説明

新規14−及び15−員環マクロライド



本発明は、式(I)の4”位が置換された15−員環マクロライド及びその薬学的に許容される誘導体、それらの製造方法、並びにヒト又は動物の身体における全身若しくは局所微生物感染の治療又は予防におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物(antimicrobial)活性、特には抗菌(antibacterial)活性を有する新規な半合成マクロライドに関する。より詳細には、本発明は4”位が置換された15−員環マクロライド、その製造方法、、それを含む組成物、及び医薬におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロライド抗菌剤は細菌感染の治療又は予防において有用であることが知られている。しかしながら、マクロライド耐性菌の出現のために新規なマクロライド化合物を開発する必要がある。
【発明の開示】
【0003】
本発明によれば、本発明者らは同様に抗菌活性を有する4”位が置換された新規な15−員環マクロライドを今回見出した。
【0004】
即ち、本発明は、式(I):
【化1】

【0005】
[式中、
Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-および-CH2-N(R7)-から選択される二価の基であり;
R1は-NHC(O)(CH2)dXR8であり;
R2は水素であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R9により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化2】

【0006】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R10)-および-CH(SR10)-から選択される二価の基であるが、ここでAが-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-または-CH2-N(R7)-であるとき、Yは-O-であることを条件とする]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8は次の構造:
【化3】

【0007】
または
【化4】

【0008】
を有するヘテロ環式基であり;
R9は水素またはC1-6アルキルであり;
R10は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R11は水素、-C(O)OR14、-C(O)NHR14、-C(O)CH2NO2または-C(O)CH2SO2R7であり;
R12は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R13はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R14は水素、
ハロゲン、シアノ、フェニルもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルコキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR17R18、-NR17R18、およびニトロもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたフェニルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、
-(CH2)wC3-7シクロアルキル、
-(CH2)wヘテロシクリル、
-(CH2)wヘテロアリール、
-(CH2)wアリール、
C3-6アルケニル、または
C3-6アルキニルであり;
R15は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R16は水素もしくはR13であるか、またはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R17とR18はそれぞれ独立して水素またはフェニルもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R17とR18は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有する;
Xは-U(CH2)vB-、-U(CH2)v-または次式:
【化5】

【化6】

【0009】
および
【化7】

【0010】
から選択される基であり;
UとBは、独立して-N(R15)-、-O-、-S(O)z-、-N(R15)C(O)-、-C(O)N(R15)-および-N[C(O)R15]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R16)-または窒素原子であり;
dは0または1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
jおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
wは0〜4の整数であり;
tは2または3であり;
vは1〜8の整数である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0011】
さらに別の態様によれば、本発明は、式(IA):
【化8】

【0012】
[式中、
Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-および-CH2-N(R7)-から選択される二価の基であり;
R1は-NHC(O)(CH2)dXR8であり;
R2は水素であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R9により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化9】

【0013】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R10)-および-CH(SR10)-から選択される二価の基であるが、ここでAが-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-または-CH2-N(R7)-であるとき、Yは-O-であることを条件とする]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8は次の構造:
【化10】

【0014】
または
【化11】

【0015】
を有するヘテロ環式基であり;
R9は水素またはC1-6アルキルであり;
R10は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により置換されたC1-4アルキルであり;
R11は水素、-C(O)OR14、-C(O)NHR14または-C(O)CH2NO2であり;
R12は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R13はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R14は水素またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキルおよび-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個の基により場合により置換されたC1-6アルキルであり;
R15は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R16は水素もしくはR13であるか、またはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
Xは-U(CH2)vB-、-U(CH2)v-または次式:
【化12】

【0016】
および
【化13】

【0017】
から選択される基であり;
UとBは、独立して-N(R15)-、-O-、-S(O)z-、-N(R15)C(O)-、-C(O)N(R15)-および-N[C(O)R15]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R16)-または窒素原子であり;
dは0または1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
jおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
wは0〜4の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0018】
本明細書においては、”薬学的に許容される”という用語は、医薬用途に適する化合物を意味する。医薬における使用に適した本発明の化合物の塩及び溶媒和物は、対イオン又は会合溶媒が薬学的に許容されるものをいう。しかしながら、薬学的に許容されない対イオン又は会合溶媒を有する塩及び溶媒和物は本発明の範囲内であり、例えば、他の本発明の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物の製造における中間体として使用される。
【0019】
本明細書においては、”薬学的に許容される誘導体”という用語は、薬学的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ(例えば本発明の化合物のエステル)であって、受容者に投与することにより、本発明の化合物、又はその活性代謝物もしくは残基を(直接又は間接に)提供できるいずれの誘導体をも意味する。かかる誘導体は、不必要な実験をせずに当業者には認識できる。このような次第ではあるが、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice の手引きを引用しておく(かかる誘導体の教示の範囲で、本願に引用して援用する)。薬学的に許容される好ましい誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバミン酸エステル及びリン酸エステルである。薬学的に許容される特に好ましい誘導体は、塩、溶媒和物及びエステルである。薬学的に許容される最も好ましい誘導体は、塩及びエステルであり、特に塩である。
【0020】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形であることができ、かつ/又は薬学的に許容される塩として投与できる。適切な塩に関する総説については、Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19 を参照のこと。
【0021】
一般的に、薬学的に許容される塩は、必要に応じて、所望される酸又は塩を用いて容易に製造できる。塩は、溶液から沈殿させ、濾過することにより回収でき、あるいは溶媒を留去することにより回収できる。例えば、塩酸などの酸の水溶液を式(I)の化合物の水性懸濁液に加え、得られる混合物を溶媒がなくなるまで留去(凍結乾燥)して、酸付加塩を固体として得ることができる。あるいはまた、式(I)の化合物を適切な溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)に溶解し、酸を同一溶媒又は他の適切な溶媒に溶解して加えることもできる。ついで、得られる酸付加塩を直接に、あるいはジイソプロピルエーテル又はヘキサンなどのより低い極性の溶媒を添加することにより沈殿させ、濾過することにより単離できる。
【0022】
適切な付加塩は、無毒の塩を形成する無機酸又は有機酸から形成され、例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、アルキルもしくはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩)及びイセチオン酸塩がある。典型的な例は、トリフルオロ酢酸塩及びギ酸塩(例えば、ビス又はトリストリフルオロ酢酸塩及び一また二ギ酸塩)を含む。
【0023】
薬学的に許容される塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩ならびにイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN−メチル−D−グルカミンなどの一級、二級及び三級アミン塩を含む有機塩基との塩を含む。
【0024】
本発明の化合物は、塩基中心及び酸中心の両方を有することができ、したがって両性イオンの形であることができる。
【0025】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、反応溶媒又は沈殿もしくは結晶化溶媒と錯体を形成することができることを理解するであろう。これらの錯体は、”溶媒和物”として知られている。例えば、水との錯体は”水和物”として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)の化合物の塩は、溶媒和物(例えば水和物)を形成することができ、本発明もまた、すべてのかかる溶媒和物を含む。
【0026】
本明細書においては、”プロドラッグ”という用語は、体内で(例えば血中での加水分解により)医療効果を有する活性体に変換される化合物を言う。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, ”Prodrugs as Novel Delivery Systems”, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, Edward B. Roche, ed., ”Bioreversible Carriers in Drug Design”, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987, and in D. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra ”Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs , Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130, に記載されており、それぞれを本願に引用して援用する。
【0027】
プロドラッグは、患者に投与されるときインビボで式(I)の化合物を放出する、共役結合した担体のいずれをもいう。プロドラッグは、一般的に、通常の操作又はインビボのいずれかで修飾が分解されて親化合物を生成するように官能基を修飾することにより製造される。例えば、患者に投与されたとき、プロドラッグが分解してヒドロキシ、アミン又はスルフヒドリル基を生成する、ヒドロキシ、アミン又はスルフヒドリル基がいずれかの基に結合している本発明の化合物を含む。従って、プロドラッグの代表例は、限定するものではないが、構造(I)の化合物のアルコール、スルフヒドリル及びアミン官能基の酢酸エステル、ギ酸エステル及び安息香酸エステルを含む。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを使用できる。エステルは、それ自身で活性であるか、あるいはまた人体内のインビボ条件で加水分解可能であることができる。薬学的に許容される、インビボで加水分解可能な適切なエステル基は、人体内で容易に分解して元の酸又はその塩を放出するものを含む。
【0028】
以後、本発明に記載の化合物というときは、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される誘導体の両方を含む。
【0029】
立体異性体に関しては、構造(I)の化合物は2以上の不斉炭素原子を有している。記載されている一般式(I)において、実線のくさび形の結合は、結合が紙の面より上であることを示す。破線の結合は、結合が紙の面より下であることを示す。波線

【0030】
はその結合が紙面の上か下かのいずれでもよいことを示している。したがって、本発明は4”−位の炭素について両方のエピマーを包含する。
【0031】
マクロライドの置換基もまた、1以上の不斉炭素原子を有することができることもまた理解されるであろう。従って、構造(I)の化合物は、それぞれのエナンチオマー又はジアステレオマーとして存在できる。すべてのかかる異性体は、その混合物を含めて、本発明の範囲に含まれる。
【0032】
本発明の化合物がアルケニルを含む場合、シス(Z)及びトランス(E)異性もまた存在できる。本発明は、本発明の化合物の各立体異性体を含み、適切な場合には、その混合物と共に、その各互変異性体を含む。
【0033】
ジアステレオ異性体又はシス及びトランス異性体の分離は、例えば分別結晶、クロマトグラフィー又はH.P.L.Cなどの慣用法により達成できる。薬剤の立体異性体混合物はまた、対応する光学的に純粋な中間体から製造されるか、あるいは必要に応じて適切な光学活性酸又は塩基と対応する混合物との反応により生成されるジアステレオ異性体塩の適切なキラル担体を用いる、対応する混合物のH.P.L.C.又は分別結晶により製造できる。
【0034】
構造(I)の化合物は、結晶形であってもよく、無定形であってもよい。さらに、構造(I)の化合物の一部の結晶形は、多型体として存在でき、本発明はこれを含む。
【0035】
R6は水素またはフッ素である。しかし、Aが-C(O)NH-または-CH2-N(R7)-であるときは、R6は水素であることが好ましい。
【0036】
R8が次の構造:
【化14】

【0037】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は5、6、7または8位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、ヘテロ環は6または7位置において連結している。他の実施形態において、ヘテロ環は5または8位置において連結している。R13基が存在するとき、それは環上のいずれの位置と結合していてもよい。一実施形態において、R13基は7位置と結合している。
【0038】
R8が次の構造:
【化15】

【0039】
[式中、Wは-C(R16)-であり、ここでR16はR13であるかまたはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成する]を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、上記ヘテロ環は(i)位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は(ii)または(iii)位置において連結している。
【0040】
R8が次の構造:
【化16】

【0041】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は5、6または7位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、ヘテロ環は6または7位置において連結している。他の実施形態において、ヘテロ環は5位置において連結している。
【0042】
R8が次の構造:
【化17】

【0043】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は6、7、8または9位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、ヘテロ環は7または8位置において連結している。他の実施形態において、ヘテロ環は6または9位置において連結している。
【0044】
R8が次の構造:
【化18】

【0045】
[式中、Wは-C(R16)-であり、ここでR16はR13であるかまたはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成する]を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、上記ヘテロ環は(i)位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は(ii)または(iii)位置において連結している。
【0046】
R8が次の構造:
【化19】

【0047】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は2、3または4位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、ヘテロ環は2または3位置において連結している。他の実施形態において、ヘテロ環は4位置において連結している。
【0048】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルキル」は、規定された炭素原子数を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、C1-10アルキルは、1個以上で10個以下の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖のアルキルを意味する。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、限定されるものでないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t-ブチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。好ましいC1-4アルキル基は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルである。
【0049】
本明細書で使用される用語「C3-7シクロアルキル」基は、3〜7個の炭素原子の非芳香族単環式炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロへプチルを意味する。
【0050】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、規定された炭素原子数を含有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を意味する。例えば、C1-6アルコキシは、1個以上で6個以下の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖のアルコキシを意味する。本明細書で使用される「アルコキシ」の例としては、限定されるものでないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ-2-オキシ、ブトキシ、ブタ-2-オキシ、2-メチルプロパ-1-オキシ、2-メチルプロパ-2-オキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシが挙げられる。好ましいC1-4アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ-2-オキシ、ブトキシ、ブタ-2-オキシまたは2-メチルプロパ-2-オキシである。
【0051】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルケニル」は、規定された炭素原子数を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C2-6アルケニル」は、2個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルケニルを意味する。同様に、用語「C3-6アルケニル」は、3個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルケニルを意味する。本明細書で使用される「アルケニル」の例としては、限定されるものでないが、エテニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、3-メチルブタ-2-エニル、3-ヘキセニルおよび1,1-ジメチルブタ-2-エニルが挙げられる。-O-C2-6アルケニル型の基において、二重結合が好ましくは酸素に隣接していないことが評価されるであろう。
【0052】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルキニル」は、規定された炭素原子数を含有しかつ少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C3-6アルキニル」は、3個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルキニルを意味する。本明細書に使用される「アルキニル」の例としては、限定されるものでないが、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニルおよび3-メチル-1-ブチニルが挙げられる。
【0053】
本明細書で使用される用語「アリール」は芳香族炭素環式部分、例えばフェニル、ビフェニルまたはナフチルを意味する。
【0054】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、特に断らない限り、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素原子を含有する5〜10員の芳香族ヘテロ環を意味し、単環と二環式環系の両方を含む。ヘテロアリール環の例として、限定されるものでないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、1,3-ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルおよびベンゾチオフェニルが挙げられる。
【0055】
本明細書で基または基の部分として使用される用語「5または6員ヘテロアリール」は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式5または6員芳香族ヘテロ環を意味する。例としては、限定されるものでないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびトリアジニルが挙げられる。
【0056】
本明細書で基または基の部分として使用される用語「9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」は、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、1,3-ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルまたはベンゾチオフェニルを意味する。
【0057】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル」は、特に断らない限り、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式または二環式3〜10員飽和または非芳香族、不飽和炭化水素環を意味する。好ましくは、ヘテロシクリル環は5個または6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものでないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリノが挙げられる。
【0058】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、弗素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0059】
本明細書で使用される用語「場合により置換されたフェニル」、「場合により置換されたフェニルまたはベンジル」、「場合により置換された5または6員ヘテロアリール」または「場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-4アルキルアミノまたはジC1-4アルキルアミノ、フェニルおよび5または6員ヘテロアリールから選択される1〜3個の基によって置換された基を意味する。
【0060】
一実施形態において、Aは-N(R7)-CH2-または-CH2-N(R7)-である。Aの代表的な例は-N(R7)-CH2-である。
【0061】
R2の代表的な例は水素である。
【0062】
一実施形態において、R3は水素またはC1-4アルキルである。R3の代表的な例は水素である。
【0063】
一実施形態において、R4およびR5はヒドロキシであるか、またはR4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化20】

【0064】
[式中、Yは二価の基-O-である]を有する環式基を形成する。R4とR5の代表的な例はヒドロキシである。あるいは、R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化21】

【0065】
[式中、Yは二価の基-O-から選択される]を有する環式基を形成する。
【0066】
R6の代表的な例は水素である。
【0067】
R7の代表的な例はC1-6アルキル、例えばC1-4アルキル、特にメチルである。
【0068】
R8の代表的な例としては、次の構造:
【化22】

【0069】
[式中、ヘテロ環は6または7位置において先に定義したX基と連結している]を有するヘテロ環式基が挙げられる。特にヘテロ環は6位置で連結している。
【0070】
一実施形態において、R10は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により置換されたC1-4アルキルである。
【0071】
一実施形態において、R11は水素、-C(O)OR14、-C(O)NHR14または-C(O)CH2NO2である。他の実施形態において、R11は-C(O)OR14、-C(O)NHR14または-C(O)CH2NO2である。さらなる実施形態において、R11は-C(O)OR14である。R11の代表的な例は-C(O)OR14であり、ここでR14は水素である。さらなる代表的なR11の例は-C(O)OR14であり、ここでR14はC1-4アルキルである。
【0072】
R12の代表的な例はC3-7シクロアルキル、特にシクロプロピルである。
【0073】
R13の代表的な例はハロゲン、特に塩素である。
【0074】
一実施形態において、R14は水素、またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキルおよび-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキルである。R14の代表的な例としては水素およびC1-4アルキル、特に水素およびメチルが挙げられる。
【0075】
一実施形態において、R15は水素またはC1-4アルキルである。R15の代表的な例は水素である。R15のさらなる代表的な例はメチルである。
【0076】
R16の代表的な例は水素である。
【0077】
一実施形態において、
Xは-U(CH2)vB-、-U(CH2)v-または次式:
【化23】

【0078】
および
【化24】

【0079】
から選択される基である。
【0080】
Xの代表的な例は-U(CH2)vB-である。
【0081】
UおよびBの代表的な例としては、二価の基-N(R15)-および-O-が挙げられる。特に、Uは-O-でありかつBは-N(R15)-および-O-から選択される二価の基である。あるいは、UおよびBはそれぞれ独立して二価の基-N(R15)-である。
【0082】
Yの代表的な例は二価の基-O-である。
【0083】
dの代表的な例は1〜3、例えば2である。
【0084】
一実施形態において、vは2〜8の整数である。vの代表的な例は2〜4、例えば2である。
【0085】
一実施形態において、jは0または1である。jの代表的な例は1である。さらなるjの代表的な例は0である。
【0086】
本発明が、本明細書に以上記載した特定のおよび好ましい基の全ての組み合わせを包含することは当然である。本発明がまた、特定の基またはパラメーター、例えば例えばR7、R13、R15、R17、R18およびzが1回以上現れる式(I)の化合物を包含することも当然である。かかる化合物において、それぞれの基またはパラメーターは、掲げた値から独立して選択されることが好ましい。
【0087】
本発明の特に好ましい化合物は、
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
およびその薬学的に許容される誘導体である。
【0088】
さらなる特に好ましい本発明の化合物は、
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン=11,12-環状カルボナート;
4"-(3-{[2-(7-クロロ-1-シクロプロピル-3-メトキシカルボニル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エチル]-メチル-アミノ}-プロピオニルアミノ)-4"-デオキシアジスロマイシン;
およびその薬学的に許容される誘導体である。
【0089】
本発明に記載の化合物はまた、広範囲の臨床病原微生物に対して、広域スペクトルの抗微生物活性(特に抗菌活性)を示す。標準的なマイクロタイター培養液連続希釈試験を用いて、広範囲の病原微生物に対して本発明の化合物が有用レベルの活性を示すことが見出された。特に、本発明の化合物は、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、モラクセラ・カタラーリス、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌、エンテロコッカス・フェカリス、クラミジア・ニューモニエ、マイコプラズマ・ニューモニエ及びレジオネラ・ニューモフィラの菌種に対して活性であることができる。本発明の化合物は、耐性株(例えば、エリスロマイシン耐性株)に対しても活性であることができる。特に、本発明の化合物は、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌及び黄色ブドウ球菌のエリスロマイシン耐性株に対して活性であることができる。
【0090】
従って、本発明の化合物は、病原微生物(特に細菌)により引き起こされる、ヒト及び動物の種々の疾患の治療のために使用できる。治療というとき、既往症状の緩和と共に、急性期治療又は予防を含むことは理解されるであろう。
【0091】
従って、本発明の他の側面によれば、我々は、治療における使用のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0092】
本発明のさらなる側面によれば、我々は、ヒト又は動物被験者の全身又は局所微生物感染の治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0093】
本発明のさらなる側面によれば、我々は、人体又は動物体の全身又は局所微生物感染の治療又は予防における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体の使用を提供する。
【0094】
本発明のよりさらなる側面によれば、我々は、微生物感染を阻止するための、人体又はヒト以外の動物体の治療方法であって、このような治療を必用とする人体又はヒト以外の動物体に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体の有効量を投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0095】
治療における使用のために、本発明の化合物を未加工の化学物質として投与することは可能であるが、例えば、対象とする投与経路及び標準的製薬技法の観点から選択された適切な医薬賦形剤、希釈剤又は担体と薬剤とを混合した医薬製剤として活性成分が提供されることが好ましい。
【0096】
従って、1つの側面において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体と混合した少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を含んでなる医薬組成物又は製剤を提供する。賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、製剤の他の成分と適合し、受容者自身に有害でないという意味で”許容される”ものでなければならない。
【0097】
他の側面において、本発明は、治療における使用のための、そして特に、抗菌化合物により改善を受けやすい疾患を患うヒト又は動物被験者の治療における使用のための、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体と混合した少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を活性成分として含んでなる医薬組成物を提供する。
【0098】
他の側面において、本発明は、本発明の化合物の治療的有効量ならびに薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体(それらの組み合わせを含む)を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0099】
さらに、本発明により、医薬組成物の製造方法であって、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体とともに少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を混合することを含む該方法が提供される。
【0100】
本発明の化合物は、医学又は獣医学における使用のための、いずれの便利な投与のためにも製剤化でき、従って本発明は、医学又は獣医学における使用のために適合させた本発明の化合物を含んでなる医薬組成物を、その範囲内に含む。かかる組成物は、1以上の適切な賦形剤、希釈剤及び/又は担体を用いて、通常の使用のために提供できる。治療上の使用のための許容される賦形剤、希釈剤及び担体は医薬品業界に公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985) に記載されている。医薬賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、対象とする投与経路及び標準的製薬技法を考慮して選択できる。医薬組成物は、賦形剤、希釈剤及び/又は担体として、あるいはこれらに加えて、いずれの適切な結合剤(単数又は複数)、滑沢剤(単数又は複数)、縣濁化剤(単数又は複数)、コーティング剤(単数又は複数)、可溶化剤(単数又は複数)を含むことができる。
【0101】
防腐剤、安定化剤及び色素、さらに風味剤であっても医薬組成物に使用することができる。防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含む。酸化防止剤及び縣濁化剤もまた使用できる。
【0102】
本発明の薬剤はまた、一部の実施形態のために、シクロデキストリンと組み合わせて使用できる。シクロデキストリンは、薬物分子と包摂及び非包接錯体を形成することが知られている。薬剤−シクロデキストリン錯体の形成により、薬剤分子の溶解性、溶出速度、生物学的利用率及び/又は安定性を調節することができる。薬剤−シクロデキストリン錯体は、一般的に、大部分の製剤及び投与経路に有用である。薬剤との直接の錯体形成の代わりに、シクロデキストリンは、例えば担体、希釈剤又は可溶化剤などの補助添加剤として使用できる。α、β及びγシクロデキストリンが最もよく用いられ、適切な例は、WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に記載されている。
【0103】
湿式粉砕などの公知の粉砕工程を用いて本発明の化合物を粉砕し、錠剤又は他の製剤タイプに適した粒子径を得ることができる。微細に粉砕した(ナノ粒子)本発明の化合物の調整品は、当該技術分野に公知の方法で調整できる(例えば、国際特許出願番号WO02/00196(SmithKline Beecham)を参照のこと)。
【0104】
投与経路(送達経路)は、限定するものではないが、以下:経口(例えば錠剤、カプセル、又は摂取用溶液として)、局所、経粘膜(例えば点鼻スプレー又は吸入用エアゾールとして)、経鼻、非経口(例えば注射剤で)、消化管内、髄腔内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、脳内、皮下、眼内(水晶体内又は前房内を含む)、経皮、直腸、頬、硬膜外及び舌下の1以上を含む。
【0105】
それぞれのデリバリーシステムに応じて、異なる組成物/製剤の必要条件が存在する。例として、本発明の医薬組成物は、例えば、点鼻スプレーもしくは吸入用エアゾール又は摂取用溶液としてミニポンプ又は経粘膜経路を用いて、あるいは例えば静脈内、筋肉内又は皮下経路の送達のための注射剤として組成物が製剤化されている非経口で送達するために製剤化できる。あるいはまた、両方の経路で送達されるように製剤を設計することもできる。
【0106】
胃腸粘膜を介して経粘膜で薬剤が送達される場合、消化管を通過する間、薬剤が安定でなければならず;例えば薬剤は、タンパク質分解に抵抗性を示し、酸のpHで安定であり、胆汁の界面活性効果に抵抗力を有さなければならない。
【0107】
適切な場合には、吸入で、座剤又はペッサリ−の形で、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は粉末の形の局所で、皮膚パッチの使用で、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形の経口で、単独あるいは賦形剤との混合物のいずれかのカプセルもしくは膣座剤の形で、又は風味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液もしくは懸濁液の形で医薬組成物を投与でき、あるいは静脈内、筋肉内又は皮下などの非経口で医薬組成物を注射できる。非経口投与のためには、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又は単糖類などの他の物質を含むことができる滅菌水溶液の形で組成物を使用するのが最も良い。頬又は舌下投与のためには、通常の方法で製剤化できる錠剤又はロゼンジの形で組成物を投与することができる。
【0108】
必ずしもすべての物質が同一経路で投与される必要は無いことが理解されるべきである。同様に、組成物が2以上の活性成分を含む場合、これらの成分は異なる経路で投与できる。
【0109】
本発明の組成物は、非経口、経口、頬、経直腸、局所、インプラント、点眼、経鼻ま非尿生殖器の用途のために特別に製剤化したものを含む。一部の適用のために、本発明の薬剤は、全身的に送達され(経口、頬、舌下など)、さらに好ましくは経口で送達される。従って、好ましくは、本薬剤は経口送達のために適切な形である。
【0110】
本発明の化合物が非経口で投与される場合、かかる投与の例は、以下:静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下への薬剤投与;及び/又は輸液技術を用いる薬剤投与の1以上を含む。
【0111】
非経口投与のためには、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又はグルコースなどの他の物質を含むことができる滅菌水溶液の形で本化合物を使用するのが最も良い。必要に応じて、水溶液を適切に緩衝化(好ましくはpH3〜9に)しなければならない。滅菌条件下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に公知の標準的製薬技法により容易に達成できる。
【0112】
本発明に記載の化合物は、注射(例えば静脈内ボーラス注射もしくは輸液又は筋肉内、皮下もしくは鞘内経路)の、医学又は獣医学における使用のために製剤化でき、必要に応じて防腐剤を加えて、単位服用量形、アンプルもしくは他の投薬単位容器、又は複数回投与容器に入れて提供できる。注射のための組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンの形であることができ、懸濁化剤、安定化剤、可溶化剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含むことができる。あるいはまた、活性成分は、例えば滅菌パイロジェンフリー水などの適切なビヒクルを用いて使用前に再構成するための滅菌粉末であることができる。
【0113】
本発明の化合物は、即時放出、遅延放出、放出調節、持続放出、パルス放出又は放出制御適用のために、風味剤又は着色剤を含むことができる、錠剤、カプセル、座剤、エリキシル剤、溶液又は懸濁液の形で投与(例えば、経口又は局所)できる。
【0114】
本発明の化合物はまた、例えば、所望により風味剤及び着色剤を加えた、溶液、ゲル、シロップ、口内洗浄剤もしくは懸濁液、又は使用前に水又は他の適切なビヒクルを用いて再構成するための乾燥粉末の形で、経口又はバッカル投与に適切な形で医学又は獣医学用途のために提供することもできる。錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒剤、ブレット、又はプレミックス調整物などの固体組成物もまた使用できる。経口投与のための固体又は液体組成物は、当業界に公知の方法によって製造できる。かかる組成物はまた、固体又は液体形であることができる、1以上の薬学的に許容される担体及び賦形剤を含むこともできる。
【0115】
錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはコーン、ポテト又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び特定の複合ケイ酸塩、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン及びアカシアゴムなどの造粒用結合剤を含むことができる。
【0116】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの滑沢剤を含むことができる。
【0117】
同様なタイプの固体組成物をゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。この点で好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤のためには、種々の甘味剤もしくは風味剤、着色剤もしくは色素、乳化剤及び/又は縣濁化剤ならびに水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン、ならびにそれらの組み合わせなどの希釈剤と薬剤を組み合わせることができる。
【0118】
本発明の化合物はまた、薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに、活性成分の溶液、懸濁液又は分散剤などの水薬の形で獣医学において経口で投与することもできる。
【0119】
本発明の化合物はまた、例えば、医学又は獣医学における使用のための通常の座剤基剤を含む座剤、あるいは例えば通常のペッサリー基材を含むペッサリーとして製剤化することもできる。
【0120】
本発明に記載の化合物は、軟膏、クリーム剤、ゲル、ハイドロゲル、ローション、溶液、シャンプー、粉末剤(スプレーもしくは撒布剤を含む)、ペッサリー、タンポン、スプレー、侵液、エアゾール、滴剤(例えば目、耳又は鼻の滴剤)又はプアオンの形で、医学又は獣医学における使用のための局所投与のために製剤化できる。
【0121】
皮膚への局所適用のために、本発明の薬剤は、例えば以下:鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1以上との混合物に懸濁又は溶解した活性化合物を含む適切な軟膏として製剤化できる。
【0122】
あるいはまた、本発明の化合物は、例えば以下:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1以上の混合物に懸濁又は溶解した適切なローション又はクリームとして製剤化できる。
【0123】
本化合物はまた、例えば、皮膚パッチの使用により、皮膚又は経皮投与することもできる。
【0124】
眼科用のために、本化合物は、所望により塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と組み合わせて、等張でpH調節した滅菌生理食塩水中のマイクロ懸濁液として、又は好ましくは、等張でpH調節した滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化できる。あるいはまた、本化合物はペトロラタムなどの軟膏中に製剤化できる。
【0125】
前述のとおり、本発明の化合物は鼻内投与又は吸入投与でき、好都合には、乾燥粉末吸入器又は、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134AT””)もしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤の使用を用いる加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーからのエアゾールスプレー噴射の形で送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は、所定量を送達するバルブを供与することにより測定できる。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、例えばエタノール及び噴射剤の混合物を溶媒として用いる、活性化合物の溶液又は懸濁液(さらに例えばトリオレイン酸ソルビタンなどの滑沢剤を含むことができる)を含むことができる。
【0126】
吸入器又は吹き入れ器における使用のための、カプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本化合物及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含むように製剤化できる。
【0127】
吸入による局所投与のために、本発明に記載の化合物は、医学又は獣医学における使用のために、ネブライザーにより送達できる。
【0128】
本発明の化合物はまた、他の治療剤と組み合わせて使用できる。従ってさらなる側面において、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体とともに、さらなる治療剤を含んでなる組み合わせを提供する。
【0129】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体が同一の病状に対して有効な第2の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物が単独で用いられる場合と異なることができる。適切な投与量は、当業者により容易に認識されるであろう。治療における使用のための本発明の化合物の量は、治療される疾患の性質及び患者の年齢及び状態によって変わり、最終的には担当医師又は獣医の判断によって決まることは認識されるであろう。本発明の化合物は、必要に応じて、例えばコルチコステロイド又は抗真菌剤などの他の活性成分とともに局所投与に使用できる。
【0130】
上記の組み合わせは、医薬製剤の形での使用のために好都合に提供でき、従って上記で定義した組み合わせとともに薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでなる医薬製剤は、本発明のさらなる側面を構成する。かかる組み合わせの各成分は、任意の便利な経路を用いて、分離又は混合された医薬製剤で順次又は同時のいずれかで投与できる。
【0131】
順次投与される場合、本発明の化合物又は第二の治療剤のいずれかが最初に投与される。同時投与される場合、組み合わせは、同一又は異なる医薬組成物のいずれかで投与できる。
【0132】
同一製剤に組み合わせる場合、2つの化合物は安定でかつそれぞれの化合物に対して、及び製剤の他の成分に対して適合するものでなければならない。個別に製剤化される場合、2つの化合物はいずれの好都合な製剤で提供されることもでき、好都合には、かかる化合物に対して公知の製剤で提供されることができる。
【0133】
本組成物は、0.01〜99%の活性物質を含むことができる。例えば、局所投与のためには、本組成物は一般的に0.01〜10%の活性物質を含み、さらに好ましくは0.01〜1%の活性物質を含む。
【0134】
一般的に、医師は、各被験者にもっとも適切と考えられる実際の投与量を決定する。特定の個人に対する特定の投与レベル及び投与頻度は多様であり、特定の使用化合物の活性、該化合物の代謝的安定性及び作用時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与法及び投与回数、排泄速度、薬剤の組み合わせ、特定の疾患の重篤度、ならびに治療受容者によって決まる。
【0135】
ヒトへの経口及び非経口投与のためには、本薬剤の1日量は、1回量又は分割量であることができる。
【0136】
全身投与のためには、成人のヒトの治療に用いる1日量は、2〜100mg/体重(kg)であり、好ましくは5〜60mg/体重(kg)であるが、例えば投与経路及び患者に疾患に応じて、1日に1〜4回で1日量を投与することができる。組成物が投与単位を含む場合、各ユニットは、好ましくは、200mg〜1gの活性成分を含む。治療期間は、任意の日数よりもむしろ反応速度によりきまる。
【0137】
一般式(I)の化合物とその塩は、以下に概説する一般的方法により製造することができ、上記方法は本発明のさらなる態様を構成する。以下の記載において、基R1〜R18、A、B、X、Y、U、W、d、e、j、t、v、wおよびzは、特に断らない限り、式(l)の化合物に対して定義された意味を有する。
【0138】
基XaR8aは式(I)に対して定義されたXR8、またはXR8に変換しうる基である。同様に基BaR8aは式(I)に対して定義されたBR8、またはBR8に変換しうる基である。基XaR8aまたはBaR8aのXR8またはBR8基への変換は、典型的には、以下に記載の反応中に保護基を必要とする場合に行われる。かかる基を保護する方法および得られる保護された誘導体を切断する方法の包括的な考察は、例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M Wuts, 「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」 第2版, John Wiley & Son, Inc 1991およびP.J. Kocienski, 「保護基(Protecting Groups)」, Georg Thieme Verlag 1994に記載されていて、これらの文献は本明細書に参照により組み入れられる。好適なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えばホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換されたCbz、ならびに9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えばt-ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えばベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)が挙げられる。好適な酸素保護基の例としては、例えば、トリメチルシリルまたはtert-ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルまたはtert-ブチルなどのアルキルエーテル;または酢酸エステルなどのエステルが挙げられる。ヒドロキシ基は、例えば無水酢酸、無水安息香酸またはトリアルキルシリルクロリドとの非プロトン溶媒中の反応により保護することができる。非プロトン溶媒の例は、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどである。
【0139】
式(I)[式中、dは1〜5の整数である]の化合物は、式(II):
【化25】

【0140】
の4"アミン化合物と式(III):HOC(O)(CH2)dXaR8aのカルボン酸化合物、またはその好適な活性化されかつ保護された誘導体との反応を行った後に、必要であれば、続いてXaR8a基のXR8への変換により製造することができる。
【0141】
カルボキシル基の好適な活性化された誘導体としては、対応するハロゲン化アシル、混合無水物またはチオエステルなどの活性化されたエステルが挙げられる。反応は好ましくは、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)またはN,N-ジメチルホルムアミドなどの好適な非プロトン溶媒中で、任意に、ジメチルアミノピリジンまたはトリエチルアミンなどの三級有機塩基の存在のもとでまたは無機塩基(例えば水酸化ナトリウム)の存在のもとで、0〜120℃の範囲の温度にて行われる。式(II)と(III)の化合物はまた、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミドの存在のもとで反応させることもできる
式(I)[式中、dは0でありかつUは-C(O)N(R15)-である]の化合物はまた、式(II)の4"アミンと式(IV):HOC(O)C(O)N(R15)(CH2)vBaR8aのカルボン酸の好適な活性化された誘導体との反応を行った後に、必要であれば、続いてヒドロキシル保護基の除去とBaR8a基のBR8への変換により製造することができる。
【0142】
式(I)[式中、dは0でありかつUは-NH-である]の化合物はまた、式(II)の4"アミンとイソシアネートOCN(CH2)vBaR8aなどの好適な活性化された誘導体との反応により製造することができる。
【0143】
式(I)[式中、dは0でありかつUは-N(R15)-である]の化合物はまた、式(II)の4"アミンとカルバモイルクロリドClC(O)N(R15)(CH2)vBaR8aなどの好適な活性化された誘導体との反応により製造することができる。
【0144】
式(I)[式中、dは0でありかつUは-O-である]の化合物はまた、式(II)の4"アミンとクロロ蟻酸エステルClOC(O)O(CH2)vBaR15aなどの好適な活性化された誘導体との反応により製造することができる。
【0145】
本発明のさらなる実施形態において、式(I)の化合物[式中、dは1〜5の整数でありかつUは-N(R15)-および-S-から選択される基である]は、式(V):
【化26】

【0146】
[式中、dは1〜5の整数でありかつLは好適な脱離基基である]の化合物とXaR8a(VI)[式中、Uは-N(R15)-および-S-から選択される基である]との反応により製造することができる。反応は好ましくは、溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたは酢酸エチルなど、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドまたは1-メチル-ピロリドン中でかつ塩基の存在のもとで行った後に、もし所望であれば、XaR8a基のXR8基への変換によって行う。利用しうる塩基の例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよび1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)などの有機塩基、ならびに水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの無機塩基が挙げられる。この反応のための好適な脱離基としては、ハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物またはヨウ化物)またはスルホニルオキシ基(例えばトシルオキシまたはメタンスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0147】
式(V)の化合物は、式(II)の化合物とカルボン酸HOC(O)(CH2)dL(VII)[Lは先に定義した好適な脱離基である]またはその好適な活性化された基との反応により製造することができる。好適な活性化されたカルボキシル基の誘導体は、先にカルボン酸(III)に対して定義したものである。反応は、式(II)の化合物とカルボン酸(III)との反応に対して先に記載した条件を利用して行う。
【0148】
式(I)の化合物を、式(I)の他の化合物に変換することができる。従って、式(I)の化合物[式中、UまたはBは-S(O)z-でありかつzは1または2である]を、式(I)の対応する化合物[式中、zは0である]の酸化により製造することができる。酸化を好ましくは過酸、例えばペルオキシ安息香酸を用いて行った後に、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンを用いて処理することができる。反応は、塩化メチレンなどの有機溶媒中で好適に行われる。式(I)の化合物[式中、UまたはBは-N(R15)-でありかつR15はC1-4アルキルである]を、化合物[式中、R15は水素である]から還元アルキル化により製造することができる。
【0149】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり、R4またはR5はヒドロキシでありかつR3は水素でありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらは当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、EP 507595およびEP 503932に記載の手順によって製造することができる。
【0150】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり、R4またはR5はヒドロキシでありかつR3はC1-4アルキルまたは場合により9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより置換されたC3-6アルケニルでありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらは当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、WO 9951616およびWO 0063223に記載の手順によって製造することができる。
【0151】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化27】

【0152】
を有する環状基を形成しかつR3はC1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルでありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらは、US 6262030に記載の手順によって製造することができる。
【0153】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(CH3)-CH2-または-CH2-N(CH3)-であり、R4およびR5はヒドロキシであるかまたはR4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化28】

【0154】
を有する環状基を形成しかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらは、EP 508699およびJ.Chem. Res.Synop (1988 pp.152-153)、US 6262030に記載の手順によって製造することができる。
【0155】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化29】

【0156】
を有する環状基を形成しR6は水素でありかつR3はC1-4アルキルである]は式(VIII):
【化30】

【0157】
の化合物[式中、R19はアミノ保護基である]の脱カルボキシル化を行った後に、必要な場合には、保護基R19の除去により製造することができる。脱カルボキシル化は、塩化リチウムなどのリチウム塩の存在のもとで、好ましくは、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒中で行うことができる。
【0158】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化31】

【0159】
を有する環状基を形成しかつR3はC1-4アルキルである]は、WO 02/50091およびWO 02/50092に記載の手順に従って製造することができる。
【0160】
式(III):
[式中、Xは-U(CH2)v-もしくは-U(CH2)vN(R15)-(ここでUは-N(R15)-、-O-または-S-である)であるか、またはXは
【化32】

【0161】
および
【化33】

【0162】
から選択される基である]の化合物はまた、XaR8a(VI)[式中、Xは先に定義した意味を有する]とR20OC(O)(CH2)dL(IX)[式中、R20はカルボキシル保護基でありかつLは好適な脱離基である]との反応を行った後に、必要であれば、続いてR20の除去により製造することができる。好適なR20カルボキシル保護基としてはt-ブチル、アリルまたはベンジルが挙げられる。
【0163】
式(III)の化合物はまた、XaR8a(VI)とアクリロニトリルとの反応を行った後に、ニトリルの酸への加水分解、またはXaR8a(VI)とアクリル酸t-ブチルとの反応を行った後にt-ブチル基の除去により製造することができる。
【0164】
式(VI)の化合物[式中、Xは-U(CH2)vB-(ここで、Bは-N(R15)-、-O-または-S-である)であるかまたはXは
【化34】

【0165】
または
【化35】

【0166】
から選択される基である]は、式R8aL(X)の化合物[Lは塩素、弗素または臭素などの脱離基である]と式-U(CH2)vB-(X)の化合物[ここでBは-N(R15)-、-O-または-S-である]、またはピペラジンまたはオクタヒドロ1H-ピロロ[3,4-b]ピリジンとの反応により製造することができる。
【実施例】
【0167】
本発明をさらに完全に理解しうるように、次の実施例を単に説明の方法として記載する。
【0168】
次の略語を文中に用いる:DBUは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、DCCはジシクロヘキシルカルボジイミド、DCMはジクロロメタン、DMAPは4-ジメチルアミノピリジン、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMSはジメチルスルフィド、DMSOはジメチルスルホキシド、EtOAcは酢酸エチル、EtOHはエタノール、KOtBuはカリウムtert-ブトキシド、MeOHはメタノール、そしてi-PrOHはイソプロパノールをそれぞれ意味する。
【0169】
実施例
4"-(S)および4"-(R)-アミノ-9a-アジスロマイシンはEP 508 699に記載の手順により製造することができる。4"-ケト-9a-アジスロマイシンはPfitzner-Moffatの手順(J. Am. Chem. Soc., 87, 5670-5678, 1965)を利用して室温にて4時間処理し、そしてMeOH中で脱保護することにより製造することができる。
【0170】
中間体1
7-クロロ-1-シクロプロピル-6-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(A)
および
1-シクロプロピル-6-フルオロ-7-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(B)
N-メチルピロリドン(500mL)中のエタノールアミン(55.5mL)の溶液に、95℃にて激しく攪拌しながら、7-クロロ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(50.0g)を徐々に加えた。温度を105℃に上昇させ、反応混合物をこの温度にて22時間攪拌した。反応混合物を約60℃に冷却し、MeOH(800mL)中に注いだ。この混合物を氷浴中で攪拌し、沈降物を濾過除去し、そして乾燥して中間体1Aと中間体1Bの混合物(49g)を1:1の比で得た。
中間体1A:MS; m/z (ES):322.99 [MH]+.
中間体1B:MS; m/z (ES):307.02 [MH]+
【0171】
中間体2
7-クロロ-6-[2-(2-シアノ-エトキシ)-エチルアミノ]-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(A)
および
7-[2-(2-シアノ-エトキシ)-エチルアミノ]-1-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(B)
中間体1Aと中間体1Bの混合物(14g)のアクリロニトリル(140mL)中の溶液およびDBU(14mL)を70℃にて16時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をi-PrOH(50mL)中に溶解した。水(50mL)を加え、pH値を4に調節した。沈降物を濾過し、次いでメタノールを用いて摺り砕いた。濾過後に、5.35gの純粋な中間体2Aを得た。母液を一夜4℃にて放置すると4.4gの中間体2Bが沈降した。
中間体2A:1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ:8.56 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.40 (s, 1H), 5.93 (t, NH), 3.83 (qv, 1H), 3.72 (t, 2H), 3.67 (t, 2H), 3.46 (q, 2H), 2.79 (t, 2H), 1.30 (q, 2H), 1.18 (q, 2H). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ:176.52, 166.09, 145.72, 142.72, 132.17, 126.37, 125.38, 119.15, 118.99, 106.14, 102.76, 67.93, 65.05, 42.40, 35.77, 18.01, 7.32. MS; m/z (ES):376.02 [MH]+.
中間体2B:1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ:8.55 (s, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.22 (d, 1H), 3.74 (t, 2H+1H), 3.67 (t, 2H), 3.52 (q, 2H), 2.78 (t, 2H), 1.31 (m, 2H), 1.18 (m, 2H). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ:175.80, 166.20, 148.12, 146.89, 142.55, 140.30, 119.22, 108.79, 106.10, 96.68, 68.29, 65.17, 42.06, 35.70, 17.99, 7.48. MS; m/z (ES):360.04 [MH]+
【0172】
中間体3
6-[2-(2-カルボキシ-エトキシ)-エチルアミノ]-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸
60mLの濃H2SO4および60mLのH2O中の中間体2A(4.7g)の溶液を、20時間75℃にて攪拌した。反応混合物を水(150mL)中に注ぎ、pH値を2に調節した。沈降物を濾過して純粋な中間体3(3.07g)を得た;1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ:8.56 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.39 (s, 1H), 3.82 (m, 1H), 3.66 (q, 2H+2H), 3.42 (t, 2H), 2.49 (t, 2H), 1.30 (q, 2H), 1.17 (m, 2H). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ:178.70, 174.73, 168.28, 147.89, 144.93, 134.34, 128.55, 127.56, 121.15, 118.99, 108.32, 104.90, 69.98, 68.16, 44.59, 37.95, 36.74, 9.50. MS; m/z (ES):395.05 [MH]+
【0173】
中間体4
7-クロロ-1-シクロプロピル-6-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(A)
および
1-シクロプロピル-6-フルオロ-7-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(B)
DMSO(5mL)とエチレングリコール(6ml)の混合物に、KOtBu(1.6g、14.23mmol)を10分間にわたり小分けして加え、次いで90℃に加熱した。その混合物に、7-クロロ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸(1.0g)を20分間にわたり小分けして加え、温度を105℃に上昇させ、その混合物を6時間攪拌した。水(30mL)を反応溶液に加え、溶液のpHをpH=5に調節した。得られる溶液を冷蔵庫内に一夜放置した。得た沈降物を濾過し、冷水を用いて洗浄し、そして乾燥して中間体4Aと中間体4Bの2:1混合物(1.0g)を得た。
粗生成物の一部分(700mg)をEtOH(15mL)中に、還流まで加熱することにより溶解した。得られる溶液を30℃に冷却すると、最初の沈降が起こった。沈降物を濾過し、冷EtOHを用いて洗浄し、そして減圧下で乾燥した。中間体4A(204mg)を白色の固体として得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ:15.06 (s, 1H), 8.71 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 4.97 (t, 1H), 4.25 (t, 2H), 3.87 (m, 1H), 3.82 (q, 2H), 1.32 (m, 2H), 1.20 (m, 2H). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ:176.61, 165.67, 152.47, 147.54, 135.34, 129.48, 124.95, 120.02, 106.90, 106.66, 71.22, 59.15, 35.99, 7.46. MS; m/z (ES):[MH]+
【0174】
中間体5:7-クロロ-6-[2-(2-シアノ-エトキシ)-エトキシ]-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸
中間体4A(2g)のアクリロニトリル(40mL)中の懸濁液に、DBU(2.3ml)を加えた。反応混合物を80℃にて24時間攪拌した。アクリロニトリルを減圧下で蒸発させた。イソプロパノール(30mL)を残留物に加え、溶液のpHを2M HClを加えることによりpH=5に調節すると、その間に生成物が沈降した。沈降物を濾過し、水を用いて洗浄し、そして乾燥して中間体5(1.7g)を白色の固体として得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ:8.68 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 4.38 (t, 2H), 3.91 (t, 2H), 3.86 (m, 1H), 3.75 (t, 2H), 2.79 (t, 2H), 1.32 (m, 2H), 1.20 (m, 2H). 13C-NMR (75 MHz, DMSO-d6) δ:176.63, 165.65, 152.18, 147.61, 135.50, 129.44, 124.97, 120.04, 119.11, 106.96, 106.80, 69.02, 68.30, 65.49, 35.99, 18.06, 7.46. MS; m/z (ES):377.03 [MH]+
【0175】
中間体6:6-[2-(2-カルボキシ-エトキシ)-エトキシ]-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸
中間体5(1.10g)の濃H2SO4(10mL)およびH2O(20mL)の混合物中の溶液を、75℃にて24時間攪拌した。反応混合物のpHを、40%NaOHを用いて0.2に調節すると、その間に生成物が沈降した。沈降物を濾過し、水を用いて洗浄し、そして乾燥して中間体6(0.8g)を白色の固体として得た。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ:15.0 (s, 1H), 11.8 (s, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 4.35 (m, 2H), 3.91-3.82 (m, 3H), 3.74 (dt, 2H), 2.49 (m, 2H), 1.31 (m, 2H), 1.19 (m, 2H). MS; m/z (ES):396.02 [MH]+
【0176】
中間体7:4"-ヒドロキシイミノ-9a-アジスロマイシン
4"-ケト-9a-アジスロマイシン(5.2g、0.007mol)を、MeOH(260mL)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(2.4g)を用いて3.5時間室温にて処理した。メタノールを蒸発させ、残留物をEtOAc(200mL)中に溶解した。次いで水(200mL)を加え、pH9.8にて抽出した。溶媒を除去して粗生成物(5.39g)を得た。フラッシュクロマトグラフィ(DCM-MeOH-NH4OH=90:9:0.5)による精製後に表題化合物(2.4g)を得た。MS (ES+) m/z :[MH]+ = 762.33。
【0177】
中間体8および9:4"-(S)および4"-(R)-アミノ-9a-アジスロマイシン
中間体7(2.0g、0.0026mol)を酢酸(100mL)中に溶解し、2.0gの酸化白金上で1150psiにて48時間室温で水素化した。次に、0.8gの酸化白金を新しく加えることにより反応をさらに24時間1150psiにて続けた。TLCは若干の出発化合物を示したので、さらに0.8gの酸化白金を加え、さらに24時間同じ圧力にて還元を続けた。反応混合物を濾過し、酢酸を真空下で除去した。残留物を100mLのCHCL3および50mLの水中に溶解し、そしてpH5および10にて抽出した。抽出物をpH10にて蒸発させて、4"-(S)および4"-(R)アミン(1.96g)の混合物を得た。
カラムクロマトグラフィ(DCM-MeOH-NH4OH=90:9:1.5)による精製後に、2種の別々の異性体を単離した:中間体8はRf=0.67、δ4.10、dq、H-5"、4"-(S)-アミンであり、中間体9はRf=0.63、δ4.57、dq、H-5"、4"-(R)-アミンであった。
MS (ES+) m/z :[MH]+. = 748.36。
【0178】
中間体10:4"-(S)-アミノ-9a-アジスロマイシン=11,12-環状カルボナート
中間体8(0.1g、0.13mmol)をベンゼン(4mL)中に溶解し、次いで炭酸エチレン(0.09g)およびK2CO3(0.11g)を反応混合物に加えた。反応混合物を80℃にて一夜加熱した。濾過後、濾液をH2Oを用いて2回洗い流し、次いで蒸発させて0.097mgの表題生成物を得た。MS m/z = 774.4 (MH+)。
【0179】
中間体11:4"-(R)-アミノ-9a-アジスロマイシン=11,12-環状カルボナート
中間体9(0.080g)から出発して、中間体10に対して記載した手順に従い表題化合物を製造した。MS m/z = 774.4 (MH+)。
【0180】
中間体12および中間体13:6-[(2-アミノ-エチル)アミノ]-7-クロロ-1-シクロプロピル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸塩酸塩(12)および7-[(2-アミノ-エチル)アミノ]-1-シクロプロピル-1,4-ジヒドロ-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸塩酸塩(13)
7-クロロ-1-シクロプロピル-1,4-ジヒドロ-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸(56.3g)およびエチレンジアミン(36g)を、N,N-ジメチルアセトアミド(650mL)中に100℃にて溶解し、そして8.5時間115℃にて攪拌した。水(700mL)を、室温に冷却した反応混合物に加えた。反応混合物を室温にて2時間攪拌し、0-5℃に冷却して1時間攪拌した。得た沈降物を濾過し、冷水、冷EtOHを用いて洗浄し、そして110℃にて減圧下で1時間乾燥した。粗生成物をHCl(6%水溶液)とともに、木炭の存在のもとで1時間加熱して処理した。濾過後、溶液を35-40℃に冷却すると、最初の沈降物が生じた。沈降物を濾過し、水を用いて洗浄し、そして110℃にて1時間乾燥した。中間体12(6.4g)を塩酸塩として得た。最初の沈降後、母液を室温にて冷却し、一夜攪拌した。沈降物を濾過し、水を用いて洗浄し、そして110℃にて1時間乾燥して中間体12と13を含有する混合物(14.18g)を得た。中間体12:1H-NMR (300 MHz, CF3COOD) d:8.94 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 7.40 (s, 1H), 3.85 (m, 1H), 3.76 (m, 2H), 5.45 (m, 2H), 1.42 (m, 2H), 1.77 (m, 2H)。
【0181】
中間体14:6-{2-[(2-カルボキシ-エチル)-メチル-アミノ]-エチルアミノ}-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸メチルエステル
a) 6-(2-アミノ-エチルアミノ)-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸メチルエステル
中間体12(120mg)の、HClを含むMeOH(3%、30mL)溶液中の懸濁液を、超音波水浴中で60℃にて3時間、次いで室温にて48時間、音波処理した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(溶出液:MeOH/DCM/NH4OH=9/5/0.5)により精製して表題化合物(80mg)を得た。1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6) d:8.37 (s, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 5,77 (t, 1H), 3,37 (s, 3H, O-Me), 3.64 (m, 1H), 3,20 (q, 2H), 2,85 (t, 2H), 1.23 (m, 2H), 1,08 (m, 2H)。
【0182】
b) 6-[2-(2-カルボキシ-エチルアミノ)-エチルアミノ]-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸メチルエステル
アクリル酸(0.5ml、7.44mmol)の2-プロパノール(120ml)中の溶液に、Et3N(2ml)、H2O(20ml)および中間体14a(2.5g)を加え、そして混合物を60℃にて24時間加熱した。Et3N(3ml)を反応混合物に加え、そして混合物を60℃にてさらに24時間加熱した。溶媒を減圧下で濃縮し、H20(70ml)を残留物に加え、pHを2M NaOHを用いて9.5に調節し、そして混合物をEtOAc(2x30ml)を用いて抽出した。EtOAcを排出し、水溶液のpHを2M HClを用いて3に調節し、そして溶液をEtOAc(2x30ml)を用いて抽出した。生成物は水溶液中に存在した。従って、水溶液を減圧下で濃縮し、メタノールを残留物に加え、そして混合物を15分間攪拌し、そして濾液を減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物の一部分(1.0g)をSPE-カラム上で精製して表題化合物を得た。
【0183】
c) 6-{2-[(2-カルボキシ-エチル)-メチル-アミノ]-エチルアミノ}-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸メチルエステル
粗中間体14bの残りに、アセトン(60mL)、ホルムアルデヒド(0.60mL、36%溶液)および蟻酸(0.60mL)を加えた。この混合物を55℃にて24時間加熱した。水溶液を減圧下で濃縮し、メタノールを残留物に加え、そして混合物を15分間攪拌し、濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮した。残留物をSPE-カラム上で精製して表題化合物(0.84g)を得た。13C NMR (75 MHz, DMSO) d ppm:174.3, 172.0, 165.1. 146.6, 141.9, 131.4, 128.0, 124.6, 118.1, 107.8, 104.5, 57.7, 54.4, 53.1, 51.1, 41.3, 34.6, 33.2, 7.3。
【0184】
実施例1: 4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン
【化36】

【0185】
中間体3(0.106g、0.268mmol)のDMF(3mL)溶液に、DCC(0.110g、0.53mmol)、中間体8(0.100g、0.134mmol)およびDMAP(10mg)を加え、そして反応混合物を20時間室温にて攪拌した。水およびEtOAcを加え、そして層を分離した。水層をEtOAcを用いて抽出し、そして組合わせた有機層をK2CO3上で乾燥し、次いで蒸発させた。残留物をEtOAc/n-ヘキサンから沈降させて80mgの粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィ(SPE-カラム、勾配極性:100%DCM〜DCM:MeOH:NH3=90:9:0.5)により精製して50mgの生成物を得て、これをEtOAc:n-ヘキサンから沈降させて30mgの純粋な実施例1の化合物を得た;MS; m/z (ES):1124.20 [MH]+
【0186】
実施例2:4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン
【化37】

【0187】
中間体3(0.106g、0.268mmol)のDMF(3mL)溶液に、DCC(0.110g、0.53mmol)、中間体9(0.100g、0.134mmol)およびDMAP(10mg)を加え、そして反応混合物を20時間室温にて攪拌した。水およびEtOAcを加え、層を分離した。水層をEtOAcを用いて抽出し、そして組合わせた有機層をK2CO3上で乾燥し、次いで蒸発させた。残留物をEtOAc/n-ヘキサンから沈降させ、80mgの粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィ(SPE-カラム、勾配極性:100%DCM〜DCM:MeOH:NH3=90:9:0.5)により精製して純粋な実施例2の化合物(60mg)を得た;MS; m/z (ES):1124.30 [MH]+
【0188】
実施例3:4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン
【化38】

【0189】
中間体8(75mg、0.01mmol)のDCM(3mL)中の溶液に、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.082g、0.082mmol)を加えた。中間体6(64mg)を加えた後にDMAP(10mg)を加えた。反応混合物を室温にて24時間攪拌した。H2O(25mL)を反応混合物に加えた。水層をDCM(2x30mL)を用いて洗浄した。組合わせた有機層を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲル上でDCM/MeOH/NH4OH=90/10/0.5を用いて精製して実施例3の化合物(37mg)を白色の固体として得た;MS; m/z (ES):1125.46 [MH]+
【0190】
実施例4: 4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン
【化39】

【0191】
中間体9(0.20g)のDCM(6mL)中の溶液に、中間体6(0.141g)、DMAP(0.013g)およびDCC(0.111g)を加え、そして反応混合物を室温にて48時間攪拌した。溶媒を蒸発させて0.480gの粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィ(DCM-MeOH-NH4OH=90:9:1.5)による精製後に、表題化合物を単離した。
【0192】
実施例5: 4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン
【化40】

【0193】
実施例4の化合物(80mg)をメタノール(11mL)中に溶解し、10%Pd/C(55mg)を加えた。水素化分解を4x105Paにて4時間行った。反応混合物を濾過し、そして濾液を蒸発させて0.09gの表題生成物を得た。MS m/z=1091.6 (MH)+
【0194】
実施例6: 4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン=11,12-環状カルボナート
【化41】

【0195】
中間体11(0.073g、0.094mmol)をDMS(2.6mL)中に溶解した。反応溶液にDCC(0.052g)、DMAP(0.0065g)および中間体6(0.065g)を加え、そして反応混合物を室温にて一夜攪拌した。濾過しかつ溶媒を蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物をEtOAc中に溶解し、H2Oを加え、そして3xEtOAcを用いてpH9.3にて抽出した。組合わせた有機層を減圧下で蒸発させて固体(0.099g)を得た。カラムクロマトグラフィ(DCM-MeOH-NH3=90:9:1.5)により精製して0.047gの表題生成物を得た。(M + 2H)2+ m/z=577.51。
【0196】
実施例7: 4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン=11,12-環状カルボナート
【化42】

【0197】
中間体10(0.097g、0.12mmol)をDMS(4mL)中に溶解した。反応溶液にDCC(0.069g)、DMAP(0.0086g)および中間体6(0.087g)を加え、そして反応混合物を室温にて一夜攪拌した。濾過し溶媒を蒸発させて粗生成物を得た。粗生成物をEtOAc中に溶解し、H2Oを加えそして3xEtOAcを用いてpH9.05にて抽出した。組合わせた有機層を減圧下で蒸発させて固体(0.114g)を得た。カラムクロマトグラフィ(DCM-MeOH-NH3=90:9:1.5)により精製して0.041gの表題生成物を得た。(M + 2H)2+ m/z=577.52。
【0198】
実施例8: 4"-(3-{[2-(7-クロロ-1-シクロプロピル-3-メトキシカルボニル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エチル]-メチル-アミノ}-プロピオニルアミノ)-4"-デオキシアジスロマイシン
【化43】

【0199】
4"-アミノ-4"-デオキソアジスロマイシン(0.11mg、0.26mmol、中間体8および9の混合物)のDCM(2mL)中の溶液に1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.108g、0.052mmol)を加えた。次いで中間体14c(80mg)を加えた後に、4-ジメチルアミノピリジン(10mg)を加えた。反応混合物を室温にて24時間攪拌した。H2O(25mL)を反応混合物に加え、そして水層をDCM(2x30mL)を用いて洗浄した。組合わせた有機層を減圧下で濃縮し、そして残留物をシリカゲル上でDCM/MeOH/NH4OH=90/10/0.5を用いて精製し、表題化合物(12mg)を得た。TLC (DCM-MeOH-NH4OH=90:9:1.5):Rf=0.616. MS m/z=1152.2 (MH)+
【0200】
生物学的データ
標準のマイクロタイター中のブロス希釈法を用いて、化合物を抗細菌活性について試験した。上記実施例の化合物は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のエリスロマイシン感受性およびエリスロマイシン耐性株に対して1μg/ml未満の最小阻害濃度(MIC)を与えた。
【0201】
さらに、下記を含む様々な生物に対する試験化合物のMIC(μg/ml)を測定した:
S. aureus Smith ATCC 13709、S. pneumoniae SP030、S. pyogenes 3565、E. faecalis ATCC 29212、H. influenzae ATCC 49247、M. catarrhalis ATCC 23246。
【0202】
実施例1〜3は、S. aureus Smith ATCC 13709、S. pneumoniae SP030、S. pyogenes 3565およびE. faecalis ATCC 29212に対して、MIC≦1μg/mLを有する。
【0203】
実施例1〜3は、H. influenzae ATCC 49247およびM. catarrhalis ATCC 23246に対してMIC≦2μg/mLを有する。
【0204】
本明細書の説明及び特許請求の範囲が含まれる本出願は、後続のあらゆる出願に対する優先権の基礎として用いることができる。このような後続の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載したいずれの特徴または特徴の組合せに関するものであってもよい。これらは製品、組成物、方法又は使用の形態をとってもよく、例示として、限定されることなく、添付の特許請求の範囲を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-および-CH2-N(R7)-から選択される二価の基であり;
R1は-NHC(O)(CH2)dXR8であり;
R2は水素であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R9により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化2】

[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R10)-および-CH(SR10)-から選択される二価の基であるが、ここでAが-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-または-CH2-N(R7)-であるとき、Yは-O-であることを条件とする]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8は次の構造:
【化3】

または
【化4】

を有するヘテロ環式基であり;
R9は水素またはC1-6アルキルであり;
R10は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R11は水素、-C(O)OR14、-C(O)NHR14、-C(O)CH2NO2または-C(O)CH2SO2R7であり;
R12は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R13はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R14は水素、
ハロゲン、シアノ、フェニルもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルコキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR17R18、-NR17R18、およびニトロもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたフェニルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、
-(CH2)wC3-7シクロアルキル、
-(CH2)wヘテロシクリル、
-(CH2)wヘテロアリール、
-(CH2)wアリール、
C3-6アルケニル、または
C3-6アルキニルであり;
R15は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R16は水素もしくはR13であるか、またはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R17とR18はそれぞれ独立して水素またはフェニルもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R17とR18は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有する;
Xは-U(CH2)vB-、-U(CH2)v-または次式:
【化5】

【化6】

および
【化7】

から選択される基であり;
UとBは、独立して-N(R15)-、-O-、-S(O)z-、-N(R15)C(O)-、-C(O)N(R15)-および-N[C(O)R15]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R16)-または窒素原子であり;
dは0または1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
jおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
wは0〜4の整数であり;
tは2または3であり;
vは1〜8の整数である]
で表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項2】
Aが-N(R7)-CH2-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが-O(CH2)2NH-または-O(CH2)2O-である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
dが2である、先行する請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R8が次式:
【化8】

[式中、ヘテロ環は6または7位置で連結されていてかつj、R11、R12およびR13は請求項1に定義された通りである]
のヘテロ環式基である、先行する請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
実施例1〜8のいずれか一つに定義された、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項7】
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
4"-(R)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-7-クロロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン;
4"-(S)-{3-[2-(3-カルボキシ-1-シクロプロピル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルオキシ)-エトキシ]-プロピオニルアミノ}-4"-デオキシアジスロマイシン=11,12-環状カルボナート;および
4"-(3-{[2-(7-クロロ-1-シクロプロピル-3-メトキシカルボニル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イルアミノ)-エチル]-メチル-アミノ}-プロピオニルアミノ)-4"-デオキシアジスロマイシン;
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を製造する方法であって、
a) 式(II):
【化9】

の化合物を酸(III)[式中、XaおよびR8aは請求項1に定義されたXおよびR8であるかまたはXおよびR8に変換しうる基である]の好適な活性化された誘導体と反応させて式(I)[式中、dは1〜5の整数である]の化合物を生成させるステップ;
b) 式(II)の化合物をカルボン酸HOC(O)N(R15)(CH2)vBaR8a(IV)の好適な活性化された誘導体と反応させて式(I)の化合物[式中、dは0でありかつUは-C(O)N(R15)-である]を生成させるステップ;
c) 式(II)の化合物をイソシアネートOCN(CH2)vBaR8aと反応させて式(I)の化合物[式中、dは0でありかつUは-NH-である]を生成させるステップ;
d) 式(II)の化合物をカルバモイルクロリドClC(O)N(R15)(CH2)vBaR8aと反応させて式(I)の化合物[式中、dは0でありかつUは-N(R15)-である]を生成させるステップ;
e) 式(II)の化合物をクロロ蟻酸エステルClOC(O)O(CH2)vBaR8aと反応させて式(I)の化合物[式中、dは0でありかつUは-O-である]を生成させるステップ;
f) 式(V):
【化10】

[式中、Lは好適な脱離基である]の化合物を、式XaR8a(VI)[式中、R8aは請求項1に定義されたR8またはR8に変換しうる基でありかつXaは-U(CH2)v-もしくは-U(CH2)vB-または-U(CH2)v-もしくは-U(CH2)vB-に変換しうる基であり、ここで、Uは-N(R15)-および-S-から選択される基である]の化合物と反応させて式(I)の化合物[式中、Uは-N(R15)-および-S-から選択される基である]を生成させるステップ;または
g) 式(I)の一化合物を式(I)の他の化合物に変換するステップ;
を含んでなり、その後、もし必要であれば、得られる化合物を1以上の次の操作:
i)保護基R2の除去、
ii)XaR8aのXR8への変換、
iii)BaR8aのBR8への変換、および
iv)得られる式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体への変換
により処理する上記方法。
【請求項9】
治療に使用するための請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
ヒトまたは動物の身体における全身または局所微生物感染の治療または予防に使用するための医薬品の製造における請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
ヒトまたは動物の身体における全身もしくは局所微生物感染の治療もしくは予防における請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
微生物感染に対処するためのヒトまたは非ヒト動物の身体の治療方法であって、かかる治療を必要とする身体に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含んでなる上記方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物と一緒に、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
式(IA):
【化11】

[式中、
Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-および-CH2-N(R7)-から選択される二価の基であり;
R1は-NHC(O)(CH2)dXR8であり;
R2は水素であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R9により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化12】

[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R10)-および-CH(SR10)-から選択される二価の基であるが、ここでAが-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-または-CH2-N(R7)-であるとき、Yは-O-であることを条件とする]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8は次の構造:
【化13】

または
【化14】

を有するヘテロ環式基であり;
R9は水素またはC1-6アルキルであり;
R10は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により置換されたC1-4アルキルであり;
R11は水素、-C(O)OR14、-C(O)NHR14または-C(O)CH2NO2であり;
R12は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R13はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R14は水素またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキルおよび-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個の基により場合により置換されたC1-6アルキルであり;
R15は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R16は水素もしくはR13であるか、またはR16とR12は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
Xは-U(CH2)vB-、-U(CH2)v-または次式:
【化15】

および
【化16】

から選択される基であり;
UとBは、独立して-N(R15)-、-O-、-S(O)z-、-N(R15)C(O)-、-C(O)N(R15)-および-N[C(O)R15]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R16)-または窒素原子であり;
dは0または1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
jおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体。

【公表番号】特表2006−528668(P2006−528668A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529797(P2006−529797)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005086
【国際公開番号】WO2004/101590
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(504183447)プリバ−イストラズィヴァキ インスティテュート ディー.オー.オー. (5)
【Fターム(参考)】