説明

新規レンチナン分解酵素遺伝子、及びそれを利用した組換えシイタケ菌

【課題】 シイタケ菌に由来するendo-グルカナーゼ活性を有するThaumatin-like protein遺伝子を単離し、そのレンチナン分解に対する機能を解明することにより、レンチナン分解活性が抑制されたシイタケ菌を得る。
【解決手段】 配列番号1(第1292〜第3330番目)又は配列番号2で示されるシイタケ菌由来のレンチナン分解活性を有する新規endo-グルカナーゼ遺伝子(tlg1)、前記tlg1遺伝子発現抑制用ベクター、及び前記ベクターで形質転換された形質転換シイタケ菌の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シイタケ菌由来のレンチナン分解活性を有する新規endo-グルカナーゼ遺伝子(tlg1)、前記tlg1遺伝子発現抑制用ベクター、及び前記ベクターを用いて作製されるレンチナン分解活性が抑制された形質転換シイタケ菌等に関する。
【背景技術】
【0002】
シイタケは、担子菌類のキシメジ科シイタケ属に属し、古くから現在に至るまで、優秀な食用菌として用いられ、日本においては古来より栽培されている。シイタケは生シイタケとしてだけではなく、乾シイタケとしても利用されている。しかし近年、中国等からの輸入シイタケが急増したことから、自給率が低下してきている。
【0003】
シイタケ菌の育種のほとんどは交配育種に頼っており、変異原処理等による育種は行われていない。交配による育種は胞子形成を伴うことから非常に時間がかかる上に、形質が変化した株を選抜するのに、多大な労力がかかるという問題点があった。
【0004】
近年、シイタケの形質転換方法やシイタケ由来の遺伝子プロモーターを用いたベクターが報告され(特許文献1〜4及び非特許文献1〜3)、これを利用したアンチセンスベクターやRNAiベクターにより、シイタケにおける特定遺伝子の発現制御が可能になると考えられる。しかしながら、この方法を行うには対象となる遺伝子の単離に関し、シイタケ菌の遺伝子解析研究は発展途上であり、単離されている遺伝子の数は非常に少ない。
【0005】
レンチナンは免疫機能を活性化させることにより、抗癌活性を示す物質として、シイタケから抽出、精製されたβ-1,3-1,6-グルカンである(非特許文献4)。レンチナンは、すでに抗ガン剤として認可されており、実際に臨床で使用されている。また、レンチナンは味の素(株)より生シイタケからの精製品として販売されているが、レンチナンは収穫後の保存過程において分解されるために、収量が一定しないという問題点がある(非特許文献5)。また、これまでの研究により、シイタケ保存過程でexo-グルカナーゼ活性が上昇することでレンチナンが分解されることも明らかになっている(非特許文献6)。
【0006】
シイタケ由来のグルカナーゼとして、植物の抗菌タンパク質である、Thaumatin-like proteinに類似したタンパク質が、endo型のグルカナーゼ活性を持つことが報告されている。しかしながら、現在までシイタケ由来のTaumatin-like proteinをコードする遺伝子については、そのアミノ酸配列から推定された部分配列の報告(非特許文献7)はあるもの、その全長を含む遺伝子は単離されていない。
【0007】
【特許文献1】特開平11-155568号
【特許文献2】特開2000-069975号
【特許文献3】特開2001-321182号
【特許文献4】特開2003-189855号
【非特許文献1】Sato et al., Biosci. Biotech. Biochem., 62(12), 2346-2350 (1998)
【非特許文献2】Hirano et.al., Mol. Gen. Genet., 263, 1047-1052 (2000)
【非特許文献3】Irie et.al., Biosci. Biotech. Biochem., 67 (9) 2006-2009 (2003)
【非特許文献4】千原吾郎、2.レンチナン. キノコの化学、生化学. 水野卓、川合 正允 編 学会出版センター 東京. 323-333(1992)
【非特許文献5】Minato et. al., Int. J. Med. Mushroom 1, 265-272(1999)
【非特許文献6】Minato et. al., Carbohydr. Polym. 56, 279-286 (2004)
【非特許文献7】Grenier et.al., Mycologia 92(5): 841-848(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、シイタケ菌に由来するendo-グルカナーゼ活性を有するThaumatin-like protein遺伝子を単離し、そのレンチナン分解に対する機能を解明することを課題とする。さらに、当該遺伝子の発現抑制により、対応する親株よりもレンチナン分解が抑制されたシイタケ菌を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、シイタケ菌からレンチナン分解活性を持つendo-グルカナーゼである、Thaumatin-like proteinをコードする全長遺伝子 (tlg1遺伝子と命名)の単離に成功した。そして、精製した該遺伝子産物がレンチナン分解活性を有することを明らかにし、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の(a)〜(d):
(a)配列番号1で示される塩基配列の第1292〜第3330番目の塩基配列を含む核酸分子、
(b)配列番号1で示される塩基配列の第1292〜第3330番目の塩基配列からなる核酸分子と相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつレンチナン分解活性を有するタンパク質をコードするシイタケ菌由来の核酸分子、
(c)配列番号2で示される塩基配列を含む核酸分子、
(d)配列番号2で示される塩基配列からなる核酸分子と相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつレンチナン分解活性を有するタンパク質をコードするシイタケ菌由来の核酸分子、
のいずれかの核酸分子からなるtlg1遺伝子を提供する。
【0010】
また本発明は、前記tlg1遺伝子を含むベクター、前記ベクターを宿主に導入して得られる形質転換体、及び前記形質転換体を培養し、得られる培養液からendo-グルカナーゼ活性を有するタンパク質を回収することを特徴とする、組換えtlg1タンパク質の製造方法を提供する。
【0011】
さらに本発明は、配列番号2で示される配列中の連続した19塩基以上からなる塩基配列をアンチセンス方向に含む、tlg1遺伝子発現抑制用ベクターを提供する。また、配列番号2で示される配列中の連続した19塩基以上からなる塩基配列及びその相補配列をそれぞれ1回以上含み、前記19塩基以上からなる塩基配列に対しそのインバーテッドリピート配列を有するRNAを発現させる、tlg1遺伝子発現抑制用ベクターを提供する。これらのtlg1遺伝子発現抑制用ベクターは、さらに適当な形質転換マーカー遺伝子をさらに含んでいてもよい。
【0012】
本発明はまた、前記tlg1遺伝子発現抑制用ベクターをシイタケ菌に導入して得られる、形質転換シイタケ菌を提供する。
【0013】
さらに本発明は、シイタケ菌におけるtlg1遺伝子の発現を、アンチセンス法、RNA干渉法、遺伝子破壊法、及び共抑制法から選ばれるいずれかの手法を用いて抑制し、レンチナン分解活性が親株よりも抑制された形質転換シイタケ菌を作出する方法、及び当該方法によって作出される、レンチナン分解活性が親株よりも抑制された形質転換シイタケ菌を提供する。
【0014】
本発明の形質転換シイタケ菌はレンチナン分解活性が通常のシイタケ菌(親株)よりも抑制されているため、レンチナンを効率よく製造することができ、本発明はそのような製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レンチナン分解酵素活性が抑制されたシイタケ菌を得ることができる。この形質転換シイタケ菌を用いれば、収穫後の保存過程におけるレンチナンの分解を防止し、効率よくレンチナンを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.tlg1遺伝子
本発明にかかるtlg1遺伝子は、レンチナン分解活性を有するシイタケ菌由来のendo-グルカナーゼ(「レンチナン分解酵素」と呼ぶ)をコードする遺伝子である。発明者らはシイタケ菌において報告されているThaumatin-like proteinのN末端配列を基に、tlg1遺伝子を初めて単離し、その全長配列を決定した。
【0017】
単離されたtlg1遺伝子のゲノムDNA配列及びcDNA配列をそれぞれ配列表の配列番号1及び配列番号2に示す。配列番号1に示されるゲノム配列は、tlg1遺伝子のプロモーター領域(第1位〜第1201位)、及び12のイントロン及び13のエキソン(各エキソンはゲノム配列上のATGのAを1番としたとき、エキソン1:1-75、エキソン2:158-186、エキソン3:267-273、エキソン4:423-472、エキソン5:676-755、エキソン6:807-905、エキソン7:1013-1079、エキソン8:1148-1181、エキソン9:1307-1365、エキソン10:1466-1530、エキソン11:1597-1621、エキソン12:1713-1796、エキソン13:1922-2037)からなる構造遺伝子領域(第1292位〜第3330位)を含み、プロモーター領域にはTATA box、CAAT box、及びCTリッチ領域が存在する。また、tlg1遺伝子はゲノム中に数コピーで存在することが示唆された。
【0018】
tlg1遺伝子のORF(配列番号1の91〜873番目)は783bp、260アミノ酸残基のタンパク質をコードする。このタンパク質は、植物の抗菌性タンパク質であるThaumatin-like proteinと40%の相同性を示し、endo-グルカナーゼ活性を有し、レンチナン分解活性を有する。以下、tlg1遺伝子がコードするタンパク質を、「tlg1タンパク質」と記載する。
【0019】
本発明のtlg1遺伝子は、それがtlg1タンパク質をコードしレンチナン分解活性を有する限り、配列番号1(第1292位〜第3330位)及び配列番号2で示される配列に限定されず、これらの配列に相補的な塩基配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうる配列を有する核酸分子であってもよい。なお、ストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が300-2000mMで温度が40-75℃、好ましくはナトリウム濃度が600-900mMで温度が65℃の条件をいう。当業者であれば、Molecular Cloning(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning :a Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 10 Skyline Drive Plainview, NY (1989))等を参照することにより、こうしたtlg1遺伝子ホモログを容易に取得することができる。
【0020】
2.組換えtlg1タンパク質の作製
(1)tlg1遺伝子発現ベクター
組換えtlg1タンパク質作製のためのベクター(tlg1遺伝子発現ベクター)は、公知のベクターに本発明のtlg1遺伝子を連結(挿入)して得ることができる。前記ベクターは宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。
【0021】
前記プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pBR322,pBR325,pUC18, pUC119,pTrcHis,pBlueBacHis等)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110,pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13,YEp24,YCp50,pYE52等)、植物細胞宿主用プラスミド(pBI221、pBI121)等が挙げられ、ファージ DNAとしてはλファージ等が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
【0022】
ベクターに本発明の遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクター DNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法等が採用される。本発明の遺伝子は、その遺伝子が機能しうる態様で、宿主に応じたプロモーターに連結して導入される必要がある。ここで「機能しうる態様」とは、プロモーター活性によって、その下流に配置された本発明の遺伝子が宿主中で適切に発現され、その機能を発揮することをいう。使用されるプロモーターの種類は、宿主細胞によって適宜決定されるが、その詳細は次項で説明する。
【0023】
本発明のベクターは、プロモーター、本発明の遺伝子のほか、所望によりエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、形質転換マーカー遺伝子(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラフォス耐性遺伝子、カルボキシン耐性遺伝子、フレオマイシン耐性遺伝子等)、リボソーム結合配列(SD配列)等を含んでいてもよい。
【0024】
特にシイタケ菌を宿主とする場合、シイタケ発現ベクターとして、発明者らがすでに開発し、特開2000-069975号や特開2001-157586号で開示しているpLGベクター(Hirano, T. et al., Mol. Gen. Genet.. 263, 1047-1052、2000)、pLTベクター、pCHSベクター、及びpChGベクター(特開2001-321182)などを好適に利用できる。
【0025】
(2)形質転換体(組換えtlg1タンパク質生産用宿主細胞)
組換えtlg1タンパク質を生産するための形質転換体は、前記ベクターを適当な宿主に導入することにより得ることができる。宿主は、本発明のtlg1遺伝子が発現できるものであれば特に限定されない。例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、麹菌(Aspergillus oryzae)、シロイヌナズナ、タバコ、トウモロコシ、イネ、ニンジン等から株化した植物細胞やプロトプラスト、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞、あるいはSf9、Sf21等の昆虫細胞等が挙げられる。
【0026】
大腸菌等の細菌を宿主とする場合は、本発明のベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明の遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。大腸菌としては、例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HMS174(DE3)、K12、DH1等が挙げられ、枯草菌としては、例えば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)MI 114、207-21等が挙げられる。プロモーターとしては、大腸菌等の上記宿主中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター等の、大腸菌やファージに由来するプロモーターが挙げられる。また、tacプロモーター等のように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。細菌へのベクターの導入方法は、特に限定されず、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Cohen, S.N. et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2110-2114 (1972)]や、エレクトロポレーション法等が挙げることができる。
【0027】
酵母を宿主とする場合は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、ピヒア・パストリス等が用いられる。プロモーターとしては、酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を挙げることができる。酵母へのベクターの導入方法は、特に限定されず、例えば、エレクトロポレーション法[Becker, D.M. et al.:Methods. Enzymol., 194: 182-187 (1990)]、スフェロプラスト法[Hinnen, A.et al.:Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 75: 1929-1933 (1978)]、酢酸リチウム法[Itoh, H.:J. Bacteriol., 153:163-168 (1983)]等を挙げることができる。
【0028】
麹菌を宿主とする場合、プロモーターとしては、例えば、GlaA プロモーター(Hata et al. Curr. Genet., Vol 22, 85-91, 1992)、AmyB プロモーター(Tuchiya et al. Biosci. Biotechnol. Biochem., Vol 46, 1849-1853, 1992)、No. 8 プロモーター(Ozeki et al. Biosci. Biotech. Biochem., Vol 60, 383-389, 1996)が挙げられる。麹菌へのベクターの導入方法は、特に限定されず、例えば、エレクトロポレーション法、カルシウムイオン法等を用いることができる。
【0029】
植物細胞を宿主とする場合は、例えば、イネ、トウモロコシ、コムギ、シロイヌナズナ、タバコ、ニンジン等から株化した細胞や該植物から調製したプロトプラストが用いられる。この場合、プロモーターとしては植物中で発現できるものであれば特に限定されず、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーター等が挙げられる。植物へのベクターの導入方法としては、アグロバクテリウム感染法等の間接導入法や、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法等の直接導入法等が挙げられる。
【0030】
シイタケ菌を宿主とする場合は、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法、REMI法等を用いてシイタケ菌のプロトプラストに前記ベクターを導入することが好ましい。REMI法とは、発明者らによって開発されたシイタケ菌へのベクターの導入方法で、その詳細は、Sato, T. et. al., Biosci. Biotech. Biochem., 62, 2346-2350, (1998)、及び特開平11-155568号等に記載されている。
【0031】
(3)組換えtlg1タンパク質の製造
本発明のtlg1タンパク質は、前述の形質転換体(宿主細胞)を適当な培地で培養し、その培養物からendo-グルカナーゼ活性あるいはレンチナン分解活性を有するタンパク質を採取することによって得ることができる。本発明の形質転換体の培養は、常法に従って行えばよい。例えば、大腸菌や酵母等の微生物を宿主とする形質転換体の場合は、微生物が資化しうる炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体を効率的に培養しうる天然培地、あるいは合成培地で培養すればよい。また、植物細胞を宿主として用いている場合には、チアミン、ピリドキシン等のビタミン類を添加した植物細胞用の培地で培養すればよい。
【0032】
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が用いられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が用いられる。
【0033】
培地中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いたベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いたベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いたベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)等を培地に添加してもよい。
【0034】
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養等の好気的条件下、30〜37℃位で6時間〜3日間程度行う。培養期間中、pHは7.0〜7.5程度に保持する。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより該タンパク質を抽出する。また、本発明のタンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、SDS-PAGE、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
【0035】
3.tlg1遺伝子発現抑制用ベクター
本発明にかかる、tlg1遺伝子発現抑制用ベクターは、tlg1遺伝子の発現を抑制するためのアンチセンスベクターあるいはRNAiベクターである。
【0036】
前記アンチセンスベクターは、tlg1遺伝子のcDNA配列(配列番号2に示される配列)中の連続した100塩基以上、好ましくは100〜1000塩基、より好ましくは300〜800塩基)からなる塩基配列を適当なベクターにアンチセンス方向に連結して作製される。前記アンチセンスベクターは、導入された宿主内で前記100塩基以上からなる塩基配列に対するアンチセンスRNAを発現させることにより、tlg1遺伝子の発現を抑制する。アンチセンスベクターの構築は、基本的に前項の記載に従えばよい。
【0037】
前記RNAiベクターは、RNA干渉(RNAi)により、標的とするtlg1遺伝子の宿主における発現を抑制しうるベクターである。具体的には、前記RNAiベクターはtlg1遺伝子のcDNA配列(配列番号2に示される配列)中の連続した少なくとも19塩基以上からなる塩基配列及びその相補配列を各々1以上含み、前記19塩基以上からなる塩基配列に対しそのインバーテッドリピート配列を有するRNAを発現させるように作製される。
【0038】
RNAiベクターの遺伝子抑制効果は、一般にその二重鎖領域の長さに依存するといわれ(Yang, D. et al., 2000年, Curr.Biol., 10,1191-1200)、したがって前記インバーテッドリピート配列は100塩基対以上となるように作製されることが好ましい。このようなRNAiベクターは、当該分野で周知の方法に従い、あるいは市販のRNAi用ベクターやシステム(例えば、psiRNA(Invitrogen)、pSUPER RNAi SystemTM(OligoEngine)等)を利用して容易に構築することができる。
【0039】
アンチセンスベクターも、RNAiベクターも、前述したpChG等のシイタケに適したベクターを用いることが好ましい。
【0040】
4.形質転換シイタケ菌
本発明は、本発明のtlg1遺伝子の発現を特異的に抑制することにより、当該遺伝子によってコードされるレンチナン分解酵素(tlg1タンパク質)の発現量を低減させ、親株よりもレンチナン分解活性が抑制された形質転換シイタケを提供する。
【0041】
tlg1遺伝子の発現抑制方法としては、例えば、アンチセンス法、RNA干渉法、遺伝子破壊法、及び共抑制法(Napoli, C. et al.(1990), Plant Cell 2, 279-289、Van Der Krol, A. R. et al (1990), Plant Cell 2, 291-299参照)等の方法を挙げることができる。
【0042】
アンチセンス法、及びRNA干渉法は、それぞれ前項に記載したアンチセンスベクター、及びRNAiベクターを宿主シイタケ菌のプロトプラストに導入することにより実施できる。シイタケ菌へのベクターの導入は、前述したとおり、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法、REMI法等を用いて実施できる。形質転換されたシイタケ菌は、ベクター内に連結された形質転換マーカー遺伝子により容易に選抜される。
【0043】
本発明の形質転換シイタケでは、レンチナンの分解に関わるtlg1タンパク質の発現が通常のシイタケ菌(すなわち、親株)よりも抑制されている。したがって、この形質転換シイタケ菌を用いれば、収穫後の保存過程におけるレンチナンの分解を防止し、効率よくレンチナンを製造することができる。なお、形質転換シイタケを用いたレンチナンの製造は、従来の方法(例えば、Chihara G. et al. (1969) Nature 222, 687-688、Chihara G. et al. (1970) Cancer Res. 30, 2776-2781)にしたがって実施される。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
実施例1:シイタケ菌を由来とするtlg1の取得
1.tlg1 のクローニング
遺伝子資源として、レンチヌラ・エドデス(H600)株(株式会社北研)を用い、これから得たシイタケ菌の菌糸を回収し、常法にしたがい全RNAを抽出した。この全RNAを用いて、SMART cDNA合成キット(クロンテック)にて合成したcDNAテンプレートとして、tlg1のクローニングを行った。シイタケにおいて報告されているThaumatin-like proteinのN末端の配列(Grenier et.al., Mycologia 92(5): 841-848(2000))を元に、プライマーを作製し、3' RACEを行った。1st PCRにはtlg-1U (TAYAAYGGNTGYCCNTTYAC:配列番号3)とUniversal Primer Mix(クロンテック)、2nd PCRにはtlg-2U (ATHTGGCCNGCNATGTTYAC:配列番号4)とSMART PCR Primer (AAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT:配列番号5)を用いた。
【0045】
得られた断片のシークエンスを行い、5’RACE用のプライマーを作製した。また、全RNAを用いて、5'RACE用のcDNA作製をGeneRacer kit(インビトロジェン)により行った。1st PCRではGeneRace 5'primer(CGACTGGAGCACGAGGACACTGA:配列番号6)とtlg585L RACE (GGACTCGTCGTATGCGTAGGCGTAG:配列番号7)を用いた。2nd PCRは、GeneRacer 5' Nested Primer (GGACACTGACATGGACTGAAGGAGTA:配列番号8)とtlg484L RACE (TGCATCCACCATCAAGACACGAGTT:配列番号9)を用いた。
【0046】
得られたORFは、783bpで(配列番号1)、260アミノ酸からなるタンパク質(配列番号2(シグナルペプチド20aaを含む))をコードし、その成熟タンパク質(240アミノ酸)は分子量25kDa、pI値3.48と推定された。推定アミノ酸配列をホモロジー検索にかけたところ、A. thalianaのthaumatin-like proteinと約40%の相同性を示すことが明らかになった。また、既報のシイタケThaumatin-like proteinのN末端配列と完全に一致した配列を含んでいることが明らかになった。予想される切断部位も、既報のN末端配列と一致していた。以上のことから、tlg1は、シイタケのThaumatin-like proteinの全長配列であると考えられた。これまで、真菌類でThaumatin-like proteinをコードする遺全長遺伝子が単離されたという報告はない。tlg1がコードするタンパク質では、植物のThaumatin-like proteinで保存されている領域と、さらに16個のシステイン残基が保存されていることが明らかになった。
【0047】
2.tlg1 のサザン解析
H600株の菌体から、ISOPLANT(株式会社ニッポンジーン)を用いてゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAを、Dra I, Spe I,EcoR V,Stu Iで切断し,GenomeWalker kit(クロンテック社)を用いて、ゲノムウォーキング用のライブラリーを作製した。得られたcDNAの配列をもとに、プライマーを作製し、ゲノムウォーキングを行い、ORFを含む5374bpのゲノム配列を決定した。cDNAとゲノム配列を比較したところ、12個のイントロンと13個のエキソンを含むことが明らかになった(図1)。プロモーターの特徴として、転写開始点が、ATGより90bp上流にあり、TATA box、CAAT box、CTリッチ領域が確認された。ゲノムDNA 5μgを制限酵素で一晩処理し、キャピラリーブロット法によりブロッティングし、サザン解析を行った。tlg1遺伝子プローブのラベル、及び検出はECL Direct Nucleic Acid Detection system (Amersham)により行った。サザン解析の結果、ゲノム中に数コピーで存在することが示唆された(図1)。
【0048】
実施例2:tlg1遺伝子の発現解析
菌傘の膜が切れた段階で収穫した子実体を、湿度約80%、25℃のデシケーター内で保存試験を行った。サンプリングは収穫した直後を0日(day 0)とし、0〜4日目(day0〜day4)まで毎日サンプリングを行った。サンプリングは、柄、傘、ひだに分けた後、液体窒素で凍結させた。RNAの抽出は、Fast RNA Proキット(Q-BIO Gene)を用いて行った。得られたRNA 10μgを1.5%ホルムアルデヒド変性ゲルで泳動し、キャピラリー法でIMMOBILOM-NY+(Millipore)にブロットした。ブロット後のメンブレンを各遺伝子のプローブを用いて、ノーザン解析を行った。プローブのラベル及び検出は、Alkphos Direct labelling and Detection system (アマシャムバイオサイエンス)により行った。
【0049】
day0とday1はほとんど褐変が見られない初期、day2とday3ではまだらに褐変している中期、day4は全体的に褐変が進行している後期であった。tlg1は、day0のひだではほとんど発現が認められず、保存過程で発現が上昇することが明らかになった。各部位において発現パターンは若干異なるものの、いずれの部位でも保存にしたがって発現が上昇した。以上のことから、tlg1がレンチナン分解に関わることが示唆された(図2)。
【0050】
実施例3:tlg1タンパク質の精製と諸性質の解析
保存後期の子実体から抽出したタンパク質を用いて精製を行った。液体窒素中で粉砕したサンプルを、抽出バッファー(200mM 酢酸ナトリウム pH4.2)に懸濁し、タンパク質を抽出した。抽出したタンパク質を40%濃度の硫酸アンモニウムで沈殿した。得られたタンパク質は、Superdex 75 10/30カラムを用い、10mMリン酸バッファー(pH 6.5)、流速0.25ml/minでゲルろ過を行った。グルカナーゼ活性のあるフラクションを陰イオン交換カラムに供した。サンプルを陰イオン交換カラム(MonoQ 5/50 GL)に吸着させ、0-0.35M NaClのグラジエント、0.5ml/minの流速、10mMリン酸バッファー(pH 7.0)で溶出を行った。グルカナーゼ活性の測定は、パキマンを基質とし、ソモギ-ネルソン法で還元糖の測定を行った。一時間に1μmol還元糖が放出される活性を1ユニットと定義した。タンパク質濃度の測定は、Bio-Rad Protein Assay (Bio-Rad)により行った。精製したグルカナーゼはSDS-PGEにより、単一バンドで検出され、tlg1タンパク質のペプチド抗体を用いたウェスタン解析で、バンドが検出された(図3A)。以上のことから精製したグルカナーゼがtlg1にコードされていることが確認された。精製されたグルカナーゼ(tlg1タンパク質)1は、パキマンを基質とし、さらにレンチナンを分解できることが明らかになった(図3B)。
【0051】
SDS-PAGEは、Laemmliの方法に従い、ポリアクリルアミドゲル, NUP-10 (ATTO)を用いて行った。泳動後のゲルは、CBBにより染色した。ウェスタンブロッティングでは、泳動後のゲルをセミドライ法によりPVDFにブロットした。ブロットしたメンブレンは、tlg1タンパク質のペプチド抗体を用いて検出した。検出は、抗ラビットIg(Amersham Bioscience)を用い、ECL Direct Nucleic Acid Detection system (Amersham Bioscience)により行った。tlg1タンパク質は、新鮮な子実体では発現が認められず、保存過程で発現が上昇することが確認された。以上のことから、tlg1タンパク質は、保存過程でのレンチナン分解に関わることが示唆された(図4)。
【0052】
実施例4:tlg1発現抑制株の作出
本実施例では、実施例1で得られたtlg1のORF断片(配列番号11)をアンチセンス方向につないだベクターを導入した株を作出した。
【0053】
親株としては、交雑株であるSR-1株を用いた。アンチセンスベクターは以下のようにして作製した。まず、シイタケの発現ベクターであるpChGベクター(特開2001-321182参照:pChGベクターは、chs遺伝子のプロモーター領域とgpdターミネーター領域、及びマーカー遺伝子としてハイグロマイシン耐性遺伝子を含み、さらにgpd遺伝子のプロモーター領域とターミネーター領域を含む)のgpdプロモーターとターミネーターの間にマルチクローニングサイトを導入したpChG’ベクターを作製した。pChG’ベクターのマルチクローニングサイトをNot I, SacIで切断した。tlg1遺伝子のORF断片(配列番号11)をTAベクター、pCR 2.1-TOPO (インビトロジェン)にクローニングした後、Not I, Sac Iで切断し、pChG’ベクターにライゲーションし、tlg1アンチセンスベクターpChG’-gtlg1aを作出した。作出されたアンチセンスベクターはREMI法(Sato, T. et. al., Biosci. Biotech. Biochem., 62, 2346-2350, (1998)、及び特開平11-155568号参照)を用いてシイタケに導入した。その結果、ハイグロマイシン耐性株が46株得られ、そのうちの35株にベクターの導入が確認された(図5)。
【0054】
この形質転換シイタケと親株のレンチナン分解活性を比較することにより、本発明の形質転換シイタケの効果を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、レンチナン分解酵素活性が抑制されたシイタケ菌を得ることができる。よって、本発明は医薬として利用価値が高いレンチナンの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、tlg1遺伝子のサザン解析の結果を示す図である。H600株の菌糸から抽出したゲノムDNAをAlw I, Acc I, Nsi I, Sal I, ScaIで消化し、tlg1遺伝子部分DNA断片をプローブにしてサザンハイブリダイゼーションを行った。
【図2】図2は、tlg1遺伝子の保存過程でのノーザン解析の結果を示す図である。保存過程の子実体から抽出したRNAを用いてノーザンブロットを行い、tlg1遺伝子部分cDNA断片をプローブにしてサザンハイブリダイゼーションを行った。
【図3】図3は、tlg1タンパク質を精製した電気泳動像と、精製した酵素の基質特異性を示したものである。A1は、精製したtlg1タンパク質をSDS-PAGEにより電気泳動し、CBB染色を行ったものである。A2は、精製したtlg1タンパク質のウェスタンブロット解析の結果である。Bは、各種基質を用い、ソモギ-ネルソン法により、精製したtlg1タンパク質の活性を調べた結果である。
【図4】図4は、tlg1タンパク質の保存過程の子実体から抽出したタンパク質を用いた、ウェスタンブロット解析を示す図である。
【図5】図5は、tlg1遺伝子のアンチセンスベクターの概念図である。
【配列表フリーテキスト】
【0057】
配列番号1−tlg1遺伝子ゲノムDNA配列
配列番号2−tlg1遺伝子cDNA配列
配列番号3−tlg1タンパク質
配列番号4−人工配列の説明:プライマー
配列番号5−人工配列の説明:プライマー
配列番号6−人工配列の説明:プライマー
配列番号7−人工配列の説明:プライマー
配列番号8−人工配列の説明:プライマー
配列番号9−人工配列の説明:プライマー
配列番号10−人工配列の説明:プライマー
配列番号11−アンチセンスベクターに組み込んだtlg1 ORF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(d)のいずれかの核酸分子からなるtlg1遺伝子。
(a)配列番号1で示される塩基配列の第1292〜第3330番目の塩基配列を含む核酸分子
(b)配列番号1で示される塩基配列の第1292〜第3330番目の塩基配列からなる核酸分子と相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつレンチナン分解活性を有するタンパク質をコードするシイタケ菌由来の核酸分子
(c)配列番号2で示される塩基配列を含む核酸分子
(d)配列番号2で示される塩基配列からなる核酸分子と相補的な塩基配列からなる核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつレンチナン分解活性を有するタンパク質をコードするシイタケ菌由来の核酸分子
【請求項2】
請求項1記載のtlg1遺伝子を含むベクター。
【請求項3】
請求項2記載のベクターを宿主に導入して得られる形質転換体。
【請求項4】
請求項3記載の形質転換体を培養し、得られる培養液からendo-グルカナーゼ活性を有するタンパク質を回収することを特徴とする、組換えtlg1タンパク質の製造方法。
【請求項5】
配列番号2で示される配列中の連続した100塩基以上からなる塩基配列をアンチセンス方向に含む、tlg1遺伝子発現抑制用ベクター。
【請求項6】
配列番号2で示される配列中の連続した19塩基以上からなる塩基配列及びその相補配列をそれぞれ1回以上含み、前記19塩基以上からなる塩基配列に対しそのインバーテッドリピート配列を有するRNAを発現させる、tlg1遺伝子発現抑制用ベクター。
【請求項7】
形質転換マーカー遺伝子をさらに含む、請求項5又は6記載のtlg1発現抑制用ベクター。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のtlg1遺伝子発現抑制用ベクターをシイタケ菌に導入して得られる、形質転換シイタケ菌。
【請求項9】
シイタケ菌におけるtlg1遺伝子の発現を、アンチセンス法、RNA干渉法、遺伝子破壊法、及び共抑制法から選ばれるいずれかの手法を用いて抑制し、レンチナン分解活性が親株よりも抑制された形質転換シイタケ菌を作出する方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法によって作出される、レンチナン分解活性が親株よりも抑制された形質転換シイタケ菌。
【請求項11】
請求項8又は10記載の形質転換シイタケ菌を用いたレンチナンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−271218(P2006−271218A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91557(P2005−91557)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(390025793)岩手県 (38)
【Fターム(参考)】