説明

新規遺伝子ACMG1のメチル化を指標とする胃癌の診断方法

【課題】 胃癌の診断方法および診断用キット,ならびに胃癌治療薬の候補物質を選定する方法を提供すること。
【解決手段】 胃癌細胞株において,ACMG1遺伝子のCpGアイランドの異常メチル化が高頻度で生じておりその発現が抑制されていることが見出された。被験者から採取した検体において,ACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定することにより,胃癌を検出する方法が開示される。さらに,ACMG1遺伝子のメチル化の抑制または発現の促進を指標として胃癌治療薬の候補物質を選定する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ACMG1と名付けられた新規遺伝子,これを利用した胃癌の診断方法および診断用キット,ならびに胃癌治療薬の候補物質を選定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CpG アイランドは遺伝子の中でCpG に富む領域であり,ヒト遺伝子の約60%が遺伝子の5’領域にCpG アイランドを有している。生理的条件下では,X染色体の不活化やゲノムインプリンティングにおいて遺伝子のメチル化が起こるが,それ以外の状況では,CpG アイランドはメチル化されていない。しかし,癌においては,しばしばCpGアイランドがメチル化され,そのメチル化により遺伝子の発現が抑制されることが明らかとなってきた。本発明者らは,これまでp16INK4A,Eカドヘリン,hMLH1や14-3-3 sigmaが癌においてプロモーター領域のメチル化により発現が抑制されていることを報告してきた。癌においてはヒトゲノムに存在する遺伝子の数%が異常メチル化により不活化されていると推定されている。したがって,メチル化などの遺伝子修飾の情報は,新規癌抑制遺伝子を同定するためのよい分子マーカーとなりうる。また,遺伝子のメチル化は,血清や便中からも検出可能であることから,腫瘍マーカーとして,癌の早期診断や再発の予測,術後のモニタリングにおける利用が期待されている。
【0003】
本発明者らは先に,メチル化しているCpGアイランドだけを効率よく増幅する方法,Methylated CpG island amplification (MCA)法を開発した(Toyota et al. Cancer Res, 59: 2307, 1999)。この方法により増幅した正常組織と癌組織由来のアンプリコンを用いてサブトラクションを行うことにより,癌でのみ異常メチル化している遺伝子断端を同定することが可能となった。本発明者らは,MCA法を用いて,ヒトの大腸癌において異常メチル化している遺伝子断端を同定した。それらの遺伝子断片の1つであるMINT25はヒト染色体22q11に位置し,胃癌において高率にメチル化していることが見出された(Toyota et al., Cancer Res. 59, 5438, 1999)。
【非特許文献1】Toyota et al., Cancer Res. 59: 2307, 1999
【非特許文献2】Toyota et al., Cancer Res. 59: 5438, 1999
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは,異常メチル化している遺伝子断片MINT25の近傍に新規遺伝子ACMG1を同定し,胃癌細胞株においてこの遺伝子のCpGアイランドの異常メチル化が高頻度で生じており,ACMG1遺伝子の発現が抑制されていることを見出して,本発明を完成させた。
【0005】
すなわち,本発明は,被験者から採取した検体において,ACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定することにより,胃癌を検出する方法を提供する。メチル化の頻度とは,測定対象となるDNAの所与の領域中に存在するジヌクレオチドCpGのシトシンのうち,メチル化されているシトシンの数もしくは割合を意味する。あるいは,メチル化の頻度とは,検体から調製したDNAの集合物において特定の位置のCpGがメチル化されている割合を意味する。被験者から採取した検体としては,組織試料,血液,血清または血漿を用いることができる。好ましくは,本発明の方法においては,ACMG1遺伝子のプロモーター,5’非翻訳領域,第1エクソンおよび第1イントロンを含む領域におけるメチル化の頻度を測定する。特に好ましくは,本発明の方法においては,ACMG1遺伝子の上述の領域中のCpGアイランドにおけるメチル化の頻度を測定する。
【0006】
別の観点においては,本発明は,被験者から採取した検体中のACMG1遺伝子の発現量を測定することにより,胃癌を検出する方法を提供する。ACMG1遺伝子の発現量とは,ACMG1遺伝子から転写されるmRNAの量,またはACMG1蛋白質の量をいう。
【0007】
別の観点においては,本発明は,配列番号3(図10)で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチドを提供する。本発明はまた,配列番号5(図12)で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド,および配列番号6(図13)で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチドを提供する。これらのオリゴヌクレオチドは,ACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定するためのプライマーやプローブとして用いることができる。特に好ましい態様においては,本発明は,配列番号7−26(図14−16)で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
【0008】
別の好ましい態様においては,本発明は,次の配列を有するプライマーおよびプローブを提供する。
フォワードプライマー: 5'-AGYGAGAGAGYGYGAAYGAGTT-3'(配列番号27)
リバースプライマー: 5'-RCCRACTCCRCCRTAAC-3'(配列番号28)
プローブ: 5'-TGGTTCGGCGTTCGT-3'(配列番号29)
(式中,Y=C または T, R=A または G)
また別の好ましい態様においては,本発明は,配列番号30−39(表1)のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
【0009】
本発明はさらに,これらの本発明のオリゴヌクレオチドを含む,胃癌を検出するためのキットを提供する。
【0010】
別の観点においては,本発明は,胃癌治療薬の候補物質を選定する方法を提供する。1つの態様においては,本発明の方法は,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定し,そして,メチル化を抑制する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む。また別の態様においては,本発明の選定方法は,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子の発現量を測定し,そして,ACMG1遺伝子の発現を促進する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む。
【0011】
さらに別の観点においては,本発明は,配列番号2(図9)で示されるアミノ酸配列をコードする新規DNAを提供する。好ましくは本発明のDNAは配列番号1(図8)で示される塩基配列を有する。また別の観点においては,本発明は,配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質またはそのフラグメントを提供する。ACMG1遺伝子のメチル化が生じている細胞にACMG1遺伝子を外的に導入して発現させると,細胞の増殖が抑制されることから,本発明にしたがうACMG1遺伝子ならびにACMG1蛋白質は,癌細胞の増殖抑制剤として作用しうると考えられる。
【0012】
さらに別の態様においては,本発明は,配列番号1で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチドを提供する。このようなオリゴヌクレオチドは,ACMG1遺伝子またはその転写産物を増幅および/または検出するためのプローブおよびプライマーとして有用である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は,胃癌の診断,ならびに胃癌治療薬の候補物質のスクリーニングに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者らは,ヒト染色体22q11に存在する遺伝子断片MINT25の近傍に新規遺伝子を同定した。この遺伝子はCABIN1と3’端のエクソンを共有することから,この遺伝子をAlternative transcript of CABIN1 Methylated in Gastric Cancer 1 (ACMG1)と名付けた。ACMG1遺伝子の転写開始点から約1.2kb上流,5’非翻訳領域,第1エクソン,および第1イントロンの一部を含む配列を図10(配列番号3)に,その相補鎖の配列を図11(配列番号4)に示す。また,ACMG1のcDNAの配列を図8(配列番号1)に,この配列によりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を図9(配列番号2)にそれぞれ示す。ACMG1と遺伝子C末端を共有するCABIN1は,蛋白質の脱リン酸化酵素であるカルシニュリンの活性化を抑制する蛋白として同定されたものである(Immunity, 8: 703, 1998)。ACMG1はカルシニュリンと相互作用しうるドメインを有するが,核移行シグナルなどを有さず,CABIN1とは異なった生理的機能を有する遺伝子であると考えられる。これまで,CABIN1と遺伝子C末端を共有するアイソフォームの報告はない。
【0015】
胃癌の発生には,APCやK-ras,p53などの遺伝子変異が関与すると報告されているが,その頻度は低く,胃癌発症のメカニズムに関しては不明な点が多い。本発明においては,ACMG1が,胃癌において異常メチル化により不活化されていることが明らかとなった。ACMG1の遺伝子機能の解析により,胃癌発症の分子機構の解明につながる可能性がある。また,ACMG1遺伝子の異常メチル化は,胃癌に特異的であり,正常組織や他の腫瘍では頻度が低いため,腫瘍マーカーとして有用であると考えられる。ACMG1遺伝子の異常メチル化を指標として,血清を用いた遺伝子診断への応用が可能であり,胃癌の早期診断や術後の再発のモニタリングへの応用が期待される。
【0016】
ACMG1遺伝子のメチル化を測定することにより胃癌を検出する本発明の方法は,次のようにして行うことができる。まず,被験者からDNAを含有する検体を採取し,DNAを調製する。検体としては,組織試料,血液,血清または血漿,尿,唾液,腹水,痰,糞便,膵液,胆汁液等を用いることができる。組織試料には,手術あるいは内視鏡により摘出した組織またはその一部,生検標本,臓器洗浄液などが含まれる。好ましくは,検体としては被験者の血清または臓器洗浄液を用いる。試料からDNAを抽出する方法は当該技術分野においてよく知られており,例えば,フェノール・クロロホルムによる抽出を用いることができる。あるいは市販のDNA抽出試薬を用いてもよい。
【0017】
DNAのメチル化の程度や頻度を測定するためには,COBRA(Combined bisulfite restriction analysis)法や重亜硫酸塩シークエンシング法等を用いることができる。これらの方法は,DNAを重亜硫酸塩等の非メチル化シトシン修飾試薬で処理すると,メチル化されていないシトシンはウラシルに変換されるが,メチル化されているシトシンはウラシルに変換されない,という原理に基づく。DNAのメチル化を高感度にかつ半定量的に解析する技術としてMethylight法がある。Methylight法では、メチル化特異的配列を認識するようなプライマーとTaqMan Probeを組み合わせてリアルタイムPCR法によりメチル化の検出を行う。
【0018】
配列番号3で示されるACMG1遺伝子の配列を有する二本鎖DNAを重亜硫酸塩で処理すると,トップストランドからは図12(配列番号5)に示される配列が,ボトムストランドからは図13(配列番号6)に示される配列が得られる。これらの配列中,Yで表される塩基は,CpGのシトシンがメチル化されている場合にはCであり,CpGのシトシンがメチル化されていない場合にはTである。なお,シトシンを重亜硫酸塩で処理するとウラシルが生ずるが,本明細書および図面においては,このウラシルをT(チミン)と表す。これは,DNAのPCR増幅においてウラシルの位置はチミンとして合成されること,およびPCR増幅およびハイブリダイゼーションにおけるオリゴヌクレオチド配列の相補性の説明に関する限り,ウラシルはチミンと同じとして扱うことが可能であるためである。
【0019】
COBRA法では,上記のように抽出したDNAを重亜硫酸塩で処理する。処理の条件としては,例えば,2μgのDNAを2規定の水酸化ナトリウムで37℃で10分間処理した後,3M重亜硫酸塩で50℃で16時間処理する,等の条件を用いることができる。その後,DNA精製カラムなどを用いて,重亜硫酸塩を除き,エタノール沈殿後,DNAを精製水に溶解して−80℃にて使用時まで保存する。次に,重亜硫酸塩で処理したDNAをテンプレートとして,ACMG1遺伝子中の標的領域を増幅するよう設計されたプライマーセットを用いてPCRを行う。
【0020】
標的領域とはメチル化を検出すべき領域である。好ましくは,標的領域はACMG1遺伝子のプロモーター,5’非翻訳領域,第1エクソンおよび第1イントロンを含む領域であり,より好ましくはこの領域中のCpGアイランドである。本発明の特に好ましい態様においては,メチル化を検出すべき領域は,図1Bに示されるGM2〜GM6である。GM2〜GM6の塩基配列,ならびにこの配列を有する二本鎖DNAを重亜硫酸塩で処理したときに得られる塩基配列を図14−16に示す。
【0021】
PCRに用いるプライマーは,配列番号3−6(図10−13)で示されるACMG1遺伝子の配列および重亜硫酸塩処理後の配列に基づいて,容易に設計することができる。プライマーは,メチル化されている可能性のあるシトシンを含まないように設計してもよく,あるいはメチル化されている可能性のあるシトシンについて,シトシンとウラシルのいずれにもハイブリダイズするように,適切な配列の混合物として設計してもよい。好ましいプライマーの例としては,例えば,配列番号30−39(表1)の配列を有するプライマーのセットが挙げられる。オリゴヌクレオチドは,例えば汎用のDNA合成装置(例えば,Applied Biosystems社製 Model 394)を用いて化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドは,当該技術分野においてよく知られる他の方法のいずれを用いて合成してもよい。
【0022】
次に,PCR増幅産物を制限酵素により切断する。制限酵素は,目的とするCpGのシトシンがメチル化されている場合(シトシン)にのみ切断するか,あるいはメチル化されていない場合(ウラシル/チミン)にのみ切断するよう選択する。切断産物を電気泳動で分析することにより,標的がメチル化されているか否か,および/またはメチル化の頻度を判定することができる。
【0023】
一例として,GM2領域におけるメチル化を検出する手順を説明する。GM2領域の塩基配列は図14において配列番号7(トップストランド)および配列番号9(ボトムストランド)として示されており,CpGの位置には下線が施されている。上述のようにして精製したDNAを重亜硫酸塩で処理すると,トップストランドは配列番号8で示される配列に,ボトムストランドは配列番号10で示される配列に,それぞれ変換される。これらの配列中,Yで表される塩基は,CpGのシトシンがメチル化されている場合にはCであり,メチル化されていない場合にはT(U)である。これらのいずれの場合にもハイブリダイズするように設計されたプライマーを用いて,GM2領域をPCR増幅することができる。例えば,表1の配列番号30および31で示される配列のプライマーセットを用いることができる。次に,PCR増幅産物を制限酵素NruIにより切断する。NruIは,配列5’−TCGCGA−3’を認識して二本鎖DNAを切断するため,CpGのシトシンがメチル化されている場合には切断が生じ,メチル化されていない場合には切断が生じない。したがって,切断産物を電気泳動で分析することにより,メチル化されているか否か,あるいはメチル化されている割合を判定することができる。
【0024】
重亜硫酸塩シークエンシング法では,上述のCOBRA法と同様にして標的を含む領域をPCR増幅させ,次にPCR増幅産物の塩基配列を直接シークエンシングして解析する。
【0025】
あるいは,重亜硫酸塩処理とハイブリダイゼーションとを組み合わせてメチル化を検出することもできる。すなわち,上述のCOBRA法と同様にして標的を含む領域をPCR増幅させ,次に標的領域中の塩基配列と相補的であるように設計したメチル化特異的プローブおよび/または非メチル化特異的プローブとPCR増幅産物とをハイブリダイズさせる。メチル化特異的プローブとは,調べるべき特定のCpGのシトシンがメチル化されている場合(シトシン)にのみハイブリダイズするプローブであり,非メチル化特異的プローブとは,目的とするCpGのシトシンがメチル化されていない場合(ウラシル/チミン)にのみハイブリダイズするプローブである。PCR増幅産物とこれらのプローブとの間にハイブリダイゼーションが生ずるか否か,またはハイブリダイゼーションが生じた割合を調べることにより,調べるべきCpGのシトシンがメチル化されているか否か,またはメチル化の頻度を判定することができる。このような方法に用いることができるプライマーおよびプローブの好ましい一例は以下のとおりである。
フォワードプライマー: 5'-AGYGAGAGAGYGYGAAYGAGTT-3'(配列番号27)
リバースプライマー: 5'-RCCRACTCCRCCRTAAC-3'(配列番号28)
プローブ: 5'-TGGTTCGGCGTTCGT-3'(配列番号29)
(式中,Y=C または T, R=A または G)
【0026】
DNAのメチル化の頻度を測定する別の方法として,メチル化特異的PCRを利用することができる。この方法では,上記のように抽出したDNAを重亜硫酸塩で処理した後,これをテンプレートとして,メチル化特異的プライマーを用いるPCRと非メチル化特異的プライマーを用いるPCRとを別々に行う。メチル化特異的プライマーとは,ACMG1遺伝子中の目的とするCpGのシトシンがメチル化されている場合(シトシン)にのみハイブリダイズするよう設計されたプライマーであり,非メチル化特異的プライマーとは,目的とするCpGのシトシンがメチル化されていない場合(ウラシル/チミン)にのみハイブリダイズするよう設計されたプライマーである。このようなプライマーは,配列番号5および6で示される配列に基づいて,Yで示される塩基または相補鎖における対応する塩基を適切に選択することにより,容易に設計することができる。これらのプライマーを用いてPCRを行うことにより,ACMG1遺伝子中の目的とするCpGのシトシンがメチル化されている場合にはメチル化特異的プライマーからPCR増幅産物が得られ,メチル化されていない場合には非メチル化特異的プライマーからPCR増幅産物が得られる。これらの増幅産物の量をゲル電気泳動などの手段により測定して比較することにより,ACMG1遺伝子中の目的とする領域中のDNAのメチル化の頻度を判定することができる。
【0027】
以上のような各種の方法を用いて,検体に含まれるACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定し,次に,これを健常人に由来する検体に含まれるACMG1遺伝子のメチル化の頻度と比較することにより,検体における胃癌細胞の存在を検出することができる。
【0028】
本発明の別の態様においては,ACMG1遺伝子の発現量を測定することにより胃癌を検出する方法は,次のようにして行うことができる。ACMG1遺伝子の発現量としてACMG1遺伝子から転写されるmRNAの量を測定する場合には,検体からRNAを抽出し,例えば,RT−PCR法,ノザンブロット法等の方法を用いてACMG1 mRNAを定量する。試料からRNAを抽出する方法は当該技術分野においてよく知られており,例えば,グアニジン−イソチオシアネートおよびフェノール・クロロホルム抽出を用いることができる。ACMG1遺伝子の発現量としてACMG1蛋白質の量を測定する場合には,ACMG1蛋白質に対する特異的抗体を用いて,ウエスタンブロット法,ELISA法,免疫沈降法等の方法により測定することができる。ACMG1蛋白質に対する特異的抗体は,当該技術分野においてよく知られる方法により,配列番号2で示されるアミノ酸配列またはその部分配列を有するポリペプチドを用いて哺乳動物を免疫することにより容易に得ることができる。
【0029】
別の観点においては,本発明は,胃癌治療薬の候補物質を選定する方法を提供する。後述の実施例において示されるように,本発明においては,メチル化によってACMG1の発現が抑制されている胃癌細胞株にACMG1遺伝子を外的に導入することにより,コロニーフォーメーションアッセイにて細胞増殖が抑制されたこと,およびメチル化阻害剤およびヒストン脱アセチル化阻害剤の存在下ではACMG1の遺伝子発現が回復したことが見出された。すなわち,ACMG1は癌抑制遺伝子としての機能を有することが示唆された。したがって,ACMG1遺伝子のメチル化を抑制してその発現を促進しうる物質,または他のいずれかの方法によりACMG1遺伝子の発現を促進しうる物質は,胃癌の予防および治療に有用であることが期待される。
【0030】
1つの態様においては,本発明の選定方法は,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定し,そして,メチル化を抑制する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む。また別の態様においては,本発明の選定方法は,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子の発現量を測定し,そして,ACMG1遺伝子の発現を促進する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む。本発明の方法において用いられる哺乳動物細胞としては,哺乳動物由来の癌組織から分離された細胞またはその初代培養物を用いてもよく,樹立された細胞株を用いてもよい。
【0031】
ACMG1遺伝子のメチル化が生じている細胞にACMG1遺伝子を外的に導入して発現させると,細胞の増殖が抑制されることから,本発明にしたがうACMG1遺伝子ならびにACMG1蛋白質は,癌細胞の増殖抑制剤として有用であると考えられる。したがって,本発明のさらに別の観点においては,配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードする新規DNAおよび配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質またはそのフラグメントが提供される。これらのDNA,蛋白質またはそのフラグメントは,胃癌の予防および治療に有用であると考えられる。
【0032】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
新規遺伝子ACMG1の同定
本発明者らは先に,MCA法により大腸癌において異常にメチル化しているDNA断片を検出した。その1つであるMINT25は胃癌において高率にメチル化していることが報告されている。このMINT25の近傍にBLASTプログラムによるホモロジー検索にて,Tリンパ球におけるカルシニュリンの内因性の阻害剤であるCABIN1と,1つのESTを同定した。またGENSCANを使うことにより,このESTの部位に1つの新しい遺伝子を同定した。この遺伝子はCABIN1と3’端のエクソンを共有することより,この遺伝子をAlternative transcript of CABIN1 Methylated in Gastric Cancer 1 (ACMG1)と名付けた。図1AにACMG1遺伝子の一部の構造を示す。その遺伝子配列は図10(配列番号3)に示される。縦線はエクソンを示す。上段はCabin1,下段はACMG1を示す。この2つの遺伝子のうち,MINT25を5’端に持ち,転写活性に影響を与えうる遺伝子はACMG1であった。よってACMG1が,胃癌においてメチル化によって発現が抑制されていることが示唆された。図1Bは,ACMG1のCpGアイランドの模式図を示す。MINT25はACMG1のExon 1に位置する。縦線はCpGサイトを,矢印は転写開始点を示す。
【実施例2】
【0034】
各種細胞株におけるACMG1の異常メチル化の検出
各種細胞株(胃癌細胞株: SNU638, HSC39, HSC40, HSC41, HSC42, HSC43, HSC44, HSC45, MKN7, MKN28, MKN45, MKN74, JRST, KatoIII, NUGC3, 大腸癌細胞株: Caco2, RKO, SW48, HCT116, DLD-1, LoVo, HT29, SW480)よりDNAを抽出し,COBRA法を用いてACMG1上流に存在するCpGアイランドのメチル化について調べた。CpGアイランドにGM2〜GM6までプライマーを6つ設定し検討した。各プライマーの位置は図1Bに,それぞれの配列は以下の表に示される。
【0035】
【表1】

メチル化の解析は,重亜硫酸塩-PCR法を用いた。簡単には,DNAを亜硫酸水素ナトリウムで処理後,PCRを行い,メチル化しているCpG部位のみを切断する制限酵素によりPCR増幅産物を消化後,アガロースにて電気泳動を行った。画像解析装置(Atto, Lane and Spot Analayzer)にて,メチル化アレルの比率を定量した。
【0036】
図2Aにメチル化検出の結果を示す。上段に胃癌細胞株,下段に % メチル化を示す。Mはメチル化しているアレルを示す。左に使用したプライマーを示す。ACMG1の異常メチル化はGM2,GM4,GM5に限局する細胞株(17例中14例,82%)とGM2〜GM6の全てに及ぶ細胞株の二種類に分類された(図2A)。
【0037】
次に,ACMG1の個々のCpG のメチル化の状態を調べるために,GM2領域がメチル化している胃癌細胞株MKN7およびMKN28について,重亜硫酸塩シークエンシング法にて個々のCpGサイトのメチル化について解析した。図2Bに結果の一部を示す。MはメチルしているCpGサイトを示す。PCRにより増幅した領域には22のCpGサイトが含まれており,COBRA法でメチル化を認めた胃癌細胞株MKN7およびMKN28において,解析した領域全体に高密度のメチル化を認めた。以上の結果から,GM2がメチル化していると, CpGアイランドの広い範囲にわたりメチル化していることが示唆された。
【0038】
大腸癌細胞株と血液造血器腫瘍細胞株について,転写開始点を含むGM2におけるメチル化の状態をCOBRA法にて検出した。大腸癌では8例中1例(13%),血液造血器腫瘍では12例中2例(17%)とメチル化の頻度は胃癌と比べてかなり低い値だった(図2C)。このことから,ACMG1は胃癌において高頻度にメチル化していることが分かった。
【実施例3】
【0039】
ACMG1の発現の測定
ACMG1の異常メチル化が遺伝子の発現抑制と相関するか検討する目的で,RT-PCRにより,GM2がメチル化していない細胞株とメチル化している細胞株におけるACMG1の発現を解析した。腫瘍細胞株および患者から採取した胃癌組織からRNAを抽出し,逆転写酵素を用いてcDNAを作成した。得られたcDNAを用いて,RT-PCR法およびリアルタイムPCR法により遺伝子発現の解析を行った。ネガティブコントロールとして,逆転写反応を行わずに調整したサンプル(RT-)で同時にPCR反応を行った。結果を図3Aに示す。ACMG1遺伝子は,COBRA法 によりGM2のメチル化が認められない細胞株(MKN74, NUGC4, HSC41, LoVo, HT29, SW480)で発現を認めた。GM2でメチル化を認める細胞株(JRST, HSC39, HSC40, HSC42, HSC43, HSC44, HSC45, MKN28)においては,ACMG1の発現は抑制されていた。比較的弱いメチル化を認める細胞株,KatoIIIでは発現の減弱を認めた。これらの結果から,ACMG1の転写開始点を含むGM2にメチル化があると,発現が抑制されることが示唆された。
【0040】
各胃癌細胞株について,メチル化パターンとACMG1遺伝子発現との相関を調べた。胃癌細胞株はACMG1のGM2〜GM6各領域におけるメチル化パターンにより,2つのグループに分けることができた。1つはCpG アイランドの辺縁のGM3,GM6のメチル化を認めるが,CpG アイランドの中心部のGM2,GM4,GM5がメチル化していないもの(group1),もう1つは,解析した全領域がメチル化しているもの(group2)である(図3B)。各グループにおける各プライマー設定部位の % メチル化の平均値をサークルに示す。上段に各プライマー設定部位を示す。ACMG1の発現の状態を右に示す。group1はACMG1の発現を認め,group2はACMG1の発現は認められなかった。このことより,ACMG1の発現には,GM2,GM4,GM5つまりCpGアイランドの中心部のメチル化が関与していることが示唆された。
【実施例4】
【0041】
DNMT阻害剤およびHDAC阻害剤で処理した腫瘍細胞におけるACMG1遺伝子の再発現
ACMG1遺伝子の発現の抑制におけるDNAメチル化の役割をさらに検討する目的で,メチル化により発現が消失している胃癌細胞株HSC44とHSC45を,DNAメチル化(DNMT)阻害剤である5-アザ-dCと,ヒストン脱アセチル化(HDAC)阻害剤であるTSAにて処理し,遺伝子の再発現を認めるかどうかを調べた。結果を図4に示す。左がHSC44,右がHSC45を示す。図4Bの縦軸は,アセチル化ヒストンの量をinput(内因性のコントロール)で補正した値を示す。5-アザ-dC 0.2μMでは再発現およびTSA処理ではほとんど発現を認めなかったが, 5-アザ-dC 0.2μMとTSAを組み合わせると,強く再発現を認めた。また5-アザ-dC 2.0 μMにて処理すると,強い再発現を認めた。以上よりACMG1は,DNAメチル化により発現が抑制されていることが示唆された(図4)。
【実施例5】
【0042】
臨床例におけるACMG1のメチル化についての検討
胃癌およびその他の癌の臨床組織検体から,DNAを調製し,重亜硫酸塩-PCR法を用いて,ACMG1の発現消失と最もよく相関すると考えられるGM2領域のメチル化について検討した。その結果,胃癌床例77例中52例(68%),大腸癌症例50例中5例(10%),急性リンパ球性白血病10症例例中1例(10%),卵巣癌症例12例中1例(8%),頭頸部癌症例24例中2例(8%)メチル化を認め,他の腫瘍に較べ,胃癌において高率にACMG1のメチル化が認められた。また,胃癌周辺の正常胃粘膜については,1例もメチル化は認められなかった。検出の一例を図5Aに示す。Tは胃癌組織,Nは癌周辺の正常胃粘膜を示す。Mはメチル化しているアレルを示す。
【0043】
また,細胞株においては,胃癌では15/19(79%),大腸癌では1/8(13%),血液造血液腫瘍では 2/12(17%) , 胃癌とはいずれも有意水準1%で,有意差を認めた。初代組織培養では,胃癌では,52/77(68%),大腸癌では5/50(10%), ALL 1/10(10%), 卵巣癌では1/12(8%),頭頸部癌では2/24(8%)であり,有意水準1%で,いずれも有意差を認めた。このように,ACMG1は,細胞株においても初代組織培養においても,胃癌においてのみ,高率にメチル化しており,胃癌との関与が考えられた。
【0044】
次に,重亜硫酸塩シークエンシング法により,胃癌臨床例における転写開始点周囲の,個々のCpGサイトのメチル化について解析した。GM2領域がメチル化している臨床例6T,8Tおよびその周囲の正常粘膜6N,8Nにおけるメチル化について検討した。結果を図5Bに示す。シークエンスした領域には10のCpGサイトのメチル化が存在した。Mはメチル化しているCpGサイトをUはメチル化していないCpGサイトを示す。すなわち,COBRA法にてメチル化を認めた症例では解析した全てのCpGサイトにおいてメチル化を認めることが示された。一方隣接非癌組織においては全てのCpGサイトがメチル化していなかった。
【0045】
以上の結果から,ACMG1のメチル化は,他の組織由来の腫瘍と比べ胃癌において高頻度であり,胃癌周囲の正常胃粘膜で1例もメチル化していないことより,癌特異的にメチル化する遺伝子であることが示唆された。すなわち,ACMG1のメチル化は腫瘍マーカーとして有用であると考えられる。
【実施例6】
【0046】
異種移植片におけるメチル化の解析
ヒト胃癌手術材料をヌードマウスに移植し,異種移植片を作製した。移植約2週間後に移植片を採取し,DNAおよびRNAの抽出を行った。胃癌異種移植片15例について,COBRA法を用いてACMG1のGM2におけるメチル化を調べた(図6A)。Mはメチル化しているアレルを示す。下段に% メチル化を示す。15例中7例 (47%)と高率にメチル化を認めた。また,リアルタイム PCRを用いて,ACMG1の発現量について定量的に解析した。結果を図6Bに示す。
【0047】
メチル化が認められないサンプルではACMG1が発現しており,メチル化が認められるサンプルではACMG1は発現していなかった。また部分的にメチル化しているものは,弱い発現を認めた。したがって,メチル化の割合と発現量とは関連があると考えられた。
【実施例7】
【0048】
ACMG1遺伝子による胃癌細胞株の増殖抑制についての検討
ACMG1遺伝子による細胞増殖抑制について検討するために,胃癌細胞株にACMG1遺伝子を外的に導入して発現させ,その効果を調べた。ACMGのベクターとしては,サイトメガロウイルスのプロモーターにり発現制御を受け,ネオマイシン(G418)に耐性の遺伝子をもつpcDNA3.1ベクター(invitrogen)にACMG1cDNAを導入したpcDNA3.1- ACMG1を用いた。このベクターを,ACMG1がメチル化にて発現が抑制されていると考えられる細胞株HSC44とHSC45にトランスフォーメーションした。コントロールとしては,pcDNA3.1ベクターだけをトランスフォーメーションしたものを使用した。トランスフォーメーション6時間後,細胞を8倍に希釈し,24時間後400 μg/mlのG418を含む培地において14日間培養した。その後メタノールで固定し,0.25%クリスタルバイオレットにて染色し,コロニー数をNIH Imageソフトウェアにて定量した。
【0049】
コントロールであるpcDNA3.1のみトランスフォーメーションしたものに比べて, ACMG1 cDNAを導入した場合,コロニーの増殖が抑制された(図7A)。コントロールを100としたときの相対的なコロニー数は,HSC44では30%,HSC45では35%と著明に増殖が抑制されていた(図7B)。以上よりACMG1が細胞増殖抑制能を有することが示唆された。
【実施例8】
【0050】
血清を用いたACMG1遺伝子の異常メチル化の検出
ACMG1の異常が胃癌に高頻度であること,また異常メチル化が腫瘍特異的であることから,胃癌患者から採取した血清を用いて,ACMG1の異常メチル化の検出を行った。血清におけるACMG1の異常メチル化はACMG1が異常メチル化している胃癌症例20例中15例に認め,高い検出率を示した。一方,ACMG1が異常メチル化していない胃癌症例12例では一例もメチル化を認めず,高い特異性を示した。このことから,ACMG1のメチル化を測定することにより,血清を用いて胃癌の診断が可能であることが示された。
【実施例9】
【0051】
胃洗浄液を用いたACMG1遺伝子の異常メチル化の検出
ACMG1遺伝子の異常メチル化を胃洗浄液から検出する目的で,胃洗浄液からDNAを調製し,重亜硫酸塩処理して,メチライト(methylight)法によりメチル化の検出を行った。ACMG1の異常メチル化は,胃癌症例16例から得た胃癌組織中12例で認められ,そのうち9例では胃洗浄液においてもメチル化が認められた(感度75%)。胃癌組織中でメチル化が認められなかった4例では,胃洗浄液におけるメチル化は1例も認めなかった(特異度100%)。以上の結果から,胃洗浄液からのACMG1のメチル化検出は,胃切除後の残胃癌の診断や再発の予測に有用と考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は,胃癌の診断および胃癌治療薬の候補物質のスクリーニングに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は,ACMG1遺伝子の構造およびCpGアイランドを示す。
【図2】図2は,各種細胞株におけるACMG1の異常メチル化の検出を示す。
【図3】図3は,ACMG1の発現の測定結果を示す。
【図4】図4は,DNMT阻害剤およびHDAC阻害剤で処理した腫瘍細胞におけるACMG1遺伝子の再発現を示す。
【図5】図5は,臨床例におけるACMG1のメチル化の検出を示す。
【図6】図6は,異種移植片におけるメチル化の解析の結果を示す。
【図7】図7は,ACMG1遺伝子による胃癌細胞株の増殖抑制を示す。
【図8】図8は,ACMG1 cDNAの塩基配列を示す。
【図9】図9は,ACMG1 cDNAによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
【図10】図10は,ACMG1遺伝子の一部の塩基配列を示す。
【図11】図11は,図10に示される塩基配列に相補的な配列を示す。
【図12】図12は,図10に示される配列を有するDNAを重亜硫酸塩処理したときに得られるDNAの配列を示す。
【図13】図13は,図11に示される配列を有するDNAを重亜硫酸塩処理したときに得られるDNAの配列を示す。
【図14】図14は,GM2およびGM3の塩基配列,ならびこれらの配列を有するDNAを重亜硫酸塩処理したときに得られるDNAの配列を示す。
【図15】図15は,GM4およびGM5の塩基配列,ならびこれらの配列を有するDNAを重亜硫酸塩処理したときに得られるDNAの配列を示す。
【図16】図16は,GM6の塩基配列,ならびこれらの配列を有するDNAを重亜硫酸塩処理したときに得られるDNAの配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から採取した検体において,ACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定することにより,胃癌を検出する方法。
【請求項2】
被験者から採取した検体中のACMG1遺伝子の発現量を測定することにより,胃癌を検出する方法。
【請求項3】
被験者から採取した検体が,組織試料,血液,血清または血漿である,請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
配列番号3で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号5で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号6で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号7−26で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号27−29のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号30−39のいずれかで示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
請求項4−9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドを含む,胃癌を検出するためのキット。
【請求項11】
胃癌治療薬の候補物質を選定する方法であって,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子のメチル化の頻度を測定し,そして,メチル化を抑制する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む方法。
【請求項12】
胃癌治療薬の候補物質を選定する方法であって,試験物質の存在下および非存在下において哺乳動物細胞を培養し,それぞれの細胞におけるACMG1遺伝子の発現量を測定し,そして,ACMG1遺伝子の発現を促進する効果を有する試験物質を胃癌治療薬の候補物質として選定する,の各工程を含む方法。
【請求項13】
配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードするDNA。
【請求項14】
配列番号1で示される塩基配列を有する請求項13記載のDNA。
【請求項15】
請求項13または14に記載のDNAを含む,癌細胞の増殖抑制剤。
【請求項16】
配列番号1で示される塩基配列またはこれと相補的な塩基配列中の連続する6−50塩基を有するオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質またはそのフラグメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−54059(P2007−54059A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205786(P2006−205786)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(301023364)株式会社ジェネティックラボ (10)
【出願人】(505287151)
【Fターム(参考)】