説明

新規吸水性物質及びその製造方法

本発明は、特に吸収性物質としての、また特にスポンジその他の家庭用品を製造するための気泡物質、その製造方法及びその使用に関する。本発明の気泡物質は、親水性ポリマーの繊維と少なくとも1つのエラストマーとの混合物を含み、サイズが0.2μm〜10mmの気泡(全気泡容量に対して少なくとも1容量%は、サイズが0.2μm〜10μmである)によって形成される気泡構造を有する。本発明は、特に吸収性製品の領域における用途がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ吸水性物質としての、特にスポンジ及びその他の家庭用品を製造するための新規気泡材料、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の清掃分野で主に使用されるスポンジは、再生セルロース系の植物性スポンジ、及び通常、連続気泡ポリウレタン発泡体から成る合成スポンジである。
【0003】
再生セルロース系のスポンジは通例、吸水能及び保水能の両面での非常に良好な性質、拭き取り能、柔軟性、延性、靭性、強度並びに耐水性、耐洗剤性及び耐熱性を有するが、その製造が大きな問題を生じている。
【0004】
これは、こうしたスポンジが、最初にセルロースをビスコースパルプに転化し(この転化は、水酸化ナトリウムでセルロースを処理することによって行う)、このようにして形成されたアルカリセルロースを二硫化炭素に溶解し、得られたセルロースキサンテートを水酸化ナトリウム中で処理することから成るプロセスによって製造されるためである。次に、このようにして得られたビスコースパルプに強化用繊維(麻、亜麻、綿等)、染料及び硫酸ナトリウム結晶を含入した(incorporating)後及び成型又は押出によって成形した後、化合物を加熱することにより、ビスコースを固化させ、二硫化炭素を蒸発させてビスコースからセルロースを再生し、硫酸ナトリウム結晶を融解させ、それらを取り除くことによってそれらの位置に多数の気泡を残すことができる。
【0005】
したがって、工業的スケールでのこれらのプロセスの遂行には、使用する製品が非常に高い腐食性及び毒性を有することから、投資コスト及び運転コストの両方の点で非常に高価な非常に特殊なプラントが必要となる。この遂行が、こうしたプラントが備える汚染除去設備及び環境に有害な作用を制限する処置にも関わらず、環境を高度に汚染すると共に、得られる製造収率は比較的低い。
【0006】
ポリウレタンフォームスポンジは、水相中でのポリオールとポリイソシアネートとの縮合反応に基づく、非常に無理のない製造方法によって得られるが、比較的疎水性であるという欠点があるため、従来技術においてポリウレタンフォームをより親水性にするための多数の処理が提案されているにも関わらず、濁度、保水性及び拭き取り性が不十分となっている。
【0007】
さらに、特許文献1には、織布、不織布又はプラスチックシート等の支持体上に、ラテックスと、セルロース、ビスコース又はさらにはポリビニルアルコール繊維種の親水性繊維との混合物から成る発泡体を付着させた後、化合物を加熱操作にかけて、発泡体を凝固させ、乾燥及び架橋によりそれを連続気泡構造体内で安定化させることにより、厚さ数ミリのシート状のスポンジ状構造体を製造することが提案されている。こうしたスポンジ状構造体、例えば、ポリウレタンフォームスポンジの製造には、植物性スポンジを製造するプロセスの欠点は無いが、こうした構造体は吸収性が低く、その有用性が相当制限される場合のあることが分かっている。
【0008】
特許文献2は、サイズが0.01mm〜10mmの気泡により形成される気泡構造を有する、セルロース繊維と少なくとも1つのエラストマーとの混合物を含む、スポンジ状材料であって、相対密度が0.03〜0.1、吸水能が少なくとも750%、手絞り後の保水能が100%未満である、スポンジ状材料を教示している。これらのスポンジ状材料は、セルロース繊維をラテックス形態のエラストマーと混合すること、混合物に、生成物に気泡構造を付与することが可能な物質(氷、発泡剤)を含入すること、この混合物を成形すること、及び生成物を架橋することが可能な処理を適用することを含むプロセスによって製造される。これらのスポンジの吸水能は、概して良好であると考えられるが、一方で、それらの拭き取り力はさらに改善される余地がある。
【0009】
さらに、このプロセスによって得られるスポンジは、従来技術の他のスポンジと同様に、触れた時に、使用者にざらざらした手触りを与える。この不快な手触りが、セルロース系スポンジにおいて概して認められる欠点である。これは、スポンジその他の家庭用品の場合、より満足な解決策が無いために許容されているものの、多孔質セルロース系構造を有する製品の新規用途開発に対する障害となっている。
【0010】
現在販売されている或る特定の製品は、この手触りが粗いという問題を解決するように設計されており、これらは、厚さ数mmのシート状の織布材料又は不織布材料を有するスポンジ状構造体(尖状物(point)をシートの平面に対して垂直に押し当てて微細穿孔されている)である。例えば、特許文献3に、かかる製品が記載されている。しかしながら、これらの製品は手触りは良いものの、吸収能が非常に制限されており、拭き取り力が低い。さらに、微細穿孔プロセスの適用対象は薄い構造体に限られ、微細穿孔プロセスによって三次元気泡構造を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,559,243号
【特許文献2】国際公開WO第99/09877号
【特許文献3】米国特許出願第2005/0276956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
結果的に、本出願人は、使用者にとって手触りが柔らかく且つ心地よく、且つあらゆる形態で、特に任意の厚さを有する物品として製造することができる、親水性ポリマー繊維系、特にセルロース繊維系の気泡材料を提供することを課題とした。さらに、本出願人は、家庭用に要求される全ての品質、とりわけ大量の水を吸収する能力及びこのようにして吸収した水を、積極的に放出しないことが望まれる限り保持する能力を有する一方、手で絞り出すとこの水を放出する能力及び高い拭き取り能力を有する製品であって、製品の製造が、遂行しやすく、大きな産業投資を要さず、腐食性物質も毒性物質も用いず、環境に優しく、生産性水準が経済的に有利である、製品を得ることに努めた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、本目的は、親水性ポリマー繊維、特にセルロース繊維と少なくとも1つのエラストマーとの混合物を含む、気泡材料であって、サイズが0.2μm〜10mmの気泡(全気泡容量に対して気泡の少なくとも1容量%は、サイズが0.2μm〜10μm)によって形成される気泡構造を有することを特徴とする、気泡材料によって実現される。
【0014】
有利には、本発明の材料は、以下の特徴のうち少なくとも1つ、好ましくは複数を満たす:
相対密度が0.01〜0.1、好ましくは0.02〜0.06である。
【0015】
吸水能が少なくとも800%である。
【0016】
手絞り後の保水能が100%未満である。
【0017】
本発明の文脈内で、「吸水能」という用語は、気泡材料を一定量の水に完全に浸漬させた場合に、気泡材料が吸収し得る水の質量と、この気泡材料の乾燥質量との比(%表示)を意味するものと理解され、「手絞り後の保水能」という用語は、手絞り後に気泡材料中に保持される水の質量と、当該気泡材料の乾燥質量との比(これも%表示)を意味するものと理解される。
【0018】
親水性ポリマー繊維は、好ましくはセルロース繊維であるが、セルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びビスコース等)の繊維又は繊維状の他の天然ポリマー若しくは合成ポリマー(ポリサッカライド若しくはポリメチルメタクリレート等)から選んでもよい。本発明による有用なセルロース繊維は、全ての天然セルロース繊維(木材セルロース繊維若しくは製紙用繊維(針葉樹若しくは落葉樹の漂白若しくは未漂白の繊維)、綿繊維、亜麻繊維、麻繊維、ジュート繊維若しくはサイザル繊維又はその他では古着由来の再生繊維等)である。
【0019】
さらに、繊維は、長繊維(すなわち、長さが1cmを超える繊維)、短繊維(長さが3mm未満)又は中間の長さの繊維(長さが3mm〜1cm)であってもよく、又はそうでなければ種々の長さの繊維混合物から構成されてもよい。したがって、例えば、コットンリンターのシートを数cmサイズの断片に切断して製造される長いセルロース繊維をそのままで、又は短いセルロース繊維(例えば、Rettenmaier & Sohneにより商品名ARBOCELL(登録商標)で販売されているもの、長さ約900μm)若しくは中間の長さのセルロース繊維(これもコットンリンターのシートを切断して製造されるが、断片の長さは8mm〜1cm程度)と組み合わせて用いることによって、優れた結果が得られている。
【0020】
さらに、繊維がどのような長さであっても、本発明で使用することができる親水性ポリマー繊維、特にセルロース繊維は、予め、エラストマー内での繊維の絡み合い及び結果的にはこのエラストマーとの接着の促進に好適な処理にかけられていることが有利であり得る。かかる処理は、例えば、フィブリル化処理、つまり繊維表面上のフィブリルを固定しないで互いに捕捉させる効果を有する機械的撹拌、又は繊維表面上に反応部位を形成させることによってこれらの繊維を化学的に結合させる、紫外線への曝露から構成されてもよい。フィブリル化されている市販のセルロース繊維の例としては、Courtaulds ChemicalsによりLYOCELL(登録商標)という商品名で販売されている繊維を挙げることができる。
【0021】
すなわち、本発明における有用な親水性ポリマー繊維は、様々な種類及び様々な長さの繊維の混合物であってもよく、これらの繊維が全て処理されていてもよく、又はこれらのうち幾つかのみが処理されていてもよい。
【0022】
好ましくは、混合物は、短繊維と長繊維の混合物である。
【0023】
本発明による有用なエラストマーに関しては、これらのエラストマーが親水性ポリマー、とりわけセルロースと適合性があり、そのために明らかな疎水性を有しない限り、非常に多くのエラストマーから選ぶことができる。
【0024】
したがって、エラストマーは、有利には、ポリブタジエンゴム、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー ニトリルゴム、ニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、エチレン/プロピレンコポリマー及びエチレン/プロピレンターポリマー、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー又はスチレン/イソプレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン由来熱可塑性エラストマー(例えば、AESのSANTOPRENE(登録商標)又はHutchinsonのVEGAPRENE(登録商標))、オクテン/エチレンコポリマー(例えば、商品名ENGAGE(登録商標)でDuPont-Dowにより販売されているもの)、エチルアクリレート及び他のアクリレートのコポリマー、例えば、アクリレート/エチレン/アクリル酸ターポリマー(例えば、それぞれVAMAC(登録商標)及びATX(登録商標)325でDuPont de Nemours及びExxonにより販売されているもの)又はアクリレート/アクリロニトリル/スチレンターポリマー(例えば、GoodyearのSUNIGUM(登録商標))、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン並びにそれらの混合物から選択される。
【0025】
さらに、上記ポリオレフィンエラストマー、とりわけポリブタジエン、ブタジエン/スチレン及びブタジエン/アクリロニトリルゴムに関して、これらのエラストマーのカルボキシル化誘導体を用いることが特に有利であることが分かっている。というのは、それらは、二価金属若しくは三価金属(亜鉛、カルシウム又はアルミニウム等)の存在下でのカルボキシル官能基の間のイオン架橋により、気泡材料に十分な結合性を付与する役割を果たす網目構造を形成することができるからである。
【0026】
本発明によれば、気泡材料は、親水性ポリマー繊維(特にセルロース繊維)の他に、エラストマー内で強化材として機能するのに好適であり、且つ気泡材料の結合性をさらに増大させることにより、必要になった際にその機械的強度を増大させるか、又は好適な結合性を得るのに必要なエラストマーの量を低減させることにより、当該材料の製造コストを低減させることが可能な合成繊維を含んでいてもよい。
【0027】
好適な合成繊維の例としては、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維及びポリビニルアルコール繊維を挙げることができ、選ばれた繊維の化学的性質がどのようなものであっても、強化用繊維としての役割を果たすことができる十分な靱性、及び最終的に得られる気泡材料の硬化を防止するのに十分な柔軟性の両方を有する繊維を用いることが好ましいと理解される。どのような状況であっても、かかる強化用繊維は、気泡材料中に存在する場合、この材料中に存在する繊維の全重量に対して最大で20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%であることが有利である。
【0028】
また、本発明による気泡材料は、親水性ポリマー繊維、特にセルロース繊維(及び必要に応じて合成繊維)とエラストマーとの間で界面活性剤として作用するため、それらの相互の接着を促進する物質として使用するのに好適な1つ又は複数のポリマーを含むことが有利である。このようにするため、このポリマー(複数可)は、エラストマーよりも親水性であることが好ましい。
【0029】
使用することができるポリマーの例としては、ポリビニルアルコール(DuPont de NemoursのELVANOL(登録商標)、Nippon GosheiのGOHSENOL(登録商標)等)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(CytecのCYREZ 963 E、MONSANTOのRESIMENE s 3521等)、ビニル接着剤若しくは木材接着剤、又は他ではポリウレタンを挙げることができる。かかるポリマーは、気泡材料中に存在する場合、エラストマー100重量部当たり最大35重量部であればよい。
【0030】
さらに、気泡材料は、付与されるのが望ましい性質に応じて、ポリマー工業で従来用いられている添加剤から好適に選ばれる1つ又は複数の添加剤を含み得る。したがって、気泡材料は、以下で説明するような、シリカ、カーボネート、クレイ、チョーク又はカオリンタイプの淡色の充填剤;可塑剤;染料又は顔料;安定剤(抗酸化剤、紫外線安定剤及びオゾン分解防止剤等);殺真菌剤、殺細菌剤;マイクロカプセル化香料;並びに製造を容易にするのに好適な加工助剤(増粘剤、界面活性剤、ラテックス凝固剤又は架橋剤等)を含有し得る。
【0031】
本発明による気泡材料の第1の好ましい実施形態によれば、この材料中に存在する繊維(親水性繊維、特にセルロース繊維及び必要に応じて合成繊維)の合計重量と、この材料中に存在するエラストマーの重量との比は2〜0.2、好ましくは1.5〜0.3である。
【0032】
気泡材料は、全て同じサイズか又はほぼ同じサイズの気泡を有し得る。しかしながら、気泡材料内でミクロキャビティ及びマクロキャビティの三次元網目構造(この網目構造は、この材料の吸水能及び絞り前のその保水能を増大させる(その結果、水が重力の作用により材料から滴り落ちない)と共に、さらに絞り出しを容易にするのに必要な柔軟性を材料に付与することが可能である)が形成されるように、これらの気泡のサイズは不均一且つ広範囲にわたって分布していることが好ましい。この気泡の三次元網目構造の存在により、微細穿孔した平板材料と比較して、はるかに優れた拭き取り能及び保水能を得ることが可能となる。
【0033】
本発明によれば、気泡材料は、サイズが0.2μm〜10mmの気泡(全気泡容量に対して少なくとも1容量%は、サイズが0.2μm〜10μmである)によって形成される構造を有する。
【0034】
好ましくは、その保水能をさらに増加させるために、本発明の気泡材料は、全気泡容量に対して少なくとも10容量%、サイズが10μm〜50μmの気泡も備えられる。
【0035】
従来技術の気泡材料と比較すると、本発明の材料には、非常に小さな気泡を備えるという特別な特徴があり、これにより、保水能が改善すると共に、より心地良い、とりわけ柔らかい手触りが得られる。微細穿孔した平板材料(これも手触りが心地よい)と比較すると、本発明の気泡材料には、非常に多様性に富んだ形状及びサイズで製造することができるという利点がある。
【0036】
したがって、非常に小さな気泡及び大きめの気泡の両方が存在することによって、本発明の気泡材料が良質なものとなっている。
【0037】
本発明による気泡材料の相対密度は0.03〜0.05、吸水能は1000%〜1600%であることが有利である。絞り出しは90%未満であることが好ましい。拭き取り能は65%以上、有利には70%以上であることが有利である。
【0038】
材料の拭き取り能は、濡らした表面を拭き取った後に材料が吸収する水の量と定義する。
【0039】
さらに、本発明による気泡材料のさらに別の有利な実施形態によれば、引張強度は少なくとも0.1MPaである。
【0040】
したがって、本発明による気泡材料には多くの利点がある:吸収性が高いことに加えて、積極的に抽出することを望まない限り、吸収した水分を保持することが可能である一方、手絞りの影響により依然として水を放出することも可能である。そして、拭き取り能が高い。また、柔軟であるため、取り扱いやすく、回復力があるため、各絞り出し操作後に材料を元の形状に回復することができる。さらに、極めて良好な機械的特性、特に引張強度特性を有する。最後に、本発明の気泡材料は、手触りが柔らかい点で優れていることが、官能分析試験から示されている。
【0041】
本発明による気泡材料は、結果的に、スポンジ、とりわけ清拭用スポンジ及び表面清掃用スポンジを作る際の使用に特によく適している。このようにするために、厚さは、好ましくは1cm〜15cm、特に好ましくは1.5cm〜10cm、これらのスポンジをより取り扱いやすくするため、さらにより好ましくは2cm〜5cmである。
【0042】
また、気泡材料は、概して厚さが1mm〜5mmの範囲の平板スポンジの製造に使用してもよい。この場合、気泡材料の製造方法を、気泡の最大サイズが好ましくは0.5mm以下となるように適合させる。本発明の気泡材料から製造した平板スポンジの柔らかさは、従来技術の微細穿孔した織布スポンジ若しくは不織布スポンジと同等か又はそれよりも良好であるが、吸水能及び拭き取り能がはるかに大きい。
【0043】
本気泡材料の手触り感により、身体との接触を目的とした製品(例えば、美容用品若しくは身体衛生用品又は衣類等)の製造におけるその使用を想定することも可能になる。身体衛生を目的とした製品の中では、天然スポンジの代用品としての浴用スポンジ、乾燥形態で又はケア用品若しくは化粧品を含浸させて販売され得る美容用スポンジ又は化粧用スポンジ;おむつ及び婦人衛生用品;包帯;吸汗(とりわけスポーツでの使用)を目的とした物品(例えば、バンド、方形の清拭用品(toilet squares)等)を挙げることができる。衣料品の中では、特に水上(nautical)スポーツを目的としたフォームスーツ(foam suits)を挙げることができる。
【0044】
本発明の気泡材料に含入する添加剤に応じて、他の技術分野(例えば、印刷分野、建築分野等)への気泡材料の適用が想定され得る。
【0045】
本発明の主題はまた、上記で規定した気泡材料の製造方法であって、
a)少なくとも1つの親水性ポリマー、好ましくはセルロースの繊維の水性分散液(Aと称する)の調製、
b)ラテックス形態の少なくとも1つのエラストマーの組成物(Bと称する)の調製、
c)分散液A中へのラテックス凝固剤の添加、
d)工程c)で得られる分散液Aと組成物Bとの混合、
e)過剰な凝固剤の除去、
f)必要に応じて、少なくとも1つの親水性ポリマーの繊維の水性分散液(Aと称する)(分散液Aは水性分散液Aと同一であるか又は異なる)の調製、及び工程e)の後に得られる混合物中への本水性分散液Aの含入、
g)ラテックス形態の少なくとも1つのエラストマーの組成物(Bと称する)(組成物Bは組成物Bと同一であるか又は異なる)の調製、及び工程e)又は工程f)が実行される場合には工程f)で得られる混合物中への本組成物Bの含入、
h)工程g)で得られる混合物に気泡構造を付与することが可能な処理の適用、
i)工程h)で得られる混合物の成形、
j)工程i)で得られる生成物に対する、当該生成物を凝固及び架橋することが可能な処理の適用、及び
k)工程j)で得られる生成物の乾燥
を含むことを特徴とする、製造方法である。
【0046】
したがって、本発明のプロセスを遂行する第1の好ましい方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含まず、組成物BはBの組成物と同一である。
【0047】
本発明のプロセスを遂行する第2の好ましい方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含まず、組成物Bは組成物Bと異なる。
【0048】
本発明のプロセスを遂行する第3の好ましい方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含み、分散液Aは長繊維の分散液であり、分散液Aは短繊維の分散液であり、組成物Bは組成物Bと同一である。
【0049】
本発明のプロセスを遂行する第4の好ましい方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含み、分散液Aは分散液Aとは異なる分散液であり、組成物Bは組成物Bと異なる。
【0050】
しかしながら、本発明のプロセスを遂行する第5の好ましい方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含み、分散液AはAの分散液と同一であり(これらは両方とも短繊維、長繊維及び場合によっては中間繊維の混合物を含む)、組成物Bは組成物Bと同一である。
【0051】
本発明のプロセスを遂行する第6の方法において、プロセスは、任意選択の工程f)を含み、分散液Aは分散液Aと同一であり、組成物Bは組成物Bと異なる。
【0052】
分散液Aは、任意選択の分散液Aと同様に、異なる種類及び異なる長さの繊維の混合物を含有してもよく、要点は、これらの繊維のうち少なくとも幾つかがラテックス凝固剤で処理され、凝固用のラテックス組成物と混合されることである。
【0053】
全ての場合において、親水性ポリマー繊維、とりわけセルロース繊維は、水相で、好適に選ばれた容量の水で予め満たされたミキサー内にこれらの繊維を導入し、且つ適切な機械的撹拌(概して、セルロース繊維が長いほど激しくなる)を受けることによって分散してもよく、この撹拌は、均質なパルプが得られるまで維持される。この分散が実行されるミキサーの種類が何であれ(ターボディスペンサー、遊星形ミキサー、解膠ブレードを取り付けたスターラー等)、このミキサーが、分散液の温度上昇を防止するか又は最低でも制限するシステム、例えば、壁を冷却するためのシステム等を備えることが有利である。
【0054】
なお、本発明の気泡材料が、親水性ポリマー繊維の他に、合成繊維を含有することが望ましい場合には、遂行の第1の好ましい方法により、例えば、水相中に親水性ポリマー繊維と一緒に分散させる目的で、これらの合成繊維を親水性ポリマー繊維に添加する可能性が高い。
【0055】
同様に、繊維とエラストマーとの間で界面活性剤として作用することが可能な1つ若しくは複数のポリマー及び/又は1つ若しくは複数の添加剤を使用することが望ましい。これらを、親水性ポリマー繊維の分散液若しくはラテックス又はそうでなければそれらの混合物(工程d)及び/又は工程f)で得られるもの等)に含入してもよい。
【0056】
本発明のプロセスを遂行する好ましい方法において、ラテックス凝固剤は酸である。この場合、分散液Aにラテックス凝固剤を添加する工程c)は、pHが1〜4となるまで分散液Aを酸性化する工程である。
【0057】
この酸は、弱酸の水溶液であってもよく、有機性であっても無機性であってもよい。例えば、酢酸、ギ酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸及びアスコルビン酸を挙げることができる。本発明の変形によれば、酸性化を実行しながら親水性ポリマー繊維を分散させることによって、工程c)を工程a)と同時に実行してもよい。
【0058】
そして、本発明のプロセスを遂行するこの好ましい方法において、過剰な凝固剤を除去する工程e)は、工程d)で得られる混合物を中和する工程である。
【0059】
しかしながら、ラテックスは、他の方法(例えば、電解質誘導凝固法)を使用する当該技術分野において既知の様式で凝固してもよい。
【0060】
この電解質誘導凝固法では、凝固するラテックス組成物を、電解質溶液(通常、塩化カルシウム溶液又は硝酸カルシウム溶液)中に浸漬した後、取り出して、塩を取り除くために洗浄する。
【0061】
予熱した繊維上でのラテックスの熱凝固を想定してもよい。
【0062】
ラテックスが酸性化によって凝固する、本発明を遂行する好ましい方法では、洗浄によって塩を取り除く工程が無くなり、簡単な中和がそれに代替する。
【0063】
エラストマーラテックスは、エラストマー自体の他に、既知の様式で、適宜、エラストマーを安定化するための陽イオン性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤、又は1つ若しくは複数の可塑剤を含有する。
【0064】
したがって、ラテックス組成物Bの含入は、上記親水性ポリマー繊維の分散液の場合と同様の条件下で混合することによって行われる。ラテックス凝固剤を含有する水性繊維分散液を、エラストマーラテックスの組成物Bと混合する場合、この混合によって、ラテックスが凝固する。
【0065】
次に、凝固ラテックスを架橋する必要がある。ラテックスが自己架橋性で、架橋剤を存在させる必要がないか、又はラテックスが非自己架橋性で、架橋剤が必要であるかのいずれかである。ラテックス架橋剤は、当業者には既知であり、硫黄化合物、過酸化物等が含まれる。
【0066】
架橋剤は、必要な場合、このラテックス中に存在するエラストマーの乾燥重量100部に対し、好ましくは0.05重量部〜0.5重量部の比率でラテックスに添加される。
【0067】
従来技術のプロセスと比較して、本発明のプロセスは、特にラテックスの一部の凝固が気泡構造の形成前に生じ、それにより気泡サイズの二峰性分布又は三峰性分布、すなわち、一方では、非常に小さなサイズの気泡、他方では、大き目のサイズの気泡が得られるという事実によって区別される。
【0068】
好ましくは、組成物Bは、導入するラテックスの全重量(組成物B+組成物B)に対して、10重量%〜80重量%である。結果的に、組成物Bは、導入するラテックスの全重量に対して、20重量%〜90重量%である。
【0069】
工程c)で得られる凝固剤が酸である、本発明のプロセスを遂行する好ましい方法において、過剰な酸は、混合物を塩基性水溶液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等(中性pHになるまで添加される)を使用して処理することによって取り除かれる。
【0070】
ラテックス組成物Bは、上記親水性ポリマー繊維の分散液の場合と同様の条件下で混合することによって含入される。
【0071】
材料に気泡構造を付与することが可能な処理は、ガス(親水性ポリマー繊維/ラテックス/凝固ラテックス混合物に導入することによって、この混合物内に、多数の泡をもたらし、発泡体に変換する)を注入するか、又はそうでなければ泡立てによって実行され得る。その後、発泡体を固化することにより、含有する泡の保持が保証される。こうして、有利にはサイズがほぼ1ミクロンの気泡要素を含む気泡サイズ分布を特徴とする、連続気泡構造体が得られる。
【0072】
好ましくは、ガスは空気であり、例えば、ここで再び、混合物の温度上昇を予防するか又は最低でも制限するのに好適なシステム(壁を冷却するためのシステム等)を取り付けることができるターボディスペンサ内で、親水性ポリマー繊維分散液/ラテックス/凝固ラテックス混合物を数分間、激しい機械的撹拌、有利には800rpm〜1200rpmに付すことによって、この混合物にガスが導入される。しかしながら、この発泡操作を実行するために、空気以外のガス(例えば不活性ガス等)を使用することが可能である。
【0073】
セルロース繊維分散液/ラテックス/凝固ラテックス混合物の機械的撹拌を実行する速度及びこの撹拌の継続時間が、最終的に得られる気泡材料の相対密度及び気泡のサイズを調節する(すなわち、撹拌が激しく且つ長いほど、気泡はより小さくなる)という点で、この撹拌の速度及び継続時間は、したがって有利には本発明の気泡材料に付与することが望ましい性質に応じて選ばれる。
【0074】
本発明によれば、工程h)の後に得られる気泡構造を有する生成物は、目的とするその後の使用に応じて成形される。成形操作は、例えば、紐状にする押出工程又は成型工程を含んでもよい。
【0075】
例えば、本発明のプロセスの変形によれば、エラストマーが架橋性エラストマーである場合、セルロース繊維/エラストマー/凝固エラストマー混合物の成形は、60℃〜80℃の温度で押し出すことによって実行され、次いで押出体を押出機から取り出して直接、例えば、マイクロ波トンネル及び蒸気管を通過させることによって、120℃〜180℃の温度に加熱して、発泡及び架橋させる。
【0076】
このプロセスの変形によれば、エラストマーが熱可塑性エラストマーである場合、セルロース繊維/エラストマー/凝固エラストマー混合物の成形は、140℃〜180℃の温度で押し出すことによって実行され、型から取り出すと同時に押出体の発泡が起こる。
【0077】
このプロセスのさらに別の変形によれば、エラストマーが架橋性エラストマーである場合、セルロース繊維/エラストマー/凝固エラストマー混合物の成形は、120℃〜150℃の温度で実行され、且つ成型体の部分的な架橋を可能にする、圧延及びその後の圧縮成型によって実行される。離型後、このプロダクトを発泡させ、架橋を完結させるために、例えば、オーブン又は熱風オートクレーブを用いて150℃〜200℃の温度に加熱する。
【0078】
エラストマーが架橋性エラストマーである場合及びエラストマーが熱可塑性エラストマーである場合の両方に都合良く適用される、本発明のプロセスのさらに別の変形によれば、セルロース繊維/エラストマー混合物の成形は、射出成形用金型又はトランスファー成形用金型を部分的に満たした後、金型に完全に満たすために、金型内で当該混合物を発泡させ、必要に応じて同時に架橋させることにより実行される。エラストマーが架橋性エラストマーである場合には、金型は例えば、150℃〜200℃の温度に予め加熱される。
【0079】
発泡体の固化、すなわち、ラテックスの凝固及び架橋は、発泡体の温度を上げる、すなわち、実際には発泡体を加熱することによって実現される。
【0080】
有利には、ラテックスの凝固及び架橋は、発泡体状の生成物を、例えば、マイクロ波トンネル又は赤外線トンネル、蒸気管、生蒸気オートクレーブ又は熱風オートクレーブ、ファン利用オーブン若しくは熱風オーブン又は高周波オーブン中で、少なくとも25℃、好ましくは35℃より高い温度に加熱し、且つゲル化を受けるのに十分に長い時間、すなわち、実際には、とりわけ、発泡体の厚さ及びラテックスの性質、並びにラテックス架橋の完全性に応じて1時間〜5時間の時間、この発泡体をこの温度に維持することによって実行される。
【0081】
本発明によれば、ラテックスの凝固及び架橋の後に、得られる生成物を乾燥させ、必要な場合、ラテックスの架橋を完結させるように加熱する加熱操作を行う。この加熱操作は、当該生成物を、ここで再び、マイクロ波トンネル又は赤外線トンネル、蒸気管、生蒸気オートクレーブ又は熱風オートクレーブ、ファン利用オーブン若しくは熱風オーブン又は高周波オーブンのヒーターを使用するか、これらのヒーターのうち複数を連続して使用して、好ましくは100℃〜200℃の温度に加熱し、且つ場合に応じて、1時間〜5時間の時間、この温度を保持することによって実行される。
【0082】
実際には、単一の工程及び単一のヒーターにおいて、発泡体状の生成物を、乾燥及び架橋のために選ばれた温度に予め加熱したこのヒーターに直接投入することによって、生成物を凝固、架橋及び乾燥することが可能であると共に、有利でもあり、その後、発泡体の温度が上昇するにつれて、凝固が起こる。
【0083】
本発明のプロセスによれば、当該プロセスはさらに、場合に応じて、セルロース繊維分散液、ラテックス又はその混合物への、
セルロース繊維分散液/ラテックス混合物の発泡体への変換の促進に好適な界面活性剤(特に本発明によるプロセスの遂行に特に好適であると認められた界面活性剤の例としては、スルホコハク酸塩(例えば、商品名AEROSOL(登録商標)でCYTECによって販売されているもの)を挙げることができる。かかる界面活性剤を使用する場合、当該ラテックスを親水性ポリマー繊維分散液と混合する前に、好ましくは工程b)で、このラテックス中に存在するエラストマーの乾燥重量100重量部に対し、2重量部〜6重量部の比率でラテックスに添加する)及び
一度発泡体が形成した場合、発泡体の安定化に好適な物質(かかる物質は、特に、増粘剤(例えば、セルロースエーテル又はセルロースエステル(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等))であり得る。さらに、この増粘剤は有利には、親水性ポリマー繊維分散液、特にセルロース繊維分散液中に、ラテックス中に存在するエラストマーの乾燥重量の0.5重量部〜4重量部の比率で含入される(incorporated))の含入(incorporation)を含む。
【0084】
例えば、本発明のプロセスにより、親水性ポリマー(好ましくはセルロース)繊維の乾燥重量とエラストマーの乾燥重量との比が約0.5である気泡材料を製造し、そこに添加されている添加剤(架橋系及び、必要に応じて、充填剤、界面活性剤、増粘剤、凝固剤等)を考慮して、この混合物中に存在する乾燥物質の重量と水の重量との比がおよそ0.3にすることができる比率で、乾燥エラストマー含量が約55%のラテックスを含む、繊維濃度が8%〜15%であるセルロース繊維分散液を混合することによって、優れた結果が得られた。
【0085】
本発明によるプロセスを遂行する方法が何であれ、このプロセスは、架橋性エラストマーの使用を包含する場合はいつでも、このエラストマーによる、場合によっては、実際の架橋剤(硫黄、過酸化物)の他に、親水性ポリマー繊維/エラストマー混合物を調製する工程、とりわけ工程a)、工程b)、工程d)又は工程f)中に架橋促進剤及び架橋加速剤を含む好適に選択された架橋系の含入を含む。
【0086】
同様に、このプロセスは、セルロース繊維(及び必要に応じて合成繊維)とエラストマーとの間の界面活性剤として、ポリマーを架橋するための特定の架橋系の存在を必要とするポリマーを使用する場合(例えば、ポリビニルアルコールの場合)はいつでも、かかる架橋系(ここでも、実際の架橋剤だけでなく、架橋促進剤及び架橋加速剤を含み得る)の添加を含む。
【0087】
さらに、本発明によるプロセスを遂行する方法が何であれ、当該プロセスはさらに、得られる気泡材料を、目的とする使用に適したサイズ及び形状(ブロック、プレート、シート等)に切断することを含む。
【0088】
本発明の主題は、本発明の気泡材料を含む任意の物品である。
【0089】
本発明の主題は特に、上記で規定した気泡材料を含むことを特徴とする、スポンジである。
【0090】
清拭及び表面清掃の両方を目的とし得るこれらのスポンジの厚さは、取扱いが容易となるように、好ましくは1cm〜15cm、特に好ましくは1.5cm〜10cm、さらにより好ましくは2cm〜5cmである。それらはまた、概して厚さが1mm〜5mmの範囲の平板スポンジであってもよい。
【0091】
本発明の主題はまた、本発明による気泡材料を含む、表面(床、壁、鏡、窓等)を掃除するためのブラシ及びスクレーパ等の家庭用必需品である。
【0092】
本発明のさらに別の主題は、本発明による気泡材料を含む身体衛生用品、すなわち、浴用スポンジ;美容用スポンジ又は化粧用スポンジ;おむつ及び婦人衛生用品;包帯;及び吸汗を目的とした物品である。
【0093】
本発明は、下記明細書の残り部分(本発明によるスポンジ状材料の例示的な実施形態、その性質の説明及び添付の図面に当たる)からより理解される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施例1で得られたスポンジの拭き取り能を測定する試験を実行するために実施される、回転運動を示す図である。
【図2】実施例1で得られたスポンジの拭き取り能を測定する試験を実行するために実施される、直線運動を示す図である。
【実施例】
【0095】
しかし、当然のことながら、これらの例は本発明の主題を説明する目的で示しているに過ぎず、これらはいかなる限定をも構成しない。
【実施例1】
【0096】
本発明によるスポンジの製造
スポンジは以下の構成成分から製造した:
【0097】
【表1】

【0098】
操作様式
配合表の順番に従って成分を添加することによって、ラテックス混合物を調製した。
【0099】
ラテックス混合物を均質化した。
【0100】
調製したラテックス混合物の量を2つ:混合物1及び混合物2に分け、それぞれを撹拌状態に保った。
【0101】
繊維を粉砕するため、コットンリンター、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及び水をミキサー(50リットル容量のブレード型ミキサー)に入れた(継続時間:1050rpm、5分)。これら2つのレオロジー剤の比率は、最終製品の柔らかな手触りを維持しながら、実質的にほぼ平均の気泡直径が得られるように変化させることが可能である。
【0102】
次いで、酢酸をミキサー内に添加した後、600rpmで30秒間、均質化した。
【0103】
そして、混合物1を注ぎ入れた後、600rpmで30秒の時間、均質化した。
【0104】
次に、中和剤を添加した後、300rpmで30秒間、均質化した。
【0105】
そして、混合物2を注ぎ入れた後、600rpmで30秒間、均質化した。
【0106】
得られた材料を回収し、材料を発泡させるために、連続するスウェラー(sweller)のホッパー(ポンプ:5リットル〜45リットル/時間の流速、ミキシングヘッド:寸法150mm×5mmのスクエアピンを備える0.3リットル容量)に導入した。
【0107】
発泡した材料を型に入れた。
【0108】
型を140℃で乾燥させた後、160℃で加硫した。
【0109】
材料を型から取り出し、切断してスポンジのサイズの部分とした。
【実施例2】
【0110】
本発明の気泡材料の性質の測定
本発明による気泡材料の性質は、
相対密度、
吸水能、
手絞り後の保水能、
引張強度、
拭き取り能、及び
気泡のサイズ
を求めることによって評価した。
使用した測定方法
1)相対密度は、これらのスポンジ状材料の密度と水の密度との比(d)を測定することによって求めた。
2)吸水能は、完全に乾燥している場合のスポンジ状材料及び一定量の水に浸漬した後のスポンジ状材料を秤量した後、式:
A=(水に浸漬した後の重量−乾燥重量)/乾燥重量×100
に従って比(A)を測定することによって求めた一方、手絞り後の保水能は、きつく手絞りした後の同じ気泡材料を秤量した後、式:
R=(水に浸漬した後の重量−手絞り後の重量)/乾燥重量×100
に従って比(R)を測定することによって求めた。
3)引張強度は、試験する気泡材料から切り取ることにより準備した、長さ5cm〜6cm、幅2.5cm〜3.5cm、厚さ1.5cm〜2.5cmの試験試料を、300mm/分に設定した電子引張試験機を用いて破断するまで引張することによって求めた。
【0111】
4)拭き取り能は、以下の方法に従って、予め濡らしておいた表面上に、この表面を上記気泡材料で拭き取った後、水の痕跡が残っているか否かによって求めた:
拭き取り試験手順:
スポンジの拭き取り能の測定:
I.原理:
スポンジの拭き取り能(C)は、濡らした表面を拭き取った後にスポンジによって吸収された水の量を測定することによって求めた。
II.準備するもの:
水(20℃±2℃)、
精密天秤(1mg未満まで測定する)、
平行六面体状のスポンジ(寸法100mm×100mm×20mm)、
プラスチックビーカー(容量=5 l)、
鏡(寸法54cm×39cm)、
5mlマイクロピペット、
蒸留水、
平行六面体状の疎水性たわし(寸法100mm×100mm×5mm)、
洗浄機
タイマー
アセトン、及び
吸取り紙
III.操作様式:
試験するスポンジを以下のプログラムに従って、洗浄機内で洗浄した:
→洗浄(継続期間:30分、水温:10℃)、
→排水(排水前休止無し、排水時間:20秒)、
→脱水(spin-drying)(継続期間:20秒、最終速度:200rpm)。
【0112】
プログラムの最後に、スポンジを圧縮することによって泡が生じる場合、同一のプログラムを使用してスポンジを再洗浄する。この操作を泡が消えるまで繰り返す。
【0113】
スポンジを水の入ったビーカーに浸漬し、水を取り込むようにスポンジを圧縮する。
【0114】
スポンジを以下のプログラムに従って、洗浄機で脱水する:
脱水継続時間:2分、最終脱水速度:1000rpm、
脱水中、アセトンに浸した紙拭きで鏡の脂分を取り除く。
【0115】
洗浄機からスポンジを取り出し、乾燥表面上に縦に置く。
【0116】
洗浄機の入口を大きく開いておく。
【0117】
スクラバの風袋を計測する。
【0118】
マイクロピペットを用いて鏡沿いに蒸留水3mlを注ぐ(すなわち、水3g)。
【0119】
スクラバを用いてこの水を均一に分布させる。
【0120】
任意の保持された液滴を除くために、スクラバを鏡の上方で振る。
【0121】
スクラバを秤量する。この重量をM’(g)とする。表面に付着した水の重量を求めるために、この重量を鏡に注いだ3gから減算する。この重量をM1(g)とする。
【0122】
タイマーを開始する。
【0123】
予め風袋を計測したスポンジで鏡を拭き取る。運動は、最初、全ての場所を1回のみ通過する回転運動であり(継続時間:10秒)、その後は、全ての場所を1回のみ通過するような(約45°に傾けたスポンジの同一面を用いた)ツーアンドフロー(two-and-fro)の直線運動(継続時間:8秒)である。
【0124】
タイマーを停止する(示される時間は18秒±1秒でなければならない)。
【0125】
スポンジを秤量する。この重量をM2(g)とする(水がスポンジから急速に蒸発するため、値を得るために天秤の安定化するのを待たない)。
【0126】
吸取り紙で鏡を拭き取る。
【0127】
アセトンに浸した紙拭きで鏡の脂分を取り除く。
【0128】
スポンジの拭き取り能は、C(%)=100×M2/M1で表される。
【0129】
最後にCの値が3つ得られるように、上記プログラムに従って、スポンジを洗浄機(washing machine)内で脱水することにより、拭き取り操作を繰り返す。
【0130】
3つのCの値を平均する。
【0131】
スポンジの拭き取り能は、算出した平均(±5%以内まで)に等しい。
5)気泡のサイズを、4つの異なるスケールで撮った走査型電子顕微鏡(SEM)画像から演繹した。これらの気泡の直径dは、一連の4つの画像上で測定した。
【実施例3】
【0132】
実施例1で得られたスポンジの性質の測定結果
およそ0.04の相対密度(最終製品の場合)が得られた。この相対密度は、反発速度(bounce speed)、ヘッドの速度及び空気注入等のスウェラーのパラメータを調節した後に得られた。製品の相対密度が低くなるほど、手触りは柔らかくなる。
【0133】
得られる製品の最大引張強度は、ほぼ0.1Mpa(長さ方向及び幅方向)であった。
【0134】
吸水は、約1300%であった。
【0135】
拭き取り能は、およそ75%であった。
【0136】
湿潤性は、4秒であった。
【0137】
絞り出しは、約85%であった。
【0138】
気泡径分布は、以下の通りであった:
d>1000μm: 77%
1000μm>d>100μm: 17%
100μm>d>10μm: 4%
10μm>d>0.2μm: 2%。
【0139】
比較の目的で、特許文献2に記載のプロセスによって製造されるスポンジを同様の条件下で試験したところ、拭き取り能はおよそ65%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマー繊維と少なくとも1つのエラストマーとの混合物を含む、気泡材料であって、サイズが0.2μm〜10mmの気泡(全気泡容量に対して少なくとも1容量%は、サイズが0.2μm〜10μmである)によって形成される気泡構造を有することを特徴とする、気泡材料。
【請求項2】
前記親水性ポリマーがセルロースであることを特徴とする、請求項1に記載の気泡材料。
【請求項3】
相対密度が0.01〜0.1、好ましくは0.02〜0.06、さらにより好ましくは0.03〜0.05であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の気泡材料。
【請求項4】
吸水能が少なくとも800%、好ましくは1000%〜1600%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項5】
手絞り後の保水能が100%未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項6】
絞り出しが90%未満であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項7】
拭き取り能が65%以上、有利には70%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項8】
引張強度が少なくとも0.1Mpaであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項9】
前記親水性ポリマー繊維が、前記エラストマー内でのそれらの絡み合いの促進に好適な処理に付されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項10】
前記エラストマーが、ポリブタジエンゴム、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ニトリルゴム、ニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンコポリマー及びエチレン/プロピレンターポリマー、スチレン/ブタジエンブロックコポリマー又はスチレン/イソプレンブロックコポリマー、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン由来熱可塑性エラストマー、オクテン/エチレンコポリマー、エチルアクリレートコポリマー、アクリレート/エチレン/アクリル酸ターポリマー、アクリレート/アクリロニトリル/スチレンターポリマー、ポリクロロプレン、塩素化ポリエチレン並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項11】
ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維及びポリビニルアルコール繊維から選ばれる合成繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項12】
前記合成繊維が、存在する繊維の合計重量の、最大20重量%、好ましくは5重量%〜15重量%であることを特徴とする、請求項11に記載の気泡材料。
【請求項13】
前記繊維と前記エラストマーとの間で界面活性剤として作用するのに好適であり、且つポリビニルアルコール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ビニル接着剤及びポリウレタンから選ばれる1つ又は複数のポリマーを、前記エラストマー100重量部当たり、最大35重量部含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項14】
淡色の充填剤;可塑剤;染料又は顔料;安定剤(酸化防止剤、紫外線安定剤及びオゾン分解防止剤等);殺真菌剤;殺細菌剤;マイクロカプセル化香料;増粘剤、界面活性剤及びラテックス凝固剤;並びに架橋剤から選ばれる1つ又は複数の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項15】
前記気泡材料中に存在する繊維の全重量とエラストマーの重量との比が、2〜0.2、好ましくは1.5〜0.3であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の気泡材料。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の気泡材料を含む、物品。
【請求項17】
スポンジであることを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
家庭用必需品、身体衛生用品(浴用スポンジ等)、美容用スポンジ又は化粧用スポンジ、おむつ、婦人衛生用品、包帯、及び吸汗を目的とした物品から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の物品。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の気泡材料の製造方法であって、
a)少なくとも1つの親水性ポリマー、好ましくはセルロースの繊維の水性分散液(Aと称する)の調製、
b)ラテックス形態の少なくとも1つのエラストマーの組成物(Bと称する)の調製、
c)前記分散液A中へのラテックス凝固剤の添加、
d)工程c)で得られる前記分散液Aと前記組成物Bとの混合、
e)工程c)で導入される前記過剰な凝固剤の除去、
f)必要に応じて、少なくとも1つの親水性ポリマーの繊維の水性分散液(Aと称する)(分散液Aは前記水性分散液Aと同一であるか又は異なる)の調製、及び工程e)の後に得られる混合物中への該水性分散液Aの含入、
g)ラテックス形態の少なくとも1つのエラストマーの組成物(Bと称する)(組成物Bは組成物Bと同一であるか又は異なる)の調製、及び工程e)又は工程f)が実行される場合には工程f)で得られる混合物中への該組成物Bの含入、
h)工程g)で得られる混合物に気泡構造を付与することが可能な処理の適用、
i)工程h)で得られる混合物の成形、
j)工程i)で得られる生成物に対する、当該生成物を凝固及び架橋することが可能な処理の適用、及び
k)工程j)で得られる生成物の乾燥
を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の気泡材料の製造方法。
【請求項20】
工程c)の前記凝固剤が、pH1〜4にすることができる量で、前記分散液Aに添加される酸であり、且つ工程e)が、工程d)の後に得られる混合物を中和する工程であることを特徴とする、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
工程c)が工程a)と同時に実行されることを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記酸性化した水性繊維分散液と前記エラストマーラテックスの前記B部分との混合が、前記ラテックスの凝固を引き起こすことを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
がBの全重量に対して10重量%〜80重量%であり、且つBがBの全重量に対して20重量%〜90重量%であることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記気泡材料に気泡構造を付与することが可能な処理が、ガスの注入から成ることを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ガスが空気であり、且つ前記親水性ポリマー繊維分散液/ラテックス/凝固ラテックス混合物中に、該混合物を数分間機械的な撹拌に付すことによって導入されることを特徴とする、請求項19〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
押出工程又は成型工程を含むことを特徴とする、請求項19〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
工程j)が、工程h)で得られる生成物を、マイクロ波トンネル又は赤外線トンネル、蒸気管、生蒸気オートクレーブ又は熱風オートクレーブ、ファン利用オーブン若しくは熱風オーブン又は高周波オーブン中で、少なくとも25℃の温度に加熱し、且つ該生成物を1時間〜5時間の時間、維持することによって実行されることを特徴とする、請求項19〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記生成物が、工程k)で、マイクロ波トンネル又は赤外線トンネル、蒸気管、生蒸気オートクレーブ又は熱風オートクレーブ、ファン利用オーブン若しくは熱風オーブン又は高周波オーブンを使用するか、これらのヒーターの複数を連続して使用して該生成物を100℃〜200℃の温度に加熱し、且つこの温度で1時間〜5時間の時間保持することによって、加熱操作に付されることを特徴とする、請求項19〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
工程j)及び工程k)が、単一の工程及び単一のヒーターで実行されることを特徴とする、請求項19〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記セルロース繊維分散液、前記ラテックス又はそれらの混合物への、
前記セルロース繊維分散液/ラテックス混合物の発泡体への変換の促進に好適な界面活性剤、及び
一度形成された前記発泡体の安定化に好適な薬剤
の含入を含むことを特徴とする、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記界面活性剤が、スルホコハク酸塩から選ばれ、且つ前記ラテックス中に存在する前記エラストマー100重量部(乾燥重量)当たり、2重量部〜6重量部の比率で使用されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記発泡体の安定化に好適な前記薬剤が、セルロースエーテル又はセルロースエステル等の増粘剤であり、前記ラテックス中に存在する前記エラストマーの乾燥重量の0.5重量部〜4重量部の比率で前記親水性ポリマー繊維分散液中に含入されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
親水性ポリマー繊維の乾燥重量とエラストマーの乾燥重量との比が約0.5であり、
前記セルロース繊維分散液の繊維濃度が8%〜15%であり、
前記ラテックスの乾燥エラストマー含量が約55%であり、且つ
前記混合物中に存在する乾燥物質の重量と水の重量の比がおよそ0.3であることを特徴とする、請求項19〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
とりわけ工程a)、工程b)、工程d)、工程f)又は工程g)において、前記親水性ポリマー繊維/エラストマー混合物の調製物中に架橋剤の含入を含むことを特徴とする、請求項19〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記架橋剤が、前記ラテックス中に存在するエラストマー100部当たり、0.05部〜0.5部の比率で含入される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記気泡材料の切断を含むことを特徴とする、請求項19〜35のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−501716(P2010−501716A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526148(P2009−526148)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001405
【国際公開番号】WO2008/025898
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(591136931)
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON
【Fターム(参考)】