説明

新規抗生物質

【課題】既知の抗菌性化合物とは異なる化学構造を有し、細菌の種類に応じて選択性のある優れた抗菌活性を示す新規な化合物を提供する。
【解決手段】式(I):


[式中、Rは-(CH)CH(nは2〜6の整数)である]
の化合物又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌活性を有する新規化合物、その製造方法、及び該方法に有用な新規微生物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに多数の抗菌性物質が発見されており、それらの多くは微生物の培養により生産される抗菌性をもつ抗生物質である。抗菌物質の利用は病原菌に対してのみならず、新規微生物を選抜する際にも、分離培地に添加されて用いられている。
【0003】
目的の分類群に属する新規微生物を効率的に得るには、抗菌スペクトルの範囲の狭い選択性の高い抗菌物質が必要である。しかしながら、現在新規有用細菌の宝庫とされている海洋細菌に対して選択性の高い抗菌物質は現在のところコロールミシンしか知られていない(特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−306094号公報
【特許文献2】特開2003−61645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コロールミシンは海洋細菌のガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)にしか抗菌活性を示さず、これまでのタイプとは異なる抗生物質が渇望されている。
【0006】
本発明は、従来知られている、又は使用されている既知の抗菌性化合物とは異なる化学構造を有し、細菌の種類に応じて選択性のある優れた抗菌活性を示す新規な化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フォトバクテリウム(Photobacterium sp.)に属する微生物が新規な抗生物質を産生することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
【0008】
(1)式(I):
【化1】

[式中、Rは-(CH)CH(nは2〜6の整数)である]
の化合物又はその塩。
【0009】
(2)フォトバクテリウム(Photobacterium sp.)に属し、前記(1)に記載の化合物の少なくとも1種を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、その培養物から該化合物を採取することを含む式(I)の化合物又はその塩の製造方法。
【0010】
(3)前記微生物がフォトバクテリウム属細菌(Photbacterium sp.) MBIC06485株である前記(2)に記載の方法。
(4)前記(1)記載の化合物を有効成分として含有する抗菌剤。
(5)前記(1)記載の化合物を生産するフォトバクテリウム属細菌(Photbacterium sp.) MBIC06485株。
【発明の効果】
【0011】
本発明により海洋微生物を起源とする新規な抗生物質、及び該化合物を海洋微生物を用いて効率的に製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、式(I):
【化2】

[式中、Rは-(CH)CH(nは2〜6の整数)である]
で表される構造を有する。なお、本明細書ではn=2、3、4、5及び6の化合物をそれぞれ、unnarmicinA、unnarmicinB、unnarmicinC、unnarmicinD及びunnarmicinEと呼ぶ。
【0013】
式(I)で表される化合物のうち、代表例としてunnarmicinA及びunnarmicinCの理化学的的性質を示す。
【0014】
unnarmicinA
下記の物理化学的性状を有する化合物又はその塩:
A)物質の性状:無色粉末状物質
B)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶、クロロホルムに不溶
C)分子式:C365046
D)分子量:634(FABマススペクトル法により測定)
E)高分解能FABマススペクトル法により測定した精密質量、[M+H]は次に示す通りである:
実測値:635.3812
計算値:635.3809
【0015】
F)赤外吸収スペクトル:
臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルは以下に示す極大吸収を示す:
3297,2956,2927,2854,1747,1717,1670,1654,2359,1691,1631,1557,1542,1523,1508 cm-1
【0016】
G)H−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(2.50ppm)を用いて測定した、H−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである:
0.60(3H, d), 0.67(3H, d), 0.79(3H, t), 0.84(3H, d), 0.88(3H,d),0.97(1H, m), 1.08(2H, m), 1.14(1H, m), 1.32(2H,m),1.43(2H,m), 1.50(2H,m),2.14(1H,dd),2.57(1H,dd),2.91(2H,d),3.08(1H,dd),3.19(1H,dd),3.98(1H,m),4.31(1H,m),4.35(1H, m), 4.52(1H, m), 5.00(1H, m), 7.19(2H,m), 7.24-7.28(8H,m),7.36(1H, m), 7.80(1H, d), 8.20(1H, d), 8.92(1H, d), ppm
【0017】
H)13C−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(39.5 ppm)を用いて測定した、13C−核磁気共鳴スペクトルは以下に示すとおりである:
13.59(q), 18.19 (t), 20.62(q), 21.85(q), 22.67(q), 23.13(q), 23.44(d), 24.18(d), 34.12(t), 35.94(t), 37.13(t), 39.37(t), 39.45(t), 40.77(t), 50.10(d), 50.85(d), 54.65(d), 55.87(d), 71.23(d), 126.08(d), 126.20(d), 127.83(d), 128.06(d), 128.95(d), 129.06(d), 136.89(s), 137.52(s), 167.73(s), 169.85(s), 171.00(s), 171.97(s), 173.52(s), ppm
【0018】
I)高速液体クロマトグラフィー:
カラム:Agilent Zorbax ODS,4.6x150mm
溶媒:60%アセトニトリル水
流速:1.0ml/分
検出:紫外部吸収210nm
保持時間:11.2分。
【0019】
unnarmicinC
A)物質の性状:無色粉末状物質
B)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシドに可溶、クロロホルムに不溶
C)分子式:C385446
D)分子量:662(FABマススペクトル法により測定)
E)高分解能FABマススペクトル法により測定した精密質量、[M+H]は次に示す通りである:
実測値:663.4138
計算値:663.4122
【0020】
F)赤外吸収スペクトル:
臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルは以下に示す極大吸収を示す:
3297,2956,2927,2854,1747,1717,1670,1654,2359,1691,1631,1557,1542,1523,1508 cm-1
【0021】
G)H−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(2.50ppm)を用いて測定した、H−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである:
0.60(3H, d), 0.67(3H, d), 0.83(3H, t), 0.84(3H, d), 0.88(3H,d),0.97(1H, m), 1.07(2H, m), 1.10−1.25(5H, m), 1.33(2H,m),1.43(2H,m), 1.50(2H,m),2.14(1H,dd),2.56(1H,dd),2.91(2H,d),3.09(1H,dd),3.21(1H,dd),4.03(1H,m),4.31(1H,m),4.35(1H, m), 4.53(1H, m), 4.98(1H, m), 7.20(2H,m), 7.24-7.30(8H,m),7.35(1H, m), 7.82(1H, d), 8.20(1H, d), 8.93(1H, d), ppm
【0022】
H)13C−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(39.5 ppm)を用いて測定した、13C−核磁気共鳴スペクトルは以下に示すとおりである:
13.80(q), 20.58(q), 21.86(q), 21.91(t), 22.66(q), 23.13(q), 23.44(d), 24.18(d), 24.66(t), 30.84(t), 32.00(t), 35.94(t), 37.10(t), 39.34(t), 39.50(t), 40.78(t), 50.09(d), 50.79(d), 54.67(d), 55.88(d), 71.55(d), 126.07(d), 126.18(d), 127.82(d), 128.05(d), 128.95(d), 129.06(d), 136.92(s), 137.57(s), 167.73(s), 169.89(s), 170.99(s), 171.95(s), 173.55(s), ppm
【0023】
I)高速液体クロマトグラフィー:
カラム:Agilent Zorbax ODS,4.6x150mm
溶媒:60%アセトニトリル水
流速:1.0ml/分
検出:紫外部吸収210nm
保持時間:18.9分。
【0024】
抗菌活性
本発明のunnarmicinA〜Eの各種細菌に対する抗菌活性は、unnarmicinA〜Eの200ppmと1000ppm溶液を用いて、直径6mmのペーパーディスク(アドバンティック東洋社製)にそれぞれディスクあたり13μlの溶液を添加した場合の成育阻害活性で評価した(ペーパーディスク法)。各種細菌の生育に対するunnarmicin類による阻止円の直径(mm)を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1の結果から明らかなように、本発明によるunnarmicinAからEは、アルファプロテオバクテリウム(Alphaproteabacteria)のシュードビブリオ(Pseudovibrio)属細菌に特に有効であることが分かる。
【0027】
本発明のunnarmicinA〜Eは化学的方法によって合成することもできるが、微生物を用いて生産することも可能であり、式(I)で表される本発明のunnarmicinA〜Eの少なくとも1つを生産する生産菌を培地で培養し、その培養物からunnarmicinを得ることができる。
【0028】
unnarmicinの生産に用いる微生物としては、フォトバクテリウム属に属し、unnarmicin生産能を有する微生物であれば特に限定されず、そのような微生物としては、例えば、沖縄県恩納村海岸の海水から採取したフォトバクテリウム属細菌(Photbacterium sp.) MBIC06485株が挙げられる。16S rRNA遺伝子の塩基配列は配列番号1に示すとおりである。Gen BankのデータベースならびにBLAST programを用い、16S rRNA遺伝子の塩基配列の相同性で近い微生物種を探索したところ、最も近いのはAY690702 Photobacterium sp. HZ01で、99%の相同性を示した。なお、MBIC06485株は独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、平成17年1月11日に、寄託番号NITE P-62(識別の表示:0%Na-90-1)として寄託されている。
【0029】
MBIC06485株の形態学的性状は次のとおりである。
a. 形態
1) 細胞の形および大きさ:桿菌、2.8-3.1×0.6-0.7 μm
2) 細胞の多形性の有無:無し
3) 運動性の有無、鞭毛の着生状態:有り、極毛。
4) 胞子の有無:無し
【0030】
b. 各培地における生育状態
1) マリンアガー平板培養 :良好に生育,コロニーは円形,扁平状,波状,中心部白色,周辺部半透明。
2) マリンアガー斜面培養 :良好に生育,白色。
3) マリンブロス培養 :良好に生育,均質に濁る。
【0031】
c. 生理学的性質
1) グラム染色性:陰性
2) 硝酸塩の還元:還元する。
3) インドールの生成:生成しない。
4) 硫化水素の生成:生成しない。
5) でんぷんの加水分解:分解する。
6) クエン酸の利用:Simmons 培地:利用する。
7) ウレアーゼ活性:陽性
8) オキシダーゼ活性:陽性
9) カタラーゼ活性:陽性
10) 生育の範囲(pH):pH5〜10 、最適生育pH範囲 6〜9
11) 酸素に対する態度:通性嫌気性
12) OF試験:発酵的に分解する。
13) 糖からの酸の生成の有無
API50CHを使用。
基礎培地として 2.3% NaCl、1.18% MgCl2・6H2O、0.164% CaCl2・2H2O、0.002% フェノールレッド、5mM Tris -HCl(pH7.8)を用いた。
L-アラビノース:陰性
D-キシロース :陰性
D-グルコース :陽性
D-マンノース :陰性
D-フラクトース:陽性
D-ガラクトース:陰性
マルトース :陽性
シュークロース:陰性
ラクトース :陽性
トレハロース :陰性
D-ソルビトール:陰性
D-マンニトール:陰性
イノシトール :陰性
グリセリン :陽性
デンプン :陰性
14) エスクリンの分解:分解しない。
15) DNAの分解:分解する。
16) 好塩性:有り 生育塩濃度範囲 1〜7%
17) β-ガラクトシダーゼ:陰性
18) イソプレノイドキノン:Q-8
【0032】
本発明における微生物の培養は、通常の微生物の培養方法が用いられる。培地としては、資化可能な炭素源、窒素源、無機物及び必要な生育・生産促進物質を適宜含有する培地であれば、合成培地又は天然培地のいずれでも使用可能である。炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フラクトース、糖蜜などを単独又は組み合わせて用いられる。さらに、必要に応じて炭化水素、アルコール類、有機酸、アミノ酸(トリプトファン等)なども用いられる。窒素源としては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、綿実かす、カザミノ酸などが単独又は組み合わせて用いられる。そのほか、必要に応じて食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛などの無機塩類を加える。さらに使用する微生物の生育や本発明の化合物の生産を促進する微量成分を適当に添加することができ、そのような成分は当業者であれば適当なものを選択することができる。また塩化ナトリウム2%−5%添加することも有利な効果となる。
【0033】
かかる栄養培地での抗生物質unnarmicinA〜E生産菌の培養は、一般の微生物による抗生物質の製造において通常使用されている方法に準じて行なうことができる。通常は好気条件下に培養するのが好適であり、通常は攪拌しながら及び/又は通気しながら行なうことができる。また、培養方法としては静置培養、振とう培養、通気攪拌をともなう液体培養のいずれも使用可能であるが、液体培養がunnarmicinA〜Eの大量生産に適している。
【0034】
使用しうる培養温度はunnarmicinA〜E生産菌の発育が実質的に阻害されず、該抗生物質を生産しうる範囲であれば、特に制限されるものではなく、使用する生産菌に応じて適宜選択できる。特に好ましいのは25〜30℃の範囲内の培養温度を挙げることができる。培地のpHは3〜11で培養することができ、6〜10が望ましい。培養は通常はunnarmicinA〜Eが十分に蓄積するまで継続することができる。その培養時間は培地の組成や培養温度、使用温度、使用生産菌株などにより異なるが、通常4〜8日間の培養で目的の抗生物質が培養液中および菌体中に生成蓄積される。
【0035】
培養物中の新規抗生物質unnarmicinA〜Eの蓄積量は検定菌としてPseudovibrio sp. MBIC3368株を使用して、通常の抗生物質の活性試験に用いられるペーパーディスク法により定量することができる。
【0036】
培養物及び菌体中に蓄積されたunnarmicinA〜Eは、これを培養物から採取する。培養後、必要により、濾過、遠心分離などのそれ自体公知の分離方法によって菌体と上清を分離後、その上清は有機溶媒、特に酢酸エチルなどを用いた溶媒抽出や、吸着やイオン交換能を利用したクロマトグラフィー、ゲルろ過、液液分配を利用したクロマトグラフィーを単独でまたは、組み合わせて使用することにより培養上清からunnarmicinA〜Eを単離精製して採取することができる。吸着やイオン交換能を有するクロマトグラフィー用担体としては、活性炭、シリカゲル、多孔性ポリスチレン・ジビニルベンゼン樹脂もしくは各種のイオン交換樹脂を用いることができる。菌体は50%アセトン抽出後、上清と同様各種クロマトグラフィーを単独でまたは、組み合わせて使用することにより単離精製する。かくして、前記した特性を有する新規抗生物質 unnarmicinA〜Eの各々が得られる。
【0037】
unnarmicinA〜Eの薬理活性について検討を行った結果、海洋から新規細菌を分離する際増殖が早くて分離の妨害となるアルファプロテオバクテリウム(Alphaproteabacteria)のシュードビブリオ(Pseudovibrio)属細菌に対して特に優れた選択的抗菌活性を有することを見出した。
【0038】
本発明による抗菌剤は、有効成分としての式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を常用の液体または固体担体、例えばエタノール、水、デンプン等と混和してなる組成物の形で調合して使用してもよい。有効濃度は、抗菌性を発揮できる範囲内であれば特に限定されないが、例えば、1〜1000μg/mlとすることができる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1 抗生物質unnarmicinAおよびCの製造
マリンブロス(DIFCO社製)を振盪フラスコ(1L容)に300mlずつ分注し、常法により121℃で15分滅菌した。フォトバクテリウム属細菌MBIC06485株をマリンアガー平板培地上で培養後、その1コロニーを試験管あるいは100mlフラスコ中の少量のマリンブロスに接種し、1日間、前培養した。その培養液2mlずつを上述の振盪フラスコ(1L容)に接種し、次いで、30℃で4日間振盪培養した。培養終了後、培養液をろ過して培養ろ液を分離した。その培養ろ液(10L)を酢酸エチルで抽出し、この際に得られた上層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧乾燥し、油状物780mgを得た。この油状物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20g)に供し、クロロホルム:メタノール(20:1)で溶出した。溶出液を減圧濃縮・乾固して飴状物50mgを得た。この粗精製物を液体クロマトグラフィー(カラム:資生堂カプセルパック(CAPCELL PAK)C18 UG120、 20×250 mm、分取用)に供し、30%アセトニトリル水で溶出した画分を減圧下に濃縮乾固すると、白色粉末の化合物A (3.7mg)が得られた。同様にして、白色粉末として化合物C(6.0 mg)を単離した。
【0041】
化合物A及び化合物Cについて1H NMRスペクトルを測定したところ以下のとおりであった。
【0042】
化合物A
H−NMR(DMSO−d6,ppm):0.60(3H, d), 0.67(3H, d), 0.79(3H, t), 0.84(3H, d), 0.88(3H,d),0.97(1H, m), 1.08(2H, m), 1.14(1H, m), 1.32(2H,m),1.43(2H,m), 1.50(2H,m),2.14(1H,dd),2.57(1H,dd),2.91(2H,d),3.08(1H,dd),3.19(1H,dd),3.98(1H,m),4.31(1H,m),4.35(1H, m), 4.52(1H, m), 5.00(1H, m), 7.19(2H, m), 7.24-7.28(8H,m),7.36(1H, m), 7.80(1H, d), 8.20(1H, d), 8.92(1H, d)
【0043】
化合物C
H−NMR(DMSO−d6,ppm):0.60(3H, d), 0.67(3H, d), 0.83(3H, t), 0.84(3H, d), 0.88(3H,d),0.97(1H, m), 1.07(2H, m), 1.10−1.25(5H, m), 1.33(2H,m),1.43(2H,m), 1.50(2H,m),2.14(1H,dd),2.56(1H,dd),2.91(2H,d),3.09(1H,dd),3.21(1H,dd),4.03(1H,m),4.31(1H,m),4.35(1H, m), 4.53(1H, m), 4.98(1H, m), 7.20(2H, m), 7.24-7.30(8H,m),7.35(1H, m), 7.82(1H, d), 8.20(1H, d), 8.93(1H, d)
このことから、化合物A及び化合物CはそれぞれunnarmicinA及びunnarmicinCであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の化合物は抗菌剤としてだけでなく、特定の細菌に対して特に優れた抗菌活性を示すため、新規微生物の効率的に選抜するのにも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Rは-(CH)CH(nは2〜6の整数)である]
の化合物又はその塩。
【請求項2】
フォトバクテリウム(Photobacterium sp.)に属し、請求項1に記載の化合物の少なくとも1種を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、その培養物から該化合物を採取することを含む式(I)の化合物又はその塩の製造方法。
【請求項3】
前記微生物がフォトバクテリウム属細菌(Photbacterium sp.) MBIC06485株である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1記載の化合物を有効成分として含有する抗菌剤。
【請求項5】
請求項1記載の化合物を生産するフォトバクテリウム属細菌(Photbacterium sp.) MBIC06485株。

【公開番号】特開2007−223969(P2007−223969A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48750(P2006−48750)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、生物機能活用型循環産業システム創造プログラム/ゲノム情報に基づいた未知微生物遺伝資源ライブラリーの構築 委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591001949)株式会社海洋バイオテクノロジー研究所 (33)
【Fターム(参考)】