方向制御される油交換による位置修正を有する受動液圧制御装置
本発明は、その都度、シリンダ(1)の1つにおけるピストンの移動が他のシリンダ(1)の少なくとも1つにおけるピストンの移動という結果(順次制御)をもたらすように、2つ以上の液圧シリンダ(1)のピストンの両側における容積V1およびV2が互いに液圧的に接続されている受動液圧制御装置に関する。この種の受動液圧制御装置の全てのシリンダ(1)のピストン行程の総和Δs=k1s1+k2s2+…+knsnが理想的には常にΔs=0=一定であり、比例定数k1,k2,…knがシリンダ(1)のピストン面積の逆数であり、それらの符号が液圧シリンダ(1)間の接続管が交差しているか否かに依存する。この種の受動液圧制御装置はいつまでも位置安定ではなく(Δs≠0≠一定)、特に静的な基本負荷のもとにある変化する位置誤差Δsが考慮されなければならない。この位置誤差は、本発明にしたがって、次によって修正される。すなわち、位置誤差Δsが定義されるべき正の位置誤差限界+Δsを上回るとき、もしくは負の位置誤差限界−Δsを下回るときにその都度、容積V1およびV2間の接続が両容積間の液圧用液体の交換のために形成されること、この接続が液圧用液体の交換を常に位置誤差Δsの符号に依存して定められた一方向においてのみ許容すること、この接続が、少なくとも、定義された位置誤差限界の1つ+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られるだけでなく、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有する場合に形成されていること、そしてこの接続を介する液圧用液体の交換が液圧シリンダ(1)のピストン棒への力作用によって行なわれることである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダの1つにおけるピストン移動が他のシリンダの少なくとも1つにおけるピストン移動という結果(順次制御)となるように2つ以上の液圧シリンダが互いに液圧的に接続されている受動的な液圧制御装置に関する。
【0002】
図1にはこのような受動的な液圧順次制御装置が示されている。液圧シリンダ1が液圧管2により互いに接続されている。例えば、図1における上方のシリンダ1のピストンが行程s1だけ移動する場合に、V1とV2との容積は一定であるために他のシリンダ1においてピストン行程s2…snが生じ、これらのピストン行程s2…snの和が行程s1に相当し、しかし逆の符号を有する。式としてこの状況を既述すれば、
s1=−(s2+…+sn) (1)
となる。
【0003】
式(1)により記述される状況は、全ての液圧シリンダ1が同じ大きさのピストン面積を持つ場合に当てはまる。異なった大きさのピストン面積を持つ液圧シリンダ1が使用される場合には、個々の液圧シリンダ1において異なった行程が現れる。その場合、行程の関連は式(2)によって表される。
0=k1s1+k2s2+…+knsn (2)
【0004】
この式においてk1…knは比例定数であり、これらは液圧シリンダのピストン面積A1…Anに対して逆比例する。
k1:k2:…:kn=(1/A1):(1/A2):…:(1/An) (3)
【0005】
個々の比例定数k1…knは、例えば液圧管2が交差させられる場合には負の値をとる(図11による例の場合)。
【0006】
上述の受動液圧制御装置は、次の場合に制御棒の代わりにしばしば有利に使用される。すなわち、比較的高い操作力が大きな距離にわたって伝達されなければならず、かつ場合によっては費用のかかるレバーによる力の方向転換および/または力伝達が必要である場合である。相互に移動する機械部分もしくは装置部分の境界を介する力伝達、例えば車両連結部を介する力伝達も、機械によるよりも液圧によるほうが一般に有利に解決される。上述の特性を有する受動液圧制御の典型的な用途は、例えば次のとおりである。
a)独国特許出願公開第2123876号明細書に応じた2つの部分からなるレール車両の車両連結部のためのヒンジ制御
b)独国特許出願公開第3123858号明細書、同3331559号明細書または同4343608号明細書に記載されているようなレール車両のための軸制御
c)欧州特許出願公開第0755839号明細書に記載されている多要素レール車両の車体の液圧式回転角カップリング
d)独国実用新案登録出願公開第29913547号明細書、欧州特許出願公開第1074448号明細書、欧州特許出願公開第1074449号明細書または独国特許出願公開第10012966号明細書に記載されているような車台制御およびヒンジ制御
【0007】
上述の原理に基づいて動作する受動液圧制御は、液圧シリンダ1および接続管2のほかに、安全機能のために他の構成要素を必要とする。図2には、これの基本的な配置が2つの液圧シリンダ1を有する装置に関して模範的に示されている。システムにおける不密閉性によってひき起こされる液圧用液体の損失を補償できるようにするために、液体タンク5が設けられている。液体タンク5は、逆止弁6を介して容積V1もしくはV2内に場合によっては不足する液圧用液体を補充する。この方法で、温度低下によってひき起こされる液圧用液体の容積減少も液体タンク5から補償される。温度上昇時における液圧用液体の膨張によってもひき起こされ得る液圧システムにおける高すぎる圧力は、減圧弁7により、これを介してそのような場合に液圧用液体が容積V1もしくはV2から液体タンク5へ抜けることによって防止される。
【0008】
この種の受動液圧制御装置の場合には、これが相応の修正措置なしには長時間にわたって位置安定でないことが出発点となる。式(1)もしくは式(2)により記述されるピストン行程の関係は持続的に保証可能でない。原因は、とりわけ、例えばV1からV2への方向またはその逆方向の液圧用液体の侵入の形での漏損である。液体タンク5からの補給または液体タンク5への回収も、V1およびV2に対して同期化されないで経過し、したがってV1およびV2に関する持続的な容積一定に影響を及ぼす。それゆえ、液圧シリンダのピストンに関する行程の関係は、式(2)による代わりに、次の式(4)によって記述されなければならない。
Δs=k1s1+k2s2+…+knsn (4)
【0009】
この式(4)において、値Δsは受動液圧制御の位置誤差の尺度である。したがって、液圧ピストンは全体として尺度Δsだけ目標位置からずれている。
【0010】
理想的にはΔsは、もちろん常に値0を取るべきである。このために、例えば独国実用新案登録出願第29913547号明細書に記載されているように、両容積V1およびV2の間における少なくとも時間的に作用する液圧的な接続が形成される。図2では、この液圧的な接続が絞り弁4により実現されている。これは、両容積V1およびV2間において少量の液圧用液体の交換を可能にする。液圧用液体のこの交換が平均して所望の方向に行なわれるように、全体システムに他の措置によって基本位置が与えられなければならない。図2に基づく装置においては、受動液圧制御装置が位置決めばね3によって基本位置を予め与えられる。ここでは、基本位置が模範的にそれぞれ、両液圧シリンダ1におけるピストンの中間位置により定められている。液圧シリンダ1のピストン棒に外力が作用しない場合に、両ピストンが中間位置にないならば、両ピストンが位置決めばね3によって中間位置に押され、場合によっては液圧用液体が絞り弁4を介して容積V1から容積V2へ、またはその逆方向に移動可能である。位置修正(Δs→0)が位置決めばね3によって付勢されて行なわれる。
【0011】
短時間だけもしくは動的に外部からピストン棒に作用する力は、絞り弁4を介する液圧用液体のほんの少しだけの移行のみをもたらす。なぜならば、絞り弁4は十分に大きな流動抵抗を持つからである。しかしながら、静的に外部からピストン棒に作用する力成分は、時間が増加するにともなって、絞り弁4を介してますます大きな量の液圧用液体の移行の原因となり、それにともなって位置誤差Δsが増大する。したがって、位置決めばね3が十分に高い初期ばね付勢(ピストンの中間位置通過時の跳躍的なばね特性曲線)を持つ場合を除いて、図2に対応する受動液圧制御装置における静的な基本負荷は回避されるべきである。
【0012】
位置決めばね3は、図2に示されているように、液圧シリンダ1の不可欠の一体化された部分である必要はない。位置決めばね3は、それ自体がシリンダの構成部分であることなしに、液圧シリンダ1によって制御される構成部分に作用することもできる。他の前述の受動液圧制御装置の適用例において、これは、とりわけレール車台(ボギー台車)の二次的ばねであり、これらにおける柔軟性のあるコイル作用により受動液圧制御装置により制御されるレール車台に基本位置を与える。
【0013】
容積V1とV2の間における位置決めばねおよび絞り弁による受動液圧制御装置のための位置修正は、図2に原理的に再現されているように、静的に作用する基本負荷がこの種の制御により条件付きでしか抑制可能でないという欠点を有するのみならず、特に、シリンダピストンの移動ために、全ての位置決めばねを張らせるのに必要な力がもたらされなければならないという欠点がある。
【0014】
したがって、本発明の課題は、容積V1とV2の間における位置決めばねおよび絞り弁による位置修正をともなう受動液圧制御装置の上述の欠点を取り除くことにある。これは、この種の受動液圧制御を次のように構成しようとするものである。すなわち、制御移動に抗して力を発生する要素なしにも位置修正が可能でありかつこの受動液圧制御装置によって静的な基本負荷も伝達可能であるように構成しようとするものである。
【0015】
この課題は、本発明によれば、次のようにして解決される。すなわち、位置誤差Δsが定義されるべき正の位置誤差限界+Δsを上回るかもしくは負の位置誤差限界−Δsを下回るときその都度、両容積V1およびV2間の接続が両容積の間の液圧用液体の交換のために形成されること、この接続が液圧用液体の交換を常に位置誤差Δsの符号に依存して定められた一方向においてのみ許容すること、この接続が、少なくとも、定義された位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られるだけでなく、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有する場合に形成されていること、そしてこの接続を介する液圧用液体の交換が液圧シリンダのピストン棒への力作用によってひき起こされることによって解決される。
【0016】
図3には、本発明にしたがって構成された受動液圧制御装置が模範的に示されている。この受動液圧制御装置では複数の液圧シリンダ1が互いに液圧的に接続されている。シリンダ1のピストン行程s1…snが行程センサ8により検出される。行程センサ8の信号は評価および制御ユニット9に供給される。評価および制御ユニット9は行程センサ8の信号から式(4)にしたがって位置誤差Δsの値を求める。液圧制御装置に対する精度要求に応じて、位置誤差Δsのための最小値および最大値が定められていて、評価および制御ユニット9において基準値として使用可能である。評価および制御ユニット9によって求められたΔsの値が対応する限界値を下回るか、もしくは上回ると、評価および制御ユニット9の出力の1つにおいて交換弁10の1つの制御のための信号が出される。当該交換弁10が開いて、この弁がV1からV2の方向にまたはその逆の方向に液圧用液体の交換を行なうことができ、この場合に可能な交換方向はその都度の逆止弁11によって定められている。
【0017】
図4には図3からの本発明の変形がもう一度示されているが、これは2つの液圧シリンダ1および位置誤差を有する例である。図4においては上部のシリンダ1が零位置にあるのに対して、下部のシリンダ1が大きさ|Δs|だけ正の側にずれている。その結果容積V1が大きすぎるのに対して、容積V2が小さすぎる。この場合に、両シリンダ1のピストン面積が等しい大きさであることから、式(3)にしたがって、両比例定数をk1=k2=1に設定することができる。それらの符号は、シリンダ1間の接続管2が交差されていないので同一符号である。それゆえ、式(4)にしたがって、Δsについて正の値が評価および制御ユニット9によって求められる。この値が予め与えられた最大値よりも大きい場合に、評価および制御ユニット9はそれの出力A+において交換弁10の制御のための信号を出す。図4においては上側の交換弁10が制御される。上側の交換弁10は、付属の逆止弁11の取り付け方向によって条件づけられてV1からV2への液圧用液体の交換を可能にするが、逆方向は不可能である。図4に示されている状況では、容積V1において容積V2に比べて高い圧力が支配しているときにはいつでも、V1からV2への所望の液体交換がもたらされ、それにより位置誤差が減少する結果となる。これは、シリンダ1のピストン棒に引張り力が働く場合である。両容積間の液圧用液体の交換はピストン棒に作用する力によってもたらされる。シリンダ1のピストン棒に押圧力が作用する場合には、V2における圧力が大きいほうの圧力となる。液圧用液体の交換は行なわれず、位置誤差は変化しないままとどまる。本発明による位置修正の機能は、少なくとも短い時間間隔の間に作用方向が変化する力がピストン棒に作用すること、そしてこれが十分な頻度で行なわれなければならないことに束縛されている。本発明による位置修正の使用可能性に関するこの制限は、位置修正機能が両容積間の液圧用液体の交換のための外部エネルギーの供給に束縛されないという利点と相対している。
【0018】
図5には本発明によるやり方の受動液圧制御装置が示され、これは図3もしくは図4の行程センサ8の代わりに開閉接点12および13を有する。これらの開閉接点12および13はシリンダピストンによる零位置の正方向もしくは負方向への超過を信号化する。ここでは定量的な行程情報ではなく定性的な行程情報のみが与えられることから、これらの信号の評価が簡単に実現可能である。開閉接点12もしくは13の相応の相互接続によって、行程信号のAND結合がもたらされる。つまり、受動液圧制御装置に関与する全てのシリンダ1について、ピストン行程snと付属の比例定数knとの積が正である場合には、逆止弁11と関連して容積V1から容積V2への液圧用液体の交換を可能にする交換弁10による液圧的な接続が形成される。ピストン行程snと付属の比例定数knとの積がすべて負である場合には、容積V2から容積V1への液圧用液体の逆方向の交換が可能にされる。
【0019】
図5による受動液圧制御装置と機能的に対比可能な変形例を図6に示す。この場合には交換弁10が電気的な補助エネルギーを介して制御されるのではなくて、シリンダ1のピストン棒によって直接に制御される。各シリンダ1には対応する交換弁10および逆止弁11が付設されている。交換管14により、交換弁10の開閉状態を反映するシリンダピストン棒の行程情報の結合が行なわれる。
【0020】
図7は図6と同じ受動液圧制御装置を示すが、ここではシリンダピストンがそれらの零位置に示されていない。一方のシリンダ1のピストンは正の行程方向にずれ、他方のシリンダピストンは負の行程方向にずれているが、しかし両者のずれの大きさは同じである。ここでも両シリンダ1において模範的に同じ大きさのピストン面積が仮定され、かつ接続管2が交差させられていないことから、比例定数について再びk1=k2=1が成り立つ。したがって、式(4)に基づいて位置誤差はΔs=0である。したがって、両容積間の液圧用液体の交換は必要でもないし、許容もされない。図7から分かるように、これは、その都度開放される交換弁10に付設されている逆止弁11の逆の作用方向によって保証されている。
【0021】
図8は、図6もしくは図7による液圧制御装置とは異なったピストン位置を示す。ここでは両シリンダ1のピストンが正の行程方向にずれている。ここでは、式(4)にしたがって、位置誤差Δsについて0とは異なる値が生じる(ここでもk1=k2=1であるため、Δs>0である。)。それゆえ、容積V1から容積V2への液圧用液体の交換が位置修正のために必要である。図8に示された弁状態によって、これは、容積V1において容積V2においてよりも高い圧力が支配している場合に可能にされる。図8には交換管14を介する液圧用液体の行程が相応の矢印にて示されている。
【0022】
図9には、図6ないし図8による受動液圧制御装置が若干異なった状況にて再現されている。この図では、上側のシリンダ1のピストンが正の行程方向にずれているが、下側のシリンダ1のピストンが負の行程方向にずれている。しかしながら、図7とは違って、両シリンダにおけるピストン行程の大きさも異なっている。それゆえ、式(4)にしたがって、0とは異なる位置誤差Δsが求まる。これは(図9に表されているピストン位置について、かつk1=k2=1の仮定により)正であることから、容積V1から容積V2への液圧用液体の交換が位置修正のために必要であるが、しかし図示のピストン位置については可能でない。ピストン移動が起きて図8にしたがったピストン位置に匹敵するピストン位置が発生したにときはじめて、すなわち両ピストンが正の行程方向にずれているときにはじめて、位置修正が行なわれる。
【0023】
容積V1から容積V2への液圧用液体の交換もしくはその逆の交換は、定められた位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られると共に、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有するかぎり可能である。位置修正の機能に関するこの制限条件は、図5以降に示されているような受動液圧制御装置において、ピストン行程の行程信号が、その都度のピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかどうかを確認することに帰結する。したがって、その都度ピストン行程の符号のみが「既知」であり、それは図5における開閉接点12もしくは13またはそれに続く図における交換弁10の開閉閾が超過されている場合についてのみである。したがって、図5以降に示されているような受動液圧制御装置におけるピストン行程の実際の大きさが位置修正作用のために用いられないことから、式(4)は、全ての積k1・s1;k2・s2;…;kn・snが同じ符号を有する場合にのみ、位置誤差Δsの符号を表す。その際にこれらの積の総和、つまり位置誤差Δsは積のそれぞれと同じ符号を持つ。
【0024】
図10には、図6以降に検討した受動液圧制御装置がもう一度示されているが、しかし多数のシリンダを備えた受動液圧制御装置が示されている。図11も、図6から分かる受動液圧制御装置の一部変更された形を示す。ここでは接続管2が液圧シリンダ1間において交差している。これは、比例定数が交差に基づいて符号を変化することをもたらす。両シリンダ1における等しいピストン面積の場合に、式(4)が図11については、
Δs=s1−s2
なる形式を取る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】多数の液圧シリンダを有する受動液圧制御原理を説明するための概略図
【図2】2つの液圧シリンダを有する従来の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図3】本発明により構成された第1の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図4】図3からの本発明の構成変形を下側のシリンダピストンが正の側にずれた状態で示す概略図
【図5】本発明により構成された第2の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図6】本発明により構成された第3の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図7】図6からの受動液圧制御装置を一方のシリンダピストンが正の行程方向にずれ、他方のシリンダピストンが負の行程方向にずれている状態で示す概略図
【図8】図6もしくは図7による受動液圧制御装置を両シリンダのピストンが正の行程方向にずれている状態で示す概略図
【図9】図6ないし図8による受動液圧制御装置を若干異なった状態で示す概略図
【図10】図6以降よる装置を多数シリンダ構成にした受動液圧制御装置を示す概略図
【図11】図6による装置を部分変更した受動液圧制御装置を示す概略図
【符号の説明】
【0026】
1 液圧シリンダ
2 接続管
3 位置決めばね
4 絞り弁
5 液体タンク
6 逆止弁
7 減圧弁
8 行程センサ
9 評価および制御ユニット
10 交換弁
11 逆止弁
12 開閉接点
13 開閉接点
14 交換管
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダの1つにおけるピストン移動が他のシリンダの少なくとも1つにおけるピストン移動という結果(順次制御)となるように2つ以上の液圧シリンダが互いに液圧的に接続されている受動的な液圧制御装置に関する。
【0002】
図1にはこのような受動的な液圧順次制御装置が示されている。液圧シリンダ1が液圧管2により互いに接続されている。例えば、図1における上方のシリンダ1のピストンが行程s1だけ移動する場合に、V1とV2との容積は一定であるために他のシリンダ1においてピストン行程s2…snが生じ、これらのピストン行程s2…snの和が行程s1に相当し、しかし逆の符号を有する。式としてこの状況を既述すれば、
s1=−(s2+…+sn) (1)
となる。
【0003】
式(1)により記述される状況は、全ての液圧シリンダ1が同じ大きさのピストン面積を持つ場合に当てはまる。異なった大きさのピストン面積を持つ液圧シリンダ1が使用される場合には、個々の液圧シリンダ1において異なった行程が現れる。その場合、行程の関連は式(2)によって表される。
0=k1s1+k2s2+…+knsn (2)
【0004】
この式においてk1…knは比例定数であり、これらは液圧シリンダのピストン面積A1…Anに対して逆比例する。
k1:k2:…:kn=(1/A1):(1/A2):…:(1/An) (3)
【0005】
個々の比例定数k1…knは、例えば液圧管2が交差させられる場合には負の値をとる(図11による例の場合)。
【0006】
上述の受動液圧制御装置は、次の場合に制御棒の代わりにしばしば有利に使用される。すなわち、比較的高い操作力が大きな距離にわたって伝達されなければならず、かつ場合によっては費用のかかるレバーによる力の方向転換および/または力伝達が必要である場合である。相互に移動する機械部分もしくは装置部分の境界を介する力伝達、例えば車両連結部を介する力伝達も、機械によるよりも液圧によるほうが一般に有利に解決される。上述の特性を有する受動液圧制御の典型的な用途は、例えば次のとおりである。
a)独国特許出願公開第2123876号明細書に応じた2つの部分からなるレール車両の車両連結部のためのヒンジ制御
b)独国特許出願公開第3123858号明細書、同3331559号明細書または同4343608号明細書に記載されているようなレール車両のための軸制御
c)欧州特許出願公開第0755839号明細書に記載されている多要素レール車両の車体の液圧式回転角カップリング
d)独国実用新案登録出願公開第29913547号明細書、欧州特許出願公開第1074448号明細書、欧州特許出願公開第1074449号明細書または独国特許出願公開第10012966号明細書に記載されているような車台制御およびヒンジ制御
【0007】
上述の原理に基づいて動作する受動液圧制御は、液圧シリンダ1および接続管2のほかに、安全機能のために他の構成要素を必要とする。図2には、これの基本的な配置が2つの液圧シリンダ1を有する装置に関して模範的に示されている。システムにおける不密閉性によってひき起こされる液圧用液体の損失を補償できるようにするために、液体タンク5が設けられている。液体タンク5は、逆止弁6を介して容積V1もしくはV2内に場合によっては不足する液圧用液体を補充する。この方法で、温度低下によってひき起こされる液圧用液体の容積減少も液体タンク5から補償される。温度上昇時における液圧用液体の膨張によってもひき起こされ得る液圧システムにおける高すぎる圧力は、減圧弁7により、これを介してそのような場合に液圧用液体が容積V1もしくはV2から液体タンク5へ抜けることによって防止される。
【0008】
この種の受動液圧制御装置の場合には、これが相応の修正措置なしには長時間にわたって位置安定でないことが出発点となる。式(1)もしくは式(2)により記述されるピストン行程の関係は持続的に保証可能でない。原因は、とりわけ、例えばV1からV2への方向またはその逆方向の液圧用液体の侵入の形での漏損である。液体タンク5からの補給または液体タンク5への回収も、V1およびV2に対して同期化されないで経過し、したがってV1およびV2に関する持続的な容積一定に影響を及ぼす。それゆえ、液圧シリンダのピストンに関する行程の関係は、式(2)による代わりに、次の式(4)によって記述されなければならない。
Δs=k1s1+k2s2+…+knsn (4)
【0009】
この式(4)において、値Δsは受動液圧制御の位置誤差の尺度である。したがって、液圧ピストンは全体として尺度Δsだけ目標位置からずれている。
【0010】
理想的にはΔsは、もちろん常に値0を取るべきである。このために、例えば独国実用新案登録出願第29913547号明細書に記載されているように、両容積V1およびV2の間における少なくとも時間的に作用する液圧的な接続が形成される。図2では、この液圧的な接続が絞り弁4により実現されている。これは、両容積V1およびV2間において少量の液圧用液体の交換を可能にする。液圧用液体のこの交換が平均して所望の方向に行なわれるように、全体システムに他の措置によって基本位置が与えられなければならない。図2に基づく装置においては、受動液圧制御装置が位置決めばね3によって基本位置を予め与えられる。ここでは、基本位置が模範的にそれぞれ、両液圧シリンダ1におけるピストンの中間位置により定められている。液圧シリンダ1のピストン棒に外力が作用しない場合に、両ピストンが中間位置にないならば、両ピストンが位置決めばね3によって中間位置に押され、場合によっては液圧用液体が絞り弁4を介して容積V1から容積V2へ、またはその逆方向に移動可能である。位置修正(Δs→0)が位置決めばね3によって付勢されて行なわれる。
【0011】
短時間だけもしくは動的に外部からピストン棒に作用する力は、絞り弁4を介する液圧用液体のほんの少しだけの移行のみをもたらす。なぜならば、絞り弁4は十分に大きな流動抵抗を持つからである。しかしながら、静的に外部からピストン棒に作用する力成分は、時間が増加するにともなって、絞り弁4を介してますます大きな量の液圧用液体の移行の原因となり、それにともなって位置誤差Δsが増大する。したがって、位置決めばね3が十分に高い初期ばね付勢(ピストンの中間位置通過時の跳躍的なばね特性曲線)を持つ場合を除いて、図2に対応する受動液圧制御装置における静的な基本負荷は回避されるべきである。
【0012】
位置決めばね3は、図2に示されているように、液圧シリンダ1の不可欠の一体化された部分である必要はない。位置決めばね3は、それ自体がシリンダの構成部分であることなしに、液圧シリンダ1によって制御される構成部分に作用することもできる。他の前述の受動液圧制御装置の適用例において、これは、とりわけレール車台(ボギー台車)の二次的ばねであり、これらにおける柔軟性のあるコイル作用により受動液圧制御装置により制御されるレール車台に基本位置を与える。
【0013】
容積V1とV2の間における位置決めばねおよび絞り弁による受動液圧制御装置のための位置修正は、図2に原理的に再現されているように、静的に作用する基本負荷がこの種の制御により条件付きでしか抑制可能でないという欠点を有するのみならず、特に、シリンダピストンの移動ために、全ての位置決めばねを張らせるのに必要な力がもたらされなければならないという欠点がある。
【0014】
したがって、本発明の課題は、容積V1とV2の間における位置決めばねおよび絞り弁による位置修正をともなう受動液圧制御装置の上述の欠点を取り除くことにある。これは、この種の受動液圧制御を次のように構成しようとするものである。すなわち、制御移動に抗して力を発生する要素なしにも位置修正が可能でありかつこの受動液圧制御装置によって静的な基本負荷も伝達可能であるように構成しようとするものである。
【0015】
この課題は、本発明によれば、次のようにして解決される。すなわち、位置誤差Δsが定義されるべき正の位置誤差限界+Δsを上回るかもしくは負の位置誤差限界−Δsを下回るときその都度、両容積V1およびV2間の接続が両容積の間の液圧用液体の交換のために形成されること、この接続が液圧用液体の交換を常に位置誤差Δsの符号に依存して定められた一方向においてのみ許容すること、この接続が、少なくとも、定義された位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られるだけでなく、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有する場合に形成されていること、そしてこの接続を介する液圧用液体の交換が液圧シリンダのピストン棒への力作用によってひき起こされることによって解決される。
【0016】
図3には、本発明にしたがって構成された受動液圧制御装置が模範的に示されている。この受動液圧制御装置では複数の液圧シリンダ1が互いに液圧的に接続されている。シリンダ1のピストン行程s1…snが行程センサ8により検出される。行程センサ8の信号は評価および制御ユニット9に供給される。評価および制御ユニット9は行程センサ8の信号から式(4)にしたがって位置誤差Δsの値を求める。液圧制御装置に対する精度要求に応じて、位置誤差Δsのための最小値および最大値が定められていて、評価および制御ユニット9において基準値として使用可能である。評価および制御ユニット9によって求められたΔsの値が対応する限界値を下回るか、もしくは上回ると、評価および制御ユニット9の出力の1つにおいて交換弁10の1つの制御のための信号が出される。当該交換弁10が開いて、この弁がV1からV2の方向にまたはその逆の方向に液圧用液体の交換を行なうことができ、この場合に可能な交換方向はその都度の逆止弁11によって定められている。
【0017】
図4には図3からの本発明の変形がもう一度示されているが、これは2つの液圧シリンダ1および位置誤差を有する例である。図4においては上部のシリンダ1が零位置にあるのに対して、下部のシリンダ1が大きさ|Δs|だけ正の側にずれている。その結果容積V1が大きすぎるのに対して、容積V2が小さすぎる。この場合に、両シリンダ1のピストン面積が等しい大きさであることから、式(3)にしたがって、両比例定数をk1=k2=1に設定することができる。それらの符号は、シリンダ1間の接続管2が交差されていないので同一符号である。それゆえ、式(4)にしたがって、Δsについて正の値が評価および制御ユニット9によって求められる。この値が予め与えられた最大値よりも大きい場合に、評価および制御ユニット9はそれの出力A+において交換弁10の制御のための信号を出す。図4においては上側の交換弁10が制御される。上側の交換弁10は、付属の逆止弁11の取り付け方向によって条件づけられてV1からV2への液圧用液体の交換を可能にするが、逆方向は不可能である。図4に示されている状況では、容積V1において容積V2に比べて高い圧力が支配しているときにはいつでも、V1からV2への所望の液体交換がもたらされ、それにより位置誤差が減少する結果となる。これは、シリンダ1のピストン棒に引張り力が働く場合である。両容積間の液圧用液体の交換はピストン棒に作用する力によってもたらされる。シリンダ1のピストン棒に押圧力が作用する場合には、V2における圧力が大きいほうの圧力となる。液圧用液体の交換は行なわれず、位置誤差は変化しないままとどまる。本発明による位置修正の機能は、少なくとも短い時間間隔の間に作用方向が変化する力がピストン棒に作用すること、そしてこれが十分な頻度で行なわれなければならないことに束縛されている。本発明による位置修正の使用可能性に関するこの制限は、位置修正機能が両容積間の液圧用液体の交換のための外部エネルギーの供給に束縛されないという利点と相対している。
【0018】
図5には本発明によるやり方の受動液圧制御装置が示され、これは図3もしくは図4の行程センサ8の代わりに開閉接点12および13を有する。これらの開閉接点12および13はシリンダピストンによる零位置の正方向もしくは負方向への超過を信号化する。ここでは定量的な行程情報ではなく定性的な行程情報のみが与えられることから、これらの信号の評価が簡単に実現可能である。開閉接点12もしくは13の相応の相互接続によって、行程信号のAND結合がもたらされる。つまり、受動液圧制御装置に関与する全てのシリンダ1について、ピストン行程snと付属の比例定数knとの積が正である場合には、逆止弁11と関連して容積V1から容積V2への液圧用液体の交換を可能にする交換弁10による液圧的な接続が形成される。ピストン行程snと付属の比例定数knとの積がすべて負である場合には、容積V2から容積V1への液圧用液体の逆方向の交換が可能にされる。
【0019】
図5による受動液圧制御装置と機能的に対比可能な変形例を図6に示す。この場合には交換弁10が電気的な補助エネルギーを介して制御されるのではなくて、シリンダ1のピストン棒によって直接に制御される。各シリンダ1には対応する交換弁10および逆止弁11が付設されている。交換管14により、交換弁10の開閉状態を反映するシリンダピストン棒の行程情報の結合が行なわれる。
【0020】
図7は図6と同じ受動液圧制御装置を示すが、ここではシリンダピストンがそれらの零位置に示されていない。一方のシリンダ1のピストンは正の行程方向にずれ、他方のシリンダピストンは負の行程方向にずれているが、しかし両者のずれの大きさは同じである。ここでも両シリンダ1において模範的に同じ大きさのピストン面積が仮定され、かつ接続管2が交差させられていないことから、比例定数について再びk1=k2=1が成り立つ。したがって、式(4)に基づいて位置誤差はΔs=0である。したがって、両容積間の液圧用液体の交換は必要でもないし、許容もされない。図7から分かるように、これは、その都度開放される交換弁10に付設されている逆止弁11の逆の作用方向によって保証されている。
【0021】
図8は、図6もしくは図7による液圧制御装置とは異なったピストン位置を示す。ここでは両シリンダ1のピストンが正の行程方向にずれている。ここでは、式(4)にしたがって、位置誤差Δsについて0とは異なる値が生じる(ここでもk1=k2=1であるため、Δs>0である。)。それゆえ、容積V1から容積V2への液圧用液体の交換が位置修正のために必要である。図8に示された弁状態によって、これは、容積V1において容積V2においてよりも高い圧力が支配している場合に可能にされる。図8には交換管14を介する液圧用液体の行程が相応の矢印にて示されている。
【0022】
図9には、図6ないし図8による受動液圧制御装置が若干異なった状況にて再現されている。この図では、上側のシリンダ1のピストンが正の行程方向にずれているが、下側のシリンダ1のピストンが負の行程方向にずれている。しかしながら、図7とは違って、両シリンダにおけるピストン行程の大きさも異なっている。それゆえ、式(4)にしたがって、0とは異なる位置誤差Δsが求まる。これは(図9に表されているピストン位置について、かつk1=k2=1の仮定により)正であることから、容積V1から容積V2への液圧用液体の交換が位置修正のために必要であるが、しかし図示のピストン位置については可能でない。ピストン移動が起きて図8にしたがったピストン位置に匹敵するピストン位置が発生したにときはじめて、すなわち両ピストンが正の行程方向にずれているときにはじめて、位置修正が行なわれる。
【0023】
容積V1から容積V2への液圧用液体の交換もしくはその逆の交換は、定められた位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られると共に、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有するかぎり可能である。位置修正の機能に関するこの制限条件は、図5以降に示されているような受動液圧制御装置において、ピストン行程の行程信号が、その都度のピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかどうかを確認することに帰結する。したがって、その都度ピストン行程の符号のみが「既知」であり、それは図5における開閉接点12もしくは13またはそれに続く図における交換弁10の開閉閾が超過されている場合についてのみである。したがって、図5以降に示されているような受動液圧制御装置におけるピストン行程の実際の大きさが位置修正作用のために用いられないことから、式(4)は、全ての積k1・s1;k2・s2;…;kn・snが同じ符号を有する場合にのみ、位置誤差Δsの符号を表す。その際にこれらの積の総和、つまり位置誤差Δsは積のそれぞれと同じ符号を持つ。
【0024】
図10には、図6以降に検討した受動液圧制御装置がもう一度示されているが、しかし多数のシリンダを備えた受動液圧制御装置が示されている。図11も、図6から分かる受動液圧制御装置の一部変更された形を示す。ここでは接続管2が液圧シリンダ1間において交差している。これは、比例定数が交差に基づいて符号を変化することをもたらす。両シリンダ1における等しいピストン面積の場合に、式(4)が図11については、
Δs=s1−s2
なる形式を取る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】多数の液圧シリンダを有する受動液圧制御原理を説明するための概略図
【図2】2つの液圧シリンダを有する従来の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図3】本発明により構成された第1の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図4】図3からの本発明の構成変形を下側のシリンダピストンが正の側にずれた状態で示す概略図
【図5】本発明により構成された第2の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図6】本発明により構成された第3の受動液圧制御装置を模範的に示す概略図
【図7】図6からの受動液圧制御装置を一方のシリンダピストンが正の行程方向にずれ、他方のシリンダピストンが負の行程方向にずれている状態で示す概略図
【図8】図6もしくは図7による受動液圧制御装置を両シリンダのピストンが正の行程方向にずれている状態で示す概略図
【図9】図6ないし図8による受動液圧制御装置を若干異なった状態で示す概略図
【図10】図6以降よる装置を多数シリンダ構成にした受動液圧制御装置を示す概略図
【図11】図6による装置を部分変更した受動液圧制御装置を示す概略図
【符号の説明】
【0026】
1 液圧シリンダ
2 接続管
3 位置決めばね
4 絞り弁
5 液体タンク
6 逆止弁
7 減圧弁
8 行程センサ
9 評価および制御ユニット
10 交換弁
11 逆止弁
12 開閉接点
13 開閉接点
14 交換管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(1)の1つにおけるピストンの移動が他のシリンダ(1)の少なくとも1つにおけるピストンの移動という結果(順次制御)をもたらすように、2つ以上の液圧シリンダ(1)のピストンの両側における容積V1およびV2がその都度互いに液圧的に接続されている受動液圧制御装置であって、全てのシリンダ(1)のピストン行程の総和Δs=k1s1+k2s2+…+knsnが理想的には常にΔs=0=一定であり、比例定数k1,k2,…knがシリンダ(1)のピストン面積の逆数であり、それらの符号が液圧シリンダ(1)間の接続管が交差しているか否かに依存する受動液圧制御装置において、
定義されるべき正の位置誤差限界+Δsを上回るかもしくは負の位置誤差限界−Δsを下回る位置誤差の発生時に位置誤差が次によって修正されること、すなわち両容積V1およびV2間の接続が両容積の間の液圧用液体の交換のために形成されること、この接続が液圧用液体の交換を常に位置誤差Δsの符号に依存して定められた一方向においてのみ許容すること、この接続が、少なくとも、定義された位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られるだけでなく、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有する場合に形成されていること、そしてこの接続を介する液圧用液体の交換が液圧シリンダ(1)のピストン棒への力作用によってひき起こされることを特徴とする受動液圧制御装置。
【請求項2】
シリンダピストンの位置が電気的/電子的な行程センサ(8)により求められ、電気的/電子的な評価および制御ユニット(9)がこれらの情報に基づいて液圧弁を次のように制御すること、すなわち液圧弁が位置誤差発生時に液圧用液体の交換を位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容するように制御することを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【請求項3】
電気的/電子的な開閉要素により各液圧シリンダ(1)について、シリンダピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかが信号化され、全てのシリンダピストンが零位置から同じ容積側にずれている場合について、全てのシリンダの開閉要素の相応の相互の接続によって液圧弁が次のように制御されること、すなわち液圧弁が液圧用液体の交換を位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容するように制御されることを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【請求項4】
その都度のシリンダピストンによって直接または間接に操作される液圧式の開閉弁が各液圧シリンダ(1)に次のよう付設されていること、すなわちシリンダピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかに依存して開閉弁が開閉状態を変え、全てのシリンダピストンが零位置から同じ容積側にずれている場合について、全てのシリンダの開閉弁の相応の液圧接続によって制約されて、これらの開閉弁によって液圧用液体の交換が位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容されることを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【請求項1】
シリンダ(1)の1つにおけるピストンの移動が他のシリンダ(1)の少なくとも1つにおけるピストンの移動という結果(順次制御)をもたらすように、2つ以上の液圧シリンダ(1)のピストンの両側における容積V1およびV2がその都度互いに液圧的に接続されている受動液圧制御装置であって、全てのシリンダ(1)のピストン行程の総和Δs=k1s1+k2s2+…+knsnが理想的には常にΔs=0=一定であり、比例定数k1,k2,…knがシリンダ(1)のピストン面積の逆数であり、それらの符号が液圧シリンダ(1)間の接続管が交差しているか否かに依存する受動液圧制御装置において、
定義されるべき正の位置誤差限界+Δsを上回るかもしくは負の位置誤差限界−Δsを下回る位置誤差の発生時に位置誤差が次によって修正されること、すなわち両容積V1およびV2間の接続が両容積の間の液圧用液体の交換のために形成されること、この接続が液圧用液体の交換を常に位置誤差Δsの符号に依存して定められた一方向においてのみ許容すること、この接続が、少なくとも、定義された位置誤差限界の一方+Δsもしくは−Δsが上回られるかもしくは下回られるだけでなく、更にピストン行程s1…snとそれぞれに付属の比例定数k1…knとの全ての積も位置誤差Δsと同じ符号を有する場合に形成されていること、そしてこの接続を介する液圧用液体の交換が液圧シリンダ(1)のピストン棒への力作用によってひき起こされることを特徴とする受動液圧制御装置。
【請求項2】
シリンダピストンの位置が電気的/電子的な行程センサ(8)により求められ、電気的/電子的な評価および制御ユニット(9)がこれらの情報に基づいて液圧弁を次のように制御すること、すなわち液圧弁が位置誤差発生時に液圧用液体の交換を位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容するように制御することを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【請求項3】
電気的/電子的な開閉要素により各液圧シリンダ(1)について、シリンダピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかが信号化され、全てのシリンダピストンが零位置から同じ容積側にずれている場合について、全てのシリンダの開閉要素の相応の相互の接続によって液圧弁が次のように制御されること、すなわち液圧弁が液圧用液体の交換を位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容するように制御されることを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【請求項4】
その都度のシリンダピストンによって直接または間接に操作される液圧式の開閉弁が各液圧シリンダ(1)に次のよう付設されていること、すなわちシリンダピストンが零位置の一方側にあるかまたは他方側にあるかに依存して開閉弁が開閉状態を変え、全てのシリンダピストンが零位置から同じ容積側にずれている場合について、全てのシリンダの開閉弁の相応の液圧接続によって制約されて、これらの開閉弁によって液圧用液体の交換が位置誤差の方向に応じて容積V1からV2への方向にのみまたはその逆方向にのみ許容されることを特徴とする請求項1記載の受動液圧制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−542664(P2008−542664A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515160(P2008−515160)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060934
【国際公開番号】WO2006/131407
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060934
【国際公開番号】WO2006/131407
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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