説明

新規レチノイド誘導因子およびその使用

本発明は、新規レチノイド応答性核酸、および新規タンパク質を記載する。さらに、本発明は、様々な疾患におけるかかる核酸またはタンパク質の使用、ならびに様々な疾患の治療、診断および予後のためのその使用、さらにレチノイド類に対する応答性の予後のための方法のためのその使用も記載する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、新規レチノイド応答性核酸、および新規タンパク質に関する。さらに、本発明は、様々な疾患におけるかかる核酸またはタンパク質の使用、ならびに様々な疾患の治療、診断および予後のためのその使用、さらにレチノイド類に対する応答性の予後のための方法のためのその使用にも関する。
【発明の背景】
【0002】
レチノイド類は多くのヒト組織において抗癌性を有する。これらの薬剤は、急性前骨髄球性白血病(APL)の治療においてそれらの有効性が特に証明されており、急性前骨髄球性白血病はこれらの薬剤に対する応答性のモデルとして用いることができる癌である。重要なことには、レチノイド受容体は十分に特定されており(RAR、RXR、PML−RAR)この20年広く研究されているが、それらの抗増殖性および抗癌性に関与するそれらの標的遺伝子の大部分はまだ明らかにされないままである。本発明者らは、マイクロアレイアプローチにより、本発明者らが初めて機能的に特徴付けRINF(レチノイド誘導核因子(Retinoid-Inducible Nuclear Factor))と名付けた核因子をコードする、レチノイド類の新たな標的遺伝子、CXXC5を同定した。
【0003】
RINF発現は、レチノイド類によって引き起こされる白血病細胞の最終分化に必要であるように思われる。実際には、RINF発現が白血病細胞のレチノイド誘導性分化や正常CD34+前駆体のサイトカイン誘導性骨髄造血に関連があるだけでなく、さらに、ショートヘアピン型RNA(shRNA)干渉がこの遺伝子について正常骨髄造血および腫瘍性骨髄造血の両方において調節機能を誘因する。また、RINFは癌において重要な役割を果たすこともある。興味深いことに、RINF遺伝子は骨髄性白血病(急性骨髄性白血病[AML]/骨髄異形成[MDS])では欠失していることが多い小領域5q31.3に局在する。
【0004】
造血幹細胞の最終成熟顆粒球への分化は、系統限定転写因子により調整される遺伝子群の協調的発現を必要とする多段プロセスである。これまでのところ、造血に不可欠であると証明されている転写因子は比較的少数である。これらの因子の脱調節または突然変異は、細胞の運命を分化から増殖へと変え、骨髄、血液、および他の組織における成熟停止および未成熟芽球の蓄積を特徴とする悪性血液疾患群である急性骨髄性白血病(AML)の一因となり得る。
【0005】
急性前骨髄球性白血病(APL)としても知られるAML−M3サブタイプ(the French-American-British(FAB)分類による)は、顆粒球への分化の前骨髄球段階において阻止される白血病芽球のクローン性増加に相当する。この病変は、t(15;17)転座を遺伝的特徴とし、最終分化を回復する転写に基づく療法により治療した最初の癌の代表である。実際には、この病変において、薬理学的用量の全トランス型レチノイン酸(ATRA)は白血病芽球の最終成熟を引き起こす。分子レベルにおいて、ATRAは、APL細胞においてレチノイン酸受容体(RARα、PML−RARα...)のリガンドとして働くことが分かっており、下流の標的遺伝子の転写活性化を調節する。実験モデル、NB4細胞系統を用いた広範な研究にもかかわらず、これまでのところ前骨髄球細胞のレチノイド誘導性分化に実際に不可欠であることが示されている、転写因子をコードする標的遺伝子はほんの数種類である。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、マイクロアレイアプローチを用いることにより、NB4細胞においてレチノイド類により早期に誘導され、ATRAによる最終分化の回復に関与する可能性がある転写因子をコードするいくつかの新規遺伝子を同定した。レチノイド処置により誘導されるこれらの遺伝子の1つは、本発明者らがRINF(レチノイド誘導核因子)と名付けた核因子をコードする。RNA干渉によるRINF無効化は、レチノイド耐性表現型を強化することによりNB4細胞におけるATRAの分化作用を排除し、正常CD34+骨髄前駆体のサイトカイン誘導性顆粒球分化を遅延させることから、骨髄分化におけるRINFの重要で一般的な調節的役割が示される。
【発明の具体的説明】
【0007】
本発明の第一の実施態様は、配列番号1および配列番号2の配列またはその機能的断片もしくは変異体、またはそれとハイブリダイズ可能な機能的に同等の単離DNA配列、またはそれに対応するmRNAを含んでなることを特徴とする新規レチノイド応答性核酸に関する。
【0008】
本発明の第二の実施態様は、配列番号3(CXXC5)の配列またはその機能的断片もしくは変異体を含んでなることを特徴とするタンパク質またはタンパク質誘導体に関する。
【0009】
本発明の第三の実施態様は、様々な疾患の予防および/または治療のための医薬組成物の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸の使用に関する。
【0010】
好ましい実施態様は、哺乳類における、造血疾患の予防および/または治療、または造血細胞の分化の増進に関する。さらなる実施態様は、in vitroまたは哺乳類における造血細胞の分化および/または増殖増進の障害または阻止に関する。
【0011】
前記造血細胞は、骨髄細胞、末梢血液細胞、臍帯血液細胞であり得、その細胞は腫瘍性または非腫瘍性であり得る。
【0012】
好ましい使用は、リンパ系細胞または急性骨髄性白血病細胞などの細胞における分化の回復のための使用である。
【0013】
前記造血疾患は、骨髄異形成(MDS,骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄増殖性症候群(MPS)、慢性骨髄性白血病(CML)または慢性リンパ性白血病(CLL)であり得る。
【0014】
好ましい実施態様は、癌の予防および/または治療に関する。
【0015】
前記癌は、白血病、(骨髄異形成(MDS,骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄増殖性症候群(MPS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および固形腫瘍(乳癌、黒色腫、肺癌、甲状腺癌、前立腺癌、神経芽腫、および腎癌)を含んでなる群から選択される癌タイプのうちの1つであり得る。
【0016】
本発明のさらなる態様は、それを必要とする哺乳類において、請求項1に記載の核酸の発現を活性化するための、および/または請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列の発現を増強するための、レチノイドの使用に関する。好ましい実施態様はATRAである。
【0017】
本発明のさらなる態様は、CXXC5の発現を、レトロウイルスまたはレンチウイルスのベクター(過剰発現)により、またはshRNA分子(抑制)により調節する方法に関する。
【0018】
本発明のさらなる実施態様は、レチノイド応答性の予後の、または疾患の予後のための方法に関する。
【0019】
本発明のさらなる実施態様は、癌または造血疾患、または骨髄造血減少状態の診断のための方法であって、本発明による核酸の発現レベルおよび/または状態、または本発明によるタンパク質もしくはタンパク質配列の発現レベルおよび/または状態の検出を含んでなる方法に関する。好ましい実施態様は、急性前骨髄球性白血病(APL)遺伝子型の診断に関する。もう1つの好ましい実施態様は、白血病、前白血病(骨髄異形成)または癌の状態の診断に関する。好ましい実施態様は、診断のために抗体を用いる。
【0020】
本発明のさらなる態様は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の製造のために、本発明によるタンパク質配列または核酸を用いる。
【0021】
さらなる態様は、分子を癌細胞にターゲッティングする方法に関する。
【0022】
さらなる態様は、請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列と、または請求項1に記載のヌクレオチドと相互作用することができる分子に関する。
【0023】
定義
造血(Hematopoiesis):
造血(Hematopoiesis)(古代ギリシャ語:「haima」血液;「poiesis」作ること)(hemopoiesisと呼ばれることもある)は、血液細胞成分(赤血球、血小板、顆粒球(好中球、好塩基球、好酸球)、単球、マクロファージ、およびリンパ球(B、TおよびNK)を形成することである。血液細胞成分は総て造血幹細胞に由来する。
【0024】
造血細胞:
造血組織の任意の細胞(リンパ系、骨髄の細胞を含む)。この細胞は、幹細胞(HSC)、前駆細胞(骨髄またはリンパ系の共通前駆体)、委任細胞または最終分化血液細胞であり得る。
【0025】
骨髄造血:骨髄幹細胞による骨髄における多能性造血幹細胞からの骨髄細胞の形成。骨髄造血とは、一般的に、単球および顆粒球などの、血液中の白血球の生産を意味する。このプロセスは、リンパ系組織において見られるマクロファージおよび樹状細胞の前駆細胞も生産する。血液学において、「骨髄細胞」という用語は、リンパ球ではない任意の白血球を記載しさらに顆粒球、単球、マクロファージおよび樹状細胞に加えて赤血球および血小板(erythrocytes(platellet))も含むように用いられる。
【0026】
急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia)(AML):
急性骨髄性白血病(AML)(acute myelogenous leukemiaとしても知られる)は、骨髄に蓄積し正常な血液細胞の生産を妨げる異常細胞の急速増殖を特徴とする白血球の骨髄系癌である。AMLの症状は正常な骨髄が白血病細胞で置き換えられることによって起こり、その結果、赤血球、血小板、および正常な白血球の減少が起こる。これらの症状としては、倦怠感、息切れ、あざや出血が生じ易いこと、および感染症の危険性の増加が挙げられる。AMLは成熟時計を特徴とする。the French-American-British(FAB)分類によれば、AMLの8つのサブタイプは、分化が阻止される段階、関係している造血コンパートメント、および白血病細胞の成熟度に基づいて区別することができる(M0〜M7)。
【0027】
遺伝子またはタンパク質の「状態」とは、その遺伝子またはタンパク質の配列解析または発現レベル、および遺伝子のコピー数、およびメチル化状態を意味する。
【0028】
レチノイド類:ビタミンAと構造的にまたは機能的に関連している化学化合物の種類。本願において、レチノイドという用語は、レチノイン酸受容体と結合し活性化することができる任意の化合物を意味する。これらの受容体は、直接標的遺伝子のプロモーター中に存在するレチノイン酸応答性エレメント(RARE)に結合し通常それらのリガンド(例えば、レチノイン酸)との結合後に遺伝子の転写を活性化する。
【0029】
本明細書において、レチノイド応答性遺伝子またはタンパク質は、レチノイド(レチノイン酸など)による処置により発現レベルが誘導される遺伝子またはタンパク質である。
【0030】
レチノイド応答性の予後:
レチノイド類による療法に応答するのは白血病または癌の細胞のうちのほんのわずかである。さらに、この療法に対する臨床応答は通常、患者に有益な効果があるまで数日または数週間の処置を必要とする。これらの薬剤による疾患治療の後の結果を予測することができる、レチノイド応答性についての初期遺伝子またはタンパク質バイオマーカーの存在は、患者がかかる治療を受けるべきかまたは別の治療を受けるべきかを臨床医が判断するに際して助けになる重要な予後指標となるであろう。
【実施例】
【0031】
実験の節
材料および方法
細胞培養、処置およびRNA調製
ヒト乳癌細胞(MCF7)および骨髄細胞(NB4、NB4−LR1、NB4−LR2、K562、LAMA−84およびHL60)を、10%ウシ胎児血清(Biochrom AG)、2mM L−グルタミン、50単位/mlペニシリンGおよび50μg/mlストレプトマイシン(lnvitrogen)を添加したRPMI 1640培地(lnvitrogen)で培養し、5%CO/加湿雰囲気中暗所にて37℃でインキュベートした。ヒト骨髄一次CD34+細胞(StemCell technologies)のin vitro増加のため、本発明者らは、上記培地に20ng/mLのインターロイキン3(IL3)、20ng/mLの顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)およびPeprotechから購入した幹細胞因子(SCF)50ng/mLを添加した。Duprez E, Ruchaud S, Houge G, et al. A retinoid acid 'resistant’ t(15;17) acute promyelocytic leukemia cell line: isolation, morphological, immunological, and molecular features. Leukemia. 1992; 6: 1281-1287.において従前に記載されているようにMay−Grunwald−Giemsa(MGG)染色による形態学によりおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元解析により成熟を評価した。細胞密度は、コールターカウンター(Beckman)を使用して決定した。細胞増殖は、式:PD=Log(N/N)/Log2(式中、Nは計数した細胞数であり、Nは第0日目に播種した細胞数である)により算出される集団倍加数(PD)として表した。ATRA(Sigma)により処置した細胞または処置していない細胞を一緒に集め、Trizol(Invitrogen)またはRNeasy mini kit(Qiagen)を用いるRNA調製のためにそのまま−80℃で保存した。抽出されたRNAの収量および品質をNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計(NanoDrop Technologies)により評価した。
【0032】
マイクロアレイハイブリダイゼーション
マイクロアレイ実験は総て、化学発光検出に基づいているApplied Biosystems(AB)Expression Array systemを使用して行った。ABヒトマイクロアレイは、27,868の個別ヒト遺伝子を表す31,700のオリゴヌクレオチドプローブ(60量体)を含む。標識する前に、抽出されたRNAの量および品質をNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計およびAgilent 2100バイオアナライザ(Agilent technologies)により確認した。AB Chemiluminescent RT−IVT labelling kit version 2.0(PN 4363252, Roche)を利用して各サンプルから2μgの全RNAを(DIG−dUTPを用いて)ジゴキシゲニン(DIG)標識cRNAに変換した。DIG標識cRNAの量(50〜70μg)および品質は、NanoDrop分光光度計およびAgilent 2100バイオアナライザにより制御した。20μgのDIG標識cRNAをAB Human Genome Survey Microarray version 1.0と製造業者の使用説明書によりハイブリダイズした。マイクロアレイの化学発光シグナル検出、画像取得および画像解析は、AB 1700 Chemiluminescent Microarray Analyser(PN 4338036)において製造業者のプロトコール(PN 4339629)に従って行った。画像に自動グリッド表示し、化学発光シグナルを定量し、バックグラウンドについて補正し、最後に、AB 1700 Chemiluminescent Microarray Analyser software v1.03(PN 4336391)を使用してスポットおよび空間的に正規化した。解析には合計6つのマイクロアレイを用いた。3時間の時点においてNB4サンプルについて2つのレプリケート(独立した標識および独立したハイブリダイゼーション工程)を作成した。アレイ間正規化のため、各アレイについて同じシグナル強度中央値を達成するために本発明者らは総てのマイクロアレイでグローバルな中央値正規化を行った。マイクロアレイ実験についてのMIAME対応の資料は、欧州バイオインフォマティクス研究所(the European Bioinformatics Institute) (www.ebi.ac.uk/arrayexpress)のArray Expressに受託番号E−BASE−7で寄託されている。
【0033】
マイクロアレイデータ解析および遺伝子分類
Applied Biosystems Expression System softwareを使用してシグナルおよびシグナル対ノイズ比(SIH)を抽出した。研究には5,000を超える平均正規化シグナル強度と600より低いバックグラウンド中央値を示すマイクロアレイだけを含めた。シグナル強度をDysvik B, Jonassen I. J-Expressに従ってJ−Express Pro V2.7ソフトウェア(MolMine, Bergen, Norway)にインポートし:Java. Bioinformatics. 2001 ;17:369-370.を用いて遺伝子発現データを探索し、この際、データに導入される外部変数の影響を最小にするためにアレイ間分位点正規化を行った。適切な場合には、正規化の前に信頼性に欠けるスポットのクオリティーフィルタリング(S/N<3)を行った。同定された総ての遺伝子を、PANTHER(商標)(Protein ANalysis THrough Evolutionary Relationships)およびGene Ontology(商標)(GO)を用いて分類した。
【0034】
定量RT−PCR
オリゴdTプライマーをTranscriptor Reverse Transcriptase(Roche)とともに用い製造業者の使用説明書に従って20−μl容量において全RNA(0,1〜1μg)から一本鎖cDNA合成(RT)を実施した。Light Cycler 480装置(Roche)においてSYBRgreen検出キットを用い製造業者の使用説明書に従って定量PCRを行った。各遺伝子(cxxc5、cd34、gcsfrおよびcd11b)について、相対mRNA発現をrpP2遺伝子発現に対して正規化した。cxxc5(5'-tccgctgctctggagaag-3'および5'-cacacgagcagtgacattgc-3')、rpP2(5'-atgcgctacgtcgcc-3'および5'-ttaatcaaaaaggccaaatcccat-3')、cd34(5'-cagctggagccccacag-3'および5'-gaggtcccaggtcctgagc-3')、gcsfr(5'-gtgcccacaatcatggaggag-3'および5'-catcctcctccagcactgtg-3')、およびcd11b(5'-ctgctcctggccctcatc-3'および5'-gacccccttcactcatcatgtc-3')の検出用プライマーは総て、同じリアルタイムPCR増幅条件で用いられるように設計した:95℃で10秒の変性;58℃で10秒のアニーリング;72℃で12秒の伸長。
【0035】
図12、図13および図14に示した結果については、定量RT−PCRに患者材料を使用している
様々な血液疾患に罹患している94名の患者および13名の健康ドナーから一連の105の骨髄または血液のサンプルを採取した。様々な病状をthe French-American-British分類(FAB. Bennet et al. 1982)およびWHO分類(Vardiman et al. 2002)により分類し次のとおりであった:5 染色体5q欠失を有するMDS、14 染色体5q欠失がないMDS、20 AML(骨髄サンプル)および37 AML(血液サンプル)、14 ALL B(血液)および2 ALL T(血液)。総ての患者がインフォームド・コンセントに署名した。
【0036】
患者サンプルにおけるRINFの定量RT−PCR(図12、図13および図14)
オリゴdTプライマーおよびランダムヘキサマープライマーをTranscriptor Reverse Transcriptase(Roche−05 531 287 001)とともに用い製造業者の使用説明書に従って20−μl容量において全RNA(0,1〜1μg)から一本鎖cDNA合成(RT)を実施した。Light Cycler 480装置(Roche)においてCXXC5遺伝子を標的とする特異的ハイブリダイゼーションプローブを用い、キットLightcycler(登録商標)480 ProbesMaster(04 707 494 001)の製造業者の使用説明書に従って定量PCRを行った。相対mRNA発現をrpP2遺伝子発現に対して正規化した。cxxc5(5'-tccgctgctctggagaag-3'、5'-cacacgagcagtgacattgc-3’および6FAM-AACCCAAAgCTgCCCTCTCC-BBQ)、rpP2(5'-atgcgctacgtcgcc-3'、5'-ttaatcaaaaaggccaaatcccat-3’およびCy5-AgCTgAATggAAAAAACATTgAAgACgTC-BBQ)の検出用プライマーは総て、95℃で5分間の最初の変性後に同じリアルタイムPCR増幅条件で用いられるように設計した。よって、次のとおり44サイクルの間処理される:変性95℃で10秒間;および伸長55℃で20秒間。
【0037】
CXXC5の配列決定
配列決定の前にPCR産物をExoSAP−ITキット(GE healthcare−78201)を用いて製品の使用説明書により精製に付した。BigDye(登録商標)v3.1 cycle sequencing Kit(ABI−4337456)を特異的なフォワード(5'-gcacaaaagtggtgctgtg-3')およびリバース−(5'-gcgtggtgcaggagcat-3')配列決定プライマーとともに用いて全容量10μlで次の反応条件により配列決定を行った:変性 96℃、10秒;50℃で5秒のアニーリング;60℃で4分の伸長、25サイクルの間実施。
【0038】
固形腫瘍
固形腫瘍に関して、本発明者らは、乳癌に罹患している患者の35サンプル(および7つの健康対照)、転移性黒色腫に罹患している患者の40サンプル(および8つの健康母斑対照)ならびに腫瘍および良性対応対の両方を含む28の甲状腺癌サンプルにおけるRINF mRNA発現レベルを調査した。
【0039】
クロマチン免疫沈降実験
2000万のNB4細胞をRPMI培地(Invitrogen)中でホルムアルデヒド(1%v/v)により37℃で10分間架橋し、氷冷PBSで2回洗い流し、低張細胞溶解バッファー(0.25%Triton X−100、10mM Na−EDTA、0.5mM Na−EGTA、10mM Tris−HCl、pH8.0、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁した。Dounce(20ストローク)を使用して原形質膜を破壊し、集めた核(650g、4℃で5分の遠心分離)を1200μlのChIPバッファー(0.1%SDS、0.1%デオキシコール酸Na、1%Triton x−100、1mM EDTA、140mM NaCl、10mM Tris pH8、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁し、その後超音波処理して500〜1000bp長のDNA断片を得た。各IPでは、200μlの超音波処理産物を回収し、希釈バッファー(20mM Tris pH8、2mM EDTA、150mM NaCl、1%Triton x−100)で10倍希釈した。特異的結合を減少させるために、ハイブリダイゼーションの前に回転板上で70μlのサケ精子DNA/プロテインAアガロース50%スラリー(Upstate)を4℃で2時間加えることにより前清浄工程を行った。免疫沈降(IP)では断片化したクロマチン混合物に4μgの抗RARα抗体(Abcam−H1920)、または抗PML抗体(Santa Cruz、sc−966)を加えることによりハイブリダイゼーションを行った(4℃で一晩)。回転板上で70μlのサケ精子DNA/プロテインAアガロース50%スラリー(Upstate)を4℃で4時間加えることにより免疫沈降を行った。遠心分離により免疫複合体を回収し、十分な洗浄後に200μlの溶出バッファー(1%SDS、100mM NaHCO3)で溶出した。DNA−タンパク質架橋を外すために、溶出液に8μlの5M NaClを加え、続いて65℃で一晩加熱した。次いで、これらの画分をRNアーゼA(10μg/ml)およびプロテイナーゼKにより42℃で2時間処理した。各IPから結果として得られたDNAをフェノール/クロロホルム抽出により精製し、40μlのTE(10mM Tris−HCl、pH8.0、1mM EDTA、pH8.0.に再懸濁した。インプット分として、前清浄工程後に20μlの架橋クロマチンを確保し、H2Oで10倍希釈し、DNA−タンパク質架橋を外すために同じ工程に付した。インプット、IPおよび無Abの画分を、RINFまたはRARh2のプロモーター領域に位置するレチノイン酸応答性エレメントを含むプライマー対を用いるPCRにより解析した。RINFプロモーターのプライマー(105bp)5'-gcagtctgagatggttcccagg-3'/5'-tgcatgtaccattccctctgcc-3’およびRARb2プロモーターのプライマー(247bp)5'-tcctgggagttggtgatgtcag-3'/5'-aaaccctgctcggatcgctc-3'。
【0040】
細胞質および核の画分の調製
細胞分画を4℃で行った。NB4細胞を200gでの遠心分離により集め、PBSで2回洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する低張溶解バッファー(25mM Tris−HCl pH7.5、12.5mM NaF、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル、Sigma P8340)に懸濁し、40分間膨潤させた。マイクロチューブ(Eppendorf)中での円錐形乳棒による細胞懸濁液のホモジナイゼーションにより原形質膜を破壊した。1,000gで3分間の遠心分離の直前にTriton−X 100を0.1%終濃度に加えた。細胞質画分からなる上清が、核からなるペレットから分離される。プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する溶解バッファーで核を2回洗浄し、1,000gでの遠心分離により回収し、4xサンプルバッファー(Laemmli 1970)で100℃で8分間抽出した。
【0041】
ウエスタンブロット
Wu YL, Dudognon C, Nguyen E, et al. Immunodetection of human telomerase reverse-transcriptase (hTERT) re-appraised: nucleolin and telomerase cross paths. J Cell Sci. 2006;119:2797-2806により従前に記載されているようにウエスタンブロッティングを実施した。
【0042】
RINFに対する特注ウサギポリクローナルペプチド特異的抗体は、Biogenes GmBHにより生産されたものである。免疫原ペプチドは、RINFタンパク質のアミノ酸45〜48に相当する。一次抗体溶液への免疫原ペプチドの添加によるウエスタンブロットシグナルの競合阻害により抗体特異性を確認した。要するに、ブロットをRINFに対する一次抗体(ポリクローナル抗体)、PARP(モノクローナルマウスIgG、Calbiochem、n°AM30)またはアクチン(ポリクローナルウサギIgG、Sigma、n°A2066)とともにインキュベートした後、適当なペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体とともにインキュベートした。化学発光検出システム(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてタンパク質の検出を行った。ヒト組織抽出物を含むブロットはMilliporeから購入した(TB300)。
【0043】
細胞質および核の画分の調製
細胞分画を4℃で行った。NB4細胞を200gでの遠心分離により集め、PBSで2回洗浄し、プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する低張溶解バッファー(25mM Tris−HCl pH7.5、12.5mM NaF、0.2mMオルトバナジン酸ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル、Sigma P8340)に懸濁し、40分間膨潤させた。マイクロチューブ(Eppendorf)中での円錐形乳棒による細胞懸濁液のホモジナイゼーションにより原形質膜を破壊した。1,000gで3分間の遠心分離の直前にTriton−X 100を0.1%終濃度に加えた。細胞質画分からなる上清が、核からなるペレットから分離される。プロテアーゼおよびホスファターゼの阻害剤を含有する溶解バッファーで核を2回洗浄し、1,000gでの遠心分離により回収し、4xサンプルバッファー(Laemmli 1970)で100℃で8分間抽出した。
【0044】
免疫蛍光
FLAGタグ付きRINFをコードするプラスミドをNB4細胞 cDNAから構築した。PCR産物をpFLAG−CMV−4発現ベクター(Sigma)に挿入した。MCF7細胞をカバースリップ上で増殖させ、Fugene HD製造業者のプロトコール(Roche)によりFLAGタグ付きRINF構築物でトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞をPBSで1回洗浄し、2%パラホルムアルデヒド中で15分間固定した。固定した細胞をPBSで3回洗浄し、0.1%Triton X−100で10分間透過処理した後、ブロッキングバッファー(PBS、2%BSA)中で30分間インキュベートした。次いで、細胞を、ブロッキングバッファー(PBS、2%BSA)で1:3,000希釈した一次抗体(ウサギポリクローナル抗Flag M2、Sigma)とともに一晩インキュベートし、PBSで2回洗浄し、1:1,000希釈(PBS、2%BSA)した二次抗体(Molecular ProbesのAlexa−488コンジュゲート抗ウサギ、Invitrogen)とともに室温で1時間インキュベートした。続いて、細胞をPBSで3回洗浄し、Vectashield封入剤4’,6−ジアミニジン−2−フェニルインドール(DAPI、Vector Laboratories)で封入して核を対比染色した。Plan Apochromat 63X N.A.1.4油浸対物レンズを搭載したZeiss LSM510 META共焦点レーザー顕微鏡において共焦点顕微鏡によりLSM510ソフトウェアv4.0(Zeiss)を用いて免疫蛍光像を取得した。
【0045】
レンチウイルス感染のためのプラスミド
RINF発現を標的とするレンチウイルスプラスミド(pLKO.1/shRNA/RINF)は、Sigmaから購入し(MISSION(登録商標)shRNA大腸菌グリセロールストック)、対照ベクター(pLKO.1/TRCおよびpLKO.1/shRNA/スクランブル対照)は、マテリアル移転契約を通じてDavid RootおよびDavid M. Sabatiniにより厚意で提供されたものである(Addgeneプラスミド10879および1864)。要するに、レンチウイルス粒子の作製は、HEK 293T細胞と、Trono's labにより開発された第二世代のパッケージングシステム(例えば、パッケージングプラスミドpsPAX2およびエンベローププラスミドpMD2.G)(Addgeneプラスミド12260および12259)との一過性同時トランスフェクション(Fugene HD、Roche)により行った。トランスフェクションの2日後にウイルス上清を回収し濾過した後、スピン感染のために増殖細胞に適用し(2400rpm、室温で1時間)、そしてそれは硫酸プロテアミン(5μg/mL)の存在下で実施した。感染の2日後に、1μg/mLのピューロマイシン (Sigma)を用いて少なくとも2日間NB4細胞を選抜した。
【0046】
プラスミドおよびレトロウイルス感染
脳心筋炎ウイルス内部リボソーム進入配列とリポーター遺伝子としての緑色蛍光タンパク質(GFP)を含むネズミ幹細胞ウイルスレトロウイルスベクターMig−R1は、W. S. Pear(University of Pennsylvania, Philadelphia, PA)により厚意で提供されたものである。5’ウイルス長い末端反復配列(LTR)プロモーターがRINFの発現を駆動できるようにMig−R1にRINFを挿入した。Mig−R1構築物(Mig−R1/エンプティおよびMig−R1/RINF)をPhoenixレトロウイルスパッケージング細胞系統にトランスフェクトして(VSV−G偽型)ウイルス上清を生成し、このウイルス上清をトランスフェクションの2日後に回収した。次いで、4μg/mlの硫酸プロテアミンの存在下で感染を実施した。感染の9日後に感染した細胞をGFP蛍光について選別した。
【0047】
URL
Cxxc5遺伝子のエキソン−イントロン構築およびゲノム組織化は、de Ia Grange P, Dutertre M, Martin N, Auboeuf D. FAST DB: a website resource for the study of the expression regulation of human gene products. Nucleic Acids Res. 2005;33:4276-4284に従ってfast DB(http://www.fast-db.com)を利用して行った。RINFタンパク質の理論分子量は、ExPASy(Expert Protein Analysis System)proteomic serverウェブサイト(www.expasy.ch/tools/pi_tool.html)において計算した。推定NLSモチーフのコンピュータによる解析は、PredictNLS(cubic.bioc.columbia.edu/predictNLS/)を利用して行った。
【0048】
結果
本発明および本発明につながる実験の結果を、以下の図を参照してさらに記載する。
【0049】
実験結果
NB4細胞系統における、レチノイン酸により早期に誘導される遺伝子であるCxxc5の同定
APLにおける新規レチノイン酸標的遺伝子についての本発明者らの探索において、本発明者らは、ATRA(1μM)により短時間(90分および3時間)処置したNB4細胞を用いてマイクロアレイ実験を行った。マイクロアレイ発現解析によって本発明者らは35個の遺伝子を同定でき、それらの遺伝子は、処置90分の時点において一貫してアップレギュレートされ、未処置対照と比べて少なくとも2倍の誘導があり、3時間後もアップレギュレートされたままであった(表1)。これらの35個の遺伝子の慎重な解析と分類によって、周知の転写因子または推定転写因子をコードする9個の遺伝子を同定した。他の26個の遺伝子は、遺伝子オントロジーおよび/または配列解析による推定転写因子であるための基準を満たさなかった。9個の候補遺伝子のうちの7個は、顆粒球または単球への分化時に骨髄組織において発現されることが分かっている、明確に特徴付けられた転写因子をコードする。重要なことには、これらの遺伝子のうちの6個はNB4細胞においてレチノイン酸により早期に誘導され、5個は直接標的であることはこれまでに確認されている。本発明者らのマイクロアレイスクリーニングの精度はこれらの観察により確認され、証明された。
【0050】
【表1】

【0051】
本発明は、これまでのところ機能的特性評価を受けていないゲノム配列であるCxxc5に関する。
【0052】
本発明者らの選択は2つの決定的な実験的発見後に行った。第1に、定量RT−PCR解析(図1A)により、Cxxc5 mRNA発現のATRAによる誘導が見事に確認された(ここではレチノイン酸処置4時間において観察された)。第2に、レチノイド添加の30分前に4時間続けたタンパク質合成阻害剤シクロヘキシミドによるNB4細胞の前処置は、ATRAによるCXXC5 mRNAアップレギュレーションを阻止しなかった(図1A)。これらの実験は、Cxxc5のATRA媒介性転写がデノボタンパク質合成を必要としないことを示しており、Cxxc5がレチノイン酸の一次標的であることを示唆している。これは、NB4細胞におけるレチノイド受容体(RARおよび/またはPML−RARqとCxxc5遺伝子のプロモーターとの直接結合を証明したChIP実験(図1B)により確認された。
【0053】
Cxxc5遺伝子のコンピュータによる特性評価
データベースから入手可能なCxxc5(ENSG00000171604)の主なゲノムの特徴を図2に簡潔にまとめた。Cxxc5遺伝子は、5番染色体の長腕、5q31.3に位置する(図2A)。この遺伝子は35.5kbpに及び、4つのエキソンに組織化されている(図2B)。この遺伝子の上流プロモーター領域は、まだ機能的に解析されていないが本発明者らの研究に関連しており、転写開始部位から−3116bpに潜在的レチノイド応答性エレメントを含む。2つの潜在的代替転写開始部位(エキソン1に1つとエキソン2にもう1つ)が存在するにもかかわらず、それらの2つのmRNA配列はエキソン3に開始コドンを有する同じオープンリーディングフレームを示す。概念翻訳により、322個のアミノ酸からなるタンパク質(図2C)であり理論分子量が32.98kDaであると予測される。タンパク質配列解析により、C末端の近位において、独特の保存されたドメイン、アミノ酸257〜302間に典型的なCXXC亜鉛フィンガーモチーフ(CX2CX2CX4-5CX2CX2C9-15Cx2Cx4C)が示された。2個の亜鉛イオンに配位している8個の保存されたシステイン残基を含むことが分かっているこのモチーフは、11個の他のタンパク質(多くの場合クロマチン関連タンパク質)において見られ、非メチル化CpGを認識すると考えられている。図2Dは、このモチーフを有するタンパク質ファミリーの既知メンバー総てのアラインメントを示している。
【0054】
レチノイド類により処置した前骨髄球細胞におけるCxxc5の遺伝子発現プロフィール
本発明者らのマイクロアレイデータに一致して、CXXC5 mRNAレベルの経時的解析(定量RT−PCRによる)により、早くもATRA処置90分に2倍の誘導が示された(図3A)。Cxxc5の転写レベルは、処置12時間の時点においてその最大レベルに達した(未処置対照において観察された発現レベルのおよそ6倍)。その後、そのレベルは少なくとも48時間の間安定にアップレギュレートされたままであった(図3A)。本発明者らは、Cxxc5発現およびそのタンパク質レベルの誘導を確認するために、予測されるCXXC5ポリペプチド鎖のアミノ酸45〜48に対するポリクローナル抗体を特別注文した(方法参照)。CXXC5タンパク質の基礎発現レベルは未処置NB4細胞抽出物において非常に低かったが(図3B)、ATRA処置開始後4時間以内に予想分子量33kDaにCXXC5タンパク質に対して特異的な強いバンド(その免疫原性ペプチドとの競合により確認された、示していない)が現われた。CXXC5タンパク質の誘導動態は、mRNAレベルにおいて観察された誘導に一致している。興味深いことに、NB4細胞と比較すると、成熟耐性サブクローンNB4−LR1およびNB4−LR2のATRA処置後にはCXXC5タンパク質の非常に弱い誘導しか認められなかった(図7)。これらの観察は、APL細胞の最終成熟時にCXXC5が参加する可能性があることと一致する。さらに、公的に利用可能なマイクロアレイデータセットから抽出したデータ(図8)により、APL患者の一次細胞におけるATRAによるCxxc5 mRNAの早期誘導が確認され、NB4細胞系統を用いて得たデータが証明された。
【0055】
レチノイド誘導核因子、RINF(CXXC5)の細胞内局在性
ATRA処置NB4細胞の核および細胞質の画分のウエスタンブロット解析により、核抽出物におけるCXXC5の発現がはっきりと検出された(図3C)。この増加した発現レベルは少なくとも48時間続いた。本発明者らのポリクローナル抗体では折り畳まれた天然タンパク質の関連エピトープ(アミノ酸45〜48)がほとんど検出されなかったため、本発明者らは、in situ免疫化学実験のためにFLAGタグ付きCXXC5をコードするプラスミドを作製した。この構築物で一過性にトランスフェクトしたMCF7細胞のin situ共焦点解析により強い核の染色が示され(図3D)、CXXC5タンパク質の核局在パターンが確認された。注目すべきは、細胞によっておよび過剰発現レベルによって、蛍光パターンが核内の微細クロマチンマトリックス、核質および/または不連続断続構造(discrete punctured structures)と少しは関係していたことである。しかしながら、核膜においても核小体内においても蛍光シグナルは検出されなかった。
【0056】
これらの実験的証拠に基づいて、本発明者らは、レチノイド誘導核因子(Retinoid-Inducible Nuclear Factor)にちなんでCXXC5をRINFと新たに命名することを提案する。この提案した名前にふさわしく、RINF(CXXC5)配列の詳細な解析により、亜鉛フィンガードメインのN末端側に位置する、アミノ酸残基257〜262間の推定核局在シグナル(Nuclear Localization Signal)(NLS)(KKKRKR)が明らかになった。
【0057】
異なる骨髄細胞系統および様々なヒト組織におけるRINFの発現パターン
本発明者らは、他の骨髄細胞系統(図3E−F)および様々なヒト組織(図3G)におけるRinf遺伝子の基礎発現レベル、ならびにレチノイド類によるその潜在的調節も評価した。検証したより未成熟な細胞系統、K562細胞およびLAMA−84細胞は最大のRINF mRNAレベル(それぞれ、NB4細胞の基礎レベルの16倍および12倍)と、さらに最大のRINFタンパク質発現も示した。これらの細胞系統ではATRA処置によりRINF mRNAレベルもタンパク質レベルもアップレギュレートされないように思われた(図3E−F)。相対的に、HL60(M2−サブタイプ)細胞系統とNB4(M3−サブタイプ)細胞系統は両方ともRINF mRNAおよびタンパク質の基礎レベルが低い。重要なことには、ATRAによる後者の細胞系統の処置により、HL60細胞(かかる処置により最終分化を始めることが分かっている)がRINF誘導に関してmRNAレベルとタンパク質レベルの両方においてNB4細胞に似た挙動をする(ここでは4時間の時点において観察された)ことが示された。重要なことには、キメラ受容体PML−RARqの発現が起こらない細胞系統であるHL60におけるこの誘導により、ATRAによるRINF誘導にPML−RARαが必要でないことが証明された。この観察に一致して、本発明者らは、NB4細胞に似た基礎発現レベル(データは示していない)を有する2つの他の細胞系統、A549肺癌細胞(3倍増加)およびHeLa頸癌細胞(2倍増加)においてもATRAによりRINF mRNA発現を誘導されることに注目した。最後に、RINF発現が骨髄組織に限定されないという事実を実証するために、本発明者らは異なる器官からの様々なタンパク質抽出物においてウエスタンブロット解析を行った(図3G)。RINFタンパク質は検証したヒト組織において種々の発現レベルを示し、胎盤において発現レベルが最大であり、脳において最小であった。要するに、これらのデータは、RINFの調節発現および推定機能はPML−RARα発現に依存しておらず、APL病理学よりもずっと広範な関心分野を含むことを示している。
【0058】
RINF発現は前骨髄球性白血病細胞の分化に必要である
ATRA処置後のNB4細胞最終分化へのRINFの潜在的関与を調査するために、本発明者らは、レンチウイルスベクターにより送達されるshRNAを用いてRNA干渉アプローチを行った(図4A)。RINF mRNAに対して向けられた5つの異なるshRNA構築物のそれぞれを安定に発現するNB4細胞の感染および選抜後に、(基礎RINF mRNA発現レベルを標的とするための)それらの有効性を対照ベクター、すなわち、スクランブルドshRNAを発現する対照ベクターおよびエンプティベクターである対照ベクターと比較した。2つの最高ノックダウン効率がshRNA/RINF−3(61%)およびshRNA/RINF−4(85%)で観察され、それらに関してはレチノイドの不在下ではNB4細胞において増殖変化も形態学的変化も認められなかった。かかるサイレンシング効率に関し(図4A)、本発明者らは、細胞の大きな割合においてATRAによるRINF mRNA誘導を効率的に阻止することをかなり期待することができ、このようにして、ATRA処置後の細胞表現型にもたらす影響を評価することができた。
【0059】
特筆すべきは、これらの2つのshRNA構築物の発現により薬理学的用量のATRAの存在下で増殖する能力がNB4細胞集団に与えられることである(図4B)。実際には、対照ベクターを発現する細胞はATRA処置によって1週間以内に不可避に分化し死滅したが、一方shRNA/RINF−4レンチウイルスベクターまたはshRNA/RINF−3レンチウイルスベクターのいずれかに感染させた細胞培養物はどちらも増殖停止(図4B)および最終分化プロセス(図4C)を回避した。ATRA誘導性RINF mRNA発現を阻止するための本発明者らのRNA干渉戦略の有効性を定量RT−PCRにより、RINF mRNA発現が最大であった(図3Aも参照)処置12時間の時点において評価した(図4C)。重要なことには、ATRAにより処置した対照ベクターと比べてshRNA/RINF−3(約50%)およびshRNA/RINF−4(60%)に関して得たノックダウンレベルは、NBT還元および形態学的解析によって評価された通りNB4細胞のおよそ30%〜50%を最終分化から救うのに十分であった(図4C、左パネル)。
【0060】
注目すべきは、これらの細胞(shRNA/RINF−3および−4)がレチノイド類の存在下で増殖し続け、ATRAなしでの2週間の培養後も(第6日〜第20日)ATRAに対するそれらの耐性が確認され、RINF mRNA発現における効率的な阻止と密接に関連していた(図4C、右パネル)ことである。要するに、これらの結果は、shRNA媒介性RINFノックダウンが前骨髄球性白血病細胞のATRA誘導性最終分化を障害することを示しており、NB4細胞のレチノイド誘導性最終成熟にRINF発現が必要であることを強く示唆している。
【0061】
次に、薬理学的用量のATRAにより顆粒球分化経路に委任されたHL60細胞系統においてRINFの関与を評価した(図9)。NB4細胞で観察された通り、2つのshRNAはRINF発現を効率的に標的とし(図9)、成熟プロセス(NBTおよび形態学的解析により評価される)を遅延させ、顆粒球分化時のRINFの機能的関与が実証された。しかしながら、レチノイド類の存在下で増殖し続けたNB4−shRNA/RINF細胞とは対照的に、ATRA処置HL60−shRNA/RINF細胞は不可避に衰弱し12日以内に死滅した。
【0062】
最後に、本発明者らは、RINF過剰発現はATRAの不在下でNB4細胞またはHL60細胞の顆粒球成熟を誘導するのに十分であろうかと考えた(図10)。本発明者らのデータは、異所性RINF発現(図10B)は白血病細胞の顆粒球分化を引き起こすために必要であるが十分ではないことを示している。実際には、RINF過剰発現の10日後でも、形態学的レベルにおいても(図10、パネルC)、分子レベルにおいても(抗CD11b表面マーカーを使用、データは示していない)分化の徴候は認められなかった。
【0063】
正常CD34+前駆細胞のサイトカインによる骨髄造血時のRINF発現および機能
本発明者らの上記発見は、造血組織および他のヒト組織における様々なRINF発現を明確に示している。これらのデータは、RINF発現は、薬理学的濃度のATRAにより誘導でき、一部の骨髄性白血病細胞の分化に必要であるが、正常前駆体骨髄造血時にはサイトカインにより生理学的に調節され得るということを示している。この場合、その調節発現は顆粒球系統に沿った正常発生時にも起こるより一般的な事象を意味することもあり得る。
【0064】
この仮説を検証するために、本発明者らは、健康成人ドナーの骨髄から単離されたCD34+細胞のサイトカイン誘導性顆粒球分化時のRINF発現を検証した。形態学的変化(図5A)と、RINFとの比較によるCD34、CD11bおよびG−CSFRの発現の解析(図5B)により分化を評価した。RINF mRNAレベルの経時的発現プロフィールを定量RT−PCR解析により決定した。RINF mRNAレベルは、初期低下(第2日〜第4日)後、第4日〜第6日の間にその最小発現に達し、その時点において培養細胞の大部分は芽球段階と前骨髄球段階にあった。その後、第6日〜第8日の間に、RINF mRNA発現は、骨髄球、後骨髄球へ、最後には短寿命多核好中球への最終細胞成熟と同時に、その最小レベルからおよそ3.5倍増加した(図5A−B)。サイトカインによる分化時のCD34+前駆体および正常造血細胞におけるRINF mRNAの検出により、その発現がAPL細胞に限定されない(それゆえPML−RARα発現に依存していない)こと、最も重要なことには、その誘導がATRAの薬理学的シグナル伝達に限定されないことが確認される。これらのデータは、正常骨髄造血時のその潜在的役割に一致している。
【0065】
正常骨髄造血時のRINF発現の機能的関連性を評価するために、サイトカイン処置により顆粒球系統に向けたCD34+前駆細胞をレンチウイルスshRNA構築物に感染させて、RINF発現をノックダウンした。非感染細胞同様に、対照ベクター(shRNA/スクランブルおよび模擬対照)に感染させた細胞の大部分は多核顆粒球へと成熟した(図5Aおよび図6)後死滅し、細胞培養物に徐々に分解された(示していない)。異なるドナー由来の検証した3つの細胞培養物では、異なる動態で顆粒球への分化が起こり(図6参照)、総ての培養物は、急速に死滅する多核好中球の細胞成熟で終わった。寿命がずっと長いことが分かっている単球と付着性マクロファージは培養物中にわずかしか存在しなかった。重要なことには、shRNA/RINF−3およびshRNA/RINF−4に同じ条件下で感染させた細胞集団(図6)は、成熟していない細胞(前骨髄球および骨髄球)の著しい蓄積を示した。対照培養物と比べて2つのshRNAで観察された顆粒球成熟におけるこの違いは、ATRAにより処置した白血病細胞系統NB4およびHL60に関して得た結果を見事に映し、正常骨髄造血時のRINFの同様の役割を示唆している。
【0066】
考察
造血細胞分化の多段プロセスは、長年、腫瘍病因の理解のためや治療戦略の設計のためのモデル研究として扱われてきた。成熟機能細胞の産生を制御する発生プログラムの攪乱は、シグナル変換および/または遺伝子転写制御をその選好機能とする限られた重要な調節遺伝子における遺伝子変化または後成的変化(遺伝子欠失、突然変異、メチル化など)によって頻繁に起こる。造血器悪性腫瘍の特定の症例では、この10年間でこれらの重要な調節遺伝子の発見に関して大きな進歩がもたらされたがそれらの機能階層については不確実性が残っている。
【0067】
本研究において、本発明者らは、亜鉛フィンガーファミリーの新規メンバーであるCXXC5(RINF)を同定し特徴付け、骨髄球性白血病細胞のレチノイド誘導性最終分化時だけでなくサイトカインによる正常骨髄造血時のそのかかわりも示した。亜鉛フィンガーを含むタンパク質は、哺乳類ゲノムにおいて最大のタンパク質スーパーファミリーの1つを構成し、DNA、RNA、脂質、または他のタンパク質と相互作用する構造的に異なる保存されたドメインを有する、進化タンパク質ファミリーおよび機能的に多様なタンパク質ファミリーに分類することができる。CXXC型亜鉛フィンガーは、該タンパク質のヒストンメチル−トランスフェラーゼ(MLL、MLL2)、ヒストンデメチラーゼ(FBXL−10、−11、−19)、DNA−メチル−トランスフェラーゼ(DNMT1)、またはCpG結合(CGBP、MBD1)の活性によってクロマチン再構築に関与するというタンパク質の小サブセットにおいて見られる(図2)。MLL、CGBP、およびMBD1のCXXCドメインは、非メチル化CpGと結合することがわかっており、この認識には保存されたKFGGモチーフ(亜鉛フィンガーの2番目のリンカー中にある)が不可欠である。KFGGモチーフを欠いているパラログ(CXXC−4、−5、−6、および−10、図2)は後の特性を共有しないと予想され、今後の課題の1つは、保存されているがKFGGモチーフを欠いているCXXCドメインを有するこの特異的サブセットのタンパク質により認識される分子標的(群)を同定することであろう。興味深いことに、CXXC型ファミリーの3メンバー(KFGGモチーフを含むまたは含まない)、MLL、MLL2、およびLCXは、これまで、染色体転座や内部再配列によって白血病誘発に関与してきた。MLLは、白血病において最も高頻度で転座される遺伝子の1つであり、記載されている種々の融合パートナーが30を超えるにもかかわらずCXXCドメインは既知MLL融合タンパク質総ての中に残り、CXXCドメインは骨髄変化に不可欠であると思われ、作用機序がまだ解明されていなくてもこの亜鉛フィンガー亜型の生物学的重要性を実証している。
【0068】
ここで報告したCxxc5(Rinf)遺伝子の発現および誘導のパターンにより、正常骨髄造血および腫瘍性骨髄造血の両方における、少なくとも成熟プロセスの最終段階(前骨髄球、骨髄球)におけるRINFの機能的関与が裏付けられた。特異的RNAiターゲッティングを用いたノックダウン実験により、前骨髄球性白血病細胞の最終分化プロセスにRINF発現が必要であることもさらに示された。しかしながら、重要なことには、本発明者らの研究は、Rinf病態生理学がAPLに限定されず、他の造血器悪性腫瘍および正常造血においてより広いかかわりを有する可能性があるという概念をはっきりと裏付けている。よって、Rinfの状態(例えば突然変異、異常な発現/誘導)はATRA応答性を予測するのに役に立つ可能性があり、それゆえ、AML患者の治療計画に関する決定に重要なツールとなる可能性がある。
【0069】
臨床状況において、Cxxc5(Rinf)生物学に関する刺激的な見通しはその脱調節発現がいくつかの血液疾患の病因となり得るかどうかを評価することである。実際には、5番染色体の長腕の中間部欠失または完全喪失は、骨髄異形成(MDS、多くの場合前白血病性疾患として記載される)および急性骨髄性白血病(AML)のような、異常骨髄造血および骨髄中の芽球過剰を特徴とする悪性骨髄疾患における再発性染色体異常である。染色体バンド5q31の主要な共通欠失領域(CDR)を明らかにした広範囲な研究にもかかわらず、白血病誘発の一因となると推測された候補腫瘍抑制遺伝子は、4Mbpサイズのこの領域においてまだ確認されていない。このセグメント内部において、Rinfは、今日記載されている(described at his date)最も小さい(1Mbp未満)CDRを表す遠位マーカーD5S594から20kbpまでに局在することに注目することが重要である。驚くべきことに、Rinf遺伝子は、恐らくCDRの外側に局在すると考えられていたため、これまでのところ遺伝学的および機能的調査を免れてきた。それでも、RinfとCDRとが極めて接近していることで、同定遺伝子の上流における調節配列の喪失と、さらに5q31内でのより遠位の欠失を理由にRinf発現に影響を与える可能性がある。本発明者らの発見により、文献中のデータと合わせて考えて、本発明者らはRinfを骨髄細胞形質転換についての強力な腫瘍抑制遺伝子候補であると考えるに至った。興味深いことに、骨髄病変について公的に利用可能なマイクロアレイデータベースを調べて、本発明者らは正常な健康ドナーと比べて、欠失5qを有する骨髄異形成患者のCD34+細胞でのより低いRINF mRNA発現を明らかにした(図11)。この観察は推定ハプロ不全機構と一致し、不応性貧血、5q−症候群を含むMDSのもう1つのサブグループにおいてリボソーム遺伝子rpS14(特徴的なCDRの5q32に位置する)について最近記載されたため、これらの血液疾患におけるrinf脱調節の真の寄与を評価することが重要であろう。
【0070】
Rinf発現が骨髄組織に限定されないことから、この遺伝子は他の組織の発生および/またはホメオスタシスにも関与する可能性がある。レチノイド類によるその直接誘導は、中間タンパク質レギュレーターのデノボ合成を必要とせず、これは、分化と関係なくてもRinfが少なくともある程度はレチノイド類の多面発現効果のいくつか、例えば、様々な固形腫瘍におけるそれらの抗増殖作用などを媒介する可能性があることを示唆している。まとめると、本発明者らの発見により、異なる組織においてレチノイド類により薬理学的に誘導できるRinf発現は、いくつかの発生プロセスおよび病変において予想されるそのかかわりから、幅広い利益がある可能性があるという仮説が裏付けられる。
【0071】
配列情報
Organization Applicant
----------------------
Street :
City :
State :
Country :
PostalCode :
PhoneNumber :
FaxNumber :
EmailAddress :
<110> OrganizationName : AS Bergen Teknologioverf・ing AS

Application Project
-------------------
<120> Title : Novel reinoid inducible factor, and uses thereof
<130> AppFileReference : P11828NO01
<140> CurrentAppNumber :
<141> CurrentFilingDate : ____-__-__

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--------
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ctgctcgtgt ggtctccagc aagggattcg ggcgaagaca aacggatgca cccgtcttta 1860

gaaccaaaaa tattctctca cagatttcat tcctgttttt atatatatat tttttgttgt 1920

cgttttaaca tctccacgtc cctagcataa aaagaaaaag aaaaaaattt aaactgcttt 1980

ttcggaagaa caacaacaaa aaagaggtaa agacgaatct ataaagtacc gagacttcct 2040

gggcaaagaa tggacaatca gtttccttcc tgtgtcgatg tcgatgttgt ctgtgcagga 2100

gatgcagttt ttgtgtagag aatgtaaatt ttctgtaacc ttttgaaatc tagttactaa 2160

taagcactac tgtaatttag cacagtttaa ctccaccctc atttaaactt cctttgattc 2220

tttccgacca tgaaatagtg catagtttgc ctggagaatc cactcacgtt cataaagaga 2280

atgttgatgg cgccgtgtag aagccgctct gtatccatcc acgcgtgcag agctgccagc 2340

agggagctca cagaagggga gggagcacca ggccagctga gctgcaccca cagtcccgag 2400

actgggatcc cccaccccaa cagtgatttt ggaaaaaaaa atgaaagttc tgttcgttta 2460

tccattgcga tctggggagc cccatctcga tatttccaat cctggctact tttcttagag 2520

aaaataagtc ctttttttct ggccttgcta atggcaacag aagaaagggc ttctttgcgt 2580

ggtcccctgc tggtgggggt gggtccccag ggggccccct gcggcctggg cccccctgcc 2640

cacggccagc ttcctgctga tgaacatgct gtttgtattg ttttaggaaa ccaggctgtt 2700

ttgtgaataa aacgaatgca tgtttgtgtc acgaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2760

aaaaaaaaaa aaaaaaaa 2778
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SequenceDescription :

Sequence
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<213> OrganismName : Homo sapiens
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ggcagcggtg gcagtggcag cagtggccca aaggcaggag cagcagacaa gagtgcagtg 120

gtggctgccg ccgcaccagc ctcagtggca gatgacacac caccccccga gcgtcggaac 180

aagagcggta tcatcagtga gcccctcaac aagagcctgc gccgctcccg cccgctctcc 240

cactactctt cttttggcag cagtggtggt agtggcggtg gcagcatgat gggcggagag 300

tctgctgaca aggccactgc ggctgcagcc gctgcctccc tgttggccaa tgggcatgac 360

ctggcggcgg ccatggcggt ggacaaaagc aaccctacct caaagcacaa aagtggtgct 420

gtggccagcc tgctgagcaa ggcagagcgg gccacggagc tggcagccga gggacagctg 480

acgctgcagc agtttgcgca gtccacagag atgctgaagc gcgtggtgca ggagcatctc 540

ccgctgatga gcgaggcggg tgctggcctg cctgacatgg aggctgtggc aggtgccgaa 600

gccctcaatg gccagtccga cttcccctac ctgggcgctt tccccatcaa cccaggcctc 660

ttcattatga ccccggcagg tgtgttcctg gccgagagcg cgctgcacat ggcgggcctg 720

gctgagtacc ccatgcaggg agagctggcc tctgccatca gctccggcaa gaagaagcgg 780

aaacgctgcg gcatgtgcgc gccctgccgg cggcgcatca actgcgagca gtgcagcagt 840

tgtaggaatc gaaagactgg ccatcagatt tgcaaattca gaaaatgtga ggaactcaaa 900

aagaagcctt ccgctgctct ggagaaggtg atgcttccga cgggagccgc cttccggtgg 960

tttcagtga 969
<212> Type : DNA
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Sequence
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<213> OrganismName : Homo sapiens
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MSSLGGGSQD AGGSSSSSTN GSGGSGSSGP KAGAADKSAV VAAAAPASVA DDTPPPERRN 60

KSGIISEPLN KSLRRSRPLS HYSSFGSSGG SGGGSMMGGE SADKATAAAA AASLLANGHD 120

LAAAMAVDKS NPTSKHKSGA VASLLSKAER ATELAAEGQL TLQQFAQSTE MLKRVVQEHL 180

PLMSEAGAGL PDMEAVAGAE ALNGQSDFPY LGAFPINPGL FIMTPAGVFL AESALHMAGL 240

AEYPMQGELA SAISSGKKKR KRCGMCAPCR RRINCEQCSS CRNRKTGHQI CKFRKCEELK 300

KKPSAALEKV MLPTGAAFRW FQ 322
<212> Type : PRT
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SequenceName : RINF
SequenceDescription :

Sequence
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<213> OrganismName : Homo sapiens
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cgagttcatg aggtgagc 18
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Sequence
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<213> OrganismName : Homo sapiens
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ccccaagcac tgtctgagca ccccattcct tggagtctga agggaagggc agagtagggg 60

gtggtagctg gggtcttggg gccccaggtc tgaagagaaa gaggctgggc cattttcgga 120

agtctcagtg cgggccattt ctgaccctgc actgccctcc aggaccagat ttgtagagag 180

gaggctgagc cccaccctgc ctcctccagc aggcctcccc cacaccacca caccctagcc 240

ttcaggcttt gggtcgggca gggcactttc agggcaggct ggcttctcct gcccagggca 300

cccctcctcc aggtgcaggg ctccagattg ggacactgtg cctctgcctc ccctaaggcc 360

ccattcagtt acctccccac ctctcagcaa tgctctccct ccctcttcct gaagtgtggc 420

agggaggctg gagccacagc tttggcctct gggagcactc agtcccactc ccataggaca 480

gagttgaacc atgattgtgt ctagagaagc caagggttat tgtcaggggc acaacagccc 540

ccaaactgtc cctctcccca tcaatatccc atatacaggc tgagttccct gtgcctcact 600

gagaacaggg ctgtatctgg ttgtctatgg cgtgtatgta gctgtgcctg ggcaatggga 660

aatatagctt gcttcctgct ttctctcagc ctctgtcccc agagtcattt tgttctggga 720

ctggagtctt ccttctgtcc tcatcccttc ccctctgttt acacaggtca aggccaggca 780

ttggccacca aactgacttc tcaggaatgg gcaagcctgg gttacttgag agacttggct 840

ttttgaattt tcatttcaca gctctctgct ccttcagacg tcatgggggt ggggtgggga 900

ggacctaaag tccagtggtc agtgcgtgag ggcccagacc caaaggcccg gggccacagt 960

ctggtgcggt taggctcctc cctgcctctg cccgtgtttg cacccccagg cctgccctgg 1020

gattttggct gaggtcacag tccagcatga ccccactgaa cactatcctg tgccctgccc 1080

cagcaggcag ggtttcaaat gcctttgctc ccatcctttg tgatacaggt gacagaactg 1140

gggcccaaag aagggtaaac cttagactga gttccaaatt ggccatcttt attggagatc 1200

ctaactccca cactcctctc catgtggcca tttccagtca ctggatgttt aatcaatgac 1260

agatattagc agataaatgg cagtcatgga aaatgcctca gacaaggcat ggattgaaat 1320

cctggttttg ctactttgta acctcacaca ggtgtccaag cctgtggatt taataagcct 1380

atgttcaaaa agcaattagc atggtccctg acaagcaaga gctcagaaag attctggcta 1440

caattgttat tactggtacc tctttggagg ccaagcttcg ggcccaaggc aggtagggga 1500

ctcctcctta ccttcaaaga attttcatgg cgggaggtgg tggcgagggg acaagtagtg 1560

agatgagcaa ataaaagcta tttctgtgca ttgtggtcac tgtggccata ggaggggtcc 1620

caaagccaga tgaaggaccc aaagccaggc cacagagtac atctgtcctg tgcatgcact 1680

gcaaaaaggc acctagcaaa gggagctagg aagctgaaag gcagtctgtg acctccttca 1740

tggtttcctg tatctgccaa aagtgggtac ctttttctga tttgcacaaa ggctagtggt 1800

ggccctgtag gtatggccca aactcaggct ggaagtggca gtctgagatg gttcccaggt 1860

gatatgtgct cctggtcttc catgaggagt tcatgaggtg agcttgatga ggcctatctt 1920

ggcagaggga atggtacatg caaagctctg gaaatctgga gaggagtctt ggggtgtcag 1980

agggaactgc cagtgttaga tggcattggt cagcagggcc tggcagggaa gagagtcagt 2040

tagggaagcc aggctgagta gggtagtctg tgaggaacca ctgcaggatg tgaagcagat 2100

gagcctcact ggaggctgtg gaaagcctcc ctagaatagc acatggcctc aggggtttga 2160

gaacagctct gatgccaatc tcatttcagt ttcctcatct gaataatggg gatgacatta 2220

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cctgctcagg gtaagggctg cacaaatacc agccatgggt attatcagca ggatccagga 2340

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gattggttca aaaaactcag caaaaagttt aatagcaagg tgagacttca attctccttt 2520

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aatagagttt gacttcatgg atcctaaccc tctgagacct gctgctgact cccagggagc 3180

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aatgcttgga gatcctacac ctgggctttt gcttcctttt tccttgcacg gtcagtgccc 3300

aacacagtgc ctgacattca cactgaggcc cagcatacct atctttaagc agtttggaag 3360

tgatcttctg ggggtgatgg gcgtcttaaa acggtttcca tagcaagcac cttactttta 3420

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gactaaacgc ctccccaagg gagccatttc ttggcatagt agttaaggga gaccacttct 3540

cagcattcgg aaggaactgg ttgggagcag gtgtccacga tgtctgggga ggggtcactt 3600

cgtgtggtct tggatatcag gagtggcaga gaggcaacac attccagatg agctctgccc 3660

tttgacacct ccccccaccc caccccggct gggtcaaggc cccaaggcca catatagaag 3720

gcgtggaagg tgggcaccag ctgctgctgc caggagatcc atgctccata agccctcgcg 3780

ccagcctcgg agacagccag gctgcgcaga gcagaggaga ggaagcagcg aggtgggaga 3840

cagtttcgct tctcccaccg aggccgcgcc tgtggctgca ggcgcccgga tcgccacagt 3900

taactccctg ttatctgggc cccaatcgat ctcaggctgt aacgtttaac cctaggctga 3960

cttccccaac cgccctcccc ctctccctcc cctgcttggg tctggggact gcgttttctt 4020

cgcctcgcag aggaaggtcg gccttgcaca aatccgcccc cacgaatccc aaagaattgg 4080

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tggaggccac tgatggagtg aaagcgggat atgcgggccc aactctgtcc ccactgggcg 4260

cctactctgg caaggctgag ttttccttct gtctttcaat cagtacctat tgagcgctgc 4320

tgttccaagc attgtttcgg gttttgagtg cgtaggccat ggtctcaggg caccaaatgt 4380

acgtagtcgt tttagccccg ggactcaaga gttgaggctg atgcctgcct gagagataaa 4440

atatcctttc tcggatcagt ttcctcacct gagaaatggg aacgggaatc tccgcccctt 4500

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tggaacacgc gtctacctcc caggaccctc gactaggaat ctctggcccg ccgcgcacct 4620

gagctggggg gcgcggccaa attctccctc ccggtcctcg aagcttctgg ccccgctcta 4680

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ccaaagcggg gaggtcgtcc tttttttttt ttttttgtaa agttgcggga aataggcgaa 4800

gacggggcgc gcaagggagc tgagcctggg tggaccgcgt cagggcgcgg ggagctcgag 4860

gcgcagcggc tgcagctccg gcctcagagc ccgcggcgtc caagtggccc gagctgcgct 4920

gggagggagg cggcgggagg agggagggga gccgaggtgg agggggttgg ggggaggagg 4980

gagcggcgag tccggtccgg 5000
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SequenceName : Promotor
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Sequence
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Sequence
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<213> OrganismName : Artificial Sequence
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SequenceName : Primer 2 for detection of cxxc5
SequenceDescription :

Sequence
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atgcgctacg tcgcc 15
<212> Type : DNA
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SequenceName : Primer 1 for detection of rpP2
SequenceDescription :

Sequence
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ttaatcaaaa aggccaaatc ccat 24
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SequenceName : Primer 2 for detection of rpP2
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Sequence
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<213> OrganismName : Artificial Sequence
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cagctggagc cccacag 17
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SequenceName : Primer 1 for detection of cd34
SequenceDescription :

Sequence
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SequenceName : Primer 2 for detection of cd34
SequenceDescription :

Sequence
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<213> OrganismName : Artificial Sequence
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gtgcccacaa tcatggagga g 21
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SequenceName : Primer 1 for detection of gcsfr
SequenceDescription :

Sequence
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catcctcctc cagcactgtg 20
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<211> Length : 20
SequenceName : Primer 2 for detection of gcsfr
SequenceDescription :

Sequence
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ctgctcctgg ccctcatc 18
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SequenceName : Primer 1 for detectino of cd11b
SequenceDescription :

Sequence
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<213> OrganismName : Artificial Sequence
<400> PreSequenceString :
gacccccttc actcatcatg tc 22
<212> Type : DNA
<211> Length : 22
SequenceName : Primer 2 for detection of cd11b
SequenceDescription :
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】CXXC5(RINF)がレチノイン酸の直接標的であることを示す図である。(A).ATRA処置(1μM)の4時間後に定量RT−PCRによりRINF mRNA発現レベルを測定した。10μg/mLにて用いたシクロヘキシミド(CHX)による翻訳の阻害は、RINF mRNAレベルのATRAによる上昇を阻止しなかった。これは、このプロセスがデノボタンパク質合成を必要としないことを示しており、Rinfがレチノイン酸の一次標的であることを強く示唆している。ヒストグラムは、2つの独立した細胞培養処置の平均(+/−s.e.m)を表している。(B).NB4細胞におけるRARαおよびPML−RARαのRINFプロモーターとのin vivo結合。1μM ATRAで3時間処置したNB4細胞または処置していないNB4細胞から架橋クロマチンを調製し、抗RARα抗体または抗PML抗体により免疫沈降させた。この沈降物を、ヒトRINFまたはRARb2遺伝子プロモーターにわたるプライマー対を用いるPCR解析に付した。これらのプライマーは、RINFプロモーターに見られる推定レチノイド応答性エレメント(ggagttcatgaggtgagc)またはRARb2プロモーター(ここでは陽性対照として用いた)において確立されているRARE(ggttcaccgaaagttca)を含むように設計された。インプット:IPの前にNB4細胞の全クロマチンについてPCRを行った。無Ab(無抗体対照):無関係の抗体を用いたまたは抗体を用いないIP後に得られたサンプルについてPCRを行った。
【図2】Cxxc5遺伝子構造とタンパク質産物(RINF)を示す図である。(A)Cxxc5(Rinf)遺伝子は、染色体5q31.3に局在する。Cxxc5遺伝子はpterの139,008,130bpに始まり、pterの139,043,651bpに終わる。Cxxc5遺伝子はプラス鎖方向に配向され、35,522kbp長である。(B)Cxxc5(Rinf)遺伝子のゲノム組織化。Cxxc5遺伝子は4つのエキソンに組織化され、オープンリーディングフレームの95%はエキソン3に位置する。ダイレクトリピート2(Direct Repeat 2)(DR2)タイプの推定レチノイン酸応答性エレメント(RARE)は、エキソン1転写開始部位の上流側−3116bpに位置する。(C)一文字アミノ酸表示によるRINFの予測アミノ酸配列。オープンリーディングフレームは322個のアミノ酸残基からなるタンパク質配列であり理論分子量が32.98kDaである(www.expasy.ch/tools/pi_tool.html)が見込まれる。亜鉛フィンガードメインに下線を施している。(D)CXXC亜鉛フィンガードメインを除いては、保存された構造ドメインは見られなかった。RINFタンパク質のCXXC−モチーフとそのヒトパラログとのアラインメントを示している。CXXC−モチーフの中で不変であるアミノ酸は灰色で示し、保存されたシステイン残基は赤色で示している。CXXC型亜鉛フィンガーのコンセンサス配列は、Cx2Cx2Cx4-5Cx2Cx2C9-15Cx2Cx4Cにより定義することができる。
【図3】NB4細胞と他の骨髄細胞系統および組織におけるRINF発現と細胞内局在性を示す図である。(A)NB4細胞のATRA処置(1μM)中のRINF mRNAレベルの相対発現(定量RT−PCRにより測定した)。(B)ATRA(1μM)により処置したNB4細胞または処置していないNB4細胞からの全抽出物におけるRINFタンパク質の発現。33kDaにおいて特定バンドを検出する本発明者らの特注ポリクローナルウサギ抗体(方法参照)を用いてRINFを検出した。アクチンをローディング対照として用いた。(C)ATRA(1μM)により処置したNB4細胞または処置していないNB4細胞の核および細胞質の画分におけるRINFタンパク質の発現。前記ポリクローナル抗体を用いてRINFを検出した。この実験では、PARPおよびアクチンを対照として用いて核および細胞質の抽出物の品質、純度、およびローディングを評価した。(D)FLAGタグ付きRINF(緑色;Alexa Fluor 488コンジュゲート抗FLAGモノクローナル抗体)は、共焦点および微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡法により解析したMCF7細胞の核に局在する(DAPIにより青色に染色された)。スケールバー、10μm。(E)ATRAを用いたまたは用いない、処置4時間の時点における、定量RT−PCRにより測定した様々な骨髄細胞系統におけるRINF mRNA発現(方法参照)。ATRA(1μM、4時間)により処置したまたは処置していない様々な骨髄細胞系統における(F)、および様々なヒト組織における(G)RINFタンパク質の発現。骨髄細胞系統(20μg)およびヒト組織抽出物(65μg、方法参照)の各々には同量のタンパク質(BCA定量法により決定した)をローディングした。アクチンをローディング対照として用いた。
【図4】RinfのshRNA媒介性サイレンシングがNB4細胞のATRA誘導性最終分化に対する耐性を与えることを示す図である。(A)レンチウイルスshRNAベクターと、Rinf発現をノックダウンするために用いたそれらのmRNA標的配列。レンチウイルスベクター構築物を用いたNB4細胞の感染および選抜(方法参照)後に、基礎RINF mRNA発現レベルを測定する定量RT−PCRにより基礎Rinf発現を標的とする標的配列の有効性をモニタリングした(模擬対照、pLKO.1/エンプティベクターに対する割合%で示した)。shRNA/RINF−3構築物およびshRNA/RINF−4構築物で最も有効なノックダウンを得た(それぞれ61%および85%、ATRAの不在下)。(B)ATRA(1μM)の存在下でshRNA構築物を安定に発現するNB4細胞の細胞増殖(集団倍加数)。示した動態実験(ここでは12日のATRA処置中)は3つの独立した実験(異なる感染群から行った)を代表するものである。対照細胞の成熟後細胞死を†により示している。(C)定量RT−PCRにより評価したRINF mRNA発現(培養12時間の時点における未処置模擬対照に対する割合%)と第4日目に細胞形態学により評価した最終分化(スケールバー、25μm)とエンプティベクター、hRNA/スクランブルベクター、shRNA/RINF−3ベクターおよびshRNA/RINF−4ベクターに感染させたNB4細胞の第2日目に評価したNBT還元解析(スケールバー、25μm)。細胞をATRA(1μM)により4日間処置したまたは処置しなかった(第1回目のATRA、第0日〜第4日、左パネル)。さらに2週間のATRAの不在下での培養後に、第1回目のATRAを免れたshRNA/RINF−3細胞およびshRNA/RINF−4細胞をATRA(1μM)により4日間再処置した(第2回目のATRA、第20日〜第24日、右パネル)。
【図5】正常骨髄造血時のRINF発現を示す図である。(A)骨髄CD34+細胞(健康ドナー由来)のサイトカイン誘導性(20ng/mLのIL3およびG−CSF、50ng/mLのSCF)顆粒球分化。細胞形態学(スケールバー、25μm)では、細胞をサイトスピンによりガラススライド上に広げ、風乾させ、培養の異なる時点(第2日〜第10日)においてMay−Gr?nwald−Giemsa(MGG)により染色した。記録した培養日それぞれには、観察した骨髄造血の主要段階を示している。第1日目に、細胞の大部分が多核好中性顆粒球へと最終分化した。本発明者らの実験条件において、いくつかの単球細胞も認められた(示していない)。(B)CD34+前駆体のサイトカイン誘導性顆粒球分化時の様々な遺伝子の相対mRNA発現(定量RT−PCRにより測定した)(+/−s.e.m)。
【図6】正常骨髄造血時のRINFの機能的関与を示す図である。3名の健康ドナー(A、BおよびC)由来のCD34+骨髄前駆体を、RINF発現を標的とするレンチウイルスshRNA構築物(shRNA/RINF−3および−4)または対照ベクター(エンプティおよびshRNA/スクランブル)に感染させ、サイトカイン(20ng/mLのIL3およびG−CSF、50ng/mLのSCF)により処置してそれらを顆粒球にさせた。各ドナーでは、培養の2〜3日おきにサイトスピンおよびMGG染色後の細胞形態学解析(スケールバー、25μm)により骨髄分化を評価した。培養した前駆体の細胞分化は異なる動態で進展した。それらの図は、それぞれ14日後、30日後、および18日後の細胞集団の形態を示している。留意すべきは、shRNA−RINF−3構築物またはshRNA−RINF−4構築物に感染させた細胞培養物が、前骨髄球/骨髄球段階において対照(エンプティベクターまたはスクランブルベクターに感染させた細胞培養物)よりも未成熟な細胞(矢印で示している)を表示していることである。ドナーAでは、顆粒球分化動態は速く(第10日まで)、第14日目において対照培養物にはごくわずかの接着単球/マクロファージだけが存在した。
【図7】ATRA(1μM)により処置した、NB4細胞、NB4−LR1細胞およびNB4−LR2細胞からの全抽出物におけるRINFタンパク質の発現を示す図である。33kDaにおいて特定バンドを示す本発明者らの特注ポリクローナルウサギ抗体(方法参照)を用いてRINFを検出した。アクチンをローディング対照として用いた。RINF発現はNB4細胞において、2つの耐性サブクローンNB4−LR1およびNB4−LR2よりも顕著であった。
【図8】3名の(PML−RARa陽性)APL患者に由来する芽球におけるCxxc5 mRNA発現を示す図である。細胞をATRA(1μM)により4時間処置したまたは処置しなかった。データは、公的に利用可能なデータベースArrayexpress(E−MEXP−149)から抽出した。マイクロアレイ実験は、Meani et al.により、Affymetrix GeneChip Human Genome HG−U 133AおよびHG−U 133Bにより行った(各サンプルに対して2つの表示したハイブリダイゼーション)。発現値測定に用いた定量様式はaffymetrix:CHPSignalである。Cxxc5発現を標的とする3つのプローブは、プローブa(222996_s_at)、b(224516_s_at)およびc(233955_x_at)であった。2箇所の点線は、未処置群およびATRA処置群の平均を示している。本発明者らは、対応のあるスチューデントt検定を適用し、これらの2群についての値に有意差がある(p値<0.05)ことを示した。
【図9】RinfのshRNA媒介性サイレンシングがHL60細胞のATRA誘導性最終分化を遅延させることを示す図である。HL60細胞を、エンプティレンチウイルスベクター、shRNA/スクランブルレンチウイルスベクター、shRNA/RINF−3レンチウイルスベクターまたはshRNA/RINF−4レンチウイルスベクターに感染させ、選抜した。次いで、細胞をATRA(1μM)により処置したまたは処置しなかった。RINF mRNA発現を定量RT−PCRにより評価した(培養6時間の時点における未処置模擬対照に対する割合%)。最終分化を、第2日目にNBT還元解析により第6日目に細胞形態学および(スケールバー、25μm)により評価した。
【図10】RINF過剰発現がNB4細胞系統およびHL60細胞系統の分化を誘導するのに十分ではないことを示す図である。(A)ネズミ幹細胞ウイルス(MSCV)由来のレトロウイルス系を用いて、2つの細胞系統においてRINFを過剰発現させた。細胞を感染させ、感染の9日後にGFP発現について選別した。(B)2つの細胞系統では、RINF mRNA発現を定量RT−PCRにより測定し(ここでは第10日目)、それらのそれぞれの模擬対照に対する割合%で表した(+/−s.e.m)。(C)細胞をサイトスピンし、細胞形態学解析についてMGGにより染色し、ここでは2つの異なる大きさで視覚化した(スケールバー、25μm)。RINF過剰発現の10日後でも分化の徴候は認められなかった。RINFを過剰発現している細胞培養物においてわずかな割合の細胞死(全体の約10%)が一貫して認められた。
【図11】骨髄異形成(MDS)に罹患している55名の患者に由来するCD34+細胞におけるCxxc5 mRNA発現を示す図である。データは、公的に利用可能なデータベースArrayexpress(E−GEO−4619)およびGene Expression Omnibus (GDS2118)から抽出した。マイクロアレイ実験は、Pellagatti et al.により、GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 arrays(Affymetrix)により行った。各ポイントは、1名のMDSを有する患者または健康個体を表している。3箇所の点線は、正常な健康ドナー(n=11)、欠失5qを有するMDS(n=20)または欠失5qがないMDS(n=35)についての群平均(998.1、512.2および985.9)を示している。ウイルコクソン2標本検定(p<0.003)によれば、正常と欠失(5q)を有するMDSについての値に有意差があった。URL: http://www.ebi.ac.uk/Arrayexpress/(ArrayExpress)およびhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/(Gene Expression Omnibus)
【図12】様々な血液疾患を有する患者の骨髄細胞においてRQ−PCRにより検出されたRINF mRNA発現を示す図である。
【図13】様々な血液疾患を有する患者の血液細胞においてRQ−PCRにより検出されたmRNA発現を示す図である。
【図14】固形腫瘍におけるRINF発現を示す図である。
【図15】甲状腺癌患者の対応サンプルの良性に対する腫瘍のRINF発現を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノイド誘導核因子(RINF)をコードし、かつ、配列番号1または配列番号2の配列、またはその機能的断片もしくは変異体、またはそれとハイブリダイズ可能な機能的に同等の単離DNA配列、またはそれに対応するmRNAを含んでなる、核酸。
【請求項2】
レチノイド誘導核因子(RINF)であり、かつ、配列番号3(CXXC5)の配列またはその機能的断片もしくは変異体を含んでなる、タンパク質またはタンパク質誘導体。
【請求項3】
それを必要とする哺乳類における、造血疾患の予防および/または治療のための医薬組成物、または造血細胞の分化もしくは細胞死の誘導もしくは増進のための医薬組成物の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸の使用。
【請求項4】
in vitroまたはそれを必要とする哺乳類における、造血細胞の分化の障害もしくは阻止のための医薬組成物、または幹細胞の増加のための医薬組成物の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸、または請求項1もしくは請求項2の配列のうちの1つと相互作用する化合物の使用。
【請求項5】
前記造血細胞が骨髄細胞である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
前記造血細胞が末梢血液細胞である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項7】
前記造血細胞が臍帯血液細胞または胎盤血液細胞である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項8】
前記造血細胞が腫瘍性である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項9】
前記造血細胞が正常、すなわち、非腫瘍性である、請求項3または4に記載の使用。
【請求項10】
骨髄細胞の最終分化が回復される、請求項3に記載の使用。
【請求項11】
リンパ系細胞の最終分化が回復される、請求項3に記載の使用。
【請求項12】
急性骨髄性白血病(AML)細胞、急性リンパ性白血病(ALL)細胞または骨髄異形成(MDS)細胞の最終分化または細胞死が回復される、請求項3に記載の使用。
【請求項13】
造血疾患の予防および/または治療のための医薬組成物の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸の使用。
【請求項14】
前記造血疾患が、骨髄異形成(MDS,骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄増殖性症候群(MPS)、慢性骨髄性白血病(CML)および慢性リンパ性白血病(CLL)からなる群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
癌の予防および/または治療のための医薬組成物の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸の使用。
【請求項16】
前記癌が、白血病、骨髄異形成(MDS,骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄増殖性症候群(MPS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および固形腫瘍(乳癌、黒色腫、肺癌、甲状腺癌、前立腺癌、神経芽腫、および腎癌)を含んでなる群から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
それを必要とする哺乳類において、請求項1に記載の核酸の発現を活性化するための、および/または請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列の発現を増強するための、レチノイドの使用。
【請求項18】
前記レチノイドが、レチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸)、イソトレチノイド、アリトレチノイン、エトレチナート、アシトレチン、タザロテン、ベキサロテンおよびアダパレンを含んでなる群から選択される、請求項14に記載の使用。
【請求項19】
前記レチノイドが全トランス型レチノイン酸(ATRA)である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記哺乳類が癌を有する、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
前記癌が、白血病、骨髄異形成(MDS,骨髄異形成症候群)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄増殖性症候群(MPS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および固形腫瘍(乳癌、黒色腫、肺癌、甲状腺癌、および腎癌)を含んでなる群から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記哺乳類が造血疾患を有する、請求項17に記載の使用。
【請求項23】
前記哺乳類が造血細胞の分化の増進を必要とする、請求項17に記載の使用。
【請求項24】
レチノイドに加えてBMP4も用いられる、請求項17に記載の使用。
【請求項25】
レチノイドに加えてインターフェロンも用いられる、請求項17に記載の使用。
【請求項26】
レチノイドに加えてサイトカインも用いられる、請求項17に記載の使用。
【請求項27】
CXXC5の発現を、レトロウイルスまたはレンチウイルスのベクター(過剰発現)により、またはshRNA分子(抑制)により調節する、方法。
【請求項28】
レチノイド応答性の予後の、または請求項3〜27のいずれか一項に記載の疾患の予後のための方法であって、請求項1に記載の核酸、および/または請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列の状態を参照と比較することを特徴とする、方法。
【請求項29】
発現レベル、突然変異、メチル化、再配列および転座の検出により状態を評価する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
癌または造血疾患、または骨髄造血減少状態の診断のための方法であって、請求項1に記載の核酸の発現レベルおよび/または状態、または請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列の発現レベルおよび/または状態の検出を含んでなる、方法。
【請求項31】
急性前骨髄球性白血病(APL)遺伝子型の検出のための、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
哺乳類における白血病、前白血病(骨髄異形成)または癌の状態の判定のための、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質またはタンパク質配列の発現レベルおよび/または局在性が抗体の使用により決定される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記抗体が、請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列、好ましくは配列番号2のアミノ酸45〜48と反応する、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
モノクローナルまたはポリクローナル抗体の製造のための、請求項2に記載のタンパク質もしくはタンパク質配列、または請求項1に記載の核酸の使用。
【請求項36】
分子を癌細胞にターゲッティングする方法であって、(a)第1に、前記細胞を、レチノイドと、前記細胞における請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列の発現を増加させるのに有効な量で接触させる工程、および(b)第2に、前記細胞を、請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列に特異的に結合する薬剤と接触させる工程を含んでなり、前記薬剤が、前記分子および前記分子が結合している物質からなる群から選択される、方法。
【請求項37】
請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列の一部と相互作用することができる、分子。
【請求項38】
抗体、好ましくは配列番号2のアミノ酸45〜48と反応する抗体である、請求項37に記載の分子。
【請求項39】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項37に記載の分子。
【請求項40】
FLAGタグ付きの請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列をコードするプラスミドである、請求項37に記載の分子。
【請求項41】
FLAGタグ付きの請求項2に記載のタンパク質またはタンパク質配列をコードする少なくとも1つのプラスミドを含有する構築物である、請求項37に記載の分子。
【請求項42】
配列番号4の配列、またはその機能的断片もしくは変異体、またはそれとハイブリダイズ可能な機能的に同等の単離DNA配列を含んでなる、レチノイド応答性エレメント。
【請求項43】
配列番号5の配列、またはその機能的断片もしくは変異体、またはそれとハイブリダイズ可能な機能的に同等の単離DNA配列を含んでなる、プロモーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−525352(P2011−525352A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513442(P2011−513442)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/NO2009/000214
【国際公開番号】WO2009/151337
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(509338400)ベルゲン・テクノロジオーヴァーフォリング・アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】