説明

新規NPR−Bアゴニスト

NPR−Bアゴニスト活性を有する新規化合物が開示される。好ましい化合物は、ペプチド結合を介して互いに接続された8〜13個の通常または通常でないL−またはD−アミノ酸残基を含む直鎖ペプチドである。本発明は、眼内圧(IOP)を低下させるため、およびB型ナトリウム利尿ペプチドレセプターの活性化が有益である他の障害を処置するために治療上有用である、本明細書中でナトリウム利尿ペプチド模倣物または類似物とも呼ばれる、新規NPR−Bアゴニストを提供する。具体的には、本発明は、上記B型ナトリウム利尿ペプチドレセプター(NPR−B)を活性化する新規NPR−Bアゴニストを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本願は、2009年9月25日に出願された米国仮特許出願61/245、960号への優先権を主張する。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、概して、ナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される障害の処置および予防において有用な新規化合物に関する。より詳細には、本発明は、新規ペプチド、本明細書中に記載される1つ以上の新規ペプチドを含む薬学的組成物、ならびに眼の障害(例えば、緑内障、高眼圧症および視神経障害)、心血管疾患、腎疾患、肺疾患、およびナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される他の障害を処置するまたは予防する方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
上記ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、ナトリウム排泄増加の制御、利尿および血圧調節への関与によって初めて記載された環状ペプチドホルモンのファミリーである。現在までに、4種のナトリウム利尿ペプチド、すなわち、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP;配列番号1)、B型または脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP;配列番号;2)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP;配列番号3)およびウロジラチン(配列番号4)がヒトにおいて発見されている(図1;およびChoら、1999,Heart Dis.1:305−328を参照のこと)。すべてのNPが、タンパク分解性切断によって活性化された後に循環中に放出されるプレプロホルモンとして合成される。NPは、グアニリルシクラーゼ活性を有する3つの異なる膜結合型レセプターの1群であるナトリウム利尿ペプチドレセプター(NPR)に結合する(Pandey 2005,Peptides 26:901−932)。
【0004】
ANPは、1981年にラット心房のホモジネート中の血圧降下因子として初めて発見された(de Bold 1981,Life Sci 28:89−94)。ヒトプレプロANP(配列番号5)は、151アミノ酸を含み、N末端切断後に126アミノ酸のプロANP(配列番号6)として主に心房顆粒中に貯蔵される。全身循環血液量過剰(systemic volume overload)に起因する心臓の拡張によって、これらの貯蔵物からのANPの急速な放出が誘導される。循環中に分泌される際、プロANPのC末端部分は、心房のペプチダーゼであるコリン(corin)によって、ANP(配列番号1)の生物学的に活性な28アミノ酸の形態に切断される(Yan 2000,Proc Natl Acad Sci 97:8525−8529)。残りのN末端の部分はさらに、3つの異なるホルモン、すなわち、長時間作用性ナトリウム利尿ペプチド(LANP,アミノ酸1〜30;配列番号7)、血管拡張物質(VSDL,アミノ酸31〜67;配列番号8)およびカリウム利尿ペプチド(KP,アミノ酸79〜98;配列番号9)に切断され得る(Vesely 2004,Eur J Clin Invest 34:674−682)。
【0005】
BNPは、平滑筋弛緩活性を示す因子としてブタの脳において発見された後(Sudoh T,1988,Nature 332:78)、心室の調製物においてより高い組織発現が見出された(Mukoyama 1991,J Clin Invest 87:1402−1412)ことから、BNPがANPと同様に心臓のペプチドホルモンであるという結論に至った。BNPは、心房内の貯蔵顆粒に見出され得るが、心室における発現は、転写段階で制御される(Tamura 2000,Proc Natl Acad Sci 93:4239−4244)。プレプロBNPの合成は、心臓壁の拡張によって誘導され、134アミノ酸長のペプチド(配列番号10)をもたらし、そのペプチドは、未知のプロテアーゼによってさらに切断されて108アミノ酸長のプロBNP(配列番号11)を生じる。さらなる切断は、BNP(配列番号2)の活性な32アミノ酸のC末端フラグメント、およびNT−プロBNP(配列番号12)とも呼ばれる不活性な76アミノ酸のN末端フラグメントを遊離させる。現在のところ、ヒトBNPのスプライスバリアントは知られていない。
【0006】
CNPは、ANP発見のおよそ10年後にブタの脳から初めて単離された(Sudoh 1990,Biochem Biophys Res Comm 168:863−870)。CNPは、主に中枢神経系および内皮細胞において発現される。CNPは、他のNPとは異なり、心臓組織にほとんど存在しないことから、血管緊張および筋細胞成長に対するより大きなパラクリン機能が示唆される。その126アミノ酸の前駆体分子プロCNP(配列番号13)は、細胞内のエンドプロテアーゼであるフーリンによって、成熟した53アミノ酸のペプチドCNP−53(配列番号14)にプロセシングされる(これは、脳(Totsune 1994,Peptides 15:37−40)、内皮細胞(Stingo,1992,Am J Phys 263:H1318−H1321)および心臓(Minamino 1991,Biochem Biophys Res Comm 179:535−542)における最も豊富な形態である)。脳脊髄液(Togashi 1992,Clin Chem 38:2136−2139)とヒト血漿(Stingo 1992,Am J Phys 263:H1318−H1321)との両方において、最も一般的な形態は、未知の細胞外プロテアーゼによってCNP−53から生成されるCNP−22(配列番号3)である。CNP−22は、他のNPとは異なり、17アミノ酸の環のC末端の伸長を欠く(図1を参照のこと)。
【0007】
ANP(配列番号1)、BNP(配列番号2)およびCNP(配列番号3)は、種々の脊椎動物種の間で高度に保存されたアミノ酸配列を示す(図1;およびCho 1999,Heart Dis.1:305−328を参照のこと)。それらのNPは、2つの異なる機構、すなわち、中性エンドペプチダーゼによる酵素的切断、およびNPクリアランスレセプター(NPR−C;配列番号15)への結合の後のそのNPの内部移行および細胞内分解によって不活化される(Stoupakis 2003,Heart Dis.5:215−223)。
【0008】
ナトリウム利尿ペプチドであるANP、BNPおよびCNPの発見の後、それらの特異的なレセプターであるナトリウム利尿ペプチドレセプター−A、−Bおよび−C(NPR−A、−B、−C)の記載およびクローニングが行われた(Fuller 1988,J Biol Chem.263:9395−9401;Chang 1989 Nature 341:68−72;Chinkers 1989,Nature 338:78−83)。NPR−A(配列番号16)は、ANPおよびBNPに優先的に結合し、NPR−B(配列番号17)は、最もCNPに特異的であり、そしてNPR−C(配列番号15)は、すべてのナトリウム利尿ペプチドに結合する(Koller 1991,Science 252:120−123)。
【0009】
NPR−AおよびNPR−Bの1次構造は、細胞外のリガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、リン酸化部位を含む細胞内のキナーゼ相同ドメイン、およびC末端のグアニル酸シクラーゼドメインを含む(Misono 2005,Peptides 26:957−68に概説されている)。後者は、GC−AおよびGC−Bとしても知られる粒状のグアニル酸シクラーゼとしてNPR−AおよびNPR−Bを分類する(E.C.4.6.1.2)。対照的に、NPR−Cは、細胞内の相同ドメインを欠いているが、ナトリウム利尿ペプチドに対するスカベンジャーレセプターとしてだけでなく、阻害性G−タンパク質へのその機能的な結合およびホスホイノシチドの代謝回転についてのNPR−Cの役割に対する証拠が増えてきている(Maack 1987,Science 238:675−678;Murthy and Makhlouf 1999,J Biol Chem 274:17587−17592;Anand−Srivastava 2005,Peptides 26:1044−1059)。ナトリウム利尿ペプチドにおける配列相同性の程度を反映して、ナトリウム利尿ペプチドレセプターは、それらの細胞外のリガンド結合ドメインにおいて高い相同性の程度を示す(算出された類似性は、NPR−AとNPR−Bとの間で41%であり、NPR−AとNPR−Cとの間で29%である)(van den Akker 2001,J Mol Biol.311:923−937)。
【0010】
NPRへのリガンド結合には、グリコシル化されたレセプターサブユニットの二量体が必要であり(Fenrickら、1994,Mol Cell Biochem.137:173−182;Kuhn 2003,Circ Res.93:700−709)、その結合に続いて、グアニル酸シクラーゼドメインの活性化をもたらすコンフォメーション変化が起きる。その後、粒状のグアニル酸シクラーゼの活性は、リン酸化によって制御される(Kuhn 2003,Circ Res.93:700−709に概説されている)。NPRのリン酸化は、その基底状態において最大であり、リガンドの結合の後、脱リン酸化が起き、続いてそのレセプターの脱感作が生じる。
【0011】
ナトリウム利尿レセプターは、生物全体にわたる多くの組織において発現される。NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cは、心臓血管系および腎臓に存在し、NPR−Cは、いくつかの組織においてNPRの発現の80%を占める最も豊富なレセプターサブタイプである。NPR−Bは、ラットの松果体、精巣および卵巣において特に高レベルで存在する。ANPおよびBNPが主に動脈構造に対して作用する場合、NPR−AリガンドとNPR−Bリガンドの両方が、内皮非依存性の血圧降下を誘導する。対照的に、CNPは、冠状動脈を例外として、静脈系を主に標的とし、CNP刺激に応答してそれらを弛緩する(Martonら、2005,Vascul Pharmacol 43:207−212)。重要なことには、NPR−B活性化を介した緊張低下の誘導には、NPR−Aの活性化に応答した血圧低下と比べて10倍高い濃度のリガンドが必要である(Weiら、1993,Am J Physiol.264:H71−H73;Woods and Jones 1999,Am J Physiol.276:R1443−R1452)。NPR−Bの活性化による平滑筋の弛緩は、血管、輸精管および子宮をはじめとした種々の組織において示されている。また、眼球の線維柱帯組織の収縮が、ナトリウム利尿ペプチドレセプターの活性化によって低下することから、線維柱帯細胞と平滑筋細胞との機能的類似性が確認される(Stumpff and Wiederholt 2000,Ophthalmologica 214:33−53)。
【0012】
ナトリウム利尿ペプチドの別の主要な標的器官は、腎臓である。NPR−Aのリガンドは、二重機構によってナトリウム排泄増加および利尿を誘導する(Beltowski and Wojcicka 2002,Med Sci Monit.8:RA39−RA52に概説されている):(1)遠位尿細管におけるナトリウムイオンの再取り込みの減少によるナトリウムの排出増加、それに続く最終的な尿へのより多くの水の貯留;および(2)流入側の(affluent)糸球体毛細管の拡張と、同時に起きる流出側の(effluent)糸球体毛細管の収縮による、腎灌流の低下を犠牲にした糸球体濾過速度の上昇(Endlich and Steinhausen 1997,Kidney Int.52:202−207)。NPR−A特異的リガンドとは対照的に、NPR−B特異的リガンドは、顕著なナトリウム排泄増加および利尿を誘導せず、さらに、糸球体流量調節に関する特色を示す:CNPは、糸球体における流入毛細管と流出毛細管の両方を拡張し、ゆえに、腎血流量を増加させるが糸球体濾過を増加させないことが示された(Endlich and Steinhausen 1997,Kidney Int.52:202−207)。
【0013】
血圧および腎臓機能に対するNP−レセプター(NPR)活性化の作用に加えて、種々の細胞型における増殖プロセスに対するナトリウム利尿ペプチドの強力な作用が、上記文献に記述されている。NPR活性化の抗増殖性の特性が、血管平滑筋細胞、種々の起源の線維芽細胞、メサンギウム細胞、癌細胞および軟骨細胞に対して記述されている(Schulz 2005,Peptides 26:1024−1034に概説されている)。少なくともVSMCについては、増殖の制御における転写因子GAXの関与についての証拠が、細胞内の機構がNPRによる成長の制御に関与し得るという示唆を与えている(Yamashitaら、1997,Hypertension 29:381−387)。組織の成長は、主に増殖活性によって制御されるが、いくつかの器官は、組織の集団(tissue mass)に影響する細胞サイズの変動を特徴とする。これは、肥大、すなわち慢性心不全に先立つことが多い心肥大におけるような病理学的事象を経験することによって軟骨細胞が成熟するときの軟骨内骨化の間におけるような生理学的プロセスであり得る。上で述べた肥大事象の両方が、NPR−Bによって制御される。NPR−B欠乏は、骨端軟骨板の肥大部のサイズの減少を特徴とする異常な軟骨内骨化に起因して小人症を引き起こす(Bartelsら、2004,Am J Hum Genet.75:27−34;Tamuraら、2004,Proc Natl Acad Sci.101:17300−17305)。
【0014】
かなり異なって、ラットにおけるNPR−Bの部分的なノックアウトが、心肥大、すなわち、心筋細胞の肥大を促進した(Langenickelら、2006,Proc Natl Acad Sci.103:4735−4740)。
【0015】
後に、ナトリウム利尿レセプターにおいて活性を有するナトリウム利尿ペプチドが、同様に様々な組織において発見された。例えば、ANPは、その主要な循環型が28アミノ酸(配列番号1)からなる内因性の利尿ペプチドおよび血管弛緩ペプチドとして1980年代初めに発見された。続いて、他のナトリウム利尿ペプチド(例えば、BNP(配列番号2)およびCNP(配列番号3))が発見された。眼組織におけるナトリウム利尿ペプチドおよびそれらのレセプターの存在、特に、IOPの制御に関与するそれらの存在が実証されている。例えば、ラットおよびウサギの眼において、ANP、BNPおよびCNP、ならびにNPR−A、NPR−BおよびNPR−CのmRNAが、毛様体突起、網膜および脈絡膜において見出された(Mittagら、1987,Curr Eye Res.6:1189−1196;Nathanson 1987,Invest Ophthalmol Vis Sci.28:1357−1364;Fernandez−Durangoら、1995,Exp Eye Res.61:723−729)。同様の結果が、ウシの毛様体突起および培養されたウシの毛様体上皮細胞において見出された(Millarら、1997,J Ocul Pharmacol Ther.13:1−11;Shahidullah and Wilson 1999,Br J Pharmacol.127:1438−1446)。毛様体上皮における上記ペプチドおよびそれらのレセプターの存在は、それらが、房水の生成において役割を果たし得ることを示唆する。
【0016】
ナトリウム利尿ペプチドレセプターは、上記毛様体突起に加えて、房水流出に関連する組織においても見出された。ANP結合部位は、モルモットの長軸方向の毛様体筋に局在した(Mantyhら、1986,Hypertension.8:712−721)。培養されたヒトのTM細胞および毛様体筋細胞では、CNPが、サイクリックGMPの生成を刺激する際に最も強力かつ効果的であり、このことから、機能的なNPR−Bの存在が示される。このレセプターの活性化は、カルバコール誘発性のカルシウム流入を減少させる(Pangら、1996,Invest Ophthalmol Vis Sci.37:1724−1731)。この結果から、NPR−Bの活性化がこれらの組織の弛緩を引き起こすことが予測される。実際に、CNPは、サルおよびヒトの毛様体筋のカルバコール誘発性の収縮を有意に減少させる(Ding and Abdel−Latif,1997,Invest Ophthalmol Vis Sci.38:2629−2638)。TMおよび毛様体筋における収縮性の変化は、房水流出能に影響し得る。
【0017】
サイクリックGMP、および眼組織においてサイクリックGMPを増加させる化合物(例えば、一酸化窒素供与体)により、IOPを低下させることが示されている(Nathanson 1988,Eur J Pharmacol.147:155−156;Becker 1990,Invest Ophthalmol Vis Sci.31:1647−1649;Nathanson 1992,J Pharmacol Exp Ther.260:956−965;Stein and Clack 1994,Invest Ophthalmol Vis Sci.35:2765−2768)。ナトリウム利尿ペプチドは、サイクリックGMPの生成を大きく増加させるので、ナトリウム利尿ペプチドもまた、IOPを低下させることが予測された。過去20年に、そのナトリウム利尿ペプチドは、IOP低下剤として高度に有効であることが示されてきた。例えば、様々な研究者が独立して、ウサギにANPを硝子体内注射することによって、一貫しておよび顕著にIOPが低下することを示した。この効果は、長時間にわたって継続する(Sugrue and Viader,1986,Eur J Pharmacol.130:349−350;Mittagら、1987,Curr Eye Res.6:1189−1196;Nathanson 1987 Invest Ophthalmol Vis Sci.28:1357−1364;Korenfeld and Becker 1989,Invest Ophthalmol Vis Sci.30:2385−2392;Takashimaら、1996,Invest Ophthalmol Vis Sci.37:2671−2677)。ANPのIOPへの作用は、虹彩−毛様体におけるサイクリックGMP生成の増加と相関する(Korenfeld and Becker 1989,Invest Ophthalmol Vis Sci.30:2385−2392)。BNP(Takashimaら、1996,Invest Ophthalmol Vis Sci.37:2671−2677)またはCNP(Takashimaら、1998,Exp Eye Res.66:89−96)の硝子体内注射もまた、IOP低下において高度に効果的である。硝子体内注射に加えて、上記ナトリウム利尿ペプチドの結膜下(Yangら、1997,Chin J Ophthalmol.33:149−151)または前房内(Sugrue and Viader 1986,Eur J Pharmacol.130:349−350;Fernandez−Durangoら、1999,Eur J Pharmacol.364:107−113)注射が、同様に眼圧降圧性(ocular hypotensive)であることが示された。ウサギ(Tsukaharaら、1988,Ophthalmologica.197:104−109)またはヒト(Diestelhorst and Krieglstein 1989,Int Ophthalmol.13:99−101)におけるANPの全身投与もまた、IOPを低下させる。残念なことに、これらのペプチドが角膜を通ることができないことに起因して、これらのペプチドを局所的に送達することができなかった。それゆえ、これらの強力かつ効果的なIOP低下化合物は、そのような使用法のために開発されていない。
【0018】
ナトリウム利尿ペプチドによって媒介される障害(例えば、眼の障害、糖尿病関連の障害、血管障害、心臓および心臓血管の病態、炎症、ならびに本明細書中に記載される他の障害)の処置において使用され得る、単離されたまたは合成されたナトリウム利尿ペプチドと比べて改善されたバイオアベイラビリティを有する新規NPR−Bアゴニストが必要とされている。本発明の新規NPR−Bアゴニスト、組成物および方法が、これらのニーズを満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
発明の要旨
本発明は、眼内圧(IOP)を低下させるため、およびB型ナトリウム利尿ペプチドレセプターの活性化が有益である他の障害を処置するために治療上有用である、本明細書中でナトリウム利尿ペプチド模倣物または類似物とも呼ばれる、新規NPR−Bアゴニストを提供する。具体的には、本発明は、上記B型ナトリウム利尿ペプチドレセプター(NPR−B)を活性化する新規NPR−Bアゴニストを提供する。本発明はさらに、そのような新規NPR−Bアゴニストを含む組成物を提供する。本明細書中に提供される組成物は、好ましくは、そのような新規NPR−Bアゴニストを使用して眼内圧を低下させることによって、緑内障などの特定の眼疾患を処置するまたは予防する方法において使用するための眼科用組成物であり得る。あるいは、本明細書中に提供される組成物は、心臓血管障害、腎疾患、肺疾患、骨格障害、不妊症、およびナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される他の障害を処置するまたは予防する方法において使用され得る。
【0020】
本発明は、本明細書中に記載される新規NPR−Bアゴニストが、公知のナトリウム利尿ペプチドと比べて分子サイズが著しく減少したことに起因して、体液または組織において改善されたバイオアベイラビリティ、高い化学安定性および高い代謝的安定性を提供し得るという本発明者らの知見に一部基づく。本願のある特定の実施形態は概して、本明細書中で詳細に記載されるような、改変されたアミノ酸を含み、高特異性でNPR−Bに結合してNPR−Bを活性化する、新規ペプチドに関する。
【0021】
本発明の1つの実施形態に関して議論されるいずれの限定も、本発明の他の任意の実施形態に適用され得ることが特に企図される。さらに、本発明の任意の組成物は、本発明の任意の方法において使用され得、本発明の任意の方法を用いることにより、本発明の任意の組成物が生成され得るかまたは利用され得る。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、用語「NPR−Bアゴニスト」とは、NPR−Bを強力に活性化する本明細書中に記載される新規分子のことを指す。
【0023】
本特許請求の範囲における用語「または」の使用は、どれか一方(alternative)だけを指すと明示的に示されないか、またはそのどれか一方が相互排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、どれか一方だけおよび「および/または」のことを指すという定義を支持する。
【0024】
本願全体を通して、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために使用されたデバイスおよび/または方法に対する誤差の標準偏差を含むことを指すために使用される。
【0025】
本明細書中で使用されるとき、「a」または「an」は、明らかに他のことを示さない限り、1つ以上を意味し得る。本明細書の請求項(複数可)において使用されるとき、単語「a」または「an」は、単語「含む(comprising)」とともに使用されるとき、1つまたは1つより多いということを意味し得る。本明細書中で使用されるとき、「別の」は、少なくとも第2またはそれ以上のことを意味し得る。
【0026】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の精神内および範囲内での様々な変更および改変がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、その詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示の目的だけで与えられることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の局面をさらに実証するために含められる。本発明は、本明細書中に提示される特定の実施形態の詳細な説明とともにこれらの図面の1つ以上を参照することにより、より良く理解され得る。
【図1】図1は、ANP(配列番号1)、BNP(配列番号2)およびCNP(配列番号3)のアミノ酸配列を図示している。
【図2】図2は、GTM−3細胞におけるサイクリックGMP生成に対するCNP、ANP、BNPおよびミニ−ANP(配列番号18)の作用を図示している。GTM−3細胞は、NPR−Bを発現することが示されている(Pangら、1996,Invest Ophthalmol Vis Sci.37:1724−1731)。それらの細胞をCNP(三角)、ANP(四角)、BNP(菱形)およびミニ−ANP(丸)で処理した。これらの記号は、平均値および標準偏差を表している。使用した化合物の最高濃度は、ANP、BNPおよびミニ−ANPについては45μMであり、CNPについては5μMだった。4パラメータロジスティック方程式を用いて、EC50値を決定した。CNP EC50=38.8nM、ANP EC50=1.63μM、BNP EC50=1.18μM、ミニ−ANP EC50>45μM。各化合物のEmax(最大活性化)を、CNPの最大活性化と比較して決定した。すなわち、CNP Emax=100%、ANP Emax=15%、BNP Emax=20%およびミニ−ANP Emax=0%。
【図3】図3は、NPR−Aをトランスフェクトされた293−T細胞におけるサイクリックGMP生成に対するCNP、ANP、BNPおよびミニ−ANPの作用を図示している。NPR−Aをトランスフェクトされた293−T細胞をCNP(三角)、ANP(四角)、BNP(菱形)およびミニ−ANP(丸)で処理した。これらの記号は、平均値および標準偏差を表している。4パラメータロジスティック方程式を用いて、EC50を決定した。ANPのEC50=73.0nM、CNPのEC50=1.60μM、BNPのEC50=1.85μM,ミニ−ANPのEC50=1.54μM。
【発明を実施するための形態】
【0028】
例示的な実施形態の説明
本発明は、公知のナトリウム利尿ペプチドと比べて改善されたバイオアベイラビリティを有する新規NPR−Bアゴニストが、高い眼内圧を低下させるためおよび緑内障を処置するために有用であるという知見に一部基づく。したがって、本発明は概して、新規NPR−Bアゴニスト、およびナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される障害を処置するまたは予防する方法におけるそれらの使用に関する。1つの特に好ましい実施形態において、本明細書中に記載される新規NPR−Bアゴニストは、好ましくは、本明細書中に記載されるような1つ以上の新規NPR−Bアゴニストを含む薬学的組成物を用いて、緑内障に関連することが多い高い眼内圧を低下させることによって、緑内障などの眼疾患の処置のために製剤化される。他の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される新規NPR−Bアゴニストは、他のナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される障害(例えば、心臓血管障害、腎障害、肺障害、骨格障害、受精能障害(fertility disorder)および線維症)を処置するために製剤化される。
【0029】
すべての公知のNPの顕著な特徴は、分子内のシステイン架橋によって形成される17アミノ酸の環である(図1を参照のこと)。上記NPの環状構造の完全性は、機能活性、すなわち、NPレセプターによって形質導入されるcGMP生成にとって重要であると考えられる。本発明者らは、公知のNPと比べて、高い化学的安定性および代謝的安定性ならびに改善されたバイオアベイラビリティを有する、本明細書中に記載される新規ペプチドなどのある特定の直鎖ペプチドが、ナトリウム利尿ペプチドまたはナトリウム利尿タンパク質によって媒介される障害の処置において有用であることを発見した。
【0030】
A.新規ペプチド
本発明は、公知のナトリウム利尿ペプチドの生物学的活性と比べて、ある特定の局面において改善された生物学的活性を有する新規NPR−Bアゴニストを提供する。本発明の新規ペプチドは、通常および通常でないアミノ酸を含む。通常のアミノ酸は、下記の表1に示されるような標準的な3文字コードに従って特定される。
【0031】
表1:通常のアミノ酸については、3文字コードを使用した:
【0032】
【表1】

通常でないアミノ酸は、本発明の新規NPR−Bアゴニスト内に存在するとき、3文字コードまたは他の省略形に従って特定される。下記の表2は、正式な名称、3文字コードまたは省略形、および本明細書中に記載される新規ペプチドの配列中に現れる通常でないアミノ酸の各々の構造物を提供する。
【0033】
表2:通常でないアミノ酸および他の化学構造物の省略形のリスト
【0034】
【表2−01】

【0035】
【表2−02】

【0036】
【表2−03】

【0037】
【表2−04】

【0038】
【表2−05】

【0039】
【表2−06】

【0040】
【表2−07】

【0041】
【表2−08】

【0042】
【表2−09】

【0043】
【表2−10】

【0044】
【表2−11】

【0045】
【表2−12】

【0046】
【表2−13】

【0047】
【表2−14】

【0048】
【表2−15】

本発明の新規NPR−Bアゴニストは、式Iの一般的なアミノ酸配列:
B−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10−Z(I)
を含み、ここで、
Bは、H、Rb1−、Rb2−C(O)−、Rb2−S(O)−、Rb3−Baa−からなる群から選択され;
Baaは、通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸またはβ−アミノ酸であり;
b1は、NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルケニル;NRb4b5、OHまたはORb6によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルアリール;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキニル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたアリールC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルC〜C環状アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C環状アルキルC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルチオC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホキシルC〜C10アルキル;C1〜8アルキルによって必要に応じて置換されたCH−(CHqb−O−[−CH−(CHnbO]mb−CH−(CHpb−,2−チアゾロから選択され;
qb=0〜3であり、
nb=1〜3であり、
mb=1〜3であり、
pb=1〜3であり、
b2は、NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルケニル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたアリールC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキニル;NRb4b5、OHまたはORb6によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルアリール;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルC〜C環状アルキル;NRb4b5、OH、ORb6〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C環状アルキルC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルチオC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホニルC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホキシルC〜Cアルキル、CH−(CHqb−O−[−CH2−(CHnbO]mb−CH−(CHpb−から選択され;
qb=0〜3であり、
nb=1〜3であり、
mb=1〜3であり、
pb=0〜3であり、
b3は、H、Rb1−、Rb2−C(O)−またはRb2−S(O)−から選択され;
b4、Rb5およびRb6は、独立して、HまたはC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;γ−アミノ酸;または式IIa〜yの残基:
【0049】
【化1】

からなる群から選択され、
1aは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、OHによって必要に応じて置換された(substitiuted)ヒドロキシC〜Cアルキルから選択され;
1cは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1dは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて複素環式環を形成し得;
は、0〜3であり;
Xaaは、式IIIa〜gのアミノ酸残基:
【0050】
【化2】

であり、ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル;およびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2aおよびR2bまたはR2aおよびR2cは、一緒にあわせて複素環式環を形成し得;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択されるか;または
XaaおよびXaaは、共に、式IVa〜bのアミノ酸残基
【0051】
【化3】

から選択され得、
Xaaは、Gly、Ala、通常のD−α−アミノ酸、通常でないD−α−アミノ酸および式Vaのアミノ酸残基:
【0052】
【化4】

からなる群から選択され、
ここで、R3aは、HまたはC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、H、−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、H、NR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキル、−(C=N)−NHおよび−(CHn3b3bからなる群から選択され;
n3bは、1〜4であり;
3bは、NR3e3f、C〜Cヘテロアリール、C〜Cヘテロシクリル、−NHC(=N)NHからなる群から選択され;
3eおよびR3fは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、
ここで、R3eおよびR3fは、環状構造物を形成し得;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
もしくはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて複素環式構造物を形成し得るか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式Vbのアミノ酸残基:
【0053】
【化5】

から選択され得、ここで、R3gは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN;CF、OH、OR3hおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3hは、C〜Cアルキルからなる群から選択され、
Xaaは、式VIa〜hのアミノ酸残基
【0054】
【化6】

であり、ここで、R4aは、Hと、OH、CO4c、C(=O)−NH、5〜6員のヘテロアリール、C〜C10アルキル、C〜CシクロアルキルC〜C10アルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される部分で置換され得るC1−アルキルと、−(CHn4a−X4aとからなる群から選択され;
4aは、1または2であり;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
4aは、OH、CO4d、NR4e4f、SR4g、4−イミダゾイル、4−ヒドロキシフェニルであり;
4d、R4eおよびR4fは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
4gは、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
m4aおよびm4bは、独立して、0または1から選択され;
4hは、C〜Cアルキルであるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式VIb〜hのアミノ酸残基から選択され得;
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【0055】
【化7】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC4−7アミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得るか、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、単環式もしくは二環式の複素環式構造物を形成し得;ここで、上記複素環式環は、0〜3個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、OR5d、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5dは、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリールから選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5b、−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され;
5fは、H、C〜Cアルキル、−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、H、NR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
Xaaは、式VIIIa〜dのアミノ酸残基:
【0056】
【化8】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルキルS(C〜Cアルキル)およびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、上記C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルは、OH、O(C〜Cアルキル)、S(C〜Cアルキル)およびNR6d6eからなる群から選択される部分で置換され得;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
6dおよびR6eは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R6aおよびR6cは、OH、C〜Cアルキル、NHおよびFからなる群から選択される部分で置換され得る環状構造物を形成し得るか;
もしくはR6aおよびR6cは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて複素環式構造物を形成し得るか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式VIIIeのアミノ酸残基:
【0057】
【化9】

であり得、
Xaaは、式IXa〜bのアミノ酸残基:
【0058】
【化10】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、(CHn7a−X7a、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
7dは、C〜Cアルキルであり;
7aは、1および2からなる群から選択され;
7aは、2−チエニル、C(=O)OR7e、C(=O)NH、S(=O)OH、OS(=O)OH、B(OH)、P(=O)(OH)およびOP(=O)(OH)からなる群から選択され;
ここで、R7eは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
Xaaは、式Xa〜gのアミノ酸残基:
【0059】
【化11】

であり、ここで、R8aは、(CHm8a−X8a、およびC〜C窒素含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
8cは、H、NHおよびOHからなる群から選択され;
8aは、CH(R8d)およびSからなる群から選択され;
8dは、H、アリールおよびOHからなる群から選択され;
8bは、CH(R8e)およびNHからなる群から選択され;
8eは、H、NHおよびOHからなる群から選択され;
8cは、CHおよびNR8fの群から選択され;
8fは、H、−C(=NH)NHおよび−C(=O)CHNHの群から選択されるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式Xhのアミノ酸残基:
【0060】
【化12】

であり得;
Xaaは、直接の結合および式XIa〜cのアミノ酸残基
【0061】
【化13】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、H、メチルからなる群から選択されるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式XIdの残基:
【0062】
【化14】

であり得;
そして
Zは、H、OR11a、NHR11b通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸、β−アミノ酸;ならびに通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸およびβ−アミノ酸からなる群から選択される2〜30個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選択され;
ここで、R11aおよびR11bは、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリール、C〜CアルキルC〜Cシクロアルキルまたは式XIIa〜cの残基:
【0063】
【化15】

からなる群から選択される。
【0064】
本明細書中で使用されるとき、句「必要に応じて置換された」は、その句が指している部分が、置換されなくてもよいし、ある特定の追加の部分で置換されてもよいことを意味することが当業者によって理解されるものとする。例えば、句「NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキル」とは、置換されていないかまたはNRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルからなる群から選択される部分によって置換されたC〜C12アルキル化合物のことを指す。化合物ヘキサンは、置換されていないCアルキル化合物であり、化合物3−ヘキサノールは、3番目の炭素原子においてOH部分で置換されたCアルキル化合物である。
【0065】
本発明のある特定の好ましいNPR−Bアゴニストにおいて:
Bは、Rb1−、Rb2−C(O)−からなる群から選択され;
b1は、NRb4b5によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルから選択され;
b2は、NRb4b5によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルから選択され;
b4およびRb5は、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;または式IIa、IIs、IIt、IIuおよびIIv:
【0066】
【化16】

からなる群から選択される残基からなる群から選択され、
1aは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、OHによって必要に応じて置換されたヒドロキシC〜Cアルキルから選択され;
1cは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
は、0〜3であり;そして
Xaaは、式IIIaまたは式IIIbのアミノ酸残基:
【0067】
【化17】

であり、ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル;およびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2aおよびR2bまたはR2aおよびR2cは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式Vaのアミノ酸残基:
【0068】
【化18】

であり、
ここで、R3aは、HまたはC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、H、−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、HおよびNR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキル、−(C=N)−NHおよび−(CHn3b3bからなる群から選択され;
n3bは、1〜4であり;
3bは、NR3e3f、C〜Cヘテロアリール、C〜Cヘテロシクリル、−NHC(=N)NHからなる群から選択され;
3eおよびR3fは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、
ここで、R3eおよびR3fは、環状構造物を形成し得;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
またはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、複素環式構造物を形成し得;
そして
Xaaは、式VIaのアミノ酸残基:
【0069】
【化19】

であり、
ここで、R4aは、Hと、OH、CO4c、C(=O)−NH、5〜6員のヘテロアリール、C〜C10アルキル、C〜CシクロアルキルC〜C10アルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される部分で置換され得るC〜Cアルキルとからなる群から選択され;
n4aは、1または2であり;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC1〜3アルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【0070】
【化20】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC4−7アミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得、ここで、上記複素環式環は、0〜2個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、OR5d、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5dは、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリールから選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5b、−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され;
5fは、H、C〜Cアルキルおよび−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、H、NR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、式VIIIaのアミノ酸残基:
【0071】
【化21】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルキルS(C〜Cアルキル)およびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、上記C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルは、OH、O(C〜Cアルキル)およびS(C〜Cアルキル)からなる群から選択される部分で置換され得;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式IXaのアミノ酸残基:
【0072】
【化22】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Xaaは、式X(a)〜(g)のアミノ酸残基:
【0073】
【化23】

であり、
ここで、R8aは、(CHm8a−X8aであり;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;そして
Xaaは、直接の結合、および式XIa〜cのアミノ酸残基
【0074】
【化24】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択されるか;
またはR9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Zは、NHR11bであり;
ここで、R11bは、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリール、C〜CアルキルC〜Cシクロアルキル、または式XIIa〜cの残基
【0075】
【化25】

からなる群から選択される。
【0076】
本発明のより好ましい実施形態において、Bは、Rb1−およびRb2−C(O)−からなる群から選択され;
b1は、C〜C10アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C10アルキルからなる群から選択され;
b2は、C〜C10アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C10アルキルからなる群から選択され;
b4およびRb5は、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;式IIaの残基、式IIsの残基、式IItの残基、式IIuの残基および式IIvの残基
【0077】
【化26】

からなる群から選択され、
ここで、R1aは、HおよびC〜Cアルキルから選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、およびOHによって必要に応じて置換されたヒドロキシC〜Cアルキルから選択され;
1cは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
は、0、1であり;そして
Xaaは、式IIIのアミノ酸残基:
【0078】
【化27】

であり、ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル;およびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式Vaのアミノ酸残基:
【0079】
【化28】

であり、
ここで、R3aは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、Hおよび−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、HおよびNR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキルおよび−(C=N)−NHからなる群から選択され;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
またはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、複素環式構造物を形成し得;
そして
Xaaは、式VIaのアミノ酸残基:
【0080】
【化29】

であり、
ここで、R4aは、Hと、OHおよびCO4cからなる群から選択される部分で置換され得るC〜Cアルキルとからなる群から選択され;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【0081】
【化30】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC4〜7アミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得、ここで、上記複素環式環は、0〜2個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5bおよび−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され;
5fは、H、C〜Cアルキルおよび−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、HおよびNR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、式VIIIaのアミノ酸残基:
【0082】
【化31】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、上記C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルは、OHおよびO(C〜Cアルキル)からなる群から選択される部分で置換され得;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式IXのアミノ酸残基:
【0083】
【化32】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Xaaは、式Xaのアミノ酸残基:
【0084】
【化33】

であり、
ここで、R8aは、(CHm8a−X8aであり;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;そして
Xaaは、直接の結合および式XIaのアミノ酸残基
【0085】
【化34】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Zは、NHR11bであり;
ここで、R11bは、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリールおよびC〜CアルキルC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される。
【0086】
本発明の好ましい新規NPR−Bアゴニストの配列は、当業者によって理解されるような代表的なペプチド配列の形式で本明細書中に提供される。例えば、通常のアミノ酸の3文字コード、または通常でないアミノ酸に対する省略形は、その分子の配列内の特定の位置における特定のアミノ酸の存在を示し、各アミノ酸は、ハイフンによって次および/または前のアミノ酸に接続される。そのハイフンは、化学結合、代表的にはアミド結合を表すものであり、それがその省略形の右に置かれているときは、そのアミノ酸の1−カルボキシル基からOHを除去し、その省略形の左に置かれているときは、そのアミノ酸の2−アミノ基(または、2−アミノ基を欠くアミノ酸、例えば、Balの場合は唯一存在するそのアミノ基)からHを除去する。両方の修飾が1つのアミノ酸に適用され得ることが理解される。
【0087】
通常または通常でないアミノ酸の側鎖に官能基が付加されている場合、2−アミノ基および/または1−カルボキシ基だけが、ペプチド結合の形成に使用される。
【0088】
本明細書中に記載される新規NPR−BアゴニストのC末端は、OH、NH2、またはC末端のアミノ酸の省略形の右側のハイフンによって分断される特定の末端アミンに対する省略形を付加することによって、明確な形態で示される。
【0089】
これらの特定の末端アミンは、完全な式として表2に提供され、ハイフンおよびペプチドコンテクストにおけるその構造物に関する類似の慣習がそれらに適用される。例えば、
3791=NH−CH(CH−CH)−CH−CH
−3791=−NH−CH(CH−CH)−CH−CH
本明細書中に記載される新規ペプチドのN末端は、H(化合していないN末端に対して)または、特定の末端のカルボン酸、スルホン酸、もしくはN末端のアミノ酸の記号の前における別の末端基に対する省略形を付加することによって、明白な形態で示される。
【0090】
これらの特定の末端のカルボン酸、スルホン酸、またはアルキルのような他の末端基が、完全な式として表2に提供されており、ハイフンおよびペプチドコンテクストにおけるその構造物に関する類似の慣習がそれらに適用される。例えば、
Hex=ヘキサン酸
Hex−=ヘキサノイル− である。
【0091】
通常のアミノ酸およびいくつかの通常でないアミノ酸については、3文字コードを使用し、ここで、1文字目がC−アルファ−原子の立体化学(stereochemistry)を示す。例えば、大文字の1文字目は、L型のアミノ酸がペプチド配列内に存在していることを示し、小文字の1文字目は、D型の対応するアミノ酸がペプチド配列内に存在していることを示す。
【0092】
本発明の好ましい実施形態において、上記新規NPR−Bアゴニストは、表3に示されるような配列を有する8〜13アミノ酸のペプチドである。表3には好ましい化合物のアゴニスト活性も提供され、それは、以下の慣習に基づいて類別された:
【0093】
【化35】

各化合物のアゴニスト活性データをまず調べることにより、それがA群の活性に対する基準を満たすかどうかを決定した。それがA群の活性に対する基準を満たさない場合、それをB群の基準について調べた。それがA群の活性に対する基準もB群の活性に対する基準も満たさない場合、最後にそれをC群の基準について調べた。それがC群の活性に対する基準を満たさない場合、それを表3に含めなかった。
【0094】
表3中のすべての例が、適用可能である場合に3文字コードで記載される直鎖ペプチドである。通常でないアミノ酸および他の化学部分については、表2に列挙された省略形を使用した。表3に報告されたインビトロ活性は、実施例4に記載される方法に従って行われた実験から得られた。
【0095】
本発明のNPR−Bアゴニストのある特定の実施形態において、式1の化合物では:
Bは、結合、Occ、Oct、Sbt、1319、1320および5587から選択され;
Xaaは、Gly、AR−201−49、AR−201−68、ala、abu、his、aze、pro、pip、thz、thi、asn、ser、His、Ala、Ser、Bal、Sni、Az3およびGabから選択され;
Xaaは、Phe、Pcf、Nmf、Pbf、Pff、Pmf、Eaa.Mcf、ThkおよびMtfから選択され;
Xaaは、Gly、Aib、Ebc、通常のD−α−アミノ酸および通常でないD−α−アミノ酸から選択され得、好ましくは、Gly、Fhy、Apc、Egz、Aib、Ebc、ala、lys、lys(Me2)、arg、leu、nle、ctb、abu、AR−385−12、Egg、ser、orn、orn(Me2)およびdap(Me)から選択され;
Xaaは、Leu、Nva、Nle、Hle、Npg、ChaおよびAlaから選択され得;
Xaaは、Lys、Orn、Hly、Hpa、Dab、Arg、前述のアミノ酸のいずれかのN(アルキル)誘導体、Nmk、Hpr、Pro、Tfp、Apr、Eaz、Hyp、Tap、Tap(G)、Tap(Bal)、Tap(Et)、Tap(Ae)、Tap(Ap)、Amp、PipおよびChyから選択され;
Xaaは、結合、Leu、Ile、Nml、Tap、Npg、SH−158、Dap(Me2)、Cpg、Val、Tbg、Chg、Hle、Nle、および上記のアミノ酸のいずれかのN(アルキル)誘導体から選択され;
Xaaは、Asp、Val、BB725、BB727、Ser、ThrおよびCyaから選択され;
Xaaは、Arg、Nmr、Pro、Eaz、Pca、Orn、Fhz、Har、Nar、Cyr、Mmr、Dmr、Bmr、Opyおよび上記のアミノ酸のいずれかのN(アルキル)誘導体から選択され;
Xaaは、Ile、Tbg、Deg、Egz、Aml、1860、Che、Nmi、Leu、Val、EcbおよびEcaから選択され;そして
Xaa10は、結合、SerおよびそのN(アルキル)誘導体から選択される。
【0096】
表3:本発明の好ましい化合物およびインビトロアッセイにおけるそれらのアゴニスト活性
【0097】
【表3−01】

【0098】
【表3−02】

【0099】
【表3−03】

【0100】
【表3−04】

【0101】
【表3−05】

【0102】
【表3−06】

【0103】
【表3−07】

【0104】
【表3−08】

【0105】
【表3−09】

【0106】
【表3−10】

【0107】
【表3−11】

【0108】
【表3−12】

【0109】
【表3−13】

【0110】
【表3−14】

【0111】
【表3−15】

【0112】
【表3−16】

【0113】
【表3−17】

【0114】
【表3−18】

【0115】
【表3−19】

【0116】
【表3−20】

【0117】
【表3−21】

【0118】
【表3−22】

【0119】
【表3−23】

【0120】
【表3−24】

【0121】
【表3−25】

本発明の好ましいNPR−Bアゴニストは、上記の表3に示されているようなB群の活性内にあるペプチドである。本発明の最も好ましいNPR−Bアゴニストは、下記の表4に示されるようなA群の活性内にあるペプチドである。
【0122】
表4:本発明による最も好ましい化合物およびインビトロアッセイにおけるそれらのアゴニスト活性。
【0123】
【表4−1】

【0124】
【表4−2】

【0125】
【表4−3】

【0126】
【表4−4】

【0127】
【表4−5】

【0128】
【表4−6】

【0129】
【表4−7】

B.処置されるおよび/または予防される疾患
本発明は、被験体における疾患を処置するまたは予防する方法にも関し、その方法は、本明細書中に記載されるような1つ以上のNPR−Bアゴニストを含む治療有効量の組成物をその被験体に投与する工程を包含し、ここで、その疾患は、以下のうちの1つである。上記被験体は、哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスまたはラット)であり得る。特定の実施形態において、上記被験体は、ヒトである。
【0130】
1.定義
「処置」および「処置する」とは、被験体に薬物を投与することもしくは適用すること、または疾患もしくは健康に関係する異常の治療上の利益を得る目的のために被験体に対して手技もしくはモダリティーを実施することを指す。本願全体にわたって使用される用語「治療上の利益」とは、上記被験体の状態の医学的処置に関してその被験体の福祉を促進するまたは向上させる任意のもののことを指す。これには、疾患の徴候または症状の頻度または重症度の低下が含まれるが、これらに限定されない。治療上の利益には、緑内障を有する被験体における緑内障に関連する徴候または症状の減少も含まれる。例えば、緑内障を有する患者における治療上の利益は、罹患している眼における視野喪失がさらに進行しないか、または罹患している眼における視野喪失の進行速度が遅くなるか、または視力が改善する場合に、得られる。
【0131】
「疾患」または「健康に関係する異常」は、任意の原因(例えば、感染、外傷、遺伝子欠損、身体の機能の加齢に関連した悪化および/または環境ストレス)に由来する、身体の一部、器官または系の任意の病理学的な状態であり得る。その原因は、判明している場合もあり、判明していない場合もある。疾患の例としては、緑内障、網膜症、眼球の外傷および視神経障害が挙げられる。したがって、当業者は、処置が疾患の状態を改善し得るがその疾患に対する根治ではない場合もあることを明確に理解する。
【0132】
用語「予防」および「予防する」は、「〜の前に作用する」またはそのような作用のことを意味する、それらの通常かつ平易な意味に従って本明細書中で使用される。特定の疾患または健康に関係する異常という状況では、それらの用語は、被験体への薬剤、薬物もしくは治療薬の投与もしくは適用、または疾患もしくは健康に関係する異常の発生を阻止するもしくは最小にする目的のための被験体に対する手技もしくはモダリティーの実施のことを指す。例えば、緑内障を発症するリスクのある眼を有する個体(例えば、高眼圧症を有する個体)は、緑内障の徴候もしくは症状の発生を阻止するまたは最小にする目的(すなわち、緑内障の予防)のために本明細書中に示されるようなNPR−Bアゴニストで処置され得る。特定の実施形態において、予防は、高い眼内圧の低下、被験体における緑内障の結果としての検出可能な視神経損傷の阻止、被験体における視力喪失速度の低下、または被験体における視力喪失の停止に関係する。上記被験体は、関連性のある予防薬が投与される時点において特定の疾患または健康に関係する異常がないと判明しているかまたは推測される被験体であり得る。例えば、その被験体は、疾患または健康に関係する異常を有することが知られていない被験体(すなわち、健常な被験体)であり得る。いくつかの実施形態において、上記被験体は、過去に処置された既往症を有し、現在は疾患がないことが判明しているかまたはそのように推測されている。
【0133】
当業者の場合、種々の疾患が、ある特定の用語または一般的な用語の下で摘要されると理解するのは容易である。これらの摘要は限定ではなく、各疾患は、それ自身について考察され得、本発明に記載の化合物で処置され得るかまたは予防され得る。
【0134】
2.緑内障および高眼圧症
緑内障は、世界的に失明の主原因の第2位である(Thylefors and Negrel 1994,Bull World Health Organ.72:323−326)。開放隅角緑内障(OAG)と閉塞隅角緑内障とをあわせると、世界的に失明の主原因の第2位である(Quigley and Broman,2006 Br J Ophthalmol.90:262−267)。閉塞隅角緑内障は、アジア人口においてより一般的であり(Fosterら、2000,Arch Ophthalmol.118:1105−11)、開放隅角緑内障は、黒人の患者においてより一般的に見られる(Leskeら、2007,Ophthalmic Epidemiol.14:166−172)。緑内障は、視力喪失のリスクが罹病期間とともに増大する進行性疾患である。世界中の高齢人口に照らして、この失明に至る障害の影響は、将来大きくなると予想され得る。
【0135】
緑内障と呼ばれるその疾患状態は、視神経に対する不可逆的な損傷に起因する視覚機能の永久喪失を特徴とする疾患のファミリーである。より詳細には、緑内障は、網膜神経節細胞(RGC)の機能が失われた後にアポトーシス細胞死および視力喪失の漸進的増加に至る視神経障害をもたらす。形態学的または機能的に異なるタイプの緑内障は、代表的には、この疾患の病理学的な経過の重要な危険因子であると考えられる高い眼内圧(IOP)を特徴とする。正常な房水流出が妨害されてIOPの上昇がもたらされることは、緑内障の病態生理学につきものである。高眼圧症は、IOPが上昇しているが明らかな視覚機能喪失が起きていない状態であり;そのような患者は、緑内障に関連する視力喪失が最終的に発生するリスクが高いと考えられる。緑内障により視野が喪失した一部の患者は、比較的低いIOPを有する。これらのいわゆる正常眼圧または低眼圧の緑内障患者もまた、IOPを低下させるおよび調節する薬剤の恩恵を受け得る。
【0136】
緑内障は、代表的には、IOPの変化、視野欠損および/または視神経円板における眼底の変化によって同定される。ほとんどの緑内障患者に見られる高いIOPは、眼の虹彩角膜角に位置する房水濾過組織である線維柱帯(TM)の形態学的および生化学的な変化の結果である。緑内障が進行するにつれて、TM細胞が失われ、正常な房水流出を阻害する細胞外の生成物が蓄積し、IOP上昇をもたらす。高いIOPに加えて、遺伝子欠損などの他の因子が、視神経乳頭(ONH)の機械的変形をもたらし得、最終的には、ONH陥凹ならびにRGCおよびそれらの軸索の喪失を生じ得る。この病理学的なプロセスの厳密な機構は、現在のところ不明である。緑内障と診断された患者のIOPを少なくとも20〜30%低下させることにより、この疾患の進行性悪化が50〜60%減少するということが示唆されている(Quigley 2005 Ophthalmology 112:1642−1643)。適正な診断および処置がなければ、緑内障は、不可逆的な完全な失明に進行し得る。
【0137】
初めに、ほとんどの開放隅角緑内障患者は、房水流出を増加させるおよび/または房水の生成を減少させるように作用する多種多様の局所眼用または経口の降圧剤の1つ以上、またはレーザー線維柱帯形成術および濾過手術などの外科手技で管理される。原因が何であれ、高いIOPを示している患者に対して現在利用可能な処置レジメンとしては、代表的には、1日1回から1日あたり複数回の、低分子IOP低下化合物を含む1または複数の点眼剤または丸剤による局所的適用が挙げられる。また、作り出される房水の量を減少させる丸剤が、1日に2〜4回与えられ得る。代表的に処方される緑内障用の薬剤としては、コリン作動性アゴニスト、アドレナリン作動性アゴニスト、ベータアドレナリン遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬およびプロスタグランジンアナログが挙げられる。これらのクラスの薬剤は、IOPを調節する際に有効であるが、それらの各々は、有効性および有害作用においてある特定の限界を有する。例えば、ベータアドレナリン遮断薬は、夜間にIOPを低下させず;多くの緑内障患者は、特定の薬物クラスに反応せず;そして緑内障患者の大部分は、薬物の併用を必要とする。さらに、それらの薬物の多くは、眼の局所刺激(例えば、灼けつく感覚(burning)、刺すような感覚(stinging)、かゆみ、流涙、結膜充血、異物感、かすみ目および眼痛)を引き起こす。いくつかは時折、全身性の副作用を誘導する。ゆえに、新規および改善された緑内障用の薬剤が本当に必要とされ続けている。
【0138】
本明細書中で使用される「緑内障」および「緑内障性視神経障害」および「緑内障性網膜症」は、相互交換可能である。緑内障とは、網膜および視神経における網膜神経節細胞に対する不可逆的な損傷に起因する視覚機能の永久喪失を特徴とする疾患のことを指す。緑内障および関連する視覚機能喪失の主要な危険因子は、高い眼内圧である。緑内障には種々のタイプがあり、それらとしては、原発性開放隅角緑内障(POAG)、閉塞隅角緑内障および先天性/発達性緑内障が挙げられる。
【0139】
本明細書中で使用されるとき、用語「眼内圧」または「IOP」とは、眼の内側の内容物の圧力のことを指す。正常なヒトの眼では、IOPは、代表的には10〜21mmHgの範囲内である。IOPは、個体によって異なり、例えば、IOPは、解剖学的な問題に起因して、眼の炎症に起因して、薬剤からの副作用として、または遺伝因子に起因して、上昇するようになり得る。「高い」眼内圧は、現在のところ、≧21mmHgであると考えられており、これは、緑内障の発症に対する主要な危険因子であるとも考えられている。
【0140】
しかしながら、高いIOPを有する一部の個体は、緑内障を発症しないことがあるが、その個体は高眼圧症を有すると考えられる。本明細書中で使用される「高眼圧症」とは、被験体の眼の眼内圧が正常よりも高いが、視神経および視野が正常限界内である状態のことを指す。これらの個体は、代表的に緑内障に関連する視覚機能の喪失を生じやすい可能性がある。本明細書中で使用されるとき、用語「しやすい」または「感受性」とは、高い眼内圧に関連する視神経の損傷または網膜の損傷を生じているかまたは生じるリスクがある個体または被験体のことを指す。
【0141】
したがって、本発明は、被験体における眼疾患を処置するまたは予防する方法に関し、その方法は、本明細書中に記載されるような1つ以上のNPR−Bアゴニストを含む治療有効量の組成物をその被験体に投与する工程を包含し、ここで、その眼疾患は、緑内障、高い眼内圧または高眼圧症である。上記被験体は、哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスまたはラット)であり得る。特定の実施形態において、上記被験体は、ヒトである。
【0142】
好ましい局面において、本発明のNPR−Bアゴニストは、緑内障に関連する眼内圧を低下させる。その緑内障は、任意のタイプの緑内障(例えば、原発性開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、正常眼圧緑内障、先天性緑内障、血管新生緑内障、ステロイド誘発性緑内障または眼の外傷に関係する緑内障(例えば、泡沫細胞緑内障または脈絡膜剥離に関係する緑内障)であり得る。
【0143】
本発明はまた、被験体における眼内圧を低下させる方法に関し、その方法は、本明細書中に記載されるNPR−Bアゴニストを含む薬学的に有効な量の組成物をその被験体に投与する工程を包含し、ここで、眼内圧(intraocular pressed)が低下される。特定の実施形態において、上記被験体は、ヒトである。例えば、特定の実施形態において、そのヒトは、高眼圧症または高いIOPを有する患者である。
【0144】
3.糖尿病におけるようなCNP欠乏
糖尿病性腎症は、長年にわたる真性糖尿病に由来する進行性の腎疾患である。実験的証拠から、ナトリウム利尿ペプチドが、真性糖尿病に見られる糸球体の異常において病態生理学的役割を果たすことが示されている。BNPの過剰発現が、糖尿病のストレプトゾトシン誘発性マウスモデルにおいて糖尿病性腎症を予防した(Makinoら、2006,Diabetologia.49:2514−2524)。ストレプトゾトシン誘発性の糖尿病ラットを用いた別の研究では、心臓のCNP mRNA濃度が2.6倍低下した(Waltherら、2000,J Mol Endocrinol.24:391−395)。糖尿病の遺伝モデルである非肥満の糖尿病マウスでは、糖尿病マウスから得られたメサンギウム細胞が、NPR−Cの恒常的な過剰発現を示した;これは、ANPまたはCNP処置に対してcGMP生成の応答が弱いことに関連した(Ardaillouら、1999,Kidney Int 55:1293−1302)。
【0145】
4.血管平滑筋細胞の過剰増殖を伴う異常
血管平滑筋細胞(VSMC)の異常な成長は、多くの血管疾患の共通原因である。成長阻害物質と成長促進物質との均衡が乱れることにより、それらの細胞の過剰増殖、およびこのプロセスにおいて主要な役割を果たすと見られるナトリウム利尿ペプチドを含む血管作用性物質がもたらされる。初期の実験的知見は、グアニリルシクラーゼが結合したナトリウム利尿ペプチドレセプターが、血管平滑筋細胞の成長に対するナトリウム利尿ペプチドの抗増殖活性を媒介することを示している(Hutchinsonら、1997,Cardiovasc Res.35:158−167)。エキソビボ実験は、CNPによるラットVSMCの成長の直接的な阻害を示した(Furuyaら、1991,Biochem Biophys Res Commun.177:927−931)。さらに、ラットVSMCの遊走を、CNPによって阻害することができた(Ikedaら、1997,Arterioscler Thromb Vasc Biol.17:731−736)。CNP遺伝子導入が、インビボにおいてブタ大腿動脈のVSMC増殖を減少させ、その作用は、CNPペプチドの適用よりも優れていた(Pelisekら、2006,J Gene Med.8:835−844)。別の報告では、CNP遺伝子導入が、インビボにおいてブタの冠状動脈の血管リモデリングを抑制し(Morishigeら、2000,J Am Coll Cardiol.35:1040−1047)、ゆえに、VSMCの過剰増殖を相殺するためにCNPを用いる理論的根拠がさらに強化された。
【0146】
5.心臓の病変、特に、心不全および心肥大
かなりの証拠が、心血管疾患、特に心不全におけるナトリウム利尿ペプチドについての中心的な病態生理学的役割を支持している。この適応症においてCNPに焦点を合わせる利点は、NPR−A活性がこの異常において低下することが示された(Dickeyら、2007,Endocrinology.148:3518−3522,Nakamuraら、1994,Circulation.90:1210−1214)一方で、NPR−Bの反応性が変化しないことである。血漿CNPが心不全患者では高いという事実(Del Ryら、2005,Eur J Heart Fail.7:1145−1148,Del Ryら、2007,Peptides.28:1068−1073)は、末梢血管系において代償的な血管拡張反応の一部と解釈される(Del Ryら、2005,Eur J Heart Fail.7:1145−1148,Wrightら、2004,Hypertension.43:94−100)。心不全の伝統的な処置は、心筋細胞の喪失および肥大を防ぐことによって心機能の支持を目指すものである。CNPは、心筋細胞の活力に対する正の作用を介して心機能を支持することができる(Rosenkranzら、2003,Cardiovasc Res.57:515−522,Tokudomeら、2004,Endocrinology.145:2131−2140)。また、CNPは、心臓線維症を減少させ(Horioら、2003,Endocrinology.144:2279−2284)、その作用は、ANPまたはBNPによる作用よりも強かった。イヌにおける研究の結果から、CNPの潜在的な変力作用が示された(Beaulieuら、1997,Am J Physiol.273:H1933−1940)ことから、CNPが心不全を処置する潜在能力が支持される。
【0147】
心臓の肥大は、その筋線維の体積の増加に起因するこの器官の拡大である。実験的証拠は、CNPが心臓内および冠循環内において重要なオートクリン機能およびパラクリン機能を示すことを示唆する(D’Souzaら、2004,Pharmacol Ther.101:113−129)。CNPのインビボ投与は、ラットにおいて心筋梗塞後に心機能を改善し、心臓リモデリングを減弱することが示された(Soekiら、2005,J Am Coll Cardiol 45:608−616)。別の最近の研究は、心筋細胞においてCNPを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいてCNPが実験的心筋梗塞の後の心筋細胞の反応性肥大を減少させることができることを示している(Wangら、2007,Eur J Heart Fail.9:548−557)。
【0148】
6.心臓血管の病変、特にアテローム性動脈硬化症、高血圧症、内皮機能不全および血栓性事象
アテローム性動脈硬化症は、動脈の血管壁における慢性炎症反応である。インビトロでの証拠は、CNPが、血管平滑筋細胞の増殖および遊走において阻害性の役割を有することを示唆している(Furuyaら、1991,Biochem Biophys Res Commun.177:927−931,Shinomiyaら、1994,Biochem Biophys Res Commun.205:1051−1056)。C型ナトリウム利尿ペプチドは、インビボにおいてウサギおよびラットの損傷を受けた動脈における新生内膜肥厚を阻害した(Furuyaら、1995,Ann N Y Acad Sci.748:517−523,Uenoら、1997,Circulation.96:2272−2279)。ウサギでのアテローム性動脈硬化症の実験モデルにおいて、CNPの局所注入が、内皮の機能の保護および新生内膜肥厚(普通は内皮損傷に起因する)の防止をもたらした(Gaspariら、2000,Clin Exp Pharmacol Physiol.27:653−655)。
【0149】
肺高血圧症は、肺動脈系における圧の上昇を特徴とする進行性疾患である。通常の処置は、血管拡張性物質の使用である。おそらくVSMCとの直接的な相互作用を介して、動脈を弛緩するCNPの能力は、単離されたブタ冠状動脈において以前に示されていた(Martonら、2005,Vascul Pharmacol.43:207−212)。より詳細には、CNPによる処置が症状発生の3週間後に開始されたとしても、CNPは、ラットにおけるモノクロタリン誘発性肺高血圧症を回復させることができ、生存を改善した(Itohら、2004,Am J Respir Crit Care Med.170:1204−1211)。
【0150】
内皮の機能不全は、アテローム性動脈硬化症および再狭窄の発症において基本的役割を果たす。初期のアテローム性動脈硬化症または再狭窄の特徴と類似の特徴を有するウサギモデルにおいて、ANPまたはCNPの長期にわたる動脈周囲投与が、内皮の機能不全および新生内膜の発生を防止した(Gaspariら、2000,Clin Exp Pharmacol Physiol.27:653−655,Barberら、2005,J Vasc Res.42:101−110)。
【0151】
血栓性事象の予防は、心血管疾患の管理にとって重要である。CNPの抗血栓作用は、周知である(Ahluwaliaら、2004,Basic Res Cardiol.99:83−89)。CNPがウサギ頚静脈自家(antilogous)移植片内に存在するとき、血栓形成が有意に抑制された(Ohnoら、2002,Circulation.105:1623−1626)。バルーン損傷のウサギ頚動脈のモデルにおいて、CNPは、おそらくは、誘導性NOシンターゼの発現を増強することによるNO生成の増加を介して、抗血栓活性を発揮することが示された(Qianら、2002,Circ Res 91:1063−1069)。
【0152】
7.動脈形成の刺激
動脈形成は、側副小動脈が機能的な側副動脈に成長することを指し、それは、その小動脈の壁に対してずれ応力を引き起こす血圧の上昇および流量の増加に関連がある。この事象の刺激は、動脈閉塞性疾患を処置するストラテジーを提示する(van Royenら、2001,Cardiovasc Res.49:543−553)。冠動脈側副血流に対するANPの有益な作用は、それより以前に示されていた(Kyriakidesら、1998,Clin Cardiol.21:737−742)。
【0153】
8.炎症、特に炎症性メディエーター、例えば、TNF−アルファ、他のサイトカインまたは任意の種類の炎症性メディエーターの減少
いくつかの刊行物が、炎症反応の調節におけるCNPの役割を示唆している:バルーン損傷のウサギ頚動脈のモデルにおいて、CNPのインビボ発現が、炎症性マーカーICAM−1の発現を低下させ、推定ではNO生成の増強を介して、マクロファージの浸潤を減少させた(Qianら、2002,Circ Res 91:1063−1069)。別の研究では、インビトロでのラットの大動脈平滑筋細胞において、CNPが、炎症性サイトカイン(インターロイキン−1および腫瘍壊死因子−α)によって誘導されるiNOSの転写活性化、ゆえに、NOの生成を増大させた(Marumoら、1995,Endocrinology.136:2135−2142)。実験的急性心筋炎を有するラットにおけるCNP注入によって、CD68陽性炎症細胞の浸潤が減少し、単球化学誘引物質タンパク質−1の心筋中および血清中のレベルが低下した(Obataら、2007,Biochem Biophys Res Commun.356:60−66)。P−セレクチンの発現を選択的に減弱することによって、CNPは、マウスにおいて急速かつ可逆的かつ濃度依存的な様式で、IL−1βまたはヒスタミンによって誘導される白血球ローリングを抑制した(Scotlandら、2005,Proc Natl Acad Sci USA.102:14452−14457)。マウスにおけるブレオマイシン誘発性肺線維症のモデルでは、CNPの注入によって、気管支肺胞洗浄液中のIL−1βレベルが著しく低下した(Murakamiら、2004,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.287:L1172−1177)。
【0154】
9.内皮への病理学的な白血球接着および組織への血管外遊出
基礎の白血球活性化が高い(内皮一酸化窒素シンターゼノックアウトマウス)または急性炎症状態(IL−1βまたはヒスタミンによって誘導される)下の動物におけるインビボのマウスの腸間膜後毛細管細静脈において、CNPは、急速、可逆的かつ濃度依存的な様式で基礎の白血球ローリングを抑制した。CNPは、血小板と白血球との相互作用を阻害することもできた(Scotlandら、2005,Proc Natl Acad Sci USA.102:14452−14457)。マウスにおけるブレオマイシン誘発性肺線維症のモデルにおいて、14日間にわたるCNPの注入は、肺胞および間質領域へのマクロファージの浸潤を有意に阻害した(Murakamiら、2004,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.287:L1172−1177)。CNPは、ICAM−1(Qianら、2002,Circ Res 91:1063−1069)およびP−セレクチン(Scotlandら、2005,Proc Natl Acad Sci USA.102:14452−14457)などの細胞接着分子の発現を低下させ、接着分子の調節におけるその役割をさらに強化することも知られている。
【0155】
10.腎疾患、特に腎機能不全、腎灌流の減少に起因する腎不全、糸球体腎炎および腎線維症
局所的なCNP生成およびCNPレセプター発現が、以前に糸球体(Teradaら、1994,Am J Physiol.267:F215−222,Loheら、1995,J Am Soc Nephrol.6:1552−1558,Mattinglyら、1994,Kidney Int.46:744−747,Deanら、1994,Am J Physiol.266:F491−496)、腎臓細胞(Zhaoら、1994,Kidney Int.46:717−725)およびメサンギウム細胞(Sugaら、1992,Hypertension.19:762−765)において実証されていることから、腎臓の生理機能における役割が示唆される。いくつかの異常において、血漿中または尿中のCNPレベルが変化する。血漿中または尿中のCNPは、ネフローゼ症候群において増加し(Cataliottiら、2002,Am J Physiol Renal Physiol 283:F464−472)、CNPは、腎機能障害を伴う肝硬変における尿中で増加し(Gulbergら、2000,Gut.47:852−857)、腎臓および尿におけるCNPのレベルは、実験的糖尿病において増加し(Shinら、1998,J Endocrinol.158:35−42)、そしてNPレベルは、慢性腎疾患において上昇したが、血液透析または移植の後に低下した(Horl 2005,J Investig Med 53:366−370)。
【0156】
腎機能不全および腎不全などの適応症におけるCNP使用の恩恵は、導管動脈(conduit artery)における平滑筋を弛緩させる能力(Drewettら、1995,J Biol Chem.270:4668−4674,Madhaniら、2003,Br J Pharmacol.139:1289−1296)、静脈拡張(Chen and Burnett 1998,J Cardiovasc Pharmacol.32 Suppl 3:S22−28,Weiら、1993,J Clin Invest.92:2048−2052)および水腎症のラット腎臓において示されるような糸球体における輸入小動脈と輸出小動脈の両方の拡張(Endlich and Steinhausen 1997,Kidney Int.52:202−207)に由来する。
【0157】
糸球体腎炎のような糸球体症は、代表的には、メサンギウム細胞の増殖および白血球浸潤に関連する(Buschhausenら、2001,Cardiovasc Res.51:463−469)。ICAM−1のダウンレギュレーションを介した白血球浸潤に対するCNPの阻害作用が、以前に示されている(Qianら、2002,Circ Res 91:1063−1069,Buschhausenら、2001,Cardiovasc Res.51:463−469)。さらに、すべてのNPが、ラット細胞においてインビトロでメサンギウム細胞に対して抗増殖作用を示す(Suganamiら、2001,J Am Soc Nephrol 12:2652−2663)。インビボでのCNP注入は、ラットメサンギウム増殖性抗Thy1.1モデルにおいて免疫媒介性の糸球体腎炎を改善した(Canaan−Kuhlら、1998,Kidney Int 53:1143−1151)。なおも別の研究では、CNPは、糸球体メサンギウム細胞の増殖、MCP−1の分泌を阻害し、メサンギウム細胞からのコラーゲンIV生成を減少させた(Osawaら、2000,Nephron.86:467−472)。
【0158】
糸球体メサンギウム細胞の増殖に対するCNPの阻害作用(Suganamiら、2001,J Am Soc Nephrol 12:2652−2663,Canaan−Kuhlら、1998,Kidney Int 53:1143−1151,Osawaら、2000,Nephron.86:467−472)は、腎線維症の処置におけるその使用を示唆する。
【0159】
11.肝臓疾患、特に門脈高血圧症、肝硬変、肝臓腹水、肝線維症および肝腎症候群
ヒト肝臓における局所的なナトリウム利尿ペプチド系に対する証拠は、mRNA解析に由来する;3つすべてのNPR、すなわち、NPR−A、NPR−BおよびNPR−Cに対する特定の転写物が、ANPおよびCNPに対するmRNAとともに検出することができたが、BNPとともに検出することはできなかった(Vollmarら、1997,Gut.40:145−150)。慢性肝疾患の間に、肝線維症および門脈高血圧症の病因において役割を果たすと考えられている肝星細胞(Friedman 1993,N Engl J Med.328:1828−1835)は、筋線維芽細胞の表現型を獲得し、増殖し、そして線維症に関連する構成要素を合成する。筋線維芽細胞の肝星細胞におけるCNPによるNPR−Bの活性化が、成長と収縮の両方を阻害することが示された(Taoら、1999,J Biol Chem.274:23761−23769)ことから、慢性肝疾患の間に、CNPが肝線維形成と、関連する門脈高血圧症との両方を妨げ得ることが示唆された。
【0160】
肝硬変は、線維性瘢痕組織による肝臓組織の置換を特徴とする慢性肝疾患の結果である。ヒトの腎臓および尿にCNPが存在すること(Mattinglyら、1994,Kidney Int.46:744−747)は、体液および電解質のホメオスタシスにおけるCNPについての役割、ひいてはおそらくは、肝硬変を有する患者の腎機能障害における役割を示唆する。腎機能が損なわれた肝硬変患者の尿中のCNPが増加した一方で、血漿レベルは正常だった(Gulbergら、2000,Gut.47:852−857)。肝硬変患者では、ANP注入により、門脈圧が低下し、肝臓の血流が増加したことから、門脈流に対する肝臓内の抵抗の減少が示された(Brenardら、1992,J Hepatol.14:347−356)。薬理学的用量のCNPを肝硬変ラットに投与することにより、門脈圧および末梢血管抵抗が有意に低下し、心拍出量が増加した(Komeichiら、1995,J Hepatol.22:319−325)。
【0161】
多くの障害が、腹水貯留を引き起こし得るが、肝硬変が最も一般的である。ゆえに、肝硬変などの障害の処置は、最終的には腹水貯留の回避に役立つ。
【0162】
血管拡張の理論によれば、肝腎症候群は、腎循環に対して作用する血管収縮物質系の作用の結果である。この血管収縮物質系の高い活性に起因して、腎灌流速度および糸球体濾過速度が著しく低下する一方で、尿細管機能は保存される。したがって、腎灌流速度および/または糸球体濾過速度を高める任意の物質が、肝腎症候群に対して使用されるのに適している。
【0163】
12.肺疾患、特に肺高血圧症、喘息および肺線維症
CNPは、肺組織において局所的に合成されることが示されたので、気道開存性に対する作用を有し得る(Sugaら、1992,Circ Res.71:34−39)。インビトロでのCNPは、培養された大動脈平滑筋細胞におけるcGMP生成において、ANPよりも1桁強力だった。
【0164】
肺高血圧症は、肺動脈系における高い圧力を特徴とする進行性疾患である。通常の処置は、血管拡張性物質の使用である。おそらくVSMCとの直接的な相互作用を介して、動脈を弛緩する能力が、単離されたブタ冠状動脈において以前に示されていた(Martonら、2005,Vascul Pharmacol.43:207−212)。より詳細には、CNPによる処置が症状の発生の3週間後に開始されたとしても、CNPは、ラットにおけるモノクロタリン誘発性肺高血圧症を回復させることができ、生存を改善することができた(Itohら、2004,Am J Respir Crit Care Med.170:1204−1211)。
【0165】
オボアルブミン誘発性喘息モルモットモデルにおいて、CNPは、用量依存的様式で気管支収縮および微小血管の漏出を有意に阻害することができた(Ohbayashiら、1998,Eur J Pharmacol.346:55−64)。インビボでの喘息患者(asthmatics)において、Flugeらは、静脈内のナトリウム利尿ペプチドの用量依存的な気管支拡張特性を実証することができた(Flugeら、1995,Regul Pept.59:357−370)。
【0166】
マウスにおけるブレオマイシン誘発性肺線維症のモデルにおいて、CNPの注入は、Ashcroftスコアおよび肺ヒドロキシプロリン量の有意な減少によって示されるように、線維症を著しく減弱させた(Murakamiら、2004,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.287:L1172−1177)。肺の切片における免疫組織化学検査から、肺胞および間質領域へのマクロファージの浸潤が有意に減少したことが明らかになった。肺の線維性病変におけるKi−67陽性細胞数の著しい減少は、肺線維症に対するCNPの抗増殖作用の能力をさらに支持する。
【0167】
13.男性および女性の繁殖可能性に関する問題、特に勃起不全、男性の繁殖可能性の刺激および女性の繁殖可能性の刺激
陰茎勃起は、勃起組織のスポンジ様の領域の1つである海綿体の平滑筋の弛緩に依る。ラットおよびウサギの海綿体の(cavernosal)膜にNPR−Bが存在することが、Kimらによって示された(Kimら、1998,J Urol.159:1741−1746)。Kimらは、CNPが、この組織におけるcGMPの生成の引き金を引くことができることおよびそのようにする際にCNPがBNPおよびANPよりもかなり強力であることも示した。NPR−Bが、ヒト陰茎海綿体に位置することも示された;海綿体の筋条片を用いたオーガンバス(organ bath)研究において、0.1nM〜1μMの濃度のCNPが、平滑筋を5%〜40%弛緩させた(Kutheら、2003,J Urol.169:1918−1922);勃起不全におけるCNPの役割についてのさらなる支持は、CNPレベルが勃起不全の存在、重症度および持続期間に関連することを示している最近の研究(Vlachopoulosら、2008,Eur Urol.印刷中)に由来する。
【0168】
男性の繁殖可能性を刺激するためにCNPを使用することに対する理論的根拠は、精巣への血液の供給、生殖細胞発生の調節および精子の運動性における潜在的な機能、ならびにその陰茎勃起における役割(上に記載されたような役割)に基づく。CNPは、いくつかの種の精漿(seminal plasma)中に見出された(Hosang and Scheit 1994,DNA Cell Biol.13:409−417,Chrismanら、1993,J Biol Chem.268:3698−3703);精巣内の輸精管の近傍に位置するヒトライディッヒ細胞は、CNPとNPR−Bレセプターとの両方を含む(Middendorffら、1996,J Clin Endocrinol Metab.81:4324−4328)。CNPは、精製されたマウスライディッヒ細胞においてインビトロで(Khurana and Pandey 1993,Endocrinology.133:2141−2149)、ならびにヒトの精巣の静脈においてインビボで(Forestaら、1991,J Clin Endocrinol Metab.72:392−395)テストステロンレベルを上昇させることができた。テストステロンは、精子形成の開始、プロセシングおよび維持を活性化するので、CNPは、精子形成に対する即時型の影響力を有する。ラットへのインビボでのナトリウム利尿ペプチドの局所注射により、精巣の血流の、用量に関係した増加が引き起こされた(Collinら、1997,Int J Androl.20:55−60)。
【0169】
ブタの精漿中にCNPが検出された後、受精、妊娠および胚発生におけるCNPの機能が初めて提唱された(Chrismanら、1993,J Biol Chem.268:3698−3703)。さらなる研究から、ヒト胎盤におけるNPR−Aおよび−Bレセプターの発現(Itohら、1994,Biochem Biophys Res Commun.203:602−607)、ならびに発情周期によるラット卵巣および子宮におけるそれらの調節(Huangら、1996,Am J Physiol.271:H1565−1575,Dos Reisら、1995,Endocrinology.136:4247−4253,Noubaniら、2000,Endocrinology.141:551−559)が示された。マウスでは、子宮のCNP mRNA濃度が、妊娠中に上昇したのに対し、卵巣中のこれらのレベルは、非妊娠のコントロールと比べて低下した(Stepanら、2001,Regul Pept.102:9−13)。ヒトの胎盤および子宮筋層において、CNPは、分娩第3期において在胎齢に依存することなく発現された。子宮内発育遅延を伴う妊娠は、胎盤および子宮筋層におけるCNPの逆の制御を示したことから、このペプチドのヒト生殖組織における器官特異的機能が示された(Stepanら、2002,Fetal Diagn Ther.17:37−41)。これは、NPR−Bノックアウトマウスを研究することによって立証することができた;雌マウスは、雌性生殖輸管(reproductive tract)が発達しないことに起因して不妊だった(Tamuraら、2004,Proc Natl Acad Sci USA.101:17300−17305)。
【0170】
14.子癇前症および/または早産
妊娠の高血圧障害である子癇前症は、通常、高い血圧に関連し、妊娠の約2〜8%に影響する。胎盤への不適当な血液の供給によって内皮の機能不全がもたらされ、最終的には、母体の内皮および腎臓および肝臓が損傷される。重篤な子癇前症では、BNPレベルが高く、これは、この異常に関連する心室のストレスおよび/または無症候性の心機能不全を反映し得る(Resnikら、2005,Am J Obstet Gynecol.193:450−454)。子宮内発育遅延または子癇前症を伴う妊娠は、正常妊娠と比べて胎盤において減少し、子宮筋層において増加するという、CNPの逆の制御を示した(Stepanら、2002,Fetal Diagn Ther.17:37−41)一方で、母体のCNP血漿レベルは、一定のままであった;これは、これらの病態生理学的異常のヒト生殖組織におけるこのペプチドの代償的なまたは原因となる器官特異的機能を示し得、これにより、CNPの適用が利点を有し得ることが示唆された。
【0171】
15.骨格成長の妨害、特に低身長(小人症)
小人症は、200を超える別個の病状によって引き起こされ得る。C型ナトリウム利尿ペプチドは、そのレセプターであるNPR−Bを通じて作用する、軟骨内骨化(endochondrial ossification)を刺激するので(Tamuraら、2004,Proc Natl Acad Sci USA.101:17300−17305,Miyazawaら、2002,Endocrinology.143:3604−3610)、長軸方向の骨の成長において重要な役割を果たす(Olney 2006,Growth Horm IGF Res.16 Suppl A:S6−14)。長骨異常(lbab)と呼ばれる、CNP遺伝子における自然発生的な常染色体劣性の点変異は、マウスにおいて重篤な小人症を引き起こす(Yoderら、2008,Peptides.29:1575−1581,Tsujiら、2008,Biochem Biophys Res Commun.376:186−190)。マウスにおいてCNPが完全に存在しないことにより、小人症および早期死亡がもたららされた(Chushoら、2001,Proc Natl Acad Sci USA.98:4016−4021)。
【0172】
16.FGF−R(線維芽細胞由来成長因子レセプター)シグナル伝達の欠陥、特に、長骨の成長板におけるFGF−Rの過活性、またはCNPもしくはオステオクリン(osteocrin)の欠損、またはCNPもしくはオステオクリンのレベルの低下
インビトロおよびエキソビボ研究から、CNPが成長板内で作用することが示された。軟骨細胞を増殖することによって合成される可能性が最も高いCNP(Chushoら、2001,Proc Natl Acad Sci USA.98:4016−4021)は、局所的に作用してさらなる増殖を刺激する。相反するエレメントとして、Erk MAPキナーゼ経路の活性化を介して軟骨内骨化を負に制御するがゆえに軟骨細胞の増殖および軟骨マトリックスの生成を阻害するFGF/FGFR−3経路が知られている(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100)。軟骨細胞において標的にされるCNP過剰発現は、軟骨において線維芽細胞成長因子レセプター3が活性化された軟骨形成不全のマウスモデルにおいて小人症を妨げることから、それらのシグナル伝達経路の直接的な相互作用が示唆される(Yasodaら、2004,Nat Med.10:80−86)。さらに、Ozasaらは、CNPが、FGFによるMAPKカスケードの活性化に拮抗することができることから、そのCNP/NPR−B経路が軟骨形成不全の処置における新規の治療標的として魅力的であることを見出した(Ozasaら、2005,Bone.36:1056−1064)。CNPはまた、FGF2誘発性の発現、いくつかのマトリックスメタロプロテアーゼを含むいくつかのマトリックスリモデリング分子の放出および活性化にも部分的に拮抗した。CNPは、FGFシグナル伝達とは無関係に、マトリックス生成のアップレギュレーションを刺激した(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100)。
【0173】
オステオクリンは、骨の成長を調節するナトリウム利尿ペプチドクリアランスレセプターNPR−Cの特異的リガンドである(Thomasら、2003,J Biol Chem.278:50563−50571)。オステオクリンは、NPR−Cのクリアランス機能を遮断することによって、CNPレベルを局所的に上昇させ、その結果として軟骨細胞の増殖をもたらす(Moffattら、2007,J Biol Chem.282:36454−36462)。
【0174】
要約すれば、過活性のFGFレセプターおよびCNPまたはオステオクリンの欠乏または低レベルを代償するためにCNPを使用する有力な理論的根拠が存在する。
【0175】
17.関節炎、特に、軟骨組織の変性疾患、変形性関節症および軟骨変性ならびに外傷性軟骨損傷に応答した関節炎
関節炎疾患の処置および/または予防のためにナトリウム利尿ペプチドを使用することに対する理論的根拠は、CNPが骨格成長、特に、損傷を受けた軟骨を安定化することができる軟骨細胞外マトリックスの生成に関与するという観察結果に由来する(Chushoら、2001,Proc Natl Acad Sci USA.98:4016−4021,Yasodaら、2004,Nat Med.10:80−86)。
【0176】
CNPの枯渇により、成長板の増殖軟骨細胞層と肥大軟骨細胞層の両方の幅が減少した類似の組織学的な像とともに、軟骨無形成症の骨において観察されるような骨成長の不全がもたらされることが示された(Chushoら、2001,Proc Natl Acad Sci USA.98:4016−4021)。軟骨細胞において標的にされるCNP過剰発現は、軟骨において線維芽細胞成長因子レセプター3が活性化された軟骨形成不全のマウスモデルにおいて小人症を妨げた。CNPは、FGFシグナル伝達のMAPK経路の阻害によって成長板における細胞外マトリックス合成の減少を補正し、グルコサミノグリカンおよび軟骨コラーゲン(II型)の合成が刺激された(Yasodaら、2004,Nat Med.10:80−86)。
【0177】
ラット軟骨肉腫の軟骨細胞において、FGF2によって媒介される成長停止の後、CNPは、MMP誘導の阻害を媒介し、細胞外マトリックスの合成を刺激した(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100,Ozasaら、2005,Bone.36:1056−1064)ことから、両方の作用が、軟骨の細胞外マトリックスの正味の増加をもたらした(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100)。
【0178】
18.組織工学および軟骨再生、特に、細胞を患者に戻し移植するのに十分な細胞数まで軟骨細胞をエキソビボで増やすための組織工学および軟骨再生
CNPは、軟骨のインビボ再生にとって有益な特徴である、軟骨細胞におけるグルコサミノグリカンおよび軟骨コラーゲン(II型)の合成に対して刺激性の活性を有する(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100,Yasodaら、2004,Nat Med.10:80−86)。治療的な目的のために個体から抽出され得る限られた数の細胞からエキソビボで組織を生成するために、細胞増殖の刺激を有することも必要である。鍵となる刊行物において、Waldmanらは、高密度の3D培養物において、低用量のCNP(10〜100pM)が、最も高い用量での細胞充実性の最大43%増加という軟骨細胞増殖を誘発したことを報告した。より高用量のCNP(10nM)は、組織の細胞充実性に影響することなくマトリックス沈着を主に刺激した(Waldmanら、2008,Tissue Eng Part A.14:441−448)。したがって、CNPは、インビトロでの軟骨成長中の軟骨細胞の増殖とECMの沈着の両方の調節因子(modulator)として適している。
【0179】
19.組織工学および骨再生、特に、骨の治癒の加速のためのまたは骨組織再生の改善のための組織工学および骨再生
骨の成長の重要な制御因子としてのNPR−B/CNP系の役割は、いくつかの刊行物によって確証された:NPR−Bノックアウトマウスは、骨の成長の減少を示した(Tamuraら、2004,Proc Natl Acad Sci USA.101:17300−17305,Pfeiferら、1996,Science.274:2082−2086);CNP遺伝子が欠失したマウスも、骨の成長の減少を示し、軟骨細胞におけるCNPの過剰発現によってこの表現型をレスキューすることができた(Chushoら、2001,Proc Natl Acad Sci USA.98:4016−4021);マウスにおけるBNPの過剰発現は、骨格の過成長をもたらした(Sudaら、1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:2337−2342)。より詳細には、CNPは、軟骨細胞の増殖およびマトリックスの形成を促進することができた(Krejciら、2005,J Cell Sci.118:5089−5100,Ozasaら、2005,Bone.36:1056−1064)。軟骨内骨化のインビトロモデルである胎仔マウスの脛骨の器官培養物を用いたとき、長軸方向の骨の成長がCNPによって刺激された(Yasodaら、1998,J Biol Chem.273:11695−11700)。
【0180】
要約すれば、この実験的証拠は、骨を再生する適用においてCNPを使用することを強く支持する。
【0181】
20.特に、「中枢神経機能」におけるCNPを置き換えるための神経活動の調節
脳幹にNPR−Cレセプターが広範に分布することは、ナトリウム利尿ペプチドの神経調節作用においてNPR−Cが関与することを示唆し(Abdelalimら、2008,Neuroscience.155:192−202)、これにより、脳に適用されたときに種々の末梢作用を誘起することが示された(Puurunen and Ruskoaho 1987,Eur J Pharmacol.141:493−495,Bianciottiら、2001,Regul Pept.102:127−133)。麻酔下のラットにおける心房性ナトリウム利尿ペプチドの脳室内投与は、例えば、胃酸分泌の刺激をもたらし、それは迷走神経切断術によって完全に無効になることから、迷走神経の関与が示唆された(Puurunen and Ruskoaho 1987,Eur J Pharmacol.141:493−495)。Sabbatiniらによる2つの研究において、ラットにおけるCNPの脳室投与が、NPR−Cレセプターの活性化および迷走神経反射によって外分泌の膵液の排出量を用量依存的に増強した(Sabbatiniら、2005,Eur J Pharmacol.524:67−74,Sabbatiniら、2007,Eur J Pharmacol.577:192−202)ので、内因性CNPの作用が模倣された。
【0182】
21.腫瘍細胞、特に、神経膠腫細胞、神経芽腫細胞、腺癌細胞、乳房、膵臓および前立腺における腺癌細胞、メラノーマ細胞ならびに腎癌腫細胞の増殖の阻害による癌
いくつかの刊行物が、腫瘍細胞上にナトリウム利尿ペプチドレセプターが存在することを示していることから、一連の他の細胞型において示されているような、CNPの適用を介してそれらの細胞の増殖に影響する潜在能力が示唆される。
【0183】
培養されたラット神経膠腫細胞からの初期のインビトロデータは、CNPによる最も強い活性化、すなわち、cGMP生成を示す、それらの細胞上でのレセプターの存在を実証した(Eguchiら、1992,Eur J Pharmacol.225:79−82)。別の細胞系であるAtT−20下垂体腫瘍細胞系では、その細胞表面上に存在する唯一のナトリウム利尿レセプターがNPR−Bレセプターだった。これらのAtT−20細胞におけるcGMP生成は、CNPによって最大200倍刺激された(Gilkesら、1994,Biochem J.299(Pt2):481−487)。
【0184】
ウエスタンイムノブロッティングから、ヒト結腸腺癌細胞においてNPR−AレセプターおよびNPR−Cレセプターが同定された。これらの細胞に1mM ANPを適用することによって、24時間以内に細胞数が最大97%減少したことから、抗増殖活性が示唆された(Gowerら、2005,Int J Gastrointest Cancer.36:77−87)。
【0185】
CNPは、100μMにおいて小細胞肺癌細胞の数を39%減少させた。成長阻害の機構はおそらく、cGMPによって部分的に媒介されるDNA合成の阻害に基づく(Veselyら、2005,Eur J Clin Invest.35:388−398)。
【0186】
なおも別の細胞型であるヒト腎癌腫細胞において、CNPはまた、100μMの濃度においてその細胞数を10%減少させた。この作用は、CNPで処理した後の3日間にいかなる細胞の増殖を生じることなく、持続した。3つのタイプのナトリウム利尿ペプチドレセプターであるNPR−A、NPR−BおよびNPR−Cのすべてが、腎癌細胞上で同定された(Veselyら、2006,Eur J Clin Invest.36:810−819)。
【0187】
22.線維症、特に、肺線維症、腎線維症、心臓線維症、肝臓線維症または全身性線維症/硬化症
種々の器官系における線維性の事象を調査しているいくつかの研究が、ナトリウム利尿ペプチド、特にCNPの適用によって、疾患進行に対して有益な作用がもたらされることを示している。線維芽細胞におけるCNP媒介性のcGMP生成のより一般的な作用は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼカスケードの活性化の遮断であり(Chrisman and Garbers 1999,J Biol Chem.274:4293−4299)、これは、任意の種類の線維症、特に多臓器の全身性の線維症/硬化症を処置するために利用され得る;CNPによる単一器官の線維症の処置は、以下のデータによって支持される:
マウスにおけるブレオマイシン誘発性肺線維症のモデルにおいて、CNPの注入は、気管支肺胞洗浄液中の炎症性IL−1βレベルを著しく低下させ、肺胞および間質領域へのマクロファージの浸潤を阻害し、そしてAshcroftスコアおよび肺ヒドロキシプロリン量の有意な減少によって示されるように線維症を著しく減弱させた(Murakamiら、2004,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol.287:L1172−1177)。
【0188】
腎線維症に関しては、CNPが、糸球体メサンギウム細胞の増殖に対して阻害作用を有することが記載された(Suganamiら、2001,J Am Soc Nephrol 12:2652−2663,Canaan−Kuhlら、1998,Kidney Int 53:1143−1151,Osawaら、2000,Nephron.86:467−472)。特に、CNPは、MCP−1の分泌も阻害し、糸球体メサンギウム細胞からのコラーゲンIVの生成を減少させた(Osawaら、2000,Nephron.86:467−472)。
【0189】
間質性線維芽細胞の増殖および心臓の心室における細胞外マトリックス構成要素の生合成を特徴とする心臓線維症は、リモデリングプロセスの結果である。Soekiらは、CNPの適用が、心筋梗塞後のラットにおいて、心機能を改善し、心臓リモデリングから保護したことを示した(Soekiら、2005,J Am Coll Cardiol 45:608−616)。インビトロの心臓線維芽細胞において、CNPは、線維芽細胞の増殖および細胞外マトリックスの生成に対して抑制作用を有し、その作用は、ANPまたはBNPによる作用よりも強かった(Horioら、2003,Endocrinology.144:2279−2284)。
【0190】
慢性肝疾患の間に、肝線維症および門脈高血圧症の病因において役割を果たすと考えられている肝星細胞(Friedman 1993,N Engl J Med.328:1828−1835)は、筋線維芽細胞の表現型を獲得し、増殖し、そして線維症に関連する構成要素を合成した。筋線維芽細胞の肝星細胞におけるCNPによるNPR−Bの活性化が、成長と収縮の両方を阻害することが示された(Taoら、1999,J Biol Chem.274:23761−23769)ことから、慢性肝疾患の間に、CNPが線維形成を妨げ得ることが示唆された。
【0191】
C.薬学的調製物
本発明の他の実施形態は、高いIOP、緑内障、高眼圧症および/または網膜神経節細胞の喪失に関連する被験体における疾患の処置または予防に関する、本明細書中に記載される少なくとも1つの新規NPR−Bアゴニストを含む薬学的組成物に関する。
【0192】
1.有効量
本明細書中で使用されるとき、用語「有効量」または「治療有効量」とは、B型ナトリウム利尿ペプチドレセプターの機能および/または活性を活性化する薬剤の量のことを指す。本明細書中に記載される新規NPR−Bアゴニストは、高いIOPまたは高眼圧症を有する患者において眼内圧を低下させるかまたは高眼圧症を処置する。したがって、有効量は、高い眼内圧または高眼圧症に関連する任意の疾患(例えば、上で議論された疾患のいずれか)の程度を検出可能におよび繰り返し回復させる、減少させる、最小にするまたは限定するのに十分な量である。
【0193】
処置および/または予防の方法は、治療有効量の少なくとも1つの本発明のNPR−Bアゴニストを含む有効量の組成物で個体を処置する工程を包含する。治療有効量は、一般に、疾患の徴候または症状を減少させる際に有益であることが知られているかまたは有益であると考えられている量として記載される。本発明のいくつかの実施形態において、有効量は、一般に、被験体における緑内障および関連する視神経または網膜の損傷の徴候または症状を減少させる際に有益であることが知られているかまたは有益である量である。本明細書のNPR−Bアゴニストによる処置は、視覚機能を安定化するかまたは改善する(視力によって、視野によってまたは当業者に公知の他の方法によって測定されるとき)ことが想定される。
【0194】
いくつかの実施形態において、被験体に投与され得るNPR−Bアゴニストの有効量は、1回の投与あたり約1マイクログラム/kg/体重〜約500マイクログラム/kg/体重またはそれより多くの用量、およびその中で導き出せる任意の範囲を含む。
【0195】
2.製剤
本明細書中に示される方法に関して、NPR−Bアゴニストは、当業者に公知の任意の様式で製剤化され得る。本明細書中に示される組成物において、NPR−Bアゴニストの濃度は、高い眼内圧または高眼圧症に関連する眼疾患の処置および/または予防において有益であると当業者に知られているかまたは考えられている任意の濃度であり得る。
【0196】
被験体に投与される本発明の組成物の実際の投薬量は、身体的および生理学的な因子(例えば、体重、異常の重症度、処置される疾患のタイプ、以前のまたは同時の治療的介入、患者の特発性疾患、および投与経路)によって決定され得る。投与について責任がある従事者は、任意の事象において、組成物中の活性成分(複数可)の濃度および個別の被験体に対する適切な用量(複数可)を決定する。
【0197】
ある特定の非限定的な実施形態において、眼科用薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.03重量%または約0.03体積%の活性成分を含み得る。他の実施形態において、上記活性成分は、重量もしくは体積の単位の約0.001%〜約75%または約0.01%〜約60%、およびその中で導き出せる任意の範囲を含み得る。より特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、約0.03重量%〜約2.0重量%または約0.03体積%〜約2.0体積%の活性成分を含み得る。より特定の実施形態において、上記組成物は、約0.05重量%〜約1.5重量%または約0.05体積%〜約1.5体積%の活性成分を含む。さらなる実施形態において、上記組成物は、約0.05重量%〜約1.2重量%または約0.05体積%〜約1.2体積%の活性成分を含む。
【0198】
用量は、治療上の利益があると知られているかまたは考えられている薬学的組成物の任意の量であり得る。例えば、用量は、1回の投与あたり約1マイクログラム/kg/体重〜約500マイクログラム/kg/体重またはそれ以上、およびその中で導き出せる任意の範囲であり得る。投薬は、所望の治療効果を達成するために、当業者が決定するように必要に応じて繰り返されてもよい。例えば、投薬は、1回、2回、3回など繰り返され得る。いくつかの実施形態において、投薬は、1日に2回、1日に3回、1日に4回またはそれより多く頻繁に行われる。さらなる実施形態において、投薬は、1日おき、1週間に2回、1ヶ月に1回またはそれより長い間隔で行われる。
【0199】
本発明のある特定の実施形態において、本明細書中に示される組成物は、1つより多いNPR−Bアゴニストを含み得る。当業者は、1つより多い治療薬を含む薬学的組成物の調製および投与について精通している。いくつかの実施形態において、上記組成物は、NPR−Bアゴニストではない1つ以上の追加の治療薬を含む。
【0200】
本発明の組成物は、上記NPR−Bアゴニストに加えて、1つ以上の賦形剤を必要に応じて含む。薬学的組成物において通常使用される賦形剤としては、キャリア、等張化剤(tonicity agent)、保存剤、キレート剤、緩衝剤、界面活性剤および酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
当業者は、本発明の組成物が、任意の数の成分の組み合わせ(例えば、活性な薬剤、ポリマー、賦形剤など)を含み得ること認識する。これらの成分の濃度が変動し得ることも企図される。非限定的な局面において、蒸気組成物中の各成分のパーセンテージは、組成物全体の重量または体積によって計算され得る。当業者は、所与の組成物において成分を加えること、置換することおよび/または取り去ることに応じて、それらの濃度が変動し得ることを理解する。
【0202】
本発明のいくつかの実施形態において、特定の量のNPR−Bアゴニストが、本明細書中に記載される組成物を介して投与される。
【0203】
句「薬学的に許容され得るキャリア」は、当該分野で認識されており、任意の補充物もしくは組成物またはそれらの構成要素の保持、または1つの器官または身体の一部から、別の器官または身体の別の一部への輸送に関与する、例えば、薬学的に許容され得る材料、組成物またはビヒクル(例えば、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料)のことを指す。各キャリアは、その補充物の他の成分と適合可能であり、患者にとって有害でないという意味において「許容され得る」ものでなければならない。
【0204】
任意の種々のキャリア(水、水と水混和性溶媒(例えば、0.5〜5%の無毒性で水溶性のポリマーを含む、C1〜7−アルカノール、植物油または鉱油)との混合物、天然物(例えば、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲニン、寒天およびアカシア)、デンプン誘導体(例えば、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプン)、および他の合成生成物(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは、架橋されたポリアクリル酸、それらのポリマーの混合物)を含む)が、本発明の製剤において使用され得る。そのキャリアの濃度は、代表的には、活性成分の1〜100000倍の濃度である。
【0205】
適当な張度調整剤としては、マンニトール、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。適当な保存剤としては、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、ポリクオタニウム−1などが挙げられる。適当なキレート剤としては、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。適当な緩衝剤としては、ホスフェート、ボレート、シトレート、アセテートなどが挙げられる。適当な界面活性剤としては、イオン性および非イオン性の界面活性剤が挙げられるが、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート、ポリエトキシ化ひまし油誘導体およびオキシエチル化三級オクチルフェノールホルムアルデヒドポリマー(チロキサポール))が好ましい。適当な酸化防止剤としては、サルファイト、アスコルベート、BHAおよびBHTが挙げられる。本発明の組成物は、必要に応じて追加の活性薬剤を含む。
【0206】
特定の実施形態において、上記組成物は、哺乳動物の眼への適用に適している。例えば、眼科用投与の場合、上記製剤は、溶液、懸濁液、ゲルまたは軟膏であり得る。
【0207】
好ましい局面において、NPR−Bアゴニストを含む組成物は、液滴の形態の水溶液として、眼への局所的適用のために製剤化される。用語「水性」は、代表的には水性組成物を表し、ここで、上記キャリアは、>50重量%、より好ましくは、>75重量%および特に>90重量%の程度の水である。これらの液滴は、好ましくは無菌であってよく、ゆえにその製剤の静菌性構成要素または殺菌性構成要素を不要にし得る単一用量のアンプルから送達され得る。あるいは、その液滴は、それが送達されるときにその製剤から保存剤を抜くデバイスを好ましくは備え得る、複数回投与用の(multi−dose)ボトルから送達され得る(そのようなデバイスは、当該分野で公知である)。
【0208】
他の局面において、本発明の構成要素は、眼瞼の下に置かれる溶解可能な挿入物を形成する濃縮されたゲルまたは類似のビヒクルとして眼に送達され得る。
【0209】
本発明の組成物は、眼に投与されたときにゲルに相転移を起こす溶液としても製剤化され得る。
【0210】
本発明の組成物は、1つ以上のNPR−Bアゴニストに加えて、他の成分を賦形剤として含み得る。例えば、本組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る緩衝剤、保存剤(保存剤の補助剤を含む)、非イオン性の張度調整剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、快適性を高める薬剤(comfort−enhancing agents)、ポリマー、軟化薬、pH調整剤および/または潤滑剤を含み得る。
【0211】
眼に対する局所用製剤の場合、その製剤は、蒸発および/または疾患によって引き起こされる涙の任意の高張性に対抗するために、好ましくは、等張性であるかまたはわずかに低張性である。本発明の組成物は、通常、220〜320mOsm/kgの範囲内の重量オスモル濃度を有し、好ましくは、235〜260mOsm/kgの範囲内の重量オスモル濃度を有する。本発明の組成物は、5〜9、好ましくは、6.5〜7.5、最も好ましくは、6.9〜7.4の範囲内のpHを有する。
【0212】
本明細書中に示される製剤は、1つ以上の保存剤を含み得る。保存剤の例としては、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゾキソニウム)が挙げられる。保存剤の他の例としては、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チオメルサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀またはホウ酸フェニル水銀など)、過ホウ酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、パラベン(例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなど)、アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノールなど)、グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアニドなど)、過ホウ酸ナトリウムまたはソルビン酸が挙げられる。
【0213】
ある特定の実施形態において、上記NPR−Bアゴニストは、1つ以上の代用涙液を含む組成物中に製剤化される。種々の代用涙液が当該分野で公知であり、それらとしては:単量体ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよびエチレングリコール);重合体ポリオール(例えば、ポリエチレングリコール);セルロースエステル(例えば(such)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルセルロース);デキストラン(例えば、デキストラン70);水溶性タンパク質(例えば、ゼラチン);ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポビドン);およびカルボマー(例えば、カルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940およびカルボマー974P)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の製剤は、コンタクトレンズまたは他の眼科用の製品とともに使用され得る。
【0214】
いくつかの実施形態において、本明細書中に示される組成物は、0.5〜10cps、好ましくは、0.5〜5cps、最も好ましくは、1〜2cpsの粘度を有する。この比較的低い粘度は、その生成物が快適なものであり、かすみを引き起こさず、製造、移動および充填の操作中に容易に処理されることを保証する。
【0215】
3.投与経路
本発明の組成物の投与は、当業者に公知の任意の方法によるものであり得るが、しかしながら、局所投与が好ましい。局所的、結膜下、眼周囲、眼球後、テノン嚢下(subtenon)、前房内、硝子体内、眼内、網膜下、強膜近傍(juxtascleral)および脈絡膜上(suprachoroidal)の投与をはじめとした、眼への局所的な経路のすべてを使用し得ることが企図される。全身投与または非経口投与(静脈内、皮下、筋肉内および経口の送達を含むがこれらに限定されない)も実行可能であり得る。最も好ましい投与方法は、溶液もしくは懸濁液の硝子体内注射もしくはテノン嚢下注射、または生体崩壊性もしくは非生体崩壊性のデバイスの硝子体内留置もしくはテノン嚢下留置、または溶液もしくは懸濁液の局所的な眼への投与、またはゲル製剤の後強膜近傍(posterior juxtascleral)投与である。
【0216】
当業者は、本開示に照らして、本明細書中に開示される実施形態の明らかな改変が本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識する。本明細書中に開示される実施形態のすべてが、本開示に照らして、過度の実験なしに生成され得、実行され得る。本発明の全範囲は、本開示およびその等価な実施形態に記される。本明細書は、本発明が権利を与えられる保護の全範囲を不当に狭くされるように解釈されるべきでない。
【0217】
本発明の特定の実施形態が示され、記載されてきたが、数多くのバリエーションおよび代替の実施形態が当業者に想起される。したがって、本発明は、その精神または必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。本記載される実施形態は、すべての点において単に例示的なものであって限定的なものではないと考えられるべきである。それゆえ、本発明の範囲は、前述の記載によってではなく、添付の本特許請求の範囲によって示される。本特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に入る本特許請求の範囲に対するすべての変更が、その範囲内に包含されるべきである。さらに、本明細書中で述べられた刊行された書類、特許および出願のすべてが、それらの全体が示されたかのように、本明細書によって参考として援用される。
【0218】
D.第2の治療形態
本発明のある特定の実施形態において、上記被験体は、特定の眼疾患の処置または予防を対象にした1つ以上の第2の治療形態を受けている。
【0219】
本発明のNPR−Bアゴニストを含む眼科用組成物は、別の薬剤または治療方法とともに施行され得る。例えば、本発明のNPR−Bアゴニストを含む組成物のヒト被験体への投与は、緑内障、高い眼内圧または高眼圧症に対する他の治療に先行してもよいし、その治療の後に行われてもよいし、その治療と同時に行われてもよい。いくつかの実施形態において、上記NPR−Bアゴニストは、上記第2の治療形態と同じ組成物中に製剤化される。他の実施形態において、NPR−Bアゴニストは、第2の治療形態とは別に製剤化される。当業者は、疾患を有する被験体に1つより多い形態の薬理学的治療を施すためのプロトコルについて精通しているし、1つより多い薬理学的物質をその同じ組成物中に製剤化する方法についても精通している。
【0220】
第2の治療薬の例としては:抗緑内障剤(例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール(carteolol)を含むβ遮断薬、ピロカルピンを含む縮瞳薬、炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジン、セロトニン作用薬(seretonergics)、ムスカリン作用薬、ドーパミン作動性アゴニスト、アプラクロニジンおよびブリモニジンを含むアドレナリン作動性アゴニスト);抗血管新生剤;キノロン(例えば、シプロフロキサシン)およびアミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)を含む抗感染症剤;非ステロイド性およびステロイド性の抗炎症剤(例えば、スプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、リメキソロン(rimexolone)およびテトラヒドロコルチゾール);成長因子(例えば、神経成長因子(NGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(ciliary neutrophic factor)(CNTF));免疫抑制剤;ならびにオロパタジンを含む抗アレルギー剤が挙げられるが、これらに限定されない。オロパタジン製剤に関する情報は、米国特許第6,995,186号、米国特許出願公開番号2005/0158387および米国特許出願公開番号2003/0055102(これらの各々が明確に本明細書によって参考として援用される)に見られ得る。上記の眼科用の薬物は、薬学的に許容され得る塩(例えば、マレイン酸チモロール、酒石酸ブリモニジンまたはジクロフェナクナトリウム)の形態で存在し得る。
【0221】
第2の治療薬の他の例としては、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)阻害薬が挙げられる。例示的なRTK阻害薬は、米国特許出願公開番号2006/0189608および米国特許第7,297,709号(両方とも明確に本明細書によって参考として援用される)に記載されている。好ましい実施形態において、上記レセプターチロシンキナーゼ阻害薬は、N−[4−[3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル]フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素である。
【0222】
他の特定の実施形態において、上記第2の治療薬は、プロスタグランジンまたはプロスタグランジンアナログである。例えば、上記プロスタグランジンアナログは、ラタノプロスト、ビマトプロスト、ウノプロストンまたはトラボプロストであり得る。
【0223】
特定の実施形態において、上記第2の治療薬は、ステロイドである。例えば、上記ステロイドは、糖質コルチコイド、プロゲスチン、鉱質コルチコイドまたはコルチコステロイドであり得る。例示的なコルチコステロイドとしては、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン、フルオロメタロン(fluoromethalone)、デキサメタゾン、メドリゾン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルオシノロン、フルメタゾンまたはモメタゾン(mometasone)が挙げられる。ステロイドの他の例としては、アンドロゲン(例えば、テストステロン、メチルテストステロン)またはダナゾールが挙げられる。上記第2の治療薬は、コルチセン(cortisene)などの、代表的な糖質コルチコイドの副作用を欠いている糖質コルチコイドであってもよい。本発明の方法において使用するための好ましいコルチセンとしては、酢酸アネコルタブおよびアネコルタブデスアセテート(anecortave desacetate)が挙げられる。ステロイドは、エステル、アセタールまたはケタールプロドラッグとして投与されることが多く、それらの多くは、水不溶性である。上記第2の治療薬は、単一の疾患の処置もしくは予防を対象にしているか、または2つ以上の疾患の処置もしくは予防を対象にしていることがある。
【0224】
薬理学的物質に加えて、外科手技が上記NPR−Bアゴニストの投与と併用して行われ得る。そのような外科手技の1つとしては、レーザー線維柱帯形成術またはトラベクレクトミーが挙げられ得る。レーザー線維柱帯形成術では、レーザーからのエネルギーが、線維柱帯におけるいくつかの不連続なスポットに適用される。そのレーザーエネルギーは、線維柱帯の細胞の代謝を刺激し、線維柱帯における細胞外物質を変化させると考えられている。
【0225】
別の外科手技としては、濾過手術が挙げられ得る。濾過手術では、隅角付近の強膜に穴が開けられる。この穴のおかげで、上記房水が代替経路を通って眼から出ることが可能になる。最も一般的に行われる濾過手技は、トラベクレクトミーである。トラベクレクトミーでは、結膜の切開術が行われる(結膜は、強膜を覆っている透明な組織である)。その結膜をわきへ動かし、角膜輪部(limbus)に強膜を露出させる。部分的な厚さの強膜弁(scleral flap)を作製し、角膜の方向に向け半分の厚さに切開する。前房がその強膜弁の下に入りこむ。強膜の深部の断面(section of deep sclera)および/または線維柱帯を切開する。強膜弁は、所定の位置に緩く縫い戻される。結膜の切り口は、しっかり閉じられる。手術後、上記房水は、いくらかの抵抗力をもたらす強膜弁の下の穴を通り、濾過胞(bleb)と呼ばれる結膜の下の膨らんだ空間に集まる。次いで、上記房水は、結膜における血管を通って吸収されるか、または結膜を横切って涙液膜に達する。
【0226】
E.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含められる。以下の実施例において開示される手法は、本発明を実施する際に十分に機能することが本発明者らによって発見された手法であり、ゆえにその実施のための好ましい様式を構成すると考えられ得ることが当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において多くの変更が行われ得、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなおも同様または類似の結果が得られることを認識するべきである。
【実施例】
【0227】
実施例1
材料および方法
材料および方法ならびに一般的な方法は、以下の実施例によってさらに例証される:
溶媒:
さらに精製することなく、特定の品質で溶媒を使用した。
【0228】
アセトニトリル(グラジエントグレード,J.T.Baker);ジクロロメタン(合成用,VWR);ジエチルエーテル(合成用,VWR);N,N−ジメチルホルムアミド(LAB,VWR);ジオキサン(合成用,Aldrich);メタノール(合成用,VWR)。
【0229】
水:Milli−Q Plus,Millipore,脱塩。
【0230】
試薬:
使用した試薬は、Advanced ChemTech(Bamberg,Germany)、Sigma−Aldrich−Fluka(Deisenhofen,Germany)、Bachem(Heidelberg,Germany)、J.T.Baker(Phillipsburg,USA)、Iris Biotech(Marktredwitz,Germany)、Lancaster(Griesheim,Germany)、VWR(Darmstadt,Germany)、NeoMPS(Strasbourg,France)、Novabiochem(Merck Biosciences,Bad Soden,Germany,2003年からDarmstadt,Germany)および(und) Acros(Geel,Belgium,配給元 Fisher Scientific GmbH,Schwerte,Germany)、Peptech(Cambridge,MA,USA)、Synthetech(Albany,OR,USA)、Pharmacore(High Point,NC,USA)、Anaspec(San Jose,CA,USA)から購入し、さらに精製することなく、特定の品質で使用した。
【0231】
商業的に入手可能でない通常でないアミノ酸を、固相合成用の基本要素として、または固相合成における商業的に入手可能なアミノ酸の誘導体化によって、標準的なプロトコルに従って調製した。
【0232】
異なって述べられない限り、濃度は、体積パーセントとして与えられる。
【0233】
本発明に従うペプチドの解析:
ペプチドの解析を、分析用のHPLC法の後にESI−MSまたはMALDI−MS検出を用いて行った。分析的なクロマトグラフィのために、ESI−MS(Finnigan LCQイオントラップ質量分析計)を備えたHewlett Packard 1100−システムを使用した。そのイオントラップにおける衝撃ガスとしてヘリウムを使用した。クロマトグラフィ分離のために、30℃のRP−18−カラム(Vydac(Merck)を使用した。バイナリーグラジエントをすべてのクロマトグラムに適用した(5〜95%B,線形,A:水中の0.1%TFAおよびB:CH3CN中の0.1%TFA)。UV検出は、λ=220nmにおいて行われた。
【0234】
HPLC/MSを用いた解析を、95:5〜5:95(A:水中の0.1%TFAおよびB:アセトニトリル中の0.1%TFA)の直線勾配を用いて行い、RPカラムは、Phenomenex社またはWaters社製のものであり(それぞれ型(Typ) Luna C−18,3μm,2.00×50mm,Symmetry C18 Column MV Kit,5μm,4.6×250mm);ESI−MS測定のために、質量分析計ThermoFinnigan Advantageおよび/またはLCQ Classic(両方ともイオントラップ)を使用した。ESIイオン化のために、イオントラップにおける衝撃ガスとしてヘリウムを用いた。MALDI−MS解析の場合、Applied Biosystems Voyager RP MALDI質量分析計を、内部キャリブレーションマトリックスとしてα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸とともに使用した。
【0235】
分取HPLCを用いたペプチドの精製:
以下のグラジエント溶媒:A:HO中の0.05%TFAおよびB:CHCN中の0.05%TFAとともにVarian PLRP−S(10μm,100Å)カラム(150×25mmまたは150×50mm)を用いて分取HPLC分離を行った。
【0236】
表4:省略形:
AAV 一般的な手順
Ac アセチル
Acm アセトアミドメチル
DCM ジクロロメタン
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
eq. 当量
ESI エレクトロスプレーイオン化
Fig. 図
Fmoc 9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
H 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート
HBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高圧液体クロマトグラフィ
MALDI マトリックス支援レーザー脱離/イオン化
Me メチル
min 分
ml ミリリットル
MS 質量分析
MW 分子量
NMP N−メチルピロリドン
Ph フェニル
RP 逆相
Bu tert−ブチル
THF テトラヒドロフラン
TIPS トリイソプロピルシラン
TFA トリフルオロ酢酸
UV 紫外線
実施例2
ペプチドの合成
Fmoc−tBu−ストラテジーを用いて、直鎖ペプチドを合成した。ポリプロピレン注射器において手動で、または自動合成装置(Multisyntech,Witten製のSyroまたはZinsser−Analytic,Frankfurt製のSophas)によって、合成を行った。
【0237】
C末端にカルボン酸を有するペプチドを調製するために、C末端のアミノ酸をトリチルクロリド樹脂(およそ100mg樹脂;反応基のローディングおよそ1.5mmol/g;2時間にわたるDCM中の0.8当量(eq.)Fmoc−アミノ酸および3.0当量DIPEAを用いた結合;最初のアミノ酸のローディングおよそ0.2〜0.4mmol/g)、またはWang樹脂(100〜200mg樹脂;反応基のローディングおよそ0.6mmol/g;3時間にわたるDMF中の4当量Fmoc−アミノ酸、4当量DICおよび3当量NMIを用いた結合;最初のアミノ酸のローディングおよそ0.2〜0.6mmol/g)に付着させた。
【0238】
C末端にカルボン酸アミドを有するペプチドを調製するために、最初のアミノ酸を、Fmoc−Rinkアミド樹脂のFmoc脱保護(およそ100mg樹脂、およそ0.5mmol/gのローディング;20分間にわたるDMF中の20%ピペリジンによるFmoc脱保護)によって樹脂に付着させ、続いて、Fmocアミノ酸を結合させた(30〜60分間にわたるNMP中の5当量Fmocアミノ酸;5当量HBTUまたは5当量HATUおよび10当量DIPEAとの反応、およびこの工程を必要に応じて繰り返した)。
【0239】
最初のアミノ酸の結合の後、必要に応じて、Fmoc脱保護および対応するFmocアミノ酸またはカルボン酸の結合からなる工程の順序の繰返しによってペプチドの合成を行った。Fmoc脱保護のために、樹脂をDMF中の20%ピペリジンで20分間処理した。DMF中における5当量のアミノ酸、5当量HBTUまたは5当量HATUおよび10当量DIPEAとの30〜60分間の反応によって、アミノ酸の結合を行った。各結合工程を必要に応じて繰り返した。
【0240】
N末端にアセチル基を導入するために、樹脂に結合されたN末端が化合していないペプチドを、DMF中の10%無水酢酸および20%DIPEAの溶液とともに20分間インキュベートした。N末端にスルホニル基を導入するために、樹脂に結合されたN末端が化合していないペプチドを、DMFまたはDCM中の2当量の対応する塩化スルホニルおよび4当量DIPEAの溶液とともに30分間インキュベートし、この処理を1回繰り返した。
【0241】
ペプチドを樹脂から切断するためおよびその側鎖保護基から切断するために、95%TFA、2.5%H2O、2.5%TIPSの混合物または同様の溶液を加えた。最後に、ロータリーエバポレーターを用いてTFAを蒸発させるかまたは0℃のメチル−ブチル−エーテルの助けを借りて沈殿させることによって、粗ペプチドを単離した。
【0242】
実施例3
NPR−Aは、安定的にトランスフェクトされた細胞においてサイクリックGMPの生成を誘導した
NPR活性化に対する化合物の特異性を評価するために、NPR−Aでトランスフェクトされたヒト293−T細胞(Potter and Garbers 1992,J Biol Chem.267:14531−14534)を刺激実験に使用する。
【0243】
この均一(homogenous)アッセイでは、細胞を懸濁液中において試験化合物で刺激し、サイクリックGMP(cGMP)の生成を測定し、そこからEC50値を算出する。NPR−Aの天然に存在するリガンドであるANPを内部標準として使用し、細胞の最大cGMP生成を測定することにより、ANPに対する、試験化合物の活性化値が算出される。
【0244】
細胞の調製:NPR−Aをトランスフェクトされた293−T細胞をリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で1回洗浄し、3mlの非酵素的細胞解離溶液(Sigma−Aldrich)を加えて室温で10分間インキュベートすることによって、75cm組織培養フラスコから剥がす。剥がされた細胞を20mlのPBS中に回収し、室温、200×gで10分間遠心分離する。その細胞を、1mMのIBMX(Medium)が補充されたDMEM/Ham’s F12混合液中に再懸濁し、1.25×10細胞/mlの密度に調整し、室温で15分間インキュベートする。
【0245】
細胞の刺激:20μlの細胞(2.5×10細胞)を、96ウェルの白色オプティカルボトム組織培養プレート(Nunc,Germany)の各ウェルに加える。10μlの化合物希釈物を加え、細胞を室温で25分間刺激する。20μlの溶解緩衝液を加えることによって、刺激を停止する(試薬はcGMPアッセイキット内に含まれる)。
【0246】
cGMPの測定:細胞において生成されたcGMPの量を、HitHunterTM cGMPアッセイキット(DiscoveRX)を製造者の指示書に従って用いて測定する。
【0247】
化合物の希釈:EC50を決定するために、2つ組のウェルを10mM DMSO化合物原液の段階希釈物で刺激する。IBMX(1mM)が補充されたMediumにおいて希釈物を調製する。このアッセイにおける最終的な化合物の濃度は、45μMから20nMの範囲である。内部標準化合物ANPを5μM〜310pMの範囲の濃度で使用する。
【0248】
実施例4
NPR−Bはヒト緑内障線維柱帯細胞(GTM−3)においてサイクリックGMPの生成を誘導した
化合物がNPR−Bを活性化する能力を、内因的にNPR−Bを発現するGTM−3細胞を用いる機能アッセイ(Pang,Shadeら、1994)において評価した。このアッセイでは、サイクリックGMP(cGMP)の用量依存的な生成を測定し、EC50値を算出する。NPR−Bに対する天然に存在するリガンド、すなわち、CNPを内部標準として使用し、それらの細胞の最大cGMP生成を測定し、それによりCNPに対する、試験化合物の活性化値を算出する。
【0249】
細胞の調製:96ウェルの白色オプティカルボトム組織培養プレート(Nunc,Germany)において、1.5×10細胞/ウェルを、ゲンタマイシン(0.056mg/ml)が補充されたDulbeccoのMEM(DMEM,Biochrom)中に播種し、加湿雰囲気において10%COとともに18時間インキュベートする。
【0250】
細胞の刺激:細胞培養培池を吸引し、各ウェルを200μlのDMEM/Ham’s F12=Medium(Gibco)で洗浄する。次いで、1.5mM IBMX(3−イソブチル−1−メチル−キサンチン,Sigma)が補充された200μlのMediumを各ウェルに加え、室温で15分間インキュベートする。25μlの化合物希釈物を加え、細胞を室温で15分間刺激する。その培地を吸引し、20μlの溶解緩衝液を加えることによって、刺激を停止する(試薬はcGMPアッセイキット内に含まれる)。
【0251】
cGMPの測定:細胞において生成されたcGMPの量を、HitHunterTMcGMPアッセイキット(DiscoveRX)を製造者の指示書に従って用いて測定する。
【0252】
化合物の希釈:EC50を決定するために、2つ組のウェルを10mM DMSO化合物原液の段階希釈物で刺激する。IBMX(1.5mM)が補充されたMediumにおいて希釈物を調製する。最終的な化合物の濃度は、45μM〜20nMの範囲である。高度に活性な化合物、例えばCNPを、5μM〜6nMの範囲の濃度で刺激のために使用する。
【0253】
実施例5
ウサギにおける有効性
30μLの試験品目の製剤1滴をウサギの眼に投与した(n=8〜10)。投薬の直前である0時間、および再度、投薬の4時間後まで1時間ごとに各眼の眼内圧(IOP)を評価した。所与の製剤の有効性を、0時間における処置前のIOPの読み取り値と処置後の読み取り値との差に基づいて決定した。15%を超えるIOPの最大パーセント減少が、「+」記号で示された。15%未満の最大IOP減少には、「−」記号が割り当てられた。
【0254】
上に記載されたアッセイにおいて本発明の新規化合物を用いて得られた結果が、下記の表5に提供される:
表5:実施例5に記載された方法に従って本発明の新規化合物を用いたときのインビボにおける結果
【0255】
【表5−1】

【0256】
【表5−2】

TFAを除くHCl塩;(##)を除いて、用量は、眼球局所用の300μgである;NZAを除くDBウサギを1〜4にスコア付けした(4=IOPを得ることができなかった);“”は、高血圧の相を示す;(n=#R)は、試験された10〜12匹の動物のうちのレスポンダーの数を意味する;1%は、+susp++solである。
【0257】
本明細書中に開示されるおよび特許請求される方法のすべてが、本開示に照らして過度の実験を行うことなく達成および実行され得る。本発明の方法は、好ましい実施形態に関して記載されてきたが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される方法にバリエーションが適用され得ることが当業者には明らかである。より詳細には、化学的かつ生理的に関係するある特定の薬剤を、本明細書中に記載される薬剤に代えて用いる場合でも、同じまたは同様の結果が達成されることが明らかである。当業者に明らかなそのような類似の代用および改変のすべてが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲および概念内であると見なされる。
【0258】
本明細書中で引用されたすべての参考文献は、それらが本明細書中に示される参考文献に対する補足である例示的な手順または他の詳細を提供する程度まで、明確に本明細書中で参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアミノ酸配列:
B−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa10−Z(I)
を含む化合物であって、
ここで、
Bは、H、Rb1−、Rb2−C(O)−、Rb2−S(O)−、Rb3−Baa−からなる群から選択され;
Baaは、通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸またはβ−アミノ酸であり;
b1は、NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルケニル;NRb4b5、OHまたはORb6によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルアリール;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキニル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたアリールC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルC〜C環状アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C環状アルキルC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルチオC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホニルC〜Cアルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホキシルC〜C10アルキル;C1〜8アルキルによって必要に応じて置換されたCH−(CHqb−O−[−CH−(CHnbO]mb−CH−(CHpb−,2−チアゾロから選択され;
qb=0〜3であり、
nb=1〜3であり、
mb=1〜3であり、
pb=1〜3であり、
b2は、NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルケニル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたアリールC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキニル;NRb4b5、OHまたはORb6によって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルアリール;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C12アルキルC〜C環状アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜C環状アルキルC〜C12アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルチオC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホニルC〜C10アルキル;NRb4b5、OH、ORb6、C〜C環状アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルによって必要に応じて置換されたC〜CアルキルスルホキシルC〜Cアルキル、CH−(CHqb−O−[−CH2−(CHnbO]mb−CH−(CHpb−から選択され;
qb=0〜3であり、
nb=1〜3であり、
mb=1〜3であり、
pb=0〜3であり、
b3は、H、Rb1−、Rb2−C(O)−またはRb2−S(O)−から選択され;
b4、Rb5およびRb6は、独立して、HまたはC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;γ−アミノ酸;または式IIa〜yの残基:
【化36】

からなる群から選択され、
1aは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、OHによって必要に応じて置換されたヒドロキシC〜Cアルキルから選択され;
1cは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1dは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて複素環式環を形成し得;
は、0〜3であり;
Xaaは、式IIIa〜gのアミノ酸残基:
【化37】

であり、ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル;およびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2aおよびR2bまたはR2aおよびR2cは、一緒にあわせて複素環式環を形成し得;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択されるか;または
XaaおよびXaaは、共に、式IVa〜bのアミノ酸残基
【化38】

から選択され得、
Xaaは、Gly、Ala、通常のD−α−アミノ酸、通常でないD−α−アミノ酸および式Vaのアミノ酸残基:
【化39】

からなる群から選択され、
ここで、R3aは、HまたはC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、H、−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、H、NR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキル、−(C=N)−NHおよび−(CHn3b3bからなる群から選択され;
n3bは、1〜4であり;
3bは、NR3e3f、C〜Cヘテロアリール、C〜Cヘテロシクリル、−NHC(=N)NHからなる群から選択され;
3eおよびR3fは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、
ここで、R3eおよびR3fは、環状構造物を形成し得;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
もしくはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて複素環式構造物を形成し得るか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式Vbのアミノ酸残基:
【化40】

から選択され得、ここで、R3gは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN;CF、OH、OR3hおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3hは、C〜Cアルキルからなる群から選択され、
Xaaは、式VIa〜hのアミノ酸残基
【化41】

であり、ここで、R4aは、Hと、OH、CO4c、C(=O)−NH、5〜6員のヘテロアリール、C〜C10アルキル、C〜CシクロアルキルC〜C10アルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される部分で置換され得るC〜Cアルキルと、−(CHn4a−X4aとからなる群から選択され;
n4aは、1または2であり;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
4aは、OH、CO4d、NR4e4f、SR4g、4−イミダゾイル、4−ヒドロキシフェニルであり;
4d、R4eおよびR4fは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
4gは、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
m4aおよびm4bは、独立して、0または1から選択され;
4hは、C〜Cアルキルであるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式VIb〜hのアミノ酸残基から選択され得;
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【化42】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC4−7アミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得るか、またはN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、単環式もしくは二環式の複素環式構造物を形成し得;ここで、該複素環式環は、0〜3個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、OR5d、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5dは、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリールから選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5b、−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され;
5fは、H、C〜Cアルキル、−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、H、NR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
Xaaは、式VIIIa〜dのアミノ酸残基:
【化43】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルキルS(C〜Cアルキル)およびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルは、OH、O(C〜Cアルキル)、S(C〜Cアルキル)およびNR6d6eからなる群から選択される部分で置換され得;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
6dおよびR6eは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R6aおよびR6cは、OH、C〜Cアルキル、NHおよびFからなる群から選択される部分で置換され得る環状構造物を形成し得るか;
もしくはR6aおよびR6cは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて複素環式構造物を形成し得るか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式VIIIeのアミノ酸残基:
【化44】

であり得、
Xaaは、式IXa〜bのアミノ酸残基:
【化45】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、(CHn7a−X7a、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
7dは、C1〜4アルキルであり;
7aは、1および2からなる群から選択され;
7aは、2−チエニル、C(=O)OR7e、C(=O)NH、S(=O)OH、OS(=O)OH、B(OH)、P(=O)(OH)およびOP(=O)(OH)からなる群から選択され;
ここで、R7eは、HおよびC1〜4アルキルからなる群から選択され;
Xaaは、式Xa〜gのアミノ酸残基:
【化46】

であり、ここで、R8aは、(CHm8a−X8a、およびC〜C窒素含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
8cは、H、NHおよびOHからなる群から選択され;
8aは、CH(R8d)およびSからなる群から選択され;
8dは、H、アリールおよびOHからなる群から選択され;
8bは、CH(R8e)およびNHからなる群から選択され;
8eは、H、NHおよびOHからなる群から選択され;
8cは、CHおよびNR8fの群から選択され;
8fは、H、−C(=NH)NHおよび−C(=O)CHNHの群から選択されるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式Xhのアミノ酸残基:
【化47】

であり得;
Xaaは、直接の結合および式XIa〜cのアミノ酸残基
【化48】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、H、メチルからなる群から選択されるか;
または
XaaおよびXaaは、共に、式XIdの残基:
【化49】

であり得;
そして
Zは、H、OR11a、NHR11b、通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸、β−アミノ酸;ならびに通常のα−アミノ酸、通常でないα−アミノ酸およびβ−アミノ酸からなる群から選択される2〜30個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選択され;
ここで、R11aおよびR11bは、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリール、C〜CアルキルC〜Cシクロアルキルまたは式XIIa〜cの残基:
【化50】

からなる群から選択される、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、
Bは、Rb1−およびRb2−C(O)−からなる群から選択され;
b1は、C〜C12アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C12アルキルからなる群から選択され;
b2は、C〜C12アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C12アルキルからなる群から選択され;
b4およびRb5は、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;または式IIa、IIs、IIt、IIuおよびIIv:
【化51】

からなる群から選択される残基からなる群から選択され、
1aは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、OHによって必要に応じて置換されたヒドロキシC〜Cアルキルからなる群から選択され;
1cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
は、0〜3であり;そして
Xaaは、式IIIaおよび式IIIb:
【化52】

からなる群から選択されるアミノ酸残基であり、
ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、NO、NH、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2aおよびR2bまたはR2aおよびR2cは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式Vaのアミノ酸残基:
【化53】

であり、
ここで、R3aは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、Hおよび−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、HおよびNR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキル、−(C=N)−NHおよび−(CHn3b3bからなる群から選択され;
n3bは、1〜4であり;
3bは、NR3e3f、C〜Cヘテロアリール、C〜Cヘテロシクリルおよび−NHC(=N)NHからなる群から選択され;
3eおよびR3fは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、
ここで、R3eおよびR3fは、環状構造物を形成し得;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
またはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、複素環式構造物を形成し得;
そして
Xaaは、式VIaのアミノ酸残基:
【化54】

であり、
ここで、R4aは、H、およびC〜Cアルキル、ならびにOH、CO4c、C(=O)−NH、5〜6員のヘテロアリール、C〜C10アルキル、C〜CシクロアルキルC〜C10アルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される部分で置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
n4aは、1または2であり;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【化55】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC〜Cアミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得、ここで、該複素環式環は、0〜2個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、OR5d、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5dは、C〜CアルキルおよびC〜Cアルキルアリールからなる群から選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5bおよび−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され、
5fは、H、C〜Cアルキルおよび−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、HおよびNR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式VIIIaのアミノ酸残基:
【化56】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜Cアルキル、C〜CアルキルS(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、OH、O(C〜Cアルキル)およびS(C〜Cアルキル)からなる群から選択される部分で置換されたC〜Cアルキル;ならびにOH、O(C〜Cアルキル)およびS(C〜Cアルキル)からなる群から選択される部分で置換されたC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式IXaのアミノ酸残基:
【化57】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Xaaは、式Xaのアミノ酸残基:
【化58】

であり、
ここで、R8aは、(CHm8a−X8aであり;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;そして
Xaaは、直接の結合、および式XIaのアミノ酸残基
【化59】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択されるか;
またはR9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Zは、NHR11bであり;
ここで、R11bは、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリール、C〜CアルキルC〜Cシクロアルキル、式XIIaの残基、式XIIbの残基および式XIIcの残基
【化60】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、
Bは、Rb1−およびRb2−C(O)−からなる群から選択され;
b1は、C〜C10アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C10アルキルからなる群から選択され;
b2は、C〜C10アルキル、およびNRb4b5によって置換されたC〜C10アルキルからなる群から選択され;
b4およびRb5は、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、直接の結合、通常のα−アミノ酸;通常でないα−アミノ酸;β−アミノ酸;式IIaの残基、式IIsの残基、式IItの残基、式IIuの残基および式IIvの残基
【化61】

からなる群から選択され、
ここで、R1aは、HおよびC〜Cアルキルから選択され;
1bは、H、OHによって必要に応じて置換されたC〜Cアルキル、およびOHによって必要に応じて置換されたヒドロキシC〜Cアルキルから選択され;
1cは、H、C〜Cアルキルから選択され;
1aおよびR1bは、一緒にあわせて、複素環式環を形成し得;
は、0、1であり;そして
Xaaは、式IIIのアミノ酸残基:
【化62】

であり、ここで、
2aは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、C〜CアルキルC〜CシクロアルキルおよびアリールC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2bおよびR2cは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル;およびイソプロピルからなる群から選択されるが、ただし、R2bおよびR2cのうちの少なくとも1つはHであり;
2dは、0〜3個の置換基を表し、そのような各置換基は、独立して、H、Cl、F、Br、CN、CF、OH、OR2eおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
2eは、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式Vaのアミノ酸残基:
【化63】

であり、
ここで、R3aは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
3bは、Hおよび−(CHn3a−X3aからなる群から選択され;
n3aは、1〜5であり;
3aは、HおよびNR3c3dからなる群から選択され;
3cおよびR3dは、独立して、H、C〜Cアルキルおよび−(C=N)−NHからなる群から選択され;
3aおよびR3bは、連結されて環状構造物を形成し得るか;
またはR3aおよびR3bは、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子と連結されて、複素環式構造物を形成し得;
そして
Xaaは、式VIaのアミノ酸残基:
【化64】

であり、
ここで、R4aは、Hと、OHおよびCO4cからなる群から選択される部分で置換され得るC〜Cアルキルとからなる群から選択され;
4bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
4cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式VIIのアミノ酸残基:
【化65】

であり、
ここで、R5aは、(CHn5a−X5aであり;
n5aは、1〜6であり;
5aは、H、NHおよびC〜Cアミン含有脂肪族複素環式環からなる群から選択され;
5bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
5cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
ここで、R5cおよびR5aは、連結されて、4〜6員の複素環式環を形成し得、ここで、該複素環式環は、0〜2個の置換基を有し得、そのような各置換基は、独立して、OH、F、C〜Cアルキル、−NHC(=NH)NH、アリールおよびNR5e5fからなる群から選択され;
5eは、H、C〜Cアルキル、−C(=O)(CHn5b−X5bおよび−CH(CHn5c−X5bからなる群から選択され;
5fは、H、C〜Cアルキルおよび−CH(CHn5d−X5cからなる群から選択され;
n5bは、1、2、3および4からなる群から選択され;
n5cおよびn5dは、独立して、2、3および4からなる群から選択され;
5bおよびX5cは、独立して、HおよびNR5g5hからなる群から選択され;
5gおよびR5hは、独立して、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され、そして
Xaaは、式VIIIaのアミノ酸残基:
【化66】

であり、
ここで、R6aは、C〜Cアルキル、アリールC〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルC〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルは、OHおよびO(C〜Cアルキル)からなる群から選択される部分で置換され得;
6bは、Hであり;
6cは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;そして
Xaaは、式IXのアミノ酸残基:
【化67】

であり、
ここで、R7aは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、2−チエニル、およびOHで置換されたC〜Cアルキルからなる群から選択され;
7bは、Hおよび2−チエニルであり;
7cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Xaaは、式Xaのアミノ酸残基:
【化68】

であり、
ここで、R8aは、(CHm8a−X8aであり;
8a=1〜5であり;
8aは、H、NHおよび−NHC(=NH)NHからなる群から選択され;
8bは、Hおよびメチルからなる群から選択され;そして
Xaaは、直接の結合および式XIaのアミノ酸残基
【化69】

からなる群から選択され、
ここで、R9aは、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
9bは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
ここで、R9aおよびR9bは、5〜7員のシクロアルキル環を形成し得;
9cは、Hおよびメチルからなる群から選択され;
そして
Zは、NHR11bであり;
ここで、R11bは、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C12ビシクロアルキル、C〜C12シクロアルキルアリールおよびC〜CアルキルC〜Cシクロアルキルからなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
【化74】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505937(P2013−505937A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531012(P2012−531012)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/049912
【国際公開番号】WO2011/038061
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】