説明

施工現場納入コンクリートの品質管理システム

【課題】工場から搬入される納入コンクリートが施工現場で要求している計画コンクリートに適合しているかを正確に管理する。
【解決手段】工場側管理装置1は、運搬車3に積み込まれる納入コンクリートの製造データを記憶する製造データ記憶手段と、製造データ記憶手段に記憶された製造データを可搬式記録媒体4に記録する書き込み手段7とを備え、施工現場側管理装置2は、計画コンクリートの品質データを記憶する計画品質記憶手段と、可搬式記録媒体4に記録された納入コンクリートの製造データを読み取る読み取り手段8と、製造データと計画計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合している否かを判定する計画品質確認手段と、計画品質確認手段が納入コンクリートを不適合であると判定したとき、警告を発する警告手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施工現場納入コンクリートの品質管理システムに関し、さらに詳細には、工場で製造され施工現場に搬入されるコンクリートの品質が、当該施工現場において要求されているものであるかどうかをチェックし、構築されるコンクリート構造物の品質保証に役立たせるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の施工現場で打設されるコンクリートは、一般には、生コンクリート工場で製造され、運搬車により施工現場に搬入される。このような、コンクリートの納入形態において、運搬車(ミキサー車)の運転手は、工場を出発する際に、コンクリートに関する品質情報、例えば、当該運搬車に実際に積み込まれたコンクリートの種類、納入量、出荷時刻等の情報が記載された紙伝票を携帯する。そして、施工現場では紙伝票を受け取り、その納入コンクリートの品質が計画コンクリートに適合するものであるかどうかを確認したうえ、打設作業を開始するという手順が採用されている。
【0003】
しかしながら、上記従来の手法における紙伝票を介して伝達されるコンクリートの品質情報は、施工現場で要求されるコンクリートの品質を十分に反映しているものであるとはいえない。
【0004】
特許文献1には、「生コンクリートの運搬車に、外部から情報の書き込み/読み取り可能な非接触通信媒体を取り付け、生コンクリートの出荷元にて、前記非接触通信媒体に前記生コンクリート運搬車に積み込まれる生コンクリートの品質およびその出荷に関する品質・出荷情報および生コンクリート運搬車の識別情報を書き込み、生コンクリートの納入先にて、前記非接触通信媒体から前記品質・出荷情報を読み取ることを特徴とする。」生コンクリートの管理方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、この特許文献1に記載の方法は、コンクリートの品質・出荷情報を紙伝票に代えて非接触通信媒体に記録するものではあるが、施工現場においては非接触通信媒体から当該情報を読み取るだけのものにすぎない。また、コンクリートは製造後、所定の時間内に打設しなければ、良好な品質のコンクリート構造物を得ることができないのであるが、特許文献1に記載の方法は、時間に関するコンクリートの打設品質管理については何ら言及がない。
【0006】
一方、特許文献2には、コンクリートの練混ぜ終了後からの時間を管理し、予め設定された許容期間内にコンクリートを打設することにより、コンクリート構造物の品質を保証するシステムが開示されている。しかしながら、特許文献2には、現場に納入されるコンクリートの品質が、計画コンクリートに適合するものであるかの確認については何ら言及がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−137285
【特許文献2】特開2005−234664
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、工場から搬入される納入コンクリートが施工現場で要求している計画コンクリートに適合しているかを正確に管理し、良好な品質のコンクリート構造物の構築に寄与することができるコンクリートの品質管理システムを提供することにある。
【0009】
この発明の他の目的は、上記目的に加えて、納入コンクリートの製造時からの時間を正確に管理し、良好な品質のコンクリート構造物の構築に寄与することができる品質コンクリートの管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、工場で製造され、運搬車により施工現場に納入されるコンクリートの品質管理システムであって、
前記工場に設置される工場側管理装置と、前記運搬車に随伴して移動する可搬式記録媒体と、前記施工現場に設置される施工現場側管理装置とを備え、
前記工場側管理装置は、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの種類、納入量、各材料の計量値などの製造データを運搬車ごとに記憶する製造データ記憶手段と、
工場を出発する運搬車に積み込まれた前記納入コンクリートの製造データを前記可搬式記録媒体に記録する書き込み手段とを備え、
前記施工現場側管理装置は、当該現場で必要としているコンクリートの種類、計画配合などの計画コンクリートの品質データを記憶する計画品質記憶手段と、
前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記製造データと、前記計画品質記憶手段に記憶された前記計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合している否かを判定する計画品質確認手段と、
前記計画品質確認手段が納入コンクリートを不適合であると判定したとき、警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする施工現場納入コンクリートの品質管理システムにある。
【0011】
また、この発明は、工場で製造され、運搬車により施工現場に納入されて、荷卸し打設されるコンクリートの品質管理システムであって、
前記工場に設置される工場側管理装置と、前記運搬車に随伴して移動する可搬式記録媒体と、前記施工現場に設置される施工現場側管理装置とを備え、
前記工場側管理装置は、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの種類、納入量、各材料の計量値などの製造データを運搬車ごとに記憶する製造データ記憶手段と、
工場を出発する運搬車に積み込まれた前記納入コンクリートの製造データと、当該運搬車の出発時刻とを前記可搬式記録媒体に記録する書き込み手段とを備え、
前記施工現場側管理装置は、当該現場で必要としているコンクリートの種類、計画配合などの計画コンクリートの品質データを記憶する計画品質記憶手段と、
施工現場でのコンクリートの打設限度時間データを記憶する打設限度時間記憶手段と、
前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データと、運搬車の前記出発時刻データとを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記製造データと、前記計画品質記憶手段に記憶された前記計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合しているか否かを判定する計画品質確認手段と、
前記読み取り手段が読み取った運搬車の前記出発時刻データと、前記打設限度時間記憶手段に記憶された打設限度時間データとに基づいて、納入コンクリートが打設コンクリートとして適切であるか否かを判定する打設品質確認手段と、
前記計画品質確認手段が納入コンクリートを不適合であると判定したとき、又は前記打設品質確認手段が納入コンクリートを不適切であると判定したとき、警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする施工現場納入コンクリートの品質管理システムにある。
【0012】
上記品質管理システムにおいて、前記計画品質確認手段は、前記納入コンクリートの種類データと前記計画コンクリートの種類データとを比較し、それらが一致しないとき納入コンクリートを不適合であると判定することを含む。
【0013】
また、上記品質管理システムにおいて、前記工場側管理装置は、前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データから、該納入コンクリートの配合データを算出する配合算出手段を備え、
前記計画品質確認手段は、前記配合算出手段が算出した配合データと、前記計画品質記憶手段に記憶された計画配合データとを比較し、それらの差が設定範囲内にないとき納入コンクリートが不適合であると判定することを含む。
【0014】
さらに、上記管理システムにおいて、前記工場側管理装置は、前記読み取り手段が読み取った運搬車の前記出発時刻データと、前記打設限度時間記憶手段に記憶された前記打設限度時間データとに基づいて、打設限度時刻データを算出する打設限度時刻算出手段と、現在時刻データを計時する計時手段とを備え、
前記打設品質確認手段は、納入コンクリートの荷卸し開始前及び荷卸し中に前記計時手段により計時された現在時刻データと前記打設限度時刻とを比較し、現在時刻データが打設限度時刻データに達しているか又は達したとき納入コンクリートを不適切であると判定することを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、工場側管理装置において、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの製造データを可搬式記録媒体に書き込み、施工現場側管理装置において、可搬式記録媒体に記録された製造データと計画コンクリートの品質データとに基づき納入コンクリートが計画コンクリートに適合するかどうかを判定するので、納入コンクリートの適合性を正確に管理することができ、良好な品質のコンクリート構造物を構築することができる。
【0016】
また、可搬式記録媒体に運搬車の出発時刻を書き込み、施工現場側管理装置において、可搬式記録媒体に記録された出発時刻と打設限度時間とに基づいて納入コンクリートが打設コンクリートとして適切であるかどうかを判定するので、納入コンクリートの時間経過に伴う品質管理を正確に行うことができ、良好な品質のコンクリート構造物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施形態を示し、システムの全体構成を示す図である。
【図2】工場側管理装置の具体的な構成を示す図である。
【図3】施工現場側管理装置の具体的構成を示す図である。
【図4】施工現場側管理装置の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1に示すように、この発明によるコンクリートの品質管理装置は、コンクリートが製造される工場に設置される工場側管理装置1と、コンクリート構造物を施工する施工現場に設置される施工現場側管理装置2と、工場からコンクリートを施工現場に搬入する運搬車3に随伴して移動する可搬式記録媒体、例えば接触式又は非接触式のICカード4とを備えている。ICカード4は、具体的には、運搬車3の運転手が携帯する。
【0019】
工場側管理装置1及び施工現場側管理装置2は、コンピュータ5,6と、ICカード4に対して読み込み・書き込み可能なリード/ライト7,8を備えている。コンピュータ5,6は、演算制御装置、記憶装置、入力装置、表示装置などを有する汎用のパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)であり、これに接続されたリード/ライト7,8の動作を制御することが可能である。このパソコン5,6及びリード/ライト7,8により、工場側管理装置1及び施工現場側管理装置2は、それぞれ図2及び図3に示されるような構成を有している。
【0020】
図2に示す工場側管理装置1において、製造データ記憶手段9は、工場で製造されて運搬車3に積み込まれる納入コンクリートの製造データを記憶するためのものである。製造データには、納入コンクリートの種類(呼び強度、スランプ、粗骨材最大寸法、セメントの種類)、納入量、各材料の計量値(水量、セメント量、その他の材料の量)、骨材表面水など含まれる。運搬車3には識別IDが付与され、納入コンクリートの製造データは識別IDごとに製造データ記憶手段9に蓄積される。
【0021】
計時手段10は、現在時刻を計時するためのものである。リード/ライトによって構成される書き込み手段7は、製造データ記憶手段9に蓄積された製造データのうち、運搬車3の識別IDに対応する最新の製造データすなわち工場を出発する当該運搬車3に積み込まれた納入コンクリートの製造データと、現在時刻すなわち運搬車3の工場からの出発時刻をICカード4に書き込むためのものである。
【0022】
図3において、リード/ライトによって構成される読み取り手段8は、ICカード4に記録された納入コンクリートの製造データ及び運搬車3の出発時刻を読み取るためのものである。計画品質記憶手段11は、図示しない入力手段より入力される、当該施工現場で必要としているコンクリートの種類、計画配合などの計画コンクリートの品質データを記憶するためのものである。計画配合は、W/C(%)(水セメント比)、W/B(%)(水結合材比)、W(kg/m3)(単位水量)、C(kg/m3)(単位セメント量)などである。
【0023】
配合算出手段12は、ICカード4に記録され、読み取り手段8が読み取った納入コンクリートの製造データのうち、納入量、各材料の計量値から納入コンクリートの配合を算出するものである。計画品質確認手段13は、読み取り手段8が読み取った納入コンクリートの製造データと、計画品質記憶手段11に記憶された計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合するか否かを判定するためのものである。計画品質確認手段13は、具体的には、納入コンクリートの種類と、計画コンクリートの種類とを、呼び強度、スランプ、粗骨材最大寸法、セメントの種類の全てにおいて照合し、いずれかが一致しないときには不適合と判定する。また、計画品質確認手段13は、配合算出手段12が算出した納入コンクリートの配合と、計画品質記憶手段11に記憶された計画配合とを、W/C(%)(水セメント比)、W/B(%)(水結合材比)、W(kg/m3)(単位水量)、C(kg/m3)(単位セメント量)などの全てにおいて比較し、少なくとも単位水量におけるそれらの差が設定範囲にないとき不適合と判定する。
【0024】
打設限度時間記憶手段14は、コンクリートの打設品質を保つために、その製造時から打設が許容される時間すなわち打設限度時間を記憶するためのものであり、図示しない入力手段により入力される。打設限度時刻算出手段15は、ICカード4に記録され、読み取り手段8が読み取った運搬車3の工場出発時刻と、打設限度時間記憶手段14に記憶された打設限度時間とに基づいて、打設が許容される打設限度時刻を算出するためのものである。
【0025】
計時手段16は、現在時刻を計時するためのものである。打設品質確認手段17は、計時手段16により計時された現在時刻と、打設限度時刻算出手段15が算出した打設限度時刻とを比較し、現在時刻が打設限度時刻に達しているとき又は達したとき納入コンクリートを打設コンクリートとして不適切であると判定するものである。
【0026】
警告手段18は、計画品質確認手段13によって納入コンクリートが計画コンクリートに不適合であると判定されたとき、あるいは打設品質確認手段17によって納入コンクリートが打設コンクリートとして不適切であると判定されたとき、警告を発するためのものである。警告手段18としては、パソコン6の表示装置に「警告」という文字を表示する、あるいはパソコン6に警告ランプを接続し、点滅させる等の各種手段を採用することができる。
【0027】
次に、コンクリートの品質管理の流れについて説明する。コンクリート工場において、運搬車3へのコンクリートの積み込みを終えると、運搬車3の運転手は工場側管理装置1のリード/ライト7にICカード4をタッチして出発する。これにより、リード/ライト7とICカード4との間で交信が行われ、当該運搬車3に積み込まれた納入コンクリートの製造データと、運搬車3の出発時刻がICカード4に書き込まれる。
【0028】
一方、施工現場においては、図4に示すように、施工現場側管理装置2のパソコン6に計画コンクリートの品質データ及び打設限度時間が入力され(ステップS1)、それぞれ計画品質記憶手段11及び打設限度時間記憶手段14に記憶される。運搬車3が施工現場に到着すると、運転手はリード/ライト8にICカード4をタッチする。これにより、リード/ライト8とICカード4との間で交信が行われ、ICカード4に記録された納入コンクリートの品質データ及び運搬車3の出発時刻データが読み取られる(ステップS2)。なお、この時の時刻は、運搬車3の施工現場への到着時刻としてパソコン6に記録される。
【0029】
次いで、配合算出手段12により、リード/ライト8が読み取った納入コンクリートの製造データのうち、納入量、各材料の計量値から納入コンクリートの配合が算出される(ステップS3)。また、打設限度時刻算出手段15により、打設限度時間記憶手段14に記憶された打設限度時間と、リード/ライト8が読み取った運搬車3の工場出発時刻とから打設限度時刻が算出される(ステップS4)。
【0030】
次いで、計画品質確認手段13により、リード/ライト8が読み取った製造データのうち納入コンクリートの種類と、計画品質記憶手段11に記憶された計画コンクリートの種類とが照合される(ステップS5)。そして、それら種類が一致しないとき納入コンクリートの種類は不適合と判定され、警告が発せられる(ステップS6)。この警告が発せられたときは、納入コンクリートは廃棄される(以下の警告の場合も同様)。
【0031】
一方、納入コンクリートの種類が適合と判定されたときは、引き続き計画品質確認手段13により、配合算出手段12が算出した納入コンクリートの配合と、計画品質記憶手段11に記憶された計画コンクリートの配合とが比較される(ステップS7)。そして、それら配合の差が設定範囲内になく納入コンクリートの配合が不適合であると判定されたとき、警告が発せられる(ステップS6)。
【0032】
一方、納入コンクリートの配合が適合であると判定されたときは、打設品質確認手段17により、計時手段16が計時した現在時刻と打設限度時刻算出手段15が算出した打設限度時刻とが比較される(ステップS8)。そして、現在時刻が打設限度時刻にすでに達していて、納入コンクリートが打設コンクリートとして不適切であると判定されたとき、警告が発せられる(ステップS6)。
【0033】
一方、現在時刻が打設限度時刻に未だ達していなければ、納入コンクリートは打設コンクリートとして適切であると判定され、荷卸しが開始される(ステップS9)。この荷卸し開始時には、ICカード4をリード/ライト8にタッチすることによりそれらの間で交信が行われ、そのときの時刻が荷卸し開始時刻としてパソコン6に記録される。納入コンクリートの荷卸しは、ポンプ車に移載することによって行われ、荷卸しと同時に、ポンプ車を介してコンクリートが打設される。現在時刻と打設限度時刻との比較による打設品質確認は、荷卸し開始後すなわちコンクリートの打設中も実行され(ステップS10)、現在時刻が打設限度時刻に達すると、警告が発せられて運搬車3に残ったコンクリートは廃棄される。そして、荷卸しが完了してICカード4をリード/ライト8にタッチすると、それらの交信によりパソコン6が荷卸し完了を認識し(ステップS11)、運搬車1台についてのコンクリート品質確認処理が終了する。なお、このときの時刻は、荷卸し終了時刻としてパソコン6に記録される。
【0034】
上述のように、この発明は工場側管理装置1において、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの製造データをICカード4に書き込み、施工現場側管理装置2において、ICカードに記録された製造データと計画コンクリートの品質データとに基づき納入コンクリートが計画コンクリートに適合するかどうかを判定するので、納入コンクリートの適合性を正確に管理することができ、良好な品質のコンクリート構造物を構築することができる。
【0035】
また、ICカード4に運搬車の出発時刻を書き込み、施工現場側管理装置2において、ICカード4に記録された出発時刻と打設限度時間とに基づいて納入コンクリートが打設コンクリートとして適切であるかどうかを判定するので、納入コンクリートの時間経過に伴う品質管理を正確に行うことができ、良好な品質のコンクリート構造物を構築することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 工場側管理装置
2 施工現場側管理装置
3 運搬車
4 ICカード
5,6 パソコン
7 書き込み手段(リード/ライト)
8 読み取り手段(リード/ライト)
9 製造データ記憶手段
11 計画品質記憶手段
12 配合算出手段
13 計画品質確認手段
14 打設限度時間記憶手段
15 打設限度時刻算出手段
17 打設品質確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場で製造され、運搬車により施工現場に納入されるコンクリートの品質管理システムであって、
前記工場に設置される工場側管理装置と、前記運搬車に随伴して移動する可搬式記録媒体と、前記施工現場に設置される施工現場側管理装置とを備え、
前記工場側管理装置は、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの種類、納入量、各材料の計量値などの製造データを運搬車ごとに記憶する製造データ記憶手段と、
工場を出発する運搬車に積み込まれた前記納入コンクリートの製造データを前記可搬式記録媒体に記録する書き込み手段とを備え、
前記施工現場側管理装置は、当該現場で必要としているコンクリートの種類、計画配合などの計画コンクリートの品質データを記憶する計画品質記憶手段と、
前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記製造データと、前記計画品質記憶手段に記憶された前記計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合している否かを判定する計画品質確認手段と、
前記計画品質確認手段が納入コンクリートを不適合であると判定したとき、警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする施工現場納入コンクリートの品質管理システム。
【請求項2】
工場で製造され、運搬車により施工現場に納入されて、荷卸し打設されるコンクリートの品質管理システムであって、
前記工場に設置される工場側管理装置と、前記運搬車に随伴して移動する可搬式記録媒体と、前記施工現場に設置される施工現場側管理装置とを備え、
前記工場側管理装置は、運搬車に積み込まれる納入コンクリートの種類、納入量、各材料の計量値などの製造データを運搬車ごとに記憶する製造データ記憶手段と、
工場を出発する運搬車に積み込まれた前記納入コンクリートの製造データと、当該運搬車の出発時刻とを前記可搬式記録媒体に記録する書き込み手段とを備え、
前記施工現場側管理装置は、当該現場で必要としているコンクリートの種類、計画配合などの計画コンクリートの品質データを記憶する計画品質記憶手段と、
施工現場でのコンクリートの打設限度時間データを記憶する打設限度時間記憶手段と、
前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データと、運搬車の前記出発時刻データとを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段が読み取った前記製造データと、前記計画品質記憶手段に記憶された前記計画コンクリートの品質データとに基づいて、納入コンクリートが計画コンクリートに適合しているか否かを判定する計画品質確認手段と、
前記読み取り手段が読み取った運搬車の前記出発時刻データと、前記打設限度時間記憶手段に記憶された打設限度時間データとに基づいて、納入コンクリートが打設コンクリートとして適切であるか否かを判定する打設品質確認手段と、
前記計画品質確認手段が納入コンクリートを不適合であると判定したとき、又は前記打設品質確認手段が納入コンクリートを不適切であると判定したとき、警告を発する警告手段とを備えていることを特徴とする施工現場納入コンクリートの品質管理システム。
【請求項3】
前記計画品質確認手段は、前記納入コンクリートの種類データと前記計画コンクリートの種類データとを比較し、それらが一致しないとき納入コンクリートを不適合であると判定することを含む請求項1又は2記載の施工現場納入コンクリートの品質管理システム。
【請求項4】
前記工場側管理装置は、前記可搬式記録媒体に記録された前記納入コンクリートの製造データから、該納入コンクリートの配合データを算出する配合算出手段を備え、
前記計画品質確認手段は、前記配合算出手段が算出した配合データと、前記計画品質記憶手段に記憶された計画配合データとを比較し、それらの差が設定範囲内にないとき納入コンクリートが不適合であると判定することを含む請求項3記載の施工現場納入コンクリートの品質管理システム。
【請求項5】
前記工場側管理装置は、前記読み取り手段が読み取った運搬車の前記出発時刻データと、前記打設限度時間記憶手段に記憶された前記打設限度時間データとに基づいて、打設限度時刻データを算出する打設限度時刻算出手段と、現在時刻データを計時する計時手段とを備え、
前記打設品質確認手段は、納入コンクリートの荷卸し開始前及び荷卸し中に前記計時手段により計時された現在時刻データと前記打設限度時刻とを比較し、現在時刻データが打設限度時刻データに達しているか又は達したとき納入コンクリートを不適切であると判定することを含む請求項2,3又は4記載のコンクリートの品質管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−285748(P2010−285748A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138001(P2009−138001)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】