説明

早期特発性肺線維症の治療

【課題】特発性肺線維症に関連する治療のための医薬の製造のための薬剤またはその使用を提供する。
【解決手段】本発明は、早期特発性肺線維症の治療用の医薬の製造のための、エンドセリン受容体拮抗薬の使用、エンドセリン受容体拮抗薬、又はエンドセリン受容体拮抗薬と、ピルフェニドン及びインターフェロン-γのいずれか一方とを含有する医薬組成物の使用に関する。本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、エンドセリン受容体二重拮抗薬又はエンドセリン受容体混合拮抗薬である、上述した使用、及びエンドセリン受容体拮抗薬が、ETA受容体に対して選択的に結合する選択的エンドセリン受容体拮抗薬である、上述した使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、早期特発性肺線維症(以後、早期IPF又は初期IPF)の治療のための、エンドセリン受容体拮抗薬(以後、ERA)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特発性間質性肺炎としても周知の特発性肺線維症(IPF)は、間質性肺疾病(ILD)の範囲に属する、区別される臨床的疾患である。IPFは、外科的肺生検上の通常型間質性肺炎(UIP)の組織学的パターンの存在により特徴付けられる進行性疾病である。IPFは、実質線維化をもたらす慢性炎症性疾病であると考慮されていた。しかしながら、最近の証拠により、進行性の細胞外マトリクス蓄積、線維芽細胞−筋芽細胞死の減少、持続的な上皮細胞アポトーシス、及び異常な上皮再形成を伴う異常な創傷治癒機構が示唆されている。肺の間質領域内における進行性の線維性組織堆積は、肺コンプライアンス及びガス交換の低下を招く。
【0003】
症状の開始は、通常、漸進的であり、患者は、乾性咳、最初は運動により、次いで休息
時に生じる息切れを訴える。疾病の後期には、チアノーゼ、肺性心、及び末梢浮腫が観察
され得る。
【0004】
UIPの組織学的外観を示す外科的肺生検の存在下、IPFの確定診断は、以下を必要とする(非特許文献1):
1)ILDの他の原因の排除、
2)肺活量の制限及び/若しくはガス交換の障害、又は一酸化炭素の拡散能力(DLCO)の低下の証拠を含む、異常な肺機能試験、
3)従来の胸部X線写真又は高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)スキャン上の異常。
【0005】
外科的肺生検不在下でのIPFの診断基準は、全部の臨床的特徴と放射線学的特徴間の相
互関係を必要とする。
【0006】
LeadDiscovery(2006)によれば、特発性肺線維症(以後、IPF)は、現在の治療法の効果が最小である深刻な、容赦なく進行しかつ致命的な疾病である。
【0007】
IPFの有病率及び発症率に関する正確な数字は、報告されていない。有病率は、100,000人当たり3〜6件と考えられるが、100,000人当たり13〜20件という高率である可能性がある。有病率は、高齢の成人(患者の3分の2が60歳超)及び男性でより高い。生検確認によるIPF診断後の中間生存期間は、3年未満である。
【0008】
IPF患者の生存期間又は生活の質の改善を示す治療法は、全く存在しない。現在の治療
は、尚、IPFが、線維化による肺の同時リモデリングを伴う炎症性過程であるという以前
の推定に基づいている。その結果、治療は、コルチコステロイド、免疫抑制/細胞毒性薬
(例、アザチオプリン、シクロホスファミド)、又は両方の組み合わせを含む、坑炎症療法に関係する。しかしながら、現在の治療法の不十分な利益及び重大な副作用、並びにIPFの病変形成に関するより新しい洞察により、新規な治療的アプローチが極めて必要とされる。坑線維化療法は、マトリクス堆積の低下又はコラーゲン分解の増加を目標とし、現在、コルヒチン、D-ペニシラミン、インターフェロンγ、及びピルフェニドンを含む多数の薬剤が研究中である。一部のIPF患者に関して、実行可能な選択肢として肺移植が浮上している。
【0009】
神経ホルモンエンドセリン-1(ET-1)は、内皮から放出される21-アミノ酸ペプチドのファミリーに属し、公知の最も強力な血管収縮剤の一つである。ET-1は、線維化、細胞増殖及びリモデリングも促進し得、炎症促進性である。ET-1は、線維芽細胞の代謝を変更することにより、コラーゲン合成を刺激し、又は間質性コラゲナーゼの産生を低下させて、マトリクス産生及び代謝回転を調節し得る。肺線維症の動物モデルにおいて、パラクリン肺ET系の活性化が確認されている。ET-1は、ヒトのIPFとも関連付けられている。IPF患者において、コントロール対象及び非特異性線維症の患者と比較して、気道上皮内でET-1、またII型肺細胞が増加している。このように、ET-1は、IPFの病変形成にて主要な役割を担い得る。
【0010】
高分解能コンピュータ断層撮影(HRCT)、及び伝統的なコンピュータ断層撮影(CT)は、今日迄、肺機能試験と伴に、疾病の程度を評価し、また疾病の進行段階の描写を試みるための最良の非侵襲性ツールである。一般に、疾病開始時のIPFは、CTスキャン上に主としてすりガラス状陰影を示し、蜂巣状を殆ど又は全く示さないであろう。すりガラス状陰影は、組織学的に巣状肺胞線維症、間質性炎症を伴う、マクロファージで満たされた気腔に対応する。後期にて、すりガラス状は、より網状の陰影及び蜂巣状と置換されるであろう。後者は、近位気道と連絡する細気管支の拡張を伴う肺の破壊に対応する。蜂巣状病変は、時間の経過と共に拡大する傾向がある(非特許文献2)。
【0011】
蜂巣状は、HRCT上で、ローブレベル又は領域において、0〜5又は0〜100のスケールにて、5の増分で半定量し得る(非特許文献3)。
【0012】
IPFの早期は、HRCT又はCTスキャン上に蜂巣状が全く又は殆ど存在しないこと、及び片方又は両方の肺にすりガラス状が存在することにより最良に特徴付け得るが、これらの特徴に限定されない。IPFの早期は、より正確には、疾病診断時の不在の又は少ない蜂巣状に関連したIPFとして定義し得る。稀なケースにおいて、HRCTは、すりガラス状陰影及び/又は蜂巣状及び/又は網状を示さないであろう。しかしながら、初期IPFは、例えば、非限定的に核磁気共鳴画像法、気管支肺胞洗浄、組織学的評価のための肺生検(例、外科的、経気管支的、又は縦隔鏡検査による)等の他の通常の診断ツールによっても診断し得る。
【0013】
加えて、初期IPFは、心肺運動試験によっても診断し得る。
【0014】
HRCTスキャン上で可視の蜂巣状が少ないか又は存在しなくとも、蜂巣状は、尚、組織学的切片上で見られ得る。
【0015】
“蜂巣状が少ない”又は“蜂巣状が殆ど存在しない”という表現は、蜂巣状が、全肺野
の25%未満で存在することを意味する。更なる実施態様において、“蜂巣状が少ない”又
は“蜂巣状が殆ど存在しない”という表現は、蜂巣状が、全肺野の10%未満で存在することを意味する。
【0016】
LeadDiscovery(2006)によれば、早期IPF患者の診断は、尚非常に困難である。
【0017】
ボセンタン(Tracleer(登録商標))は、PAH(米国にてクラスIII及びIV、欧州にてクラスIII)用の経口治療薬である。ボセンタンは、エンドセリンETA受容体及びエンドセリンETB受容体の両方に親和性を有し、それによりET-1の有害効果を予防する、エンドセリン受容体二重拮抗薬である。ボセンタンは、ETA受容体及びETB受容体の両方に対するET-1の結合と競合し、ETB受容体と比較して(Ki=38-730nM)、ETA受容体に対する親和性(Ki=4.1-43nM)が僅かに高い。
【0018】
臨床試験(BUILD-1)において、2003年に、特発性肺線維症(IPF)に苦しむ患者におけるボセンタンの有効性が評価された。該試験は、主要評価項目の運動容量に有効性を示さなかった。しかしながら、ボセンタンは、死又は疾病悪化に関連した副次的評価項目上に有効性を示し、IPFの第III相死亡率/罹患率試験のための強力な理論的根拠を提供した。
【0019】
非特許文献4で発表されたBUILD-1試験の完全解析は、IPFの証明として肺生検を有した患者(n=99)におけるボセンタンの治療効果の評価を含んでいた。肺生検により証明されたIPFにおけるBUILD-1の発見は予想外であり、この適応症におけるボセンタンの更なる臨床的評価を必要とする。生検により証明されたIPF患者における第III相死亡率及び罹患率試験(BUILD-3試験)は、2006年の終り迄に開始され、現在継続中である。
【0020】
特許文献1は、IPFのためのNAC、SAPK及びボセンタンの組み合わせの使用を記載している。しかしながら、該公報において早期IPFは言及されていない。
【0021】
特許文献2は、IPFのためのピルフェニドン又はピルフェニドン類似体とボセンタンの
組み合わせの使用を記載している。加えて、特許文献3は、IPFのためのIFN-γとボセン
タンの組み合わせの使用を記載している。しかしながら、該公報において早期IPFは言及
されていない。
【0022】
驚くべきことに、本発明者等は、このボセンタンの有効性が、早期IPFの患者に限定さ
れることを見出した。従って、ボセンタンは、早期IPFの治療に有用である。実施された
更なる試験は、他のERAも早期IPFの治療に有用であることを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】WO 2004/105684
【特許文献2】WO 2005/110478
【特許文献3】WO 2005/110478
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】American Thoracic Society. Idiopathic pulmonary fibrosis: diagnosis and treatment. International consensus statement. American Thoracic Society (ATS) and the European Respiratory Society (ERS). Am J Respir Crit Care Med 2000; 161:646-64
【非特許文献2】King Jr. TE. Idiopathic interstitial pneumonias in Interstitial Lung Disease fourth edition pages 701 786 Schwartz, King editors 2003 BC Decker Inc Hamilton-London
【非特許文献3】Lynch DA et al. Am J Respir Crit Care Med 2005 172 488-493; Akira M, et al Idiopathic pulmonary fibrosis: progression of honeycombing at thin-section CT Radiology 1993 189: 687-691
【非特許文献4】American Thoracic Society (ATS) conference (23.05.2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的の一つは、特発性肺線維症に関連する治療のための医薬の製造のための薬剤またはその使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、早期特発性肺線維症の治療用の医薬の製造のための、エンドセリン受容体拮
抗薬、又はエンドセリン受容体拮抗薬と、ピルフェニドン及びインターフェロン-γのい
ずれか一方とを含有する医薬組成物の使用に関する。
【0027】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、エンドセリン受容体二重拮
抗薬又はエンドセリン受容体混合拮抗薬である、上述した使用に関する。
【0028】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、ETA受容体に対して選択的
に結合する選択的エンドセリン受容体拮抗薬である、上述した使用に関する。
【0029】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、ETB受容体に対して選択的
に結合する選択的エンドセリン受容体拮抗薬である、上述した使用に関する。
【0030】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が表1から選択される、上述し
た使用に関する。
【0031】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、ダルセンタン、アンブリセ
ンタン、アトラセンタン、シタクスセンタン、アボセンタン、T BC-3711、テゾセンタン、クラゾセンタン、プロピル-スルファミン酸{5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル}-アミド及びボセンタンから選択される、上述した使用に関する。
【0032】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬が、ダルセンタン、アンブリセ
ンタン、シタクスセンタン、アボセンタン、TBC-3711、プロピル-スルファミン酸{5-(4-
ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル}-アミド及びボセンタンから選択される、上述した使用に関する。
【0033】
本発明の更なる実施態様は、エンドセリン受容体拮抗薬がボセンタンである、上述した
使用に関する。
【0034】
本発明の更なる実施態様は、HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、不在及び最小のいずれかである、上述した使用に関する。
【0035】
本発明の更なる実施態様は、HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、全肺野の25%未満で存在する、上述した使用に関する。
【0036】
本発明の更なる実施態様は、HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、全肺野の10%未満で存在する、上述した使用に関する。
【0037】
本発明の更なる実施態様は、すりガラス状陰影が、肺野の0超〜80%間の任意の百分率であり得る、上述した使用に関する。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、ボセンタンが、より少量の開始用量を伴い又は伴わずに、
一日用量125mgで患者に付与される、上述した使用に関する。
【0039】
本発明の更なる実施態様は、ボセンタンが、より少量の開始用量を伴い又は伴わずに、
一日用量250mgで患者に付与される、上述した使用に関する。
【0040】
本発明は、早期IPF.の治療用の医薬の製造のための、単独での又はインターフェロン-
γ(例、インターフェロンγ-1b)若しくはピルフェニドンと組み合わせたエンドセリン受容体拮抗薬の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ET-1誘導コラーゲン新合成(3H-プロリン組み込み)における拮抗活性に関して分析した、エンドセリン受容体拮抗薬の用量応答曲線。
【図2】ET-1誘導コラーゲン新合成(3H-プロリン組み込み)における化合物の異なる組み合わせの効果。ベースライン合成を0任意単位、ET-1誘導合成を100任意単位に設定した(n=2)。
【図3】BUILD-1患者からの入手可能な143個のHRCTスキャンのX線所見の概要。
【図4】HC得点が、SLBの必要性又はBUILD1試験に参加しないこととは無関係に、治療効果と相関したことを示す(RRR)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ピルフェニドン及びインターフェロン-γ(例、インターフェロンγ-1b)は、商業的な供給業者から購入するか、又は当該技術分野の方法に従って合成し得る。
【0043】
IPFの早期は、HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、不在か又は最小である疾病段階として描写し得る。本発明の実施態様において、蜂巣状は、全肺野の10%未満で存在する。好ましい実施態様において、蜂巣状は、0〜100%尺度で示される場合、全肺野の8%未満、又は5%未満、又は3%未満、又は2%未満で存在する。最も好ましくは、蜂巣状は、全肺野の1%で存在する。更なる実施態様において、蜂巣状は、1〜5尺度で示される場合、得点3未満、好ましくは得点2未満、最も好ましくは得点1未満で存在する。
【0044】
付加的な特徴は、肺野の片方又は両方におけるすりガラス状陰影の存在であるが、これ
らの特徴に限定されない。初期IPFにおけるすりガラス状の程度は、肺野の0超〜80%、好ましくは2%超〜80%間の任意の百分率であり得る(Akira M, et al Idiopathic pulmonary fibrosis: progression of honeycombing at thin-section CT Radiology 1993 189: 687-691)。
【0045】
IPFが、尚、ATS/ERSコンセンサスガイドラインに示される臨床的/放射線学的特徴により高い確実性で診断できない場合、一般に肺生検を実施して、早期IPFを除外又は確認する(参考文献:American Thoracic Society. Idiopathic pulmonary fibrosis: diagnosis and treatment. International consensus statement. American Thoracic Society (ATS) and the European Respiratory Society (ERS). Am J Respir Crit Care Med 2000; 161:646-64)。
【0046】
エンドセリン受容体拮抗薬(ERA):
上記に定義したエンドセリン受容体拮抗薬は、幅広い構造を包含し、単独で、又は組み
合わせで本発明の方法に有用である。本発明に使用し得るエンドセリン受容体拮抗薬の非
限定的な例は、以下に開示するエンドセリン受容体拮抗薬を含む。以下に同定するエンド
セリン受容体拮抗薬の引用は、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0047】
エンドセリン-1は、肺動脈高血圧症及び肺線維症の患者の血漿及び肺組織中に過剰発現されている、強力な内因性血管収縮剤であり、平滑筋分裂促進因子である。血管経の調節において有意に異なる役割を果たす、2つのエンドセリン受容体クラス:ETA受容体及びETB受容体が存在する。慢性の病的状態において、ET-1の病理学的効果は、ETA受容体及びETB受容体の両方を介して仲介され得る。
【0048】
2種のERAが開発されている:ETA受容体及びETB受容体の両方を遮断する二重ERA、及びETA受容体のみを遮断する選択的ERA。
【0049】
エンドセリン受容体二重拮抗薬(エンドセリン受容体混合拮抗薬とも称する)は、ETA受容体及びETB受容体の両方を遮断する。ボセンタン(Tracleer(登録商標))は、最初にFDA認可されたERA(米国特許第5,292,740号又は米国特許第5,883,254号参照;その全体がその参照により本明細書に組み入れられる)である。
【0050】
選択的ERAは、ETB受容体に優先してETA受容体に結合する。現在、例えばシタクスセンタン、アトラセンタン、アボセンタン、アンブリセンタン(BSF 208075)、及びTBC3711等の、臨床試験中の選択的ERAが存在する。
【0051】
アンブリセンタンの合成は、米国特許第5,932,730号及び米国特許第5,969,134号に記載されている。
【0052】
プロピル-スルファミン酸{5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル}-アミドの合成は、WO 2002/53557に記載されている。
【0053】
表1
【表1】











【0054】
表1には、以下のERAも含まれる:
アトラセンタン、アボセンタン、テゾセンタン、クラゾセンタン及びプロピル-スルフ
ァミン酸{5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル}-アミド。
【0055】
投与するエンドセリン受容体拮抗薬の量、及び本発明の方法のための投与計画は、対象
の年齢、体重、性別及び病状、病態の重篤さ、投与経路及び頻度、並びに使用する特定の
エンドセリン受容体拮抗薬を含む、様々な因子にも依存し、それ故、非常に幅広く変動し
得る。対象に投与する一日用量は、約0.001〜100mg/kg体重、又は約0.005〜約60mg/kg体重、又は約0.01〜約50mg/kg体重、又は約0.015〜約15mg/kg体重、又は約0.05〜約30mg/kg体重、又は約0.075〜7.5mg/kg体重、又は約0.1〜20mg/kg体重、又は約0.15〜3mg/kg体重が適当であり得る。
【0056】
ヒト対象に投与するエンドセリン受容体拮抗薬の量は、一般に、約0.1〜2400mg、又は約0.5〜2000mg、又は約0.75〜1000mg、又は約1mg〜1000mg、又は約1.0〜600mg、又は約5mg〜500mg、又は約5.0〜300mg、又は約10mg〜200mg、又は約10.0〜100mgに及ぶであろう。一日用量は、一日1〜6回で投与し得る。
【0057】
好ましい実施態様において、ボセンタンは、約62.5mgの一日用量で一日2回、対象に投与され、又は成人患者に対して125mgの一日用量で一日2回投与される。
【0058】
エンドセリン受容体拮抗薬、及びそれらの薬剤的に有用な塩は、医薬として(例、医薬
製剤の形態で)使用し得る。医薬製剤は、内部的に、例えば経口的に(例、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤若しくは縣濁剤の剤形で)、吸入、鼻腔内に(例、鼻腔内スプレーの剤形で)又は直腸内に(例、坐薬の剤形で)投与し得る。しかしながら、非経口的に、例えば筋内又は静脈内に(例、注射液の剤形で)投与することもできる。
【0059】
エンドセリン受容体拮抗薬、及びそれらの薬剤的に有用な塩は、錠剤、被覆錠剤、糖衣
錠、及び硬ゼラチンカプセル剤を製造するために、薬剤的に不活性な無機又は有機補助剤
と共に加工され得る。そのような錠剤、糖衣錠、及び硬ゼラチンカプセル剤用の補助剤と
して、乳糖、トウモロコシ澱粉又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を使
用し得る。
【0060】
軟ゼラチンカプセル剤用の適切な補助剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体物質
及び液体ポリオール等である。液剤及びシロップ剤の製造のための適切な補助剤は、例え
ば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖等である。
【0061】
注射液用の適切な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植
物油である。
【0062】
坐薬用の適切な補助剤は、例えば、天然油又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポ
リオールである。
【0063】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、増粘物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、
着色剤、香味剤(flavorants)、浸透圧を変更するための塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有してもよい。医薬製剤は更に、治療的に価値のある他の物質を含有してもよい。
【0064】
実験セクション/生物学:
エンドセリン-1(ET-1)が線維症の発症に中心的な役割を果たし、それ故ET-1の作用を標的とし、阻害するのに使用される薬物は、初期線維症の治療に有効であろうことから、ボセンタンを用いた発見は、上記した他のエンドセリン受容体拮抗薬に外挿することができる。
【0065】
事実、全身レベルにおいて、ET-1を過剰発現しているトランスジェニックマウスは、線維症(肺及び腎)の表現型を発現する。この線維症は、付随する血圧上昇が存在しないため(1、2)、ET-1作用の直接的な結果である。細胞レベル、及び生化学的レベルにおいても、エンドセリンは、線維化の中心的メディエータである(3)。ET-1は、線維芽細胞の走化性及び増殖を誘導し、ラミニン、コラーゲン、及びフィブロネクチンのような様々な細胞外マトリクスタンパク質の合成及び産生を増大させる一方、コラゲナーゼ活性を阻害する。ET-1は、例えば結合組織増殖因子及びトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)等の他のプロフィブロティック(profibrotic)因子の発現も誘導する。ET-1はまた、炎症促進性エフェクター、核因子-κB(NF-κB)を増加させる。ラット肺線維症モデル(ブレオマイシン誘導による)において、コラーゲン含有量の増大に先立ってET-1レベルが上昇し、そのことはET-1の発達する線維性病変内での局在化と共に、ブレオマイシン誘導による肺線維症の病変形成の早期におけるET-1のプロフィブロティックな役割の更なる証拠を提供する(20)。
【0066】
ボセンタンは、ET-1のプロフィブロティックな性質に拮抗することによって、線維化の開始を予防する(3)。細胞培養液中のボセンタンは、コラーゲン合成を低下させ、コラゲナーゼ発現を増大させ、細胞外マトリクス堆積を阻害し(4)、またNF-κB発現を低下させる(5)。従って、ボセンタンは、様々な線維化動物モデルにおいて、インビボで強力な抗線維化剤である(6-11)。
【0067】
ET-1は線維化に中心的な役割を果たすため、ボセンタンを用いた発見は、他の全エンドセリン受容体拮抗薬に外挿し得る。例えば、細胞培養液中、ボセンタン及び他のエンドセリン受容体拮抗薬、PD 156707は、ヒト線維芽細胞内のET-1誘導による線維芽細胞増殖を減弱させ(12)、マトリクスメタロプロテアーゼ-1 (コラゲナーゼ)産生を増大させ(4)、またコラーゲンマトリクスを収縮させる能力を低下させた(13)。他のエンドセリン受容体拮抗薬、BQ-123は、ラットメサンギウム細胞内でET-1又はアンジオテンシンIIにより誘導されるフィブロネクチン合成を低下させた(14)。他の拮抗薬、PED-3512-PIは、ラット心臓線維芽細胞内のET-1及びET-3により誘導されるコラゲナーゼ活性を増大させた(15)。
【0068】
線維化のインビボモデルにおいて、エンドセリン受容体拮抗薬FR139317は、糖尿病ラット腎臓内のコラーゲン、ラミニン及びTGF-β mRNAの発現を減弱させた(16)。ダルセンタンは、ノルエピネフリン誘導による大動脈リモデリング及び線維化(17)においてコラーゲンの蓄積を低下させた(17)。他のエンドセリン受容体拮抗薬は、心不全及び高血圧症モデルにおいて心臓線維化を軽減した(18、19)。
【0069】
ボセンタン及び他のエンドセリン受容体拮抗薬の坑線維化特性の評価のための実験設定
実験は、マウス胚線維芽細胞の細胞ラインSwiss 3T3 (Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellen, DSMZ ACC 173)にて実施した。細胞を血清フリー培地又は0.5%血清を含有する培地中で24時間飢餓させた後、その最大効力の約50%又は好ましくは80%を与える濃度のエンドセリン-1と共に、ビヒクル又は増大する濃度の拮抗薬、又はピルフェニドンと組み合わせた拮抗薬のいずれかの存在下、24時間インキュベートした。
【0070】
潜在的な細胞毒性効果は、MTS試薬を用いた線維芽細胞増殖の評価により排除される(21)。3H-プロリン組み込みを測定して、線維芽細胞によるコラーゲン新合成を評価する(22)。
【0071】
上記した実験方法に従って、数種のエンドセリン受容体拮抗薬を試験した。
実験結果:
このSwiss 3T3マウス胚線維芽細胞を用いた初期線維症の細胞培養モデルにおいて、コ
ラーゲン新合成上のET-1の濃度依存性効果を測定し、0.24nMのEC50(最大効果の50%を与えるET-1の濃度)を得た。1nM(EC80)のET-1濃度を用いて、以下に言及するエンドセリン受容体拮抗薬を、ET-1誘導コラーゲン新合成上の拮抗活性に関して分析した。図1に、選択した試験化合物に関する代表的な用量応答曲線を示す。表2に、試験した7種のエンドセリン受容体拮抗薬の概要を表す。
【0072】
本発明者等は、試験した全拮抗薬が、ET-1誘導コラーゲン新合成に対してベースライン値迄、完全に拮抗することを結論付けた。IC50値は、59nM〜369nMに及ぶ。
表2
3T3線維芽細胞内におけるET-1誘導コラーゲン新合成上の異なるERAのIC50値(n>=2)
【0073】
【表2】

化合物1=プロピル-スルファミン酸{5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル}-アミド
【0074】
次に、ET-1誘導コラーゲン新合成の拮抗における、ピルフェニドン(Sigma P-2116)とボセンタンの組み合わせを試験した。これを目的として、線維芽細胞をビヒクル、ボセンタン(1μM)、ピルフェニドン(1mM)又はボセンタンとピルフェニドンの組み合わせのいずれかで24時間処理した後、コラーゲン新合成を測定した。図2に、ET-1誘導コラーゲン新合成における化合物の異なる組み合わせの効果を示す。
【0075】
この結果は、1μMボセンタンが単独でET-1誘導コラーゲン合成をベースラインに逆転す一方、ピルフェニドンは単独で、コラーゲン新合成に関して55%阻害効果を有することを示す。両化合物の組み合わせは、ベースライン合成値の33%低下を招く、コラーゲン新合成上の相加作用を有する。
【0076】
臨床的証拠
BUILD1試験は、IPF患者における多施設、無作為化、二重盲検、プラセボコントロールによる第II/III相試験であった。この試験の目的は、ボセンタンが、6分間の歩行試験(6MWT)距離により評価して、IPF患者の運動容量を改善することを証明することである。試験の第二の目的は、ボセンタンが、死又は治療の失敗に至る時間を遅延させ、肺機能試験(PFT)、呼吸困難及び生活の質を改善し、及びこの安全性の解析対象集団にて安全かつ良好な忍容性を示すことを証明することである。治療の失敗は、PFTの悪化、又はIPFの急性代償不全の発生のいずれかとして定義された。PFT悪化は、以下の3基準のうちの2つとして定義された。
*努力肺活量(FVC)における、ベースラインからの≧10%低下。
*一酸化炭素(DLCO)の拡散容量における、ベースラインからの≧15%低下。
*休息時のO2飽和(血液ガス)における、ベースラインからの≧4%低下、又は肺胞毛細血管O2勾配(A-a PO2)における、ベースラインからの≧8mmHg増加。
【0077】
主な試験対象患者基準:外科的肺生検により、又は外科的肺生検を行わない場合、ATS/
ERSコンセンサス基準(上記参照)に従って、証明されたIPF診断<3年の持続。主な試験対象患者基準は、予測値の≧50%のFVC及び予測値の≧30%のDLCOの存在であった。
【0078】
全部で158人の患者が、ボセンタン(n=74)又はプラセボ(n=84)による治療に無作為に割り当てられた。全体で、154人の無作為化患者が、試験薬物の少なくとも一用量を受容し、主要評価項目に関する少なくとも一つの有効なポストベースライン値を有した(ボセンタンに関してn=71、プラセボに関してn=83)。スクリーニング期間(≦4週間)後、適格な患者をボセンタン又はプラセボのいずれかに無作為化し(1:1)、経口ボセンタン62.5mg b.i.d.又は対応プラセボを開始し、4週目に増量して、残りの治療期間中、忍容性の理由により減量しない限り、標的用量(125mg b.i.d.又は対応プラセボ)を達成した。計画した治療期間は、1〜12か月であった。期間1の終り(12か月目)迄、及び試験の終り迄、即ち最終患者の最終訪問時迄、一定間隔で患者を評価した。各訪問時に、6MWT及び肺機能試験を評価した。
【0079】
治療患者セットの全部は、試験薬物の少なくとも一用量を受容し、主要評価項目に関す
る少なくとも一つの有効なポストベースライン値を有した154人の無作為化患者を含んで
いた(ボセンタンに関してn=71、プラセボに関してn=83)。治療群は、一般に、人口統計及びベースライン疾病特性に良好に適合した。
【0080】
ボセンタンは、期間1の終りに主要評価項目の6MWTに改善を示さなかったが、BUILD-1は、臨床的悪化の予防におけるボセンタン効力に関する正のかつ臨床的に関連する傾向を示した。最も重要な臨床的発見は、期間1の終りにおける、予め定義された副次的評価項目である死の発生又は治療の失敗(PFTの悪化又は急性呼吸不全)のいずれかとして定義されるPFT得点上の治療効果の傾向である(相対リスク比0.62、p=0.0784に対応する、プラセボ群36.1%と比較したボセンタン群22.5%)。PFT得点は、主としてFVC及びDLCOにおける変化により行った。
【0081】
事後亜集団解析を行って、PFT得点に関して最高の治療効果を示した集団を決定した。
年齢、性別、位置、ベースライン徒歩試験又は肺機能試験は、ボセンタンによる特定の治
療効果のいずれをも予期するものではなかった。驚くべき事に、表3に示すように、IPF診断の確立に外科的肺生検を有した99人の患者が、劇的な統計的に有意な治療効果を示し、相対リスク比は0.32であった(95%信頼区間(CI) 0.14〜0.74)。
表3
31MAR06にsturlorにより生成−14DEC05のデータダンプ
Ro 47-0203、プロトコール:AC-052-320
表PFTP_EOP1_BIO_T:期間1の終りにおけるPFT得点
解析セット:治療集団−外科的肺生検を実施した患者
【0082】
【表3】

対照的に、外科的肺生検(SLB)なしで診断された58人の患者が、治療効果を全く示さなかった(相対リスク比1.36、95% CI 0.70-2.65)。この観察が単に偶然の結果によるものか否かは、それら患者の2亜群のベースライン特性を比較することによってのみ決定し得た。
【0083】
表4
表4に示すように、唯一の明らかな相違は、非SLB患者が、SLB患者と比較して高齢であることであった。1つの群が、他の群と比較して進行した疾病を有することを示唆する肺機能試験のパラメータは、全く存在しなかった。
【0084】
【表4】

Yrs年、%予測値の百分率;TLC総肺活量;RV残気量;FEV1 1秒内の努力呼気肺活量
【0085】
表5
表5に示すように、唯一の明らかな相違は、非SLB患者が、SLB患者と比較して高齢であることであった。肺機能試験は、2群間で良く均衡していた。
【0086】
【表5】

*安全性の解析対象集団(safety population)。ここで一人のボセンタン患者が、ポストベースライン効果の評価を有さなかった。
Yrs年、%予測値の百分率;TLC総肺活量;RV残気量;FEV1 1秒内の努力呼気肺活量
【0087】
残りの唯一の論理的説明は、これら2群が、診察時にそれらのHRCTが異なっていたことであった。入手可能な全CTの主要な判読を行う前に、以下の仮説を構築した。
【0088】
SLBを有する患者が、SLBを有さない患者と比較して治療効果が高かった理由に関して、3つの可能な解釈を試験した:
*外科的肺生検を有する患者は、蜂巣状化を殆ど又は全く有さなかった。
【0089】
*外科的肺生検を有する患者は、線維化の範囲が比較的狭いため、確信的なCT診断を行うことがより困難であった。
【0090】
*外科的肺生検を有する患者は、他の患者と比較して実質的に高いすりガラス状異常を
有した。
【0091】
これらを考慮に入れ、本発明者等は、以下の仮説を立てた:
IPFにおける蜂巣状化の程度は、治療に対する非応答の予期物である。
すりガラス状異常の程度は、治療に対する応答の予期物である。
【0092】
解析は、群割り当てについて知らされていない一人の放射線科医により行われた。各患
者のCTの蜂巣状及びすりガラス状を、各肺の3領域、即ち上部領域、中部領域及び下部領域から得点した。HC及びすりガラス状の増分は、上位5%に丸めた。
【0093】
図3に、BUILD-1患者からの入手可能な143個のHRCTスキャンのX線所見を纏める。IPF診断確立のためのSLBの必要性とは無関係に、すりガラス状の存在又は蜂巣状の不在、及び異常の主な分布(胸膜下対びまん性、又は水平断における末梢対その他)は、ボセンタンによる治療効果の強力な予期物であるという前述の仮説を証明した。
【0094】
次に本発明者等は、蜂巣状化(HC)得点対治療効果に注目した。図4に、HC得点が、SLBの必要性又はBUILD1試験に参加しないこととは無関係に、治療効果と相関したことを示す(相対リスク)。ベースラインHRCT上のすりガラス状の量に関する同一の逆観察を行った。図は、ボセンタンの最大治療効果が、HC得点が全肺野の0〜10%である患者、及び/又は患者診察時にすりガラス状得点が存在する場合に達成されることを示唆する。図はまた、ボセンタンの最大治療効果が、HC得点が全肺野の25%迄である患者、及び/又は患者診察時にすりガラス状得点が存在する場合に達成されることも示唆する。この治療効果は、例えばインターフェロンγ 1b、ピルフェニドン、イマチニブ、例えばエタネルセプト等の腫瘍壊死因子α遮断薬、及びN-アセチルシステイン等の背景IPF療法に加えても獲得し得た。
【0095】
結論として、BUILD1データの解析により、エンドセリン受容体二重拮抗薬ボセンタンは、主にHRCT肺スキャン上に蜂巣状が少ないか又は全く存在しない初期疾病を伴うIPF患者において、臨床的悪化の予防に有効であることが示される。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、不在又は最小のいずれかである、早期特発性肺線維症の治療用の医薬の製造のためのボセンタンの使用。
【請求項2】
HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、全肺野の25%未満で存在する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
HRCT又はCTスキャン上の蜂巣状が、全肺野の10%未満で存在する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
すりガラス状陰影が、肺野の0超〜80%間の任意の百分率であり得る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
ボセンタンが、より少量の開始用量を伴い又は伴わずに、一日用量125mgで患者に付与
される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
ボセンタンが、より少量の開始用量を伴い又は伴わずに、一日用量250mgで患者に付与
される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138191(P2010−138191A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50435(P2010−50435)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願2009−504891(P2009−504891)の分割
【原出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】