゼとGDPase、RNase、グルコースオキシダーゼとルシフェラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルベートカルボキシラーゼ、アスパラテートアミノトランスフェラーゼ、ホスホエノールピルベートディカルボキシルラーゼ、β−ラクタマーゼ等があり、これで制限されない。蛍光物にはフルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン(allophycocyanin)、オルソーフタルデヒド(ο-phthaldehyde)、フルオレスカミン等があり、これに制限されない。リガンドにはビオチン誘導体等があり、これに制限されない。発光物には アクリジニウムエステル(acridinium ester)、ルシフェリン、ルシフェラーゼ等があり、これに制限されない。微素粒子には金コロイド、着色されたラテックス等があり、これに制限されない。レドックス分子にはフェロセン、ルテニウム着化学物、ビオローゲン、キノン、Tiイオン、Csイオン、ディイミド(diimide)、1,4-ベンゾキノン、ヒドロキノン、 KW(CN)、[Os(bpy)3]2+H、14C、32P、35S、36CI、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、186Re等があり、これで制限されない。
【0028】
以下、本発明の理解を助けるための好ましい実施例を提供する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するため提供されるのみ、本発明が下記の実施例により制限されることはない。
実施例1.検体の確保及ウイルスの分離
韓国の京畿都地方に位置する地元の動物病院で検体(鼻腔分泌物)の提供を受けた。臨床症状として一番目の場合、5歳のミニチュア・シュナウザーは3日間鼻水があり、2日間くしゃみをした後回復した。二番目の場合、3歳のコッカー・スパニエルは熱、咳、鼻水と食欲不尽の症状と共に死に至った。三番目の場合、ヨークシャ・テリア一匹と珍島犬2匹はひどい咳、熱と鼻水を伴いながら動物病院を訪問2日後の死に至った。
【0029】
この動物達全ては、(株)アニゼンのインフルエンザAタイプの迅速診断キットとRT-PCRを利用した実験を通じて全部インフルエンザAタイプ陽性で証明され、他の病元素と鑑別診断の結果、一致しなかった。
このイヌたちから採取された検体(鼻腔分泌物)を利用して11日齢の発育鶏卵に接種した結果、採取した尿膜腔液はニワトリの赤血球細胞を凝集させた。そして、分離されたウイルスを血清学的に同定した結果、H3N2ウイルスだと明らかになった。この分離されたウイルスをA/Canine/Korea/01/07、(H3N2)、A/Canine/Korea/02/07(H3N2)、及びA/Canine/Korea/03/07、(H3N2)と命名し、2007年9月19日付で大韓民国儒城区魚隠洞に位置する韓国生命工学研究院の生物資源センターに各々寄託番号KCTC11205BP、KCTC11206BP及びKCTC11207BPで寄託した。
【0030】
実施例2.分離されたウイルスの遺伝的特性
実施例1で分離されたウイルスの遺伝的な特性を究明するため、ウイルスに対して各遺伝子を分析した。トリゾル (Trizol)LSを利用して尿膜腔液から抽出したインフルエンザウイルスRNAは無作為のヘキサマープライマー (hexamerprimer)でRT-PCRを実行した後、表1のプライマーを用いてPCRを遂行した。H3、N2、PB1、PB2、PA、NP、M及びNS遺伝子を検出するためプライマー配列は変形されたプライマー3プログラム(Whitehead Institude/MTCenter for Genome Research)を用いた。
PCR反応はcDNA(2μL)を反応混合物{2.5μL、10X Taq DNA重合酵素緩衝液、MgCl2、1.5mM、dNTPs(2.5mM/μL)2.0μL、各特定のプライマー(各10pmol)1μLTaq DNA重合酵素(Promega、USA)1μL}と混合して蒸留水を添加して全体の容積を25μLに作った。PCRは94℃で10分、94℃で30秒間32サイクル、55℃で30秒、72℃で30秒、72℃で10分間実行し、反応は4℃で止めた。PCR産物は臭化エチジウムを含有した1.5%のアガローズゲルを電気泳動して分析した。分離されたウイルス配列はバイオエディット (Bioedit)ソフトウェアを利用して分析し、編集した。
【0031】
【表1−1】

【表1−2】

【0032】
分離されたイヌインフルエンザウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)の8個の遺伝子切れ(segment)を並び、その配列の相同性(homology)を遺伝子銀行(GeneBank)にある配列と比較した(配列番号1乃至配列番号12)。その結果、分離されたウイルスはトリインフルエンザウイルスと95.5乃至98.9%の相同性を見せた(表2)。特にHAとNA遺伝子は韓国で分離されたS11と最も高い相同性を見せ、NS遺伝子はニワトリから分離された中国の分離株と最も高い相同性を見せた。PB1、PB2、PA、NP及びM遺伝子は香港、日本、中国で分離されたトリインフルエンザウイルスと高い相同性を見せた。また、分離されたA/Canine/Korea/01/07、A/Canine/Korea/02/07及びA/Canine/Korea/03/07の間のHA及びNA遺伝子の相同性は、98%乃至99%で同一ウイルスと確認された。
【0033】
【表2】

【0034】
実施例3.分離されたウイルスの系通学的な分類
A/Canine/Korea/01/07の系通学的な分類は多重整列アルゴリズム(Clustal alignment algorithm)とMEGALIGNプログラム(DNASTAR、Madison、WI)を利用して確認した。その結果、HA及びNA遺伝子はウマとイヌから分離されたH3N8ウイルスとは相違な群落に属すると確認され、韓国で分離されたH3N2とは非常に近縁関係を見せた(図4及び図5)。
【0035】
実施例4.分離されたウイルスの病原性試験
分離したイヌインフルエンザウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)の病原性の有無を確認するため、イヌに対して攻撃接種の実験を実施した。
10週齢のビーグル犬を接種群7匹、対照群3匹で分け、接種群7匹には1:64HA力価(106.9 EID50/0.1mL)を有する分離されたウイルス(2mL)を鼻腔と口腔に投与した。対照群3匹は無菌のPBS(phosphate buffer saline、2mL)を鼻腔と口腔に投与した 。投与後臨床症状を7日間観察し、ウイルスの排出は接種後10日間糞便と鼻腔の分泌物を通じてRT-PCRを実行して確認した。各々のグループの血清学的変化は再組合NP(Nucleoprotein)を抗原とする競争的原理を有するELISA(Animal Genetic Inc. Korea)及びHI実験を用いて確認した。HI実験はOIE推薦実験方法に従って実行した。また死後剖検のため、接種後3日、6日及び9日に接種グループで2匹ずつ、対照群で1匹ずつキシラジン(xylazine)1mLで安楽死させて病変を確認した。
【0036】
その結果、接種群でくしゃみと鼻水を同伴する臨床症状が接種後2日から7日まで観察された。直腸温度は対照群で実験する間39℃で変わらなく、接種群では接種24時間後、平均40.14℃で発熱があった(図6)。
また、血清学的検査を遂行した結果、接種前に全ての実験犬の血清学的実験は陰性で、対照群実験犬の血清は実験する間、陰性として残っていた。接種群では接種6日後、ELISA実験の結果、パーセント阻害率(Percent Inhibition)の価は他の対照群の実験犬より非常に高くて抗体が高く上昇したのを確認できた。面白いことに接種群の接種8日後、HI力価が1:80を見せた。
【0037】
それに、糞便と鼻腔の分泌物でのウイルスの排出を調査した結果、ウイルスの排出は接種群で接種後6日間鼻腔の分泌物を通じて続けたが、対照的にインフルエンザウイルスは糞便では検出されなかった。イヌインフルエンザウイルスに感染された動物は一般的に感染後一日からウイルスを排出し始め、最も多く排出される時期は感染後4日で、106.0EID50/0.1mLである。
一方、組織病理学的病変は気管と肺に局限されていた。組織学的に上部呼吸器(気管、bronchi)と下部呼吸器(bronchioleとalveoli)でひどい壊死病変があった。たとえ、攻撃接種したイヌ全てに少しの病変程度に差はあったが、組織学的に細気管支炎及び気管支炎を見せる等しい様子を見せた(図7)。
結論を言えば分離されたウイルスは、イヌで体温上昇と肺に炎症を引き起こす病原性があることを確認することができる。また、6日間ウイルスが排出されるのも確認することができる。
【0038】
実施例5.ワクチンの製造
分離したイヌインフルエンザウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)を種(seed)ウイルスとしてワクチンを製造した。10日齢の孵化卵の漿尿膜腔に種(seed)ウイルスを接種3日後、漿尿膜腔を採取してウイルスバルクにした。このウイルスバルクに0.2%ホルマリンを添加して室温で24時間不活化した。不活化の可否は不活化されたバルクを孵化卵に再接種してウイルスが生存しなかった際、不活化されたことに確認した。不活化が完了されたバルクは25HAU以上になるようにした。このバルク70%とアルミニウム水酸化物ゲル30%を10,000rpmで10分間混合した後無菌検査を実施し、異状なしを確認後、ワクチンとして利用した。
【0039】
実施例6.ワクチンの接種後の攻撃試験
製造されたワクチンを0.5mLずつ10週齢のビーグル犬10匹の皮下に接種し、3週間後同一方法で追加接種した。追加接種の2週間後1:64HA力價 106.9 ID50/0.1mL)を有する、分離されたウイルスA/Canine/Korea/01/07(H3N2)を2mLずつ口腔と鼻腔に攻撃接種した。対照群は3匹を公示し、PBSを 接種した。実験の間、体温とウイルスの排出有無、臨床症状及び抗体の上昇有無を確認した。
その結果、接種群の場合体温変化が攻撃接種後まで正常的な体温が一定に維持され、ウイルスの排出もなく、臨床症状も確認されなかった。しかし、対照群の場合は攻撃接種後1週間、体温の上昇を確認でき(表3)、ウイルスの排出が3匹全てでPCRとして確認されたが、6日後には排出がなかった(表4)。そして、対照群は接種後、鼻水を流しながら乾性の咳又は湿性の咳きをする等の臨床症状を確認する事ができた。抗体価は接種群の場合、核タンパク質に対するELISA抗体及び血球凝集素に対するHI抗体は7日後から上昇し始め、実験の間続けた(表5)。しかし、対照群は攻撃接種7日後から核タンパク質及び血球凝集素に対するHI抗体が上昇され始まった。
従って、ワクチン接種群は攻撃接種に対して防御できることを確認できてワクチンとしての効果を証明できた。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

*PCR陽性検体の匹数/PCR検査の匹数
【0042】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0043】
以上で取り調べたように、本発明は新規のイヌインフルエンザウイルスを提供し、それに対するワクチンを製造してイヌインフルエンザウイルスに対する免疫を効果的に形成させられ、そして、イヌ又はイヌから2次感染される個体のインフルエンザウイルスによる疾患の発病を顕著に減らさせられる。
本発明の好ましい実施態様は例示する目的で説明され、当業者達は添付した特許の請求範囲に記述された発明の範囲及び精神に外れず多様な変形、付加及び置換が可能である事を認識する。
【受託番号】
【0044】
KCTC11205BP
KCTC11206BP
KCTC11207BP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号9のアミノ酸配列又はこれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示される血球凝集素(HA)を含むH3N2血清型のインフルエンザウイルス。
【請求項2】
前記95%以上の相同性を有するアミノ酸配列は、配列番号9で表示されるアミノ酸配列中97、127、142、176、188、209、212及び252の位置のアミノ酸残基中少なくとも一つが配列番号9の前記アミノ酸配列と同一アミノ酸残基を含む請求項1に記載のH3N2血清型のインフルエンザウイルス。
【請求項3】
配列番号11のアミノ酸配列又はこれと95%以上の相同性を有するアミノ酸配列で表示されるノイラミニダーぜ(NA)を含む請求項1に記載のH3N2血清型のインフルエンザウイルス。
【請求項4】
配列番号3の塩基配列で表示される非構造性タンパク質(NS)、配列番号4の塩基配列で表示されるマトリックスタンパク質(M)、配列番号5の塩基配列で表示される核タンパク質(NP)、配列番号6の 塩基配列で表示される重合酵素タンパク質(PA)、配列番号7の塩基配列で表示される重合酵素タンパク質2(PB2) 及び配列番号8の塩基配列で表示される重合酵素タンパク質1(PB1)追加で含む請求項3に記載のインフルエンザウイルス。
【請求項5】
受託番号KCTC11205BPの請求項1に記載のインフルエンザウイルス。
【請求項6】
受託番号KCTC11206BPの請求項1に記載のインフルエンザウイルス。
【請求項7】
受託番号KCTC11207BPの請求項1に記載のインフルエンザウイルス。
【請求項8】
請求項1に記載の血球凝集素(HA)のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド 。
【請求項9】
配列番号9の塩基配列を有する請求項8に記載のヌクレオチド 。
【請求項10】
請求項3に記載のノイラミニダーゼ(NA)アミノ酸配列をコードするヌクレオチド 。
【請求項11】
配列番号11の塩基配列を有する請求項10に記載のヌクレオチド 。
【請求項12】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のウイルス又はこの抗原を有効成分として含むインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項13】
前記ワクチンはイヌに適用される請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項14】
免疫増強剤(adjuvant)として、アルミニウム水酸化物(hydroxide)ゲル又はオイルを追加的に含む請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項15】
前記ワクチンは他の病原体と混合又は複合されたワクチンである請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項16】
前記ワクチンはウイルスを弱毒化させて作る生のワクチンである請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項17】
前記ワクチンはインフルエンザウイルスを2HAU以上含有した請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項18】
前記抗原は第1項又は第2項に書かれた血球凝集素(HA)又は免疫活性を有する、これの断片で、このような抗原が90%以上含有された請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項19】
前記抗原は第1項又は第3項に書かれたノイラミ二ダーゼ(NA)又は免疫活性を有するこれの断片で、このような抗原が90%以上含有された 請求項12に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物。
【請求項20】
第12項に記載のインフルエンザウイルスワクチン組成物を個体に投与してインフルエンザウイルス感染疾患を予防又は治療する方法。
【請求項21】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のウイルス又はこれの抗原を包含するH3N2血清型インフルエンザウイルスの検定キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−501950(P2011−501950A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530910(P2010−530910)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005789
【国際公開番号】WO2009/057843
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(310019947)バイオノートインコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】