方向凝固材の溶接補修方法
【課題】溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域を多くして、結晶を同じ方向に好適に成長させた肉盛部を方向凝固材の損傷部に形成できる方向凝固材の溶接補修方法を提供する。
【解決手段】単結晶材17及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材1の端部1cに生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、方向凝固材1の厚さ方向T1外側に突出する張出部2を端部1c側に形成する張出部形成工程と、レーザー粉体肉盛溶接によって端部1c上に肉盛部4(3’)を形成する肉盛溶接工程とを備える。
【解決手段】単結晶材17及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材1の端部1cに生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、方向凝固材1の厚さ方向T1外側に突出する張出部2を端部1c側に形成する張出部形成工程と、レーザー粉体肉盛溶接によって端部1c上に肉盛部4(3’)を形成する肉盛溶接工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の損傷部を肉盛溶接によって補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービン翼(ガスタービンの動翼等の翼部材)には、強度特性や耐熱性等、多くの優れた特性を有するため、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材が用いられている。一方、ガスタービン翼1は、方向凝固材を用いた場合であっても、運転時に高温等の過酷な環境下にさらされるため、摩耗、減肉、亀裂等の損傷がチップ端部1aやプラットフォームの端面1bに発生する(図1参照)。そして、従来から、ガスタービン翼のチップ端部やプラットフォームの端面等に損傷が確認された場合には、この損傷部を肉盛溶接で補修(修復)するようにしている。
【0003】
一方、方向凝固材のガスタービン翼等の損傷部を肉盛溶接で補修する場合には、母材(方向凝固材)と同等の物理的特性(強度特性や耐熱性等)を備えた肉盛部を形成することが重要であり、母材の結晶方向に合わせ、単結晶成長、もしくは結晶を同じ方向に成長させながら肉盛溶接を行って、肉盛部を形成することが必要になる。しかしながら、単結晶、もしくは結晶を同じ方向に成長させて肉盛溶接を行うことは、非常に難易度が高く、肉盛部の表面側(ビードの表面側)に異結晶(多結晶)が生じてしまう。
【0004】
これに対し、特許文献1には、TIG肉盛溶接やプラズマ肉盛溶接によって母材の損傷部にマッシュルーム状に肉盛溶接を施し、異結晶であるビード表面を整形除去し、順次層毎に肉盛溶接、ビード整形除去を繰り返して肉盛部を形成することで、一方向凝固材の損傷部を補修する方法が開示されている。そして、この補修方法では、マッシュルーム状に形成したビード表面側を整形除去することによって、異結晶を取り除き、同じ結晶方向に成長した内部の一方向凝固材で肉盛部を形成することができる。すなわち、比較的容易に母材と同じ結晶方向に成長させた状態の肉盛部を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−18345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された補修方法では、マッシュルーム状に肉盛溶接、マッシュルーム状に形成したビード表面側を整形除去するため、非常に時間がかかり、作業効率が低いという問題がある。
【0007】
ここで、母材と同じ結晶方向に成長させて、母材の端部に肉盛溶接を施す場合に、G/R(G:凝固界面における液相と固相の温度勾配、R:凝固速度)の値を大きくするほど、すなわち、肉盛溶接時に、G/Rが大きい領域を多くするほど、結晶が成長しやすく、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成することが可能になる。
【0008】
そして、溶接速度を小さくするほど、また、溶接出力を大きくするほど、G/Rが大きな領域を多くすることができる。しかしながら、このように溶接速度を小さくするほど、また、溶接出力を大きくするほど、母材の端部が溶けすぎてしまい、母材や肉盛部が溶け落ちるという不都合が発生してしまう。
【0009】
また、TIG肉盛溶接やプラズマ肉盛溶接のようにマッシュルーム状の肉盛りに適用することは困難であるが、レーザー粉体肉盛溶接は、温度勾配や凝固速度が制御しやすい溶接方法である。このため、レーザー粉体肉盛溶接を用いて温度勾配や凝固速度を制御し、溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域を多くして、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成できるようにする手法が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方向凝固材の溶接補修方法は、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の端部に生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、前記方向凝固材の厚さ方向外側に突出する張出部を前記端部側に形成する張出部形成工程と、レーザー粉体肉盛溶接によって前記端部上に肉盛部を形成する肉盛溶接工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明においては、張出部形成工程で、ガスタービン翼等の母材(方向凝固材)の端部側に張出部を形成しているため、肉盛溶接工程で、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材の端部上に肉盛り溶接を施して肉盛部を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部によって母材や肉盛部が溶け落ちることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方向凝固材の溶接補修方法においては、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材(方向凝固材)の端部上に肉盛溶接を施して肉盛部を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部によって母材や肉盛部が溶け落ちることを防止できるため、G/Rの値を大きくし、効率的且つ効果的に肉盛部を形成することができる。
【0013】
また、このとき、レーザー粉体肉盛溶接によって肉盛部を形成するようにしたことで、温度勾配や凝固速度を精度よく制御することができる。
【0014】
よって、本発明の方向凝固材の溶接補修方法によれば、母材や肉盛部の溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域を多くして、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成することが可能になる。また、マッシュルーム状に肉盛部を形成する必要がないため、従来と比較し、溶接作業(補修作業)の作業効率を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るであるガスタービン翼(単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材)を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガスタービン翼(方向凝固材)の損傷が生じた端部を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部側に張出部を形成した状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部側に肉盛溶接を施した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、張出部及び肉盛部の異結晶部分を整形除去した状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、補修が完了した状態を示す図である。
【図7】レーザー粉体肉盛装置を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部上に複数の肉盛溶接層を積層形成している状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法の変形例を示す図であり、張出用部材を用いて張出部を形成した状態を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法の変形例を示す図であり、張出用部材を用いて張出部を形成した状態を示す図である。
【図11】図10のX1−X1線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法について説明する。なお、本実施形態では、本発明にかかる方向凝固材が、Ni基合金等で形成されたガスタービン翼(ガスタービンの動翼等の翼部材)であるものとして説明を行う。なお、このガスタービン翼は、単結晶材を成長させて形成したものである。
【0017】
はじめに、本実施形態の溶接補修方法(方向凝固材の溶接補修方法)は、図1に示すチップ端部1aやプラットフォームの端面1b等のガスタービン翼(母材、ガスタービンの翼部材)1の端部1cに発生した摩耗、減肉、亀裂等の損傷を肉盛溶接によって補修する方法である。
【0018】
そして、ガスタービン翼1の損傷部3を補修する本実施形態の溶接補修方法は、図2及び図3に示すように、ガスタービン翼1の厚さ方向T1外側に突出する張出部2を、損傷したガスタービン翼1の端部1c側に形成する張出部形成工程と、図4に示すように、レーザー粉体肉盛溶接によってガスタービン翼1の端部1c上に肉盛部4を形成する肉盛溶接工程と、図5及び図6に示すように、肉盛部4の表面4a側及び張出部2を整形除去する除去工程とを備えている。また、本実施形態では、張出部形成工程において、ガスタービン翼1の端部1c側にレーザー粉体肉盛溶接で肉盛りすることによって張出部2を形成する。
【0019】
より具体的に、まず、本実施形態の溶接補修方法では、例えば図7に示すようなレーザー粉体肉盛装置5を使用する。このレーザー粉体肉盛装置5は、従来周知のものであり、例えば、多軸ロボット6と、レンズユニット7を備え、多軸ロボット6に支持されたレーザー照射ノズル8と、光ファイバ9を通じてレーザー照射ノズル8に接続して設けられ、レーザーを発振するレーザー発振装置10と、シールドガスパイプ11を介してレーザー照射ノズル8に接続して設けられ、レーザー照射ノズル8(近傍)にシールドガスを供給するシールドガス供給源12と、母材1と同種の金属粉体をレーザー照射ノズル8に供給する粉体供給装置13とを備えている。
【0020】
そして、このようなレーザー粉体肉盛装置5を用いてガスタービン翼1(以下、母材ともいう)の損傷部3を補修する際には、図2及び図3に示すように、レーザー粉体肉盛装置5によって、母材1の端部1c(損傷部3)側の側面から母材1の厚さ方向T1外側に突出するように肉盛溶接を行い、張出部2を形成する。
【0021】
次に、図4及び図8に示すように、レーザー粉体肉盛装置5によって、母材1の端部1c上(端面上)に肉盛溶接を行う。このとき、摩耗、減肉、亀裂等の損傷量に応じて設定した所定の肉盛高さが得られるまで、肉盛溶接を順次繰り返し行い、複数の肉盛溶接層15を積層形成してゆく。また、各肉盛溶接層15を形成した段階で、各肉盛溶接層15の表面側(ビード表面)全体に異結晶16が生じ、この異結晶部分16で覆われた各肉盛溶接層15の内部で、母材1の単結晶の結晶方向と同じ結晶方向に単結晶(単結晶材)17が成長して、T2方向(積層方向)に肉盛形成される。
【0022】
さらに、本実施形態では、順次下層の肉盛溶接層15の上に新たに肉盛溶接層15を積層形成する際、図8に示すように、下層の肉盛溶接層15の頂部側の異結晶部分16を再溶融させながら新たな肉盛溶接層15を形成してゆく。これにより、図4に示すように、複数の肉盛溶接層15を積層した形の肉盛部4は、最上方(母材1の端部1cから積層方向T2最外側)の頂部側と、母材1の厚さ方向T1両側部側とに異結晶部分16が形成され、内部は母材1の単結晶の結晶方向と同じ結晶方向に単結晶17が成長して、T2方向に肉盛形成される。
【0023】
そして、本実施形態では、図4及び図8に示すように、肉盛溶接工程で各肉盛溶接層15を形成する際、母材1の端部1c上及び張出部2上に肉盛溶接を行うようにして各肉盛溶接層15ひいては複数の肉盛溶接層15を積層してなる肉盛部4を形成する。これにより、肉盛部4の母材1の厚さ方向T1両側部(表面側)に形成された異結晶部分16が張出部2上に配される。
【0024】
次に、上記のように複数の肉盛溶接層15を積層して肉盛部4を形成した後、図5及び図6に示すように、除去工程において、張出部2上に配された母材1の厚さ方向T1両側部の異結晶部分16と、最上方の頂部の異結晶部分16と、張出部2とを機械加工や放電加工などで除去する。このとき、例えば母材1の厚さT1と肉盛部4の厚さが等しくなるように整形除去することで、異結晶16を完全に除去し、同じ結晶方向に成長した単結晶材17からなる肉盛部4’が形成される。これにより、ガスタービン翼1のチップ端部1aやプラットフォームの端面1b等の端部1cに発生した摩耗、減肉、亀裂等の補修作業が完了する。
【0025】
一方、本実施形態の溶接補修方法では、張出部形成工程で張出部2を形成するようにしているため、肉盛溶接工程においてレーザー粉体肉盛溶接を用いて各肉盛溶接層15(肉盛部4)を形成する際、溶接速度を小さくし、及び/又は溶接出力を大きくしても、張出部2によって母材1や肉盛部4が溶け落ちることが確実に防止される。
【0026】
そして、このように、張出部2を設けることで、溶接速度を小さくし、及び/又は溶接出力を大きくしても母材1や肉盛部4の溶け落ちが防止されることにより、レーザー粉体肉盛溶接によって温度勾配や凝固速度を精度よく制御しながら、G/R(G:凝固界面における液相と固相の温度勾配、R:凝固速度)の値を大きくすることができる。これにより、効率的且つ効果的に単結晶17を成長させて肉盛部4’が形成されることになる。
【0027】
したがって、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法においては、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材1の端部1c上に肉盛溶接を施して肉盛部4を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部2によって母材1や肉盛部4が溶け落ちることを防止できる。このため、G/Rの値を大きくし、効率的且つ効果的に単結晶17を成長させて肉盛部4(4’)を形成することができる。
【0028】
また、このとき、レーザー粉体肉盛溶接によって肉盛部4を形成するようにしたことで、温度勾配や凝固速度を精度よく制御することができる。
【0029】
よって、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法によれば、母材1や肉盛部4の溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域(例えばG/R>104以上となる領域)を多くして、単結晶17を同じ結晶方向に好適に成長させた肉盛部4(4’)をT2方向に形成することが可能になる。また、マッシュルーム状に肉盛部を形成する必要がないため、従来と比較し、作業効率を高めることが可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法においては、張出部2を肉盛部4と同様に肉盛溶接して形成するようにしたことで、より効率的に作業を行うことが可能になる。そして、張出部2の肉盛形成後に、張出部2上の異結晶部分を機械加工などで除去することで、同じ結晶方向に好適に成長させた肉盛部4をより効率的に形成することが可能になる。また、このとき、母材1の端部1cと張出部2上に肉盛部4を形成し、張出部2とともに張出部2上の異結晶部分16を除去するようにしたことで、さらに効率的に作業を行うことが可能になる。
【0031】
以上、本発明に係る方向凝固材の溶接補修方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
例えば、本実施形態では、本発明に係る方向凝固材が単結晶材のガスタービン翼1であるものとして説明を行ったが、本発明は、結晶を同じ方向に成長させて形成された方向凝固材1の端部1cに生じた損傷を肉盛溶接によって補修するあらゆるケースに適用可能であり、方向凝固材をガスタービン翼1に限定する必要はない。
【0033】
また、本実施形態では、張出部2上に肉盛部4を形成することで母材1の厚さ方向T1外側に肉盛部4の異結晶部分16を配するようにし、この張出部2とともに異結晶部分16を除去するものとして説明を行った。これに対し、本発明においては、必ずしも張出部2上に肉盛部4を形成することによって母材1の厚さ方向T1外側に肉盛部4の異結晶部分16を配するようにしなくてもよい。そして、この場合には、張出部2が、母材1の端部1cや肉盛部4が溶け落ちることを防止するという優れた作用効果を発揮する。
【0034】
さらに、本実施形態では、張出部2が母材1の端部1cに肉盛溶接して形成されているものとしたが、図9、図10及び図11に示すように、例えば母材1と同じ材質で形成した治具(張出用部材18)を母材1の端部1c側に一体に取り付けて張出部2を形成するようにしてもよい。この場合、治具18は、図9に示すように点溶接等で母材1の端部1c側に取り付けるようにすればよい。あるいは、図10及び図11に示すように、母材1を挟み込むように配置した一対の治具18を固定手段19で固定して母材1の端部1c側に取り付けるようにしてもよい。この場合には、治具18の着脱を容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ガスタービン翼(方向凝固材、母材、単結晶材、ガスタービンの翼部材)
1a チップ端部
1b プラットフォームの端面
1c 端部
2 張出部
3 損傷部
4 肉盛部
4a 表面
4’ 肉盛部
5 レーザー粉体肉盛装置
6 多軸ロボット
7 レンズユニット
8 レーザー照射ノズル
9 光ファイバ
10 レーザー発振装置
11 シールドガスパイプ
12 シールドガス供給源
13 粉体供給装置
15 肉盛溶接層
16 異結晶(異結晶部分)
17 単結晶(単結晶部分)
18 治具(張出用部材)
19 固定手段
T1 厚さ方向
T2 積層方向(肉盛形成方向)
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の損傷部を肉盛溶接によって補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばガスタービン翼(ガスタービンの動翼等の翼部材)には、強度特性や耐熱性等、多くの優れた特性を有するため、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材が用いられている。一方、ガスタービン翼1は、方向凝固材を用いた場合であっても、運転時に高温等の過酷な環境下にさらされるため、摩耗、減肉、亀裂等の損傷がチップ端部1aやプラットフォームの端面1bに発生する(図1参照)。そして、従来から、ガスタービン翼のチップ端部やプラットフォームの端面等に損傷が確認された場合には、この損傷部を肉盛溶接で補修(修復)するようにしている。
【0003】
一方、方向凝固材のガスタービン翼等の損傷部を肉盛溶接で補修する場合には、母材(方向凝固材)と同等の物理的特性(強度特性や耐熱性等)を備えた肉盛部を形成することが重要であり、母材の結晶方向に合わせ、単結晶成長、もしくは結晶を同じ方向に成長させながら肉盛溶接を行って、肉盛部を形成することが必要になる。しかしながら、単結晶、もしくは結晶を同じ方向に成長させて肉盛溶接を行うことは、非常に難易度が高く、肉盛部の表面側(ビードの表面側)に異結晶(多結晶)が生じてしまう。
【0004】
これに対し、特許文献1には、TIG肉盛溶接やプラズマ肉盛溶接によって母材の損傷部にマッシュルーム状に肉盛溶接を施し、異結晶であるビード表面を整形除去し、順次層毎に肉盛溶接、ビード整形除去を繰り返して肉盛部を形成することで、一方向凝固材の損傷部を補修する方法が開示されている。そして、この補修方法では、マッシュルーム状に形成したビード表面側を整形除去することによって、異結晶を取り除き、同じ結晶方向に成長した内部の一方向凝固材で肉盛部を形成することができる。すなわち、比較的容易に母材と同じ結晶方向に成長させた状態の肉盛部を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−18345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された補修方法では、マッシュルーム状に肉盛溶接、マッシュルーム状に形成したビード表面側を整形除去するため、非常に時間がかかり、作業効率が低いという問題がある。
【0007】
ここで、母材と同じ結晶方向に成長させて、母材の端部に肉盛溶接を施す場合に、G/R(G:凝固界面における液相と固相の温度勾配、R:凝固速度)の値を大きくするほど、すなわち、肉盛溶接時に、G/Rが大きい領域を多くするほど、結晶が成長しやすく、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成することが可能になる。
【0008】
そして、溶接速度を小さくするほど、また、溶接出力を大きくするほど、G/Rが大きな領域を多くすることができる。しかしながら、このように溶接速度を小さくするほど、また、溶接出力を大きくするほど、母材の端部が溶けすぎてしまい、母材や肉盛部が溶け落ちるという不都合が発生してしまう。
【0009】
また、TIG肉盛溶接やプラズマ肉盛溶接のようにマッシュルーム状の肉盛りに適用することは困難であるが、レーザー粉体肉盛溶接は、温度勾配や凝固速度が制御しやすい溶接方法である。このため、レーザー粉体肉盛溶接を用いて温度勾配や凝固速度を制御し、溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域を多くして、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成できるようにする手法が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の方向凝固材の溶接補修方法は、単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の端部に生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、前記方向凝固材の厚さ方向外側に突出する張出部を前記端部側に形成する張出部形成工程と、レーザー粉体肉盛溶接によって前記端部上に肉盛部を形成する肉盛溶接工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明においては、張出部形成工程で、ガスタービン翼等の母材(方向凝固材)の端部側に張出部を形成しているため、肉盛溶接工程で、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材の端部上に肉盛り溶接を施して肉盛部を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部によって母材や肉盛部が溶け落ちることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方向凝固材の溶接補修方法においては、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材(方向凝固材)の端部上に肉盛溶接を施して肉盛部を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部によって母材や肉盛部が溶け落ちることを防止できるため、G/Rの値を大きくし、効率的且つ効果的に肉盛部を形成することができる。
【0013】
また、このとき、レーザー粉体肉盛溶接によって肉盛部を形成するようにしたことで、温度勾配や凝固速度を精度よく制御することができる。
【0014】
よって、本発明の方向凝固材の溶接補修方法によれば、母材や肉盛部の溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域を多くして、単結晶を成長させた単結晶材、もしくは結晶を同じ方向に成長させた一方向凝固材で好適に肉盛部を形成することが可能になる。また、マッシュルーム状に肉盛部を形成する必要がないため、従来と比較し、溶接作業(補修作業)の作業効率を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るであるガスタービン翼(単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材)を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガスタービン翼(方向凝固材)の損傷が生じた端部を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部側に張出部を形成した状態を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部側に肉盛溶接を施した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、張出部及び肉盛部の異結晶部分を整形除去した状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、補修が完了した状態を示す図である。
【図7】レーザー粉体肉盛装置を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法において、ガスタービン翼(方向凝固材)の端部上に複数の肉盛溶接層を積層形成している状態を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法の変形例を示す図であり、張出用部材を用いて張出部を形成した状態を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法の変形例を示す図であり、張出用部材を用いて張出部を形成した状態を示す図である。
【図11】図10のX1−X1線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係る方向凝固材の溶接補修方法について説明する。なお、本実施形態では、本発明にかかる方向凝固材が、Ni基合金等で形成されたガスタービン翼(ガスタービンの動翼等の翼部材)であるものとして説明を行う。なお、このガスタービン翼は、単結晶材を成長させて形成したものである。
【0017】
はじめに、本実施形態の溶接補修方法(方向凝固材の溶接補修方法)は、図1に示すチップ端部1aやプラットフォームの端面1b等のガスタービン翼(母材、ガスタービンの翼部材)1の端部1cに発生した摩耗、減肉、亀裂等の損傷を肉盛溶接によって補修する方法である。
【0018】
そして、ガスタービン翼1の損傷部3を補修する本実施形態の溶接補修方法は、図2及び図3に示すように、ガスタービン翼1の厚さ方向T1外側に突出する張出部2を、損傷したガスタービン翼1の端部1c側に形成する張出部形成工程と、図4に示すように、レーザー粉体肉盛溶接によってガスタービン翼1の端部1c上に肉盛部4を形成する肉盛溶接工程と、図5及び図6に示すように、肉盛部4の表面4a側及び張出部2を整形除去する除去工程とを備えている。また、本実施形態では、張出部形成工程において、ガスタービン翼1の端部1c側にレーザー粉体肉盛溶接で肉盛りすることによって張出部2を形成する。
【0019】
より具体的に、まず、本実施形態の溶接補修方法では、例えば図7に示すようなレーザー粉体肉盛装置5を使用する。このレーザー粉体肉盛装置5は、従来周知のものであり、例えば、多軸ロボット6と、レンズユニット7を備え、多軸ロボット6に支持されたレーザー照射ノズル8と、光ファイバ9を通じてレーザー照射ノズル8に接続して設けられ、レーザーを発振するレーザー発振装置10と、シールドガスパイプ11を介してレーザー照射ノズル8に接続して設けられ、レーザー照射ノズル8(近傍)にシールドガスを供給するシールドガス供給源12と、母材1と同種の金属粉体をレーザー照射ノズル8に供給する粉体供給装置13とを備えている。
【0020】
そして、このようなレーザー粉体肉盛装置5を用いてガスタービン翼1(以下、母材ともいう)の損傷部3を補修する際には、図2及び図3に示すように、レーザー粉体肉盛装置5によって、母材1の端部1c(損傷部3)側の側面から母材1の厚さ方向T1外側に突出するように肉盛溶接を行い、張出部2を形成する。
【0021】
次に、図4及び図8に示すように、レーザー粉体肉盛装置5によって、母材1の端部1c上(端面上)に肉盛溶接を行う。このとき、摩耗、減肉、亀裂等の損傷量に応じて設定した所定の肉盛高さが得られるまで、肉盛溶接を順次繰り返し行い、複数の肉盛溶接層15を積層形成してゆく。また、各肉盛溶接層15を形成した段階で、各肉盛溶接層15の表面側(ビード表面)全体に異結晶16が生じ、この異結晶部分16で覆われた各肉盛溶接層15の内部で、母材1の単結晶の結晶方向と同じ結晶方向に単結晶(単結晶材)17が成長して、T2方向(積層方向)に肉盛形成される。
【0022】
さらに、本実施形態では、順次下層の肉盛溶接層15の上に新たに肉盛溶接層15を積層形成する際、図8に示すように、下層の肉盛溶接層15の頂部側の異結晶部分16を再溶融させながら新たな肉盛溶接層15を形成してゆく。これにより、図4に示すように、複数の肉盛溶接層15を積層した形の肉盛部4は、最上方(母材1の端部1cから積層方向T2最外側)の頂部側と、母材1の厚さ方向T1両側部側とに異結晶部分16が形成され、内部は母材1の単結晶の結晶方向と同じ結晶方向に単結晶17が成長して、T2方向に肉盛形成される。
【0023】
そして、本実施形態では、図4及び図8に示すように、肉盛溶接工程で各肉盛溶接層15を形成する際、母材1の端部1c上及び張出部2上に肉盛溶接を行うようにして各肉盛溶接層15ひいては複数の肉盛溶接層15を積層してなる肉盛部4を形成する。これにより、肉盛部4の母材1の厚さ方向T1両側部(表面側)に形成された異結晶部分16が張出部2上に配される。
【0024】
次に、上記のように複数の肉盛溶接層15を積層して肉盛部4を形成した後、図5及び図6に示すように、除去工程において、張出部2上に配された母材1の厚さ方向T1両側部の異結晶部分16と、最上方の頂部の異結晶部分16と、張出部2とを機械加工や放電加工などで除去する。このとき、例えば母材1の厚さT1と肉盛部4の厚さが等しくなるように整形除去することで、異結晶16を完全に除去し、同じ結晶方向に成長した単結晶材17からなる肉盛部4’が形成される。これにより、ガスタービン翼1のチップ端部1aやプラットフォームの端面1b等の端部1cに発生した摩耗、減肉、亀裂等の補修作業が完了する。
【0025】
一方、本実施形態の溶接補修方法では、張出部形成工程で張出部2を形成するようにしているため、肉盛溶接工程においてレーザー粉体肉盛溶接を用いて各肉盛溶接層15(肉盛部4)を形成する際、溶接速度を小さくし、及び/又は溶接出力を大きくしても、張出部2によって母材1や肉盛部4が溶け落ちることが確実に防止される。
【0026】
そして、このように、張出部2を設けることで、溶接速度を小さくし、及び/又は溶接出力を大きくしても母材1や肉盛部4の溶け落ちが防止されることにより、レーザー粉体肉盛溶接によって温度勾配や凝固速度を精度よく制御しながら、G/R(G:凝固界面における液相と固相の温度勾配、R:凝固速度)の値を大きくすることができる。これにより、効率的且つ効果的に単結晶17を成長させて肉盛部4’が形成されることになる。
【0027】
したがって、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法においては、レーザー粉体肉盛溶接を用いて母材1の端部1c上に肉盛溶接を施して肉盛部4を形成する際に、溶接速度を小さくし、また、溶接出力を大きくしても、張出部2によって母材1や肉盛部4が溶け落ちることを防止できる。このため、G/Rの値を大きくし、効率的且つ効果的に単結晶17を成長させて肉盛部4(4’)を形成することができる。
【0028】
また、このとき、レーザー粉体肉盛溶接によって肉盛部4を形成するようにしたことで、温度勾配や凝固速度を精度よく制御することができる。
【0029】
よって、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法によれば、母材1や肉盛部4の溶け落ちを防止しつつG/Rが大きな領域(例えばG/R>104以上となる領域)を多くして、単結晶17を同じ結晶方向に好適に成長させた肉盛部4(4’)をT2方向に形成することが可能になる。また、マッシュルーム状に肉盛部を形成する必要がないため、従来と比較し、作業効率を高めることが可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態の方向凝固材の溶接補修方法においては、張出部2を肉盛部4と同様に肉盛溶接して形成するようにしたことで、より効率的に作業を行うことが可能になる。そして、張出部2の肉盛形成後に、張出部2上の異結晶部分を機械加工などで除去することで、同じ結晶方向に好適に成長させた肉盛部4をより効率的に形成することが可能になる。また、このとき、母材1の端部1cと張出部2上に肉盛部4を形成し、張出部2とともに張出部2上の異結晶部分16を除去するようにしたことで、さらに効率的に作業を行うことが可能になる。
【0031】
以上、本発明に係る方向凝固材の溶接補修方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
例えば、本実施形態では、本発明に係る方向凝固材が単結晶材のガスタービン翼1であるものとして説明を行ったが、本発明は、結晶を同じ方向に成長させて形成された方向凝固材1の端部1cに生じた損傷を肉盛溶接によって補修するあらゆるケースに適用可能であり、方向凝固材をガスタービン翼1に限定する必要はない。
【0033】
また、本実施形態では、張出部2上に肉盛部4を形成することで母材1の厚さ方向T1外側に肉盛部4の異結晶部分16を配するようにし、この張出部2とともに異結晶部分16を除去するものとして説明を行った。これに対し、本発明においては、必ずしも張出部2上に肉盛部4を形成することによって母材1の厚さ方向T1外側に肉盛部4の異結晶部分16を配するようにしなくてもよい。そして、この場合には、張出部2が、母材1の端部1cや肉盛部4が溶け落ちることを防止するという優れた作用効果を発揮する。
【0034】
さらに、本実施形態では、張出部2が母材1の端部1cに肉盛溶接して形成されているものとしたが、図9、図10及び図11に示すように、例えば母材1と同じ材質で形成した治具(張出用部材18)を母材1の端部1c側に一体に取り付けて張出部2を形成するようにしてもよい。この場合、治具18は、図9に示すように点溶接等で母材1の端部1c側に取り付けるようにすればよい。あるいは、図10及び図11に示すように、母材1を挟み込むように配置した一対の治具18を固定手段19で固定して母材1の端部1c側に取り付けるようにしてもよい。この場合には、治具18の着脱を容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ガスタービン翼(方向凝固材、母材、単結晶材、ガスタービンの翼部材)
1a チップ端部
1b プラットフォームの端面
1c 端部
2 張出部
3 損傷部
4 肉盛部
4a 表面
4’ 肉盛部
5 レーザー粉体肉盛装置
6 多軸ロボット
7 レンズユニット
8 レーザー照射ノズル
9 光ファイバ
10 レーザー発振装置
11 シールドガスパイプ
12 シールドガス供給源
13 粉体供給装置
15 肉盛溶接層
16 異結晶(異結晶部分)
17 単結晶(単結晶部分)
18 治具(張出用部材)
19 固定手段
T1 厚さ方向
T2 積層方向(肉盛形成方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の端部に生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、
前記方向凝固材の厚さ方向外側に突出する張出部を前記端部側に形成する張出部形成工程と、
レーザー粉体肉盛溶接によって前記端部上に肉盛部を形成する肉盛溶接工程とを備えることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項2】
請求項1記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記肉盛溶接工程では前記端部と前記張出部上に前記肉盛部を形成し、
前記張出部上に配された前記肉盛部の表面側及び前記張出部を除去する除去工程を備えることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記張出部は、前記端部に肉盛溶接して形成、あるいは前記端部に張出用部材を一体に取り付けて形成されていることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記方向凝固材が、ガスタービンの翼部材であることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項1】
単結晶材及び一方向凝固材を結晶方向に成長させて形成された方向凝固材の端部に生じた損傷を肉盛溶接によって補修する方法であって、
前記方向凝固材の厚さ方向外側に突出する張出部を前記端部側に形成する張出部形成工程と、
レーザー粉体肉盛溶接によって前記端部上に肉盛部を形成する肉盛溶接工程とを備えることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項2】
請求項1記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記肉盛溶接工程では前記端部と前記張出部上に前記肉盛部を形成し、
前記張出部上に配された前記肉盛部の表面側及び前記張出部を除去する除去工程を備えることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記張出部は、前記端部に肉盛溶接して形成、あるいは前記端部に張出用部材を一体に取り付けて形成されていることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方向凝固材の溶接補修方法において、
前記方向凝固材が、ガスタービンの翼部材であることを特徴とする方向凝固材の溶接補修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−192423(P2012−192423A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56792(P2011−56792)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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