説明

新規のベンゾピラン類似体及び緑内障の治療のためのそれらの使用

新規のベンゾピラン類似体が開示されている。また正常な又は高い眼内圧を低下及び調節するための方法並びに、1以上の本発明化合物を含有する組成物を用いて緑内障を治療するための方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(1.技術分野)
本発明は種々のベンゾピラン類に関する。これらの化合物は、正常な又は上昇した眼内圧(IOP)の低下及び調節、そして緑内障の治療のために有用である。
【0002】
(2.背景技術)
緑内障と呼ばれる疾病状態の特徴は、視神経に対する不可逆的な損傷による視覚機能の永久的喪失である。緑内障は形態学的又は機能的に幾つかの型に分けられるが、それらの一般的な特徴はIOPの上昇であって、この上昇の原因はこの疾病の病理学的な経過に関係があると考えられている。高眼圧症の状況では眼内圧は上昇しているが、視覚機能の喪失は見かけ上は起こっていないが;そのような患者は、最終的には、緑内障に関連する視覚喪失に発展する危険が高いと考えられる。緑内障又は高眼圧症を早期に発見し、そして上昇した眼内圧を効果的に下げる医薬品で迅速に治療すれば、視覚機能の喪失又はその進行性悪化は一般に改善することができる。眼内圧の低下に有効であると証明されている薬物療法剤には、房水の産生を低減する薬剤と房水流出能を高める薬剤との両方がある。かかる療法では、一般に局所的(眼への直接適用)又は経口的という2つの可能な経路の1つによって投与される。
【0003】
現存の緑内障療法剤で治療してもそれにうまく応答しない個体がいる。従って、IOPを調節する更なる局所治療薬が求められている。
【0004】
セロトニン作動性の5-HT1Aアゴニストは、動物モデルにおいて神経保護作用があると報告されており、これらの薬剤の中には、他の適応症よりも急性卒中発作の治療について評価されているものが多い。このクラスの化合物は、緑内障を治療すると言われており(IOPの低下及び調節)、例えば国際公開第98/18458号(DeSantisら)(特許文献1)及び欧州特許出願公開第0771563号A2(Manoら)(特許文献2)が参照される。Osborneら(Ophthalmologica,Vol. 210: 308-314, 1996)(非特許文献1)は、8-ヒドロキシジプロピルアミノテトラリン(8-OH-DPAT)(5-HT1Aアゴニスト)がウサギにおいてIOPを低下させることを教示している。Wangら(Current Eye Research, Vol.16(8): 769-775, August 1997(非特許文献2)、及びIVOS, Vol.39(4), S 488, March,1998(非特許文献3))は、5-メチルウラピジル、α1Aアンタゴニスト及び5-HT1Aアゴニストが、そのα1A受容体活性のため、サルにおいてIOPを下げると指摘している。また5-HT1Aアンタゴニストは、緑内障(上昇したIOP)の治療のために有用であることが明らかにされている(例えば国際公開第92/0338号、McLees)(特許文献3)。更に、DeSaiら(国際公開第97/35579号)(特許文献4)及びMacorら(米国特許第5,578,612号)(特許文献5)は、緑内障(上昇したIOP)の治療のための5-HT1アゴニスト及び5-HT1様アゴニストの使用を述べている。これらの抗偏頭痛化合物は、5-HT1B,D,E,Fアゴニスト、例えばスマトリプタン及びナラトリプタン及び関連化合物である。
【0005】
5-HT2受容体でアゴニスト活性を示すセロトニン作動性化合物は正常な及び上昇したIOPを低下又は調節し、そして緑内障の治療のために有用であることが判明しており、このことについては所有する同時継続中の出願であって、引用により全体を本明細書に編入するPCT/US99/19888(特許文献6)を参照できる。5-HT2受容体でアゴニストとして作用する化合物が周知であり、かつ主に中枢神経系(CNS)に関連する疾患又は状態に関して種々の効用を示している。米国特許第5,494,928号(特許文献7)は、強迫性障害及び他のCNS由来の人格障害の治療のための5-HT2Cアゴニストである、或る2-(インドール-1-イル)エチルアミン誘導体に関する。米国特許第5,571,833号(特許文献8)は、門脈圧亢進症及び偏頭痛の治療のための5-HT2アゴニストであるトリプタミン誘導体に関する。米国特許第5,874,477号(特許文献9)は、5-HT2A/2Cアゴニストを用いるマラリアの治療方法に関する。米国特許第5,902,815号(特許文献10)は、5-HT2Aアゴニストを用いるNMDA受容体の機能低下による有害効果の予防に関する。国際公開第98/31354号(特許文献11)は、うつ病及び他のCNS状態の治療のために5-HT2Bアゴニストに関する。国際公開第00/12475号(特許文献12)はインドリン誘導体に関し、かつ国際公開第00/12510号(特許文献13)及び国際公開第00/44753号(特許文献14)は、種々の中枢神経系の疾患の治療のために、殊に肥満の治療のための5-HT2B及び5-HT2C受容体アゴニストとしての或るインドール誘導体に関する。国際公開第00/35922号(特許文献15)は、強迫性障害、うつ病、摂食障害及び他のCNSに関与する疾患の治療のために5-HT2Cアゴニストとしての或るピラジノ[1,2-a]キノキサリン誘導体に関する。国際公開第00/77002号(特許文献16)及び国際公開第00/77010号(特許文献17)は、中枢神経系疾患、例えばなかでも肥満、不安、うつ病、睡眠障害、頭痛及び社会的恐怖症の治療について効用を有する5-HT2Cアゴニストとしての、或る置換された四環式のピリド[4,3-b]インドールに関する。5-HT2A受容体でのアゴニスト応答は幻覚誘発活性の原因となる一次活性であって、5-HT2C受容体の関連も多少は考えられると報告されている[Psychopharmacology,Vol. 121: 357, 1995](非特許文献4)。
【0006】
米国特許第5,561,150号(特許文献18)は、5-HT2C受容体及び5-HT2A受容体に選択的な親和性を有する置換された2-(ベンゾ[g]インダゾール-1-イル)-1-エチルアミン及び2-(4H-インデノ[1,2-c]ピラゾール-1-イル)-1-エチルアミンに関する。更に、これらの化合物は治療上重要な或る中枢神経系疾患に関する効用を有すると述べられている。
【0007】
米国特許第5,646,173号(特許文献19)は、CNS疾病の治療のための5-HT2Cアゴニストであると確認された或る三環式のピラゾール誘導体化合物に関し、そして主に脳内に入り込む可能性が高い親油性の類似体に関する。同様に、国際公開第98/56768号(特許文献20)は、CNS疾病の治療のための三環式の5-HT2Cアゴニストを述べている。
【0008】
前述した全ての特許、特許出願及び刊行物はそれらの引用により全体が本明細書に編入され、本出願の一部を形成する。
【0009】
5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)は血液脳関門を通過せず、そして脳内に入り込まない。しかしながら、脳内セロトニン濃度を高めるために、5-ヒドロキシトリプトファンの投与を採用することができる。5-ヒドロキシトリプトファンは脳内に容易に輸送され、そして脳内に入ると5-ヒドロキシトリプトファンは速やかに脱カルボキシル化されて、セロトニンとなる。緑内障の治療はCNSに入り込まない化合物を用いることが好ましいので、比較的極性の化合物であって、その構造にセロトニンのフェノール性ヒドロキシル基に匹敵すると考えられるフェノール性ヒドロキシル基を導入した5-HT2アゴニスト化合物が特に関心を持たれている。
【0010】
従って、前記の欠点を回避し、例えば眼内圧を低下させ及び緑内障を治療する際に高い化学的安定性と所望の長さの治療活性が得られる化合物が提供される必要性がある。
【特許文献1】国際公開第98/18458号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0771563号A2
【特許文献3】国際公開第92/0338号
【特許文献4】国際公開第97/35579号
【特許文献5】米国特許第5,578,612号
【特許文献6】PCT/US99/19888
【特許文献7】米国特許第5,494,928号
【特許文献8】米国特許第5,571,833号
【特許文献9】米国特許第5,874,477号
【特許文献10】米国特許第5,902,815号
【特許文献11】国際公開第98/31354号
【特許文献12】国際公開第00/12475号
【特許文献13】国際公開第00/12510号
【特許文献14】国際公開第00/44753
【特許文献15】国際公開第00/35922号
【特許文献16】国際公開第00/77002号
【特許文献17】国際公開第00/77010号
【特許文献18】米国特許第5,561,150号
【特許文献19】米国特許第5,646,173号
【特許文献20】国際公開第98/56768号
【非特許文献1】Ophthalmologica,Vol. 210: 308-314, 1996
【非特許文献2】Current Eye Research, Vol.16(8): 769-775, August 1997
【非特許文献3】IVOS, Vol.39(4), S 488, March,1998
【非特許文献4】Psychopharmacology,Vol. 121: 357, 1995
【発明の開示】
【0011】
(発明の概要)
本発明の特徴は、好ましくは5-HT2アゴニストである新規化合物を提供することである。
【0012】
本発明の特徴は、化学的安定性が高く、かつ正常な又は上昇した眼内圧の低下及び調節並びに/或いは緑内障の治療において有用な化合物を提供することである。
【0013】
本発明の他の特徴は、正常な又は上昇した眼内圧の低下及び調節並びに/或いは緑内障の治療において所望の水準の治療活性が得られる化合物を提供することである。
【0014】
本発明の別の特徴は、哺乳動物、特にヒトにおけるセロトニン受容体への結合及び/又はの活性化に有用な化合物を提供することである。
【0015】
本発明の更なる特徴及び利点は、一部は以下の説明に記載され、一部はその説明から明らかになるか、又は本発明の実施により知得可能である。本発明の目的及び他の利点は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲で特に指摘される構成及び組合せによって実現され達成される。
【0016】
これら及びその他の利点を実現するために、また本発明の目的に従えば、本明細書に具体的に例示されかつ広範に説明されるごとく、本発明は、以下に記載の式I:
【0017】
【化1】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対してR1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択され、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
を有する化合物、及び式Iの化合物の医薬的に許容される塩及び溶媒和物を含有する組成物を、有効量投与することによって、正常な又は上昇した眼内圧を低下及び/又は調節するための方法に関する。
【0018】
本発明の好ましい態様では、R3又はR4の少なくとも一つはアルキル基、例えばC1-3アルキルであり、R5は水素、F又はOR7であり、ここでR7はC1-3アルキルである。好ましくは、R3又はR4の少なくとも一つはメチル基であり、かつR5はOR7であり、その際、R7はC1-3アルキルである。最も好ましくは、前記化合物はRエナンチオマーであり、式中のR1、R2は水素であり、R3はメチル基であり、かつR5はOR7であり、ここでR7はメチルである。
【0019】
また本発明は、前記式Iを有する化合物を含有する組成物を、有効量投与すること含む緑内障の治療方法に関する。
【0020】
更に本発明は、少なくとも一の式Iの化合物を含有する医薬組成物の使用に関する。
【0021】
更に本発明は、式I:
【0022】
【化2】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対してR1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択され、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示される化合物、及び式Iの化合物の医薬的に許容される塩及び溶媒和物に関する。
【0023】
上述の一般的な記載と以下の詳細な説明の両者は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の更なる説明の提示を意図したものであることを理解しなければならない。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、有用な種々の本発明化合物に関する。これらの化合物は、一般に以下の式I:
【0025】
【化3】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対してR1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択さ、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示され、また式Iの化合物の医薬的に受容可能な塩及び溶媒和物を含む。
【0026】
好ましい化合物は以下のとおりである:
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン
2-(8-フルオロ-5-メトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1,2-ジメチル-エチルアミン
又は上記の好ましい化合物の医薬的に許容される塩及び溶媒和物。
【0027】
最も好ましい化合物は以下のとおりである:
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
又は上記の好ましい化合物の医薬的に許容される塩及び溶媒和物。
【0028】
式Iの化合物は1つ以上のキラル中心を含有することができると認識される。本発明には、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物が意図されている。
【0029】
前記の定義において、置換基中の炭素原子の総数はCi-jというプレフィックス(prefix)によって示され、ここで数i及びjは炭素原子数を規定する。この定義には、直鎖状、分枝鎖状及び環状のアルキル基又は(環状アルキル)アルキル基が含まれる。置換基は、指定の構造単位に組み込まれた場合に単独又は複数で存在してよい。例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味するハロゲンが置換基であるならば、それが結合した構造単位は1つ以上のハロゲン原子で置換され、それらハロゲン原子は同一でも異なってもよいことが示される。
【0030】
前記の式中で、アルキル基は直鎖状、分枝鎖状又は環状その他であってよい。ハロゲンは、例えばCl、Br、F又はIである。アルコキシは、酸素原子を介して結合されたアルキル基として理解される。
【0031】
以下の実施例は、本発明の対象である化合物の製造を説明するために提示されるが、特許請求の範囲に対する何らかの制限事項を包含するものと解釈されるべきではない。実施例の各化合物のプロトン磁気共鳴スペクトルは帰属した構造と一致した。
【0032】
合成
式Iの化合物の合成方法を以下の実施例により説明する。実施例では、以下の標準的な略語を使用するg=グラム(mg=ミリグラム);mol=モル(mmol=ミリモル);mL=ミリリットル;mmHg=ミリメートル水銀;mp=融点;bp=沸点;h=時間;min=分。更に、"NMR"は核磁気共鳴分光法を示し、そして"MS"は質量分析を示す。
【実施例1】
【0033】
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩(化合物A)の合成
【0034】
【化4】

【0035】
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩
2-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシ-フェニル)エタノール
(2,5-ジメトキシ-フェニル)-酢酸(3.00g、15.29mmol)を30mlの酢酸中に溶解させ、そして0℃に冷却した。この溶液に臭素(2.44g、15.33mmol)を添加し、該反応混合物を室温で一晩撹拌し、そして減圧下に濃縮し、固体残留物を冷ヘキサンで洗浄し、そして一晩乾燥させた。残留物をTHF中に溶解させ、そして0℃に冷却した。LAH(THF中の1.0Mの20ml)をゆっくり添加し、次いで該反応混合物を0℃で2時間撹拌した。酢酸エチル及び0.10Mの塩化水素の水溶液を慎重に添加して過剰のLAHを分解した。有機層を分離し、乾燥(MgSO4)させ、そして減圧下に濃縮して油状物(3.1g)が得られ、ゆっくりと固化した。MS(m/z)278(M+NH4)+. 1HNMR(CDCl3): δppm2.86(m, 2H), 378-3.84(2s+m, 8H), 6.77(s, 1H), 7.04(s, 1H)。
【0036】
1-ブロモ-2,5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)ベンゼン
ジメトキシメタン(30ml)中に2-(4-ブロモ-2,5-ジメトキシ-フェニル)-エタノール(3.00g、11.49mmol)を攪拌した溶液に、臭化リチウム(1.00g、11.51mmol)を添加し、引き続きp-トルエンスルホン酸一水和物(0.10g、0.53mmol)を添加した。該反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで水と酢酸エチル(1/1)の間に分配させた。有機層を分離し、乾燥(MgSO4)させ、そして濃縮することで、油状物が得られ、これをコンビフラッシュ(combi-flash)カラム、及びヘキサンと酢酸エチルの勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。MS(m/z)322(M+NH4)+. 1HNMR(CDCl3): δppm2.91(m, 2H), 3.34(s, 3H), 3.75(m, 2H), 3.81(s, 3H), 3.89(s, 3H), 4.65(s, 2H), 6.84(s, 1H), 7.06(s, 1H)。
【0037】
2,5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)ベンズアルデヒド
丸底フラスコ中で、1-ブロモ-2, 5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)-ベンゼン(0.55g 18.02mmol)を30mLの無水THF中に溶解させた。該反応混合物を、無水の冷アセトン浴を用いて-78℃に冷却し、そして10分間撹拌した。n-BuLi(ヘキサン中2.5Mの溶液を0.86mL)溶液を添加し、そして該反応混合物を更に30分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(0.26g 36.06mmol)を添加し、次いでその温度をゆっくりと室温にまで温め、そして30分間撹拌した。該反応混合物を水で希釈し、そして有機物質を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥(MgSO4)させ、そして真空中で留去させた。粗製物質をヘキサンと酢酸エチルを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーを行うことによって精製し、無色の油状物を56%の収率で得た。MS(m/z)255(M+1)+. 1HNMR(CDCl3): δppm2.96(m, 2H), 3.32(m, 3H), 3.75(m, 2H), 3.79(s, 3H), 4.13(s, 3H), 4.63(s, 2H), 6.98(s, 1H), 7.26(s, 1H), 10.40(s, 1H)。
【0038】
1,4-ジメトキシ-2-(2-メトキシメトキシ-エチル)-5-(2-ニトロプロペニル)-ベンゼン
ニトロエタン(10mL)中の2,5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)-ベンズアルデヒド(3.00g 11.80mmol)及び酢酸アンモニウム(0.91g 11.80mmol)の混合物を70℃で2時間撹拌した。該反応混合物を室温にまで冷却した後に、溶剤を真空除去した。油状残留物をヘキサンと酢酸エチルの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.9gの黄色の油状物が得られた。MS(m/z)211. 1HNMR(CDCl3): δppm2.40(s, 3H), 2.95(m, 2H), 3.31(s, 3H), 3.75(m, 2H), 3.78(s, 3H), 3.83(s, 3H), 4.63(s, 2H), 6.77(s, 1H), 6.83(s, 1H), 8.25(s, 1H)。
【0039】
2-[2,5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)フェニル]-1-メチル-エチルアミン
10mLの無水THF中の、1,4-ジメトキシ-2-(2-メトキシメトキシ-エチル)-5-(2-ニトロプロペニル)-ベンゼン(0.83g 2.67mmol)の冷溶液(氷浴)にTHF中の1MのLAHの溶液(10.67mL 10.67mmol)を滴加した。該反応混合物を室温にまで温め、そして一晩撹拌した。0.4mLの水、0.4mLの15%NaOH、そして1.2mLの水を慎重に添加して過剰の水素化アルミニウムリチウムを分解した。該反応混合物を50mLのエチルエーテルで希釈した。その不均一溶液を5分間撹拌し、次いで濾過し、そして沈殿物をエチルエーテルで洗浄した。合わせた濾液を乾燥(MgSO4)させ、そして減圧下に濃縮することで、固体が得られた。MS(m/z)284(M+1)+. 1HNMR(CDCl3): δppm1.03(d, 3H), 2.46(m, 1H), 2.65(m, 2H), 2.83(m, 2H), 3.25(m, 3H), 3.65-3.75(m, 9H), 4.56(s, 2H), 6.59(s, 1H), 6.66(s, 1H)。
【0040】
N-{2-[2,5-ジメトキシ-4-(2-(メトキシメトキシ-エチル)フェニル]-1-メチル-エチル}-2,2,2-トリフルオロアセトアミド
トリエチルアミン(64μl、0.46mmol)をメタノール(5mL)中の2-[2,5-ジメトキシ-4-(2-メトキシメトキシ-エチル)-フェニル]-1-メチル-エチルアミン(0.1g 0.35mmol)の溶液に添加した。5分後に、トリフルオロ酢酸エチルを添加し、そして該反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶剤を真空除去した。残留物をヘキサンで洗浄し、そして乾燥(MgSO4)させることで、白色の固体が得られた。MS(m/z)397(M+NH4+)+. 1HNMR(CDCl3): δppm1.25(d, 3H), 2.80(m, 2H), 2.90(m, 2H), 3.29(s, 3H), 3.65-3.75(m, 8H), 4.10(m, 1H), 4.61(s, 2H), 6.61(s, 1H), 6.77(s, 1H), 7.26(1H, NH)。
【0041】
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩
5mLのアセトニトリル中のN-{2-[2,5-ジメトキシ-4-(2-(メトキシメトキシ-エチル)-フェニル]-1-メチル-エチル}-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(0.20g、5.27mmol)の溶液に、窒素下で2滴のトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルを添加した。該反応混合物を緩徐に還流しながら4時間加熱し、次いで室温に冷却した。揮発成分を減圧下に留去させることで、N-[2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチル]-2,2,2-トリフルオロアセトアミドが得られた。これを2mLのメタノールに溶解させ、そして0℃に冷却した。この冷溶液に2mLの2N NaOH水溶液を添加した。該反応混合物を室温にまで温め、そして一晩撹拌した。該反応混合物を減圧下に濃縮し、そして10mlの水で希釈した。有機物質をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥(MgSO4)させ、揮発成分を減圧下に除去し、そして残留物を無水エチルエーテル(40mL)中に希釈した。この溶液に、更に沈殿が生じなくなるまでエチルエーテル中の1.0M塩化水素溶液を添加した。形成された固体(0.1g)を濾過により回収した。MS(m/z)252(M+1)+. 1HNMR(D2O): δppm1.28(d, 3H), 2.71(m, 2H), 2.95(m, 2H), 3.65(m, 1H), 3.71(s, 3H), 3.98(s, 3H), 4.00(m, 2H), 4.82(s, 2H), 6.81(s, 1H)。C14H22NO3Cl+0.4H2O+0.1CH2Cl2についてのCHN分析)。計算値C55.80, H7.64, N4.60; 実測値C55.80, H7.38, N4.64。
【実施例2】
【0042】
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩の(+)エナンチオマー及び(-)エナンチオマー(化合物B及びC)の合成
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩の(+)エナンチオマー及び(-)エナンチオマーを、上記で製造されたラセミ体のN-[2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチル]-2,2,2-トリフルオロアセトアミドのHPLC分割によってキラルパックを用い、溶出剤(ヘキサン/EtOH(95/5))で製造した。これらの2種のエナンチオマーは99%eeであった。トリフルオロアセトアミド基の加水分解と、遊離アミンの対応する塩酸塩への変換とは前記の概略と同様に実施した。
【0043】
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩(化合物B)
MS(m/z)251(M+1)+. 1HNMR(DMSO, d6): δppm1.13(d, 3H), 2.50(m, 2H), 2.51(m, 1H), 2.56(m, 1H), 3.50(m, 1H), 3.61(s, 3H), 3.82(s, 3H), 3.84(m, 2H), 4.66(s, 2H), 6.71(s, 1H), 8.08(s, 3H, NH3+), [α]405=-7.55, %C=エタノール中0.649。C14H22NO3ClについてのCHN分析。計算値C58.43, H7.71, N4.87; 実測値C58.04, H7.73, N4.77。
【0044】
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン塩酸塩(化合物C)
MS(m/z)251(M+1)+. 1HNMR(DMSO, d6): 1HNMR(DMSO, d6): δppm1.13(d, 3H), 2.56(m, 2H), 2.69(m, 1H), 2.93(m, 1H), 3.50(m, 1H), 3.61(s, 3H), 3.82(s, 3H), 3.84(m, 2H), 4.66(s, 2H), 6.81(s, 1H), 8.08(s, 3H, NH3+). [α]405=+8.35, %C=エタノール中0.503. C14H22NO3Cl+0.2H2OについてのCHN分析。計算値C57.71, H7.75, N4.81; 実測値C57.74, H7.63, N4.74。
【実施例3】
【0045】
【表1】

【実施例4】
【0046】
【表2】

【実施例5】
【0047】
【表3】

【実施例6】
【0048】
【表4】

【0049】
本発明の式Iの化合物は、眼内送達(例えば局所的、嚢内的、又は埋植を介して)のための種々の型の眼科用製剤に配合することができる。該化合物は、好ましくは眼内送達のための局所的な眼科用製剤に配合される。該化合物を、眼科学的に許容される保存剤、増粘剤、浸透性向上剤、緩衝液、塩化ナトリウム及び水と組み合わせて、無菌の眼科用水性懸濁液又は水溶液を作製することができる。眼科用溶液製剤は、化合物を生理学的に許容される等張水性緩衝液中に溶解させることによって製造できる。更に、眼科用溶液は、化合物の溶解を補助する眼科学的に受容可能な界面活性剤を含んでよい。更に、該眼科用溶液は、粘度を高める薬剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンその他を含み、結膜嚢中の該製剤の滞留を改善することができる。ゲル化剤、例えば制限されないが、ゲランガム及びキサンタンガムを使用してもよい。滅菌の眼科用軟膏製剤を製造するために、有効成分と保存剤とを、好適な賦形剤、例えば鉱油、液状ラノリン又は白色ワセリン中で結合させる。無菌の眼科用ゲル製剤は、類似の眼科用調剤に関する公表された処方に従って、例えばカルボポール-974その他の組合せから製造された親水性基材中に有効成分を懸濁することによって製造でき、これには保存剤及び張度調節剤が配合されてよい。
【0050】
該化合物は、好ましくは局所的眼科用懸濁液又は溶液として約5〜8のpHで配合される。該化合物はこれらの製剤中に通常は、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.25重量%〜2重量%の量で含まれていてよい。従って、局所送達には、これらの製剤1〜2滴を眼の表面に一日1〜4回、熟練した臨床医の判断のもとで送達する。
【0051】
また該化合物を、緑内障治療用の他の薬剤、例えば制限されないがβ-遮断薬(例えばチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、プロプラノロール)、炭酸脱水素酵素阻害剤(例えばブリンゾラミド及びドルゾラミド)、α1アンタゴニスト(例えばニプラドロール)、α2アゴニスト(例えばアイオピジン及びブリモニジン)、縮瞳薬(例えばピロカルピン及びエピネフリン)、プロスタグランジン類似体(例えばラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン及び米国特許第5,889,052号、同第5,296,504号、同第5,422,368号及び同第5,151,444号に示される化合物)、"降圧性脂質"(例えばビマトプロスト及び米国特許第5,352,708号に示される化合物)及び神経保護剤(例えば米国特許第4,690,931号による化合物)、特に公開(commonly assigned)WO01/85152号に示されるエリプロディル及びR-エリプロディル及びWO94/13275号による好適な化合物、例えばメマンチンと組み合わせて使用してもよい。前記の特許、出願及び文献の全ては、それらの参照により全体が本明細書に編入される。
【0052】
本発明の化合物は、好ましくは5-HT2アゴニストとして機能し、そして好ましくはCNSに入り込まない。5-HT2アゴニストの能力を有する化合物は、特許出願の国際公開第WO00/16761号に示されるようにIOPの調節並びに緑内障の治療のために有益である、そしてこの参照により全体が本明細書に組み入れられる。
【0053】
本発明の化合物によって、好ましくは増加した化学的安定性が得られ、かつ、好ましくはIOPの低下又は調節を含む所望の水準の治療活性が達成される。
【0054】
本発明の化合物は、ヒトを含む温血動物においてIOPを調節又は低下させるにあたって使用できる。好ましくは、有効量の化合物を、IOPが受容可能な水準にまで調節又は低下されるように患者に投与する。更に本発明の化合物を使用して、有効量の化合物をかかる治療を必要とする患者に投与して緑内障を治療することによってヒトを含む温血動物における緑内障を治療することができる。
【0055】
方法1
5-HT2受容体結合アッセイ
5-HT2受容体でのセロトニン作動性化合物の親和性を調べるために、アゴニストとしての放射性リガンド[125I]DOIが脳の5-HT2受容体への結合に競合する能力を、以下に記載されるように文献の手法[Neuropharmacology,26, 1803 (1987)]に若干の変更を加えて測定した。50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)中に分散された死後のラット又はヒトの大脳皮質ホモジネート(400μL)の分割量を[125I]DOI(80pM最終)と一緒にメチオテピン(10μM最終)の存在下又は不存在下にインキュベートし、0.5mlの全容量で総結合と非特異的結合を決定した。そのアッセイ混合物をポリプロピレン管中で23℃で1時間インキュベートし、そして0.3%のポリエチレンイミン中に事前に浸漬したワットマンGF/Bガラス繊維濾紙を介して氷冷緩衝液を用いて迅速な真空濾過を行うことによってアッセイを停止させた。試験化合物(種々の濃度)をメチオテピンと置き換えた。濾紙に結合した放射活性をベータカウンターにおいてシンチレーション分光法によって測定した。それらのデータを非線形の反復型曲線に適合するコンピュータプログラム[Trends Pharmacol.Sci., 16, 413 (1995)]を用いて分析し、化合物の親和性パラメータを決定した。[125I]DOI結合を最大値の50%だけ阻害するのに必要な化合物の濃度をIC50値又はKi値と呼ぶ。
【0056】
方法2
5-HT2機能的アッセイ:[Ca2+]i動態
受容体依存性の細胞内カルシウム([Ca2+]i)についての動態を、蛍光測定画像解析用プレートリーダー(FLIPR)機器を用いて検討した。ラットの血管平滑筋細胞、A7r5をDMEM/10%FBS及び10μg/mLの標準培地中で増殖させた。集密した細胞単層をトリプシン処理し、ペレット化させ、そして標準培地中に再懸濁させた。これらの細胞を50μL容量で黒壁の96ウェル組織培養プレートにおいて20,000細胞/ウェルの密度で播種し、そして2日間増殖させた。
【0057】
試験当日に、FLIPRカルシウムアッセイキットの色素の1バイアルを、ハンクス平衡溶液(HBSS)、20mMのHEPES及び2.5mMのプロベネシドからなる50mLのFLIPR緩衝液、pH7.4中に再懸濁した。カルシウム感受性色素の等量(50μL)を96ウェルプレートの各ウェルに添加してこれらの細胞に該色素を負荷し、そして色素と一緒に23℃で1時間インキュベートした。
【0058】
一般に、試験化合物は、50% DMSO / 50% エタノール溶剤中に25μMで貯蔵した。試験化合物は20% DMSO/20% エタノール中で1:50に希釈した。"絞り込み(hit)"スクリーニングのために、試験化合物を更にFLIPR緩衝液中で1:10に希釈し、そして最終濃度10μMで試験した。用量応答試験のために、試験化合物をFLIPR緩衝液中で1:50に希釈し、そして1:10で連続希釈することで、5点又は8点の用量応答曲線が得られた。
【0059】
化合物プレートと細胞プレートをFLIPR機器に載置した。試験実施の開始時に、信号試験を実施して、色素負荷された細胞からの基底蛍光信号を確認し、かつプレート全体の信号の均一性を確認した。基底蛍光を、露光時間、カメラの絞り値又はレーザ出力を変更することにより8000-12000カウントに調節した。典型的なアッセイのための機器設定は以下のとおりであった:レーザ出力0.3-0.6W、カメラ絞り値 F/2、そして露光時間 0.4秒。試験化合物の分割量(25μL)を既存の100μLの色素負荷された細胞に分配速度50μL/秒で添加した。蛍光データを実時間で最初の60秒間は1.0秒の間隔で、そして更なる120秒間は6.0秒の間隔で収集した。応答をピーク蛍光強度から基底蛍光強度を引いたものとして測定し、そして適宜、5HT誘導性の応答の最大値の割合として表した。該化合物を10μMの5-HTに対するアンタゴニストとして試験する場合には、これらの化合物を細胞と一緒に15分間インキュベートしてから5-HTを添加した。
前記の手法を用いることで、第1表に示されるデータを作成した。
【0060】
第1表
5-HT2受容体の結合と機能のデータ
【0061】
【表5】

【0062】
方法3
意識のあるカニクイザルのレーザ照射された(高眼圧の)眼における急性IOP応答
眼内圧(IOP)は、0.1%のプロパラカインで軽い角膜麻酔をした後にAlcon社の空気眼圧計(Pneumatonometer)で測定できる。各測定後に両眼を生理食塩水で洗浄する。基底IOP測定を行った後に、試験化合物を9匹のカニクイザルの右目だけに30μLの一分割量にて点眼した。6匹の更なる動物の右目には賦形剤(vehicle)を点眼した。引き続き1時間、3時間及び6時間の時点でIOP測定を行う。
【0063】
化合物Bの5-HT2アゴニストは、300μgを一回局所点眼した後にレーザ照射されたサルにおいて、1時間、3時間、そして6時間の時点で、レーザ照射されたサルの眼のIOPを15.8%(6.8mmHg)、28.5%(12.5mmHg)、そして21.3%(9.6mmHg)だけ有意に低下させた。
【0064】
本発明の他の実施態様は、本明細書及び本明細書に開示の本発明実施を検討すれば当業者には明らかである。本明細書及び実施例は単なる例示と見なすべきであり、本発明の真の範囲及び要旨は以下の特許請求の範囲及びそれに均等の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑内障の治療方法であって、患者に、式I:
【化1】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対してR1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択され、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示される少なくとも一の化合物、又はその医薬的に許容される塩及び溶媒和物を含む組成物を、医薬的に有効な量投与することを含む方法。
【請求項2】
R1及びR2が水素であり、
R3がC1-3アルキルであり、
R5が水素、F又はOR7から選択され;かつ
R7がC1-3アルキルである、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物が、
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン
2-(8-フルオロ-5-メトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1,2-ジメチル-エチルアミン
及びそれらの医薬的に許容される塩及び溶媒和物:
からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
正常な又は上昇した眼内圧を調節する方法であって、患者に、式I:
【化2】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対して、R1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択さ、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示される少なくとも一の化合物、又はその医薬的に許容される塩及び溶媒和物を含有する組成物を、医薬的に有効な量投与することを含む方法。
【請求項5】
R1及びR2が水素であり、
R3がC1-3アルキルであり、
R5が水素、F又はOR7から選択され;かつ
R7がC1-3アルキルである、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
化合物が、
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(8-フルオロ-5-メトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1,2-ジメチル-エチルアミン;
及びそれらの医薬的に許容される塩及び溶媒和物:
からなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物においてセロトニン受容体を結合又は活性化する方法であって、哺乳動物に、式I:
【化3】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対して、R1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択され、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示される少なくとも一の化合物、又はその医薬的に許容される塩及び溶媒和物を含有する組成物を、有効な量投与することを含む方法。
【請求項8】
R1及びR2が水素であり;
R3がC1-3アルキルであり;
R5が水素、F又はOR7から選択され;かつ
R7がC1-6アルキルである;
請求項7記載の方法。
【請求項9】
化合物が、
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(8-フルオロ-5-メトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1,2-ジメチル-エチルアミン;
及びそれらの医薬的に許容される塩及び溶媒和物:
からなる群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
式I:
【化4】

式中
R1、R2、R3は独立に、水素又はC1-3アルキルから選択され;
R4はR1又はOR1から選択され;
R5は水素、F、Cl、OCONR1R2、OCOC1-3アルキル又はOR7から選択され;
R6はOR7、OCONR1R2、OCOC1-3アルキルから選択され;
R7は水素、C2-4アルキルCONR1R2、C2-4アルキルNR1R2、C2-4アルキルCO2H、C2-4アルキルCO2C2-4アルキル、C1-3アルキルから選択され;ここで、R4、R5、R6及びR7に対して、R1及びR2は前記の定義どおりであり;かつ
X及びYは独立にC又はOから選択され、X又はYの一方がOであれば、他方はCである;
で示される化合物、又は式Iの化合物の医薬的に許容される塩及び溶媒和物。
【請求項11】
化合物が、
(+/-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(+)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
(-)2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-2-メトキシ-1-メチル-エチルアミン;
2-(8-フルオロ-5-メトキシ-イソクロマン-7-イル)-1-メチル-エチルアミン;及び
2-(5,8-ジメトキシ-イソクロマン-7-イル)-1,2-ジメチル-エチルアミン;
からなる群から選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
請求項10記載の化合物及び少なくとも一の賦形剤を含有する医薬組成物。

【公表番号】特表2006−511556(P2006−511556A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560859(P2004−560859)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/039751
【国際公開番号】WO2004/054572
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】