説明

新規ジアミン及びこれを用いた新規ポリイミド組成物

【課題】感光基を有する新規なジアミン及びそのジアミンを原料とするポリイミド組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)


(但し、XとYは2価の有機基、Zは、感光基を示す。)からなる感光基を有する新規なジアミンおよび、そのジアミンと酸二無水物を有機極性溶媒中で反応させ、ポリアミド酸とし、熱的にあるいは化学的にイミド化することにより得られる感光基を有するポリイミド1重量%以上含むことを特徴とするポリイミド組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ジアミンとその製造方法及び新規ジアミンを原料として用いた新規ポリイミド組成物とその製造方法に関するものである。詳しくは、ジアミンの構造内に感光基を有し、感光基特有の光反応性及び熱反応性を併せ持つポリマーの原料となる新規なジアミンとそれを用いたポリイミド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
桂皮酸骨格を有するポリマーとしてよく知られているものは、ポリビニルシンナメート(桂皮酸骨格を有するポリビニル)である(Jpn.J.Appl.Phys.,31 (1992),2155やJ.Photopolymer Sci.and Tech.8 (1995),257)。ポリビニルシンナメートは、桂皮酸骨格が光により2量化する反応を利用する有用な感光性樹脂である(J.Appl Polymer Sci.,2,302(1995))。このポリビニルシンナメートはネガ型感光樹脂として利用されている。感光基を高分子内に導入すれば有用な感光性樹脂となりうることが推測されるが、ポリマー用の原料、つまり反応性モノマーが提供されていないのが現状である。
【0003】
特にポリイミドあるいはポリアミドは、種々の有機ポリマ−の中でも耐熱性に優れているため、宇宙、航空分野から電子通信分野まで幅広く用いられている優れた樹脂であるにもかかわらず、これらに利用できる桂皮酸骨格等の感光基を有するモノマーは殆ど知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感光基を有する新規なジアミンとその製造方法及びそのジアミンを原料とするポリイミド組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の構造を有する新規なジアミンによって、所定の目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の第一は、下記一般式(1)化5
【化5】

(但し、X、Yは、2価の結合鎖、Zは化6
【化6】

から選ばれる1種以上の感光基を、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を示す。)で表される新規ジアミンを、
特には、上記一般式(1)中、Xは、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖、Yは、−,−COO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−から選択される2価の結合鎖(mは1〜15の整数を示す。)である新規ジアミンを、
本発明の第二は、構造が下記一般式(2)化7
【化7】

(但し、Xは、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖、Yは、−COO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−から選択される2価の結合鎖、mは1〜15の整数を、Zは化8
【化8】

から選ばれる1種以上の感光基を、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を、BとDは4価の結合鎖を、Eは2価の結合鎖を、pは1〜100、qは0〜99を示す。)を1重量%以上含むことを特徴とする新規ポリイミド組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる新規ジアミンは、感光基特有の光反応性及び熱反応性を併せ有するポリマーの原料となり、また本発明にかかる新規ポリイミド組成物は、有用な感光性樹脂となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明にかかる新規なジアミンおよび新規ポリイミド組成物について、実施の形態について、説明する。本発明にかかる新規ジアミンは、感光基を有し、感光基特有の光反応性及び熱反応性を併せ持つポリマーの原料となる新規なジアミンである。詳しくは、本発明に係るジアミンが、一般式(1)化9
【化9】

(但し、Xは、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖、Yは、−,−COO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−から選択される2価の結合鎖、mは1〜15の整数を、Zは化10
【化10】

から選ばれる1種以上の感光基を、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を示す。)の構造を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかるポリイミド組成物は、上記感光基を有する新規ジアミンをジアミン成分として用いた新規ポリイミド組成物であることを特徴とする。
【0009】
以下に本発明に係る新規なジアミンの製造方法及びポリイミド組成物の製造方法について詳細に述べる。この新規なジアミンは、相当するジニトロ化物を合成し、そのニトロ化物を還元することにより得られる。
【0010】
例えば、ジニトロ安息香酸クロライドあるいはトルエンスルフォン酸クロライドなどのエステル化触媒の存在下でジニトロ安息香酸とZ−OH(Zは化11
【化11】

から選ばれる感光基を表す。)を反応することにより一般式(1)中のX=COO、Y=−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0011】
ジニトロベンジルアルコールとZ−COClあるいはトルエンスルフォン酸クロライドなどのエステル化触媒の存在下でZ−COOHと反応することにより、一般式(1)中のX=−CH2−、Y=−OOC−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0012】
ジニトロアニリンとZ−COClを反応することにより、一般式(1)中のX=−NH−、Y=−OC−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0013】
ジニトロフェノールとZ−COClあるいはトルエンスルフォン酸クロライドなどのエステル化触媒の存在下でZ−COOHと反応することにより、一般式(1)中のX=−OOC−、Y=−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0014】
ジニトロ安息香酸クロライドとHO−(CH2mOH(m=1〜15)あるいはトルエンスルフォン酸クロライドなどのエステル化触媒の存在下でジニトロ安息香酸とHO−(CH2mOH(m=1〜15)を反応することにより、(NO22−C63COO(CH2mOH(m=1〜15)を合成した後、Z−COClあるいはトルエンスルフォン酸クロライドなどのエステル化触媒の存在下でZ−COOHと反応することにより、一般式(1)中のX=−OOC−、Y=−(CH2mOOC−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0015】
また、ジニトロ安息香酸クロライドとHO−(CH2m−Br等のハロゲン化アルキルアルコール(m=1〜15)を反応させて、(NO22−C63−COO−(CH2m−Brとし、N-メチル−2−ピロリドンやジメチルフォルムアミド等の極性非プロトン溶媒中でとZ−COOKやZ−COOCsを反応させることにより、同様にX=COO,Y=(CH2m−OOCに相当するジニトロ化物を得ることもできる。
【0016】
ジニトロフェノールとZ−COClを反応することにより、X=O,Y=−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0017】
ジニトロフェノールとBr−(CH2m−Br等のビスハロゲン化アルキル(m=1〜15)をアルカリの存在下で反応させて、(NO22−C63−O−(CH2m−Brとし、N-メチル−2−ピロリドンやジメチルフォルムアミド等の極性非プロトン溶媒中でZ−COOKやZ−COOCsを反応させることにより、X=O,Y=(CH2m−OOCに相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0018】
Br−(CH2m−COCl(m=1〜15)とZ−OHを反応させて、Br−(CH2m−COO−Zとし、ジニトロ安息香酸セシウムやジニトロ安息香酸カリウム等のアルカリ金属塩をNーメチル−2−ピロリドンやジメチルフォルムアミド等の極性非プロトン溶媒中で反応させることにより、X=COO,Y=(CH2m−COO−に相当するジニトロ化物を得ることができる。
【0019】
これらのジニトロ化物をBechamp還元あるいは、特殊な触媒を用いた水素化により本発明のジアミンを得ることができる。
【0020】
本発明でいう「特殊な触媒」とは、白金をカ−ボンブラックに担持させた触媒(Pt−カーボンブラック)や、ナトリウムや鉄を混入させた白金を活性炭に担持させた触媒(Pt−活性炭)等を意味する。これらの触媒には、通常、活性炭に貴金属を担持させたものを用いるが、活性炭に担持させた場合、カーボンブラックに担持させた触媒に比較して、感光基の2重結合を還元する割合が多くなる。従って、カーボンブラックに担持させた触媒を用いることが望ましい。しかし、活性炭に担持させた触媒を用いる場合には、鉄やナトリウムを白金中に混入させれば、感光基の2重結合への還元を抑制してニトロ基を選択的に還元することが可能となる。
【0021】
また、パラジウム系の触媒を用いる場合には、硫黄などの被毒物質を混入して触媒の活性を落とすことにより、感光基の2重結合への還元を抑制し、ニトロ基を選択的に還元することが可能となる。
【0022】
このジニトロ化物の還元条件について述べる。このジニトロ化合物は、感光基の2重結合を有しているため、きつい還元条件を選択すれば、2重結合を還元してしまうし、強い酸性下で行えば分解が生じる可能性がある。さらに、アルカリ性下では、Michael付加を起こす可能性があるため、還元条件を適正化する必要がある。
【0023】
このジニトロ化合物の還元に適しているのは、白金をカ−ボンブラックに担持させた触媒(Pt−カーボンブラック)やナトリウムや鉄を混入させた白金を活性炭に担持させた触媒(Fe−Pt−活性炭あるいはNa−Pt−活性炭)を用いて、有機溶媒中で行う水素化である。通常、水素化に用いられる活性炭にパラジウムを担持させた触媒(Pd−活性炭)では、反応活性が強く、感光基の2重結合を還元してしまうため、硫黄等を含有することにより活性を落としたPd−活性炭触媒を用いる必要がある。また、Pt−カーボンブラック系あるいはナトリウムや鉄を混入させた白金を活性炭に担持させた触媒(Fe−Pt−活性炭あるいはNa−Pt−活性炭)は、本還元系においては、2重結合への還元を抑制して、選択的にニトロ基を還元するため、高収率で目的のジアミンを得られ望ましい。
【0024】
Pt−カーボンブラック系やFe−Pt−活性炭系あるいはNa−Pt−活性炭系において、触媒中の白金濃度は、重量%で0.1〜40%程度であり、0.1%以上含まれていれば触媒の効果が発現する。白金濃度が高いほど反応速度が向上する傾向があるが、貴金属であるため、1〜20%程度の白金濃度の触媒を用いることが好ましい。
【0025】
また、Pd−活性炭系においても同様に、触媒中のパラジウム濃度は、重量%で0.1〜40%程度であり、0.1%以上含まれていれば触媒の効果が発現する。パラジウム濃度が高いほど反応速度が向上する傾向があるが、貴金属であるため、1〜30%程度のパラジウム濃度の触媒を用いることが好ましい。Fe−Pt−活性炭系あるいはNa−Pt−活性炭系において、鉄あるいはナトリウムの含有量は、重量%で0.1〜40%程度であり、望ましくは0.1〜20%、特に望ましくは0.1〜10%程度である。これらの触媒は、乾燥した状態で用いても、水を加え含水した状態で用いても効果は同じである。含水した状態で用いる方が粉塵が舞い上がらず、取り扱い性が良好であるため、工業的には望ましい。
【0026】
還元に用いられる溶媒としては、アルコール類、ジオキサン、トルエンやキシレン等芳香族系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等、反応を阻害せず、ジアミンやジニトロ化物を溶解するものであれば限定されない。
【0027】
Bechamp還元の条件として、溶媒中で、ジニトロ化物をFe粉を加え、130℃以下の温度で加熱することにより還元する。溶媒としては、上記に示した溶媒を用いることができるが、特に酢酸やアルコール類、ジオキサン等が好ましい。
【0028】
次に上記製造した本発明にかかるジアミンを用いて一般式(2)で表される本発明のポリイミドを合成する方法を述べる。
【0029】
上記ジアミンと酸二無水物を有機極性溶媒中で反応させ、ポリアミド酸とし、熱的にあるいは化学的にイミド化することにより、感光基を有するポリイミド組成物を得ることができる。ここで、熱的にイミド化する方法とは、既に述べているポリアミド酸共重合体に、3級アミンと共沸溶媒を加え脱水イミド化する方法である。一般に、熱的にイミド化する方法では、150℃以上に加熱すればイミド化反応がおきるが、180℃以上の温度条件では、感光基に含まれる二重結合が反応してしまうために望ましくない。従って、180℃以下の温度で前述の3級アミンを加える熱的にイミド化する方法、または180℃以下の温度で化学的にイミド化することが望ましい。
【0030】
化学的にイミド化する方法とは、ポリアミド酸重合体またはその溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加え、加熱することによりイミド化する方法である。
【0031】
ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0032】
上記得られたポリアミド酸の平均分子量は5000〜1000000であることが望ましい。平均分子量が5000未満では、生成したポリイミド組成物の分子量が小さくなり、そのポリイミド組成物をそのまま光反応性樹脂として用いると樹脂が脆くなり好ましくない。一方、1000000を越えるとポリアミド酸ワニスの粘度が高くなりすぎ取扱いが難しくなり好ましくない。
【0033】
また、このポリイミド組成物に各種の有機添加剤、あるいは無機のフィラー類、あるいは各種の強化剤を複合することも可能である。
【0034】
ここで上記ポリアミド酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができる。これらは、単独または混合物として用い得るが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の一部使用も可能である。
【0035】
このポリイミド組成物に用いられる酸二無水物、すなわち一般式(2)のBやDに相当する酸二無水物は、酸二無水物であれば特に限定されないが、例をあげると、化12
【化12】

ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'
−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、下記一般式(3)化13
【化13】

(式中R1は芳香環を有する2価の結合鎖を示し、R2およびR3はそれぞれ水素原子またはアルキル基を示す。)
下記一般式(4)化14
【化14】

(式中R4は芳香環を有する2価の結合鎖を示し、R5およびR6はそれぞれ水素原子またはアルキル基を示す。)で表わされる化合物等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
このポリイミド組成物に用いられるジアミン、すなわち一般式(2)中Eに相当するジアミンには、種々のジアミンを用いることができる。ジアミンであれば特に限定されないが、例えば、一般式(5)
2N−G−NH2
(Gは化15
【化15】

(TはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を表す。)
から選ばれる2価の結合鎖)や、
4,4'−ジアミノフェニルエタン、4,4’−ジジアミノフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2',5,5’−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;
ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン;
下記一般式(6)化16
【化16】

(式中R7は、−O−,−COO−,−OCO−,−CONH−及び−CO−から選ばれる2価の結合鎖を示し、
8はステロイド骨格を有する1価の結合鎖を示す。)で表わされるモノ置換フェニレンジアミン類;
下記化学式 化17
【化17】

(R9は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、yは1〜3の整数であり、zは1〜20の整数である。)で表わされる化合物等を挙げることができる。
【0037】
次に重合方法を具体的に説明する。
【0038】
先ず、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気中において、一般式(1)化18
【化18】

(但し、Xは、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖、Yは、−,−CO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−から選択される2価の結合鎖、mは1〜15の整数を、Zは化19
【化19】

から選ばれる1種以上の感光基を、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を示す。)
で表されるジアミンと、一般式(7)化20
【化20】

(式中Bは、1種または2種以上の4価の結合鎖である。)で表される酸二無水物を前記有機溶媒中に溶解または拡散させて反応させる。
【0039】
この場合のジアミンと酸二無水物が実質上等モルであれば、一般式(2)に示されるp=100のポリアミド酸溶液となる。ジアミンと酸二無水物のモル比が異なる場合、更に上記ポリアミド酸溶液に一般式(8)
2N−E−NH2
(式中Eは、1種又は2種以上の2価の結合鎖を示す。)で表されるジアミン化合物を有機溶媒に溶解、スラリー状に拡散させた状態で、あるいは固体の状態で添加する。この溶液に一般式(9) 化21
【化21】

(式中Dは、1種又は2種以上の4価の結合鎖である。)
で表される1種以上の酸二無水物を有機溶媒中に添加し、ポリアミド酸共重合体溶液を得る。これらの酸二無水物成分及びジアミン成分のモル比を調整して一般式(2)のpとqの関係がm=1〜100、n=0〜99かつm+n=100である範囲であるポリアミド酸共重合体を任意に得ることができる。
【0040】
各モノマーの添加順序としては、上記一般式(1)及び一般式(8)で表されるジアミン成分を有機極性溶媒中に先に加えておき、ついで酸二無水物成分である一般式(7)で表される酸二無水物成分を加え、その後一般式(9)で表される酸二無水物成分を添加しポリアミド酸共重合体の溶液としてもよい。また、一般式(8)で表されるジアミン成分を有機極性溶媒中に先に加えておき、酸二無水物成分である一般式(7)を加え、その後一般式(1)で表されるジアミン成分を加え、その後一般式(9)で表される酸二無水物成分を添加し、ポリアミド酸共重合体の溶液としてもよい。また、ジアミン成分である上記一般式(1)及び一般式(8)を有機極性溶媒中に先に加えておき、ついで酸二無水物成分である一般式(7)と一般式(9)を同時に加え、ポリアミド酸共重合体の溶液としてもよく、特に限定されない。
【0041】
上記の添加方法を逆にし、酸二無水物を先に加え、ジアミン成分を後に加えても、実質上は同様である。
【0042】
なお、本発明にかかる新規なジアミンを用いてポリアミドを合成することも可能である。具体的には、本発明のジアミンと任意のジカルボン酸を、縮合剤の存在下でN,N−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒を使用する均一溶液中で加熱して行われる。縮合剤として、(PhO)3P、(PhO)PCl2、PhPOCl2、Me2SiCl2等があげられ、アミド系溶媒中ピリジンと組み合わせて使用され得る。
【0043】
さらに、本発明のジアミンとジカルボン酸クロリドとを反応させてポリアミドを合成することもできる。ジカルボン酸クロリドとジアミンの反応は、アミド系溶媒中で低温で反応させても良いし、水と混合しない有機溶媒と水との2相系で、有機溶媒中にジカルボン酸クロリドを水相にジアミンと酸受容体である水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを溶解させ、有機相−水相の界面で重合させても良い。ポリアミドの合成方法としてジアミンとジカルボン酸を高温で加熱溶融する一般的な方法は、感光基の2重結合が分解してしまうため望ましくない。
【0044】
以上述べたようして得られる本発明にかかる新規ジアミンおよび新規ポリイミド組成物は、光および熱への反応性が良好であり、印刷、半導体製造等種々の用途に用いられ得る。
【0045】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0046】
(実施例)
実施例中、ESDAは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4'−テトラカルボン酸二無水物、6FDAは、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、DMAcは、N,N−ジメチルアセトアミド、DMFは、N,N−ジメチルフォルムアミドを表す。
【0047】
重量平均分子量は、Waters製GPCを用いて以下条件で測定した。(カラム:Shodex製 KD−806M 2本、温度60℃、検出器:RI、流量:1ml/分、展開液:DMF(臭化リチウム0.03M、リン酸0.03M)、資料濃度:0.2wt%、注入量:20μl、基準物質:ポリエチレンオキサイド)
【0048】
(実施例1)
3,5−ジニトロ安息香酸クロライドの合成
3,5−ジニトロ安息香酸、酢酸エチルを反応容器にとり、数滴のDMFを加えた塩化チオニル(ジニトロ安息香酸に対して2倍モル程度)を滴下し塩化水素ガスが発生しなくなるまで還流撹拌する。反応溶液を固体が析出し出すまで濃縮し、ヘキサンに投入し沈澱を濾別乾燥し、3,5−ジニトロ安息香酸クロライドを収率97%で得た。
【0049】
2'−(3,5−ジニトロベンゾエート)−カルコンの合成
3,5−ジニトロ安息香酸クロライド115.3g(0.5モル)、メチルエチルケトン700mlを反応容器にとり、窒素気流下、60度に加熱撹拌し、2'−ヒドロキシカルコン112.1g(0.5モル)、メチルエチルケトン800ml、ピリジン80gを滴下した。滴下終了後、約2時間還流撹拌した。反応終了後濾別し、溶液を濃縮後、水で洗浄乾燥して、2'−(3,5−ジニトロベンゾエート)−カルコン193gを得た。
【0050】
2'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−カルコンの合成の合成
2'−(3,5−ジニトロベンゾエート)−カルコン41.8g(100ミリモル)、5%Pt−2%鉄含有活性炭粉末10g、1,4−ジオキサン500mlを反応容器(水素添加装置)に取り、水素雰囲気下で60℃に加熱攪拌を行った。14.4リットルの水素を吸収し、水素の吸収が止まったので、反応をやめ、反応溶液を濾別して、触媒を除去してから、濃縮して2'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−カルコン35.8gを得た。
【0051】
ポリイミドの合成
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに2'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−カルコン35.8g(0.1モル)、DMAc250gをとり、ESDA57.65g(0.1モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。
【0052】
βピコリン18.61g(0.2モル)、無水酢酸50g、DMAc100gを上記反応溶液に加え、約120℃に加熱し、イミド化した。これらの反応は、窒素気流下で行った。
【0053】
反応終了後、メタノールに投入し、ミキサ−で激しく攪拌後、濾別乾燥して、88gの黄色ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの粉末の重量平均分子量は、10万であった。
【0054】
(実施例2)
7'−(3,5−ジニトロベンゾエート)−クマリンの合成
3,5−ジニトロ安息香酸クロライド115.3g(0.5モル)、メチルエチルケトン700mlを反応容器にとり、窒素気流下、60度に加熱撹拌し、7−ヒドロキシクマリン81.1g(0.5モル)、メチルエチルケトン800ml、ピリジン50gを滴下した。滴下終了後、約2時間還流撹拌した。反応終了後濾別し、溶液を濃縮後、水で洗浄乾燥して、7'
−(3,5−ジニトロベンゾエート)−クマリン177gを得た。
【0055】
7'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−クマリンの合成の合成
7'−(3,5−ジニトロベンゾエート)−クマリン35.6(100ミリモル)、5%Pt−2%鉄含有活性炭粉末10g、1,4−ジオキサン500mlを反応容器(水素添加装置)に取り、水素雰囲気下で60℃に加熱攪拌を行った。14.4リットルの水素を吸収し、水素の吸収が止まったので、反応をやめ、反応溶液を濾別して、触媒を除去してから、濃縮して2'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−クマリン29.6gを得た。
【0056】
ポリイミドの合成
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに2'−(3,5−ジアミノベンゾエート)−クマリン29.6g(0.1モル)、DMAc250gをとり、ESDAg28.8g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。次に6FDA22.2g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。βピコリン18.61g(0.2モル)、無水酢酸50g、DMAc100gを上記反応溶液に加え、約120℃に加熱し、イミド化した。これらの反応は、窒素気流下で行った。
【0057】
反応終了後、メタノールに投入し、ミキサ−で激しく攪拌後、濾別乾燥して、75gの淡黄色ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの粉末の重量平均分子量は、12万であった。
【0058】
(実施例3)
クマリン−3−カルボキシリッククロライドの合成
クマリン−3−カルボキシリックアシッド、酢酸エチルを反応容器にとり、数滴のDMFを加えた塩化チオニル(ジニトロ安息香酸に対して2倍モル程度)を滴下し塩化水素ガスが発生しなくなるまで還流撹拌する。反応溶液を固体が析出し出すまで濃縮し、ヘキサンに投入し沈澱を濾別乾燥し、クマリン−3−カルボキシリッククロライドを収率87%で得た。
【0059】
クマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジニトロベンジル)の合成
クマリン−3−カルボキシリッククロライド104.3g(0.5モル)、メチルエチルケトン700mlを反応容器にとり、窒素気流下、60度に加熱撹拌し、3,5−ジニトロベンジルアルコール99.1g(0.5モル)、メチルエチルケトン800ml、ピリジン80gを滴下した。滴下終了後、約2時間還流撹拌した。反応終了後濾別し、溶液を濃縮後、水で洗浄乾燥して、クマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジニトロベンジル)183.3gを得た。
【0060】
クマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジアミノベンジル)の合成
クマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジニトロベンジル)37.03g(100ミリモル)、5%Pt含有カーボングラファイト10g、1,4−ジオキサン500mlを反応容器(水素添加装置)に取り、水素雰囲気下で60℃に加熱攪拌を行った。14.4リットルの水素を吸収し、水素の吸収が止まったので、反応をやめ、反応溶液を濾別して、触媒を除去してから、濃縮してクマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジアミノベンジル)31gを得た。
【0061】
ポリイミドの合成
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコにクマリン−3−カルボキシレート−(3,5−ジアミノベンジル)31g(0.1モル)、DMAc250gをとり、ESDA28.8g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。次に6FDA22.2g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。
【0062】
βピコリン18.61g(0.2モル)、無水酢酸50g、DMAc100gを上記反応溶液に加え、約120℃に加熱し、イミド化した。これらの反応は、窒素気流下で行った。
【0063】
反応終了後、メタノールに投入し、ミキサ−で激しく攪拌後、濾別乾燥して、78gの黄色ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの粉末の重量平均分子量は、12万であった。
【0064】
(実施例4)
クマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジニトロフェニルエステル)の合成
クマリン−3−カルボキシリッククロライド104.3g(0.5モル)、メチルエチルケトン700mlを反応容器にとり、窒素気流下、60度に加熱撹拌し、3,5−ジニトロフェノール78.05g(0.5モル)、メチルエチルケトン800ml、ピリジン80gを滴下した。滴下終了後、約2時間還流撹拌した。反応終了後濾別し、溶液を濃縮後、水で洗浄乾燥して、クマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジニトロフェニルエステル)155.9gを得た。
【0065】
クマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジアミノフェニルエステル)の合成
クマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジニトロフェニルエステル)32.8g(100ミリモル)、5%Pt含有カーボングラファイト10g、1,4−ジオキサン500mlを反応容器(水素添加装置)に取り、水素雰囲気下で60℃に加熱攪拌を行った。14.4リットルの水素を吸収し、水素の吸収が止まったので、反応をやめ、反応溶液を濾別して、触媒を除去してから、濃縮してクマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジアミノフェニルエステル)26.8gを得た。
【0066】
ポリイミドの合成
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコにクマリン−3−カルボキシレート−1−(3,5−ジアミノフェニルエステル)26.8g(0.1モル)、DMAc250gをとり、ESDA28.8g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。次に6FDA22.2g(0.05モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。
【0067】
βピコリン18.61g(0.2モル)、無水酢酸50g、DMAc100gを上記反応溶液に加え、約120℃に加熱し、イミド化した。これらの反応は、窒素気流下で行った。
【0068】
反応終了後、メタノールに投入し、ミキサ−で激しく攪拌後、濾別乾燥して、80gの淡黄色ポリイミド粉末を得た。このポリイミドの粉末の重量平均分子量は、13万であった。
【0069】
(実施例5)
1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−ブロモエタンの合成
1,2−ジブロモエタン187.9g(1モル)、3,5−ジニトロフェノール18.4g(0.1モル)、炭酸カリウム138.2(1モル)、ジメチルフォルムアミド400mlを反応容器に取り、チッソ気流下で24時間還流攪拌を行った。反応溶液を水に投入し、析出物をカラム精製し、1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−ブロモエタン20gを得た。
【0070】
クマリン−3−カルボン酸セシウムの合成
クマリン−3−カルボン酸95g(0.5モル)、炭酸セシウム81.5g(0.25モル)を反応容器に取り、アセトン:水=1:1(容量比)混合液600mlを加え攪拌を行った。溶液が均一となったところで、濃縮乾燥して、クマリン−3−カルボン酸セシウム161.5g(0.5モル)を得た。
【0071】
1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)エタンの合成
1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−ブロモエタン19.44g(0.08モル)、クマリン−3−カルボン酸セシウム32.3g(0.1モル)、ジメチルフォルムアミド200mlを反応溶液に取り、100゜C
、チッソ気流下で8時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を水に投入した。析出物をカラム精製し、1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)エタン26.5gを得た。
【0072】
1−(3,5−ジアミノフェノキシ)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)エタンの合成
実施例4と同様の方法で合成を行った。
【0073】
ポリイミドの合成
攪拌機を設置した2000mlのセパラブルフラスコに1−(3,5−ジアミノフェノキシ)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)エタン20.5g(0.07モル)、DMAc250gをとり、6FDA15.5g(0.035モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。次に6FDA15.5g(0.035モル)を一気に激しく攪拌しながら加え、このまま30分間攪拌を続けた。
【0074】
βピコリン18.61g(0.2モル)、無水酢酸50g、DMAc100gを上記反応溶液に加え、約120℃に加熱し、イミド化した。これらの反応は、窒素気流下で行った。反応終了後、メタノールに投入し、ミキサ−で激しく攪拌後、濾別乾燥して、50gの白色の固体を得た。
【0075】
(実施例6)
α−ピロン−5−カルボン酸セシウムの合成
α−ピロン−5−カルボン酸70g(0.5モル)、炭酸セシウム81.5g(0.25モル)を反応容器に取り、アセトン:水=1:1(容量比)混合液600mlを加え攪拌を行った。溶液が均一となったところで、濃縮乾燥して、α−ピロン−5−カルボン酸151.5g(0.5モル)を得た。
【0076】
1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−(α−ピロン−5−カルボキシレート)エタンの合成
1−(3,5−ジニトロフェノキシ)−2−ブロモエタン19.44g(0.08モル)、α−ピロン−5−カルボン酸セシウム30.5g(0.1モル)、ジメチルフォルムアミド200mlを反応溶液に取り、100゜C
、チッソ気流下で8時間反応させた。
【0077】
反応終了後、反応溶液を水に投入した。析出物をカラム精製し、1−(3,5−ジトロフェノキシ)−2−(α−ピロン−5−カルボキシレート)エタン26.0gを得た。
【0078】
1−(3,5−ジアミノフェノキシ)−2−(α−ピロン−5−カルボキシレート)エタンの合成
実施例4と同様の方法で合成を行った。
【0079】
ポリイミドの合成
1−(3,5−ジアミノフェノキシ)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)エタンを1−(3,5−ジアミノフェノキシ)−2−(α−ピロン−5−カルボキシレート)エタンにかえた以外は実施例5と同様の方法で合成した。得たポリイミドは、45gの白色固体で、分子量は15万であった。
【0080】
(実施例7)
3−ブロモプロピオネート−(2−カルコン)の合成
2−ヒドロキシカルコン67.3g(モル)、ピリジン32g、メチルエチルケトン500mlを反応容器に取り、3−ブロモプロピオン酸クロライド51.4g(0.3モル)をメチルエチルケトン300mlに溶かしゆっくりと滴下した。滴下終了後2時間チッソ気流下にて還流攪拌を行った。反応溶液を濃縮して、水で洗浄後乾燥させてカラム精製して、3−ブロモプロピオネート−(2−カルコン)100gを得た。
【0081】
3−(3,5−ジニトロベンゾエート)−プロピオネート−(2−カルコン)の合成
3−ブロモプロピオネート−(2−カルコン)71.8g(0.2モル)、3,5−ジニトロ安息香酸セシウム68.8g(0.2モル)、ジメチルフォルムアミド600mlを反応容器に取り、100℃チッソ気流下にて、8時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を水に投入した。析出物をカラム精製し、3−(3,5−ジニトロベンゾエート)−プロピオネート−(2−カルコン)73.6g(0.15モル)を得た。
【0082】
3−(3,5−ジアミノベンゾエート)−プロピオネート−(2−カルコン)の合成
実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0083】
ポリイミドの合成
ジアミン成分3−(3,5−ジアミノベンゾエート)−プロピオネート−(2−カルコン)をとした以外は実施例1と同様の方法で合成を行い、95gの黄色の固体を得た。分子量は12万であった。
【0084】
(実施例8)
3,5−ジニトロベンゾエート−2−ブロモエタンの合成
3,5−ジニトロ安息香酸クロライド134.8g(0.5モル)、アセトン700mlを反応容器にとり、窒素気流下、60度に加熱撹拌し、2−ブロモエタノール75g(0.6モル)、アセトン200ml、ピリジン80gを滴下した。滴下終了後、約2時間還流撹拌した。反応終了後濾別し、溶液を濃縮後、水で洗浄乾燥して、3,5−ジニトロベンゾエート−2−ブロモエタン144gを得た。
【0085】
1−(3,5−ジニトロベンゾエート)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)−エタンの合成
クマリン−3−カルボン酸セシウム96.6g(モル)、3,5−ジニトロベンゾエート−2−ブロモエタン95.7g(0.3モル)、ジメチルフォルムアミド1000mlを反応容器にとり、チッソ気流下100℃で8時間反応させた。反応終了後、反応溶液を水に投入し、析出物をカラム精製し、1−(3,5−ジニトロベンゾエート)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)−エタン107gを得た。
【0086】
1−(3,5−ジアミノベンゾエート)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)−エタンの合成
実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0087】
ポリイミドの合成
ジアミン成分を1−(3,5−ジアミノベンゾエート)−2−(クマリン−3−カルボキシレート)−エタンとした他は実施例1と同様の方法で合成を行い、90gの黄色の固体を得た。分子量は14万であった。
【0088】
(実施例9)
1−(3,5−ジニトロフェニル)−クマリン−3−カルボキシアミドの合成
3,5−ジニトロアニリン91.6g(0.5モル)、ピリジン600ml、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン76g(0.5モル)を反応容器に取り、クマリン−3−カルボキシリッククロライド104.3g(0.5モル)を加え、チッソ気流下で3時間還流攪拌を行った。反応終了後、濃縮し、水で洗浄後、乾燥し、再結晶にて精製して、1−(3,5−ジニトロフェニル)−クマリン−3−カルボキシアミド142gを得た。
【0089】
1−(3,5−ジアミノフェニル)−クマリン−3−カルボキシアミドの合成
実施例1と同様の方法で合成を行った。
【0090】
ポリイミドの合成
ジアミン成分を1−(3,5−ジアミノフェニル)−クマリン−3−カルボキシアミドとした他は実施例1と同様の方法で合成を行い、80gの黄色の固体を得た。分子量は16万であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)化1
【化1】

(但し、XとYは2価の結合鎖、Zは化2
【化2】

から選ばれる1種以上の感光基を、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を示す。)からなる新規ジアミン。
【請求項2】
一般式(1)のXが、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖である請求項1記載の新規ジアミン。
【請求項3】
一般式(1)のYが、−,−COO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−から選択される2価の結合鎖である請求項1記載の新規ジアミン。(ただしm=1〜15の整数を示す。)
【請求項4】
構造が下記一般式(2)化3
【化3】

(但し、Xが、−,−CH2−,−COO−,−NH−,−O−から選択される2価の結合鎖
Yは−,−COO−,−OOC−,−(CH2mO−,−(CH2mCOO−,−(CH2mOOC−,−(CH2m−、(式中mは1〜15)、から選択される2価の結合鎖を、Zは、化4
【化4】

から選ばれる1種以上の感光基を、
(式中、AはH,CH3,F,Cl,Br,CH3O−を示す)
BとDは4価の結合鎖を、
Eは2価の結合鎖を、
pは1〜100、qは0〜99の整数を示す。)を1重量%以上含むことを特徴とする新規ポリイミド組成物。

【公開番号】特開2006−89492(P2006−89492A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295907(P2005−295907)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【分割の表示】特願平11−90936の分割
【原出願日】平成11年3月31日(1999.3.31)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】