説明

新規有機化合物および有機発光素子

【課題】青色発光に適した新規有機化合物及びそれを含有する有機発光素子を提供する。
【解決手段】下式(1)で示される有機化合物。


[式中、R乃至R18は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる置換基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規有機化合物及びそれを有する有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は陽極と陰極と、それら両電極間に配置される有機化合物層とを有する素子である。有機発光素子は、前記各電極から注入させる正孔(ホール)及び電子が有機化合物層内で再結合することで励起子が生成し、励起子が基底状態に戻る際に光が放出される。有機発光素子は有機エレクトロルミネッセント素子、あるいは有機EL素子とも呼ばれる。
【0003】
有機発光素子の最近の進歩は著しく、駆動電圧が低く、多様な発光波長、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能である。
【0004】
これまでに新規な発光性化合物の創出が盛んに行われている。高性能の有機発光素子を提供するにあたり、前記化合物の創出が重要であるからである。
【0005】
例えば、有機化合物の一例として以下に示す化合物1(インデノ[1、2、3−hi]クリセン)が特許文献1に記載されている。
【0006】
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7183010号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この化合物はそれ自体の量子収率が0.37と低いため、有機発光素子に適さない。
【0009】
本発明は基本骨格自体で青領域の発光ができる新規な有機化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって本発明は下記一般式(1)に示される有機化合物を提供する。
【0011】
【化2】

【0012】
式(1)においてR乃至R18は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基本骨格自体で青色に適したバンドギャップを有する新規な有機化合物を提供することができる。また基本骨格に置換基を導入することによって青のみならず、緑や赤の発光が可能な新規有機化合物を提供することが出来る。そして、これら新規有機化合物を用いた有機発光素子を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】有機発光素子とこの有機発光素子に接続するスイッチング素子とを示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る有機化合物を説明する。
【0016】
本発明に係る新規有機化合物は、以下の一般式(1)で表される構造である。
【0017】
【化3】

【0018】
式(1)において、
乃至R18は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
【0019】
また一般式(1)に示される構造、即ちRで示した結合種を除く縮環構造を本発明では主骨格と以下記す。
【0020】
これらアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基を有することで青のみならず、緑や赤の発光を呈することができる。
【0021】
置換あるいは無置換のアルキル基のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリブチル基、セカンダリブチル基、オクチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。
【0022】
置換あるいは無置換のアルコキシ基のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−ターシャルブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基、チエニルオキシ基である。
【0023】
置換あるいは無置換のアミノ基のアミノ基としては、 例えばN−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、アニリノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジナフチルアミノ基、N,N−ジフルオレニルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジアニソリルアミノ基、N−メシチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジメシチルアミノ基、N−フェニル−N−(4−ターシャリブチルフェニル)アミノ基、N−フェニル−N−(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ基である。
【0024】
ここで式(1)において、置換あるいは無置換のアリール基のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、インデニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基である。このうちフェニル基が好ましい。
【0025】
ここで式(1)において、置換あるいは無置換の複素環基の複素環基としては、例えばピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基である。
【0026】
式(1)において上記置換基、即ちアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ターシャリブチル基などのアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、ピリジル基、ピロリル基などの複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などのアミノ基、メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などのアルコキシル基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子である。このうちアルキル基が好ましく更に好ましくはメチル基あるいはターシャリブチル基である。
【0027】
所望の発光波長を得るために、基本骨格に置換基を設けることが知られているが、この場合化合物の安定性を損なう場合がある。そこで本発明者は基本骨格それ自体に注目した。具体的には基本骨格のみの分子が持つ発光波長が所望の発光波長領域(青色領域のことで、より具体的には発光スペクトルのピーク波長、言い換えれば最大発光波長が430nm以上480nm以下)に収まるものを提供することを試みた。
【0028】
[インデノ[1,2,3−hi]クリセン誘導体とアセナフト[1,2−b] インデノ[1,2,3−hi]クリセン誘導体との比較]
比較対象のインデノ[1,2,3−hi]クリセンとアセナフト[1,2−b]インデノ[1,2−b]クリセンは以下の構造式で示される。
【0029】
【化4】

【0030】
本発明に係る有機化合物に[2,6]ジメチルフェニル基が置換された有機化合物とインデノ[1,2,3−hi]クリセンの発光特性の比較を行った。
【0031】
【化5】

【0032】
表1のAで示される有機化合物の発光波長は置換基を付与することで調整することが出来るが、量子収率が低い。これでは高効率(具体的には外部量子効率4%以上)の有機発光素子を作り出すことは難しい。高効率の有機発光素子を達成するためには発光材料の量子収率が0.50が必要である。
【0033】
一方でBで示される有機化合物は0.76と上記0.50以上の効率を有しており好ましく用いることができる。
【0034】
また本発明に係る有機化合物は、基本骨格内に2つの5員環構造を有するためHOMOエネルギーレベル(最高占有軌道)が低い。つまり酸化電位が低い。すなわち本発明に係る有機化合物は酸化に対して安定である。
【0035】
また本発明に係る有機化合物は、基本骨格中に窒素原子等のヘテロ原子を有していない。このことも酸化電位が低いことに寄与し、すなわち有機化合物が酸化に対して安定であることに寄与する。
【0036】
本発明に係る有機化合物の基本骨格はHOMOエネルギーレベルが低い。すなわちLUMOエネルギーレベルも低い。
【0037】
また本発明に係る有機化合物は基本骨格に、発光波長を長波長化するための置換基を設けることで青発光材料にもなるし、緑発光材料、または赤発光材料にもなる。これら長波長化した材料は、基本骨格が本発明に係る有機化合物と同一であるので、置換基を有していても酸化に対して安定である。
この場合発光波長を緑色に長波長化する置換基としてはトリアリールアミンやアントラセンなどが挙げられる。
【0038】
本発明に係る有機化合物は、発光層のゲスト材料またはホスト材料として用いられる。さらに発光層以外の各層、即ちホール注入層、ホール輸送層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、あるいは電子注入層のいずれの層に用いても良い。
その場合有機発光素子の発光色は青に限らずより具体的には緑や赤でも良いし、白色でも良いし、中間色でもよい。白色に使用する場合は、一つの発光層に本発明に係る有機化合物とは別の複数の発光材料を混合させても良いし、本発明に係る有機化合物とは別の発光材料を含んだ発光層を複数積層させても良い。さらに本発明に係る有機化合物とは別の発光材料とは燐光発光材料でも蛍光発光材料でもよい。
【0039】
本発明に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる場合、発光層はゲスト材料とホスト材料とを少なくとも有する。また特に青色発光素子のゲスト材料として用いられることが好ましい。
ここでホスト材料とゲスト材料とは、発光層を構成する化合物の中で、重量比が最も大きいものがホスト材料であり、発光層を構成する化合物の中でホスト材料よりも重量比が小さいものがゲスト材料である。
【0040】
本発明に係る有機化合物を発光層のゲスト材料として用いる場合、この有機化合物よりもLUMOが高い材料、言い換えれば真空準位により近いホスト材料を用いることが好ましい。というのも本発明に係る有機化合物はLUMOが低いため発光層、すなわちホスト材料に供給される電子をホスト材料からより良好に受領することができるからである。
【0041】
本発明に係る有機化合物はゲスト材料のみならずホスト材料としても用いても良く、更には青色発光層のホスト材料として用いても良いしあるいは緑色および赤色発光層のホスト材料として用いてもよい。
【0042】
(本発明に係る有機化合物の例示)
以下に本発明に係る有機化合物をA群乃至D群として例示する。
【0043】
【化6】

【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
【化9】

【0047】
【化10】

【0048】
【化11】

【0049】
【化12】

【0050】
(例示した化合物のそれぞれの性質)
例示化合物のうちA群に示すものは基本骨格のうちR12,R13,R14,R15に置換基が付いたものである。本発明の化合物の母骨格は高い平面性を有するため、分子間スタッキングが起こすことが考えられる。そこで、母骨格内の中心付近(R12,R13,R15)に立体障害基を置換することで分子間スタッキングを抑制する意味をもつ。
【0051】
A群のうちA9とA12はR13にフェニル基を有するものを例示している。R13がフェニル基である場合、このフェニル基はさらにフェニル基やアルキル基を有してもよい。アルキル基とはメチル基やターシャリブチル基である。
【0052】
また、B群に示すものはR,R,R,Rに置換基が付いたものである。本発明の化合物の母骨格は五員環が二つ縮環した構造である。五員環構造に由来する電子吸引効果により本発明の化合物では、R,R,R,Rの求電子反応性が高い置換位置となる。この位置に水素原子よりも脱離能が小さく化学反応性が低くなるように置換基を導入することで、本発明の化合物の化学的安定性がより高くなる。B群のうちB15はR9にフェニル基を有するものを例示している。このフェニル基はさらにフェニル基を1ないし2以上有してもよい。
【0053】
さらに、C群に示すものはA群およびB群に示した特徴を兼ね合わせたものである。すなわち、分子間スタッキングに強く、反応性の低い化合物となる。
【0054】
また、D群のような置換基がヘテロ原子を含む場合、分子は大きく酸化電位が変化する。あるいは分子間相互作用が変化する。置換基がヘテロ原子を含む場合、最大発光波長を長波長化させることができる。あるいは置換基がヘテロ原子を含む場合電子輸送性やホール輸送性、ホールトラップ型発光材料として使用した際に100%の高濃度で使用するといった用途に用いることができる。
【0055】
(合成ルートの説明)
本発明に係る有機化合物の合成ルートの一例を説明する。以下に反応式を記す。
【0056】
有機化合物に置換基を導入する場合には、導入する位置の水素原子が置換基に置き換わった中間体を用いて合成する。この置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基などがあげられる。
【0057】
【化13】

【0058】
(その他有機化合物と原料)
上記反応式のうちX1とX2をそれぞれかえることで種々の有機化合物を合成することができる。その具体例を表2に合成化合物として示す。下記表は、合成化合物を得るための原料であるX1とX2のRとR’’も示す。
【0059】
【化14】

【0060】
【化15】

【0061】
(有機発光素子の説明)
本発明に係る有機発光素子を説明する。
【0062】
本発明に係る有機発光素子は互いに対向しあう一対の電極である陽極と陰極とそれらの間に配置される有機化合物層とを少なくとも有する。
【0063】
ホスト材料に対するゲスト材料の濃度は0.01wt%以上20wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。
【0064】
以下に、本発明に係る有機化合物を用いた有機発光素子の例を示す。
【0065】
本発明に係る有機化合物を用いて作製される有機発光素子としては、基板上に、順次陽極、発光層、陰極を設けた構成のものが挙げられる。他にも順次陽極、ホール輸送層、電子輸送層、陰極)を設けた構成のものが挙げられる。また順次陽極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を設けたものや順次陽極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を設けたものを挙げることができる。あるいは順次、陽極、ホール輸送層、発光層、ホール・エキシトンブロッキング層、電子輸送層、陰極を設けたものを挙げることができる。ただしこれら5種の多層型の例はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明に係る化合物を用いた有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機化合物層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、電子輸送層もしくはホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
【0066】
本発明に係る一般式(1)で表される有機化合物は、該発光素子の有機化合物層としていずれの層構成でも使用することができる。その場合の素子形態としては、基板側の電極から光を取り出すいわゆるトップエミッション方式でも、基板と逆側から光を取り出すいわゆるボトムエミッション方式でも良く、両面取り出しの構成でも使用することが出来る。
【0067】
ここで、本発明の有機化合物以外にも、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系の化合物を使用することができる。より具体的にはホール注入性化合物あるいは輸送性化合物あるいはホスト材料あるいは発光性化合物あるいは電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。
【0068】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0069】
ホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物としては、ホール移動度が高い材料であることが好ましい。正孔注入性能あるいは正孔輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0070】
【化16】

【0071】
またこれら化合物の他に、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体等)、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機亜鉛錯体、及びトリフェニルアミン誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体等の高分子誘導体がホスト材料として挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
【0072】
電子注入性能あるいは電子輸送性能を有する化合物としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらの材料とアルカリ金属やアルカリ土類金属を混合して使用しても良い。例えばLiF、KF、CsCo、CsFなどである。
【0073】
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物である。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーでもよい。これらの電極物質は単独で使用してもよいし複数併用して使用してもよい。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
【0074】
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で使用してもよいし、複数併用して使用してもよい。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。
【0075】
本発明に係る有機発光素子において、本発明に係る有機化合物を含有する層及びその他の有機化合物からなる層は、以下に示す方法により形成される。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0076】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0077】
(有機発光素子の用途)
本発明に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置に用いることができる。他にも電子写真方式の画像形成装置の露光光源や、液晶表示装置のバックライトなどがある。
【0078】
表示装置は本発明に係る有機発光素子を表示部に有する。表示部とは画素を有しており、該画素は本発明に係る有機発光素子を有する。表示装置はPC等の画像表示装置として用いることができる。
【0079】
表示装置はデジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置の表示部に用いられてもよい。撮像装置は該表示部と撮像するための撮像光学系を有する撮像部とを有する。
【0080】
図1は有機発光素子を画素部に有する画像表示装置の断面模式図である。本図では2つの有機発光素子と2つのTFTとが図示されている。一つの有機発光素子は1つのTFTと接続している。
【0081】
図中符号3は画像表示装置、38はスイッチング素子であるTFT素子、31は基板、32は防湿膜、33はゲート電極、34はゲート絶縁膜、35は半導体層、36はドレイン電極、37はソース電極、39は絶縁膜である。また310はコンタクトホール、311は陽極、312は有機層、313は陰極、314は第一の保護層、そして315は第二の保護層である。
【0082】
画像表示装置3は、ガラス等の基板31上に、その上部に作られる部材(TFT又は有機層)を保護するための防湿膜32が設けられている。防湿膜32を構成する材料は酸化ケイ素又は酸化ケイ素と窒化ケイ素との複合体等が用いられる。防湿膜32の上にゲート電極33が設けられている。ゲート電極33はスパッタリングによりCr等の金属を製膜することで得られる。
【0083】
ゲート絶縁膜34がゲート電極33を覆うように配置される。ゲート絶縁膜34は酸化シリコン等をプラズマCVD法又は触媒化学気相成長法(cat−CVD法)等により製膜し、パターニングして形成される膜である。パターニングされてTFTとなる領域ごとに設けられているゲート絶縁膜34を覆うように半導体層35が設けられている。この半導体層35はプラズマCVD法等により(場合によっては例えば290℃以上の温度でアニールして)シリコン膜を製膜し、回路形状に従ってパターニングすることで得られる。
【0084】
さらに、それぞれの半導体層35にドレイン電極36とソース電極37が設けられている。このようにTFT素子38はゲート電極33とゲート絶縁層34と半導体層35とドレイン電極36とソース電極37とを有する。TFT素子38の上部には絶縁膜39が設けられている。次に、コンタクトホール(スルーホール)310は絶縁膜39に設けられ、金属からなる有機発光素子用の陽極311とソース電極37とが接続されている。
【0085】
この陽極311の上には、発光層を含む多層あるいは発光層単層の有機層312と、陰極313とが順次積層されており、画素としての有機発光素子を構成している。
有機発光素子の劣化を防ぐために第一の保護層314や第二の保護層315を設けてもよい。
【0086】
尚、スイッチング素子に特に限定はなく、上述のTFT素子の他にMIM素子も用いることができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を説明する。なお本発明はこれらに限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)
[例示化合物A12の合成]
【0089】
【化17】

【0090】
Y1 5.9g(27mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド250ml中に入れ、室温でNBS 5.08g(29mmol)を加えた。4時間攪拌した後、トルエン100mlと水250mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過し、ろ液を濃縮してトルエンで再結晶を行い、茶色の固体Y2を6.6g(収率:83%)得た。
【0091】
【化18】

【0092】
次に、Y2 6.5g(22mmol)をエタノール220ml中に入れ、0℃まで冷却した後、硫酸6mlを30分間でゆっくり滴下した。この溶液に0℃で、亜硝酸ナトリウム1.8g(26mmol)を水2mlに溶かしたものを30分間でゆっくり滴下した。さらに30分間攪拌した後、別の容器で銅1.7g(26mmol)、エタノール60ml、硫酸4.5mlを2時間還流しておいた溶液に、滴下した。この溶液を3時間還流し、冷却後、クロロホルムで抽出した。有機層を水100mlx2回で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過後、ろ液を濃縮して濃茶色液体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(ヘプタン)にて精製後、メタノールで洗浄を行い薄い黄色の固体Y3を3.7g(収率:60%)得た。
【0093】
【化19】

【0094】
次に、Y3 3.5g(12mmol)、Y4 2.8g(15mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 430mg(0.37mmol)をトルエン60ml、エタノール30ml、炭酸ナトリウム水溶液(20w%溶液)30ml中に入れ、90℃で4時間攪拌した。冷却後、水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶液をろ過し、ろ液を濃縮したものを、カラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:1)にて精製後、メタノールで洗浄を行い薄い朱色の固体Y5を3.7g(収率:88%)得た。
【0095】
【化20】

【0096】
次に、Y6 8.8g(26mmol)、をジエチルエーテル45ml中に入れ、室温でt−ブトキシカリウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液) 26ml(26mmol)をゆっくり滴下した。1時間攪拌後、Y5 3.5g(10mmol)、テトラヒドロフラン65mlの溶液をゆっくり滴下した。室温で5時間攪拌後、トルエン50mlと水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液をろ過し、ろ液を濃縮して赤茶色液体を得た。これをカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)にて精製後、黄色液体Y7を4.0g得た。
【0097】
【化21】

【0098】
次に、Y7 4.0g、ジクロロメタン60mlの溶液中に、室温でメタンスルホン酸 0.52mlをゆっくり滴下した。室温で17時間攪拌後、メタノール200mlを加え、析出物のろ過を行い、メタノールで洗浄した後、80℃で減圧加熱乾燥を行い薄い黄色の固体Y8を3.2g(対Y5の収率:93%)得た。
【0099】
【化22】

【0100】
次に、Y8 1.0g(3.0mmol)をクロロホルム130ml中に入れ、0℃に冷却した後、臭素 0.16ml(3.0mmol)、ジクロロメタン16mlの溶液を30分間でゆっくり滴下した。室温に昇温しながら18時間攪拌後、メタノール150mlを加え、析出物のろ過を行い、メタノールで洗浄し、薄い黄色の固体Y9を1.2g(収率:94%)得た。
【0101】
【化23】

【0102】
次に、Y9 1.1g(2.6mmol)、Y10 0.60g(4.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 180mg(0.16mmol)をトルエン25ml、エタノール12ml、炭酸ナトリウム水溶液(20w%溶液)13ml中に入れ、90℃で6時間攪拌した。冷却後、水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。これを、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘプタン=1:5)にて精製後、トルエン、エタノールで再結晶し、薄い黄色の固体Y11を0.68g(収率:58%)得た。
【0103】
【化24】

【0104】
次にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 210mg(0.23mmol)、トリシクロへキシルホスフィン 160mg(0.57mmol)を1,4−ジオキサン20ml中に入れ、室温で15分攪拌した後、Y11 0.65g(1.5mmol)、ビスピナコラトジボロン 0.87g(3.4mmol)、酢酸カリウム 0.33g(3.4mmol)、を加え95℃で3時間攪拌した。冷却後、水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液をろ過し、ろ液を濃縮して黒色液体を得た。これを、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘプタン=1:2)にて精製後、メタノールで洗浄し、薄い黄色の固体Y12を0.60g(収率:77%)得た。
【0105】
【化25】

【0106】
次にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 170mg (0.19mmol)、トリシクロへキシルホスフィン 210(0.75mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド9ml中に入れ、室温で15分攪拌した後、Y12 0.50g(0.94mmol)、Y12 0.56g(1.5mmol)、DBU 1.4ml(9.4mmol)、を加え170℃で3時間攪拌した。冷却後、水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。これを、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘプタン=1:5)にて精製後、トルエンで再結晶し、黄色固体Y14(例示化合物A12)を33mg(収率:7%)得た。
【0107】
例示化合物A12の1×10−5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、350nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、432nmに最大強度を有するスペクトルを得た。また、前記溶液の量子収率は浜松ホトニクス製C9920で測定した結果0.76であった。
【0108】
(実施例2)
[例示化合物A9の合成]
実施例1で用いられる有機化合物Y10をY15に、Y13をY16に変更する以外は実施例1と同様の反応、精製でY17(例示化合物A9)を得た。
【0109】
【化26】

【0110】
例示化合物A9の1×10−5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、350nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、441nmに最大強度を有するスペクトルを得た。また、前記溶液の量子収率は浜松ホトニクス製C9920で測定した結果0.78であった。
【0111】
(実施例3)
[例示化合物B15の合成]
実施例1で用いられる有機化合物Y11をY8に、実施例2で用いられている有機化合物Y21をY23に変更する以外は、実施例1、実施例2と同様の反応、精製でY24(例示化合物B15)を得た。
【0112】
【化27】

【0113】
例示化合物B15の1×10−5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、350nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、442nmに最大強度を有するスペクトルを得た。また、前記溶液の量子収率は浜松ホトニクス製C9920で測定した結果0.80であった。
【0114】
(実施例4)
[例示化合物C13の合成]
【0115】
【化28】

【0116】
Y18 110mg(0.16mmol)をクロロホルム2ml中に入れ、室温で臭素 0.008ml(0.16mmol)、ジクロロメタン0.16mlの溶液をゆっくり滴下した。18時間攪拌後、メタノール100mlを加え、析出物のろ過を行い、メタノールで洗浄した後、黄色固体Y19を0.14g(収率:95%)得た。
【0117】
【化29】

【0118】
次に、Y20 0.14g(0.15mmol)、Y21 27mg(0.18mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ2’,6’−ジメトキシビフェニル) 9mg(0.023mmol)、酢酸パラジウム 3mg(0.015mmol)、リン酸カリウム 64mg(0.30mmol)をトルエン2ml、蒸留水0.2ml中に入れ、95℃で3時間攪拌した。冷却後、水100mlを加えトルエンで抽出を行い、水100mlx2回で洗浄した。この有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、この溶液をろ過し、ろ液を濃縮した。これを、カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:ヘプタン=1:4)にて精製後、トルエン、ヘプタン、エタノールで再結晶し、黄色固体Y22(例示化合物C13)を40mg(収率:34%)得た。
【0119】
例示化合物C13の1×10−5mol/Lにおけるトルエン溶液の発光スペクトルは、日立製F−4500を用いて、350nmの励起波長においてフォトルミネッセンスの測定を行った結果、446nmに最大強度を有するスペクトルを得た。また、前記溶液の量子収率は浜松ホトニクス製C9920で測定した結果0.80であった。
【0120】
(実施例5)
本実施例では、多層型有機発光素子の第五の例で示した素子(陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホール・エキシトンブロッキング層/電子輸送層/陰極)とした。ガラス基板上に100nmのITOをスパッタ法により成膜後、フォトリソグラフィーによりパターニングした。そのITO基板上に、以下の有機層と電極層を10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着して連続製膜し、対向する電極面積が3mmになるようにした。その後、作製した素子を吸湿材付ガラスキャップを用いて不活性雰囲気中で封止した。
ホール注入層(40nm) F−1
ホール輸送層(10nm) F−2
発光層(30nm) ホスト材料E−7、ゲスト材料:例示化合物A9 (ホスト材料に対するゲスト材料の重量比 5%)
電子輸送層(40nm) F−3
金属電極層1(0.5nm) LiF
金属電極層2(100nm) Al
【0121】
【化30】

【0122】
【化31】

【0123】
【化32】

【0124】
EL素子の特性は、電流電圧特性をケースレー社製・電流計2700で測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7―fastで測定した。
【0125】
(実施例6)
実施例5において、発光層のゲスト材料をA12に変更した以外は実施例5と同様の有機EL素子を作製した。
【0126】
(実施例7)
実施例5において、発光層のゲスト材料をB15に変更した以外は実施例5と同様の有機EL素子を作製した。
【0127】
(実施例8)
実施例5において、発光層のゲスト材料をC13に変更した以外は実施例5と同様の有機EL素子を作製した。
【0128】
(実施例9)
実施例5において、発光層と電子輸送層の間にホールブロック層E8を挿入した以外は実施例5と同様の有機EL素子を作製した。
【0129】
実施例5乃至実施例9の10mA/cmを印加したときの発光効率を表3に示す。
【0130】
【化33】

【0131】
(実施例10)
本実施例では、素子構成としてトップエミッション型有機EL素子を作製した。
【0132】
透明基板としてのガラス基板上にAlをスパッタ法により成膜した。その上に、透明電極としてIZO(インジウム亜鉛酸化物)をスパッタ法により80nm成膜し、その後アクリルにより画素分離膜をパターニングして電極面積が3mmの基板を得た。そのITO基板上に、以下の有機層は10−5Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で成膜し、透明電極層はスパッタリング法により成膜した。
【0133】
その後、作製した素子を吸湿材付ガラスキャップを用いて不活性雰囲気中で封止した。
ホール輸送層(20nm);F−1
ホール輸送層(10nm);F−2
発光層(30nm) ホスト材料E−7、ゲスト材料:例示化合物A9 (ホスト材料に対するゲスト材料の重量比 5%)
電子輸送層(10nm);E8
電子注入層(50nm);F−3と炭酸セシウム(F−3に対する重量比が3wt%)を共蒸着
透明電極層;(30nm);IZO
この素子を実施例5と同様に測定したところ発光効率が3.2cd/Aであった。
【0134】
以上の通り本発明に係わる有機化合物は高い量子収率と青に適した発光を有する新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する発光素子を作ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)に示されることを特徴とする有機化合物。
【化1】


式(1)において、
乃至R18は水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアミノ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基からそれぞれ独立に選ばれる。
【請求項2】
乃至R18はそれぞれ独立に前記水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、前記置換あるいは無置換のアリール基から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
1、2、8、9、12、13、15はそれぞれ独立に水素原子、置換あるいは無置換のアリール基であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
【請求項4】
1、2、8、はそれぞれ独立に水素原子、置換あるいは無置換のアリール基であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
【請求項5】
12、13、15はそれぞれ独立に水素原子、置換あるいは無置換のアリール基であることを特徴とする請求項2に記載の有機化合物。
【請求項6】
互いに対向しあう一対の電極と、前記一対の電極の間に配置される有機化合物層とを有する有機発光素子において、
前記有機化合物層は請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物を有することを特徴とする有機発光素子。
【請求項7】
前記有機化合物層は発光層であることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
請求項6乃至7のいずれか一項に記載の前記有機発光素子と前記有機発光素子と接続するスイッチング素子とを有することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−168504(P2011−168504A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31659(P2010−31659)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】