説明

施錠・解錠装置

【課題】ロック機構のレイアウト変更を容易に実施することができる施錠・解錠装置を提供する。
【解決手段】カード型キーの操作によって進退するスライダを有し、ロック機構の施錠・解錠を行うためのキー錠と、スライダの進退によって回転するレバー11、及びレバー11の回転によって揺動するロッド10を有し、スライダの進退力をロッド機構にその施錠・解錠力として伝達する伝達機構3とを備え、伝達機構3は、レバー11がスライダに回転可能に連結するスライダ連結部11aと、スライダ連結部11aに対しレバー回転軸13を境界部としてレバー回転面内で屈曲する腕部11bと、レバー回転面と直交する面内で腕部11bに折り返し形成されてロッド10に連結するロッド連結部11cとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施錠・解錠装置に関し、特に車両用ドアパネルにおけるドアロック機構の施錠・解錠を行うための施錠・解錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両には、ドアパネルのドアロック機構を施錠又は解錠状態とするための施錠・解錠装置が組み込まれている。
【0003】
近年、この種の施錠・解錠装置には、車両の操作性の向上を図る目的から、その所有者(運転者)が車両に近づいた際に電子的にドアロック機構を解錠し、運転者が車両から離れた際には電子的にドアロック機構を施錠する機能(スマートエントリ機能)を備えたものが採用されている。
【0004】
このような施錠・解錠装置は、ドアロック機構を電子的に施錠・解錠不能となった場合を想定し、その施錠・解錠を機械的に行うキーシステムも備えている。
【0005】
従来、この種の施錠・解錠装置として、アクチュエータ用リンク機構の断続を切り替えてドアロック機構の施錠・解錠を行うドアロックアクチュエータを備えたものがある(例えば特許文献1)。
【0006】
この施錠・解錠装置は、ドアハンドルの引き出し操作によって回転運動を生じるハンドル用リンク機構と、ハンドル用リンク機構の回転運動によって下向きの直線運動を生じるハンドル用ロッドと、ハンドル用ロッドの直線運動を上記したアクチュエータ用リンク機構に伝達する連結レバー機構とを有している。
【0007】
また、この施錠・解錠装置は、正規キー(マッチキー)の差し込み回転操作によって回転するロータを有してハンドルに収容されたシリンダ錠と、シリンダ錠のロータの回転運動によって回転するシリンダ錠用ロッドと、シリンダ錠用ロッドの回転運動を上記したアクチュエータ用リンク機構に伝達するキーレバー機構とを有している。
【0008】
このような施錠・解錠装置においては、マッチキーのシリンダ錠への差し込み回転操作によってロータが中立位置から一方向に回転すると、この回転がシリンダ錠用ロッドを介してキーレバー機構に伝達され、キーレバー機構の作動によってドアロックアクチュエータ内のアクチュエータ用リンク機構の断続が切り替えられ、ドアロック機構が施錠状態から解錠状態にされる。
【0009】
この後、ドアパネルを開放する方向にハンドルを操作すると、ハンドルの引き出し操作がハンドル用リンク機構を介してハンドル用ロッドに伝達される。ハンドル用ロッドがハンドルの引き出し操作によって下方へ直線運動すると、その直線運動が連結レバー機構を介してアクチュエータ用リンク機構に伝達される。アクチュエータ用リンク機構が作動すると、ドアロック機構が解錠状態にされているので、ドアパネルが開放される。
【0010】
一方、マッチキーのシリンダ錠への差し込み回転操作によってロータが中立位置から他方向に回転すると、この回転がシリンダ錠用ロッドを介してキーレバー機構に伝達され、キーレバー機構の作動によってアクチュエータ用リンク機構が作動してドアロック機構が解錠状態から施錠状態にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−129805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に示す施錠・解錠装置によると、シリンダ錠とドアロック機構との間に介在するシリンダ錠用ロッドにおいて配置上の自由度が低い。この結果、狭いスペース内ではシリンダ錠用ロッドとキーレバー機構との連結位置を変更することができず、ロック機構のレイアウト変更を容易に実施することができないという問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、狭いスペース内でもレバーに対するロッドの連結位置を変更することができ、もってロック機構のレイアウト変更を容易に実施することができる施錠・解錠装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(4)の施錠・解錠装置を提供する。
【0015】
(1)正規キーの操作によって進退するスライダを有し、ロック機構の施錠・解錠を行うためのキー錠と、前記スライダの進退によって回転するレバー、及び前記レバーの回転によって揺動するロッドを有し、前記スライダの進退力を前記ロッド機構にその施錠・解錠力として伝達する伝達機構とを備え、前記伝達機構は、前記レバーが前記スライダに回転可能に連結するスライダ連結部と、前記スライダ連結部に対しレバー回転軸を境界部としてレバー回転面内で屈曲する腕部と、前記レバー回転面と直交する面内で前記腕部に折り返し形成されて前記ロッドに連結するロッド連結部とを含む施錠・解錠装置。
【0016】
(2)前記伝達機構は、前記ロッドのレバー側端部が前記ロッド連結部に挿通して連結するレバー連結部を、また前記レバーの前記腕部が前記レバー連結部を挿通させる挿通孔をそれぞれ有する上記(1)に記載の施錠・解錠装置。
【0017】
(3)前記レバーは、前記スライダ連結部の長さaが前記腕部の長さをbとすると、a>bを満足する寸法に設定されている上記(1)又は(2)に記載の施錠・解錠装置。
【0018】
(4)前記キー錠は、キーコードを有するカード型キーのキー照合を行う錠前である上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の施錠・解錠装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、狭いスペース内でもレバーに対するロッドの連結位置を変更することができ、ロック機構のレイアウト変更を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置が適用された自動車の外観とそのA矢視部を示す斜視図。(a)は外観の斜視図を、また(b)はA矢視部の斜視図をそれぞれ示す。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の全体を説明するために示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の要部を説明するために示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の要部を説明するために示す背面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の要部を説明するために示す斜視図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置における伝達機構のレバーを説明するために示す斜視図。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の動作を説明するために示す断面図。(a)は解錠動作を、また(b)は施錠動作をそれぞれ示す。
【図8】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る施錠・解錠装置の動作を説明するために示す側面図。(a)は解錠動作を、また(b)は施錠動作をそれぞれ示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
(施錠・解錠装置の全体構成)
図1(a)及び(b)はキー錠の取付位置を示す。図2はカード型キーのキー錠への挿入状態を示す。図3はカード型キーとキー錠との照合状態を示す。図4及び図5はレバーとロッドとの連結状態を示す。図1(a),(b)及び図2において、符号1で示す施錠・解錠装置は、ドアロック機構100を施錠・解錠するためのキー錠2と、このキー錠2とドアロック機構100との間に介在する伝達機構3とを備え、自動車200におけるドアパネル201の内側に配置されている。
【0022】
(キー錠2の構成)
キー錠2は、図3に示すように、外装部材としてのハウジング4と、このハウジング4内で正規キーとしてのカード型キーKの操作方向a,aに進退するスライダ5と、このスライダ5の進退方向と直交する方向に進退する上下複数対のピンタンブラ6,7と、これら上下複数対のピンタンブラ6,7のうち上方のピンタンブラ6に下方のピンタンブラ7側への弾撥力を付与するタンブラ用のスプリング8とを有し、ドアロック機構100(図2に示す)のロッド連結位置上方に配置され、かつドアハンドル202(図2に示す)の内側にフレーム203(図2に示す)を介して取り付けられている。そして、キー錠2は、カード型キーK及び不正キー(図示せず)をキー照合する錠前として機能するように構成されている。カード型キーKとしては、キーコードとして複数のコード孔kを有する例えば金属製のキーが用いられる。
【0023】
ハウジング4は、上部ハウジング4A及び下部ハウジング4Bからなり、ドアパネル201(図2に示す)の表面内に配置されている。ハウジング4には、カード型キーKを挿抜するハウジング用のキー挿抜孔4a、及びこのキー挿抜孔4aに連通してスライダ5の一部を収容する収容空間4bが設けられている。
【0024】
上部ハウジング4Aには、カード型キーKの挿抜(操作)a,a方向と直交する方向に貫通する複数の貫通孔40aが設けられている。複数の貫通孔40aは、上側開口部がホールカバー9によって閉塞され、下側開口部が収容空間4bに連通されている。
【0025】
下部ハウジング4Bには、伝達機構3(後述)のレバー11を回転可能に支持するための支持部材40Bが取り付けられている。支持部材40Bは、下部ハウジング4Bの背面側(図3では左側)に配置されている。
【0026】
スライダ5は、上下1対のスライダエレメント5A,5Bからなり、収容空間4bにカード型キーKの挿抜方向a,aに進退可能に収容されている。そして、スライダ5は、カード型キーKの操作によって進退するように構成されている。スライダ5には、上下1対のスライダエレメント5A,5B間に介在し、かつカード型キーKを挿抜するスライダ用のキー挿抜孔5aが設けられている。本実施の形態では、スライダ5がスライダエレメント5A,5Bを別部品として2ピースからなる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、1ピースからなるスライダとすることができる。
【0027】
上方のスライダエレメント5Aには、上部ハウジング4Aにおける複数の貫通孔40aの軸線と平行な方向に軸線をもって貫通する複数の貫通孔50aが設けられている。複数の貫通孔50aは、上側開口部が収容空間4bに、また下側開口部がキー挿抜孔5aにそれぞれ連通されている。また、上方のスライダエレメント5Aには、一部をハウジング4外に露出し、かつ伝達機構3のレバー11に連結するレバー連結部51aが設けられている。レバー連結部51aは、スライダ5の背面側に配置されている。
【0028】
下方のスライダエレメント5Bには、下方のピンタンブラ7の先端部を挿抜可能に位置決めする凹孔50bが設けられている。凹孔50bは、ピンタンブラ7のストローク増加による逃がし孔としても機能する。
【0029】
ピンタンブラ6は、上部ハウジング4Aにおける貫通孔40aの軸線上に進退可能に配置されている。ピンタンブラ6には、不正キーがキー錠2内に挿入された場合に、上部ハウジング4Aの貫通孔40a内に配置されるプランジャピン6A、及び上部ハウジング4Aの貫通孔40aとスライダエレメント5Aの貫通孔50aとの境界に配置されるプランジャピン6Bがある。カード型キーKがキー錠2内に挿入された場合には、プランジャピン6A,6Bがピンタンブラ7に当接して上部ハウジング4Aの貫通孔40aとスライダエレメント5Aの貫通孔50aとの境界に配置される。
【0030】
ピンタンブラ7は、上方のスライダエレメント5Aにおける貫通孔50aの軸線上に進退可能に配置されている。ピンタンブラ7には、不正キーがキー錠2内に挿入された場合に、上部ハウジング4Aの貫通孔40aとスライダエレメント5Aの貫通孔50aとに跨って配置されるロックピン7A、及び上部ハウジング4Aの貫通孔40aとスライダエレメント5Aの貫通孔50aとの境界に配置されるロックピン7Bがある。カード型キーKがキー錠2内に挿入された場合には、ロックピン7A,7Bがピンタンブラ6を受けて上部ハウジング4Aの貫通孔40aとスライダエレメント5Aの貫通孔50aとの境界に配置される。ピンタンブラ7は、その先端部の外径がカード型キーKのコード孔kを挿通する寸法に設定されている。
【0031】
タンブラ用のスプリング8は、ホールカバー9とピンタンブラ6との間に介在し、上部ハウジング4Aの貫通孔40a内に収容されている。
【0032】
(伝達機構3の構成)
伝達機構3は、図4及び図5に示すように、ロッド10及びレバー11を有し、キー錠2(図3に示す)の背面側に配置されている。そして、伝達機構3は、スライダ5(図3に示す)の進退力をドアロック機構100(図2に示す)にその施錠・解錠力として伝達するように構成されている。
【0033】
ロッド10は、一方側端部がレバー11に、また他方側端部がドアロック機構100(図2に示す)にドアロックアクチュエータ用のリンク機構(図示せず)を介してそれぞれ連結され、全体が例えば鋼棒を複数部位で屈曲して形成されている。ロッド11のレバー側端部には、レバー11のロッド連結部11cに挿通するレバー連結部10aが設けられている。ロッド10のレバー11に対する連結は、レバー連結部10aの外周面と挿通孔110C(図6に示す)の内周面との間に装着されるスナップ12を用いて行われる。
【0034】
レバー11は、図6に示すように、スライダ連結部11a,腕部11b及びロッド連結部11cを有し、支持部材40B(図5に示す)にレバー回転軸13(図5に示す)を介して矢印R,R(図3に示す)方向に回転可能に支持されている。レバー11の材料としては例えば鋼材が用いられる。
【0035】
スライダ連結部11aは、レバー回転軸13(図5に示す)を挿通させる挿通孔110a、及び支軸14(図5に示す)を挿通させる挿通孔111aを有し、スライダ5(図5に示す)のレバー連結部51aに支軸14を介して回転可能に連結されている。挿通孔110aは丸孔によって、また挿通孔111aは長孔によってそれぞれ形成されている。スライダ連結部11aの長さaは、腕部11bの長さをbとすると、a>bを満足する寸法に設定されている。これにより、スライダ連結部11aに作用する力よりも大きい力でキー操作力をロッド10に伝達することができる。
【0036】
腕部11bは、スライダ連結部11aに対し挿通孔110aを境界部としてレバー回転面内で屈曲して形成されている。腕部11bには、ロッド10(図5に示す)のレバー連結部10a(図5に示す)を挿通させるロッド挿通孔110bが設けられている。これにより、ロッド挿通孔110bにレバー連結部10aを逃がすこととなり、連結部エレメント110c(後述)の長さcがレバー連結部10a(図5に示す)の長さd(図示せず)よりも小さい(c<d)寸法に設定されている場合でもロッド10をレバー11に干渉させることがない。
【0037】
ロッド連結部11cは、それぞれが互いに隣接する一対の連結部エレメント110c,111cを有してレバー回転面と直交する面内で略L字状を呈し、腕部11bに折り返し形成されている。これにより、キー錠2とドアロック機構100(図2に示す)との間に介在するロッド10(図5に示す)において配置上の自由度を高めることができる。ロッド連結部11cには、腕部11bに対向する位置でロッド10(図5に示す)のレバー連結部10a(図5に示す)を挿通させる挿通孔110cが設けられている。これにより、ロッド10のレバー連結部10aが腕部11b及びロッド連結部11cに連結されることとなり、ロッド連結部11cのみに連結される場合と比べてスライダ5の進退力がロッド10に確実に伝達される。
【0038】
(施錠・解錠装置1の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠装置の動作につき、図7(a)及び(b)を用いて説明する。図7(a)及び(b)は施錠状態と解錠状態を示す。
【0039】
本実施の形態に示す施錠・解錠装置1の動作は、「解錠動作」及び「施錠動作」の各動作が実施されるため、これら各動作について説明する。なお、カード型キーKは、キー錠2とのキー照合結果において正規キーとしてキー操作が許可されているものとする。
【0040】
「解錠動作」
図7(a)に示すドアロック機構100の施錠状態において、カード型キーKが操作方向aに操作すると、このカード型キーKの操作方向aにスライダ5が進行し、これに伴いレバー11が図7(b)に示すように矢印R方向に回転する。このため、ロッド10がドアロック機構100(図2に示す)を解錠する方向に揺動し、ドアロック機構100が解錠される。
【0041】
この後、ドアパネル201を開放する方向にドアハンドル202(図2に示す)を操作すると、ドアハンドル202の引き出し操作がハンドル用の伝達機構(図示せず)を介してドアロックアクチュエータ用のリンク機構(図示せず)に伝達される。アクチュエータ用リンク機構が作動すると、ドアロック機構100が解錠状態にされているので、ドアパネル201(図2に示す)が開放される。
【0042】
「施錠動作」
図7(b)に示すドアロック機構100の解錠状態において、カード型キーKが操作方向aに操作すると、このカード型キーKの操作方向aにスライダ5が退避し、これに伴いレバー11が図7(a)に示すように矢印R方向に回転する。このため、ロッド10がドアロック機構100(図2に示す)を施錠する方向に揺動し、ドアロック機構100が施錠される。本実施の形態では、カード型キーKを操作方向aに操作して施錠するドアロック機構100である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、カード型キーKを解錠操作する場合と同一の操作方向(操作方向a)に操作して施錠するドアロック機構(図示せず)とすることができる。
【0043】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0044】
キー錠2とドアロック機構100との間に介在するロッド10において配置上の自由度を高めることができる。これにより、狭いスペース内でもレバー11に対するロッド10の連結位置を変更することができ、ドアロック機構100のレイアウト変更を容易に実施することができる。
【0045】
[第2の実施の形態]
図8(a)及び(b)は施錠状態と解錠状態を示す。図8(a)及び(b)において、図7(a)及び(b)と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
図7(a)及び(b)に示すように、第2の実施の形態に示す施錠・解錠装置1(図2に示す)は、キー錠2がロッド11の下方に配置されている点に特徴がある。
【0047】
このため、ドアロック機構100のロッド連結位置がキー錠2の上方に配置されている。また、スライダ5のレバー連結部51a及びレバー11の支持部材40Bが互いに上下反転した位置に配置されている。
【0048】
このように構成された施錠・解錠装置1において、ドアロック機構100を施錠・解錠するには、第1の実施の形態と同様にして行われる。
【0049】
すなわち、ドアロック機構100を施錠状態から解錠するには、カード型キーKを図8(a)に示す位置から操作方向aに操作すると、このカード型キーKの操作方向aにレバー連結部51a(スライダ5)が進行し、これに伴いレバー11が図8(b)に示すように矢印r方向に回転する。このため、ロッド10がドアロック機構100(図2に示す)を解錠する方向に揺動し、ドアロック機構100が解錠される。
【0050】
一方、ドアロック機構100を解錠状態から施錠するには、カード型キーKを図8(b)に示す位置から操作方向aに操作すると、このカード型キーKの操作方向aにスライダ5が退避し、これに伴いレバー11が図8(b)に示すように矢印r方向に回転する。このため、ロッド10がドアロック機構100を施錠する方向に揺動し、ドアロック機構100が施錠される。
【0051】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に示す効果と同様の効果が得られる。
【0052】
以上、本発明の施錠・解錠装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0053】
(1)各実施の形態では、カード型キーKが金属製である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、樹脂や紙製であってもよく、その形成材料は適宜変更することが可能である。
【0054】
(2)各実施の形態では、自動車用ドアパネルにおけるドアロック機構の施錠・解錠を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他のドアパネルにおけるドアロック機構の施錠・解錠を行う場合であってもよく、またドアロック機構以外のロック機構の施錠・解錠を行う場合にも各実施の形態と同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…施錠・解錠装置、2…キー錠、3…伝達機構、4…ハウジング、4a…ハウジング用のキー挿抜孔、4b…収容空間、4A…上部ハウジング、40a…貫通孔、4B…下部ハウジング、5…スライダ、5a…スライダ用のキー挿抜孔、5A…スライダエレメント、50a…貫通孔、51a…レバー連結部、5B…スライダエレメント、50b…凹孔、6,7…ピンタンブラ、8…タンブラ用のスプリング、9…ホールカバー、10…ロッド、10a…レバー連結部、11…レバー、11a…スライダ連結部、110a,111a…挿通孔、11b…腕部、110b…挿通孔、11c…ロッド連結部、110c,111c…連結部エレメント、112c…挿通孔、12…スナップ、13…レバー回転軸、14…支軸、100…ドアロック機構、200…自動車、201…ドアパネル、202…ドアハンドル、203…フレーム、K…カード型キー、k…コード孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規キーの操作によって進退するスライダを有し、ロック機構の施錠・解錠を行うためのキー錠と、
前記スライダの進退によって回転するレバー、及び前記レバーの回転によって揺動するロッドを有し、前記スライダの進退力を前記ロッド機構にその施錠・解錠力として伝達する伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、前記レバーが前記スライダに回転可能に連結するスライダ連結部と、前記スライダ連結部に対しレバー回転軸を境界部としてレバー回転面内で屈曲する腕部と、前記レバー回転面と直交する面内で前記腕部に折り返し形成されて前記ロッドに連結するロッド連結部とを含む
施錠・解錠装置。
【請求項2】
前記伝達機構は、前記ロッドのレバー側端部が前記ロッド連結部に挿通して連結するレバー連結部を、また前記レバーの前記腕部が前記レバー連結部を挿通させる挿通孔をそれぞれ有する請求項1に記載の施錠・解錠装置。
【請求項3】
前記レバーは、前記スライダ連結部の長さをa、前記腕部の長さをbとすると、a>bを満足する寸法に設定されている請求項1又は2に記載の施錠・解錠装置。
【請求項4】
前記キー錠は、キーコードを有するカード型キーのキー照合を行う錠前である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の施錠・解錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−153467(P2011−153467A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15784(P2010−15784)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】