説明

新規オリゴヌクレオチドプライマー及びそれを用いた点突然変異の検出方法

【課題】現在知られている全てのクラリスロマイシン耐性ピロリ菌を、迅速かつ簡便にしかも高感度で検出する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異の検査に用いられるオリゴヌクレオチドプライマー及びそれを用いたヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリコバクターピロリ菌(以下、「ピロリ菌 」ということがある)の点突然変異の検査に用いられるオリゴヌクレオチドプライマー及びそれを用いたヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法及び検査キットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃・十二指腸潰瘍の起因菌とされ、近年胃癌との関連性も指摘されてきている。潰瘍の疑いがある場合、呼気試験、血中または便中ピロリ菌抗体検査等、を行った結果、ピロリ菌感染の可能性がある場合、さらに内視鏡検査において胃生検を行い、ピロリ菌の存在を迅速ウレアーゼ試験あるいは培養法によって確かめられる。
内視鏡検査においてピロリ菌の存在が確認された場合、除菌療法等の処置が行なわれる。ピロリ菌の除菌療法としては、プロトンポンプ阻害剤とアモキシシリンとクラリスロマイシンの3剤併用療法が有効とされ、本邦においては、西暦2000年より保険診療として広く実施されている。しかしながら、近年クラリスロマイシン耐性ピロリ菌(以下CAM耐性菌と称する)の出現が報告され、ピロリ菌除菌成功率の低下の大きな要因の一つとして挙げられるようになってきている。
クラリスロマイシンは、ピロリ菌の23SrRNAのペプチジルトランスフェラーゼループに結合し、そのタンパク質合成を阻害することによって作用を発揮する。しかしながら、23SrRNA遺伝子の点突然変異によってピロリ菌はクラリスロマイシン耐性能を取得することが明らかにされている(非特許文献1)。この点について、CAM耐性菌の93%は、前記の領域にある2142位あるいは2143位のアデニンがグアニンに変異しており(A2142GまたはA2143G)、CAM耐性菌の7%は、2142位がシトシンに変異している(A2142C)ことが報告されている(非特許文献2)。
CAM耐性菌の検出方法としては、A2142GとA2143Gに関しては、変異領域を含むPCR増幅産物をBsaIとMboIIの2つの制限酵素を用いてRFLPとして検出するという簡便な方法が存在する(非特許文献3)。しかしながら、この方法では、A2142Cに関しては検出することができず、しかもPCR増幅後、制限酵素処理、電気泳動を行なうなど検出工程も煩雑であることから、全てのCAM耐性菌を、迅速かつ簡便にしかも高感度で検出する方法が望まれている。
ピロリ菌の変異遺伝子を検出する方法は上記文献以外にも報告されている(非特許文献4、非特許文献5、特許文献1、特許文献2)。
非特許文献4には、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドを用いて増幅された核酸断片に対し、野生型検出用、A2142G点突然変異検出用、A2143G点突然変異検出用から選ばれる各1対の標識オリゴヌクレオチドプローブを添加後、融解曲線を用いて解析することによって点突然変異を検出する方法が記載されている。
非特許文献5には、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドを用いて増幅された核酸断片に対し、1対の標識オリゴヌクレオチドプローブを添加後、融解曲線を用いて解析することによって点突然変異を検出する方法が記載されている。
特許文献1の方法では、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子を特異的に増幅することができるオリゴヌクレオチドを用いて増幅後、制限酵素により増幅産物を処理し、切断断片長を電気泳動等の手段を用いて検出することによって、変異遺伝子を検出する方法が記載されている。本方法はPCR-RFLP法による変異遺伝子の検出であり特異性・感度に優れるが、制限酵素処理を行なう必要がある。このため検出工程が増えると共に、検出時間も長くなり、多数の試料を処理する上では、改良が必要である。
特許文献2の方法では、ピロリ菌の変異箇所を含む領域を増幅するための第一の核酸増幅法を実施し、次いで、少なくとも、野生型ピロリ菌、第2142位のアデニンがグアニンに変異したピロリ菌、第2142位のアデニンがシトシンに変異したピロリ菌および第2143位のアデニンがグアニンに変異したピロリ菌に由来する第一の核酸増幅法の実施により増幅される増幅産物を鋳型とし、各々の鋳型に対して特異的に伸長するように3'末端が設計され、かつ、5'末端に異なる蛍光色を発する物質を各々にラベルした4種類の異なる塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをリバース側プライマーを同時に用いて少なくとも第2142位と第2143位を含む190bp〜210bpの断片を増幅するための第二の核酸増幅法を実施し、第二の核酸増幅法の実施により増幅される増幅産物が発する蛍光色を検出することが記載されている。本方法は、予めピロリ菌の遺伝子を特異的に増幅させた後、変異核酸配列を認識するオリゴヌクレオチドを用いて伸張反応を行なうため特異性に優れ、かつ蛍光検出を行なうことから、感度も高い方法である。しかしながら、変異遺伝子の検出には遺伝子増幅反応を行なった後、再度伸張反応を行なうため、時間を要する他に、試料間のコンタミネーションの危険性が高い。
【特許文献1】特開平10-286099
【特許文献2】特開2001-321197
【非特許文献1】James versalovic et. al. Antimicrobial Agents and Chemotherapy p477-480 1996
【非特許文献2】Stone,G.G.ら., Antimicrobial Agents & Chemotherapy. 41(3):712-4, 1997
【非特許文献3】Szczebara,F.ら., European Journal of Clinical Microbiology & Infectious Diseases. 16(2):162-4, 1997
【非特許文献4】Journal of Clinical Microbiology vol.39 p691-695,2001
【非特許文献5】Journal of Clinical Microbiology vol.41 p397-402,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、現在知られている全てのクラリスロマイシン耐性ピロリ菌を、迅速かつ簡便にしかも高感度で検出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記の点に鑑み、種々の検討を行った結果、胃生検組織あるいは糞便等より抽出されたDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼおよびヘリコバクターピロリ23SrRNA遺伝子を特異的に増幅させるオリゴヌクレオチドを用いることによって、全てのCAM耐性菌を迅速、簡便かつ高感度に検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明は、ヘリコバクターピロリ菌(以下、「ピロリ菌 」ということがある)の点突然変異の検査に用いられるオリゴヌクレオチドプライマー及びそれを用いたヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法及び検査キットを提供するものである。
1. 配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドまたは配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとすることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を検出するオリゴヌクレオチドプライマーセット。
2. 配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとすることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を検出するオリゴヌクレオチドプライマーセット。
3. 項1または2記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットと、点突然変異部位に実質的に相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
4. オリゴヌクレオチドプローブが標識されているか、または水不溶性担体に固定されていることを特徴とする項3記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
5. 標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである項3または4記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
6. 配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
7. 配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
8. 項6または7記載の3´末端または3´末端から2番目の塩基が多型部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドの3´末端から3〜5番目の少なくとも1つの塩基が相補的あるいは相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする項6または7記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法
9. 項6〜8記載のオリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法
10. 標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである項6〜9に記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
11. 項1または2記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットと、点突然変異部位に実質的に相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
12. オリゴヌクレオチドプローブが標識されているか、または水不溶性担体に固定されていることを特徴とする項11記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
13. 標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである項11または12記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
14. 配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
15. 配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
16. 項14または15記載の3´末端または3´末端から2番目の塩基が多型部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドの3´末端から3〜5番目の少なくとも1つの塩基が相補的あるいは相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする項14または15記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット
17. 項13〜16記載のオリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
18. 標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである項13〜17記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、核酸増幅法の実施により増幅される増幅産物の存在または増幅された核酸断片長またはその配列を検出することによって、検体となった胃組織を採取された患者がどのようなピロリ菌を保有しているのかを迅速かつ簡便にしかも高感度で判定することが可能となる。従って、本発明のクラリスロマイシン耐性ピロリ菌の検出方法は、ピロリ菌の除菌療法の薬剤選択の決定に極めて有用な手法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のピロリ菌の変異遺伝子の検出方法は、試料中に含まれるDNAを鋳型とし、ピロリ菌の遺伝子配列上に存在する点突然変異を検出する方法において、ヘリコバクターピロリ23SrRNA遺伝子を特異的に増幅させるオリゴヌクレオチドを含んでなる点突然変異検出方法である。本発明に使用されるオリゴヌクレオチドは、これまで報告されているオリゴヌクレオチドより、Tm値が高くかつヘリコバクターピロリ23SrRNA遺伝子配列に対する特異性が高い。
本発明の方法に供される検体は、患者の胃生検組織あるいは糞便である。胃生検組織は、例えば、内視鏡検査時に採取すればよい。
アッセイに用いる試料溶は既知の方法により調製してもよい。代表的なものとして、フェノール/クロロホルム抽出法(Biochimica et Biophysica acta 第72巻、第619〜629頁、1963年)、アルカリSDS法(Nucleic Acid Research 第7巻、第1513〜1523頁、1979年)等の液相で行う方法がある。また、核酸の単離に核酸結合用担体を用いる系としては、ガラス粒子とヨウ化ナトリウム溶液を使用する方法(Proc. Natl. Acad. USA 第76−2巻、第615〜619頁、1979年)、ハイドロキシアパタイトを用いる方法(特開昭63−263093号公報)等がある。その他の方法としてはシリカ粒子とカオトロピックイオンを用いた方法(J. Clinical Microbiology 第28−3巻、第495〜503頁、1990年、特開平2−289596号公報)が挙げられる。
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-basedamplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))LAMP(loop-mediated isothermal amplification method :J Clin Microbiol. 2004 第42巻:第1,956頁)、ICAN(isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids: Kekkaku. 2003 第78巻、第533頁)などが挙げられる。
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のオリゴヌクレオチド及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各オリゴヌクレオチドと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各オリゴヌクレオチドを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれた試料DNAの領域は2n倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
【0007】
ピロリ菌の点突然変異部位に実質的に相同あるいは相補的なオリゴヌクレオチドプローブとしては、点突然変異部位を含み且つ生成物の核酸配列と相同あるいは相補的な塩基配列を備えたオリゴヌクレオチドが広く包含される。
【0008】
プローブは、標識プローブとして好ましく使用される。標識プローブは新たに生成した配列に対してハイブリダイズするように設計されているので、既に存在している核酸の影響を受けることなく、伸長反応により新たに生成した伸長生成物を、効率よく検出することができる。プローブの標識としては、オリゴヌクレオチドプライマーの標識と同様のものが使用され、プライマーとプローブの両方を標識する場合には、異なる標識を好ましく使用できる。
【0009】
蛍光色素で予め標識されたオリゴヌクレオチドプローブと、5´ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを利用したいわゆるTaqmanアッセイであれば、PCR反応と共に一塩基変異(多型)の検出が可能な試料を解析する上では極めて有効な方法である。あるいは、オリゴヌクレオチドプローブを用いた融解曲線解析を行なうことによっても、配列を特定することができる。他の方法としては、得られた核酸断片をSYBR(登録商標)GreenIやエチレンブロマイドなどのインターカレーターを用いて蛍光検出することも可能であり、電気泳動にて増幅断片を検出しても良い。
ピロリ菌の点突然変異部位に実質的に相同あるいは相補的なオリゴヌクレオチドプローブは水不溶性担体に固定されていてもよい。水不溶性担体としては、合成高分子、生体高分子、金属、ガラスなどが例示される。すなわち、水不溶性担体に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブに予め1本鎖にされたPCR産物を添加することにより、担体上にPCR産物が結合される。結合されたPCR産物が予め標識されていれば、その標識を検出することによって、PCR産物の配列を特定することが可能である。
オリゴヌクレオチドプローブは、これらの水溶性担体にアレイ状に配置し、DNAアレイとして用いてもよい。DNAアレイにすることで、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を含めて、網羅的に解析することが可能となる。
【0010】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を検出するためのものである。
【0011】
配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基(好ましくは24〜30塩基、より好ましくは26〜27塩基)を有する配列を含んだオリゴヌクレオチドはフォワード側プライマーとして用いられ、配列番号5〜7からなる群より選ばれる1種類のオリゴヌクレオチドとの組み合わせ、あるいはその3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用い、ヘリコバクターピロリ菌の23SrRNA遺伝子の第2142番目または第2143番目の塩基がアデニンからグアニンに変異している点突然変異検出に用いられる。更に好ましくは、配列番号8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いるのがよい。
【0012】
配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基(好ましくは22〜30塩基、より好ましくは23〜26塩基)を有する配列を含んだオリゴヌクレオチドはフォワード側プライマーとして用いられ、配列番号5〜7からなる群より選ばれる1種類のオリゴヌクレオチドとの組み合わせ、あるいはその3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用い、ヘリコバクターピロリ菌の23SrRNA遺伝子の第2142番目または第2143番目の塩基がアデニンからグアニンに変異している点突然変異検出に用いられる。更に好ましくは、配列番号9に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いるのがよい。
【0013】
配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基(好ましくは24〜30塩基、より好ましくは26〜27塩基)を有する配列を含んだオリゴヌクレオチドはリバース側プライマーとして用いられ、配列番号1〜4からなる群より選ばれる1種類のオリゴヌクレオチドとの組み合わせ、あるいはその3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして用い、ヘリコバクターピロリ菌の23SrRNA遺伝子の第2142番目または第2143番目の塩基がアデニンからグアニンに変異している点突然変異検出に用いられる。更に好ましくは、配列番号10に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを用いるのがよい。
本発明の変異検出用プライマーは、その3’末端または3’末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーあるいはリバースプライマーとしてもよく、例えば配列番号12(2143G検出用のプライマー)および配列番号13(2142G検出用のプライマー)、配列番号14(2142C検出用のプライマー)が例示される。該プライマーは、3’末端から14個以上の連続する塩基を有するものが好ましい。点突然変異部位は、プライマーの3’末端にあってもよいが、3’末端から2番目の塩基が点突然変異部位であるのが好ましい。また、さらに、3’末端から3〜5番目の少なくとも1つの塩基が相補的あるいは相同でない塩基に置換されているのが好ましい。
本発明に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、標識されていてもよい。標識することで検出操作を簡便化できる。標識は、蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質などを用いればよい。例えば、標識が蛍光化学物質または蛍光蛋白質の場合、特定波長の光を照射し蛍光化学物質または蛍光蛋白質を励起させ、基底状態に変換される際に生じる特定波長の蛍光量を測定することが可能である。これらに用いられる蛍光化学物質としては、FITC、FAM、TAMRA、TexasRed、VIC、Cy3、Cy5、HEX等が挙げられ、蛍光蛋白質としては、GFP、YFP、RFP等を挙げることができる。標識が酵素である場合、酵素の基質を添加することによって生成される反応生成物を検出することによって測定が可能である。これらに用いられる酵素と基質の組み合わせとしては、アルカリフォスファターゼとパラニトロフェニルリン酸、CDP-star、AMPPD、DDAOphospate、BCIP-NBT等の組み合わせ、パーオキシダーゼとTMB、Lumi-Light(ロッシュ・ダイアグノスティックス)、SAT-1(同仁化学)等の組み合わせ、ジアホラーゼとNTB等の組み合わせ、各種オキシダーゼと基質、各種デヒドロゲナーゼと基質の組み合わせ等、反応生成物が検出されるものであれば、これらに限定されることはなく用いることが可能である。標識が磁性体の場合、磁気を検出することによって測定が可能である。標識が導電性物質の場合、電流値を検出することによって測定が可能である。
従来の方法と異なり、患者が複数のCAM耐性菌を保有している場合であっても、その判定を迅速かつ簡便にしかも高感度で行うことができる点は、非常に魅力あるものである。
【実施例】
【0014】
ピロリ菌の23SrRNA遺伝子上の点突然変異検出。
(検体の採取)
胃生検材料より遺伝子をQIAamp DNA micro Kit(Qiagen社製)を用いて抽出した。抽出されたDNAはPCRを行うまでは-20℃で保存した。
1μlの抽出されたDNA溶液を鋳型として用い、PCRを実施した。ここで使用したプライマーペアは、フォワード側プライマーが配列番号8に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドで、リバース側プライマーが配列番号11に示されるオリゴヌクレオチドであり、いずれもピロリ菌の23SrRNA遺伝子 (GenBank accession number U27270)の公知の配列から設計した。
PCRは、サーマルサイクラーとしてGeneAmp9700(Applied Biosystems社製.)を使用し、全量を26μlとして実施した。1μlのDNA溶液と試薬混合物(KOD-plus 0.5U、10XPCR緩衝液2.5μl、各々10pmolのデオキシヌクレオチド、各々5μMのプライマー)を混合した。標的DNAの初期変性を94℃で2分間行った後、94℃・15秒の変性工程、60℃・30秒のアニーリング工程、68℃・60秒の伸長工程のサイクルを35回繰り返した。なお、その他のPCR条件は常法通りである(例えば、遺伝子 操作技術マニュアル、医学書院、1995年発行を参照)。得られた核酸断片を制限酵素によって平滑末端切断されたpUC18へライゲーションし、コンピテントセルJM109を用いて形質転換体の取得を行なった。目的核酸断片が挿入された形質転換体をクローニング後、液体培養しプラスミドを抽出した。
【0015】
得られたプラスミドの核酸配列をオートシークエンサーにより解析し、野生型配列を有するプラスミド、点突然変異を有するプラスミドを得た。
点突然変異の検出(2142A→Gの検出)
1μlの抽出されたDNA溶液を鋳型として用い、PCRを実施した。ここで使用したプライマーペアは、フォワード側プライマーが配列番号9に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、リバース側プライマーが配列番号13に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり2142位の点突然変異を特異的に増幅するためのオリゴヌクレオチドであり、いずれもピロリ菌の23SrRNA遺伝子 (GenBank accession number U27270)の公知の配列から設計した。
PCRは、サーマルサイクラーとしてGeneAmp9700(Applied Biosystems社製.)を使用し、全量を26μlとして実施した。1μlのDNA溶液と試薬混合物(KOD-plus 0.4U、10XPCR緩衝液2.5μl、各々10pmolのデオキシヌクレオチド、各々5μMのプライマー)を混合した。標的DNAの初期変性を94℃で2分間行った後、94℃・15秒の変性工程、60℃・30秒のアニーリング工程、68℃・30秒の伸長工程のサイクルを35回繰り返した。なお、その他のPCR条件は常法通りである。
【0016】
以上の操作によって、増幅された増幅産物を電気泳動にて調べたところ、点突然変異を有するプラスミドでは、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子のドメインV領域にある第2142位に変異を有する断片が増幅された。野生型配列を有するプラスミドからは増幅断片を検出することはできなかった。23SrRNA遺伝子における第2142位に変異を有する核酸配列を特異的に検出できることがわかった(図1)。
【0017】
点突然変異の検出(2143A→Gの検出)
フォワード側プライマーが配列番号12に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドで2143位の点突然変異を特異的に増幅するためのオリゴヌクレオチドであり、リバース側プライマーが配列番号10に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、いずれもピロリ菌の23SrRNA遺伝子 (GenBank accession number U27270)の公知の配列から設計した。
【0018】
PCRは、サーマルサイクラーとしてGeneAmp9700(Applied Biosystems社製.)を使用し、全量を26μlとして実施した。1μlのDNA溶液と試薬混合物(KOD-plus 0.5U、10XPCR緩衝液2.5μl、各々10pmolのデオキシヌクレオチド、各々5μMのプライマー)を混合した。標的DNAの初期変性を94℃で2分間行った後、94℃・15秒の変性工程、60℃・30秒のアニーリング工程、68℃・30秒の伸長工程のサイクルを35回繰り返した。なお、その他のPCR条件は常法通りである。
以上の操作によって、増幅された増幅産物を電気泳動にて調べたところ、点突然変異を有するプラスミドでは、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子 のドメインV領域にある少なくとも第2143位に変異を有する断片が増幅された。野生型配列を有するプラスミドからは増幅断片を検出することはできなかった。23SrRNA遺伝子における第2143位に変異を有する核酸配列を特異的に検出できることがわかった(図2)。
点突然変異の検出(2142A→Cの検出)
1μlの抽出されたDNA溶液を鋳型として用い、PCRを実施した。ここで使用したプライマーペアは、フォワード側プライマーが配列表の配列番号9に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり、リバース側プライマーが配列表の配列番号14に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであり2142位の点突然変異を特異的に増幅するためのオリゴヌクレオチドであり、いずれもピロリ菌の23SrRNA遺伝子 (GenBank accession number U27270)の公知の配列から設計した。
PCRは、サーマルサイクラーとしてGeneAmp9700(Applied Biosystems社製.)を使用し、全量を26μlとして実施した。1μlのDNA溶液と試薬混合物(KOD-plus 0.4U、10XPCR緩衝液2.5μl、各々10pmolのデオキシヌクレオチド、各々5μMのプライマー)を混合した。標的DNAの初期変性を94℃で2分間行った後、94℃・15秒の変性工程、60℃・30秒のアニーリング工程、68℃・30秒の伸長工程のサイクルを35回繰り返した。なお、その他のPCR条件は常法通りである。
以上の操作によって、増幅された増幅産物を電気泳動にて調べたところ、点突然変異を有するプラスミドでは、ピロリ菌の23SrRNA遺伝子のドメインV領域にある第2142位に変異を有する断片が増幅された。野生型配列を有するプラスミドからは増幅断片を検出することはできなかった。23SrRNA遺伝子における第2142位に変異を有する核酸配列を特異的に検出できることがわかった(図3)。
【産業上の利用可能性】
【0019】

本発明によれば、核酸増幅法の実施により増幅される増幅産物の存在または増幅された核酸断片長またはその配列を検出することによって、検体となった胃組織を採取された患者がどのようなピロリ菌を保有しているのかを迅速かつ簡便にしかも高感度で判定することが可能となる。従って、本発明のクラリスロマイシン耐性ピロリ菌の検出 方法は、ピロリ菌の除菌療法の薬剤選択の決定に極めて有用な手法となることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】23SrRNA遺伝子における第2142位の変異(2142A→Gの検出)の検出
【図2】23SrRNA遺伝子における第2143位の変異(2143A→Gの検出)の検出
【図3】23SrRNA遺伝子における第2142位の変異(2142A→Cの検出)の検出

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドまたは配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとすることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を検出するオリゴヌクレオチドプライマーセット。
【請求項2】
配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとすることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異を検出するオリゴヌクレオチドプライマーセット。
【請求項3】
請求項1または2記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットと、点突然変異部位に実質的に相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドプローブが標識されているか、または水不溶性担体に固定されていることを特徴とする請求項3記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項5】
標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである請求項3または4記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項6】
配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項7】
配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の3´末端または3´末端から2番目の塩基が多型部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドの3´末端から3〜5番目の少なくとも1つの塩基が相補的あるいは相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項6または7記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法
【請求項9】
請求項6〜8記載のオリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法
【請求項10】
標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである請求項6〜9に記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査方法。
【請求項11】
請求項1または2記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットと、点突然変異部位に実質的に相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドプローブが標識されているか、または水不溶性担体に固定されていることを特徴とする請求項11記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項13】
標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである請求項11または12記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項14】
配列番号1で示される塩基配列の連続する23〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号2で示される塩基配列の連続する20〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号3で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号4で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項15】
配列番号5で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号6で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチド、配列番号7で示される塩基配列の連続する18〜35塩基を有するオリゴヌクレオチドからなる群より選択されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとし、その3´末端または3´末端から2番目の塩基が点突然変異部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして用いて解析する工程を含む、ヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項16】
請求項14または15記載の3´末端または3´末端から2番目の塩基が多型部位と相補的あるいは相同的配列を有するオリゴヌクレオチドの3´末端から3〜5番目の少なくとも1つの塩基が相補的あるいは相同的でない塩基に置換されていることを特徴とする請求項14または15記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット
【請求項17】
請求項13〜16記載のオリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。
【請求項18】
標識が蛍光化学物質、発光団、酵素、蛍光蛋白質、発光蛋白質、磁性体、導電性物質よりなる群から選ばれたいずれかである請求項13〜17記載のヘリコバクターピロリ菌の点突然変異検査キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−271290(P2006−271290A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97053(P2005−97053)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】