既設管補修用更生管
【課題】更生管を設置する前の既設管項版部の補修期間や施工費の低減が図れる鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた既設管補修用更生管を提供する。
【解決手段】更生管20は、プロファイル23を螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブ(24〜28)が形成されている。また、前記リブ(24,27)の長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具21を保持させ、前記複数の鉄筋支持具21に周方向に延びる所定長さの鉄筋22を保持させている。
【解決手段】更生管20は、プロファイル23を螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブ(24〜28)が形成されている。また、前記リブ(24,27)の長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具21を保持させ、前記複数の鉄筋支持具21に周方向に延びる所定長さの鉄筋22を保持させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設管の補修更生に用いられる既設管補修用更生管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図15に示したように地面Eに埋設された下水道管等の既設管1が老朽化した場合、この既設管1を補修する必要がある。従来から、このような既設管1の補修にプロファイル2から形成された更生管3を用いる工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この工法では、硬質樹脂製で帯状のプロファイル2を既設管1内で螺旋状で管状に連設することにより、既設管1内にプロファイル2からなる更生管3を形成し、この更生管3と既設管1との間に裏込め材等を充填させて硬化させるようにしている。
【0004】
この工法において、既設管1内に更生管3を成形するには、例えば図15に示したような自走式製管機4を既設管1内に配設して、この自走式製管機4によりプロファイル2を螺旋状に連設することが知られている。この自走式製管機4は既設管1内に配設された油圧ユニット5により作動制御され、この油圧ユニット5は地上に配設された電動車6により駆動制御される。
【0005】
この自走式製管機4は、図16に示したように嵌合ローラ4bでプロファイル2を挟み、フレキシブルマンドレル4cがガイドフレーム4aに沿って可動し引き込むようになっている。しかも、自走式製管機4は、図17に示したように、引き込んだプロファイル2の一側部のメインロック用オス部2aを他側部のメインロック用メス部2bに連続的に嵌合しながら管状の更生管3を成形するようになっている。
【0006】
更生管3の成形が終わると、図18に示すように、更生管3の内面に環状支持枠7の外周面に取り付けた支持枠8を当接させて、更生管3を保形した状態にし、さらにジャッキ9を使用して既設管1と固定させる。そして、成形された更生管3と既設管1との間隙に例えば裏込め材10を注入して硬化させ、既設管1と更生管3を一体にして更生を完了させる。
【0007】
ところで、既設管1内が著しく老朽化している場合には、前述の更生管3を装着しても所定の強度が発現せず、更正する前に別途既設管1に補強材を装填したりする補修が必要になる。
【0008】
このために、図17に示したように更生管3を形成するプロファイル2の外周面に断面がT字状のリブ2c,2cを連続形成し、このプロファイル2に沿って延びる断面W字状の補強部材本体11をリブ2c,2c間に保持させ、この補強部材本体11の中間に鉄筋12を一体に設けた構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−166444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、補強部材本体11は、断面がW字状に形成されているため、鉄筋12と一体にプロファイル2に沿って螺旋状に滑らかに且つ迅速に湾曲成形して、T字状のリブ2c,2c間に迅速に支持させることが容易ではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、更生管を設置する前の既設管の老朽部の補修する手間や施工費の低減が図れる、鉄筋を迅速に支持する鉄筋支持具を備えた既設管補修用更生管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、プロファイルを螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブが形成された既設管補修用更生管であって、前記リブの長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具を保持させ、前記複数の鉄筋支持具に周方向に延びる所定長さの鉄筋を保持させた既設管補修用更生管としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記鉄筋支持具が、前記リブ部に弾性的に嵌着する脚部と、鉄筋を弾性的に嵌着する鉄筋保持部を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項3の発明は、前記鉄筋が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋の両端部にターンバックルを介して係止部材が位置調整可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、既設管の老朽部を除去した状態で、鉄筋を支持した鉄筋支持具を備えた更生管を設置するだけで更生ができる。したがって、別途事前に補強材の装てん作業をする必要がなく安全な上に、補修期間の短縮・施工費の低減が図れる。
【0015】
また、鉄筋支持具の嵌着は、更生管のプロファイルのリブ部の適切な位置に、押し込むように嵌着させればよい。したがって、老朽化した部分を除去した後、この部分に臨ませて正確に鉄筋支持具が配置でき、適切な補強ができる。
【0016】
また、鉄筋支持具は適切個数が適切な位置に自由に装着できるので、裏込め材を注入しても鉄筋が移動することがない。したがって、裏込め材の注入作業を確実に行うことができ、所定の強度を保持させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、弾性のある鉄筋保持部と脚部とを設けたので、更生管のプロファイルへの装着も鉄筋の鉄筋保持部への嵌着も押込むだけで容易にできる。したがって、作業性が向上し、施工費の低減が図れる。
【0018】
請求項3の発明によれば、鉄筋の端部に係止部材を位置調整可能に取り付けることができるので、鉄筋の端部の係止部材の位置を老朽した部分の除去部に現地で合わせながら最適の位置に調整することができる。したがって、裏込め材の鉄筋のかぶりが正確にとれ、更正管全体の強度を所定のものに確実にすることができる。また、必要な部分のみの補強も容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態のを図1〜図6に基づいて説明する。
【0020】
図1は、鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた既設管補修用の更生管を示す斜視図である。
【0021】
この図1において、20は鉄筋支持具を備えた更生管、21は鉄筋支持具で、この鉄筋支持具21に鉄筋(鉄線)22を嵌着させている。
【0022】
また、鉄筋22の両端には鈎状に曲げてフック部22aが係止部として形成されている。したがって、鉄筋22は、コンクリート内に埋設されたときに、コンクリート内にずれないように固着され易くなっている。
【0023】
更生管20は、硬質塩化ビニール等の硬質樹脂を帯状に押出成形したプロファイル23から小判形状に形成されている。このプロファイル23の一側部には、図2に示したように一面側に突出する断面形状がT字状のリブ24及びこのリブ24から側方に傾斜する係止リブ25が形成されている。24aはリブ24の先端の張り出し部である。また、リブ24には、外面が円形状に膨出し且つ更生管20の内面に開放するメインロック用のメス部(ソケット部)24bが形成されている。
【0024】
更に、プロファイル23の他側部にはメインロック用のオス部(リブ)26が形成されている。さらに、プロファイル23の幅方向中間部には、断面がT字状で一面側に突出するリブ27,28が形成されている。27a,28aはリブ27,28の先端の張り出し部である。
【0025】
しかも、プロファイル23を螺旋状に隙間無く巻くと共に、図2のようにプロファイル23のオス部26をメス部24bに連続的に嵌合して、プロファイル23の巾方向の端部を連続的に隙間無く連設し、プロファイル23を図1のように管状に製管することにより、更生管20が形成されている。
【0026】
そして、係止リブ25は、図2のように隣接するリブ28の張り出し部28aに係合して、オス部26がメス部24bから抜け外れないようにしている。
【0027】
また、図1の更生管20の外周面の上部には複数の弾性部材製の鉄筋支持具21が配設されている。この鉄筋支持具21は、図2に示したようにプロファイル23のメス部24bとリブ27間(図1では図示略)の所定の位置に樹脂又は金属等からなる弾性部材製の鉄筋支持具21を配設されている。
【0028】
この鉄筋支持具21は、図2において、上部に設けられた鉄筋保持部21aと、鉄筋保持部21aの両側下部に連設された脚部21b,21cを備えている。この鉄筋保持部21aは、管形成端側に向けて斜め上方に開放させられていて、断面が切円状(断面が略C字状)に形成されている。
【0029】
更に、鉄筋保持部21aの開放端側には、鉄筋押し込みの為に互いに開く方向に連設されたガイド部21a1,21a2が形成されている。また、脚部21bには円形状のメス部24aを形成したリブ24の側面形状に一致する係止部21b1が形成され、脚部21cには断面がT字状のリブ27の側面に一致する係止部21c1が形成されている。
【0030】
そして、鉄筋保持部21aは、ガイド部21a1,21a2から保持凹部(保持溝)21a0内に鉄筋22を押し込むことで開放側が弾性変形して開き、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれると開放端が自己の弾性力により原状に復帰して、鉄筋22を抜け外れないように保持する。
【0031】
また、脚部21b,21cは、その弾性力に抗して互いに接近する方向に一旦曲げて、プロファイル23のリブ24,27間に配設した後、接近する方向への外力を解除することで、自己の弾性力により係止部21b1,21c1がリブ24,27の側面に係止されている。
【0032】
また、図2に示したようにリブ27,28間には、断面形状がW字状で金属製(例えばスチール製)のリブ倒れ防止部材20aが介装されている。このリブ倒れ防止部材20aは、連続していても、適当な長さのものを適宜間隔でリブ27,28間に配設しても良い。
【0033】
次に、このような更生管20を用いた既設管29の補修の工法について説明する。
【0034】
図3において、既設管29の内壁面29aの上部が老朽している場合、この老朽部(図示せず)を先ず除去する。29aは既設管29の内壁面29aの上部の老朽部(図示せず)を除去した後の老朽除去部を示している。
【0035】
この後、既設管29内において、プロファイル23を図1の如く螺旋状に隙間無く巻くと共に、図2の如くプロファイル23のオス部26をメス部24bに連続的に嵌合して、プロファイル23の巾方向の端部を連続的に隙間無く連設し、プロファイル23を図1の如く管状に製管することにより、更生管20を形成する。
【0036】
この製管は、少しずつ行われれる。この際、鉄筋保持部21aの脚部21b,21cを弾性力に抗して互いに接近する方向に一旦曲げて、この折り曲げた脚部21b,21cをプロファイル23のリブ24,27間に配設した後、脚部21b,21cへの接近する方向への外力を解除することで、脚部21b,21cの係止部21b1,21c1が自己の弾性力によりリブ24,27の側面に係止させる。この鉄筋支持具21は、リブ24,27の上部の部分に長手方向に所定間隔をおいて係止させる。図1では、鉄筋支持具21が更生管20の外周面の上部の左右方向(周方向)に間隔をおいて配設されている。
【0037】
この後、鉄筋22をガイド部21a1,21a2から保持凹部(保持溝)21a0内に押し込むことで、鉄筋保持部21aの開放側が弾性変形して開き、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれる。そして、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれると、開放端が自己の弾性力により原状に復帰して、鉄筋22を抜け外れないように保持する。
【0038】
このようにして、プロファイル23を螺線状に隙間無く捲回して接合して徐々に製管する際に、老朽除去部29bに対応する部分に鉄筋22を臨むようにして取り付ける。尚、図2の如くリブ倒れ防止部材20aは製管に際して適宜リブ27,28間に介装される。
【0039】
このようにして鉄筋22が保持された更生管20を既設管29内に形成し、既設管29と更生管20との間に、裏込め材29cを注入して硬化させ、鉄筋22を裏込め材29a内に一体に埋設させる構成としている。
【0040】
したがって、別途補強材を装てんさせることなく、鉄筋22が支持された鉄筋支持部備えた更生管20を裏込め材29cを注入し覆うだけで、既設管29の老朽化下部分を鉄筋22補強で更生することができる。
【0041】
ここで、裏込め材29cはコンクリートやモルタルやレジン・コンクリート等であり、コンクリートやモルタルやレジン・コンクリート等は既設管29の老朽化に合わせて適宜選択して使用される。
(変形例1)
上述した実施例では、更生管20の正面形状が小判形状に形成されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、更生管20は、図4の如く正面形状が円形であっても良いし、他の形状であっても良い。
【0042】
この更生管20を用いて円形の既設管29を補修する場合には、図4,図5に示したように鉄筋22を円形の更生管20の外周面沿って円弧状に曲げて、この円弧状に曲げた鉄筋22を鉄筋支持具21を介して更生管20の外周面に取り付ける。この取り付けは、上述した実施例と同様にして行われる。この構成以外の構成及び工法は上述した実施例と同じである。
(変形例2)
図6は、図2に示す弾性部材製の鉄筋支持具21の高さを低くしたものである。この鉄筋支持具21は、上方に開放する鉄筋保持部21Aaと、この鉄筋保持部21Aaの下部に八の字状に連設された一対の脚部21Ab,21Abを有する。この脚部21Ab,21Abの下端部には、互いに反対側に開放する保持溝hmがそれぞれ形成されている。
【0043】
この構成によれば、鉄筋22の位置を低くする必要がある時に使用できて有効である。
(変形例3)
図7は、同実施の形態に係る鉄筋22の端部の他の例を示す分解説明図である。
【0044】
本実施例では、鉄筋22の端部に雄ネジ部22bを設け、この雄ネジ部22bにターンバックル30を介して短い鉄筋(係止部材)31の雄ねじ部31aを連結するようにした例を示したものである。しかも、この鉄筋31にはフック31bが係止部として形成されている。尚、雄ネジ部22b,31aは互いに逆ネジとなっている。
【0045】
したがって、ターンバックル30を回転操作することにより、フック31bの位置を調整できると同時に、端部を現地で曲げて、残留応力で腐食し易いフック部22aを形成させるという作業がなくなり、精度も生産性も向上する。
【0046】
(変形例4)
図8は、同実施の形態に係る鉄筋22の端部の更に他の例を示す分解説明図である。
【0047】
本実施例では、図7のターンバックル30及び鉄筋31に変えてナット部32aが一体に形成された環状鉄筋32を係止部材として用意して、このナット部32aを鉄筋22の雄ねじ部22bに螺着することにより、環状鉄筋32の端部の位置を調整をできるようにした例を示したものである。
【0048】
(変形例5)
また、上述した鉄筋支持具21に代えて図9〜図12に示したような鉄筋支持具40を用いて、この鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40により鉄筋(鉄線)22を保持させることもできる。
【0049】
この鉄筋支持具40は、図11に示したように、プロファイル23に当接する底板部40aと、底板部40aの両側からリブ27,28に沿って起立させられた側板部40b,40cと、側板部40b,40cの上端から互いに接近する方向に傾斜してリブ27,28の張り出し部27a,28aに係合する傾斜板部40d,40eと、傾斜板部40a,40eの上端から上方に延設させられた中央支持板部40f,40gと、中央支持板部40f,40gの上端部に互いに対象にくの字状に折曲された板状の保持部(鉄筋保持部)40h,40iを有する。
【0050】
そして、この保持部40h,40i間に鉄筋22が保持されるようになっている。尚、各板部40a〜40iは弾性を有する。そして、傾斜板部40d,40eは自己の弾性力により張り出し部27a,28aに係合し、保持部40h,40iは自己の弾性力により鉄筋22を保持している。しかも、板部40a〜40gはリブ27,28に弾性的に嵌着する脚部41を構成している。
【0051】
また、鉄筋支持具40は、図10に示したようにリブ27,28の張り出し部27a,28aの上端面からの突出高さHが鉄筋(鉄線)22の直径Dの1〜5倍に設定されている。
【0052】
このような鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40は50mm〜200mmの間隔でリブ27,28間に配設される。また、鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40は、鉄板を折り曲げ成型することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を押し出し成形することにより形成しても良い。
【0053】
(変形例6)
また、上述した鉄筋支持具21に代えて図13,14に示したような鉄筋支持具50を用いて、この鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50により鉄筋(鉄線)22を保持させることもできる。
【0054】
この鉄筋支持具50は、図13に示したように、プロファイル23に当接する底板部50aと、底板部50aの両側からリブ27,28の張り出し部27a,28aの基部に向けて傾斜させられ且つこの基部に先端(上端)が係合する傾斜板部50b,50cと、底板部50aの中央から上方に起立させられた中央板部50dと、中央板部50dの上端に設けられ且つ互いにくの字状に対象に折曲された板状の保持部50e,50fを有する。
【0055】
そして、この保持部50e,50f間に鉄筋22が保持されるようになっている。尚、傾斜板部50b,50c及び保持部50e,50fは弾性を有し、傾斜板部50b,50cは自己の弾性力により張り出し部27a,28aの基部にそれぞれ係合し、保持部50e,50fは鉄筋22を自己の弾性力により保持している。しかも、板部50a〜50dリブ27,28に弾性的に嵌着する脚部51を構成している。
【0056】
また、鉄筋支持具50は、鉄筋支持具40と同様にリブ27,28の張り出し部27a,28aの上端面からの突出高さHが鉄筋(鉄線)22の直径Dの1〜5倍に設定されている。
【0057】
このような鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50も、鉄筋支持具40と同様に50mm〜200mmの間隔でリブ27,28間に配設される。また、鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50も、鉄板から形成しても良いし、熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を押し出し成形することにより形成しても良い。
【0058】
以上説明したように、この発明の実施の形態の更生管20は、プロファイル23を螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブ(24〜28)が形成されている。また、前記リブ(24,27又は27,28)の長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具(21,40,50)を保持させ、前記複数の鉄筋支持具(21,40,50)に周方向に延びる所定長さの鉄筋22を保持させている。
【0059】
この構成によれば、既設管29の老朽部を除去した状態で、鉄筋22を支持した鉄筋支持具(21,40,50)を備えた更生管20を設置するだけで、既設管29の更生ができる。したがって、別途事前に補強材の装てん作業をする必要がなく安全な上に、補修期間の短縮・施工費の低減が図れる。
【0060】
また、鉄筋支持具(21,40,50)の嵌着は、更生管20のプロファイル23のリブ部(24〜28)の適切な位置に、押し込むように嵌着させればよい。したがって、老朽化した部分を除去した後、この部分に臨ませて正確に鉄筋支持具(21,40,50)が配置でき、適切な補強ができる。
【0061】
また、鉄筋支持具(21,40,50)は適切個数が適切な位置に自由に装着できるので、裏込め材を注入しても鉄筋が移動することがない。したがって、裏込め材の注入作業を確実に行うことができ、所定の強度を保持させることができる。
【0062】
また、この発明の実施の形態において、前記鉄筋支持具(21,40,50)が、前記リブ(24,27又は27,28)に弾性的に嵌着する脚部(21b,21c又は21Ab,21Ab若しくは41,51)と、鉄筋22を弾性的に嵌着する鉄筋保持部(21a,21Aa)を有する。
【0063】
この構成によれば、弾性のある鉄筋保持部(21a,21Aa)と脚部(21b,21c又は21Ab,21Ab若しくは41,51)とを設けたので、更生管20のプロファイル23への装着も鉄筋22の鉄筋保持部(21a,21Aa又は40h,40i若しくは50e,50f)への嵌着も押込むだけで容易にできる。したがって、作業性が向上し、施工費の低減が図れる。
【0064】
更に、この発明の実施の形態の更生管20において、前記鉄筋22が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋22の両端部にターンバックル30を介して係止部材(フック31bが設けられた鉄筋31又はナット部32aが一体に形成された環状鉄筋32)が位置調整可能に取り付けられている。
【0065】
この構成によれば、鉄筋22の端部に係止部材を位置調整可能に取り付けることができるので、鉄筋22の端部の係止部材(31,32)を位置を老朽した部分の除去部に現地で合わせながら最適の位置に調整することができる。したがって、裏込め材の鉄筋22のかぶりが正確にとれ、更正管20全体の強度を所定のものに確実にすることができる。また、必要な部分のみの補強も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係る鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた更正管を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態に係るプロファイルに装着した鉄筋支持具を示す図1の要部端面図である。
【図3】図1の更生管を既設管内に設置した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた他の更正管を示す斜視図である。
【図5】図4の更生管を既設管内に設置した状態を示す説明図である。
【図6】鉄筋支持具の他の例を示す要部端面図である。
【図7】鉄筋端部の変形例を示す分解説明図である。
【図8】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図9】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図10】図9のA1−A1線に沿う断面図である。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】図10のA2−A2線に沿う断面図である。
【図13】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】従来の既設管内に更生管を製管する状態を示す説明図である。
【図16】図15のS矢印図である。
【図17】図15のT部を示す断面図である。
【図18】従来の更生管を既設管内に設置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
20…更生管
21…鉄筋支持具
21b,21c…脚部
21Ab,21Ab…脚部
21a,21Aa…(鉄筋保持部)
22…鉄筋
23…プロファイル
24〜27…リブ
29…既設管
30…ターンバックル
31b…フック(係止部)
31…鉄筋(係止部材)
32…環状鉄筋(係止部材)
40…鉄筋支持具
40h,40i…保持部(鉄筋保持部)
41…脚部
50…鉄筋支持具
50e,40f…保持部(鉄筋保持部)
51…脚部
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設管の補修更生に用いられる既設管補修用更生管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図15に示したように地面Eに埋設された下水道管等の既設管1が老朽化した場合、この既設管1を補修する必要がある。従来から、このような既設管1の補修にプロファイル2から形成された更生管3を用いる工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この工法では、硬質樹脂製で帯状のプロファイル2を既設管1内で螺旋状で管状に連設することにより、既設管1内にプロファイル2からなる更生管3を形成し、この更生管3と既設管1との間に裏込め材等を充填させて硬化させるようにしている。
【0004】
この工法において、既設管1内に更生管3を成形するには、例えば図15に示したような自走式製管機4を既設管1内に配設して、この自走式製管機4によりプロファイル2を螺旋状に連設することが知られている。この自走式製管機4は既設管1内に配設された油圧ユニット5により作動制御され、この油圧ユニット5は地上に配設された電動車6により駆動制御される。
【0005】
この自走式製管機4は、図16に示したように嵌合ローラ4bでプロファイル2を挟み、フレキシブルマンドレル4cがガイドフレーム4aに沿って可動し引き込むようになっている。しかも、自走式製管機4は、図17に示したように、引き込んだプロファイル2の一側部のメインロック用オス部2aを他側部のメインロック用メス部2bに連続的に嵌合しながら管状の更生管3を成形するようになっている。
【0006】
更生管3の成形が終わると、図18に示すように、更生管3の内面に環状支持枠7の外周面に取り付けた支持枠8を当接させて、更生管3を保形した状態にし、さらにジャッキ9を使用して既設管1と固定させる。そして、成形された更生管3と既設管1との間隙に例えば裏込め材10を注入して硬化させ、既設管1と更生管3を一体にして更生を完了させる。
【0007】
ところで、既設管1内が著しく老朽化している場合には、前述の更生管3を装着しても所定の強度が発現せず、更正する前に別途既設管1に補強材を装填したりする補修が必要になる。
【0008】
このために、図17に示したように更生管3を形成するプロファイル2の外周面に断面がT字状のリブ2c,2cを連続形成し、このプロファイル2に沿って延びる断面W字状の補強部材本体11をリブ2c,2c間に保持させ、この補強部材本体11の中間に鉄筋12を一体に設けた構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−166444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、補強部材本体11は、断面がW字状に形成されているため、鉄筋12と一体にプロファイル2に沿って螺旋状に滑らかに且つ迅速に湾曲成形して、T字状のリブ2c,2c間に迅速に支持させることが容易ではなかった。
【0010】
そこで、本発明は、更生管を設置する前の既設管の老朽部の補修する手間や施工費の低減が図れる、鉄筋を迅速に支持する鉄筋支持具を備えた既設管補修用更生管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、プロファイルを螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブが形成された既設管補修用更生管であって、前記リブの長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具を保持させ、前記複数の鉄筋支持具に周方向に延びる所定長さの鉄筋を保持させた既設管補修用更生管としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記鉄筋支持具が、前記リブ部に弾性的に嵌着する脚部と、鉄筋を弾性的に嵌着する鉄筋保持部を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項3の発明は、前記鉄筋が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋の両端部にターンバックルを介して係止部材が位置調整可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、既設管の老朽部を除去した状態で、鉄筋を支持した鉄筋支持具を備えた更生管を設置するだけで更生ができる。したがって、別途事前に補強材の装てん作業をする必要がなく安全な上に、補修期間の短縮・施工費の低減が図れる。
【0015】
また、鉄筋支持具の嵌着は、更生管のプロファイルのリブ部の適切な位置に、押し込むように嵌着させればよい。したがって、老朽化した部分を除去した後、この部分に臨ませて正確に鉄筋支持具が配置でき、適切な補強ができる。
【0016】
また、鉄筋支持具は適切個数が適切な位置に自由に装着できるので、裏込め材を注入しても鉄筋が移動することがない。したがって、裏込め材の注入作業を確実に行うことができ、所定の強度を保持させることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、弾性のある鉄筋保持部と脚部とを設けたので、更生管のプロファイルへの装着も鉄筋の鉄筋保持部への嵌着も押込むだけで容易にできる。したがって、作業性が向上し、施工費の低減が図れる。
【0018】
請求項3の発明によれば、鉄筋の端部に係止部材を位置調整可能に取り付けることができるので、鉄筋の端部の係止部材の位置を老朽した部分の除去部に現地で合わせながら最適の位置に調整することができる。したがって、裏込め材の鉄筋のかぶりが正確にとれ、更正管全体の強度を所定のものに確実にすることができる。また、必要な部分のみの補強も容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態のを図1〜図6に基づいて説明する。
【0020】
図1は、鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた既設管補修用の更生管を示す斜視図である。
【0021】
この図1において、20は鉄筋支持具を備えた更生管、21は鉄筋支持具で、この鉄筋支持具21に鉄筋(鉄線)22を嵌着させている。
【0022】
また、鉄筋22の両端には鈎状に曲げてフック部22aが係止部として形成されている。したがって、鉄筋22は、コンクリート内に埋設されたときに、コンクリート内にずれないように固着され易くなっている。
【0023】
更生管20は、硬質塩化ビニール等の硬質樹脂を帯状に押出成形したプロファイル23から小判形状に形成されている。このプロファイル23の一側部には、図2に示したように一面側に突出する断面形状がT字状のリブ24及びこのリブ24から側方に傾斜する係止リブ25が形成されている。24aはリブ24の先端の張り出し部である。また、リブ24には、外面が円形状に膨出し且つ更生管20の内面に開放するメインロック用のメス部(ソケット部)24bが形成されている。
【0024】
更に、プロファイル23の他側部にはメインロック用のオス部(リブ)26が形成されている。さらに、プロファイル23の幅方向中間部には、断面がT字状で一面側に突出するリブ27,28が形成されている。27a,28aはリブ27,28の先端の張り出し部である。
【0025】
しかも、プロファイル23を螺旋状に隙間無く巻くと共に、図2のようにプロファイル23のオス部26をメス部24bに連続的に嵌合して、プロファイル23の巾方向の端部を連続的に隙間無く連設し、プロファイル23を図1のように管状に製管することにより、更生管20が形成されている。
【0026】
そして、係止リブ25は、図2のように隣接するリブ28の張り出し部28aに係合して、オス部26がメス部24bから抜け外れないようにしている。
【0027】
また、図1の更生管20の外周面の上部には複数の弾性部材製の鉄筋支持具21が配設されている。この鉄筋支持具21は、図2に示したようにプロファイル23のメス部24bとリブ27間(図1では図示略)の所定の位置に樹脂又は金属等からなる弾性部材製の鉄筋支持具21を配設されている。
【0028】
この鉄筋支持具21は、図2において、上部に設けられた鉄筋保持部21aと、鉄筋保持部21aの両側下部に連設された脚部21b,21cを備えている。この鉄筋保持部21aは、管形成端側に向けて斜め上方に開放させられていて、断面が切円状(断面が略C字状)に形成されている。
【0029】
更に、鉄筋保持部21aの開放端側には、鉄筋押し込みの為に互いに開く方向に連設されたガイド部21a1,21a2が形成されている。また、脚部21bには円形状のメス部24aを形成したリブ24の側面形状に一致する係止部21b1が形成され、脚部21cには断面がT字状のリブ27の側面に一致する係止部21c1が形成されている。
【0030】
そして、鉄筋保持部21aは、ガイド部21a1,21a2から保持凹部(保持溝)21a0内に鉄筋22を押し込むことで開放側が弾性変形して開き、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれると開放端が自己の弾性力により原状に復帰して、鉄筋22を抜け外れないように保持する。
【0031】
また、脚部21b,21cは、その弾性力に抗して互いに接近する方向に一旦曲げて、プロファイル23のリブ24,27間に配設した後、接近する方向への外力を解除することで、自己の弾性力により係止部21b1,21c1がリブ24,27の側面に係止されている。
【0032】
また、図2に示したようにリブ27,28間には、断面形状がW字状で金属製(例えばスチール製)のリブ倒れ防止部材20aが介装されている。このリブ倒れ防止部材20aは、連続していても、適当な長さのものを適宜間隔でリブ27,28間に配設しても良い。
【0033】
次に、このような更生管20を用いた既設管29の補修の工法について説明する。
【0034】
図3において、既設管29の内壁面29aの上部が老朽している場合、この老朽部(図示せず)を先ず除去する。29aは既設管29の内壁面29aの上部の老朽部(図示せず)を除去した後の老朽除去部を示している。
【0035】
この後、既設管29内において、プロファイル23を図1の如く螺旋状に隙間無く巻くと共に、図2の如くプロファイル23のオス部26をメス部24bに連続的に嵌合して、プロファイル23の巾方向の端部を連続的に隙間無く連設し、プロファイル23を図1の如く管状に製管することにより、更生管20を形成する。
【0036】
この製管は、少しずつ行われれる。この際、鉄筋保持部21aの脚部21b,21cを弾性力に抗して互いに接近する方向に一旦曲げて、この折り曲げた脚部21b,21cをプロファイル23のリブ24,27間に配設した後、脚部21b,21cへの接近する方向への外力を解除することで、脚部21b,21cの係止部21b1,21c1が自己の弾性力によりリブ24,27の側面に係止させる。この鉄筋支持具21は、リブ24,27の上部の部分に長手方向に所定間隔をおいて係止させる。図1では、鉄筋支持具21が更生管20の外周面の上部の左右方向(周方向)に間隔をおいて配設されている。
【0037】
この後、鉄筋22をガイド部21a1,21a2から保持凹部(保持溝)21a0内に押し込むことで、鉄筋保持部21aの開放側が弾性変形して開き、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれる。そして、保持凹部21a0内に鉄筋22が押し込まれると、開放端が自己の弾性力により原状に復帰して、鉄筋22を抜け外れないように保持する。
【0038】
このようにして、プロファイル23を螺線状に隙間無く捲回して接合して徐々に製管する際に、老朽除去部29bに対応する部分に鉄筋22を臨むようにして取り付ける。尚、図2の如くリブ倒れ防止部材20aは製管に際して適宜リブ27,28間に介装される。
【0039】
このようにして鉄筋22が保持された更生管20を既設管29内に形成し、既設管29と更生管20との間に、裏込め材29cを注入して硬化させ、鉄筋22を裏込め材29a内に一体に埋設させる構成としている。
【0040】
したがって、別途補強材を装てんさせることなく、鉄筋22が支持された鉄筋支持部備えた更生管20を裏込め材29cを注入し覆うだけで、既設管29の老朽化下部分を鉄筋22補強で更生することができる。
【0041】
ここで、裏込め材29cはコンクリートやモルタルやレジン・コンクリート等であり、コンクリートやモルタルやレジン・コンクリート等は既設管29の老朽化に合わせて適宜選択して使用される。
(変形例1)
上述した実施例では、更生管20の正面形状が小判形状に形成されているが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、更生管20は、図4の如く正面形状が円形であっても良いし、他の形状であっても良い。
【0042】
この更生管20を用いて円形の既設管29を補修する場合には、図4,図5に示したように鉄筋22を円形の更生管20の外周面沿って円弧状に曲げて、この円弧状に曲げた鉄筋22を鉄筋支持具21を介して更生管20の外周面に取り付ける。この取り付けは、上述した実施例と同様にして行われる。この構成以外の構成及び工法は上述した実施例と同じである。
(変形例2)
図6は、図2に示す弾性部材製の鉄筋支持具21の高さを低くしたものである。この鉄筋支持具21は、上方に開放する鉄筋保持部21Aaと、この鉄筋保持部21Aaの下部に八の字状に連設された一対の脚部21Ab,21Abを有する。この脚部21Ab,21Abの下端部には、互いに反対側に開放する保持溝hmがそれぞれ形成されている。
【0043】
この構成によれば、鉄筋22の位置を低くする必要がある時に使用できて有効である。
(変形例3)
図7は、同実施の形態に係る鉄筋22の端部の他の例を示す分解説明図である。
【0044】
本実施例では、鉄筋22の端部に雄ネジ部22bを設け、この雄ネジ部22bにターンバックル30を介して短い鉄筋(係止部材)31の雄ねじ部31aを連結するようにした例を示したものである。しかも、この鉄筋31にはフック31bが係止部として形成されている。尚、雄ネジ部22b,31aは互いに逆ネジとなっている。
【0045】
したがって、ターンバックル30を回転操作することにより、フック31bの位置を調整できると同時に、端部を現地で曲げて、残留応力で腐食し易いフック部22aを形成させるという作業がなくなり、精度も生産性も向上する。
【0046】
(変形例4)
図8は、同実施の形態に係る鉄筋22の端部の更に他の例を示す分解説明図である。
【0047】
本実施例では、図7のターンバックル30及び鉄筋31に変えてナット部32aが一体に形成された環状鉄筋32を係止部材として用意して、このナット部32aを鉄筋22の雄ねじ部22bに螺着することにより、環状鉄筋32の端部の位置を調整をできるようにした例を示したものである。
【0048】
(変形例5)
また、上述した鉄筋支持具21に代えて図9〜図12に示したような鉄筋支持具40を用いて、この鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40により鉄筋(鉄線)22を保持させることもできる。
【0049】
この鉄筋支持具40は、図11に示したように、プロファイル23に当接する底板部40aと、底板部40aの両側からリブ27,28に沿って起立させられた側板部40b,40cと、側板部40b,40cの上端から互いに接近する方向に傾斜してリブ27,28の張り出し部27a,28aに係合する傾斜板部40d,40eと、傾斜板部40a,40eの上端から上方に延設させられた中央支持板部40f,40gと、中央支持板部40f,40gの上端部に互いに対象にくの字状に折曲された板状の保持部(鉄筋保持部)40h,40iを有する。
【0050】
そして、この保持部40h,40i間に鉄筋22が保持されるようになっている。尚、各板部40a〜40iは弾性を有する。そして、傾斜板部40d,40eは自己の弾性力により張り出し部27a,28aに係合し、保持部40h,40iは自己の弾性力により鉄筋22を保持している。しかも、板部40a〜40gはリブ27,28に弾性的に嵌着する脚部41を構成している。
【0051】
また、鉄筋支持具40は、図10に示したようにリブ27,28の張り出し部27a,28aの上端面からの突出高さHが鉄筋(鉄線)22の直径Dの1〜5倍に設定されている。
【0052】
このような鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40は50mm〜200mmの間隔でリブ27,28間に配設される。また、鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)40は、鉄板を折り曲げ成型することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を押し出し成形することにより形成しても良い。
【0053】
(変形例6)
また、上述した鉄筋支持具21に代えて図13,14に示したような鉄筋支持具50を用いて、この鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50により鉄筋(鉄線)22を保持させることもできる。
【0054】
この鉄筋支持具50は、図13に示したように、プロファイル23に当接する底板部50aと、底板部50aの両側からリブ27,28の張り出し部27a,28aの基部に向けて傾斜させられ且つこの基部に先端(上端)が係合する傾斜板部50b,50cと、底板部50aの中央から上方に起立させられた中央板部50dと、中央板部50dの上端に設けられ且つ互いにくの字状に対象に折曲された板状の保持部50e,50fを有する。
【0055】
そして、この保持部50e,50f間に鉄筋22が保持されるようになっている。尚、傾斜板部50b,50c及び保持部50e,50fは弾性を有し、傾斜板部50b,50cは自己の弾性力により張り出し部27a,28aの基部にそれぞれ係合し、保持部50e,50fは鉄筋22を自己の弾性力により保持している。しかも、板部50a〜50dリブ27,28に弾性的に嵌着する脚部51を構成している。
【0056】
また、鉄筋支持具50は、鉄筋支持具40と同様にリブ27,28の張り出し部27a,28aの上端面からの突出高さHが鉄筋(鉄線)22の直径Dの1〜5倍に設定されている。
【0057】
このような鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50も、鉄筋支持具40と同様に50mm〜200mmの間隔でリブ27,28間に配設される。また、鉄筋支持具(鉄線固定用ジグ)50も、鉄板から形成しても良いし、熱可塑性樹脂を射出成形することにより形成しても良いし、熱可塑性樹脂を押し出し成形することにより形成しても良い。
【0058】
以上説明したように、この発明の実施の形態の更生管20は、プロファイル23を螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブ(24〜28)が形成されている。また、前記リブ(24,27又は27,28)の長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具(21,40,50)を保持させ、前記複数の鉄筋支持具(21,40,50)に周方向に延びる所定長さの鉄筋22を保持させている。
【0059】
この構成によれば、既設管29の老朽部を除去した状態で、鉄筋22を支持した鉄筋支持具(21,40,50)を備えた更生管20を設置するだけで、既設管29の更生ができる。したがって、別途事前に補強材の装てん作業をする必要がなく安全な上に、補修期間の短縮・施工費の低減が図れる。
【0060】
また、鉄筋支持具(21,40,50)の嵌着は、更生管20のプロファイル23のリブ部(24〜28)の適切な位置に、押し込むように嵌着させればよい。したがって、老朽化した部分を除去した後、この部分に臨ませて正確に鉄筋支持具(21,40,50)が配置でき、適切な補強ができる。
【0061】
また、鉄筋支持具(21,40,50)は適切個数が適切な位置に自由に装着できるので、裏込め材を注入しても鉄筋が移動することがない。したがって、裏込め材の注入作業を確実に行うことができ、所定の強度を保持させることができる。
【0062】
また、この発明の実施の形態において、前記鉄筋支持具(21,40,50)が、前記リブ(24,27又は27,28)に弾性的に嵌着する脚部(21b,21c又は21Ab,21Ab若しくは41,51)と、鉄筋22を弾性的に嵌着する鉄筋保持部(21a,21Aa)を有する。
【0063】
この構成によれば、弾性のある鉄筋保持部(21a,21Aa)と脚部(21b,21c又は21Ab,21Ab若しくは41,51)とを設けたので、更生管20のプロファイル23への装着も鉄筋22の鉄筋保持部(21a,21Aa又は40h,40i若しくは50e,50f)への嵌着も押込むだけで容易にできる。したがって、作業性が向上し、施工費の低減が図れる。
【0064】
更に、この発明の実施の形態の更生管20において、前記鉄筋22が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋22の両端部にターンバックル30を介して係止部材(フック31bが設けられた鉄筋31又はナット部32aが一体に形成された環状鉄筋32)が位置調整可能に取り付けられている。
【0065】
この構成によれば、鉄筋22の端部に係止部材を位置調整可能に取り付けることができるので、鉄筋22の端部の係止部材(31,32)を位置を老朽した部分の除去部に現地で合わせながら最適の位置に調整することができる。したがって、裏込め材の鉄筋22のかぶりが正確にとれ、更正管20全体の強度を所定のものに確実にすることができる。また、必要な部分のみの補強も容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態に係る鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた更正管を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態に係るプロファイルに装着した鉄筋支持具を示す図1の要部端面図である。
【図3】図1の更生管を既設管内に設置した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る鉄筋を支持する鉄筋支持具を備えた他の更正管を示す斜視図である。
【図5】図4の更生管を既設管内に設置した状態を示す説明図である。
【図6】鉄筋支持具の他の例を示す要部端面図である。
【図7】鉄筋端部の変形例を示す分解説明図である。
【図8】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図9】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図10】図9のA1−A1線に沿う断面図である。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】図10のA2−A2線に沿う断面図である。
【図13】鉄筋端部の他の変形例を示す分解説明図である。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】従来の既設管内に更生管を製管する状態を示す説明図である。
【図16】図15のS矢印図である。
【図17】図15のT部を示す断面図である。
【図18】従来の更生管を既設管内に設置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0067】
20…更生管
21…鉄筋支持具
21b,21c…脚部
21Ab,21Ab…脚部
21a,21Aa…(鉄筋保持部)
22…鉄筋
23…プロファイル
24〜27…リブ
29…既設管
30…ターンバックル
31b…フック(係止部)
31…鉄筋(係止部材)
32…環状鉄筋(係止部材)
40…鉄筋支持具
40h,40i…保持部(鉄筋保持部)
41…脚部
50…鉄筋支持具
50e,40f…保持部(鉄筋保持部)
51…脚部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロファイルを螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブが形成された既設管補修用更生管であって、
前記リブの長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具を保持させ、前記複数の鉄筋支持具に周方向に延びる所定長さの鉄筋を保持させたことを特徴とする既設管補修用更生管。
【請求項2】
前記鉄筋支持具が、前記リブ部に弾性的に嵌着する脚部と、鉄筋を弾性的に嵌着する鉄筋保持部を有することを特徴とする請求項1に記載の既設管補修用更生管。
【請求項3】
前記鉄筋が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋の両端部にターンバックルを介して係止部材が位置調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の既設管補修用更生管。
【請求項1】
プロファイルを螺旋状に連設することにより管状に形成され、且つ、外周面に螺旋状に延びるリブが形成された既設管補修用更生管であって、
前記リブの長手方向に間隔をおいて複数の鉄筋支持具を保持させ、前記複数の鉄筋支持具に周方向に延びる所定長さの鉄筋を保持させたことを特徴とする既設管補修用更生管。
【請求項2】
前記鉄筋支持具が、前記リブ部に弾性的に嵌着する脚部と、鉄筋を弾性的に嵌着する鉄筋保持部を有することを特徴とする請求項1に記載の既設管補修用更生管。
【請求項3】
前記鉄筋が所定長さに形成されていると共に、前記鉄筋の両端部にターンバックルを介して係止部材が位置調整可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の既設管補修用更生管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−183752(P2006−183752A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376854(P2004−376854)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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