説明

新規チオフェン誘導体

本発明は、式(I)のS1P1/EDG1受容体アゴニストおよび医薬組成物の製造における活性成分としてのこれらの使用に関する。また、本発明は、該化合物の製造のための方法、式(I)の1つまたはいくつかの化合物を含む医薬組成物、並びに血管機能を改善する化合物としての、および免疫調節薬としての、単独またはその他の活性化合物もしくは療法と組み合わせたこれらの使用を含む、関連した側面に関する。本発明のさらなる側面は、式(I)の化合物を製造するための中間体として役立つ式(II)および(III)の新規化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、式(I)のS1P1/EDG1受容体アゴニストおよび医薬組成物の製造における活性成分としてのこれらの使用に関する。また、本発明は、該化合物の製造のための方法、式(I)の1つまたはいくつかの化合物を含む医薬組成物、並びに血管機能を改善する化合物としての、および免疫調節薬としての、単独またはその他の活性化合物もしくは療法と組み合わせたこれらの使用を含む、関連した側面に関する。本発明のさらなる側面は、式(I)の化合物を製造するための中間体として役立つ式(II)および(III)の新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒト免疫系は、感染または疾患を生じさせる外来微生物および物質から体を守るようにデザインされている。複雑な調節機構により、免疫応答は、侵入する物質または生物体を標的として、宿主を標的としないように保証する。場合によっては、これらの制御メカニズムが制御されず、自己免疫応答を発症し得る。炎症反応が制御されない結果として、重篤な器官、細胞、組織または関節の損傷が生じる。また、現在の治療では、通常、免疫系全体が抑制されて、体が感染に応答する能力が非常に損なわれてしまう。この種の典型的な薬物には、アザチオプリン、クロランブシル、シクロホスファミド、シクロスポリンまたはメトトレキセートを含む。炎症を減少させて、免疫応答を抑制する副腎皮質ステロイドは、長期治療に使用されると、副作用の原因となり得る。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、疼痛および炎症を減少させることができるが、しかし、これらは、かなりの副作用を示す。代わりの治療には、サイトカインシグナリングを活性化し、または遮断する薬剤を含む。
【0003】
免疫調節特性をもち、免疫応答を損なうことなく、そして副作用が減少された、経口で有効な化合物は、制御されない炎症性疾患の現在の治療を大幅に改善させるであろう。
【0004】
臓器移植の分野では、器官拒絶反応を防止するために、宿主免疫応答を抑制しなければならない。臓器移植レシピエントは、彼らが免疫抑制剤を服用するときでも、いくらか拒の絶反応を受けることがある。拒絶反応は、移植後の最初の数週に最も頻繁に生じるが、拒絶反応の発症は、移植の何月もまたは何年後でさえも生じ得る。副作用を最小にすると共に、拒絶反応から最大限保護するために、3つまたは4つまでの薬物療法の組み合わせが一般に使用されている。移植臓器の拒絶反応を治療するために使用される現在の標準薬は、T型またはB型白血球の活性化における別々の細胞内経路を妨げる。このような薬物の例には、サイトカイン放出またはシグナリングを妨げるシクロスポリン、ダクリズマブ、バシリキシマブ、エベロリムスもしくはFK506;ヌクレオチド合成を阻害するアザチオプリンもしくはレフルノミド;または白血球分化の阻害剤である15-デオキシスペルグアリンがある。
【0005】
広範な免疫抑制療法による有益な効果は、これらの効果に関連するが;しかし、これらの薬物により生じる全身的免疫抑制は、感染および悪性腫瘍に対する免疫系の防御を減弱させる。さらにまた、標準的な免疫抑制剤は、高投薬量で使用されることが多く、器官損傷を引き起こし、または促進し得る。
【発明の開示】
【0006】
本発明の記述
本発明は、Gタンパク質結合受容体S1P1/EDG1のためのアゴニストであり、かつ循環および浸潤するTおよびBリンパ球の数を減少させることにより、これらの成熟、記憶または増殖に影響を及ぼさずに達成される強力かつ持続性の免疫抑制効果を有する式(I)の新規化合物を提供する。S1P1/EDG1アゴニズムの結果としての循環T/Bリンパ球の減少により、おそらくS1P1/EDG1活性化と関連した内皮細胞層機能の改善が観察されることと合わせて、このような化合物が、抑制されていない炎症性疾患を治療するために、および血管機能性を改善するために有用となる。
【0007】
本発明の化合物は、単独で、またはT細胞活性化を阻害する標準薬と組み合わせて、標準的な免疫抑制療法と比較したときに感染の性向が減少した新たな免疫抑制療法を提供するために利用することができる。さらにまた、本発明の化合物は、投薬量を減少した従来の免疫抑制性療法と組み合わせて、一方では有効な免疫抑制活性を、一方では高用量の標準的な免疫抑制剤に付随した末端器官損傷の減少をもたらすために使用することができる。S1P1/EDG1活性化と関連した内皮細胞層機能の改善の観察は、血管機能を改善するための化合物のさらなる利点をもたらす。
【0008】
ヒトS1P1/EDG1受容体のためのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、当技術分野において公知である(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。式(I)の化合物の能力および有効性は、EC50値を決定するためのGTPγSアッセイ法を使用して、および経口投与後のラットにおける循環リンパ球を測定することによって、それぞれ評価される(実施例を参照されたい)。
【0009】
【非特許文献1】Hla, T.、およびMaciag, T. J. Biol Chem. 265 (1990), 9308-9313
【特許文献1】1991年10月17日に公開された国際公開公報第91/15583号
【特許文献2】1999年9月16日に公開された国際公開公報第99/46277号
【0010】
i)本発明は、式(I)の新規チオフェンおよびこのような化合物の塩、並びに溶媒和物に関連する:
【化1】

式中、
R1は、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し;
R2は、水素、C1-4-アルキル、メトキシまたはハロゲンを表し;
R3は、水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R4は、水素、C1-4-アルキルまたはハロゲンを表し;
R5は、水素を表し;
R6は、水素またはヒドロキシを表し;
R6がヒドロキシを表す場合、R5は、ヒドロキシを表すこともでき;
nは、0を表し;
mは、0または1を表し;および、
mが1を表す場合、nは、1を表すこともできる。
【0011】
先に、および以下に使用される一般的用語は、特に明記しない限り、本開示内において、好ましくは以下の意味を有する:
【0012】
化合物、塩、医薬組成物、疾患、その他に対して複数形が使用される場合、これは、また単一の化合物、塩またはその他を意味することが意図される。
【0013】
先に、または以下における式(I)、(II)または(III)の化合物に対するいずれの言及も、適切かつ好都合なように、鏡像異性体、ラセミ化合物などの鏡像異性体の混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、およびジアステレオ異性ラセミ化合物などの鏡像異性体とジアステレオマーの混合物、並びにこのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)および溶媒和物(水和物を含む)および多形形態も指すことが理解されるはずである。
【0014】
C1-4アルキルという用語は、単独で、またはその他の基と組み合わせて、1〜5炭素原子、好ましくは1〜3炭素原子をもつ飽和した、分枝または好ましくは直鎖状基を意味する。C1-4アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルである。
【0015】
C1-4アルコキシという用語は、RがC1-4アルキルであるR-O基を意味する。C1-4アルコキシ基の好ましい例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびイソ-プロポキシである。
【0016】
ハロゲンという用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、好ましくはフルオロまたはクロロを意味する。
【0017】
塩は、好ましくは式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。
【0018】
塩形成基は、塩基性もしくは酸性の特性を有する基またはラジカルである。少なくとも1つの塩基性基または少なくとも1つの塩基性ラジカルを有する化合物、たとえばアミノ、ペプチド結合を形成していない二級アミノ基またはピリジルラジカルは、たとえば無機酸と酸付加塩を形成するであろう。いくつかの塩基性基が存在するときは、モノまたはポリ酸付加塩を形成してもよい。
【0019】
カルボキシ基またはフェノールのヒドロキシ基などの酸性基を有する化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム塩またはアンモニアもしくは三級モノアミン、たとえばトリエチルアミンもしくはトリ-(2-ヒドロキシエチル)-アミンなどの適切な有機アミン、または複素環塩基、たとえばN-エチル-ピペリジンもしくはN,N'-ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩などの金属またはアンモニウム塩を形成してもよい。塩の混合物も可能である。
【0020】
酸性および塩基性の両方の基を有する化合物は、内部塩を形成することができる。
【0021】
また、単離または精製の目的のために、並びに中間体としてさらに使用される化合物の場合、薬学的に容認できない塩、たとえばピクリン酸塩を使用することもできる。しかし、薬学的に許容される無毒の塩のみを治療目的のために使用してもよく、したがって、これらの塩が好ましい。
【0022】
薬学的に許容される塩という表現には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜リン酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、パルモ酸(palmoic acid)、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸および生きた生物に対して非中毒性であるその他のような無機酸または有機酸のいずれとの塩、または式(I)の化合物の性質が酸性である場合、アルカリまたはアルカリ土類塩基、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムその他のような無機塩基との塩も包含する。薬学的に許容される塩のその他の例については、特に"Salt selection for basic drugs", Int. J. Pharm. (1986), 33, 201-217を参照することができる。
【0023】
式(I)、(II)または(III)の化合物は、1つまたは複数の不斉炭素原子を含んでいてもよく、純粋な異性体(好ましい)またはエナンチオマー様ラセミ化合物の混合物、ジアステレオマーの混合物もしくはジアステレオ異性ラセミ化合物などのエナンチオマーとジアステレオマーの混合物などの異性体の混合物の形態に製造することができる。本発明は、すべてのこれらの形態を包含する。混合物は、それ自体公知の様式で、たとえばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または結晶化によって分離することができる。
【0024】
ii)本発明の詳細な態様は、R1がエチル基を表す態様i)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0025】
iii)本発明の詳細な態様は、R1がメチル基を表す態様i)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0026】
iv)本発明の詳細な態様は、R1がトリフルオロメチル基を表す態様i)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0027】
v)本発明のもう一つの詳細な態様は、R2がメトキシ基を表し、かつR3およびR4は水素を表す態様i)〜iv)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0028】
vi)本発明のもう一つの詳細な態様は、R2が水素を表し、かつR3およびR4がC1-4-アルキルを表す態様i)〜iv)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0029】
vii)本発明のもう一つの詳細な態様は、R3およびR4がメチル基を表す態様vi)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0030】
viii)本発明のもう一つの詳細な態様は、R3およびR4がエチル基を表す態様vi)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0031】
ix)本発明の特に好ましい態様は、R3がメチル基を表し、かつR4がエチル基を表す態様vi)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0032】
x)本発明のもう一つの詳細な態様は、R2が水素を表し、R3がメトキシ基を表し、かつR4が塩素原子を表す態様i)〜iv)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0033】
xi)本発明のもう一つの詳細な態様は、R2が水素を表し、R3がメチル基を表し、かつR4が塩素原子を表す態様i)〜iv)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0034】
xii)本発明のもう一つの詳細な態様は、R5およびR6が水素を表す態様i)〜xi)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0035】
xiii)本発明のもう一つの特に好ましい態様は、nが0を表し、かつmが1を表す態様xii)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0036】
xiv)本発明のもう一つの詳細な態様は、nが1を表し、かつmが1を表す態様xii)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0037】
xv)本発明のもう一つの詳細な態様は、mが1を表し、かつR5およびR6がヒドロキシを表す態様i)〜xi)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0038】
xvi)本発明のもう一つの詳細な態様は、nが0を表す態様xv)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0039】
xvii)本発明のもう一つの詳細な態様は、R5が水素を表し、かつR6がヒドロキシを表す態様i)〜xi)のいずれか一つに従ったチオフェン誘導体に関する。
【0040】
xviii)本発明のさらに特別な態様は、R1がトリフルオロメチル、メチルまたはエチルを表し、R2、R5およびR6が水素を表し、R3およびR4がC1-4-アルキルを表し、nが0を表し、かつmが1を表す態様i)に従ったチオフェン誘導体に関する。
【0041】
xix)式(I)に従った具体的チオフェン化合物は、以下の通りである:
3-{4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2,6-ジメチル-フェニル}-プロピオン酸;
3-{4-[3-(5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2-エチル-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸;
3-{2-エチル-6-メチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸;および、
3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸。
【0042】
xx)式(I)に従ったさらに具体的なチオフェン化合物は、3-、{2,6-ジメチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸である。
【0043】
xxi)本発明のさらなる側面は、式(II)の新規チオフェンおよびこのような化合物の塩、並びに溶媒和物に関連する:
【化2】

式中、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、nおよびmは、上記の式(I)について定義したとおりであり、かつR7は、水素、メチル、エチルまたはtert-ブチルを表す。
【0044】
xxii)本発明の更に別の態様は、式(III)の新規チオフェンおよびこのような化合物の塩、並びに溶媒和物に関連する:
【化3】

式中、
R1、R2、R3およびR4は、上記の式(I)について定義したとおりであり、かつR7は、水素、メチル、エチルまたはtert-ブチルを表す。
【0045】
式(I)の化合物およびこれらの薬学的に許容される塩は、医薬として、たとえば経腸、非経口(parental)または局所的投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。これらは、たとえば経口的に、たとえば錠剤、コーティング錠、ドラジェー、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形態で、直腸に、たとえば坐薬の形態で、非経口的に、たとえば注射溶液もしくは輸液の形態で、または局所的に、たとえば軟膏、クリームまたは油の形態で投与することができる。
【0046】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者によく知られた様式で(たとえばMark Gibson, Editor, Pharmaceutical Preformulation and Formulation, IHS Health Group, Englewood, CO, USA, 2001; Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Philadelphia College of Pharmacy and Scienceを参照されたい)、記述された式(I)の化合物またはこれらの薬学的に許容される塩を、任意に、ガレノスの投与形態中に、適切な無毒の不活性な治療的に許容される固体または液体の担体材料および必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、その他の治療的に有益な物質と組み合わせることによって遂行することができる。
【0047】
式(I)の化合物を含む医薬組成物は、活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防および/または治療のために有用である。
【0048】
このような疾患または障害は、以下からなる群より選択される:移植された臓器、組織または細胞の拒絶反応;移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎を含む自己免疫性症候群;全身性エリテマトーデス;抗リン脂質症候群;橋本甲状腺炎;リンパ球性甲状腺炎;多発性硬化症;重症筋無力症;I型糖尿病;ブドウ膜炎;上強膜炎;強膜炎;川崎病、ブドウ膜網膜炎;後方のブドウ膜炎;ベーチェット病と関連したブドウ膜炎;ぶどう膜髄膜炎(uveomeningitis)症候群;アレルギー性脳脊髄炎;慢性同種移植脈管障害;リウマチ熱および感染後の糸球体腎炎を含む感染後の自己免疫疾患;炎症性および高増殖性皮膚病;乾癬;乾癬性関節炎;アトピー性皮膚炎;筋障害;筋炎;骨髄炎;接触性皮膚炎;湿疹性皮膚炎;脂漏皮膚炎;扁平苔癬;天疱瘡;類天疱瘡;表皮水泡症;じんま疹;血管性浮腫;血管炎;紅斑;皮膚好酸球増加症;座瘡;強皮症;円形脱毛症;角結膜炎;春季結膜炎;角膜炎;ヘルペス性角膜炎;角膜上皮ジストロフィー;角膜白斑;眼性天疱瘡;モーレン潰瘍;潰瘍性角膜炎;強膜炎;グラーブ眼障害;フォークト-小柳-原田症候群;サルコイドーシス;花粉アレルギー;可逆的閉塞性気道疾患;気管支喘息;アレルギー性喘息;内因性喘息;外因性喘息;粉塵喘息;慢性または難治性喘息;遅発型喘息および気道応答性亢進;細気管支炎;気管支炎;子宮内膜症;睾丸炎;胃潰瘍;虚血性腸疾患;炎症性腸疾患;壊死性小腸大腸炎;熱傷に関連した腸管病変;セリアック病(coeliac disease);直腸炎;エオジン嗜好性胃腸炎;肥満細胞症;クローン病;潰瘍性大腸炎;虚血性疾患および血栓症によって生じる血管障害;アテローム性動脈硬化症;脂肪心;心筋炎;心筋梗塞;大動脈炎症候群;ウイルス疾患のための悪液質;血管血栓症;片頭痛;鼻炎;湿疹;間質性腎炎;IgAで誘導される腎症;グッドパスチャー症候群;溶血尿毒症症候群;糖尿病性腎障害;糸球体硬化症;糸球体腎炎;尿細管間質性腎炎;間質性膀胱炎;多発性筋炎;ギランバレー症候群;メニエール病;多発性神経炎;多発性神経炎;脊髄炎;単発神経炎;神経根障害;甲状腺機能亢進症;バセドウ病;甲状腺中毒症;赤芽球癆;再生不良性貧血;再生不良性貧血;特発性血小板減少性紫斑病;自己免疫溶血性貧血;自己免疫性血小板減少症;無顆粒球症;悪性貧血;巨赤芽球性貧血;赤血球形成不全;骨粗鬆症;肺線維症;特発性間質性肺炎;皮膚筋炎;尋常白斑;尋常性魚鱗癬;光線アレルギー性感受性;皮膚T細胞リンパ腫;結節性多発性動脈炎;ハンチントン舞踏病;シドナム舞踏病;心筋症;心筋炎;強皮症;ウェゲナー肉芽腫症;シェーグレン症候群;脂肪過多;エオジン好性細胞筋膜症(fascitis);歯肉、歯根膜、歯槽骨、歯セメント質の病変;男性パターン脱毛症または老人性脱毛症(alopecia senilis);筋ジストロフィー;膿皮;セザリー症候群;脳下垂体炎;慢性副腎不全;アジソン病;保存により生じる器官の虚血-再灌流傷害;内毒素ショック;偽膜性大腸炎;薬物または放射線によって生じる大腸炎;虚血性急性腎不全;慢性腎不全;肺癌;リンパ様起源悪性腫瘍;急性または慢性リンパ性白血病;リンパ腫;肺気腫;白内障;シデローシス;網膜色素変性症;老人性黄斑変性症;硝子体(vitreal)瘢痕;角膜アルカリ火傷;皮膚炎紅斑;水疱性(ballous)皮膚炎;セメント皮膚炎;歯肉炎;歯周病;敗血症;膵炎;末梢血管疾患;発癌;固形癌腫瘍;癌腫転移;高山病;自己免疫肝炎;原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;部分的肝切除術;急性肝壊死;肝硬変;アルコール性肝硬変;肝不全;劇症肝不全;遅発性肝不全;および「急性-対-慢性」肝機能不全。
【0049】
式(I)の化合物で治療され、および/または予防される好ましい疾患または障害は、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、角膜および皮膚などの移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、乾癬、乾癬性関節炎、橋本甲状腺炎などの甲状腺炎、ブドウ膜網膜炎を含む自己免疫性の症候群;鼻炎、結膜炎、皮膚炎などのアトピー性疾患;喘息;I型糖尿病;リウマチ熱および感染後の糸球体腎炎を含む感染後の自己免疫疾患;固形癌および腫瘍転移からなる群より選択される。
【0050】
式(I)の化合物で治療され、および/または予防される特に好ましい疾患または障害は、腎臓、肝臓、心臓および肺から選択される移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病および橋本甲状腺炎から選択される自己免疫症候群;並びにアトピー性皮膚炎からなる群より選択される。
【0051】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に活性な量を被験体に投与することを含む、本明細書において言及した疾患もしくは障害の予防または治療のための方法にも関する。
【0052】
さらにまた、式(I)の化合物は、1つまたはいくつかの免疫調節薬と組み合わせて、本明細書において言及した疾患および障害の予防および/または治療のために有用である。本発明の好ましい態様によれば、前記薬剤は、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、NSAID's、細胞毒、接着分子阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン受容体アンタゴニストおよび組換えサイトカイン受容体からなる群より選択される。
【0053】
また、本発明は、任意に1つまたはいくつかの免疫調節薬と組み合わせて使用するための、本明細書において言及した疾患および障害の予防または治療のための医薬組成物の製造のための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0054】
また、本発明は、インビボでそれ自体式(I)の化合物に変換する式(I)の化合物のプロドラッグに関する。したがって、式(I)の化合物に対するいずれの言及も、適切かつ好都合な場合、式(I)の化合物の対応するプロドラッグも指すことが理解されるはずである。
【0055】
式(I)の化合物は、以下の方法によって、実施例に示された方法によって、または類似の方法によって製造することができる。最適反応条件は、使用する具体的反応物または溶媒によって変更してもよいが、このような条件は、当業者により、ルーチンの最適化手順によって決定することができる。
【0056】
本発明の式(I)の化合物は、以下に概説した反応の一般的な順序に従って製造することができる。式(I)の化合物を導く合成可能性のうちのいくつかのみを記載してある。
【0057】
【化4】

【0058】
式(I)の化合物は、構造1の化合物をLiOH水溶液、NaOH水溶液、KOH水溶液、その他などの塩基またはHCl水溶液、TFA、その他などの酸と、THF、ジオキサン、DMF、DMSO、DCMその他などのさらなる溶媒の有無において反応することによって製造してもよい。構造1の化合物は、式(II)の化合物の水素付加によって、またはnが0を表し、mが1を表し、かつR5およびR6が水素を表す場合、Pd/C、Pt/Cなどの触媒の存在下において、メタノール、エタノール、THF、その他またはこれらの混合物などの溶媒中において式(III)の化合物の水素付加によって製造してもよい。
【0059】
【化5】

【0060】
式(II)の化合物は、構造2の化合物を、構造3の化合物と、HClの存在下において、エタノール、イソプロパノール、その他もしくはこれらの混合物などの溶媒中で、またはNaOH、LiOHまたはKOHの存在下において、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合物などの溶媒中で、好ましくは0℃〜70℃間の温度において、縮合することによって製造してもよい。同様に、式(III)の化合物は、構造2の化合物を構造4の化合物との縮合することによって製造してもよい。
【0061】
【化6】

【0062】
構造2の化合物は、式中Rがメチル、エチルまたはトリフルオロメチルである構造5の化合物を、MeLiと、ジエチルエーテルもしくはTHFまたはその混合物などの溶媒中で、-20℃〜35℃の間の温度において反応することによって製造してもよい。あるいは、構造2の化合物は、また、式中Rがメチル、エチルまたはトリフルオロメチルである構造6の化合物を、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロライドまたはメチルマグネシウムヨードと反応することによって製造してもよい。構造6のWeinrebアミドは、構造5の酸をN,O-ジメチルヒドロキシルアミンハイドロクロライドと、EDC、DCC、その他などのカップリング試薬の存在下において反応することによって製造してもよい(Lit.たとえば、M. Mentzel, H. M. R. Hoffmann, Journal fuer Praktische Chemie/Chemiker-Zeitung 339 (1997), 517-524; J. Singh, N. Satyamurthi, I. S. Aidhen, Journal fuer Praktische Chemie (Weinheim, Germany) 342(2000), 340-347; V. K. Khlestkin, D. G. Mazhukin, Current Organic Chemistry 7(2003), 967-993)。
【0063】
構造5の化合物は、構造7の化合物を、NaOH水溶液、LiOH水溶液、KOH水溶液、その他などの塩基水溶液またはHCl水溶液、TFA、その他などの酸と、水、エタノール、メタノール、THF、その他またはこれらの混合物などの溶媒中で反応することによって製造してもよい。
【0064】
【化7】

【0065】
構造7の化合物は、構造8の化合物を、NaOMe、NaOEt、KO-tert-Bu、DBU、その他などの非水溶性塩基と、メタノール、エタノール、THF、DMF、その他またはこれらの混合物などの溶媒中で、好ましくは高温にて処理することによって製造される。
【0066】
【化8】

【0067】
構造8の化合物は、構造9の化合物を、2-メルカプト酢酸エステルと、NaH、NaOEt、NaOMe、K-tert-ブトキシド、その他などの塩基の存在下において、THF、ジオキサン、DMF、エタノール、メタノール、その他またはこれらの混合物中で処理することによって製造される。加えて、構造5の化合物は、また、上記の反応順序に続いて、構造9の化合物から開始してワンポット-3工程手順で製造してもよい。
【0068】
【化9】

【0069】
構造9の化合物は、構造10の化合物を、オキシルクロライドなどの塩素化剤と、DCM、CHCl3、THF、その他などの溶媒中で反応することによって製造される(Lit.たとえば、R. E. Mewshaw, Richard E. Tetrahedron Lett. 30 (1989), 3753-3756; F. A. Lakhvich, T. S. Khlebnikova, A. A. Akhrem, Zhurnal Organicheskoi Khimii 25 (1989), 2541-2549)。
【0070】
【化10】

【0071】
式中Rが水素、メチルまたはエチルを表す構造10の化合物は、構造11の化合物を、ギ酸エチルまたはギ酸メチル、酢酸メチルまたは酢酸エチル、プロピオン酸メチルまたはプロピオン酸エチル、クロロホルマート、塩化アセチル、その他などの適切なアシル化剤で、K-tert-ブチラート、NaOMe、NaH、LDA、その他などの塩基の存在下において、THF、トルエン、EtOHその他などの溶媒中で、0〜60℃の間の温度でアシル化することによって製造してもよい。(Lit.たとえば、Ch. Kashima, S. Shibata, H. Yokoyama, T. Nishio, Journal of Heterocyclic Chemistry 40 (2003), 773-782; I. Yavari, Issa; M. Bayat, Tetrahedron 59 (2003), 2001-2005; J. P. Konopelski, J. Lin, P. J. Wenzel, H. Deng, G. I. Elliott, B. S. Gerstenberger, Organic Letters 4 (2002), 4121-4124; C. Wiles, P. Watts, S. J. Haswell, E. Pombo-Villar, Tetrahedron Letters 43 (2002), 2945-2948; R. Faure, A. Frideling, J.-P. Galy, I. Alkorta, J. Elguero, Heterocycles 57 (2002), 307-316; via imine: M. Hammadi, D. Villemin, Synthetic Communications 26 (1996), 2901-2904)。
【0072】
【化11】

【0073】
構造11の化合物は、当業者に公知の手順に従って製造される(Lit.たとえば、M. E. Flaugh, T. A. Crowell, D. S. Farlow, Journal of Organic Chemistry 45(1980), 5399-5400; A. M. Badger, M. J. Dimartino, C. K. Mirabelli, E. N. Cheeseman, J. W. Dorman, D. H. Picker, D. A. Schwartz, Eur. Pat. Appl. EP 310321 A2 (1989); N. R. Natale, R. O. Hutchins, Organic Preparations and Procedures International 9 (1977), 103-108; L. M. Rice, B. S. Sheth, J. W. Wheeler, Journal of Heterocyclic Chemistry 10 (1973), 731-735)。
【0074】
加えて、式中Rがメチルまたはエチル基を表す構造5の化合物は、好ましくは、式中Rが水素を表す構造5の化合物(構造12)から、後者の化合物を、n-BuLi、tert-BuLi、LDA、その他などの過剰な強塩基と、THF、ジエチルエーテル、その他などの溶媒において、続いて適切なアルキル化剤、例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチルと反応することによって製造される(Lit.たとえば、W.-D. Liu, C.-C. Chi, I.-F. Pai, A.-T. Wu, W.-S. Chung, Journal of Organic Chemistry 67 (2002), 9267-9275; D. W. Knight, A. P. Nott, Tetrahedron Letters 21 (1980), 5051-5054; R. Raap, Canadian Journal of Chemistry 49 (1971), 2155-2157)。
【0075】
R1がトリフルオロメチル基を表す構造2の化合物は、好ましくは下記に概説した順序によって製造される。それ故、構造12の化合物は、構造13のそのWeinrebアミドに変換されて、これがLDAなどの強塩基での処理、続くTHFなどの溶媒中で低温(たとえば-78℃)におけるヨウ素の添加によってヨウ素化される。
【0076】
構造14のヨウ素化された化合物をメチルクロロジフルオロアセテートと、文献に記載されているように反応させて(例えば、D. E. Nichols, S. Frescas, D. Marona-Lewicka, X. Huang, B. L. Roth, G. A. Gudelksy, J. F. Nash, J. Med. Chem.37 (1994), 4346-4351)、構造15のトリフルオロメチルに化合物を与える。構造15の化合物の、メチルグリニャール試薬またはメチルリチウムでの処理によりは、R1がトリフルオロメチル基を表す構造2の化合物を与える。
【0077】
【化12】

【0078】
以下のスキームは、構造3および4の化合物を製造するための合成の経路を図示する。
【0079】
【化13】

(Lit.たとえば、F. Orsini, F. Pelizzoni, Synthetic Comm. 17 (1987), 1389-1402)
【0080】
【化14】

(Lit.たとえば、H. Kotsuki, P. K. Datta, H. Suenaga, Synthesis 1996, 470-472;トリフレートの代わりにブロミドまたはヨウ化物については、たとえばV. P. Baillargeon, J. K. Stille, J. Am. Chem. Soc. 108 (1986), 452-461; M. J. Gomez-Escalonilla, F. Langa, J.-M. Rueff, L. Oswald, J. F. Nierengarten, Tetrahedron Lett. 43 (2002), 7507-7511; H. Aust, D. Ickenroth, H. Meier, J. Prakt. Chem. 341 (1999), 523-528; Y. Li, B. He, B. Qin, X. Feng, G, Zhang, J. Org. Chem.69 (2004), 7910-7913を参照されたい)。
【0081】
【化15】

(Lit.たとえば、G. Battistuzzi, S. Cacchi, G. Fabrizi, Org. Lett. 5(2003), 777-780; N. J. Lawrence, S. Brown, Tetrahedron 58 (2002), 613-619; D. J. Wardrop, M. S. Burge, Chem. Comm. 2004, 1230-1231)
【0082】
【化16】

(Lit.たとえば、Y. Li, B. He, B. Qin, X. Feng, G, Zhang, J. Org. Chem.69 (2004), 7910-7913, T. Azemi, M. Kitamura, K. Narasaka, Tetrahedron60 (2004), 1339-1344; A. Krasovskiy, P. Knochel, Angew. Chem. Int. Ed. 43 (2004), 3333-3336; T. P. Zabawa, D. Kasi, S. R. Chemler, J. Am. Chem. Soc.127 (2005), 11250-11251)。
【0083】
【化17】

(Lit.たとえば、W. P. Gallagher, R. E. Maleczka, J. Org. Chem.68 (2003), 6775-6779, A.-Y. Peng, Y.-X. Ding, J. Am. Chem. Soc. 125 (2003), 15006-15007)。
【0084】
【化18】

(Lit.たとえば、R. A. Fernandes, M. S. Bodas, P. Kumar, Tetrahedron 58 (2002), 1223-1227; V. P. Baillargeon, J. K. Stille, J. Am. Chem. Soc. 108 (1986), 452-461)。
【0085】
構造1の化合物を製造するための代わりの経路を下記のスキームに示してある。構造17の化合物は、構造2の化合物を、構造16の化合物と、前述の塩基性または酸性条件下で縮合することによって得られる。構造16の化合物は、市販されているか、または当業者に公知の標準的な方法に従って製造される。たとえばトリフルオロメタンスルホン酸無水物での、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下における構造17の化合物の処理により、構造18の化合物を与える。構造18の化合物の、構造19の化合物とのPd触媒Heck型カップリング反応により、構造20の対応する化合物を与える(Lit.たとえば、G. Battistuzzi, S. Cacchi, G. Fabrizi, Org. Lett. 5 (2003), 777-780)。適用される反応条件に応じて、R6がヒドロキシ基を表す場合に存在するアルコール官能性は、一時的に保護する必要があろう。次いで、構造20の化合物に存在する二重結合は、構造1に開示した所望のモチーフへとさらに生成してもよい。これらの工程は、上記の構造3および4の化合物の製造のために概説したものと類似しており、したがって飽和誘導体を得るための単純な水素付加またはたとえばKMnO4もしくは触媒量のOsO4をNメチルモルホリン-N-オキシド(NMO)の存在下において使用するジヒドロキシル化を含んでいてもよく、これにより、ベンジリックアルコールの還元的除去を行ってもよい(Lit.たとえば、N. J. Lawrence, S. Brown, Tetrahedron 58 (2002), 613-619; D. J. Wardrop, M. S. Burge, Chem. Comm. 2004, 1230-1231)。アルケンではなくアルキンで、クロスカップリング反応を行ってもよい(Sonogashirカップリング、たとえばW. P. Gallagher, R. E. Maleczka, J. Org. Chem. 68(2003), 6775-6779; A.-Y. Peng, Y.-X. Ding, J. Am. Chem. Soc. 125(2003), 15006-15007)。次いで、このような生成されたエチニルベンゼン誘導体には、連続またはワンステップ様式で、対応する飽和化合物へと水素付加してもよい。
【0086】
【化19】

【実施例】
【0087】
以下の実施例は、本発明を例証するが、これらの範囲を全く限定しない。
【0088】
すべての温度は、℃で述べてある。化合物は、1H-NMR(300MHz)または13C-NMR(75MHz)によって(Varian Oxford;化学シフトは、使用する溶媒と関連して、ppmで示してある;多重度:s =一重項、d =二重項、t =三重項;p =四重項、hex= 五重項、hept= 六重項、m =多重項、br =広域、結合定数は、Hzで示してある);LC-MSによって(HP 1100 Binary PumpおよびDADを備えたFinnigan Navigator、カラム:4.6×50 mm、Zorbax SB-AQ、5μm、120Å、勾配:5〜95%のアセトニトリルの水溶液、1分、0.04%のトリフルオロ酢酸を含む、流速: 4.5 mL/分)、tRは、分で示してある;TLCによって(MerckからのTLC-プレート、Silica gel 60 F254);または融点によって特徴付けてある。化合物は、調製用HPLCによって(条件は、他に明示していない場合:カラム:X-terra RP18、50×19 mm、5μm、勾配:0.5%のギ酸を含む10〜95%のアセトニトリルの水溶液)またはMPLCによって(Labomatic MD-80-100ポンプ、Linear UVIS-201検出器、カラム:350×18 mm、Labogel-RP-18-5s-100、勾配:10%のメタノール水溶液〜100%のメタノール)精製される。
【0089】
略語(本明細書で使用したもの)
aq. 水溶液
atm 雰囲気
BSA ウシ血清アルブミン
Bu ブチル
cat. 触媒
CC カラムクロマトグラフィー
d 日(数日)
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス-7-エヌ
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIBAL ジイソブチルアルミニウムヒドリド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン、Hunig塩基、エチル-ジイソプロピルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
EDC N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチル-カルボジイミド
Et エチル
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HV 高真空状態
i-Prop イソプロピル
LC-MS 液体クロマトグラフィー−質量分析
LDA リチウム・ジイソプロピルアミド
Me メチル分
min 分
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
NMO N-メチルモルホリン-N-オキシド
NMP 1-メチル-2-ピロリドン
OAc アセテート
OTMS トリメチルシリルオキシ
Ph フェニル
prep. 調製用
p-TSOH p‐トルエンスルホン酸
rt 室温
sat. 飽和
S1P スフィンゴシン1-リン酸
TBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,2,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフ
Tf トリフルオロメタンスルホニル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMSCN トリメチルシリルシアニド
tR 保持時間
【0090】
【化20】

a)4,4-ジメチル-シクロヘキセ-2-エノン(50 g、403 mmol)のEA(230ml)溶液に、Pd/C(2.5g、10% Pd)のEA中の懸濁液を添加する。懸濁液を室温にて2時間1bar H2下で撹拌する。触媒を濾過して、濾液の溶媒を慎重に蒸発させて、無色の油として4,4-ジメチルシクロヘキサノン(50g)を得て、これをゆっくりと結晶化させる。 1H NMR (CDCl3): δ 2.34 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 1.66 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 1.09 (s, 6H)。
【0091】
b)K-tertブチラート(24.5g、109mmol、tert-ブタノール中の50%の溶液)のTHF(700ml)溶液の氷冷溶液に、エチルホルマート(120mL、123mmol)をゆっくり添加する。混合物を室温にて30分間撹拌した後、4,4-ジメチルシクロヘキサノン(50g、396mmol)のエチルホルマート(50mL)およびTHF(70mL)溶液を20分の期間にわたって添加する。完全に添加時に、撹拌を15〜20℃にて30分間つづける。オレンジの懸濁液を10%クエン酸水溶液(200mL)および鹹水(200mL)に注ぎ、EA(2×200mL)で抽出する。有機抽出物を0.2N NaOH水溶液および鹹水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、乾燥にまで蒸発させ、黄色の油として5,5-ジメチル-2-オキソ-シクロヘキサンカルボアルデヒド(52g)を得る;LC-MS: tR = 0.89 min, [M+1+CH3CN]+ = 196.15。
【0092】
c)5,5-ジメチル-2-オキソ-シクロヘキサンカルバルデヒド(51g、331mmol)のクロロホルム(250mL)溶液に、塩化オキサリル(40mL、465mmol)を迅速に添加する。3〜4分間撹拌した後に、氷、続いて2N NaOH水溶液(100mL)を添加する。有機相を分離して、水相をもう一度クロロホルムで抽出する。合わせた有機抽出物を、水で洗浄して、Na2SO4上で乾燥させる。溶媒を真空中で除去し、褐色油として2-クロロメチレン-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(50g)を得る;LC-MS:tR =0.96 min。
【0093】
d)新たに調整したナトリウム(21g、875mmol)のエタノール(500mL)溶液の一部(300ml)に、メルカプト酢酸エチルエステル(50mL)を添加する。生じる溶液を10分の期間にわたって2-クロロメチレン-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(50g、290mmol)のTHF(170mL)溶液に添加する。混合物を暖める(50℃)。完全に添加時に、新たに調整したナトリウムのエタノール(200mL)溶液の残りの部分を反応混合物に添加する。混合物を室温にて15分間撹拌後、1N LiOH溶液(300mL)水溶液を添加する。溶液を3時間還流して、次いで室温にて16時間撹拌する。THFおよびエタノールを減圧下で除去して、残りの暗い溶液をヘプタン/EA 3:1(2×200mL)で抽出する。水相をクエン酸(30g)および2N HCl(200mL)水溶液を添加することによって酸性化し、次いでEAで3回抽出する。合わせた有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液で3回洗浄し、Na2SO4上で乾燥させて、蒸発させる。生じる濃褐色の油をアセトニトリルに60℃にて溶解して、5℃にて結晶化させる。結晶を収集し、アセトニトリルで洗浄して、乾燥させ、わずかに灰色の粉末として5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(31g)を得る;LC-MS: tR = 0.95 min, [M+1+CH3CN]+ = 252.18; 1H NMR (CDCl3): δ 7.15 (s, 1H), 3.05 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.47 (s, 2H), 1.58 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 0.97 (s, 6H)。
【0094】
【化21】

1)骨格Aを経て
-78℃にて、5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(5g、23.8mmol)のTHF溶液をtert-ブチルリチウム(41mL、1.5Mのペンタン溶液)で処理する。混合物を-78℃にて15分間撹拌した後、ヨウ化メチル(17.1g、120mmol)を滴状に添加する。-78℃にて30分間撹拌を続ける。混合物を、室温に暖め、水(400mL)で希釈して、10%クエン酸水溶液で酸性化し、EAで3回抽出する。合わせた有機抽出物をMgSO4上で乾燥させて、蒸発させる。残りの固体をヘプタン/ジエチルエーテルに懸濁し、濾過して、HV下で乾燥させ、ベージュ粉末として3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(4.01g)を得る; LC-MS: tR = 0.97 min; [M+1] = 225.13; 1H NMR (D6-DMSO): δ 12.49 (s br, 1H), 2.87 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.26 (s, 5H), 1.45 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 0.91 (s, 6H)。
【0095】
2)4,4-ジメチルシクロヘキサノンから開始する直接経路
a)NaH(2.88g、鉱油中の60%分散、60mmol)のトルエン(25ml)中の懸濁液に、EA(6.5ml、66mmol)を添加する。混合物を室温にて5分間撹拌した後、4,4-ジメチルシクロヘキサノン(2.52g、20mmol)のEA(6mL)溶液を添加する。混合物を55℃まで加熱すると、活発な反応が始まる。白から灰色の懸濁液がオレンジに変わり、透明になる。透明溶液を氷/水上へ注ぎ、EAで抽出する。水相をpH 4〜5に酸性化して、もう一度EAで抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、黄色の油として2-アセチル-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(2.00g)を得る; 1H NMR (CDCl3): δ 2.35 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.12 (s, 2H), 2.10 (s, 1H), 1.48 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 0.98 (s, 6H)。
【0096】
b)0℃にて、2-アセチル-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(5.00g、29.7mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を塩化オキサリル(7.54g、59.4mmol)で処理する。混合物を60℃まで加熱して、15分間撹拌後、これを水に注ぐ。有機相を分離して、飽和NaHCO3水溶液および鹹水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させて、乾燥まで蒸発させ、褐色油として粗製2-(1-クロロ-エチリデン)-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(3.2g、位置異性体を含む)を得る;LC-MS:tR =1.00min。
【0097】
c)NaOEt(10mLの2.5Mのエタノール溶液、25mmol)のTHF(10mL)中の混合物に、メルカプト酢酸エチルエステル(3.09g、25.7mmol)、続いて上記の2-(1-クロロ-エチリデン)-4,4-ジメチル-シクロヘキサノン(3.2g、17.14mmol)の溶液を添加する。生じる溶液を60℃にて45分間撹拌する。混合物を水で希釈して、EAで抽出する。有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、蒸発させて、ヘプタン/トルエンおよび次いでヘプタン/EAで溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、褐色油として、位置異性体3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステルを含む3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(3.1g)を得る。解析試料を調製用HPLCによって精製して、無色の油として純粋な3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステルを得る;LC-MS: tR = 1.13 min; [M+1] = 252.99; 1H NMR (CDCl3): δ 4.29 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.30 (s, 3H), 2.26 (s, 2H), 1.52 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.34 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.96 (s, 6H)。
【0098】
d)3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸エチルエステル(3.0g、11.9mmol)のエタノール(100mL)溶液に、2N LiOH水溶液(50mL)を添加する。反応混合物を65℃にて2時間撹拌した後、エタノールをロータベーパー(rotavapor)で除去する。残りの溶液を一度ヘプタンで抽出して、クエン酸でpH 2に酸性化し、EAで3回抽出する。EA抽出物を合わせて、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させて、乾燥させ、固体のベージュとして、位置異性体3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸を含む3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸(1.6g)を得る。LC-MS:tR =0.98min、[M+1]=225.14。
【0099】
【化22】

5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(960mg、4.57mmol)のTHF (19mL)の冷却溶液(-78℃)に、tert-ブチルリチウム(8mL、1.5Mのペンタン溶液)を添加する。混合物を-78℃にて10分間撹拌した後、ヨウ化エチル(3.80g、24.37mmol)を添加する。反応混合物を-78℃にて3時間撹拌する。水/メタノール1:1(8mL)、続いて10%クエン酸水溶液を添加して、混合物をEAで抽出する。合わせた有機抽出物を鹹水で洗浄して、Na2SO4上で乾燥させて、蒸発させる。残りの固体をアセトニトリル(6mL)に懸濁して、60℃まで加熱して、室温に冷却し、濾過して、乾燥させ、わずかにベージュの固体として3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(640mg)を得る;LC-MS:tR =1.01min、[M+1+CH3CN]=280.10。
【0100】
【化23】

3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(4.10g、18.28mmol)のジエチルエーテル(300mL)中の懸濁液に、メチルリチウム(23mL、1.6Mのジエチルエーテル溶液)を室温にてゆっくり添加する。反応混合物は透明な黄色で、わずかに暖かく(26℃)なり、15分間撹拌後、これを水でクエンチする。有機層を分離して、もう一度水で洗浄して、MgSO4上で乾燥させて、蒸発させる。粗生成物を、ヘプタン:EA 4:1で溶出するシリカゲルでのCCによって精製して、淡黄色の結晶性固体として-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(2.80g)を得る;LC-MS: tR = 1.06 min; [M+1] = 223.17; 1H NMR (CDCl3): δ 3.00 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.31 (s, 3H), 2.26 (s, 2H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 0.95 (s, 6H)。
【0101】
【化24】

3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(2.10g、8.81mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液に、メチルリチウム(11mL、1.6Mのジエチルエーテル溶液)の溶液を室温にて添加する。淡黄色の溶液を室温にて15分間撹拌した後、メチルリチウム(2mL)のさらに一部を添加する。撹拌を15分間続けて、メチルリチウム(1mL)のさらなる一部を添加して、混合物を室温にて15分間再び撹拌する。反応を水でクエンチする。有機層を分離して、もう一度水で洗浄して、MgSO4上で乾燥させて、蒸発させる。粗生成物を、ヘプタン:EA 7:3で溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、淡黄色の固体として1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(1.65g)を得る;LC-MS: tR = 1.00 min; [M+1] = 237.15; 1H NMR (CDCl3): δ 3.03 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.73 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.31 (s, 2H), 1.55 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.97 (s, 6H)。
【0102】
【化25】

a)5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸(20g、95mmol)のDMSO(150mL)の溶液に、N,O-ジメチルヒドロキシルアミンハイドロクロライド(12.06g、124mmol)およびDIPEA(65mL、380mmol)、続いてTBTU(33.59g、105mmol、DMF (70mL)に溶解したもの)を添加する。反応混合物を室温にて2時間撹拌後、これを水/氷に注いで、ジエチルエーテル(2×100mL)で2回抽出する。有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液、10%クエン酸水溶液および鹹水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させて、乾燥させ、褐色油として5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(23g)を得る;LC-MS:tR =1.01min、[M+1]=254.14。
【0103】
b)ジイソプロピルアミン(11.02g、109mmol)のTHF(400ml)溶液に0〜5℃にてn-ブチルリチウム(72.7ml、109mmol、1.5Mのペンタン溶液)を添加する。溶液を-78℃に冷却して、5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(23g、91mmol)のTHF(100mL)溶液を添加する。完全に添加時に、混合物を-78℃にて20分間撹拌後、ヨウ素(30g、119mmol)のTHF(100mL)溶液を添加する。撹拌を-78℃にて30分間続ける。水/メタノール(20mL)の1:1混合物をゆっくりと添加することによって、反応をクエンチする。溶液を水(400mL)で希釈して、ジエチルエーテル(3×100mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を10%クエン酸水溶液および鹹水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物を、DCMで溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、褐色がかった油として 3-ヨード-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(18g)を得る;LC-MS:tR =1.09min、[M+1]=380.21。
【0104】
c)3-ヨード-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(18g、47mmol)、CuI (14.5g、76mmol)およびKF (4.4g、76mmol)をDMF(80ml)に溶解する。溶液を134℃まで加熱して、メチルクロロジフルオロアセテート(16.26g、113mmol)を、シリンジポンプを介して4時間の期間にわたって添加する。気体発生が観察される。完全に添加時に、混合物を冷却して、水/氷に注ぐ。形成する沈殿物を収集して、DCM(600mL)に懸濁し、セライトパッドを通して濾過する。濾液を0.5N HCl(250mL)水溶液、続いて飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させ、褐色油として 5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(14g)を得る;LC-MS:tR =1.10min、[M+1]=322.20。
【0105】
d)5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(14g、44mmol)のジエチルエーテル(400mL)溶液を室温にてメチルリチウム(80ml、1.6Mのジエチルエーテル溶液)で処理する。完全に添加時に、混合物を室温にて15分間撹拌後、これを水/氷上へ注いで、HCl水溶液で中和する。エーテル相を分離して、水相を更に2回ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出する。有機抽出物を鹹水で洗浄して、MgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物を20〜30%のDCMを含むヘプタンで溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、黄色の油として1-(5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(9.1g)を得る;LC-MS: tR = 1.11 min; [M+1+CH3CN] = 318.34; 1H NMR(CDCl3): δ 3.04 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.57 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 2.53 (s, 3H), 1.58 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 0.99 (s, 6H)。
【0106】
【化26】

a)4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンズアルデヒド(5.0g、33.3mmol)のDCM(50ml)およびピリジン(8ml)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(6ml、36.6mmol)を0℃にてゆっくり添加する。完全に添加時に、室温にて2時間撹拌を続ける。反応混合物をEAで希釈して、水で3回洗浄する。分離した有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物をヘプタン:EA 4:1で溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、わずかに黄色の固体としてトリフルオロ-メタンスルホン酸4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニルエステル(5.3g)を得る;1H NMR (CDCl3): δ 9.97 (s, 1H), 7.66 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。
【0107】
b)トリフルオロ-メタンスルホン酸4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニルエステル(4.7g、16.7mmol)の乾燥DMF(75mL)中の撹拌溶液にアルゴン下でトリエチルアミン(3.4g、33.3mmol)、メチルアクリラート(14.3g、167mmol)、1,3-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-プロパン(378mg、0.92mmol)およびPd(OAc)2(187mg、0.83mmol)を室温にて連続して添加する。混合物を115℃まで加熱して、5時間撹拌する。混合物をジエチルエーテル(350mL)で希釈して1N HCl水溶液で2回、飽和NaHCO3水溶液で1回洗浄する。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。残渣をヘプタン:EA 5:1で溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、わずかに黄色の固体として3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-アクリル酸メチルエステル(2.9g)を得る;LC-MS:tR =0.96min。
【0108】
c)3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-アクリル酸メチルエステル(2.9g、13.3mmol)のメタノール(70mL)溶液に、2N NaOH水溶液(35mL)を添加する。懸濁液を室温にて30分間撹拌する。メタノールを蒸発させて、水溶液をDCMで2回抽出する。推層を2N HCl水溶液で酸性化し、EAで2回抽出する。合わせたEA抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物をEAから再結晶させ、淡黄色の結晶として3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-アクリル酸(2.2g);LC-MS:tR = 0.83分を得る;LC-MS: tR= 0.83 min; 1H NMR (D6-DMSO): δ 12.65 (s br, 1H), 9.92 (s, 1H), 7.66 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 7.61 (s, 2H), 6.12 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.35 (s, 6H)。
【0109】
【化27】

a)3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-アクリル酸(2.2g、10.8mmol)およびDIPEA (2.0mL、11.9mmol)のエタノール(80mL)溶液に、Pd/C(200mg、50%の水で湿らせた10% Pd)を添加する。懸濁液を1barのH2下で1時間勢いよく撹拌する。混合物を、セライトを通して濾過して、濾液を蒸発させる。残渣を1N HCl水溶液/氷上に注ぎ、EAで抽出する。有機抽出物を1N HCl水溶液で一度、鹹水で一度洗浄して、MgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させ、淡黄色の樹脂として3-(4-ヒドロキシメチル-2,6-ジメチル-フェニル)-プロピオン酸(2.2g)を得る;LC-MS:tR =0.71min。
【0110】
b)3-(4-ヒドロキシメチル-2,6-ジメチル-フェニル)-プロピオン酸(960mg、4.6mmol)の酢酸(20mL)溶液に、MnO2(1440mg、16.6mmol)を添加する。混合物を80℃にて4.5時間撹拌した後、これを濾過する。濾液を蒸発させて、粗生成物を、8%のメタノールを含むDCMで溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、ベージュ固体として3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-プロピオン酸(800mg)を得る;LC-MS: tR = 0.81 min; 1H NMR (D6-DMSO): δ 12.2 (s br, 1H), 9.86 (s, 1H), 7.52 (s, 2H), 2.93-2.85 (m, 2H), 2.38-2.30 (m, 8H)。
【0111】
【化28】

3-(2-エチル-4-ホルミル-6-メチル-フェニル)-アクリル酸は、ビルディングブロックAと同様に製造される;LC-MS: tR= 0.87 min; 1H NMR (CDCl3): δ 9.98 (s, 1H), 7.96 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.59 8s, 1H), 6.13 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.75 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.42 (s, 3H), 1.25 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0112】
【化29】


3-(2-エチル-4-ホルミル-6-メチル-フェニル)-プロピオン酸は、ビルディングブロックCから開始してビルディングブロックBと同様に製造される;LC-MS: tR = 0.86 min; 1H NMR (CDCl3): 9.93 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 3.11-3.04 (m, 2H), 2.75 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.56-2.50 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.28 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0113】
【化30】

1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(400mg、1.69mmol)、3-(4-ホルミル-2,6-ジメチル-フェニル)-プロピオン酸(419mg、2.03mmol)およびNaOH(1.7g、42.5mmol)のメタノール(17mL)溶液を75℃にて75分間撹拌後、これを1N HCl水溶液で希釈し、EAで2回抽出する。有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物を6%のメタノールを含むDCMで溶出するシリカゲルでのCCによって精製し、淡黄色の固体として3-{4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-2,6-ジメチル-フェニル}-プロピオン酸(620mg)を得る;LC-MS: tR= 1.17 min; [M+1] = 425.34; 1H NMR(CDCl3): δ 7.68 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 7.28 (s, 2H), 7.27 (d, J = 15.8 Hz, 1H), .3.18 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.06-2.98 (m, 2H), 2.78 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.54-2.48 (m, 2H), 2.39 (s, 6H), 2.34 (s, 2H), 1.58 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.32 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0114】
【化31】

1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(143mg、0.606mmol)および3-(2-エチル-4-ホルミル-6-メチル-フェニル)-プロピオン酸(200mg、0.908mmol)のエタノール(15mL)溶液を5N HClのイソプロパノール(3mL)溶液で処理する。濃褐色の反応混合物を室温にて3時間、次いで50℃にて48時間撹拌した後、DIPEA(4mL)を添加する。溶媒を真空中で除去して、粗生成物を調製用HPLC(Grom-Sil120 ODS-4-HE、30×75 mm、10μm、アセトニトリル/水(0.5%のHCOOH)、10%〜95%のアセトニトリル)によって精製して、黄色の油として3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸エチルエステル(157mg)を得る;LC-MS:tR =1.27min、[M+1]=467.43。
【0115】
【化32】

1-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノン(200mg、0.846mmol)および3-(2-エチル-4-ホルミル-6-メチル-フェニル)-アクリル酸(203mg、0.931mmol)のメタノール性NaOH(8mL、10g NaOHの100mLメタノール溶液)を室温にて3時間撹拌した後、これを2N HCl水溶液を添加することによってpH 1に慎重に酸性化する。混合物をDCMで2回抽出して、有機抽出物を水および鹹水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させる。粗生成物をアセトニトリル(40mL)から結晶化して、黄色の結晶として3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-6-メチル-フェニル}-アクリル酸(222mg)を得る。母液から、生成物の二次生成物(29mg)を精製後、調製用HPLC(Grom-Sil 120 ODS-4-HE、30×75 mm、10μm、アセトニトリル/水(0.5%のHCOOH)、20%〜95%のアセトニトリル)によって得ることができる;LC-MS:tR =1.20min、[M+1]=437.31。
【0116】
【化33】

【0117】
3-{2-エチル-6-メチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロペニル]-フェニル}-アクリル酸は、1-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-エタノンおよび3-(2-エチル-4-ホルミル-6-メチル-フェニル)-アクリル酸から、中間体2Bと同様に製造される;LC-MS: tR = 1.17 min; [M+1] = 423.34; 1H NMR (CDCl3): δ 7.97 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 7.33 (s, 2H), 7.28 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.13 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 3.16 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.77 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.39 (s, 3H), 2.32 (s, 2H), 1.57 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.24 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.00 (s, 6H)。
【0118】
【化34】

3-{4-[3-(5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-2-エチル-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸エチルエステルは、中間体2Aと同様に、骨格FおよびビルディングブロックDから製造される;LC-MS:tR =1.29min、[M+1]=506.68。
【0119】
【化35】

3-{2,6-ジメチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロペニル]-フェニル}-アクリル酸(570mg)は、骨格D(415mg、1.87mmol)をビルディングブロックB(381mg、1.87mmol)と縮合することにより、中間体2Bと同様に得られるに;LC-MS:tR =1.17min、[M+1]=409.21。
【0120】
実施例1
【化36】


3-{4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-2,6-ジメチル-フェニル}-プロピオン酸(610mg、1.44mmol)およびDIPEA(204mg、1.58mmol)のエタノール(30mL)溶液に、Pd/C(300mg、50%の水で湿らせた10% Pd)を添加する。スラリーを室温にて1気圧H2下で18時間撹拌する。混合物を濾過して、濾液を蒸発させる。粗生成物を調製用HPLC(Grom-Sil 120 ODS-4-HE、30×75 mm、10μm、アセトニトリル/水(0.5%のHCOOH)、20%〜95%のアセトニトリル)によって精製し、無色の親液性物(lyophilisate)として、3-{4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2,6-ジメチル-フェニル}-プロピオン酸(460mg)を得る;LC-MS: tR = 1.15 min; [M+1] = 427.40; 1H NMR (CDCl3): δ 6.91 (s, 2H), 3.10-2.90 (m, 8H), 2.73 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.53-2.46 (m, 2H), 2.32 (s, 6H), 2.30 (s, 2H), 1.54 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.97 (s, 6H)。
【0121】
実施例2
【化37】

a)3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロペニル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸エチルエステル(153mg、0.328mmol)のエタノール溶液に、Pd/C (80mg、50%の水で湿らせた10% Pd)を添加して、生じるスラリーを室温にて1bar H2下で72時間撹拌する。反応混合物を濾過して、濾液を蒸発させる。粗生成物を調製用HPLC(Grom-Sil 120 ODS-4-HE、30×75 mm、10μm、アセトニトリル/水(0.5%のHCOOH)、20%〜95%のアセトニトリル)によって精製し、非晶質の固体として3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸エチルエステル(95mg)を得る;LC-MS:tR =1.26min、[M+1]=469.40。
【0122】
b)3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸エチルエステル(92mg、0.196mmol)のエタノール(2mL)溶液を2N NaOH(2mL)水溶液で処理する。溶液を室温にて1時間撹拌した後、溶媒を真空中で除去する。残渣を2N HCl水溶液に溶解し、EAで抽出する。有機抽出物を鹹水で洗浄して、Na2SO4上で乾燥させ、濾過して、蒸発させ、非晶質の固体として3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸を得る;LC-MS: tR= 1.16 min; [M+1] = 441.36; 1H NMR (CDCl3): δ 6.95 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 3.12-2.94 (m, 8H), 2.74 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.66 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.56-2.48 (m, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.32 (s, 2H), 1.56 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 1.29 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.24 (t, J = 7.6 Hz, 3H)。
【0123】
実施例3
【化38】

3-{2-エチル-6-メチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロペニル]-フェニル}-アクリル酸(中間体3;340mg、0.805mmol)およびDIPEA (182mg、1.41mmol)のエタノール溶液に、Pd/C(340mg、50%の水で湿らせた10%Pd)溶液を添加して、生じるスラリーを50℃にて72時間10bar H2下で撹拌する。Pd/Cのさらに一部を添加して、10bar H2下で50℃にて16時間撹拌を続ける。反応混合物を濾過して、濾液を蒸発させる。粗生成物を調製用HPLC(Grom-Sil 120 ODS-4-HE、30×75 mm、10μm、アセトニトリル/水(0.5%のHCOOH)、20%〜95%のアセトニトリル)によって精製し、無色の泡として3-{2-エチル-6-メチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸(154mg)を得る;LC-MS:tR =1.15min、[M+1]=427.30。
【0124】
実施例4
【化39】

3-{4-[3-(5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフ
ェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2-エチル-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸は、中間体4から開始して、実施例2と同様に製造される;LC-MS:tR =1.17min、[M+1]=481.36。
【0125】
実施例5
【化40】


3-{2,6-ジメチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸(430mg)は、中間体5(548mg、1.34mmol)から開始して、実施例3と同様に得られる;LC-MS: tR = 1.13 min; [M+1] = 413.34; 1H NMR (CDCl3): δ 0.97 (s, 6 H), 1.53 (t, J = 6.7 Hz, 2 H), 2.28 (s, 2H), 2.32 (s, 6H), 2.33 (s, 3H), 2.45-2.54 (m, 2 H), 2.89-2.99 (m, 4 H), 2.99-3.10 (m, 4 H), 6.91 (s, 2 H)。
【0126】
実施例6:EC50値を決定するためのGTPγS結合アッセイ法
GTPγS結合アッセイ法は、96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc, 442587)で、組換えヒトS1P1受容体を発現するCHO細胞の膜標品を用いて200μlの最終体積で行った。アッセイ条件は、20mM Hepes(Fluka, 54461)、100mM NaCl(Fluka, 71378)、5mM MgCl2(Fluka, 63064)、0.1%のBSA(Calbiochem, 126609、1μM GDP(Sigma, G-7127)、2.5%のDMSO(Fluka, 41644)、50pMの35S-GTPγS(Amersham Biosciences, SJ1320)である。pHは、7.4である。試験化合物を溶解して、100%のDMSOに希釈し、35S-GTPγSの非存在下で150μlの上記アッセイ緩衝液中で室温にて30分間プレインキュベートする。50μlの、35S-GTPγSの添加後、アッセイを室温にて1時間インキュベートする。アッセイをPackard Biosciencesからのセル‐ハーベスターを使用して反応混合物をMultiscreenプレート(Millipore, MAHFC1H60)に移すことによって終結させて、プレートを氷冷10mM Na2HPO4/NaH2PO4(70%/30%)で洗浄して、乾燥させ、底面を封着して、25μlのMicroScint20(Packard Biosciences, order no. 6013621)を添加後に、上部を封着する。膜結合型の35S-GTPγSをPackard BiosciencesからのTopCountで測定する。
【0127】
EC50は、最大の特異的35S-GTPγS結合の50%を誘導するアゴニストの濃度である。特異的結合は、非特異的結合を最大結合から減算することによって決定する。最大結合は、10μMのS1Pの存在下においてMultiscreenプレートに結合したcpmの量である。非特異的結合は、アッセイにおけるアゴニストの非存在下での結合の量である。
【0128】
表1は、本発明の化合物のEC50値を示す。EC50値は、上記方法に従って決定した。
【表1】

【0129】
実施例7:インビボでの有効性の評価
式(I)の化合物の有効性は、正常圧の雄ウィスターラットに対する3〜30mg/kgの式(I)の化合物の経口投与後に、循環リンパ球を測定することによって評価する。動物は、12時間-光/暗闇サイクルで気候制御条件に収容して、通常のラット固形飼料および飲料水の自由な摂取をさせた。血液は、薬物投与前、並びに後の3、6および24時間に収集する。全血をAdvia Hematologyシステム(Bayer Diagnostics, Zurich, Switzerland)を使用する血液検査に供する。
【0130】
すべてのデータは、平均±SEMとして示してある。統計分析は、多重比較のためにStatistica(StatSoft)およびStudent-Newman-Keuls法を使用して分散分析(分散分析)によって行う。帰無仮説は、p<0.05のときに拒絶する。
【0131】
一例として、表2には、媒体だけで処理した一群の動物と比較して、正常圧の雄ウィスターラットに対する本発明の化合物の10mg/kgの経口投与の6時間後におけるリンパ球カウントに対する効果を示す。
【0132】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のチオフェンからなる群より選択される化合物、並びにこのような化合物の塩、並びに溶媒和物;
【化1】


式中、
R1は、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルを表し;
R2は、水素、C1-4-アルキル、メトキシまたはハロゲンを表し;
R3は、水素、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R4は、水素、C1-4-アルキルまたはハロゲンを表し;
R5は、水素を表し;
R6は、水素またはヒドロキシを表し;
R6がヒドロキシを表す場合、R5は、ヒドロキシを表すこともでき;
nは、0を表し;
mは、0または1を表し;および、
mが1を表す場合、nは、1を表すこともできる。
【請求項2】
R1がエチル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1がメチル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1がトリフルオロメチル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2がメトキシ基を表し、かつR3およびR4が水素を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R2が水素を表し、かつR3およびR4がC1-4-アルキルを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R3およびR4がメチル基を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R3およびR4がエチル基を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R3がメチル基を表し、かつR4がエチル基を表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R2が水素を表し、R3がメトキシ基を表し、およびR4が塩素原子を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R2が水素を表し、R3がメチル基を表し、およびR4が塩素原子を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R5およびR6が水素を表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
nが0を表し、かつmが1を表す、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
nが1を表し、かつmが1を表す、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
mが1を表し、かつR5およびR6がヒドロキシを表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
nが0を表す、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R5が水素を表し、かつR6がヒドロキシを表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
以下からなる群より選択される請求項1に記載の化合物:
3-{4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2,6-ジメチル-フェニル}-プロピオン酸;
3-{4-[3-(5,5-ジメチル-3-トリフルオロメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-2-エチル-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸;
3-{2-エチル-6-メチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸;および、
3-{2-エチル-4-[3-(3-エチル-5,5-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-3-オキソ-プロピル]-6-メチル-フェニル}-プロピオン酸。
【請求項19】
3-{2,6-ジメチル-4-[3-オキソ-3-(3,5,5-トリメチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-ベンゾ[c]チオフェン-1-イル)-プロピル]-フェニル}-プロピオン酸である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項21】
医薬として使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物または請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防または治療のための医薬組成物の製造のための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、角膜および皮膚などの移植臓器の拒絶反応;幹細胞移植によってもたらされる移植片対宿主病;リウマチ様関節炎、多発性硬化症、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、乾癬、乾癬性関節炎、橋本甲状腺炎などの甲状腺炎、ブドウ膜網膜炎を含む自己免疫性症候群;鼻炎、結膜炎、皮膚炎などのアトピー性疾患;喘息;I型糖尿病;リウマチ熱および感染後の糸球体腎炎を含む感染後の自己免疫疾患;固形癌および腫瘍転移からなる群より選択される疾患もしくは障害の予防または治療のための、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
活性化された免疫系と関連する疾患もしくは障害の予防または治療ための、免疫抑制薬、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、細胞毒、接着分子阻害剤、サイトカイン、サイトカイン阻害剤、サイトカイン受容体アンタゴニストおよび組換えサイトカイン受容体からなる群より選択される1つまたはいくつかの薬剤と組み合わせて使用するための医薬組成物の製造のための、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
式(II)のチオフェンからなる群より選択される化合物、並びにこのような化合物の塩、並びに溶媒和物:
【化2】


式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、nおよびmは、式(I)について請求項1において定義したとおりであり、並びに、
R7は、水素、メチル、エチル、またはtert-ブチルを表す。
【請求項26】
式(III)のチオフェンからなる群より選択される化合物、並びにこのような化合物の塩、並びに溶媒和物:
【化3】


式中、R1、R2、R3、およびR4は、式(I)について請求項1において定義したとおりであり、並びに、
R7は、水素、メチル、エチル、またはtert-ブチルを表す。

【公表番号】特表2009−516735(P2009−516735A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541887(P2008−541887)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054388
【国際公開番号】WO2007/060626
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】