説明

新規鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト、ならびにその作製方法および使用方法

イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを開示する。イオン交換または含浸等の中間ステップの使用を必要としない、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する直接合成法も開示する。さらに、排気物質から窒素酸化物を削減または除去するために、選択的触媒還元反応において、一般に、アンモニアがある場合、本明細書に開示される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年8月13日に出願された、米国暫定特許出願第60/935,436号における国内優先権の利益を主張し、それらの全体を参照することにより本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを直接合成する方法に関する。本開示はまた、該ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト、ならびに排気ガス中の窒素酸化物(NOx)の選択的触媒還元(SCR)を含む、このようなゼオライトを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
窒素酸化物(NO)は、主に、それらの腐食作用のために、ガスを汚染することがこれまで長い間知られている。実際には、それらは、酸性雨の原因となる主な理由である。NOによる汚染の主な一因は、ディーゼル自動車の排気ガスおよび石炭燃料発電施設およびタービン等の固定汚染源におけるそれらの排出である。これらの有害な排出を回避するために、SCRが採用され、これは、NOを窒素および水に変換する際に、ゼオライト触媒の使用を含む。
【0004】
本発明まで、このような用途に対するアルミノケイ酸塩ゼオライトは、イオン交換または含浸により金属でドープすることにより作製された。ゼオライトの従来の金属ドーピングと関連する難点としては、ゼオライトの製造における別個の追加ステップの必要性、およびイオン交換または含浸を用いたゼオライト内の金属充填を制御するに当たっての困難性が挙げられる。
【0005】
例えば、米国特許第4,961,917号は、アンモニアを用いたNOxの還元のための金属(FeおよびCu)促進のゼオライトの使用を開示する。該特許に開示されるゼオライトは、少なくとも約10のシリカアルミナ比(SAR)、少なくとも7オングストロームの孔径を有し、USY型、ベータ型、およびZSM−20型からなる群から選択される。該特許の実施例に記載されるように、ベータ型ゼオライトを、合成し、焼成し、NHNOでイオン交換し、その後、FeまたはCuでイオン交換した。
【0006】
米国特許第5,451,387号は、鉄が、第一鉄塩を用いてイオン交換することにより、ZSM−5型ゼオライトに導入される、アンモニアを用いたNOx還元のためのFe含有ZSM−5型ゼオライトの使用を開示する。該特許に開示されるゼオライトは、少なくとも5のSARおよび約7オングストローム未満の孔径を有する。
【0007】
米国特許第6,689,709号および第7,118,722号は、NOx還元のための安定したFe促進のゼオライトを開示する。ゼオライトは、USY型ベータ型、およびZSM−20型から選択され、少なくとも約7オングストロームの孔径を有する。該特許に記載されるベータ型ゼオライトは、まず、高温で蒸気を出し、その後、硫酸第一鉄溶液でイオン交換する。
【0008】
米国特許第6,890,501号は、鉄充填されたベータ型ゼオライトを用いて、8から100のSARを有する、アンモニアを用いてNOxおよびNOを同時に除去する工程を開示する。該特許に開示されるベータ型ゼオライトは、Fe(NOを用いてイオン交換または含浸により調製された。さらに、該特許は、合成中、ゼオライトネットワークに組み込まれる鉄は、いずれの触媒活性も提供しないことを教示する。
【0009】
アルミニウムではなくゼオライト骨格に置換される鉄を有する、Fe−ZSM−5型ゼオライトの特性は、Journal of Physical Chemistry,vol.89,pp.1569−71(1985)に報告される。ZSM−5型ゼオライトの類似体として記載される、鉄シリケートの分子篩の調製は、Journal of Catalysis,vol.100,no.2,pp.555−7(1986)に報告される。
【0010】
米国特許第4,952,385号は、アルミニウムを含まない鉄シリケートZSM−5型ゼオライトを調製するための工程、およびこのようなゼオライトが、一酸化炭素と水素の混合物を炭化水素に直接変換するフィッシャー・トロプシュ合成に有用であることを開示する。最後に、実質的にアルミニウムを含まない鉄シリケートモルデン沸石の調製および特性は、Zeolites,vol.11,no.1,pp.42−7(1991)に報告される。
【0011】
当技術分野における豊富な従来技術にもかかわらず、従来技術は、イオン交換または含浸等の一部の中間ステップ、または直接合成により作製される場合、ゼオライト骨格から遷移金属を抽出するための水蒸気処理等の追加のステップを必要としない、ゼオライト含有遷移金属を作製する方法について沈黙を貫いている。したがって、イオン交換もしくは含浸、または直接合成後のゼオライト骨格からのカチオンおよびその生成物の抽出を必要としない、金属含有アルミノケイ酸塩を作製する、改善され簡易化した方法の必要性がある。そのため、本発明者らは、ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト、ならびにこれらの鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを直接合成する方法を見い出した。
【発明の概要】
【0012】
ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを開示する。
【0013】
鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する方法をさらに開示し、それには、アルミナ源、シリカ源、任意に有機構造指向剤を、鉄成分と混合し、鉄含有合成混合物を形成するステップと、鉄含有混合物において、少なくとも1回の加熱ステップを行い、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するステップであって、該ゼオライトの構造は、該イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、ステップと、を含む。
【0014】
本発明の方法は、金属を添加する前に、焼成するステップを必要としないため、本明細書に開示される非焼成鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトでモノリスを被覆し、全被覆構造を焼成することが可能である。したがって、該ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトで被覆されるモノリスも開示する。
【0015】
さらに、一般に、アンモニアまたは尿素溶液等のその源がある場合、SCR反応において、本明細書に開示される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを使用する方法を開示する。
【0016】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する、添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を図示し、その説明とともに本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】NOの選択的触媒還元における、様々な発明および同等の新鮮なFe含有ZSM−5型材の触媒挙動のグラフである。
【0018】
【図2】NOの選択的触媒還元における、様々な発明および同等の熱水的に時効処理されたFe含有ZSM−5型の触媒挙動のグラフである。
【0019】
【図3】NOの選択的触媒還元における、様々な発明および同等の熱水的に時効処理されたFeベータ型材の触媒挙動のグラフである。
【0020】
【図4】NOの選択的触媒還元における、熱水的に時効処理されたFe菱沸石型の触媒挙動のグラフである。
【0021】
【図5】実施例1、2、および4の新鮮試料に対する水素温度プログラム化した還元(H−TPR)プロファイルのグラフである。
【0022】
上記に論じられる主題に加えて、本開示は、以下に説明されるもの等の多くの他の例示的特長を含む。前述の説明および以下の説明の双方は、例示のみであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ゼオライトは、「分子篩」として知られている微孔型固体ファミリーのアルミノケイ酸塩メンバーである。この句は、主にサイズ排除工程に基づいて分子を選択的に分離する能力を指し、ゼオライトと関連する分子の大きさの規則的な細孔構造の機能である。ゼオライトの細孔に侵入し得る分子またはイオン種の最大サイズは、環の直径により、制御され、画定される。例えば、「10環」またはさらに一般には、「10R」という用語は、10個の4面体配位のシリコン(またはアルミニウム)原子および10個の酸素原子から構築される閉ループを指す。すべての環の細孔開口部の1つの大きさは、結合誘導型を含む、様々な効果のため、概して、同一ではない。本開示は、8Rから18Rのゼオライトにより網羅されたものを含む、様々なゼオライト、およびこれらのゼオライトを作製する方法を対象にする。
【0024】
上記のように、SCRは、汚染ガスに認められる一酸化窒素の還元において有益な道具である。NH保存は、排気ガス中のNO(NO+NO)が、NHの供給がない場合、保存されたNHと反応することができるため、NH−SCR(NHを用いた窒素酸化物の選択的触媒還元)触媒の主眼点である。NH保存部位は、アンモニアスリップを減少させるのに役立ち、NH投与方法に対して柔軟性を持たせることもできる。ゼオライト中の骨格Al部位は、酸性であり、NHを容易に吸着し、故に、NH保存部位として適している。NH−SCRのための酸性部位の重要性は、Applied Catalysis B:Environmental,vol.66,pp.208−216,2006に論じられている。
【0025】
NOの酸化は、全体的なNH−SCR反応において、特に、NOの供給がない場合、すなわち、NO/NO比がほぼ1である場合、重要なステップである。Fe交換ゼオライトは、NH−SCRのために研究され、NOの酸化は、これらの材料において反応の重要なステップであることが示唆されている(Applied Catalysis A:General,vol.235,pp.241−251,2002)。
【0026】
本明細書に記載される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、酸性部位、骨格鉄、および交換可能なFe部位を含む。ゼオライト骨格においてアルミニウム原子は、SCR反応のためにNHに必要である酸性部位を作成する。Feの一部は、合成後、骨格中にあり、Feの一部は、材料中のFe容量が十分に高い場合、交換部位で存在する。新鮮なこのような鉄含有ゼオライトは、NH−SCR反応に対して活性である。骨格鉄は、熱水時効処理中、骨格外に移動し、その後、骨格Feは、SCR反応のために必要とされる部位にさらにFeを提供するための源になる。新規鉄含有ゼオライトは、熱水時効処理の際、または実用的用途において、従来のFe交換ゼオライトまたはアルミニウムを含まないFeシリケートよりもNH−SCR反応に対して耐久性がある。
【0027】
一実施形態において、ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを開示する。「骨格鉄」という句(またはその任意の変形)は、ゼオライトの負電荷の平衡を保つために、アルミノケイ酸塩ゼオライトの骨格に存在する鉄カチオンを指す。骨格鉄は、不活性であり、概して、イオン交換または含浸ではなく、直接合成の結果である。「イオン交換部位における、鉄カチオン」という句(またはその任意の変形)は、ゼオライト骨格中に存在せず、NO還元に対して活性を持つ、鉄カチオンを指す。イオン交換部位において、鉄カチオンは、イオン交換により生じ得る、または、この場合は、直接合成からも生じ得る。
【0028】
本発明者らは、ゼオライトの構造が、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、本開示による生成物を見い出した。したがって、本発明のゼオライトは、活性化するステップがない場合でさえも、活性があり、蒸気への暴露および/または加熱した後も、活性状態のままである。
【0029】
別の実施形態において、ゼオライトの合成ステップ中、鉄成分を加える能力に基づく鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する方法を開示する。「直接合成」という句(またはその任意の変形)は、その後のイオン交換または含浸方法等のゼオライトを形成した後の金属ドーピング工程を必要としない方法を指す。本発明者は、本開示による直接合成法が、従来のイオン交換および含浸方法よりも、ゼオライト中の鉄の量をさらに容易に制御することを見い出した。したがって、本開示の方法は、従来の方法よりも簡易であるだけでなく、鉄容量をさらに正確に制御することができるため、より良好な最終生成物を生成する。さらに、本発明の少なくとも1つの態様において、該方法は、活性鉄が既にゼオライトに存在するため、水蒸気処理等のゼオライト骨格から遷移金属を抽出するための追加ステップを必要としない。
【0030】
さらに、本開示により作製される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、熱水的に安定である。本明細書に使用される「熱水的に安定」という用語は、自動車の従来の走行条件下等の高温条件での使用下で、少なくとも一部の触媒活性を維持する能力を指す。一実施形態において、本開示により作製されるゼオライトは、700℃で16時間、熱水的に安定である。
【0031】
別の実施形態において、結果として生じた鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、硫黄または硫黄化合物が、一般に、石炭燃料発電施設、および例えば、燃料油等の硫黄含有燃料で燃料を供給されるタービンまたは他のエンジンの排気ガスに認められるため、硫黄化合物がある場合、熱水的に安定である。
【0032】
上記のように、ゼオライトの合成ステップ中、鉄成分を加えるステップを含む、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する方法を開示する。一実施形態において、鉄成分の直接添加は、Fe2+およびFe3+等の鉄の少なくとも0.2重量%、さらに一般に、1.0から5.0重量%を用いてアルミノケイ酸塩ゼオライトの合成を可能にする。
【0033】
本発明の前に、ゼオライトにこれらの量の鉄を加えるステップは、該ゼオライトを焼成し、最終生成物を形成した後、イオン交換または含浸によって主に行われた。上記のように、本発明の方法は、完成したゼオライトにではなく(例えば、焼成し後ではなく)、合成工程中に、鉄成分を加える。本発明はまた、水蒸気処理等のゼオライト骨格から遷移金属を抽出する追加ステップを必要としない。したがって、本発明の別の利点は、本発明の材料をモノリシック基質および焼成された全基質上に被覆できるようにすることである。
【0034】
上記のように、本明細書に記載される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、直接合成工程によって作製される。しかしながら、イオン交換工程によって、イオン交換部位において、追加の鉄カチオンおよび/または少なくとも1つの追加金属カチオンを含むことは可能である。一実施形態において、少なくとも1つの追加金属は、銅、マンガン、コバルト、および銀から選択される。
【0035】
本明細書に記載される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、時効処理または蒸気暴露の前に、排気ガス中、250〜300℃の温度で、NHまたは尿素で40%を超える窒素酸化物を変換する選択的触媒還元を示し得る。
【0036】
一実施形態において、本明細書に記載される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、熱水時効処理または蒸気暴露の後に、排気ガス中、300℃〜500℃の温度で、NHまたは尿素で80%を超える窒素酸化物を変換する選択的触媒還元を示す。
【0037】
鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する直接合成法も開示し、それには、アルミナ源、シリカ源、任意に構造指向剤を、鉄成分と混合し、鉄含有合成混合物を形成するステップと、該鉄含有合成混合物において、少なくとも1回の加熱ステップを行い、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するステップであって、該ゼオライトの構造は、該イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、ステップと、を含む。
【0038】
通常、本発明の方法は、アルミナ源、シリカ源、鉄源、および任意に構造指向剤と混合し、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを直接合成するステップにより、任意の種類の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを直接合成することにより作製することを対象にする。ベータ型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、またはY型ゼオライト等の所望のゼオライト生成物によって、構造指向剤の使用は、異なり得る。例えば、一実施形態において、アルミナ源、シリカ源、および鉄源を、水および水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)等の有機構造指向剤と混合するステップにより、鉄ベータ型ゼオライトを作製する方法を開示する。
【0039】
異なる実施形態において、有機構造指向剤を使用することなく、ZSM−5型ゼオライトを作製する方法を開示する。
【0040】
本開示に使用され得るアルミナ源の非限定の例としては、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、硝酸アルミニウム、および硫酸アルミニウムが挙げられる。該方法は、生成物から任意の残留ナトリウムを除去する追加ステップを含んでよい。これは、一般に、Cl、SO、NOのアンモニウム塩を含む、公知の塩等を用いて、イオン交換工程によって行われる。一実施形態において、残留ナトリウムは、NHNO等の所望の塩において、生成物をスラリーにすることにより、焼成する前に、除去される。
【0041】
鉄源は、一般に、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、および硫酸第一鉄から選択される鉄塩である。さらに、シリカ源は、一般に、激しい撹拌条件下で加える、シリカゾルを含み得る。使用され得る他のシリカ源の非限定例としては、ケイ酸ナトリウム、金属ケイ酸ナトリウム、ならびにコロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ、シリカアルミナ等の公知のケイ酸塩類が挙げられる。
【0042】
ゲルの形成後、ベータ型ゼオライトおよびZSM−5型ゼオライト等のゼオライト源を、結晶化シードの形状で任意に加える。使用する場合、結晶化シードを、0.1から5.0重量%の量で加える。
【0043】
次に、ゲルを加熱して、生成物を形成する。ゲルの加熱ステップは、140℃から250℃の範囲の温度で、24〜48時間等の4〜72時間、オートクレーブ内で行われ得る。ゼオライト−Yを合成する場合、処理温度は、低下し得る。例えば、Y型ゼオライトを形成する場合、温度は、80から105℃に及び得る。
【0044】
冷却、ならびに濾過、洗浄、および乾燥から選択される、生成物における少なくとも1つの処理工程を任意に行った後、最終的に、焼成し、Fe2+またはFe3+の1.0重量%から5.0重量%等の、少なくとも0.2重量%を成す鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成する。下記にさらに詳細が説明されるように、焼成ステップは、本発明の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを、モノリス上に被覆した後、行われ得る。
【0045】
一実施形態において、生成物は、イオン交換および/または含浸ステップにさらに供して、鉄の量を増加させる、または銅、マンガン、コバルト、および銀等の少なくとも1つの追加金属を加える。
【0046】
別の実施形態において、直接合成法により作製される、Fe2+またはFe3+の少なくとも0.2重量%を成すものを含む、前述の方法により作製される熱水的に安定した鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを開示する。
【0047】
本明細書に記載される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、一般に、5から100、または60未満、または5〜50のシリカアルミナ比を有し、それは、ゼオライトの型に依存する。例えば、Y型ゼオライトは、一般に、5〜40のシリカアルミナ比を有し、ベータ型ゼオライトは、10〜80のシリカアルミナ比を有し、ZSM−5型ゼオライトは、15〜100のシリカアルミナ比を有する。
【0048】
本発明の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトおよびその作製方法に加えて、本開示の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトの使用方法を開示する。例えば、ディーゼルエンジンの典型的な排気ガスは、約2から15体積パーセントの酸素および100万の窒素酸化物当たり約20から500の体積部分(通常、NOとNOの混合物を含む)を含む。窒素およびHOを形成するようにアンモニアを用いた窒素酸化物の還元は、金属促進のゼオライトにより触媒され得、故に、本工程は、しばしば、窒素酸化物の「選択的」触媒還元(「SCR」)と称される。
【0049】
したがって、一実施形態において、本明細書に開示される鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトと少なくとも部分的に排気ガスを接触するステップを含む、排気ガス中、窒素酸化物のSCRの方法も開示する。
【0050】
様々な排気ガスにおいて、窒素酸化物の排出を削減するために、一般に、アンモニアを、窒素酸化物を含有する気体流に加える。本発明の一実施形態において、アンモニアを使用して、気体流を、高温で、本発明の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトと接触する場合、窒素酸化物の還元を触媒できるようにする。
【0051】
一実施形態において、尿素溶液を使用し、気体流にアンモニアを提供し得る。これは、自動車の排気ガス処理用途および固定NO還元用途に使用される場合、特に真実である。
【0052】
本開示のゼオライトで処理され得る排気ガスの型の非限定の例としては、ディーゼルエンジンを含む、路上用およびオフロード用の自動車からの双方の自動車の排気ガスが挙げられる。さらに、発電施設、固定ディーゼルエンジン、および石炭燃料発電施設等の固定汚染源からの排気ガスを処理し得る。したがって、自動車の排気ガスまたは固定汚染源からの排気ガス等の排出ガスを処理する方法も開示する。
【0053】
本発明の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、アルミナ、ベントナイト、シリカ、またはシリカアルミナ等の適した耐火性結合剤と混合される、または被覆される、および適した耐火性基質上に堆積されるスラリーに形成される、微粉末の形状で提供され得る。一実施形態において、担体基質は、「ハニカム」構造であり得る。このような担体は、それを通して延在する、多くの細かい、並列気体流路を有するものとして当技術分野で公知である。ハニカム構造を作製するのに使用される材料のある非限定の例としては、コーディエライト、ムライト、炭化ケイ素、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、アルミナシリカ、アルミナジルコニア、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0054】
非焼成鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトで被覆されたモノリスを作製する方法も開示する。本発明の方法は、焼成構造において行われるイオン交換を必要としないため、本明細書に開示される非焼成ゼオライトでモノリスを被覆し、全被覆された構造を焼成することが可能である。これは、ゼオライト製造業者の工程ステップをさらに軽減するという点において有益である。
【0055】
本方法は、アルミナ源、シリカ源、および構造指向剤を鉄成分と混合し、鉄含有生成物を形成するステップと、鉄含有生成物において、少なくとも1回の加熱ステップを行い、Fe2+またはFe3+の1から5重量%の範囲の量等の少なくとも0.2重量%を有する、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するステップと、を含む。洗浄被覆または非焼成ゼオライトが作製されると、それは、モノリスに直接被覆され得る。全被覆モノリスは、その後、該構造指向剤を除去するために、焼成することが可能である。
【0056】
別の実施形態において、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトは、(基質上の被覆とは対照的に)別個の形状に提供され得る。このような形状の非限定の例としては、例えば、充填層における使用のために、ペレット、錠剤、または任意の他の適した形状の粒子が挙げられる。本発明による鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトはまた、皿、管等の成形されたものに形成され得る。
【0057】
別途指示されない限り、本明細書および請求項に使用される、原料の量、反応条件等を表すすべての数字は、「約」という用語によりすべての例において修正されることを理解されたい。したがって、別途反対に示されない限り、以下の明細書および添付の請求項に記述されている数のパラメータは、本発明により得られようとする所望の性質に依存して変化する可能性がある近似値である。
【0058】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される明細書の考慮および本発明の実践から当業者には明らかとなるであろう。本明細書および実施例は、例示のみとして見なされ、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示される。
【0059】
本発明は、本発明の純粋な例示であることを意図する、以下の非限定的なの実施例によりさらに明確となるであろう。
実施例
実施例1:有機構造指向剤なしで直接合成によるFe含有ZSM−5型(2.2%Fe、SAR=31)
【0060】
550グラムのケイ酸ナトリウム溶液(28% SiO、9% NaO)、24.6グラムのFe(NO)3・9HO、および540グラムの脱イオン水(DI−HO)を共に混合した。46グラムのAl(SO・18HO、21グラムのHSO(96%)、および250グラムのDI−HOからなる溶液を、激しく撹拌しながら、混合物にゆっくり加えた。最後に、3.0グラムのZSM−5型ゼオライトを結晶化シードとして合成ゲルに加えた。ゲルは、以下のモル組成であった。
33 SiO:1.0 Al:0.4 Fe:10 NaO:825 H
【0061】
ゲルを2リットルのオートクレーブに装填し、185℃まで24時間加熱した。冷却した後、生成物を、濾過および洗浄により回収した。生成物のX線回折パターンは、純粋相のZSM−5型ゼオライトを示した。
【0062】
残留ナトリウムを除去するために、固体は、3M NHNO溶液中にスラリーにし、80℃で2時間撹拌した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、最終生成物は、31のシリカアルミナ比(SAR)および2.2重量%のFeを得た。生成物のBET表面積は、404m/gであり、微小孔容積は、0.14cc/gであった。
実施例2:有機構造指向剤の存在下で調製される、(同等の)Fe含有ZSM−5型(0.6重量% Fe、SAR=88)
【0063】
この同等の合成は、Journal of Catalysis,vol.195,pp.287−297,2000および米国特許出願第2006/0088469 A1号の実施例1に記載される手順に従ってなされた。
【0064】
9.6グラムのNaOHペレット(98重量%)を、817グラムのDI−HO中に溶解し、その後、61.0グラムの水酸化テトラプロピルアンモニウム溶液(TPAOH、40重量%)を加えた。250グラムのテトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS)を、上記の溶液中で混合した。最後に、9.0グラムのAl(NO・9HO、2.8グラムのFe(NO・9HO、および155グラムのDI−HOを含む溶液を、激しく撹拌しながら、ゆっくり加えた。最終混合物は、以下のモル組成であった。
100 SiO:1.0 Al:0.3 Fe:9.8 NaO:4500 H
【0065】
混合物を30分間撹拌し、その後、2リットルのオートクレーブに移動し、撹拌しないで、175℃まで加熱した。Journal of Catalysis,vol.195,pp.287−297,2000に示される同一の結晶形態学を用いて、2日後、結晶構造のZSM−5型を得た。固体を濾過し、洗浄し、オーブン上で乾燥させた。固体を、その後、550℃で10時間焼成し、有機剤を除去した。残留ナトリウムを除去するために、焼成材は、2M NHNO溶液中にスラリーにし、80℃で2時間撹拌した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、最終生成物は、88のSARおよび0.58重量%のFeを得た。焼成生成物のBET表面積は、432m/gであり、微小孔容積は、0.15cc/gであった。
実施例3:有機構造指向剤の存在下で調製される、(同等の)Fe含有ZSM−5型(3% Fe、アルミニウムを含まない)
【0066】
アルミニウムを含まない、この同等の合成は、米国特許第4,952,385号の実施例1に記載される手順に従った。
【0067】
PQ Corporationからの550グラムのケイ酸ナトリウム(28.2重量% SiO、8.9重量% NaO)を、550グラムのDI−HOに混合した。その後、22.7グラムのFe(NO・9HOおよび442グラムのDI−HOを含有する溶液を加えた。41.0グラムのHSO(96重量%)を、激しく撹拌しながら、混合物にゆっくり加えた。最後に、139グラムの臭化テトラプロピルアンモニウム溶液(TPABr35重量%)を加えた。最終混合物は、以下のモル組成であった。
92 SiO:1.0 Fe:27.9 NaO:14.4 HSO:2852 H
【0068】
混合物を2リットルのオートクレーブに移動し、撹拌しないで、170℃まで6日間加熱した。固体を濾過し、洗浄し、オーブン上で乾燥させた。X線回折パターンは、固体が純粋なZSM−5型相であることを示した。固体を、その後、550℃で6時間焼成し、有機剤を除去した。残留ナトリウムを除去するために、焼成材は、2M NHNO溶液中にスラリーにし、80℃で2時間撹拌した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、最終生成物は、39のSi/Feモル比、2.3重量%のFeを得た。焼成生成物のBET表面積は、427m/gであり、微小孔容積は、0.14cc/gであった。
実施例4:水性イオン交換による(同等の)Fe−ZSM−5型(0.9重量% FeSAR=23)
【0069】
Zeolyst(CBV 2314)から市販のZSM−5型ゼオライトを、80℃で2時間、FeSO溶液を用いてイオン交換した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、Fe−ZSM−5生成物は、0.9重量%のFe、および434m/gのBET表面積を得た。
実施例5:直接合成によるFe含有ゼオライトベータ型(1.1重量% Fe、SAR=24)
【0070】
340グラムの水酸化テトラエチルアンモニウム溶液(35% TEAOH)、114グラムのアルミン酸ナトリウム溶液(23.5% Alおよび19.6% NaO)、および45グラムの脱イオン水を共に混合した。この溶液に、32グラムのFe(NO・9HOを加えた。1000グラムのナトリウム安定化シリカゾル(40% シリカ)を、激しい撹拌下で、上記に加えた。最後に、15グラムのベータ型ゼオライトを結晶化シードとして合成ゲルに加えた。ゲルは、以下のモル組成であった。
25.7 SiO:1.0 Al:0.15 Fe:1.7 NaO:3.1 TEAOH:198 H
【0071】
ゲルを2リットルのオートクレーブに装填し、160℃で2日間加熱した。冷却した後、生成物を、濾過および洗浄により回収した。生成物のX線回折パターンは、純粋相のベータ型ゼオライトを示した。
【0072】
残留ナトリウムを除去するために、固体は、その後、2M NHNO溶液中にスラリーにし、80℃で2時間撹拌した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、生成物を、550℃で10時間焼成した。最終生成物は、24のシリカアルミナ比(SAR)および1.1重量%のFeを得た。焼成生成物のBET表面積は、728m/gであり、微小孔容積は、0.20cc/gであった。
実施例6:直接合成によるFe含有ゼオライトベータ型(1.5重量% Fe、SAR=25)
【0073】
加えたFe(NO・9HOの量が、43.5グラムであることを除いては、実施例9の合成手順を繰り返した。ゲル組成物は、
25.7 SiO:1.0 Al:0.21 Fe:1.7 NaO:3.1 TEAOH:198 HOであった。
【0074】
NHNO溶液と接触させ、焼成した後、最終生成物は、25のSARおよび1.5重量%のFeであった。焼成生成物のBET表面積は、718m/gであり、微小孔容積は、0.20cc/gであった。
実施例7:水性イオン交換による(同等の)Feベータ型(1.0重量% Fe、SAR=25)
【0075】
Zeolyst(CP 814E、SAR=25)から市販のベータ型ゼオライトを、80℃で2時間、FeCl溶液を用いてイオン交換した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、Feベータ型生成物は、1.0重量%のFeおよび698m/gのBET表面積を得た。
実施例8:直接合成によるFe含有高シリカ菱沸石型(1.1% Fe、SAR=34)
【0076】
584グラムのN,N,N−トリメチル−1−アダマント水酸化アンモニウム溶液(TMAAOH、13重量%)を、516グラムの脱イオン水と混合した。その後、18.2グラムのNaOHおよび11.3グラムのアルミナ(53重量% Al)を加えた。この混合物に、10.5グラムのFe(NO・9HOを加えた。150グラムの乾燥シリカゲル(約90% シリカ)を、激しい撹拌下で、上記の混合物に加えた。
最後に、3グラムの菱沸石型ゼオライトを結晶化シードとして合成ゲルに加えた。ゲルは、以下のモル組成であった。
40.0 SiO:1.0 Al:0.22 Fe:3.8 NaO:6.0 TMAAOH:1000 H
【0077】
ゲルをオートクレーブに装填し、160℃まで96時間加熱した。冷却した後、生成物を、濾過および洗浄により回収した。生成物のX線回折パターンは、純粋相の菱沸石型ゼオライト(CHA)を示した。
【0078】
生成物を、550℃で10時間焼成した。残留ナトリウムを除去するために、固体は、その後、2M NHNO溶液中にスラリーにし、80℃で2時間撹拌した。濾過、洗浄、および乾燥させた後、最終生成物は、34のシリカアルミナ比(SAR)および1.1重量%のFeを得た。生成物のBET表面積は、817m/gであり、微小孔容積は、0.30cc/gであった。
鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトとのNOのNH−SCR
【0079】
還元剤としてNHを用いたNO変換のためのFe含有ゼオライトの活性を、フロースルー型反応器において評価した。粉末ゼオライト試料を押圧し、35/70メッシュのふるいにかけ、石英管反応器に装填した。ガス流は、500ppm NO、500ppm NH、5% O、およびバランスNを含んだ。すべての反応物に対する毎時空間速度は、50,000h−1であった。反応器温度は、勾配され、NO変換は、それぞれの温度間隔で、赤外線分析器を用いて判定された。結果を図1〜4に示す。
【0080】
図1は、上記の実施例1〜4において作製される新鮮なFe含有ZSM−5材における、NOのSCRをNHと比較する。Feの低容量および高SAR(88)を有する同等の実施例2およびアルミニウムを有しない実施例3からの試料は、Feの高容量および低SAR(31)を有する本発明の実施例1からの試料よりもさらに低い活性を示す。Fe交換により作製されるFe−ZSM−5である、実施例4は、最大活性を示す。
【0081】
図2は、上記の実施例1〜4により作製され、10容量%の水蒸気中、700℃で、16時間、熱水的に時効処理されたFe含有ZSM−5材における、NOのSCRをNHと比較する。実施例1からの試料は、低温度領域における最大活性を示し、また、高温度領域における安定した活性を有する。
【0082】
図3は、上記の実施例5〜7により作製され、10%の水蒸気容量において、700℃で、16時間、熱水的に時効処理されたFeベータ材における、NOのSCRをNH3と比較する。
【0083】
図4は、上記の実施例8により作製され、10%の水蒸気容量において、700℃で、16時間、熱水的に時効処理されたFe菱沸石材における、NOのSCRをNH3と比較する。
【0084】
図5は、実施例1、2、および4の新鮮試料に対する水素温度プログラム化した還元(H−TPR)プロファイルを示す[勾配率:10℃/分 ガス:15cc/分 5% H/Ar。H消費は、熱伝導度検出器を用いて測定された。]。
【0085】
550〜700℃の領域のピークは、骨格鉄に相当するのに対して、300〜500℃の領域は、交換したFeカチオンに相当する。交換工程により作製される実施例4は、交換されたFeを含むが、骨格Feを含まず、交換された三価Feから二価Feへの還元に相当する300〜500℃の領域のピークを有する。実施例2は、交換されたFeの証拠を何も示さないが、約650℃の還元ピークで骨格Feのみ示す。実施例1の新鮮試料は、骨格Fe(ピーク約600℃)および交換部位におけるFeに相当する450〜500℃での段部を含む。交換部位における大量の鉄を有する試料は、NOのNH−SCRに対してさらに活性である(図1参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトであって、前記ゼオライトの構造は、イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、ゼオライト。
【請求項2】
前記鉄は、前記ゼオライトの少なくとも1重量%を成す、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項3】
前記鉄は、前記ゼオライトの1から5重量%の量で存在する、請求項2に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項4】
前記ゼオライトは、60未満のシリカアルミナ比(SAR)を有する、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項5】
前記SARは、5から50に及ぶ、請求項4に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項6】
前記ゼオライトは、ベータ型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト、菱沸石型ゼオライト、およびフェリエ沸石型ゼオライトから選択される、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項7】
前記ゼオライトは、生成の際、有機物を含まない、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項8】
前記イオン交換部位において、追加鉄カチオンおよび/または少なくとも1つの追加金属カチオンをさらに含む、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項9】
前記少なくとも追加金属は、銅、マンガン、コバルト、および銀から選択される、請求項8に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項10】
前記ゼオライトは、時効処理または蒸気暴露の前に、排気ガス中、250〜300℃の温度で、NHまたは尿素で40%を超える窒素酸化物を変換する選択的触媒還元を示す、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項11】
前記ゼオライトは、熱水時効処理または蒸気暴露の後に、排気ガス中、300℃〜500℃の温度で、NHまたは尿素で80%を超える窒素酸化物を変換する選択的触媒還元を示す、請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライト。
【請求項12】
鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを作製する直接合成法であって、
アルミナ源、シリカ源、任意に構造指向剤を、鉄成分と混合し、鉄含有合成混合物を形成するステップと、
前記鉄含有合成混合物において、少なくとも1回の加熱ステップを行い、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを形成するステップであって、前記ゼオライトの構造は、前記イオン交換部位において、骨格鉄および鉄カチオンの双方を有する、ステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記鉄は、前記ゼオライトの少なくとも1重量%を成す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記鉄は、前記ゼオライトの1から5重量%の量で存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ゼオライトは、60未満のシリカアルミナ比(SAR)を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記SARは、5から50に及ぶ、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記構造指向剤は、有機化合物である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記有機化合物は、水酸化テトラエチルアンモニウムを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ゼオライトは、ベータ型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト、菱沸石型ゼオライト、およびフェリエ沸石型ゼオライトから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱するステップの前に、ゼオライトの結晶化シードを前記鉄含有合成混合物に加えるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記シリカ源は、シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、金属ケイ酸ナトリウム、沈降シリカ、シリカゲル、およびシリカアルミナから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記アルミナ源は、アルミン酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、および硫酸アルミニウムから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記鉄源は、鉄塩である、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記鉄塩は、硝酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、および硫酸第一鉄から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1回の加熱ステップは、90℃から250℃の範囲の温度で、オートクレーブ内で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
500℃を超える蒸気に生成物を暴露することにより、前記生成物を熱水時効処理するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
最高600℃まで前記生成物を焼成し、焼成物を生成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
前記焼成物を、さらに、イオン交換および/または含浸ステップに供して、さらに鉄および/または少なくとも1つの追加金属を加える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも追加金属は、銅、マンガン、コバルト、および銀から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを含むモノリス。
【請求項31】
請求項1に記載の鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを含むディーゼル粒子フィルタ。
【請求項32】
排気ガス中の窒素酸化物の選択的触媒還元の方法であって、
骨格鉄および骨格外鉄カチオンの双方を含む、鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトと前記排気ガスを少なくとも部分的に接触させるステップを含む、方法。
【請求項33】
前記選択的触媒還元は、アンモニア、尿素、またはそれらの源がある場合、行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記鉄は、前記ゼオライトの1から5重量%の量で存在する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ゼオライトは、60未満のシリカアルミナ比(SAR)を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ゼオライトは、ベータ型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト、菱沸石型ゼオライト、およびフェリエ沸石型ゼオライトから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
窒素酸化物の前記選択的触媒還元は、300℃以上で、前記ゼオライトを熱水時効処理した後、改善される、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記排気ガスは、自動車の排気ガスである、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記排気ガスは、発電施設または固定ディーゼルエンジンから選択される固定汚染源である、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−536692(P2010−536692A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521012(P2010−521012)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/009653
【国際公開番号】WO2009/023202
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(503003957)ピーキュー コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】