説明

新規抗血管新生剤及びその使用、特には癌の治療における使用

【課題】増殖、接着、アポトーシス、及び走化性を含む、異なった正常細胞の過程の制御、又は、着床、スケルトン形成、胚の発達及び異なる疾患、例えば、繊維症、瘢痕形成、及び癌とも関連しているCCNファミリータンパク質に属するNOVタンパク質をターゲットとした癌の治療用薬剤、又は内皮増殖の阻害を必要とする癌の治療用薬剤の提供。
【解決手段】特定の配列番号で表されるNOVタンパク質のフラグメントを含む薬剤、若しくは前記定義されたNOVタンパク質のフラグメントをコードする他の特定の配列番号のヌクレオチド配列を含む治療用薬剤。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の対象は、新規の抗血管新生剤、及びその使用、特には癌の治療における使用である。
【0002】
血管新生は、既存の血管からの新しい毛細血管の成長工程である。特に、3つの特異な現象である内皮細胞の増殖(proliferation)、遊走(migration)及び分化(differentiation)(管形成:tubulogenesis)がこの工程の中心を形成する。血管新生は、血管新生因子として知られる特定の成長因子、例えば、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)、FGF−1(Fibroblast Growth Factor 1)、又はFGF−2(Fibroblast Growth Factor 2)によって活性化される。
【0003】
通常、血管新生は、本質的に女性生殖器系及び損傷の瘢痕形成に限定されている。しかしながら、血管新生はまた、多くの病態の症状、例えば、糖尿病性網膜症、乾癬、関節リウマチ、加齢性黄斑変性、及び癌に関連している。事実、後者において、特に腫瘍からの血管新生因子の分泌の結果、腫瘍内部に新しい血管新生が発生し、腫瘍状の成長が顕著に促進されることが示されてきている。
【0004】
抗血管新生タンパク質の使用を基礎として、治療方法に関する多くの試みが進行している。これらの化合物のうち、最も期待されているものの1つがエンドスタチン(O’Reilly et al.,1997)であり、現在フェーズIの臨床治験が行われている(Herbst et al.,2002)。エンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのフラグメントに相当する20kDaのタンパク質であるが、エンドスタチンの活性メカニズムは、まだ明らかではない。
【0005】
ある治療の試みは、公知の活性メカニズムの解明を基礎としている。増殖中の内皮細胞はインテグリンavb3を発現しているが、静止期の内皮細胞は、それを発現していない(Brooks,1994)。この知見により、現在治験が行われているこの分子の阻害薬の開発が可能になったものである。
【0006】
血管新生の活性化に関連しているすべての分子因子のうち、VEGFのみが、血管新生活性測定のためのすべての実験モデルにおいて、実際にその効果を証明された(Ortega,1999)。更に、2003年の春にジェネンテックは、抗VEGF抗体が大腸癌患者において抗腫瘍活性を示すという知見を公表した。そのため、VEGFに結合し、そしてそれにより抗VEGF抗体の抗腫瘍活性と遜色ない抗腫瘍活性を示すことのできる分子を探索することが、最も重要となった。
【0007】
最初にトリ腎芽細胞種(Joliot et al.,1992;Martinerie and Perbal,1991)で同定されたnov遺伝子は、ヒト(novH)(Martinerie et al.,1994)、マウス(novM)(Snaith et al.,1996)、及びアフリカツメガエル(Xenopus laevis)(Ying and Ling,1996)においてクローニングされた。現在まで、前記nov遺伝子によってコードされているNOVタンパク質の機能は明らかではないが、以下のタンパク質、CYR61(Lau and Nathans,1985)、CTGF(Bradham et al.,1991)、ELM−1又はWISP−1(Pennica et al.,1998;Hashimoto et al.,1998)、R−COP又はWISP−2(Pennica et al.,1998;Kumar et al.,1999;Brigstock,1999)及びWISP−3(Pennica et al.,1998)を含む、CCNファミリーにNOVタンパク質は属している(Bork,1993)。これらのタンパク質はすべて4つの明確なドメイン、インシュリン様成長因子結合蛋白(insulin−like growth factor binding protein:IGFBP)、ウイレブランド因子タイプC繰り返しドメイン(Willebrand factor type C repeat domain)、トロンボスポンディン・タイプI繰り返しドメイン(thrombospondin type I repeat domain)及びCOOH末端ドメイン(COOH−terminal domain)から構成されている。前記CCNファミリータンパク質は、増殖、接着、アポトーシス、及び走化性を含む、異なった正常細胞の過程を制御している。また、それらは着床、スケルトン形成、胚の発達及び異なる疾患、例えば、繊維症、瘢痕形成、及び癌とも関連している(Chevalier et al.,1998)。
【0008】
前記ヒトNOVタンパク質(NOVH)は、正常組織(腎臓、筋、軟骨組織、大脳、肺、卵巣、心臓及び副腎皮質)において異なるレベルで検出することができ(Joliot et al.,1992;Martinerie et al.,2001;Kocialkowski et al.,2001;Perbal et al.,1999)、その発現は発生段階によって様々である。
【0009】
現在、NOVタンパク質の行なっている機能について、明確には確立されていないが、NOVが特定のインテグリン(avb3,a6b1及びa5b1)に結合することができることから、最近、NOVは血管新生促進作用を示すであろうと提唱されてきている(Lin,2003)。更に、その著者らはNOVがウサギの角膜モデルにおいて血管新生促進作用を呈することを示した。しかしながら、この試験では、角膜で合成され蓄積している血管新生因子の放出によって擬陽性の結果が誘導されることが証明された(Plouet,1997)。
【0010】
本発明は、NOVのVEGFへの結合によるNOVの抗血管新生活性の知見に基づくものである。
【0011】
本発明の目的は、新規な作用機構を有する新規な抗血管新生剤を提供するものである。
【0012】
本発明は、内皮の増殖を阻害することを必要とする病態[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫];又は
内皮の活性化を阻害することを必要とする病態[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための使用であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、タンパク質の使用、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列の使用、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体の使用、
である治療用薬剤の製造のための使用に関する。
【0013】
本発明は、内皮の増殖を阻害することを必要とする病態[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫];又は
内皮の活性化を阻害することを必要とする病態[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための使用であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質の使用に関する。
【0014】
配列番号2の配列は、配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされたヒトNOVタンパク質を示す。
【0015】
配列番号4の配列は、ヒトNOVタンパク質のIGFBP(インシュリン様成長因子結合蛋白:insulin−like growth factor binding protein)フラグメントを示し、前記フラグメントは配列番号3のヌクレオチド配列によってコードされている。このフラグメントは、72アミノ酸を含み、配列番号2の配列の33残基〜104残基の範囲のNOVタンパク質のフラグメントに相当する。
【0016】
配列番号6の配列は、ヒトNOVタンパク質のVWC(フォン・ウイレブランド因子タイプC繰り返しドメイン:von Willebrand factor type C repeat domain)フラグメントを示し、前記フラグメントは配列番号5のヌクレオチド配列によってコードされている。このフラグメントは、67アミノ酸を含み、配列番号2の配列の108残基から174残基の範囲のNOVタンパク質のフラグメントに相当する。
【0017】
配列番号8の配列は、ヒトNOVタンパク質のTSP−1(トロンボスポンディン・タイプI繰り返しドメイン:thrombospondin type I repeat domain)フラグメントを示し、前記フラグメントは配列番号7のヌクレオチド配列によってコードされている。このフラグメントは、45アミノ酸を含み、配列番号2の配列の206残基から250残基の範囲のNOVタンパク質のフラグメントに相当する。
【0018】
配列番号10の配列は、ヒトNOVタンパク質のCT(COOH末端ドメイン:COOH−terminal domain)フラグメントを示し、前記フラグメントは配列番号9のヌクレオチド配列によってコードされている。このフラグメントは、75アミノ酸を含み、配列番号2の配列の264残基から338残基の範囲のNOVタンパク質のフラグメントに相当する。
【0019】
配列番号12の配列は、ヒトNOVタンパク質のC末端フラグメント(C−terminal fragment)を示し、前記フラグメントは配列番号11のヌクレオチド配列によってコードされている。このフラグメントは、170アミノ酸を含み、配列番号2の配列の188残基から357残基の範囲のNOVタンパク質のフラグメントに相当する。
【0020】
血管新生阻害活性も、また抗血管新生活性と称する。この活性は、例えば、本発明のペプチド配列により、内皮細胞の増加、遊走、及び分化の阻害を、試験管内で証明することによって検出することが可能である。内皮細胞の増加阻害の測定は、その活性を評価するペプチド配列の存在下で、内皮細胞を培養することにより行なうことが可能である。内皮細胞の遊走阻止の測定は、内皮細胞のカーペットの上で、傷(wound)を作り、次に試験をするペプチドの存在下で細胞を培養にすることにより行なうことが可能である。続いて、傷の上に遊走してきた細胞の数を測定する。内皮細胞の分化(管形成)阻害の測定は、試験をするペプチドの存在下で内皮細胞をゲル上で培養し、形成される細管(tubles)の長さを測定することにより行なうことが可能である。
【0021】
標準の血管新生測定モデルのなかで、局所の輸送モデル、例えば、
発明(Inoki et al.,2002)の化合物が浸透したマトリゲル(Matrigel:Becton Dickinson)の皮内注射、又は
発明(Celerier et al.,2002)の化合物を含んだ、移植片のトリ絨毛尿膜への適応、を挙げることが可能である。
【0022】
前記発明の化合物は、全身性のルート(血管内、腹空内、皮下)で動物に投与されることができ、実験的血管新生疾患が発生する。また、前記発明の化合物は腫瘍内に直接投与することも可能である。あるいは、後述する本発明のNOVタンパク質又はフラグメント又は抗イディオタイプ抗体は、局所又は全身性のルートで、タンパク質又はフラグメント又は抗イディオタイプ抗体の発現が可能な任意の方法(NOV配列を含むウイルス又はプラスミド)を用いた遺伝子治療法により、輸送することが可能である。あるいは、本発明のNOVタンパク質又はフラグメント又は抗イディオタイプ抗体は、癌細胞にトランスフェクトされるプラスミドに導入することができる。(ここで、測定はNOV又はフラグメント配列を含むか、又は含まないプラスミドによってトランスフェクトされた癌細胞から増えた腫瘍発生を測定することによる。)これらすべての測定方法は、特に、Jainら(1997)の論文に記載されている。
【0023】
「抗腫瘍活性(anti−tumor activity)」の用語は、腫瘍状の成長を阻害、及び/又は腫瘍の退行、又は消失さえも誘導することのできる活性を称するために用いる。例えば本発明のペプチド配列及び/又は本発明のペプチド配列を発現する核酸配列の投与下、又は非投与下において、腫瘍細胞の注入によって誘導され成長した腫瘍の大きさを測定することにより、前記活性を生体内で検出することが可能である。
【0024】
「内皮増殖の阻害」の表現は、後述(実験部)の試験に従って内皮細胞の増殖を鈍化させることのできる任意の内容を示す。
【0025】
「内皮の活性化」の表現は、病的でない状態と比較して、増加した濃度のVEGFにさらされた内皮細胞に伴う任意の病態を示すものである。
【0026】
有利な実施態様によれば、本発明は、配列番号2で表されるNOVタンパク質を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記で定義されたタンパク質の使用に関する。
【0027】
本発明による有利な使用は、内皮の増殖を阻害することを必要とする病態、[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫]の治療用薬剤の製造のための、配列番号2で表されるNOVタンパク質を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記で定義されたタンパク質の使用からなる。
【0028】
本発明による有利な使用は、内皮の活性化を阻害することを必要とする病態、[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための、配列番号2で表されるNOVタンパク質を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記で定義されたタンパク質の使用からなる。
【0029】
有利な実施態様によれば、本発明は、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記で定義されたタンパク質の使用に関する。
【0030】
本発明による有利な使用は、内皮の増殖を阻害することを必要とする病態、[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫]の治療用薬剤の製造のための、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記定義されたタンパク質の使用である。
【0031】
本発明による有利な使用は、内皮の活性化を阻害することを必要とする病態、[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、前記定義されたタンパク質の使用である。
【0032】
また、本発明は、癌の治療用薬剤の製造のための使用であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、癌の治療用薬剤の製造のためのタンパク質の使用に関する。
【0033】
また、本発明は、内皮の増殖を阻害することを必要とする病態、[特には、癌、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫]の治療用薬剤の製造のための使用であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、タンパク質の使用、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列の使用、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体の使用、
である治療用薬剤の製造のための使用に関する。
【0034】
また、本発明は、内皮の活性化を阻害することを必要とする病態、[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]
の治療用薬剤の製造のための使用であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、タンパク質の使用、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列の使用、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体の使用、
である治療用薬剤の製造のための使用に関する。
【0035】
本発明は、医薬用組成物であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、タンパク質、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体、
を医学的に許容可能なベクターと組み合わせ、有効成分として含むことを特徴とする医薬用組成物に関する。
【0036】
本発明は、医薬用組成物であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とするタンパク質、
を医学的に許容可能なベクターと組み合わせ、有効成分として含むことを特徴とする医薬用組成物に関する。
【0037】
本発明による有利な医薬用組成物は、活性成分として、前記フラグメントTSP−1(配列番号8)を含む。
【0038】
本発明による有利な組成物は、増殖、遊走、分化試験により、血管新生阻害活性を測定されること、及びその阻害活性は、その媒介物単独の存在下で得られる血管新生の20%〜100%を含む阻害割合に相当することを特徴とする。
【0039】
増殖、遊走又は分化の試験(試験管内血管新生)は以下の実験部に記載された。
【0040】
また、本発明は、配列番号2で表されるNOVタンパク質を活性成分として含むことを特徴とする前記定義された組成物に関する。
【0041】
本発明の有利な実施態様によれば、前記定義された組成物は、約0.1〜約20mg/kg/日の割合で投与することができることを特徴としている。
【0042】
また、本発明は、約0.1〜約20mg/kg/日の割合で投与される前記定義された組成物の製造のための、前記定義の使用に関する。
【0043】
また、本発明は、タイプTSP−1(配列番号8)の配列を含む遺伝子、タンパク質又はペプチドの形態で投与されることを特徴とする前記定義組成物に関する。
【0044】
本発明の有利な組成物は、特に好ましくは注射可能な形態で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、ヨード化VEGF165のNOVタンパク質への結合を示す。NOVタンパク質(4μ/mL)は、実験部に記載された条件に従って、プラスチックに固定し、そして、非存在(PBSカラム)、又は2μg/mLのVEGF165の存在下、又は2μg/mLのNOVの存在下(NOVカラム)で、ヨード化VEGF165(1ng/ウエル)とインキュベートした。結果は、洗浄後のウェルあたりの結合したヨード化VEGF165のcpmで表した。
【0046】
【図2】図2は、ヨード化VEGF165のNOVタンパク質への結合を示す。NOVタンパク質(4μ/mL)は、実験部に記載された条件に従って、プラスチックに固定し、そして、非存在(PBSカラム)、又は2μg/mLのVEGF165の存在下、又は2μg/mLのNOVの存在下(NOVカラム)でヨード化VEGF165(1ng/ウエル)とインキュベートした。結果は、洗浄後のウェルあたりの結合したヨード化VEGF165のcpmで表した。
【0047】
【図3】図3は、細胞の遊走試験を示す。8視野の細胞をカウントし、平均をy軸に示した。x軸はNOVタンパク質の濃度をμg/mLで示している。ダイヤモンド型で示したポイントはVEGFとインキュベートしていない細胞を示し、正方形で表されたポイントは予めVEGFで処理した細胞を示す。
【0048】
【図4】図4は、細胞増殖試験を示す。x軸はNOVタンパク質をμg/mLで示し、y軸に、595nmで測定した光学密度を示す。ダイヤモンド型で示したポイントは、VEGFによって刺激していない細胞を示し、正方形で表されたポイントは、VEGFで刺激した細胞を示している。
【0049】
【図5】図5は、FBAE細胞接着試験を示す。x軸は、NOVタンパク質をμg/mLで示し、y軸に595nmで測定した光学密度を示す。ダイヤモンド型で示したポイントは、VEGFとインキュベートしていない細胞を示し、正方形で表されたポイントは、予めVEGFで処理した細胞を示している。
【0050】
【図6】図6A及び図6Bは、VEGF165で刺激したHUAEC細胞の遊走におけるNOV及びそのフラグメントの効果を示す。図6Aは、VEGF165で刺激されていない対照試験を示し、図6Bは、VEGF165で刺激された試験を示している。カラムは視野あたりの細胞数を示している。白のカラムは、対照細胞(NOV又はフラグメントの1つの添加なし)を示し、黒のカラムは、NOVの存在下で刺激された細胞を示し、縦線のカラムはNOVのN末端のフラグメント(NOVの1〜187アミノ酸残基)の存在下で刺激された細胞を示し、横線のカラムはNOVのC末端フラグメントの存在下で刺激された細胞を示す。
【0051】
【図7A】図7Aは、VEGF165で刺激されたHUAECs(ヒト臍動脈内皮細胞:human umbilical artery endothelial cells)の増殖における、NOVタンパク質又はC末端フラグメントの効果を示している。x軸は、NOVタンパク質又はC末端フラグメント(配列番号12)の濃度をμg/mLで示し、y軸に595nmで測定した光学密度を示す。白の四角の実線の曲線は、NOVタンパク質を示し、黒の四角の破線の曲線は、配列番号12のフラグメントを示している。
【0052】
【図7B】図7Bは、bFGFで刺激されたHUAECsの増殖における、NOVタンパク質又はC末端フラグメントの効果を示している。x軸は、NOVタンパク質又はC末端フラグメント(配列番号12)の濃度をμg/mLで示し、y軸に595nmで測定した光学密度を示す。白の四角の実線の曲線は、NOVタンパク質を示し、黒の四角の破線の曲線は、配列番号12のフラグメントを示している。
【0053】
【図8】図8A及び図8Bは、角膜の血管新生における、NOVタンパク質のC末端フラグメント(配列番号12)の効果を示している。図8AはLPS単独の注射であり、図8Bは、LPS及びC末端フラグメントの注射を示している。
【実験部】
【0054】
《材料》
NOV分子は、相当するcDNA(配列番号1)を含む組換えバキュロウイルスによるSF9昆虫細胞の感染によって生産される(Thibout et al.,2003)。
【0055】
165番及び189番のアミノ酸残基のVEGFのアイソフォームは、対応するcDNA(Plouet et al.,1997)を含む組換えバキュロウイルスによるSF9昆虫細胞の感染によって生産される
【0056】
ヒト臍動脈内皮細胞(human umbilical artery endothelial cells:HUAECs)は、基底膜を消化するためにコラーゲン(Sigma)で還流した臍動脈から分離した。HUAEC細胞は、熱で非動化した20%ウシ胎児血清(FCS)を添加したSFM(Life Science)で維持した。この細胞株は、1日ごとにVEGFを1ng/mL添加し、培養した。
【0057】
ウシ胎児大動脈内皮(FBAE)細胞は、地方の食肉処理場のウシ胎児大動脈から分離した。前記細胞は、熱で非動化したウシ新生仔血清(FCS)10%、ペニシリン100μg/mL、及びストレプトマイシン100μg/mLを添加したDMEM Glutamax(Life Sciences)で37℃、10%COで維持し、2日おきにVEGF1ng/mLを添加した。
【0058】
《VEGF及びNOVの間の直接相互作用》
固定したNOVタンパク質への結合のために、96ウェルELISAプレートを、pH9.6の0.05M炭酸緩衝液で4μg/mLとしたNOVタンパク質で、4℃一昼夜覆った。非特異的結合部分を、BSAを炭酸緩衝液で5mg/mLとし、ブロッキングした。ウェルをpH7.4のPBSで2回洗浄後、0.05%Tween20、0.5%BSA、1mMMgCl、及び1mMCaClを含んだPBSで希釈した2μg/mLのVEGF165の存在下、又はNOVの存在下、又は非存在下で、それぞれのウェルにヨード化VEGFを1ngを添加した。
【0059】
ウェルをPBSに、Tween20を0.1%、BSAを0.1%加えた混合液で3回洗浄し、結合したタンパク質を0.2MのNaOHで可溶化した。
【0060】
これらの実験の結果を図1及び2に示す。
【0061】
図1は、ヨード化VEGF165が特異的にNOVに結合することを示しているが、それは、非放射性標識のVEGF(VEGF)の添加がこの結合を阻害するからである。同様に、NOVも放射性標識したVEGF165のNOVへの結合を阻害する。
【0062】
《遊走試験》
FBAE細胞は、高密度(50,000細胞/ウェル)で4cmのウェルに接種する。単層培養がコンフルエントになったとき、無血清のDMEMで一昼夜培養することによって、増殖を停止させる。次に、任意の細胞で自由に表面の境界を定めることのできるフォームスクレイパーを用いて単層状で傷(wound)を形成させる。次いで非付着細胞を除くために、単層培養は、DMEMで3回洗浄する。そして、任意の細胞の遊走の前に、表面の境界を定めるために写真を撮影する。ウェルは、DMEM単独、又はVEGF50ng/mL存在下において、いくつかの濃度のNOV存在下で培養した。24時間後、ウェルを3回洗浄し、メイ・グルンバルト・ギムザで染色し、撮影した。実験の前と後に撮った写真は遊走した細胞のカウントを行なうために重ね合わせた。
【0063】
これらの試験の結果を図3に示す。
【0064】
VEGFの非存在下でのNOVの添加は、細胞のベースの遊走に影響しない。一方、NOVはVEGFの活性を阻害し、50%最大有効量は、50−100ng/mLのNOV濃度で得られる。
【0065】
《増殖試験》
96ウェル培養プレートに5%ウシ新生仔血清を加えたDMEMでウェルあたり1000FBAE細胞をシードした。細胞は、2ng/mlのVEGF165で刺激するか、又はVEGF165で刺激しない状態でにおいて、各種の濃度のNOVで刺激した。5日後、ウェルはDMEMで穏やかにリンスし、細胞を1%グルタルアルデヒド、20分常温で固定した。固定した細胞は、クリスタルバイオレットの取り込みで定量した(Kueng et al.,1989)。細胞を0.2Mホウ酸緩衝液、pH9.5で希釈した0.1%クリスタルバイオレット(Sigma)で常温20分間インキュベートした。取り込まれなかった染色液は大量の水でウェルを完全に洗浄することによって除き、取り込まれたクリスタルバイオレット染色液は、ウェルあたり100μLの10%酢酸で溶解した。光学密度の測定は、595nmで行なった。3回の個別の実験で、同様の結果が得られた(図4参照)。示した値は、6ウェルの光学密度の平均±SDである。
【0066】
単独で使用したNOVタンパク質は、ベースの増殖(血清単独による)に対して有意な効果を示さなかった。一方、VEGFによって誘導される増殖を、NOVタンパク質は容量依存的に阻害した。50%最大有効量は、100−200ng/mLのNOV濃度で得られる。
【0067】
《細胞接着試験》
Hutchingsら(2003)の論文に記載されたプロトコールに従って、96ウェルELISAプレート(NUNC)を、0.05M炭酸緩衝液、pH9.6で希釈したVEGF165で4℃、一昼夜覆った。非特異的結合部分は、炭酸緩衝液で5mg/mLとしたBSAで37℃、1時間ブロッキングし、実験の前にDMEMで2回洗浄した。細胞をトリプシン処理し、洗浄し、そして非処理のプラスチックチューブ中で10%FCSを含んだ5mLのDMEMに再懸濁し、10%CO下で37℃で1時間インキュベートした。次に、細胞を遠心で回収し、0.2%BSAを含み、血清を含まないDMEMで再懸濁し、この細胞の懸濁液は、接着を調整するため、NOVタンパク質で20分間(37℃、10%CO)処理した。ウェルあたり40,000の細胞をウェルに100μLの0.2%BSA添加DMEMで分注した。細胞は、37℃、10%CO下で、接着のため必要な時間静置した。ウェルは非接着細胞を除くため、DMEMで穏やかに3回洗浄し、接着細胞は1%グルタールアルデヒドを用い、20分間常温で固定した。固定した細胞は、クリスタルバイオレットの取り込みで定量した(Kueng et al.,1989)。細胞を0.2Mホウ酸緩衝液、pH9.5で希釈した0.1%クリスタルバイオレット(Sigma)で常温20分間インキュベートし、取り込まれなかった染色液は大量の水でウェルを完全に洗浄することによって除き、取り込まれたクリスタルバイオレット染色液は、ウェルあたり100μLの10%酢酸で溶解した(図5参照)。
【0068】
《試験管内血管新生》
大部分がタイプIコラーゲンで構成されている白腱(white fasciculi)を回収するため、4匹のラットの尾の皮膚を取り除き、細かく裂いた。これらの繊維から、冷やした0.5M酢酸50mL中にコラーゲンを抽出し、一昼夜撹拌する。次に、その液体を5000gで40分間遠心し、上清を回収する。20mLの酢酸で抽出を一度繰り返し、上清を混合し、1Lの0.2M酢酸に透析した。コラーゲンの濃度は、重量で3mg/mLに調整する。試験管内血管新生用のゲルの調整は、液体状のコラーゲンを維持するため、氷上で行う。コラーゲン1mL(5mg/mL)を10XDMEM(10X濃度の抗生物質とグルタミンを含む)5mL、滅菌水0.9mL及び1M重炭酸ナトリウム0.1mLと混合する。pHを7.4に調整し、等量のマトリゲル(Becton Dickinson)を加える。ゲルを培養ウェル(2mm厚)に注ぎ、凝固させるために37℃でインキュベートした。細胞(100,000細胞/cm)を15分後にゲルの表面に加える。2時間後にいくつかの溶解性の因子を添加し、細胞を観察し、24時間後に写真を撮影する。
【0069】
《抗イディオタイプ抗体の産生》
最初に、NOV中和抗体をフロイント完全アジュバント(NOVタンパク質の容量に対して1容量)と混合したNOVタンパク質を動物、特にマウスに、注射することによって調整する。体重の1から200μg/kgの間に含まれるNOVの量が、動物へ免疫するために選択される。完全アジュバントを不完全アジュバントに置き換えることを除いては、同じ操作を15日及び30日の間隔で行なう。40日に採血を行ない、血清を分離し、任意の通常の分画方法、特には、硫酸アンモニウム沈殿、プロテインA又はGアフィニティークロマトグラフィーによって免疫グロブリンを精製する。免疫グロブリン中和活性は前記の任意の試験(ヨード化VEGFの結合、細胞増殖、遊走、接着)によって測定される。免疫グロブリンがNOVとVEFGの相互作用を阻害する能力を有する免疫グロブリンのバッチを、中和と称する。
【0070】
2番目に、前記のアジュバント、特にフロイント完全アジュバント(Sigma)100μLと組み合わせたNOV活性を中和する免疫グロブリンの調整物1〜100μgを皮下に注射することによって、NOVの抗イディオタイプ抗体を調整する。注射を15日、30日、及び45日後に繰り返す。最初の注射から55日後に、マウスは10μgの同じ抗体を腹空内のルートで注射される。最初の注射から58日後に、マウスを安楽死させ、脾細胞を放出するために、脾臓を摘出し2つに裂く。脾細胞はマウスミエローマ細胞、特にAG8X 63細胞(Kearney et al.,1979)と融合し、100,000細胞/ウェルの割合でインキュベートする。融合は30秒ごとの間隔で、ポリエチレングリコール(PEG)50μLを20回添加することにより行なう。次に、37℃に暖めておいたイスコフ(ISCOVE‘s)培地4mLを加え、細胞懸濁液にドロップワイズで添加し、更に、37℃で4分間のインキュベーション後に4mLを添加する。次に、細胞懸濁液を遠心し、細胞ペレットを20%ウシ胎児血清及び1XHAT(50X:5mMヒポキサンチン、20μMアミノプテリン、及び0.8mMチミジン)を添加された100mLのイスコフ培地に入れ、マクロファージの入ったウェルに100μLずつ分配する。5日後に、HAT培地100μLを添加し、8〜14日の間に、免疫原性を有している抗体、例えば、抗NOV抗体に対する直接ELISA法による測定のために、それぞれのハイブリドーマのコンディションメディウムを回収する。そして、この抗イディオタイプ抗体の活性は、ELISA試験で測定する。
【0071】
任意の標準的な方法、特にパパイン消化法で調整した抗NOV免疫グロブリンのFabフラグメントをマイクロタイトレーション・プレートに固定する(50mM炭酸緩衝液,pH9.6で、0.1〜20μg/mL)。同じ緩衝液でアルブミン血清を5mg/mLに希釈し、非特異部分を飽和させた後、0.05%Tween20を含んだPBS緩衝液で2倍に希釈したハイブリドーマの培養上清を加える。リンスの後、抗イディオタイプ抗体を、適当な濃度のペルオキシダーゼ結合抗マウスFc抗体の添加により検出する。そして、固定された抗イディオタイプ抗体の量はペルオキシダーゼの発色によって測定され、発色反応の強度に比例する。
【0072】
ハイブリドーマは、抗NOV抗体に直接反応する抗体を分泌する能力によって選択され、例えば、細胞はウェルあたり0.1mLの量の限界希釈の状態(5細胞/mL)下でシードされ、クローニングされる。培養液は、10日後に交換される。15日後に、特定のウェルには増殖巣が確認され、この細胞は最初にシードされた細胞から増加しているため、すべての細胞は同一であり、同じクローンに由来する。細胞によって覆われたウェル表面が、少なくともウェルの全体表面の半分以上になったときに、培養液を回収し、前記のように抗NOV FabのELISA試験によって解析する。この段階で、抗体産生クローンを選択することが可能であり、その特異性がわかる。
【0073】
一旦、同定したクローンは、前記の限界希釈の条件下で、同じクローン由来の細胞を96ウェルプレートにシードする標準操作を行い、そのモノクローナルの性質を固定する。そのため、前記抗体がモノクローナルであるためには、そのすべての分泌クローンが同じ特異性の抗体を分泌しなければならない。次に、クローンが確実にモノクローナルであると保証するため、3回目のクローニングを正確に同じ条件で行う。
【0074】
抗イディオタイプ抗体は、バッテリー試験(battery test)、特に、VEGF固定のELISAによってスクリーニングされる。VEGFは前記のように、炭酸緩衝液で固定(0.1〜10μg/mL)され、このELISA試験のすべての段階は、抗NOV FabのELISA試験で記載したものと同一である。この試験は、すべての抗イディオタイプ抗体から、NOVタンパク質(配列番号2)又はタイプTSP−1フラグメント(配列番号8)の機能を模倣する抗体、例えば、VEGFを認識する抗体をスクリーニングすることが可能である。
【0075】
《NOV変異体の構築》
NOVタンパク質の欠失変異体は、参考文献(Perbal et al.,1999)に従って構築し、バキュロウイルスの発現システムで産生した。
N−Ter(NOVの1−187アミノ酸を含む配列で表される)、及び
C−Ter、188〜357アミノ酸を含む[この配列はトロンボスポディン・タイプドメイン(配列番号8)及びシステインリッチC末端ドメイン(配列番号10)を含む。]
【0076】
《遊走試験》(図6)
HUAEC細胞は、高密度(50,000細胞/ウェル)で4cmのウェルに接種する。単層培養がコンフルエントになったとき、1%NBCSのSFMで一昼夜培養することによって、増殖を停止させる。次に、任意の細胞で自由に表面の境界を定めることのできるフォームスクレイパーを用いて単層上で傷を形成させる。次いで非付着細胞を除くために、単層培養は、SFMで3回洗浄する。そして、任意の細胞の遊走の前に、表面の境界を定めるために写真を撮影する。ウェルは、SFM単独又はVEGF50ng/mL存在下において、様々な濃度のNOV又はN−Ter又はC−Terの存在下で培養した。24時間後、ウェルを3回洗浄し、メイ・グルンバルト・ギムザで染色し、撮影した。実験の前と後に撮った写真は遊走した細胞のカウントを行なうために重ね合わせた。
【0077】
これらの試験の結果を図6に示す。
【0078】
VEGFの非存在下でのNOV又は前記N−Terフラグメントの添加は、細胞のベースの遊走に影響しない。NOVはVEGFの活性を阻害し、50%最大有効量は、50−100ng/mLのNOV濃度で得られる。前期N−Terは阻害活性を示さない。一方、C−TerはHUAEC細胞の遊走を阻止する。
【0079】
これらの実験は、188〜357アミノ酸を含むNOV配列が、確かにVEGFによる血管新生の阻害活性に関与しており、それがVEGFの非存在下でも遊走阻止活性を誘導することを証明している。
【0080】
《増殖試験》(図7)
96ウェル培養プレートに10%NBCS添加SFM培養液でウェルあたり2000のHUAEC細胞をシードした。細胞は、2ng/mlのVEGF165の刺激下か、又はbFGFの刺激下で、各種の濃度のNOVの存在下又はC−Terフラグメントで刺激した。5日後、ウェルはSFM培養液で穏やかにリンスし、細胞を1%グルタルアルデヒド、20分常温で固定した。固定した細胞は、クリスタルバイオレットの取り込みで定量した。細胞を0.2Mホウ酸緩衝液、pH9.5で希釈した0.1%クリスタルバイオレット(Sigma)で常温20分間インキュベートした。取り込まれなかった染色液は大量の水でウェルを完全に洗浄することによって除き、取り込まれたクリスタルバイオレット染色液は、ウェルあたり100μLの10%酢酸で溶解した。光学密度の測定は、595nmで行なった。3回の個別の実験で同様の結果が得られた(図7参照)。示した値は、6ウェルの光学密度の平均±SDである。
【0081】
NOVタンパク質は、容量依存性にVEGF及びFGFにより誘導される増殖を阻害する。50%最大有効量はVEGF及びFGFに対して、200ng/mLのNOVの50%阻害濃度で得られた。同様に、前記C−Terフラグメントは、VEGF及びFGFによって誘導される増殖を200ng/mLで阻害する。
【0082】
これらの実験は、188〜357のアミノ酸を含むNOV配列が、確かに血管新生阻害活性を担っていることを示している。また、FGFの分裂促進活性も188〜357のNOVフラグメントによって阻害されるという観察は、阻害活性が、VEGF因子単独の活性に対して、限定されるものではないことを示している。
【0083】
《角膜血管新生》
ウイスターラットを麻酔する。角膜を切開し、フォームスパチュラを使用してストロマの厚さを2つに引き裂くことによって、角膜ポケットを得る。いくつかの血管新生因子に依存する血管新生反応のトリガーとなる炎症剤であるリポポリサッカライドを含むエルバックス移植片(Elvax implant:DuPont)を前記ポケットの底に挿入する。8日後、角膜輪部に血管新生反応が観察されるようになる。C−Terフラグメントを角膜ポケットに注入した場合(D4からD8の間に2日毎に5μg)、血管新生反応は完全に阻害される(図8)。
【0084】
これらの実験はNOVのC−Terが、いくつかの血管新生因子の活性化に依存している、主な抗血管新生活性を阻害することを示した。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
内皮の増殖を阻害することを必要とする病態[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫];又は
内皮の活性化を阻害することを必要とする病態[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための使用であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、タンパク質の使用、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列の使用、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体の使用、
である治療用薬剤の製造のための使用。
【請求項2】
内皮の増殖を阻害することを必要とする病態[特には、加齢性黄斑変性、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、血管腫、血管肉腫の枠内の病態、特には、キャッスルマン病及びカポジ肉腫];又は
内皮の活性化を阻害することを必要とする病態[特には同種移植拒絶及び異種移植拒絶、肢端チアノーゼ、強皮症の枠内の病態、又は回収と移植の間の移植片調整の枠内の病態]の治療用薬剤の製造のための使用であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質、又は
前記タンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質の使用。
【請求項3】
配列番号2で表されるNOVタンパク質を含むか、又は構成されることを特徴とする、請求項2に記載のタンパク質の使用。
【請求項4】
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、請求項2に記載のタンパク質の使用。
【請求項5】
癌の治療用薬剤の製造のための使用であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、癌の治療用薬剤の製造のためのタンパク質の使用。
【請求項6】
医薬用組成物であって、
(A)配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とするタンパク質、
(B)前記定義されたNOVタンパク質、又は
前記定義されたNOVタンパク質のフラグメント、又は
前記定義されたNOVタンパク質由来の配列、又は
前記定義されたNOVタンパク質の相同配列、
をコードするヌクレオチド配列であって、
前記ヌクレオチド配列が、特には、配列番号2をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、又は配列番号4をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、又は配列番号6をコードする配列番号5のヌクレオチド配列、又は配列番号8をコードする配列番号7のヌクレオチド配列、又は配列番号10をコードする配列番号9のヌクレオチド配列、又は配列番号12をコードする配列番号11のヌクレオチド配列に相当するヌクレオチド配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とする、ヌクレオチド配列、
(C)NOVタンパク質の抗イディオタイプ抗体、
を医学的に許容可能なベクターと組み合わせ、有効成分として含むことを特徴とする、医薬用組成物。
【請求項7】
医薬用組成物であって、
配列番号2で表されるNOVタンパク質のフラグメントであって、前記フラグメントは血管形成阻害活性を示すことで規定され、特には約40〜約180のアミノ酸を含むか、及び特には以下の配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10又は配列番号12の配列の1つで表される前記フラグメント、又は
配列番号2の配列、又は前記定義されたフラグメント由来の任意の配列であって、特には、1又はそれ以上の置換、欠失又は付加によるものであり、血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、又は
配列番号2の配列又は前記で定義されたフラグメントの相同配列であって、配列番号2の配列の33及び338の位置のアミノ酸間を含む領域において、好ましくは、少なくとも80%、特には85%の相同性を有しており、前記相同配列が血管形成阻害活性を示すことで規定される配列、
を含むか、又は構成されることを特徴とするタンパク質、
を医学的に許容可能なベクターと組み合わせ、有効成分として含むことを特徴とする、請求項6に記載の医薬用組成物。
【請求項8】
配列番号8の配列を有効成分として含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の、約0.1〜約20mg/kg/日の割合で投与される組成物の製造のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−231113(P2011−231113A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113202(P2011−113202)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【分割の表示】特願2006−522370(P2006−522370)の分割
【原出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(505409247)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク (16)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【出願人】(506036976)イ.エヌ.エス.ウ.エール.エム.(アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル) (2)
【氏名又は名称原語表記】I.N.S.E.R.M.(Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale)
【Fターム(参考)】