説明

旨味が強化され、苦渋味が低減された茶飲料

【課題】茶本来の味バランスを保ちながら、旨味を強化し苦渋味を低減した茶飲料を提供する。
【解決手段】(A)茶ポリフェノール、(B)イノシン−5’−モノリン酸(5’−IMP)、(C)シチジン−5’−モノリン酸(5’−CMP)、(D)グアノシン−5’−モノリン酸(5’−GMP)を含有し、(A):30〜300mg/100mL、(B):0.002mg/100mL以上、をそれぞれ含有し、(B)と(C)の含有量比(B)/(C)が0.1〜11の範囲であることを特徴とする茶飲料及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
旨味が強化され、苦渋味が低減された茶飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、茶の飲用形態の変化により、缶あるいはペットボトル等に充填された茶飲料や、粉末飲料の様なインスタント飲料の消費量が増加し、それに伴い生産量は増加している。また、苦渋味の強い茶飲料が若年層を中心に敬遠される傾向にあるため、旨味やコク味が強く、苦渋味の抑えられた茶類飲料の提供が求められている。
【0003】
従来、茶飲料の旨味や苦渋味を改善する方法として、酵母エキスやうま味調味料を添加する方法が報告されている。例えば、市販ペットボトル茶飲料に対して、酵母エキスを添加し、苦味、えぐみ等の嫌味を軽減し、コク味等の良好な風味を引き出した飲料(特許文献1:特開2002−281948)や、市販茶飲料(緑茶、烏龍茶)に対して酵母エキスを添加し、茶飲料の渋味を低減し、コク味を付与する方法(特許文献2:特開2005−278475)や、紅茶に5’−リボヌクレオタイド類やグルタミン酸、もしくはそれらを併用したものを添加し、渋味や酸味が軽減され、風味を向上させた飲料(特許文献3:特開昭61−271969)などが開示されている。しかしながら、茶飲料においては、消費者から無添加を求められる傾向が強く、製品への表示が必要となる調味料や食品添加物の使用は、消費者が昨今の茶飲料に求めているニーズにそぐわない。そこで、味の改善方法として茶抽出物や茶飲料の製造工程あるいは原料茶葉の製造工程において、酵素を使った加工方法が検討されてきた。
【0004】
茶抽出物や茶飲料の製造に酵素処理を用いる方法としては、酵素処理により成分の抽出効率を向上させる方法と酵素処理により成分を変換して味を向上させようとする方法がある。
【0005】
茶飲料類への酵素を利用した渋味低減およびコク味や旨味の付与の方法としては、例えば、セルラーゼやヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなど植物組織崩壊酵素を組み合わせ、茶葉を酵素分解後抽出処理し、茶飲料を調製する方法(特許文献4:特開2003−210110)や、緑茶をタンナーゼとプロテアーゼ処理してなる渋味が低減され旨味やコク味が増強された飲料(特許文献5:特開2006−61125)や、緑茶をプロテアーゼやペクチナーゼといったタンパク質分解酵素を組み合わせ処理し、渋味が低減され旨味やコク味が増強された飲料(特許文献6:特開2009−95333)、旨味やコク味を損なわずに渋味を低減した飲料の製造方法として、茶抽出液をタンナーゼやクロロゲン酸エステラーゼ処理する方法(特許文献7:特開2005−130809)などが提案されている。一方、各種茶飲料に添加し、茶飲料の風味の付与・増強を目的として使用されるエキス(抽出物)に関しては、例えば茶類原料の抽出時や抽出後に、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、インベルターゼおよびα−ガラクトシダーゼといった糖分解酵素を用いて酵素分解処理して旨味や甘味が増強し、渋味を低減する方法(特許文献8:特開2008−35812、特許文献9:特開2008−86280)や、茶類原料をプロテアーゼおよびタンナーゼの存在下に抽出して旨味やコク味を増強し渋味を低減する方法(特許文献10:特開2003−144049)、茶抽出物に含まれているテアニンにグルタミナーゼを作用させてグルタミン酸を生成させることで旨味を増強させる方法(特許文献11:特許第4113829号)などが提案されている。
【0006】
さらに、原料緑茶葉を種々酵素で処理することにより、若いグリーンの香りの強い茶抽出液を製造する方法(特許文献12:国際公開番号 WO2008/001848)が開示されている。特許文献12で開示されている方法は香りの強化を目的としたものであるが、副次的な効果として旨味の増加効果が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−281948号公報
【特許文献2】特開2005−278475号公報
【特許文献3】特開昭61−271969号公報
【特許文献4】特開2003−210110号公報
【特許文献5】特開2006−61125号公報
【特許文献6】特開2009−95333公報
【特許文献7】特開2005−130809号公報
【特許文献8】特開2008−35812号公報
【特許文献9】特開2008−86280号公報
【特許文献10】特開2003−144049号公報
【特許文献11】特許第4113829号公報
【特許文献12】国際公開番号 WO2008/001848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、茶飲料や茶エキス、茶抽出物の風味を改善する為の酵素処理方法は種々知られているが、これらの方法で得られる酵素処理茶抽出物の風味は必ずしも十分に満足しうるものではなく、茶本来の味バランスを保ちながら、旨味を強化し苦渋味を低減した茶飲料の開発が望まれていた。 すなわち、本発明は、旨味が強化され、かつ苦渋味が低減された茶本来の味のバランスを崩さない茶飲料を提供する事を目的とする。さらには、茶本来の旨味が増強され苦渋味が低減された茶飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、茶類を水で抽出した抽出液に5’−ホスホジエステラーゼ活性を有する酵素と5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有する酵素を作用させる工程を経て調製した酵素処理茶飲料が、旨味に優れているだけではなく、苦渋味や雑味も低減されるという効果を見出した。また、茶飲料に、5’−ホスホジエステラーゼ活性を有する酵素と5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有する酵素を作用させて調製した茶抽出物を添加した茶飲料においても、旨味に優れ苦渋味や雑味が低減されるという効果を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、茶由来のアミノ酸やカテキン類の組成を変化させることが無いため味や風味のバランスを保ちつつ、茶飲料の旨味を増強し、渋味を低減するという新たな効果も付与できる。さらに、従来の酵素処理と比較して短い酵素処理時間で目的を達成することが可能であるため、工業生産上優位である。
【0010】
すなわち、本発明の茶飲料は、(A)茶ポリフェノール、(B)イノシン−5’−モノリン酸(5’−IMP)、(C)シチジン−5’−モノリン酸(5’−CMP)、(D)グアノシン−5’−モノリン酸(5’−GMP)を含有し、(A)を20〜300mg/100mL、(B)を0.002mg/100mL以上、(B)と(C)の含有量比(B)/(C)=0.1〜11であることを特徴とする茶飲料である(ただし、酵母エキス及び/又はうま味調味料を添加したものを除く)。本請求項でいう「茶ポリフェノール」とは、酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸エチルの換算量として求める方法によって定量される成分のことをいう。また、本請求項でいう「酵母エキス」とは、酵母を主原料とした様々な調味料や食品添加物を示す。市販品でいうと、日本製紙ケミカル(株)から販売されている「SK酵母エキスHU」、「SK酵母エキスHUP−2」、「SK酵母エキスHU−W」、「SK酵母エキスHUAP」やオリエンタル酵母工業(株)から販売されている「醇味」シリーズなどが挙げられる。また、本請求項でいう「うまみ調味料」とは、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムを示し、またこれらを2種以上混合したものも包含する。市販品でいうと、味の素(株)から販売されている「味の素」、「ハイミー」やキリンフードテック(株)から販売されている「いの一番」、「リボタイド」や、ヤマサ醤油(株)から販売されている「フレーブ」などが挙げられる。 請求項2記載の茶飲料は、請求項1記載の茶飲料において、茶抽出物を添加したものである。請求項3記載の茶飲料は、請求項2記載の茶抽出物が、少なくとも5’−ホスホジエステラーゼ活性を有する酵素と5’−アデニル酸デアミナーゼ処理を経て得られた茶抽出物であることを特徴とする。 請求項4記載の茶飲料は、請求項3記載の茶抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量が0.1重量%以上であることを特徴とする。 請求項5記載の茶飲料は、請求項1から4のいずれか一項に記載の茶飲料がインスタント粉末茶であることを特徴とする。 また、請求項6記載の茶飲料の製造方法は、請求項1から5のいずれか一項に記載の茶飲料の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、旨味に優れ、苦渋味が低減されたバランスのよい高品質な茶飲料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明を詳細に説明する。本発明の茶飲料は、飲用濃度において成分(A)としての茶ポリフェノールが30〜300mg/mLであるが、好ましくは35〜270mg/100mL、より好ましくは40〜200mg/100mLである。茶飲料中の茶ポリフェノール濃度が30mg/100mL未満の飲料では、飲料自体の苦渋味が極めて低いため、旨味の増加効果は確認できるが、苦渋味低減効果を確認することが難しい。一方、茶飲料中の茶ポリフェノール濃度が300mg/100mLを超える飲料では、苦渋味が強すぎ、旨味の増加効果および苦渋味の低減効果が十分に発揮されない。
【0013】
本発明の茶飲料は、飲用濃度において成分(B)としてのイノシン−5’−モノリン酸(5’−IMP)が0.002mg/100mL以上であるが、0.004mg/100mL以上であることが好ましく、0.006mg/100mL以上がさらに好ましい。5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満の飲料では、旨味の増加効果および苦渋味の低減効果が極めて発揮されにくくなる。
【0014】
本発明の茶飲料は、飲用濃度において成分(B)としての5’−IMPと成分(C)としてのシチジン−5’−モノリン酸(5’−CMP)の重量比率[(B)/(C)]は0.1〜11の範囲であるが、0.15〜10.7がさらに好ましい。[(B)/(C)]が0.1〜11の範囲外の飲料では、旨味の増加および苦渋味の低減効果は示さない。
【0015】
本発明における「茶飲料」とは、茶樹(Camellia SinensisやCamellia Sinensis var. assamica、またはこれらの雑種)の葉、茎から製造された茶葉(例えば、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、茎茶、釜炒緑茶等の不発酵茶、烏龍茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶)を原料として、抽出、加工された飲料やインスタント粉末茶を意味する。茶飲料は、原料となる茶葉の他に玄米、大麦、小麦、ハト麦、とうもろこし、アマランサス、キヌア、ナンバンキビ、モズク、甘草、ハス、シソ、マツ、オオバコ、ローズマリー、桑、ギムネマ、ケツメイシ、大豆、昆布、霊芝、笹熊、柿、ゴマ、紅花、アシタバ、陳皮、グァバ、アロエ、杜仲、ドクダミ、チコリー、月見草、ビワ、ソバ等の各種植物の葉、茎、根、実等を併用して得られるものであってもよい。
【0016】
目的とする茶飲料を調製するための抽出条件は、茶飲
料に用いる原料(飲料原料)の種類、抽出機の種類、最終製品の形態により適宜選択されるものであるが、例えば、抽出液温は、不発酵茶や弱発酵茶では50〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。半発酵茶や発酵茶では、60〜100℃が好ましく、75℃〜100℃がより好ましい。また、抽出時間は、1〜60分が好ましく、3〜30分がより好ましい。抽出液量は、飲料原料に対して5〜50重量倍量が好ましく、10〜40重量倍量がより好ましい。さらに、茶葉を抽出する際、抽出液の褐変防止のためアスコルビン酸、エリソルビン酸もしくはそれらの金属塩などの酸化防止剤を同時に添加するのが好ましい。なお、粉末の茶飲料を調製する場合には、抽出溶液にデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、各種オリゴ糖などを添加したもので、飲料原料を抽出することも可能である。
【0017】
抽出装置としては、茶飲料に用いる原料(飲料原料)と抽出溶液を接触保持できれば良く、カラム方式またはバッチ方式等を採用することができる。カラム方式では飲料原料を投入したカラムに順次抽出溶液を通液して抽出液を得ることができ、バッチ方式では、ニーダーや抽出タンクに抽出溶液と飲料原料を投入して一定時間保持することで抽出液を得ることができる。抽出後は、飲料原料残渣と抽出液をカートリッジフィルター、ネル濾布、濾過板、濾紙、濾過助剤を併用したフィルタープレス等の濾過法や遠心分離によって固液分離し、残渣や粒子を除去し、茶抽出液を得ることができる。
【0018】
上記の方法で得られた茶抽出液は、そのまま適宜濃度調整して茶調合液とし、この調合液を高温短時間殺菌(UHT殺菌)した後容器に充填するか、容器に充填した後、レトルト殺菌することによって茶飲料として製品化される。この際、所望とする組成の茶飲料を容易に得るために、茶抽出液に5’−ホスホジエステラーゼ活性を有する酵素と5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有する酵素を作用させることが好ましい。酵素反応は、茶抽出液にそのまま作用させてもよいが、酵素反応の効率の点から、所望とするポリフェノール濃度(飲用濃度)に希釈後酵素処理してもよい。酵素反応は、酵素の至適pH・至適温度に調整するのが好ましく、例えばpHはpH4〜7が好ましく、pH5〜5.5がさらに好ましい。温度は20〜70℃が好ましく、40〜65℃がさらに好ましい。酵素反応時間は、10〜120分が好ましく、20〜60分がより好ましい。また、品質や茶成分組成の安定した茶飲料を製造するという点から、茶抽出液と上記に示した酵素処理茶抽出液を混合し、所望とする組成の茶調合液を得ることもできる。このようにして調製した茶調合液は、UHT殺菌やレトルト殺菌を行ない、容器詰茶飲料とすることができる。
【0019】
また、所望とする組成の茶飲料を調製するために、茶抽出物や酵素処理茶抽出物を添加してもよい。ここで本発明における「茶抽出物」とは、茶葉を水、含水有機溶媒、有機溶媒により抽出したものであって、市販品としては、例えば、三井農林(株)の商品名「ポリフェノン」、(株)伊藤園の商品名「テアフラン」、太陽化学(株)の商品名「サンフェノン」等が挙げられる。また、「酵素処理茶抽出物」とは、「茶抽出物」の製造工程で得られる抽出液や、市販品等で粉末状態のものであれば所望の濃度に水で溶解したもの、液体状態のものであれば所望の濃度に水で希釈した茶抽出物溶解液に、少なくとも5’−ホスホジエステラーゼ活性を有する酵素と、5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有する酵素を反応させて得られた茶抽出物を示し、液体状態でもよいし、乾燥させた固体状、粉末状態の何れでも構わない。茶抽出物や茶抽出物溶解液を酵素反応する際、茶抽出液や茶抽出物溶解液にそのまま酵素を作用させてもよいが、使用する酵素の至適pH・至適温度に調整するのが好ましく、例えばpHは4〜7が好ましく、pH5〜5.5がより好ましい。温度は20〜70℃が好ましく、40〜65℃がさらに好ましい。得られた酵素処理抽出物を乾燥させる場合には、一般的に用いられている方法を用いればよく、例えば、噴霧乾燥法や凍結乾燥法を例示することができる。茶葉から茶抽出物を得る場合には、水で抽出する。このとき抽出溶液のpHは抽出効率の点からpH5〜13の範囲であることが好ましく、pH8〜13で抽出するのがより好ましい。pH調整剤としては、食品加工に使用可能な炭酸水素ナトリウム(重曹)や炭酸カリウム、水酸化ナトリウムを用いることが好ましく、酸化による褐変防止のためアスコルビン酸やエリソルビン酸、もしくはそれらの金属塩などの酸化防止剤を添加するのがより好ましい。このようにして得られた茶抽出液を濃縮し、液体状の茶抽出物を製造することができる。さらにこの茶抽出物をスプレードライヤーや凍結乾燥し、粉末状の茶抽出物を得ることも可能である。また、上記の茶抽出液あるいは濃縮後の茶抽出物を5’−ホスホジエステラーゼと5’−アデニル酸デアミナーゼを作用させて酵素処理茶抽出物を得ることができる。また、安定した製品を製造するという点から、茶抽出物と酵素処理茶抽出物を混合し、所望とする組成の酵素処理茶抽出物も得ることができる。なお、粉末の茶飲料に茶抽出物あるいは酵素処理茶抽出物を用いる場合には、上記の茶抽出物の製造工程中のいずれかの工程で、デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、オリゴ糖などを添加した茶抽出物も調製することが可能である。
【0020】
本発明の茶飲料に添加する酵素処理茶抽出物は、酵素処理茶抽出物固形分中のグアノシン−5’−モノリン酸(5’−GMP)と5’−IMPの合計含有量が0.1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.15重量%以上、さらに好ましくは0.2重量%以上がよい。また、茶飲料に添加する茶抽出物や酵素処理茶抽出物の添加量は、所望とする茶飲料成分となれば特に限定されるものではないが、通常5〜1000ppmであり、さらに10〜750ppmが好ましく、25〜500ppmがより好ましい。
【0021】
得られた酵素処理茶抽出物の渋味をさらに低減するために、合成吸着剤、活性炭、ポリビニルポリヒドリドン(PVPP)などで酵素処理茶抽出物中の茶ポリフェノールを除去することができる。合成吸着剤としては、その母体がスチレン系、例えばXAD−16(オルガノ株式会社製)、スチレンジビニルベンゼン系、例えばダイアイオンHP−20(三菱化学株式会社製)、アクリル系、例えばダイアイオンWK−20(三菱化学株式会社製)、メタクリル系、例えばダイアイオンHP−2MG(三菱化学株式会社製)、アクリル酸エステル系、例えばアンバーライトXAD−7(オルガノ株式会社製)、アミド系、例えばアンバーライトXAD−11(オルガノ株式会社製)、デキストラン系、例えばセファデックスLH−20(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)等が使用でき、その種類を問わない。また、本発明における合成吸着剤や活性炭による処理方法は、カラム方式及び/又はバッチ方式を採用することができる。カラム方式では、合成吸着剤や活性炭を充填したカラムに、酵素処理茶抽出物を含有した溶液を一定流量で送液することで目的を達成することができる。バッチ方式では、上記の溶液に合成吸着剤や活性炭、PVPPを投入し、一定時間撹拌後に合成吸着剤を分離する方法などがある。その方法に制約は無く、目的を達成できる方法であれば良い。
【0022】
本発明の茶飲料には、茶飲料製造工程において、必要に応じてアスコルビン酸やエリソルビン酸、もしくはそれらの金属塩などの酸化防止剤、香料、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、乳化剤、保存料、甘味料、着色料、増粘安定剤、調味料、強化剤等の添加剤(ただし、酵母エキスやうま味調味料を除く)を単独または組み合わせて配合することもできるが、特に茶調合液の調合時に添加することが好ましい。また、茶調合液のpH設定は、25℃換算値で、3.0〜7.0が好ましく、4.0〜7.0がより好ましく、5.0〜7.0がさらに好ましい。
【0023】
さらに、調製した茶調合液は、必要に応じて殺菌を行って茶飲料を製造することができる。殺菌の条件は食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択すればよい。例えば、容器詰茶飲料の場合、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、瓶などの通常の状態で提供することができる。金属缶や瓶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合は、レトルト殺菌により製造されるが、PETボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめレトルト殺菌と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換機などで高温短時間殺菌(UHT殺菌)し、一定の温度まで冷却後、容器に充填するなどの方法が選択できる。
【0024】
本発明における茶飲料には、「インスタント粉末茶」が含まれる。「インスタント粉末茶」とは、水、湯、牛乳、茶類、果汁入りエキスおよび水溶性エキスなどの水性媒体を用いて液状にして飲用する茶における液体状(いわゆるインスタント粉末茶飲料)にする前の粉末状態のものを意味する。インスタント粉末茶には、「インスタント粉末緑茶」、「インスタント粉末烏龍茶」、「インスタント粉末紅茶」のほか、[0015]、[0016]に記載の原料を使用して作られたインスタント粉末茶を包含する。なお、「インスタント粉末茶」の場合には、上記の水性媒体で液状にした飲用時の茶飲料が本願請求項を満たすもの、即ち、飲用時の成分が、(A)茶ポリフェノール、(B)5’−IMP、(C)5’−CMP、(D)5’−GMPを含有し、(A)30〜300mg/100mL、(B)0.002mg/100mL以上、(B)と(C)の含有量比(B)/(C)が0.1〜11の範囲であること(ただし、酵母エキス及び/又はうま味調味料を添加したものを除く)をいう。
【0025】
本発明の「インスタント粉末茶」は、デキストリン、オリゴ糖、環状オリゴ糖、植物性油脂、動物性油脂、果汁、食品用エキス、酒類、ハーブ、スパイス類、香辛料抽出物、pH調整剤、甘味料、酸味料、調味料、酵素、糊料、ゲル化剤、増粘多糖類、安定剤、乳化剤、着色料、香料、酸化防止剤、日持向上剤、栄養強化剤、保存料などの副成分を含有してもよい。これらの副成分は、飲料原料から抽出された茶抽出液に添加してもよいし、茶抽出液を濃縮した抽出液に添加することも可能である。ここで得られた抽出液は、スプレードライヤーや凍結乾燥機で乾燥・粉末化することでインスタント粉末茶とすることが可能である。また、上記の副成分は、製造工程のいずれにおいても混合が可能であり、それぞれ用途に応じた好ましいタイミングで添加すればよい。特にデキストリンやオリゴ糖、環状オリゴ糖などは粉末化するための乾燥工程前に混合することで、乾燥・粉末化などの作業性が向上するため、通常、茶固形分1重量部に対しての添加量は0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましく、1.5〜3重量部を添加することが最も好ましい。デキストリンやオリゴ糖、環状オリゴ糖などの添加量が多すぎると味への影響が大きく、少なすぎると乾燥、粒径化などの作業性向上が期待できない。また粉末状の副成分は乾燥工程後の添加も可能であり、乾燥工程後に添加を行うと添加量の調整が容易であること、および余分な熱がかからないため副成分の劣化を抑制することできる。このようにして得られたインスタント粉末茶は、造粒装置を用いて顆粒化することもできる。
【0026】
本発明のインスタント粉末茶の包装形態は、特に制限はなく、紙、プラスチック、アルミなどからなる袋、瓶、缶、プラスチックボトル等の容器に大容量を詰め、スプーンで計量するタイプの形態を用いても良いが、分包タイプのものが一杯分を簡便に調整できる点で好ましい。包装品の材質は酸素・湿度透過性の低いものの方がインスタント粉末茶の品質を維持する上で好ましく、窒素ガスを充填するとより好ましい。アルミ袋などの大容量に詰められたインスタント粉末茶をカップ式自動販売機やディスペンサー等で使用することも可能である。
【0027】
本発明で使用される5’−ホスホジエステラーゼとは、5’−エキソヌクレアーゼ[5’−ヌクレオチドホスホジエステラーゼ](EC.3.1.4.1)を意味し、本酵素は、3’−OH基をもつオリゴヌクレオチドや核酸(RNAやDNA)の3’−末端から順次5’−ヌクレオチドを加水分解遊離する酵素を示す。由来は特に限定する必要はなく、市販の酵素製剤で上記5’−ホスホジエステラーゼ活性を有するものであれば十分である。市販の酵素製剤としては、天野エンザイム株式会社より販売されている、ヌクレアーゼ「アマノ」G等が挙げられる。5’−ホスホジエステラーゼ活性を示す1unitとは、pH5.0、70℃の条件下で、基質とするアデノシン−3’−モノリン酸(3’−AMP)に酵素を作用させて1分間に1μmolのリン酸を遊離する酵素量である。
【0028】
本発明で使用される5’−アデニル酸デアミナーゼは、一般名AMPデアミナーゼ[5’−アデニル酸デアミナーゼ](EC.3.5.4.6)を意味し、本酵素は、アデノシン−5’−モノリン酸(5’−AMP)を5’−IMPに変換する酵素を示す。由来は特に限定する必要はなく、市販の酵素製剤で上記5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有するものであれば十分である。市販の酵素製剤としては、天野エンザイム株式会社より販売されている、デアミザイムG等が挙げられる。なお、5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を示す10unitsとは、pH5.6、37℃の条件下で、基質とする5’−AMPに60分間酵素を作用させ、酵素の作用によって5’−IMPを生成する際、吸光波長の違いの最も大きい265nmの吸光度差が0.001減少するときの酵素量である。
【0029】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
茶飲料中の各成分含量は、適宜溶解・希釈した後に0.45μmのメンブレンフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)で濾過し、それぞれ以下の方法で測定した。
【0031】
((A)茶ポリフェノール含有量の測定法) 茶ポリフェノールの測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸エチルの換算量として求める(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。 試料5mLと酒石酸鉄標準溶液5mLを秤り採りリン酸緩衝液で25mLとし、発色させる。540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線から茶ポリフェノール量を求める。 酒石酸鉄標準試薬の調製:硫酸第一鉄七水和物100mgと酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを水に溶かして100mLとする。 リン酸緩衝液の調製:1/15Mリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15Mリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整する。
【0032】
((B)5’−ヌクレオチドの測定方法) 標準試料である5’−GMP、5’−IMPおよび5’−CMPはそれぞれ市販されている試薬(SIGMA社製)を用いた。標準試料および測定試料は超純水で適宜希釈・定容し、それぞれ標準溶液または試料溶液とした。標準試料および測定試料は0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製、DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてLC−MS/MSを用いて定量する。
【0033】
((B)5’−ヌクレオチド含有量の測定条件)装置(HPLC):アジレント・テクノロジー株式会社、1100 Series、(MS/MS):株式会社エービー・サイエックス、Applied Biosystems 3200Q TRAP)カラム:Mightysil RP−18 GP、2.0mmΦ×250mm(5μm)(関東化学株式会社)移動相(A液):メタノール:10mM酢酸アンモニウム(pH4.0)=1.2:240、(B液):メタノール:10mM酢酸アンモニウム(pH4.0)=100:1(体積比)グラジエント:(A液)100%で0〜12分まで保持、12〜15.2分で(B液)0%〜70%まで直線的にグラジエント溶出、15.2〜21分まで(B液)70%で保持、21〜21.2分で(A液)100%に戻し、21.2〜40分まで(A液)100%で平衡化。流速:200μl/min、カラム温度:40℃、注入量10μL。イオン化:ESI Turboionspray−negative、検出:Multiple Reaction Monitoring(MRM)mode検出イオン:5’−GMP:m/z=361.8/78.8 、5’−IMP:m/z=346.9/78.8、5’−CMP:m/z=322.0/139.2。
【実施例1】
【0034】
緑茶飲料の調製緑茶葉100gを65℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2550mLを得た。得られた抽出液を用いて下記(A)〜(D)の方法で緑茶飲料を調製した。次に、(A)上記抽出液500mLには、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填を行った。その後、レトルト殺菌(121℃、10分間)を行い、「緑茶飲料1(比較品1)」を調製した。(B)抽出液100mLを、飲用濃度(茶ポリフェノール濃度55mg/100mL)となるようにイオン交換水を加えて希釈したのち、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加し、さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填した。その後、レトルト殺菌(121℃、10分間)を行い、「緑茶飲料2(比較品2)」を調製した。(C)抽出液500mLは、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)25mg(175units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)25mg(1250000units)を加え30分間反応後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填を行い、その後、レトルト殺菌(121℃、10分間)を行い、「緑茶飲料3(発明品1)」を調製した。(D)抽出液100mLは、飲用濃度(茶ポリフェノール濃度55mg/100mL)となるようにイオン交換水を加えて希釈したのち、50℃に加温し、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)23.5mg(164.5units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)5mg(250000units)を加え30分間反応し、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、その後、レトルト殺菌(121℃、10分間)を行い、「緑茶飲料4(発明品2)」を調製した。さらに緑茶飲料1(比較品1)と緑茶飲料3(発明品1)を9:1、緑茶飲料2(比較品2)と緑茶飲料4(発明品2)を9:1でそれぞれ混合し、緑茶飲料5(発明品3)、緑茶飲料6(発明品4)を調製した。なお、調製した緑茶飲料1〜6の成分分析の結果を表1に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
(官能評価試験)試験例1:調製した緑茶飲料の官能評価[試験方法] 男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表1に示した各種緑茶飲料を用い、緑茶飲料1(比較品1)をコントロールとして緑茶飲料3(発明品1)と緑茶飲料5(発明品3)、緑茶飲料2(比較品2)をコントロールとして緑茶飲料4(発明品2)と緑茶飲料6(発明品4)のそれぞれの組み合わせで、旨味と苦渋味に関して2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。有意水準は、「Excelでできる統計的官能評価法」((株)日科技連出版社、2008年)に付属のソフトウェアを用い、本書に従って計算した。結果は表2に示した。
【0037】
【表2】

【0038】
官能評価試験の結果を表2に示した。茶ポリフェノール濃度の高い緑茶飲料である緑茶飲料1(比較品1)と緑茶飲料3(発明品1)を比較した結果、ヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た緑茶飲料である緑茶飲料3(発明品1)の方が、緑茶飲料1(比較品1)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことが明らかとなった。さらに緑茶飲料1(比較品1)と緑茶飲料3(発明品1)を混合して調製した緑茶飲料5(発明品3)と緑茶飲料1(比較品1)を比較した結果、緑茶飲料5(発明品3)の方が緑茶飲料1(比較品1)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことが明らかとなった。また、一般的な茶飲料の茶ポリフェノール濃度と同等な緑茶飲料2(比較品2)と緑茶飲料4(発明品2)を比較した結果も同様にヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た緑茶飲料4(発明品2)の方が酵素処理を行っていない緑茶飲料2(比較品2)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことがわかった。さらに緑茶飲料2(比較品2)と緑茶飲料4(発明品2)を混合して調製した緑茶飲料6(発明品4)と緑茶飲料2(比較品2)を比較した結果、緑茶飲料6(発明品4)の方が緑茶飲料2(比較品2)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことが明らかとなった。これらのことから、緑茶飲料にヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た緑茶飲料だけではなく、緑茶飲料にヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た緑茶飲料を混合することで、旨味の増加および苦渋味の低減効果があることが明らかとなった。
【実施例2】
【0039】
烏龍茶飲料の調製烏龍茶葉100gを80℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2775mLを得た。この抽出液を[0034]の(A)、(B)、(C)、(D)と同様の方法で処理し、それぞれ(A)烏龍茶飲料1(比較品3)、(B)烏龍茶飲料2(比較品4)、(C)烏龍茶飲料3(発明品5)、(D)烏龍茶飲料4(発明品6)を調製した。ただし、(B)および(D)の烏龍茶飲料の調製時に用いた烏龍茶抽出液量は250mLとし、(A)から(D)の烏龍茶飲料のレトルト殺菌は121℃、7分間の条件で行った。なお、調製した烏龍茶飲料1〜4の成分分析の結果を表3に示した。
【0040】
【表3】

【0041】
(官能評価試験)試験例2:調製した烏龍茶飲料の官能評価[試験方法] 男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表3に示した各種烏龍茶飲料を用い、烏龍茶飲料1(比較品3)をコントロールとして烏龍茶飲料3(発明品5)と、烏龍茶飲料2(比較品4)をコントロールとして烏龍茶飲料4(発明品6)とのそれぞれの組み合わせで、旨味と苦渋味に関して2点比較法(2点識別法)試
験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。結果は表4に示した。
【0042】
【表4】

【0043】
官能評価試験の結果を表4に示した。茶ポリフェノール濃度の高い烏龍茶飲料である烏龍茶飲料1(比較品3)と烏龍茶飲料3(発明品5)を比較した結果、ヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た烏龍茶飲料である発明品5の方が、比較品3に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことが明らかとなった。また、一般的な茶飲料のポリフェノール濃度と同等な烏龍茶飲料2(比較品4)と烏龍茶飲料4(発明品6)を比較した結果も同様にヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た烏龍茶飲料4(発明品6)の方が烏龍茶飲料2(比較品4)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことがわかった。
【実施例3】
【0044】
紅茶飲料の調製紅茶葉100gを80℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2625mLを得た。この抽出液を[0034]の(A)、(B)、(C)、(D)と同様の方法で処理し、それぞれ(A)紅茶飲料1(比較品5)、(B)紅茶飲料2(比較品6)、(C)紅茶飲料3(発明品7)、(D)紅茶飲料4(発明品8)を調製した。ただし、(B)および(D)の紅茶飲料の調製時に用いた紅茶抽出液量は115mLとし、(A)から(D)の紅茶飲料のレトルト殺菌は120℃、20分間の条件で行った。なお、調製した紅茶飲料1〜4の成分分析の結果を表5に示した。
【0045】
【表5】

【0046】
(官能評価試験)試験例3:調製した紅茶飲料の官能評価[試験方法]男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表5に示した各種紅茶飲料を用い、紅茶飲料1(比較品5)をコントロールとして紅茶飲料3(発明品7)と、紅茶飲料2(比較品6)をコントロールとして紅茶飲料4(発明品8)とのそれぞれの組み合わせで、旨味と苦渋味に関して2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0047】
【表6】

【0048】
官能評価試験の結果を表6に示した。茶ポリフェノール濃度の高い紅茶飲料である紅茶飲料1(比較品5)と紅茶飲料3(発明品7)を比較した結果、ヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た緑茶飲料である紅茶飲料3(発明品7)の方が、紅茶飲料1(比較品5)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことが明らかとなった。また、一般的な茶飲料のポリフェノール濃度と同等な紅茶飲料2(比較品6)と紅茶飲料4(発明品8)を比較した結果も同様に、ヌクレアーゼ「アマノ」GとデアミザイムGで処理する工程を経た紅茶飲料4(発明品8)の方が紅茶飲料2(比較品6)に比べ、旨味が有意に強く、かつ苦渋味が有意に低いことがわかった。
【0049】
これらの結果から、茶飲料製造工程に5’−ホスホジエステラーゼおよび5’−アデニル酸デアミナーゼ活性を有する酵素で処理する工程を経た茶飲料(緑茶・烏龍茶・紅茶)は、ポリフェノール濃度が一般的な茶飲料の濃度のときだけではなく高濃度であっても苦渋味が低減され、旨味が増強していることが明らかとなった。
【0050】
〈製造例1〉茶抽出物を添加した飲料 緑茶抽出物の調製 緑茶葉75gを炭酸水素ナトリウムおよびアスコルビン酸ナトリウムを含む90℃の超純水1500g(炭酸水素ナトリウム0.15%、アスコルビン酸ナトリウム300ppm、pH8.2)で60分間抽出した。固液分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過を行って緑茶抽出液1140mLを得た。緑茶抽出液に0.1N塩酸を加えpH5.0に調整した。次に、(A)上記緑茶抽出液500mLをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥し、「緑茶抽出物A」を9.2g調製した。(B)残りの抽出液640mLは、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)300mg(2100units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)300mg(15000000units)を加え、30分間反応させた。沸騰水中で3分間加熱し、酵素反応を停止後、エバポレーターで濃縮し、凍結乾燥させ、「緑茶抽出物B」を9.5g調製した。さらに「緑茶抽出物A」と「緑茶抽出物B」を混合し、抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量が0.10重量%の「緑茶抽出物C」を調製した。
【0051】
茶ポリフェノールを低減させた緑茶抽出物の調製上記の「緑茶抽出物B」2.5gを超純水250mLで溶解後、水で平衡化したダイアイオンHP−20(三菱化学(株)製)樹脂(270mL)を詰めたカラムに供し、水で溶出し、HP−20非吸着画分を得た。この非吸着画分をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥し、「緑茶抽出物D(抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量:0.52重量%)」を1.55g調製した。さらに、カラムにメタノール(100%)を通液し、HP−20吸着画分を得た。HP−20吸着画分をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥し、「緑茶抽出物E」0.95gを調製した。
【実施例4】
【0052】
緑茶飲料の調製緑茶葉100gを65℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液を2511mL得た。この抽出液700mLにイオン交換水を加えて茶ポリフェノール濃度60mg/100mLの飲料原液を調製した。次に、(A)この飲料原液200mLに、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加し、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填した。続いてレトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「緑茶飲料7(比較品7)」を調製した。(B)飲料原液200mLに対して、製造例1の緑茶抽出物Cをそれぞれ10ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppmになるように添加後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「緑茶飲料8〜13(比較品8〜9および発明品9〜12)」を調製した(表7参照)。(C)飲料原液200mLに対して、製造例1の緑茶抽出物Dをそれぞれ5ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppmになるように添加後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。その後、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「緑茶飲料14〜19(発明品13〜18)」を調製した(表8参照)。(D)飲料原液600mLを50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)15mg(105units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)5mg(750000units)を加え、30分間反応後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、(1)200mLには、何も添加せずに、(2)200mLには、緑茶抽出物Aを100ppm濃度になるように添加、(3)200mLには、緑茶抽出物Bを100ppm濃度になるように添加後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「緑茶飲料20〜22(発明品19〜21)」を調製した。上記で調製した緑茶飲料の成分分析結果を表7〜9に示した。
【0053】
(官能評価試験)試験例4:実施例4で調製した緑茶飲料の官能評価(緑茶飲料7〜22)男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表7〜9に示した緑茶飲料を用い、緑茶飲料7(比較品7)をコントロールとして緑茶飲料8〜22それぞれを旨味と苦渋味に関して緑茶飲料7(比較品7)との2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。なお、表中の×はコントロールに対して有意差なし、○はコントロールに対して有意差があることを示す。
【0054】
【表7】

【0055】
【表8】

【0056】
【表9】

【0057】
官能試験の結果を表7〜9に示した。緑茶抽出物Cおよび緑茶抽出物Dを添加した飲料において、緑茶飲料8(比較品8)および緑茶飲料9(比較品9)のように、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料に関しては、未処理品である緑茶飲料7(比較品7)と比較しても、旨味および苦渋味に関して有意な差は見られなかった。一方、緑茶抽出物Cおよび緑茶抽出物Dを添加し、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(緑茶飲料10〜19[発明品9〜18])においては、いずれの添加量においても、旨味が有意に増加され、苦渋味も有意に減少した。また、茶飲料製造工程中に5’−ホスホジエステラーゼおよび5’−アデニル酸デアミナーゼ処理した飲料に関しても、未処理品である緑茶飲料7(比較品7)と比較し有意に旨味が増加し、苦渋味も有意に減少した。さらに、緑茶飲料20(発明品19)に対して緑茶抽出物AもしくはBを添加した緑茶飲料21〜22(発明品20〜21)に関しても、緑茶飲料7(比較品7)と比較し有意に旨味が増加し、苦渋味も有意に減少した。
【0058】
〈製造例2〉烏龍茶抽出物A、Bの調製 烏龍茶葉75gを90℃の超純水1.5Lで60分間抽出した。固液分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過を行って烏龍茶抽出液1350mLを得た。この抽出液をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥させ、「烏龍茶抽出物A」19.8gを得た。得られた烏龍茶抽出物A 5gを500gの超純水に溶解し、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)
200mg(1400units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)200mg(10000000units)を加え30分間インキュベートした。次に、沸騰水中で3分間加熱し、酵素反応を停止した。これをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥し、「烏龍茶抽出物B(抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量:0.17重量%)」を5.3g得た。
【0059】
烏龍茶抽出物C、Dの調製 烏龍茶葉75gを、炭酸水素ナトリウムを含む90℃の超純水1500g(炭酸水素ナトリウム0.15%、pH8.3)で60分間抽出した。固液分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過を行って烏龍茶抽出液1346mLを得た。この抽出液に0.1N塩酸を加えpH5.0に調整した。この抽出液をエバポレーターで濃縮後凍結乾燥し、「烏龍茶抽出物C」22.3gを得た。得られた烏龍茶抽出物C 5gを500gの超純水に溶解し、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)5mg(140units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)5mg(250000units)を加え、30分間インキュベートした。次に、沸騰水中で3分間加温し、酵素反応を停止した。これをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥し、「烏龍茶抽出物D(抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量:0.21重量%)」4.9gを得た。
【実施例5】
【0060】
烏龍茶飲料の調製烏龍茶葉100gを80℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2775mLを得た。この抽出液2000mLにイオン交換水を加えて茶ポリフェノール濃度60mg/100mLの飲料原液を調製した。次に、(A)この飲料原液200mLに、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加後、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「烏龍茶飲料5(比較品10)」を調製した。(B)飲料原液200mLに対して、製造例2の烏龍茶抽出物Dをそれぞれ10ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppmになるよう添加後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。その後、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整した。80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「烏龍茶飲料6〜11(比較品11、発明品22〜26)」を調製した。(C)飲料原液500mLを、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)10mg(70units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)10mg(500000units)を加え、30分間反応後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「烏龍茶飲料12(発明品27)」を調製した。上記で調製した烏龍茶飲料の成分分析結果を表10、11に示した。
【0061】
(官能評価試験)試験例5:実施例5で調製した烏龍茶飲料の官能評価(烏龍茶飲料5〜12)男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表11〜12に示した烏龍茶飲料を用い、烏龍茶飲料5(比較品10)をコントロールとして、烏龍茶飲料6〜12を旨味と苦渋味に関して、烏龍茶飲料5(比較品10)との2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0062】
【表10】

【0063】
【表11】

【0064】
官能試験の結果を表10、11に示した。烏龍茶抽出物Dを添加した飲料において、烏龍茶飲料6(比較品11)のように、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料に関しては、未処理品である烏龍茶飲料5(比較品10)と比較しても、旨味および苦渋味に関して有意な差は見られなかった。一方、烏龍茶抽出物Dを添加し、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(烏龍茶飲料7〜11[発明品22〜26])においては、いずれの添加量においても、旨味が有意に増加され、苦渋味も有意に減少した。また、茶飲料製造工程中に5’−ホスホジエステラーゼおよび5’−アデニル酸デアミナーゼ処理した飲料(烏龍茶飲料12[発明品27])に関しても、未処理品である烏龍茶飲料5(比較品10)と比較し有意に旨味が増加し、苦渋味も有意に減少した。
【0065】
〈製造例3〉紅茶抽出物A、Bの調製 紅茶葉75gを90℃の超純水1500gで60分間抽出した。固液分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過を行って紅茶抽出液を1310mL得た。この抽出液をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥させ、「紅茶抽出物A」を16.5g得た。得られた紅茶抽出物A 5gを500gの超純水に溶解し、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)250mg(1750units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)250mg(12500000units)を加え30分間インキュベートした。次に、沸騰水中で3分間加熱し、酵素反応を停止した。これをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥させ、「紅茶抽出物B(抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量:0.21重量%)」を5.4g得た。
【0066】
紅茶抽出物C、Dの調製 紅茶葉75gを、炭酸水素ナトリウムを含む90℃の超純水1500g(炭酸水素ナトリウム0.15%、pH8.3)で60分間抽出した。固液分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過を行って紅茶抽出液を1320mL得た。この抽出液に0.1N塩酸を加えpH5.0に調整した。この紅茶抽出液をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥させ、「紅茶抽出物C」を17.9g得た。得られた紅茶抽出物C 5gを500gの超純水に溶解し、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)10mg(70units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)10mg(5000000units)を加え、30分間インキュベートした。次に、沸騰水中で3分間加熱し、酵素反応を停止した。これをエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥させ、「紅茶抽出物D(抽出物固形分中の5’−GMPと5’−IMPの合計含有量:0.27重量%)」を5.1g得た。
【実施例6】
【0067】
紅茶飲料の調製紅茶葉100gを80℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2653mLを得た。この抽出液500mLにイオン交換水を加えて茶ポリフェノール濃度60mg/100mLの飲料原液を調製した。次に、(A)飲料原液400mLに、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加後、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整した。80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「紅茶飲料5(比較品12)」を調製した。(B)飲料原液200mLに対して、製造例3の紅茶抽出物Dをそれぞれ10ppm、25ppm、50ppm、100ppm、200ppm、500ppmになるように添加後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。その後、炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「紅茶飲料6〜11(比較品13、発明品28〜32)」を調製した。(C)飲料原液400mLは、50℃に加温後、ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)20mg(140units)とデアミザイムG(天野エンザイム(株)製)20mg(1000000units)を加え、30分間反応後、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加した。さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整後、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填し、レトルトで121℃、10分間の殺菌を行い、「紅茶飲料12(発明品33)」を調製した。上記で調製した紅茶飲料の成分分析結果を表12、13に示した。
【0068】
(官能評価試験)試験例6:実施例6で調製した紅茶飲料の官能評価(紅茶飲料5〜12)男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表12、13に示した紅茶飲料を用い、紅茶飲料5(比較品12)をコントロールとして紅茶飲料6〜12それぞれを旨味と苦渋味に関して紅茶飲料5(比較品12)との2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0069】
【表12】

【0070】
【表13】

【0071】
官能試験の結果を表12、13に示した。紅茶抽出物Dを添加した飲料において、紅茶飲料6(比較品13)のように、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料に関しては、未処理品である紅茶飲料5(比較品12)と比較しても、旨味および苦渋味に関して有意な差は見られなかった。一方、紅茶抽出物Dを添加し、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(紅茶飲料7〜11[発明品28〜32])においては、いずれの添加量においても、旨味が有意に増加され、苦渋味も有意に減少した。また、茶飲料製造工程中に5’−ホスホジエステラーゼおよび5’−アデニル酸デアミナーゼ処理した飲料(紅茶飲料12[発明品33])に関しても、未処理品である紅茶飲料5(比較品12)と比較し有意に旨味が増加し、苦渋味も有意に減少した。
【実施例7】
【0072】
市販のペットボトル茶飲料へ抽出物を添加した飲料の調製市販の緑茶飲料として、商品名「ヘルシア緑茶」(花王(株)製)(市販緑茶飲料1)、「ヘルシア緑茶まろやか」(花王(株)製)(市販緑茶飲料2)、「お〜いお茶」((株)伊藤園製) (市販緑茶飲料3)、「お〜いお茶濃い味」((株)伊藤園製)(市販緑茶飲料4)、「伊右衛門」(サントリー(株))(市販緑茶飲料5)、市販の烏龍茶飲料として、商品名「サントリー烏龍茶」(サントリー(株)製)(市販烏龍茶飲料1)、市販の紅茶飲料として、商品名「シンビーノジャワティストレート(大塚食品(株)製)」(市販紅茶飲料1)を使用し、それぞれ茶抽出物を各試験の最終濃度になるように加え、各飲料を調製した(表14〜25)。
【0073】
(官能評価試験)試験例6:実施例7で調製した飲料の
官能評価[試験例]男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表14〜25に示した飲料を用い、各表の抽出物無添加品をコントロールとして、抽出物添加品との2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0074】
【表14】

【0075】
表14に市販緑茶飲料1に緑茶抽出物Cを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Cを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品15、16)では、無添加品である比較品14と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物C添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品34〜37)では、無添加品である比較品14に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0076】
【表15】

【0077】
表15に市販緑茶飲料1に緑茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Dを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品17)では、無添加品である比較品14と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品38〜42)では、無添加品である比較品14に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0078】
【表16】

【0079】
表16に市販緑茶飲料2に緑茶抽出物Cを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Cを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品19、20)では、無添加品である比較品18と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物C添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品43〜46)では、無添加品である比較品18に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0080】
【表17】

【0081】
表17に市販緑茶飲料2に緑茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品46〜51)では、無添加品である比較品18に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0082】
【表18】

【0083】
表18に市販緑茶飲料3に緑茶抽出物Cを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Cを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品22、23)では、無添加品である比較品21と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物C添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品53〜56)では、無添加品である比較品21に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0084】
【表19】

【0085】
表19に市販緑茶飲料3に緑茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品57〜62)では、無添加品である比較品21に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0086】
【表20】

【0087】
表20に市販緑茶飲料4に緑茶抽出物Cを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Cを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品25、26)では、無添加品である比較品24と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物C添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品63〜66)では、無添加品である比較品24に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0088】
【表21】

【0089】
表21に市販緑茶飲料4に緑茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品67〜71)では、無添加品である比較品24に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0090】
【表22】

【0091】
表22に市販緑茶飲料5に緑茶抽出物Cを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物Cを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品28、29)では、無添加品である比較品27と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、緑茶抽出物C添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品72〜75)では、無添加品である比較品27に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0092】
【表23】

【0093】
表23に市販緑茶飲料5に緑茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。緑茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品76〜81)では、無添加品である比較品25に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0094】
【表24】

【0095】
表24に市販烏龍茶飲料1に烏龍茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。烏龍茶抽出物Dを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品31)では、無添加品である比較品30と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、烏龍茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品82〜86)では、無添加品である比較品30に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0096】
【表25】

【0097】
表25に市販紅茶飲料1に紅茶抽出物Dを添加したときの官能評価試験結果を示した。紅茶抽出物Dを添加しても5’−IMP濃度が0.002mg/100mL未満しか含有していない飲料(比較品33)では、無添加品である比較品32と比較しても旨味の強化および苦渋味の低減は確認できず、紅茶抽出物D添加により5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有する飲料(発明品87〜91)では、無添加品である比較品32に比べ、旨味の増加および苦渋味の低減が確認できた。
【0098】
市販のペットボトル茶飲料へ各種茶抽出物を添加した結果、5’−IMP濃度が0.002mg/100mL以上含有している飲料で、旨味増強および苦渋味低減効果を有することがわかった。
【0099】
〈比較製造例〉 発明品1を調製する際に使用した緑茶葉を粉砕し、20メッシュパス成分が60.4%の茶葉を調製した。この粉砕茶葉10gに対し、表26に示すヌクレアーゼ「アマノ」GあるいはデアミザイムG150mgを溶解したイオン交換水20g、若しくは酵素無添加のイオン交換水20gをよく混合したあと、水分蒸発防止のためにラップしたうえで、35℃で12時間放置した。この処理茶葉を100℃のオーブンで20分間置いて酵素を失活させると同時に殺菌をおこなって加工茶葉を得た。粉砕茶葉10gおよび各加工茶葉10gをそれぞれ75℃の熱水300mLに入れて時々撹拌しながら4分間抽出した。これを固液分離した後、得られた抽出液をビタミンCと重曹を用いて調整を行いpH6.5の緑茶飲料1000gを調製した。
【0100】
(官能評価試験)試験例7:試験例で調製した飲料の官能評価[試験例]男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表26に示した飲料を用い、酵素未処理品の茶葉から調製した飲料(比較品34)をコントロールとして、比較品35および比較品36との2点比較法(2点識別法)で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0101】
【表26】

【0102】
比較品34と比較品35、36をそれぞれ比較したところ、比較品35、36は比較品34に比べて有意に旨味が増強していたが、苦渋味の低減効果は見られなかった。特に、比較品36は、5’−IMP含有量が0.002mg/100mLを超えているのに関わらず苦渋味の低減効
果が見られなかった。旨味の増強効果および苦渋味低減効果が見られた発明品19と比較品36を比べると、発明品19の5’−IMP/5’−CMPが11以下であるのに対し、比較品36は11を超えていることから、旨味の増強効果および苦渋味の低減効果の両方を示す飲料は、5’−IMP/5’−CMPが11以下である必要があることがわかった。
【実施例8】
【0103】
緑茶飲料の調製緑茶葉100gを70℃に加温した水3Lに加え、撹拌しながら4分間抽出を行い、100メッシュのストレーナーで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いた濾過により清澄化を行い、抽出液2550mLを得た。次に、(A)抽出液300mLには、茶ポリフェノール濃度180mg/100mLとなるようにイオン交換水を加えたのち、アスコルビン酸ナトリウムを0.03重量%となるように添加し、さらに炭酸水素ナトリウムでpH6.2に調整した。この溶液を2分量にわけ、1分量には何も添加せず、1分量には、緑茶抽出物Dを100ppm濃度になるように添加したのち、80℃以上の温度条件下で缶にホットパック充填を行った。その後、レトルト殺菌(121℃、10分間)を行い、比較品37(無添加品)と発明品92(緑茶抽出物D添加品)を調製した。(B)抽出液300mLは、茶ポリフェノール濃度150mg/100mLに変更した以外は(A)と同様の方法で比較品38(無添加品)と発明品93(緑茶抽出物D添加品)を調製した。(C)抽出液200mLは、茶ポリフェノール濃度120mL/100mLに変更した以外は(A)と同様の方法で比較品39(無添加品)と発明品94(緑茶抽出物D添加品)を調製した。(D)抽出液50mLは、茶ポリフェノール濃度35mg/100mLに変更した以外は(A)と同様の方法で比較品40(無添加品)と発明品95(緑茶抽出物D添加品)を調製した。(E)抽出液50mLは、茶ポリフェノール濃度30mg/100mLに変更した以外は(A)と同様の方法で比較品41(無添加品)と比較品42(緑茶抽出物D添加品)を調製した。(F)抽出液300mLは、茶ポリフェノール濃度を300mg/100mLにするために、緑茶抽出物Eを添加後、(A)と同様の方法で比較品43(無添加品)と比較品44(緑茶抽出物D添加品)を調製した。上記の方法で調製した茶飲料の成分分析結果を表27に示した。
【0104】
【表27】

【0105】
(官能評価試験)試験例8:実施例8で調製した飲料の官能評価男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表27に示した飲料を用い、表の抽出物無添加品をコントロールとして、抽出物添加品との2点比較法(2点識別法)[比較品37と発明品92、比較品38と発明品93、比較品39と発明品94、比較品40と発明品95、比較品41と比較品42、比較品43と比較品44]で試験を行い、旨味の強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は、二項分布の確率より行い、有意水準は20%とした。
【0106】
茶ポリフェノール濃度が30mg/100mL未満(比較品41、比較品42)の飲料においては、比較品41に比べ緑茶抽出物Dを添加した比較品42は、旨味の増加は確認できたが、飲料事態の苦渋味が極めて低いため、苦渋味の低減効果を認めることができなかった。一方、茶ポリフェノール濃度が300mg/100mLを超える飲料(比較品43、比較品44)では、比較品43と緑茶抽出物D添加した比較品44を比較しても旨味の強化を確認できず、苦渋味に関しても差は見られなかった。このことから、茶ポリフェノール濃度が300mg/100mLを超える飲料においては、苦渋味が強すぎるため、旨味の増加効果および苦渋味の低減効果を発揮しないことがわかった。
【0107】
【表28】

【実施例9】
【0108】
緑茶飲料実施例1[0034]の(D)緑茶飲料4(発明品2)と同様に緑茶飲料(茶ポリフェノール:55.0mg/100mL、5’−IMP:0.180mg/100mL、5’−CMP:0.054mg/100mL、5’−GMP:0.135mg/100mL、5’−IMP/5’−CMP:3.3)を製造した。ただし、殺菌方法はUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、PETボトルに充填した。
【0109】
烏龍茶飲料実施例2 [0039]の(D)烏龍茶飲料4(発明品6)と同様に烏龍茶飲料(茶ポリフェノール:55.0mg/100mL、5’−IMP:0.266mg/100mL、5’−CMP:1.235mg/100mL、5’−GMP:0.146mg/100mL、5’−IMP/5’−CMP:0.22)を製造した。ただし、殺菌方法はUHT殺菌(138℃、30秒)を行い、PETボトルに充填した。
【0110】
紅茶飲料実施例3 [0044]の(D)紅茶飲料4(発明品8)と同様に紅茶飲料(茶ポリフェノール:54.0mg/100mL、5’−IMP:0.190mg/100mL、5’−CMP:1.025mg/100mL、5’−GMP:0.127mg/100mL、5’−IMP/5’−CMP:0.19)を製造した。ただし、殺菌方法はUHT殺菌(135℃、30秒)を行い、PETボトルに充填した。
【実施例10】
【0111】
インスタント粉末紅茶の調製酵素未処理紅茶抽出物(紅茶抽出物C)、ショ糖、全粉乳、クリーミングパウダー、香料を用いて表29に示す配合割合で各成分混合して粉末紅茶1(インスタントミルクティー粉末;比較品42)を調製した。また、酵素未処理紅茶抽出物(紅茶抽出物C)の半量を酵素処理紅茶抽出物(紅茶抽出物D)に置き換えた粉末紅茶2(インスタントミルクティー粉末;発明品96)を調製した。さらに酵素未処理紅茶抽出物(紅茶抽出物C)の全量を酵素処理紅茶抽出物(紅茶抽出物D)に置き換えた粉末紅茶3(インスタントミルクティー粉末;発明品97)を調製した。また飲用時の成分を表30に示した。
【0112】
【表29】

【0113】
【表30】

【0114】
(官能評価試験)試験例9:実施例10で調製した飲料の官能評価男女9名をパネラーとして官能評価を行った。表29に示した配合処方の粉末紅茶それぞれ15gを140mLの熱水に溶解した。粉末紅茶1をコントロールとして粉末紅茶2および3の旨味と苦渋味を2点比較法(2点識別法)で試験した。コントロールと比べ旨味が強い方および苦渋味の低い方を選ばせた。判定は二項分布の確率より行い、有意水準は20%とし、粉末紅茶1と比べて有意差なしを×、有意差ありを○とした。
【0115】
官能評価の結果を表30に示した。紅茶抽出物Cを半量もしくは全量紅茶抽出物Dに置き換えて調製した粉末紅茶2および3は、粉末飲料1と比較して有意に旨味が増強され、苦渋味が低減した。
【実施例11】
【0116】
インスタント粉末緑茶の調製製造例1の酵素未処理緑茶抽出物(緑茶抽出物A)0.35g、製造例1の酵素処理緑茶抽出物(緑茶抽出物B)0.35g、ショ糖10g、脱脂粉乳、クリーミングパウダー2g、香料0.05gを混合してインスタント粉末緑茶(飲用時の各成分の濃度;茶ポリフェノール:123.2mg/100mL、5’−IMP:1.005mg/100mL、5’−CMP:0.900mg/100mL、5’−GMP:1.415mg/100mL、5’−IMP/5’−CMP:1.12)を調製した。ただし、飲用時には得られたインスタント粉末緑茶15gを140mLの熱水に溶解した。
【0117】
インスタント粉末緑茶の調整60℃に加温したイオン交換水500mLにアスコルビン酸ナトリウムを2.5g溶解し、緑茶葉48gを加えて、攪拌を行いながら20分間抽出した。100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離し、続いてネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を400g得た。この茶抽出液400gを20℃まで冷却後、液量が約半分になるまで逆浸透膜にて濃縮し、製造例1の酵素処理緑茶抽出物Bを25g、およびβ−サイクロデキストリン(セルデックスB−100、日本食品化工(株)製)を25g加えて調合を行い、凍結乾燥機で乾燥させてインスタント粉末茶54.3g(飲用時の各成分の濃度;茶ポリフェノール:78.3mg/100mL、5’−IMP:0.603mg/100mL、5’−CMP:0.591mg/100mL、5’−GMP:0.954mg/100mL、5’−IMP/5’−CMP:1.02)を得た。ただし、飲用時には得られたインスタント粉末緑茶0.6gを100mLの熱水に溶解した。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、茶本来の味バランスを保ちながら、旨味を強化し苦渋味を低減した茶飲料として、緑茶、烏龍茶、紅茶などの茶飲料に利用できる。更にそれら茶飲料の形態として、液体飲料、濃縮タイプの液体飲料、粉末飲料等に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)茶ポリフェノール、(B)イノシン−5’−モノリン酸(5’−IMP)、(C)シチジン−5’−モノリン酸(5’−CMP)、(D)グアノシン−5’−モノリン酸(5’−GMP)を含有し、
(A):30〜300mg/100mL
(B):0.002mg/100mL以上
(B)と(C)の含有量比(B)/(C)が0.1〜11の範囲であることを特徴とする茶飲料(ただし、酵母エキス及び/又はうま味調味料を添加したものを除く)。
【請求項2】
茶抽出物を添加したものであることを特徴とする請求項1記載の茶飲料。
【請求項3】
5’−GMPと5’−IMPを含有する茶抽出物を添加したものであることを特徴とする請求項2記載の茶飲料。
【請求項4】
インスタント粉末茶である請求項1から3のいずれか一項に記載の茶飲料。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の茶飲料の製造方法。

【公開番号】特開2012−165753(P2012−165753A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104731(P2012−104731)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2011−27141(P2011−27141)の分割
【原出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(303044712)三井農林株式会社 (72)
【Fターム(参考)】