説明

新規ペプチドとその製造方法およびそのペプチドを含有する医薬組成物

抗癌活性および抗炎症活性を有する、アミノ酸配列チロシン−グリシン−セリン−アルギニン−セリンを有する生物活性ペプチド、およびこのペプチドから調製した医薬組成物、ならびに前記ペプチドおよび医薬組成物の製造方法。前記ペプチドは原料からの派生物を効率的に回収する加熱、抽出および凝結システムを利用して得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は新規ペプチド、その製造工程、それを含有する医薬組成物、ならびにその医薬品、抗炎症剤および抗肉腫剤としての利用に関する。 ペプチドは肉腫および炎症性疾患を治療すること、および/または予防することを目的とする医薬品として特に有用である。 ペプチドはコーヒー豆から抽出され、単離される。
【背景技術】
本明細書に参照によってここに組み込まれた米国特許第5、572、923号、米国特許第5、170、697号および米国特許第4、776、104号に開示されている装置には、麦芽、大豆等の材料より有効成分を抽出する抽出装置を含んでいる。 この装置は水の貯留槽を所定温度に加熱するための手段および水を微細化または霧化するための手段を含む微細化微粒子発生タンクと、この微細化微粒子発生タンクに連結され原料層の中を微細化された微粒子が通過する際に原料の有効成分を付着する原料層を収納している抽出装置と、この抽出装置に連結され原料層を通過して原料層より有効成分を抽出した微細化微粒子を液化するための凝結装置と、この凝結装置内で液化した水が流れ込むリザーブタンクと、抽出装置内の原料層を減圧するためにリザーブタンクと微細化微粒子発生タンク間の流路に備えられたブロワーと、凝結装置およびリザーブタンクを冷却するための冷却手段とから構成されている。
前記装置で調製された抽出液および/又は改良型凝結装置および/又は改良型乾燥機を備えた装置で調製された抽出物を、乾燥または冷凍乾燥等により容易に固体化できる方法が参照によってここに組み込まれた、同時係属中の米国シリアル番号09/981、064号の中で開示されている。 医薬組成物あるいは化粧品、香水および/又は香味促進剤の調製に有用なその他組成物は、固形または乾燥抽出物より容易に調製できる。さらに、乾燥抽出物の分析は、抽出物をそのまま分析するのに比べて、非栄養性吸収剤材料を用いて固体化して分析する方が容易である。
本発明者は今回コーヒー豆から抽出された新規の生物活性ペプチドが抗癌活性および抗炎症活性を有することを見出した。
従って、本発明の目的の1つは有益な生物活性を持つペプチドを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、前記ペプチドを含む医薬組成物を提供することにある。
本発明のさらに、別の目的は、抗肉腫活性を有するペプチドを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、抗炎症活性を有するペプチドを提供することにある。
【発明の開示】
本発明は、とりわけ抗癌活性および抗炎症活性を有する生物活性ペプチドおよびそれより調製した組成物、ならびにこのペプチドおよび組成物の製造方法を提供することで従来技術の問題点を解決した。 本発明のペプチドは、原料からの誘導体を効率的に回収する加熱、抽出および凝結装置を利用して得ることが好ましい。 好適には、凝結装置は少なくとも2個の好適な円筒容器で形成され、少なくとも容器の1つは空気流から生じる水分を凝結するため、その中に冷却材料を有する。 任意に第3容器を追加することもできる。 得られた液体抽出物を吸収剤材料と接触させ、次に抽出物が浸透した材料を乾燥させる。あるいは植物または動物の餌の原料を抽出物に浸してから、乾燥させる。
本発明のペプチドは次のアミノ酸配列を持つペンタペプチドである。
:チロシン−グリシン−セリン−アルギニン−セリン(YGSRS)。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出/乾燥装置の1実施例の概略図、第2図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出/乾燥装置の別の実施例の概略図、第3図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出装置の、外筒の部分斜視図、第4図(a)、(b)および(c)はそれぞれ本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出装置の内筒容器の構造を示す斜視図、第5図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出装置に用いられる空気流制御手段の平面図、第6図は第5図の6−6線の断面図、第7図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出システムの中で用いられる凝結装置の実施例の概略図、第8図は本発明に記載の活性成分の抽出に使用する抽出システムの中で用いられる凝結装置の概略図、第9図は本発明の別の実施例による活性成分の抽出に使用する抽出システムの中で用いられる凝結装置の凝結部の断面図、第10図は第9図の装置の凝結部の上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の新規ペプチドを含む抽出物を生成するための抽出システムの対象となりうる好適な原材料はコーヒー豆である。
以下、図面を参照しながら抽出物を得る好適な方法を詳しく説明する。 第1図は第1実施例の製造装置の構造を示す概略図であり、図面内の参照番号1はその中に液体貯留槽、好適には水を有するハウジングまたは容器である。ハウジング1はステンレス鋼製であることが望ましい。 ハウジング1の大きさには特に制限はないが、図示の抽出実施例では一般に使用する原料4の量と原料からの有効成分の所望抽出率とにより決まる。 ハウジング1は貯留槽を加熱するための手段Hを含むが、この手段には特に制限がなく、例えば電気加熱素子もしくはコイル、UVもしくはIR加熱素子、バーナー等を含むことができる。 加熱手段Hはハウジング1内の液体を蒸発させるのに必要な温度まで充分加熱できるものでなければならない。 加熱器は、オペレータが所望液体温度を設定できるゲージ(図示せず)と加熱器を作動させるスイッチ(図示せず)に結合できる。 加熱手段Hはハウジング1の内部または外部に配置できる。 ハウジング1は水を微細化微粒子または霧を発生させる手段(図示せず)によって任意に供給することできる。 好適な手段は、水を微細化して霧状にする能力をもった各振動子を、ハウジング1の底部に、1セットまたは複数セット(タンクの大きさによる)を備えた超音波発生装置を有する。 家庭用超音波加湿器で用いられている通常の超音波発生装置が好適である。 遠心噴霧装置も利用できる。
ハウジング1はパイプP1または同等物によって、その中に納められている原料から有効成分を抽出する抽出装置2と流体連通している。 第3図は抽出装置2の主要素である外筒の外観斜視図であり、それは第1外筒2aおよび第2外筒2bを含むが、両シリンダは互いに結合が着脱可能となるように作られており、ステンレス鋼製であることが好ましい。 抽出作業中の温度を検出するための温度センサー(図示せず)を第2外筒2bの底面に取り付けることができる。 原料の充填と取出しが簡単にできるように、蝶番ロック機構C1によりシリンダ2aをシリンダ2bに結合する。 第3図は開放された、ロックされていない状態の抽出装置2を示している。
第4図は第3図の外筒2内に装着される内筒の概略図である。 第4図(a)に示す内筒2cは、前記外筒2内に装着するのに好適な形状およびサイズであり、その底部に細かく破砕された原料を保持するためのネット部分を含む。第4図(b)に示す内筒2c内への挿入のための案内板2dは、第4図(c)に示すように、コーヒー粉等の原料の破砕片Sを内筒2cの内側に区画するよう構成されている。 この案内板2dの存在により、以下に記述するようにハウジング1から蒸発した液体を容易かつ円滑に原料の破砕片S内を通過させることができる。 当業者は、渦巻状等の別形状も案内板2dに使用できることを理解するだろう。
抽出装置2はパイプP2により凝結装置3と流体連通している。 バルブV1はパイプP2の中に配置することができるが、パイプP3内のバルブV2(以下に説明する)と共に凝結装置3への空気流および同装置内の減圧を制御する。抽出物は凝結装置3内で、参照によってここに組み込まれた米国特許第5、572、923号および第5、170、697号に開示されているような空冷または液体冷却を含む様々な手段により冷却できる。
凝結装置3の実施例の1つは、2個の同心シリンダを含み、その外筒4内には内筒5の内容物を冷却する冷却材が納められている。例示した実施例では、内および外筒の大きさは異なっており、これによって冷却工程より生じた凝結液体を内筒下部分5aに集めることができる。 しかし当業者は、凝結物を別の場所で収集するために備えられた好適手段(一方の端部で内筒5と、他方の端部で補助容器とに連結したチューブ等)を利用すれば、内および外筒5の大きさを同じにできることを認識できるであろう。 同様に、外筒4内に含まれる冷却材が内筒5の側部だけでなく底部も取り囲むように、内筒5を外筒4より短くすることもできる。 後者の実施例でも、凝結物を他所に収集するための好適手段が備えられる。
外筒4内に含まれる冷却材6は水のような液体であることが好ましい。 しかし、冷却材6は気体でも、氷のような固体でも、長時間低温を維持できればその他の材料でもよい。 冷却材6を外筒4内に循環させて冷却を促進することも、また運転中に頻繁にあるいは連続的に補充することもできる。
内筒5は1つ、または複数の空気流制御装置36を含むのが好ましいが、例示したように2個が最適である。 第5図および6に示すように、空気流制御装置36は、隣接する傾斜プレート37間でギャップ「g」を形成する複数の傾斜プレート37を含む。傾斜プレート37の傾斜角を調整することにより、制御対象の空気流の量を調整できる。内筒5に空気が流入すると空気流制御装置36は垂直軸の回りを回転し、それにより空気流は強制的にシリンダ5の壁の方向に流れるが、この壁は外筒4内の冷却材6により冷却される。 あるいは、空気流制御装置36をモーター等で駆動して空気流中の水分の除去を促進できる。 得られた凝結物はドレイン7から排出され、回収される。
第7図は空気流の制御が三重構造の容器等を使用して実施される凝結装置3の別の実施例を示している。 外容器4”は前術の実施例同様にその環状構造内に冷却材6を有している。 中間容器Mは抽出装置からの空気流を好適な配管94を介して取り込み、配管93を介して装置の外に排出する(場合によってはハウジング1に再循環される)。中心容器5”は中間容器Mの内容物を外容器4”側に誘導して冷却の促進を補助するように配置される。 容器の形状はシリンダ状であることが好ましいが、必ずしもその必要はなく、外容器4”に対し中間容器M内の空気が吹き付けられるような方法で冷却が促進される限り、その他の形状でもよい。 冷却壁の表面積もまた重要であり、従って表面積を広げるためにジグザグ状にすることも、または冷却壁より突起を伸ばしてその表面積を拡大することもできる。
第8図は凝結装置のさらに、別の実施例を示している。 この実施例は中心容器5”が冷却流体で満たされている点を除き第7図に例示したものと同様であるが、この冷却流体は外容器4”内に含まれる冷却流体と同種類でも別の種類でもよい。 流体が同一種類の場合、連結手段95を中心容器5”と外容器4”の間に設置して両容器間に冷却流体を循環することができる。 第7図の実施例に示すように、中心容器5”はシリンダ状であることが好ましいが、シリンダ状である必要はなく、冷却面の表面積を広げて冷却を促進し、冷却面に被冷却媒体を圧迫して冷却しやすくする他の形状を使用してもよい。中心容器5”はまた、被冷却媒体が容器底部にも行き渡るように短く作製してもよい。
さらに、被冷却媒体が凝結装置から排出される前に、中心容器5”の外周を周回できるように被冷却媒体の入口および出口を配置することができる。 第9図に示すように、中心容器5”はまた外容器4”および中間容器Mより長くして、中に冷却流体を取り込むための入口96を含むこともできる。 凝結装置は、媒体の温度を上げて媒体から水分を除去するために、加熱器と組み合わせることができる。 複数の装置を直列に配置して凝結を促進することができるが、ある程度想定する設置スペースを考慮して垂直方向にも、または水平方向にも直列に配置が可能である。 本装置は空気流制御に回転装置を用いる第2図の実施例に比べ、その製造はより簡便かつ迅速である。
第9図および10には凝結装置3の別の実施例が示されている。 この凝結装置3はハウジングを含むが、これはプラスチック製でもよく、その内部に好適には例示のようなフィンの形状の1つまたは複数の冷却面4a〜4nが間隔を開けて配置される。 冷却面4a〜4nはいかなる熱伝導材料から作ることもできるが、金属製が好ましく、アルミニウム製が最適である。 冷却面4a〜4nはハウジング3の大部分に亘って広がっていることが好ましく、これにより以下詳細に説明するようにハウジング内で流入物質が接触する面積が拡張される。 間隔をあけ配置される冷却面4a〜4nの数は決定的なものではなく、凝結装置3のハウジングのサイズおよび所望の最適凝結率に依存する。例示のように、冷却面4a〜4nはその自由端に行くに従って細くなっていることが好ましい。 好適実施例では冷却面4a〜4nは凝結措置のハウジングを2つの分離コンパートメントもしくはゾーンに分ける同じ大きさの仕切板5を含み、1つのコンパートメントは流入材料の入口であり、もう1つは凝結装置3で凝結されなかった材料が還流するためのものである。 より好ましくは、パイプP2からの流入物質は下方に流れて(第2図に示す装置の向きでは)第1コンパートメントに入り、そこで物質はその中に配置された冷却面4a〜4nと接触する。 凝結されなかった物質は、次に、この第1コンパートメントを横切って凝結室30内の第2コンパートメントに入るが、2っのコンパートメントはこの凝結室内で連通しており、ここで物質は第2コンパートメント内を上方向に流れ(この場合も装置が第2図に示す向きにある場合)、そのときコンパートメント内に配置された冷却面4a〜4と接触する。 第2コンパートメント内で凝結されなかった物質はパイプP3から流れ出て、ファン8により容器1に再循環される。
冷却面4a〜4nの冷却には、当分野では一般的な1つまたは複数の熱電冷却器20が用いられる。 簡単に言えば、熱電冷却器は固体状ヒートポンプであり、これにより冷却器を流れるDC電流は熱伝導をもたらし、冷たい面と熱い面とが生じる。 熱電冷却器20は冷却面4a〜4nと、熱伝導グリース等の使用などにより熱伝導関係にある。冷却器20はその低温面が冷却面4a〜4nを冷却するように配置される。 要求される冷却によっては複数の電熱冷却器20を含むモジュール設計を利用してもよい。
また、熱を消散するようにヒートシンク21を熱電冷却器20と熱伝導関係に設置することもできる。 ファン22はヒートシンク21の近傍に配置して熱の消散を促進することもできる。
本発明者は熱電冷却器20を装着した凝結装置3により生成された凝結物の量は、冷却面4a〜4nの温度が3℃から60°の間にある時に効率的に最適化されることを発見した。 好適温度領域としてはさらに、10〜60℃および30〜55℃も包含する。 この温度領域の下端温度では複数の電熱冷却器を必要とするため、より大型のヒートシンク、より大きなファンの風量、そして冷却器およびファン運転のためのより大きな電力供給が必要となる。
凝結装置3内での冷却によって生成した凝結物は凝結装置3の下端部、冷却面4a〜4nが終止する点の下に配置された凝結室30内に流入する。 凝結チャンバー30から凝結物は排液パイプ31に流入し、凝結物を集める抽出物貯留槽内に導かれる。 凝結されなかった蒸気はさらに、処理するため、パイプP3およびファン8により容器1に再循環される。
少なくとも1つまたは複数(例示では2個)の空気循環手段または駆動手段、好ましくはファンまたはブロワー8の形で備えられる。 ファン8はシステム全体を減圧し、そして空気を送るのに十分な大きさが必要とされる。 減圧は約5〜500mmH2Oの範囲でなければならない。 通常の家庭用掃除機のファンが有効であることが確認されている。
凝結装置3はハウジング1とパイプP3で連通している。 バルブV2をパイプP3内に配置して、バルブV1と共に空気流および減圧を制御することができる。 例えばバルブV1を部分的に閉じながらバルブ2を開放すれば凝結装置3は減圧状態になる。バルブ2を部分的に閉じながらバルブ1を開放すれば、凝結装置3内の圧力は上昇する。バルブの調節は手動でも自動でも実施できる。
次に装置の運転を、上記の構造に基づき説明する。
まず材料を適切な手段によっておおよそ米粒大まで破砕してから第5図(a)に示した内筒20内に充填する。 充填終了後、材料が内筒2c内に安定して維持されるように材料にネットを被せる。
次に内筒2cを第3図に示す外筒内に入れる。 ハウジング1を蒸気の発生が可能な十分な量の水またはその他の液体で満たす。 水は同一レベルに継続的に維持でき、またバッチ式で加えることができる。 温度ゲージを所望温度に設定し、加熱器を作動させて水を抽出装置2内の温度が原料の有効成分を破壊しないレベル(一般には100℃未満)の好適温度まで加熱する。 例えばコーヒー豆の場合、水が抽出装置に到達した時の水温は約60〜70℃の範囲内、好ましくは約65℃にするために、水温は約85℃まで熱することが望ましい。
ハウジング1内の水温が所望レベルに達すると、ブロワー8が起動され、システム内の流れが循環を開始する。 ブロワー8により空気流は、ハウジング1、抽出装置2、凝結装置3およびそれら装置をそれぞれつなぐパイプにより形成された閉鎖循環流路内を循環する。 このようにハウジング1内で発生した水蒸気は空気流と共にパイプP内を流れ抽出装置2に到達する。 抽出装置2内の温度は温度センサーにより測定でき、その内部が適切な温度に達しているか確認できる。 ハウジング1内の温度は、抽出装置2内の温度に応じて制御できる。
上述のように、空気流はブロワー8が作動すると各装置間を循環するが、抽出装置2は破砕された原料粒子Sで満たされており、この原料が空気流に対する抵抗となり、これにより抽出装置2内に減圧空間が生じる。
減圧状態に達すると、原料内の成分は原料破砕片Sの表面に抽出され、続いてその中を通過する水蒸気により捕捉される。 抽出装置内の温度、より具体的には内筒2c内の温度は所望の範囲内に維持されているので、原料内に含まれる成分は熱によって破壊されることなく水中に抽出される。
得られた原料の有効成分含有液体(例えば水)は次にブロワー8からの空気流と共に連結パイプP2を通り凝結装置3に送られる。 凝結装置3の外筒4は内筒5内に水が凝結するのに十分な温度の冷却材、好適には水で満たされている。 凝結装置内の空気流および減圧はバルブV1およびV2を調節して制御される。 液化または凝結した材料は例示したようにドレイン7から排出され、最終的にバルブ3を通して集めることができる。
凝集装置3内の液化されない粒子は、空気流とともに連結パイプP3を通りハウジング1に吸い込まれて再循環される。 再循環部分は場合により、整流プレートにより予熱するか、または渦巻状にしてタンク1内の水温を下げないようにできる。
凝集装置3内の冷却材は定期的に交換できる。 あるいは冷却液の連続流により内筒5を冷却することもできる。
原料はおおよそ米粒大まで破砕できる。 しかし、最終生成物内に含まれる有効成分の濃度は、原料の大きさを変えることで制御できる。 例えば、原料を微小片に破砕すると、有効成分濃度の高い最終生成物を得ることができる。しかしこの場合、最終生成物の生成速度は遅くなる。 原料のサイズを大きくするほど、最終生成物内の有効成分濃度は低下し、生成速度は速くなる。 同様に案内板2dの利用により時間当たりの最終生成物の収率は約20%高くなるが、最終生成物内の有効成分濃度は低下する。
前述の各実施例の装置を利用すれば、凝結装置内に水分を含んだ空気を循環させてその水分を減少または除去して、外気の影響を受けずにバランスの取れた乾燥状態が得られる。 その結果、乾燥時間とそれに伴う必要エネルギー量が大幅に削減される。
生成物は無色、透明の澄んだ液体である。 次に抽出物は固体化される。
第1実施例では、固体化の手順は次の通りである。
吸収材である非栄養性材料を使用する。 好適材料としては、ミリポア社より商標名Duraporeフィルタとして市販されている様な修飾ポリフッ化ビニリデン膜、グラスファイバー膜、綿、ナイロン、セルロースまたはティーバッグに用いられるような紙材料が挙げられる。 材料の形状に特に制限はなく、シートおよびディスクも含まれる。 特定の使用目的で選択した材料の具体的な性質は、最終生成物の成分を特定する分析工程などの後に続く工程で使用する溶剤の性質にある程度依存する。
吸収材料は抽出物と接触させる。 吸収材料の表面全体が抽出物で湿っていることが望ましい。 吸収剤材料がフィルタの場合、圧力または真空(例えば真空ポンプを用いて)といった駆動力を用いて抽出物を押すか又は引いてフィルタを通過させることで、材料を抽出物で完全に湿らせることができる。 場合によっては吸収剤材料を抽出物で湿らせる前または間に加熱して、孔を広げて湿りやすくすることもできる。 これに代えて、またはこれに加えて、抽出物を単独、もしくは吸収剤材料と共に加熱することもできる。
吸収剤材料を抽出物で十分に湿らせたら、抽出物を好ましくは乾燥によってフィルタに付着させる。 乾燥は冷凍乾燥、加熱または空気乾燥により達成することができるが、冷凍乾燥が特に好ましい。 乾燥した材料は、抽出物を劣化させることなく長期間保存することができる。 乾燥材料は水または好適な溶媒で溶解することができ、それにより抽出物の有効成分は水または溶媒中に溶出する。 必要に応じ、高圧を利用してこの溶解を促進することができる。乾燥材料は分析、特に医薬研究向けの分析にかけることもでき、または最初に溶解してから得られた溶液を分析にかけることもできる。 使用する吸収剤材料が紙の場合には、乾燥材料を水に溶解して健康飲料として飲むことができる。
冷凍乾燥を利用する場合には、冷凍乾燥工程は約−10℃から約−70℃の範囲の温度と、排気量約5.3cfmから約23cfmの真空で行われるのが望ましい。 当業者は前記温度および真空が材料の特性および材料の大きさ、ならびに実際に使用する冷凍乾燥機によって変動することがあることを認識できるであろう。 材料を冷凍乾燥にかける時間は、当業者により容易に決定することができ、部分的には材料の濃度に依存する。
得られた生成物は、生成物の品質や食味に有害作用を及ぼすこと無く日単位から月単位で長期間保存できる。 さらに、水またはその他液体キャリアで元に戻した場合、得られた生成物の食味は元の原料に比べて優れている。 輸送および保管は容易であり、より経済的である。 抽出物中の有効成分は他の方法では加熱により破壊されるが、上記抽出工程を用いることにより保存される。冷凍乾燥生成物はまた液体抽出物に比べより長い保存期間を持っており、化学同定および試験に役立つ。
冷凍乾燥生成物は生成物に液体キャリア、好ましくは水を加えるだけで容易に復元できる。 加える液体キャリアの量は特に制限されないが、望まれる最終の飲用液体内での抽出物濃度に依存する。 前記生成物はそのまま(即ち還元せずに)他の食物の添加物もしくは付け合わせとして、例えばサラダ用付け合わせ、または乾燥スープ成分として、あるいはその他食品成分と混合して使用することができる。 冷凍乾燥生成物を加熱して、室内にアロマ蒸気を満たすこともできる。
前記の方法でコーヒー豆から抽出した本発明のペプチドは以下の配列を有している:
チロシン(Thr)−グリシン(Gly)−セリン(Ser)−アルギニン(Arg)−セリン(Ser)。
本ペプチドの有効量を含む医薬組成物はヒト用および動物用の薬物として、例えば癌および抗炎症状態を含む様々な病気および病状の治療および/または予防に有用である。患者の治療に有効な量は、それを必要とする患者に投与した時に、癌の進行を抑制し、腫瘍の容積または大きさを縮小もしくは除去し、悪性細胞を殺し、および/または炎症を軽減もしくは除去する化合物の量である。 ペプチドが有効である各種疾患としては、様々なタイプの癌が挙げられる。 ペプチドが有効である各種タイプの炎症としては、脳炎、髄膜炎、眼瞼縁炎、結膜炎、角膜炎、虹彩炎、網膜炎、口内炎、口唇炎、舌炎、扁桃炎、内耳炎、外耳炎、中耳炎、胃炎、十二指腸炎、肺炎、胸膜炎、気管支炎、鼻炎、大腸炎、小腸の炎症、腎炎、腎盂炎、膵臓炎、胆嚢炎、肝炎、甲状腺炎、前立腺炎、膀胱炎、筋肉炎、骨膜炎、骨髄炎、睾丸炎、子宮内膜炎、膣炎、卵巣炎、皮膚炎、関節炎、肛門周囲炎、リンパ節炎、糖尿病(膵島の炎症)、感冒(扁桃炎、気管支炎、鼻炎、粘膜炎)、蕁麻疹、各種湿疹(皮膚炎)、ネフローゼ(腎炎)、歯槽膿漏(歯周炎、歯根炎、歯内炎)、喘息(気管支炎)、神経痛(神経炎)、肺結核(肺炎、気管支炎、粘膜炎)、感染症(細菌およびウイルスが誘導する炎症)、アレルギー(抗原−抗体反応が誘導する炎症)、らい病(ウイルス性皮膚炎および筋肉炎)、癌(炎症およびフィブロイド硬化もまた原因)、潰瘍(炎症の進行)、フィブロイド硬化(炎症および潰瘍の進行)、エネルギー低下(腺炎)、角化上皮症、コラーゲン病、ヒステリー、神経症、肝硬変、高血圧、血栓症、アンギナ、リウマチ、痛風、硬直、アルツハイマー病、ライム病、狂牛病および寄生虫による炎症が挙げられる。
病気の治療または予防に於ける本発明の抽出物の治療または予防用量の大きさは治療対象状態の種類、重症度および性質等に一部依存することになろう。薬剤の投与量および投与回数はまた個々の患者の年齢、体重および反応により変わるであろう。 一般に本発明のペプチドの総一日用量は少なくとも1日1回、好ましくは1日2から3回約1から約10mcg/kg体重の範囲である。重症度がより高い場合の投与量は少なくとも1日1回、約10から約100mcg/kg体重の範囲である。 投与回数は必要または望ましい場合には、1日約3回から4回である。
本発明のペプチドの有効用量は当業者周知のいずれかの好適投与経路を用いて投与してもよく、経口、静脈内、筋肉内、皮内および皮下を挙げることができるが、経口投与が好ましく、液体形状での投与が最も好ましい。
本発明の医薬組成物は鎮痛薬といった他の治療薬と組み合わせてもよい。
本発明の医薬組成物はイヌ、ネコ、魚およびヒトを含む動物に投与される。本発明の化合物には、水をベースとしたキャリア、エチルアルコール、プロピレングリコールおよびグリセリン等の共通溶剤、増量剤、滑剤、湿潤剤、芳香剤、着色剤、乳化剤、懸濁化もしくは分散剤、懸濁化剤、甘味料等を包含する、薬学的に受け入れ可能なキャリアおよびその他通常の添加物を含むことができる。 抽出物は水で単純に希釈し、キャリアまたは添加物なしに経口投与することが好ましい。
【実施例1】
本発明のペプチドは以下の用にして単離し、同定された。
コーヒー豆を原料として上に詳述した抽出方法を用いた。 得られた抽出物でガラスファバー膜(96.4g)を湿らせた。 膜を300mlの酢酸エチルで3回抽出した。ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを真空によりほぼ乾燥状態にした。 溶媒層の温度は40℃を超えなかった。 残留物は明るい茶色の液体であった(20.6ml)。 次にこの抽出物をエチルエーテル150mlで抽出した。 エチル層を取り出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。 硫酸ナトリウムを取り除き、エチル層をロータリーエバポレーター内で真空乾燥した。 白色の短い針状の化合物を得た。 これをエタノール中に溶かしてからエタノールを蒸発させて再結晶化した。 次に化合物を化学分析にかけて以下のパラメータを得た:
吸収スペクトル: 348mu
薄層クロマトグラフィー
メルク社シリカゲル: 3.8
ミクロケルダール: 12.4%
融解点: 172℃
アミノ酸配列: チロシン−グリシン−セリン−アルギニン−セリン
【実施例2】
プロトコルデザイン
ラットを用いて開発されたアジュバント誘導関節炎モデルを使ってヒトの慢性関節リウマチの治療に有効な化合物がスクリーニングできることが示されている。 アジュバント誘導関節炎はステロイドと非ステロイドの両方に反応する。 炎症の程度は足重量および/または足容積の差を測定することで評価される。
試験生物
体重150〜200gのラットをワシントン州ケントにあるAnimal Technologies Ltd.より購入した。 ラットはオスのSprague−Dawleyラットであった。 ラットはステンレス鋼製のケージで個別に飼育し、水および餌(Harlan Tekla Rodent Diet)は自由に摂らせた。 明暗周期は明12時間、暗12時間に維持された。 温度は22℃±3℃に保ち、相対湿度は40から70%であった。
投薬
試験物質は10mcg/kgまたは1mcg/kg体重の用量に脱イオン水で溶解または懸濁した。 試験化合物およびヒドロコルチゾンは胃管栄養法で投与した。
実験計画
オスのSprague−Dawleyラット(150〜200g)をフロインド完全アジュバント(死滅結核菌の0.5%懸濁液(鉱物油中のH37RA、Difco))を注射して感作した。 0.1mlアリコートを各ラットの右後脚足蹠部に皮内投与した。
試験物質は各処置群毎、5匹ずつに10日間、1日1回経口投与(胃管栄養法にて)した。 試験物質の投与は感作日より開始した。
感作直前および10日目に左後足の測定を行った。 非感作ラット群と比較して足蹠浮腫抑制率および体重増加率を判定した。
各群毎に足蹠重量を平均化した。 抗炎症活性は次式、
%抗炎症反応=(コントロール群の平均足蹠重量−試験群の平均足蹠重量)/(試験群の平均足蹠重量)にて計算し、足蹠重量を比較して判定した。
ヒドロコルチゾンを陽性コントロールに用いた。 ヒドロコルチゾンは慢性関節リウマチ患者に10mg/kg体重の用量で投与される一般的な抗炎症剤である。ペプチドは10mcg/kgおよび1mcg/kg体重で投与した。


結果は10mcg/kg体重のペプチドが誘導炎症を100%抑制することを示した。1mcg/kg体重では、ペプチドは85.3%抑制を示した。 従ってペプチドは体重低下をもたらさない強力な炎症抑制剤である。
【実施例3】
試験生物
種: マウス
系統: Swiss−Webster
供給元: Animal Technologies Ltd.,Kent,WA
性別: メス
体重: 26〜30
使用数: 60匹
管理
研究施設: USDA登録番号91−R−043。 NIH公衆衛生証書番号 A3932−01
動物室: 明暗サイクル=明12時間、暗12時間。 温度/相対湿度:温度22℃±3℃および相対湿度40〜70%に常に維持すべく努力を行った。
飼育: マウスは5匹ずつの群にして標準的なケージ内にて、米国学術研究会議、実験資源研究所の『実験動物の飼育および利用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)』に基づき飼育された。
衛生: 排泄物は毎週2回取り除いた。 ケージおよび給餌器は2週毎に消毒した。
餌: Marlan Teklad Rodent Diet #8604適宜
餌分析: 調査の目的または実施を妨害する可能性が既知である、食材中に含まれることが合理的に予想される汚染物質は存在しない。
水: 生物利用可能な発熱物質を含まない脱イオン水。
水分析: システムはContinental Water System Companyによって6ヶ月毎に定期的にメンテナンスされている(活性炭タンク、脱イオンビーズおよびインラインフィルターの交換)。 UF膜の交換は2年毎であり、UVランプの交換は毎年である。
試験品: コーヒー豆からの単離物。
投与方法: 試験品は胃管栄養法を用いて、11連続日、単離物の水溶液として投与した。
試験品投与量: 胃管栄養法により0.2mlを投与した。
処置期間: 11日間。12日目に屠殺。
アッセイ方法
保存腫瘍株は肉腫180であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)の研究所内で着手されものである。 この保存培養株は、1週間隔で未処置のSwiss−Websterマウス腹水の形で継代した。
今回の調査は全てワシントン州ケントにあるAnimal Technologies Ltd.より得たSwiss−Websterマウスを使って実施した。 接種材料を調整するために、7〜12日のマウスの腹水を、無菌技術を用いて吸引した。 腫瘍細胞の生存率を、トリパンブルー染色法を用いてチェックした。 細胞数が確定した後、腫瘍細胞を通常の生埋食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水で希釈して、最終濃度1〜2×106細胞/mm3に調整した。 その後この希釈液を腫瘍懸濁液としてマウスに注射した。 最終希釈液をトリプチケースソイ寒天培地に蒔いて培養し、汚染がないかを判定した。
上記懸濁液の10分の1(0.1ml)を各マウスの左後脚の筋肉内(大腿屈筋)に接種した。 接種したマウスは1個の大型ケージ内に入れてから5匹ずつの群に無作為に分けた。 マウスは木屑を敷いた靴箱型のケージ内で飼育し、水および固形飼料を自由に摂らせた。 接種時、7日目、12日目および屠殺時にマウスの体重を測定した。
マウスの処置は移植後その日に開始した。 観察期間終了時に、マウスはエチル麻酔により屠殺した。 左後脚上の皮膚を取り除いて腫瘍を露出させ、脚および腫瘍を股関節位置で取り出した。 残りの皮膚を取り除き、腫瘍を持った脚部の重量を個別に測定した。 10脚の正常な脚(右脚)を同様に準備し、重量を測定した。正常脚の平均値を、腫瘍を持った脚の重量から差し引いて、実際の腫瘍重量の推定値とした。
%抑制=[(平均腫瘍重量(試験群))/(平均腫瘍重量(コントロール群))]×100
結果:


データが示す通り、ペプチドは10mcg/kg体重では100%抑制を示した。 ペプチド投与に関連する体重増加はコントロールに匹敵し、毒性が無いことを示している。
【産業上の利用可能性】
以上述べたように、本発明にかかるペプチドは新規有効な医薬組成物の提供を可能とし、この医薬組成物は様々なタイプの癌、各種タイプの炎症、感染症(細菌およびウイルスが誘導する炎症)、アレルギー(抗原−抗体反応が誘導する炎症)、らい病(ウイルス性皮膚炎および筋肉炎)、肝硬変、高血圧、血栓症、アンギナ、リウマチ、痛風、硬直、アルツハイマー病、ライム病、狂牛病および寄生虫による炎症等の各種疾病の改善、治癒に格別の効能を有している。
【図1】

【図2】

【図3】


【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のアミノ酸配列を有するペプチド:
チロシン−グリシン−セリン−アルギニン−セリン。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載のペプチドを薬学的に受け入れ可能なキャリアと共に含んで成る医薬組成物。
【請求項3】
コーヒー豆の抽出物からアミノ酸配列チロシン−グリシン−セリン−アルギニン−セリンを有するペプチドを製造する方法であって;
水を所定温度まで加熱する工程と;
前記加熱した水を微粒子状に霧化する工程と;
減圧状態下で前記コーヒー豆を加熱、霧化した前記水の微粒子に接触させる工程と;
生じた水粒子を凝結させる工程と;
生じた冷却水を集める工程と;および生じた抽出液を次の方法で固化する工程と:
吸収剤を提供する工程と;
前記吸収剤材料を前記抽出物に接触する工程と;
生じた湿潤した吸収剤材料を乾燥して前記抽出物の固形物を生成する工程と;
前記抽出物より前記ペプチドを含む液を単離する工程と;とを具えた製造方法。
【請求項4】
請求の範囲第3項に記載の製造方法において、前記吸収剤材料はガラスファイバーであることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求の範囲第4項に記載の製造方法において、乾燥は冷凍乾燥であることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求の範囲第5項に記載の製造方法において、前記冷凍乾燥は約−10℃から約−70℃の範囲の温度で実施するようにしたことを特徴とする製造方法。

【国際公開番号】WO2005/066200
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【発行日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516790(P2005−516790)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009086
【国際出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(305020413)株式会社クボヤマバイオ研 (1)
【Fターム(参考)】