説明

昆虫細胞初代培養用培地、細胞外マトリックスおよびこれらを用いた短期間での昆虫培養細胞株作出法

【課題】昆虫細胞初代培養に適した新規な細胞培養用培地、化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンおよび前記昆虫初代培養用培地および前記昆虫由来の水溶性キチンを用いる、短期間での昆虫培養細胞株の作出法の提供。
【解決手段】タンパク質抽出物としてラクトアルブミン水解物、酵母抽出物およびトリプトースリン酸ブロスを、粘性補助剤としてポリビニルピロリドンを含む昆虫細胞初代培養用培地および化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫培養細胞系の作出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昆虫も含めて、動物の培養細胞株を作出するには、2つの段階がある。最初の段階を初代培養といい、次の段階を継代培養という。培養細胞株の作出の際、作出したい昆虫から目的とする組織を無菌的に摘出し、この組織を細胞培養用培地とともに培養用フラスコにいれ、次いで組織切片からフラスコ面に出てきた細胞が分裂して十分な数に達するまで約1年間培養を続ける。この十分増えた細胞を新しいフラスコに植え換え、継代培養を行う。作出された細胞株の培養が継代培養である。
【0003】
従来より、種々の昆虫細胞用培地が入手可能であった。例えば、Grace培地、IPL-41培地、Schreider's Drosophila用培地、Sf900II、TC-100培地、Sf-9細胞用培地、Sf-21細胞用培地、Express Five培地、EX-400系培地等がある。また、三橋淳らは、昆虫の体液分析結果を参考にしてMGM-系統等の培地を作出している(MGM-443;非特許文献1参照、MGM-448;非特許文献2参照、MGM-450;非特許文献3参照、MGM-464;非特許文献4参照、MGM-443,MGM-448,MGM-450,MGM-464は培地名)。
【0004】
さらに、本発明者らは、MM-8 SF培地等を作出している(非特許文献5参照)。しかし、これらの培地は初代培養用には適さず、もっぱら作出された培養細胞株の継代、すなわち細胞株が作出されてから、その細胞の維持のために用いられている。これらの培地を用いて初代培養を行おうとした場合、細胞の増殖は良好ではなく、上述のように初代培養に約1年間もの長期間を要していた。このように、従来早期に細胞を継代培養に移すことが可能な、初代培養に適した培地は存在していなかった。また、これらの培地の多くは、昆虫の特定の種に限定して使用されていた。例えば、Schreider's Drosophila用培地は双翅目昆虫特にショウジョウバエ細胞の培養に、Sf900II、Sf-9細胞用培地およびSf-21細胞用細胞は、鱗翅目昆虫特にシャクトリムシ細胞などを対象としていた。幅広い目の昆虫の細胞の増殖に適した培地は従来存在しなかった。
【0005】
一方、一般に細胞培養に用いられるフラスコは、プラスチックを材質としており、そのプラスチック表面にコラーゲンI、II、III、IVもしくはV、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、ポリ-L-リジン、マトリゲル、EHS-ナトリックス等の細胞外マトリックスがコーティング処理されていると考えられている。これらの組成についての詳細な報告は少ないが、例えばキチン、キトサンとしては甲殻類のエビやカニから抽出した細胞外マトリックスについて報告されていた。これらのキチン、キトサンは種々の化学修飾を受けているものであった。細胞外マトリックスは組織を細胞培養用容器に付着させ、組織から遊出した細胞を容器表面に貼り付けさせ分裂・増殖させるという効果があるが、良好な細胞培養のために、より細胞付着能の高い細胞外マトリックスが望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】Mitsuhashi, J. (1980) In:Kurstak, E., Maramorosch, K. and Dubendorfer, A. (eds) Invertebrate Systems In Vitro Elsevier/North Holland Biomedical, Amsterdam, pp47-58
【非特許文献2】Mitsuhashi, J. (1984) Zool.Sci.1,415-419
【非特許文献3】Mitshuhashi, J. and Inoue, H (1988) Appl.Entomol.Zool. 23, 488-490
【非特許文献4】Mitsuhashi, J. (2001) In Vitro Cell. Dev. Biol. 37A, 330-337
【非特許文献5】今西重雄 (1994) 「昆虫機能実験系および昆虫細胞培養系の開発」研究成果295、農林水産技術会議事務局編、74-84
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、昆虫細胞初代培養に適した新規な細胞培養用培地の提供を目的とする。本発明は、また化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンの提供を目的とする。本発明は、さらに前記昆虫細胞初代培養用培地および前記昆虫由来の水溶性キチンを用いる、短期間での昆虫培養細胞株の作出法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のように、昆虫細胞の初代培養に適した培地、すなわち細胞培養を開始し、切断した組織片から培養フラスコの底面に出てきた細胞(初代細胞)に限定して細胞の分裂および増殖を促して、早期に継代培養に移すことを可能にする昆虫細胞用培地が切望されていた。
【0009】
本発明者らは、組織片から得た細胞の分裂増殖を促し早期に継代培養に移すことを可能にする初代培養に適した培地について鋭意検討を行い、ある種のタンパク質抽出物および粘性補助剤を含む新規な培地が初代培養に適していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
また、本発明者らは、新規な昆虫細胞の培養に適した培養用容器にコーティングする新規な細胞外マトリックスについて鋭意検討を行い、昆虫由来の脱アセチル化以外の化学修飾をしていない水溶性キチンを細胞外マトリックスとして用いて細胞培養用容器をコーティングして細胞培養を行うと、組織の培養用容器への付着が良好であり、さらに組織から遊出した細胞も容器表面に張り付いて分裂・増殖することを見出し本発明を完成させるに至った。さらに、本発明者らは、昆虫由来の化学修飾していない水溶性キチンを細胞外マトリックスをコーティングした細胞培養用容器と初代培養に適した培地を用いることにより、より効率的に初代培養ができることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) タンパク質抽出物としてラクトアルブミン水解物、酵母抽出物およびトリプトースリン酸ブロスを、粘性補助剤としてポリビニルピロリドンを含む昆虫細胞初代培養用培地、
(2) ラクトアルブミン水解物:1000〜3000mg/L、酵母抽出物:1000〜3000mg/L、トリプトースリン酸ブロス:1000〜3000mg/L、ポリビニルピロリドン:200〜500mg/Lを含む、(1)の昆虫細胞初代培養用培地、
(3) ポリビニルピロリドンがポリビニルピロリドンK-90である(1)または(2)の昆虫細胞初代培養用培地、
(4) 化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチン、
(5) カイコ由来である、(4)の昆虫由来の水溶性キチン、
(6) カイコ蛹殻由来である、(5)の昆虫由来の水溶性キチン、
(7) (4)〜(6)のいずれかの昆虫由来の水溶性キチンを含む細胞外マトリックス、
(8) (4)〜(6)のいずれかの昆虫由来の水溶性キチンを0.001%〜1%含む培養用容器コーティング用細胞外マトリックス溶液、
(9) (4)〜(6)のいずれかの昆虫由来の水溶性キチンをコーティングした、昆虫細胞培養用容器、
(10) カイコ蛹殻からキチンを抽出し、該キチンを脱アセチル化することを含む、(6)の昆虫由来の水溶性キチンの製造方法、
(11) (1)〜(3)のいずれかの昆虫初代培養用培地および(4)〜(6)のいずれかの昆虫由来の水溶性キチンを用いる、短期間での昆虫培養細胞株の作出法、および
(12) (4)〜(6)のいずれかの昆虫由来の水溶性キチンをコーティングした容器を用い、(1)〜(3)のいずれかの昆虫初代培養用培地中で昆虫細胞を培養する、(11)の短期間での昆虫培養細胞株の作出法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の昆虫細胞初代培養用培地は、少なくともタンパク質抽出物としてラクトアルブミン水解物、酵母抽出物およびトリプトースリン酸ブロスを、粘性補助剤としてポリビニルピロリドンを含んだ新規な昆虫細胞初代培養用培地であり、本培地を用いることにより短期間で効率的に昆虫の各組織から培養細胞株を樹立することができる。
【0013】
また、本発明の化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンは細胞培養容器のコーティングに用いることができ、該コーティングにより細胞は培養容器面に付着し、効率的に増殖・分裂し得る。さらに、本発明の昆虫細胞初代培養用培地と化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンを用いて、初代培養を行えばさらに短期間で効率的に細胞株を樹立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明の昆虫細胞初代培養用培地の組成
本発明の昆虫細胞初代培養用培地は、少なくともタンパク質抽出物および粘性補助剤を含む。本発明の初代細胞用培地は、さらに無機塩混合組成物、糖類組成、アミノ酸混合組成物、ビタミン混合組成物を含み得る。
【0015】
タンパク質抽出物としては、少なくともラクトアルブミン水解物(Lactoalbumine Hydrolysate)、酵母抽出物(Yeastlate)およびトリプトースリン酸ブロス(Tryptose Phosphate Broth)を含み、さらにフェツイン、チトクロームC、イノシン、ウシ血漿アルブミンV等を含んでいてもよい。ラクトアルブミン、酵母抽出物、およびトリプトースリン酸ブロスは、公知の手法により得ることができる。フェツインは、例えばウシ胎児血清(Fetal Calf Serum)由来のもの、チトクロームCは例えば、ウマ心臓由来のものを用いることができる。これらのタンパク質抽出物は、すべて市販のものを用いることもできる。例えば、ラクトアルブミン水解物は、DIFCO社製(No.5996)のものを、酵母抽出物は細胞培養用に調製されたものを用いることができ(TC(Tissue Culture)-酵母抽出物)、例えばDIFCO社製(No.5577)のものを、トリプトースリン酸ブロスは、DIFCO社製(No.0060)のものを用いることができる。さらに、フェツインはSigma社製(No.F2379)のものを、チトクロームCはSigma社製(No.C2506)のものを、イノシンはWako Pure Chemical Industries, Ltdのものを用いることができる。
【0016】
ラクトアルブミン水解物、酵母抽出物およびトリプトースリン酸ブロスの培地中の含有量は、それぞれ培地1L当たり500〜3,000mgが好ましく、より好ましくは1,000〜3,000mg、特に好ましくは1,000〜2,000mgである。フェツインの含有量は培地1L当たり1〜100mgが好ましく、より好ましくは1〜50mg、特に好ましくは5〜15mg、チトクロームCの含有量は培地1L当たり1〜500mgが好ましく、より好ましくは1〜100mg、特に好ましくは10〜100mgである。また、イノシンの含有量は1〜500mgが好ましく、より好ましくは1〜200mg、特に好ましくは10〜200mgであり、ウシ血漿アルブミンVの含有量は1000〜10,000mgが好ましく、より好ましくは100〜10,000mg、特に好ましくは1,000〜10,000mgである。
【0017】
本発明の初代細胞培養培地の含む粘性補助剤としては、ポリビニルピロリドンが用いられる。ポリビニルピロリドンとしては、ポリビニルピロリドンK-25、ポリビニルピロリドンK-30、ポリビニルピロリドンK-90等があり、いずれも使用可能であるが、ポリビニルピロリドンK-90が好適に用いられ、和光純薬社製(同社のカタログ番号168-03115)のものが例示できる。ポリビニルピロリドンの含有量は、培地1L当たり100〜1,000mgが好ましく、より好ましくは100〜500mg、特に好ましくは200〜500mgである。
【0018】
無機塩混合組成物、糖類組成物、アミノ酸混合組成物、ビタミン混合組成物としては、一般に動物細胞用培地に添加し得るものを添加すればよい。例えば、無機塩混合組成物としてNaH2PO4、NaHCO3、KCl、CaCl2、CuCl2、CoCl、FeSO4、MgCl2、MgSO4、MnCl2、NaCl、NaH2PO4、(NH4)6(Mo7O24・4H2O)、ZnCl2を含む組成物が挙げられる。糖類組成物としては、グルコース、フルクトース、スクロース、リンゴ酸、α-ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、マルトースを含む組成物が挙げられる。アミノ酸混合組成物としては、αアラニン、βアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、ハイドロキシプロリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンを含むアミノ酸組成物が挙げられる。ビタミン混合組成物としては、ビオチン、D-パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i-イノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンB12、パラアミノ安息香酸を含むビタミン混合組成物が挙げられる。これらの無機塩混合組成物、糖類組成物、アミノ酸混合組成物、ビタミン混合組成物は、上述の物質を総て含んでいるのが望ましいが、一部の物質を欠いていてもよいし、また他の物質が添加されていてもよい。これらは、総て市販のものを用いることができる。また、市販の培地添加用の無機塩類組成物、糖類組成物、アミノ酸組成物およびビタミン組成物を用いてもよいし、公知の無機塩類、糖類、アミノ酸、ビタミンを主成分とする培地に上記のタンパク質抽出物および粘性補助剤を添加して用いても良い。この場合公知の培地にはGrace培地、Shneider's Drosophila培地等の公知の昆虫細胞培養用培地も含まれる。さらに、培地にペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物質、グルタチオン等を添加しても良い。要は、少なくともラクトアルブミン水解物(Lactoalbumine Hydrolysate)、酵母抽出物(Yeastlate)およびトリプトースリン酸ブロス(Tryptose Phoaphate Broth)ならびにポリビニルピロリドンを含む培地である限り本発明の培地に含まれる。さらに、本発明の培地を用いて培養を行う場合には、ウシ胎児血清等の動物血清、昆虫リンパ液等を添加して用いるのが好ましい。血清、リンパ液の添加量は数%〜30%である。
【0019】
本発明の昆虫細胞初代培養用培地は、ラクトアルブミン水解物(LactoalbumineHydrolysate)、酵母抽出物(Yeastlate)およびトリプトースリン酸ブロス(Tryptose Phoaphate Broth)ならびにポリビニルピロリドンを含む培地用添加剤と、その他のタンパク質抽出物混合組成物、無機塩混合組成物、糖類組成、アミノ酸混合組成物、ビタミン混合組成物を混合することにより得ることができる。従って、少なくともラクトアルブミン水解物(Lactoalbumine Hydrolysate)、酵母抽出物(Yeastlate)およびトリプトースリン酸ブロス(Tryptose Phoaphate Broth)ならびにポリビニルピロリドンを含む培地用添加剤も本発明の範囲に含まれる。
【0020】
本発明の初代細胞培養用培地として、例えばMX培地を挙げることができる。本発明の初代細胞培養用培地は、純水に上述のタンパク質抽出物、粘性補助剤、無機塩混合組成物、糖類組成物、アミノ酸混合組成物およびビタミン混合組成物を溶解させて作製することができる。さらに、上述の動物血清または昆虫リンパ液を必要量添加する。必要に応じて、塩酸等の酸性溶液、水酸化ナトリウム等の塩基性溶液でpHを調整して用いる。pHは、好ましくは6.0〜7.0であり、特に好ましくは6.2〜6.5である。
【0021】
2.本発明の培地の初代細胞培養への使用
本発明の培地は、総ての昆虫細胞の初代培養に使用することができ、特に鱗翅目、双翅目、鞘翅目、半翅目等に属する昆虫に適している。またこれらの昆虫の総ての組織から短期間で培養細胞株を作出することができる。特に、胚子組織、脂肪体組織、精巣もしくは卵巣の生殖組織、消化器系組織、神経系組織、筋肉系組織からの培養に適している。すなわち、本発明の培地を用いれば、従来困難とされていた、精巣などの組織からも短期間で培養細胞株を作出することが可能である。
【0022】
昆虫から培養細胞株を作出しようとする組織を無菌的に摘出し、細胞培養用フラスコ等の適当な細胞培養用容器に本発明の培地とともに入れ、適宜培地を交換、補充して2〜3ヶ月培養することにより、増殖した細胞集団を従来よりも短期間で新たなフラスコへ植え換えることができる。この際、培養条件は通常の昆虫細胞の培養条件を採用すればよく、例えば、20〜28℃のインキュベータ中で培養すればよい。作出した培養細胞株は、MGM-464培地、IPL-41培地、グレース培地、EXCELL400系統培地、Sf900II培地、Schneider培地等の公知の継代培養用培地に移して培養することが可能であり、従来の培地と比較して本発明の培地を利用することにより、速やかに継代培養に移行できる。また、そのまま本発明の培地で培養をしても良いし、また本発明の培地に添加する血清の含有量の割合を減少することによっても良好に増殖・分裂し、長期間の継代培養が可能である。
【0023】
3.本発明の細胞外マトリックス
本明細書において、細胞外マトリックスとは細胞培養において細胞が付着して分裂・増殖し得るマトリックス、基質、担体をいう。好適には、該細胞外マトリックスは培養用容器の細胞培養面をコーティングするのに用いる。本発明の細胞外マトリックスは、化学修飾として脱アセチル化のみが施されている昆虫由来の水溶性キチンを主成分とする。水溶性キチンは、総ての昆虫由来のものを用いることができる。また、昆虫の蛹の脱皮殻から抽出したものが好ましく、特にカイコの蛹の脱皮殻から抽出したものが好ましい。
【0024】
本発明の水溶性キチンは、以下のようにして得ることができる。蚕蛹脱皮殻に1N塩酸溶液を加え、窒素ガスを充満した環境下で、100℃、20分間処理した後、1N水酸化ナトリウム溶液中で80℃、36時間かけてタンパク質を除き、キチンを調製する。水溶性キチンの調製は、室温で濃アルカリ水溶液にキチンを溶解し、高粘度アルカリキチン水溶液を室温で長時間放置してランダムな脱アセチル化を行うことによりできる。このとき、脱アセチル化度が45〜55%の場合に限り水溶性を示す。
【0025】
本発明の細胞外マトリックスに用いる水溶性キチンの調製には、水に対する親和性が高いキチンを選ぶことが望ましく、キチンの水に対する親和性は、Brunauerらの方法(J.Amer.Chem.Soc 62.1723-1732(1940))に従って評価することができる。すなわち、塩類飽和溶液の間接法により各相対湿度における吸湿量の測定を行い、BET理論式を適用して行うことができる。本発明の細胞外マトリックスとして適したキチンの調製では、原料となるキチンの内部表面積は180m2/g以上であることが望ましい。
【0026】
すなわち、昆虫から抽出したキチンについて水に対する親和性を評価して、水に対する親和性が高いと評価されたものを本発明の細胞外マトリックスとして用いることができる。この点で、上述の昆虫の蛹、特にカイコの蛹脱皮殻由来の水溶性キチンが優れている。カイコ蛹脱皮殻から調製したキチンの内部表面積は大きく、他のカイコ由来クチクラと比べ水分子の吸着座が多い。また、吸着熱も高く、水に対する親和性は、テンサン、サクサン、セミと比べても大きい。また、カイコ蛹脱皮殻由来のキチンはカニ、エビ由来のキチンと比べても水に対する同等の親和性を有している。カイコとしては、例えば広食性蚕品種日601号・日602号×中602号・中603号(愛称しんあさぎり)等を用いることができる。このようにして得られたキチンを以下のようにして脱アセチル化することにより本発明の昆虫由来の水溶性キチンを得ることができる。
【0027】
脱アセチル化は、キチンのアセチル基を除去することをいい、上述の抽出した水溶性キチンを、アルカリもしくは酸、好ましくは濃アリカリもしくは酸で処理することにより行うことができる。この際、加熱して行っても良い。また、クレメンゼン還元等の反応によっても行うことができる。但し、後述のようにキチンが濃アルカリに溶けることを利用して濃アルカリで処理すれば、均一系で脱アセチル化を行うことができる。
【0028】
本発明のキチンは、脱アセチル化すなわちN-アセチル基を除去して用いる。従来用いられていた甲殻類由来のキチンがアシル化、トシル化、カルボキシルメチル化等の種々の化学修飾を受けていたのに対して、本発明の水溶性キチンは脱アセチル化のみを受ければよい。脱アセチル化は、キチンが濃アルカリ溶液に溶けることを利用して均一系で行うのが望ましい。不均一系での反応では、キチン分子表面および非晶部分から優先的にN-アセチル基が除かれるため、N-アセチル基の分布に偏りが生じる。一方、均一系での脱アセチル化はランダムに進み、残存するN-アセチル基の分布は点在したように遍在する。その結果、キチン分子間の水素結合が弱くなるので、水溶性が発現する。すなわち、脱アセチル化度が40〜60%の範囲にある場合、部分脱アセチル化キチンは水に溶けることが報告されている(Kramer.K.J ら、Insect Biochem. 14(3), 293-298(1984))。
【0029】
この方法に準じて、キチンを加えた高粘度アルカリ溶液を用いて均一反応系での脱アセチル化を行い、脱アセチル化度が45〜55%になるように反応条件を設定すればよい。部分脱アセチルキチンの同定は、FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)スペクトルから調べることができる。また、脱アセチル化度の測定は、IR(赤外光)スペクトル法を用いることにより簡便に行うことができる。キチンが脱アセチル化されて部分脱アセチルキチンになると、N-アセチル基に特有なアミド基による吸収が減少するので、IRスペクトルから脱アセチル化度を推定することができる。具体的には、IRスペクトルの1560cm-1のアミドIIバンドを定量用特性バンドとし、1070 cm-1または1039cm-1のバンドを内部標準として、A1560/A1070の吸光度の比から測定することができる。あらかじめ脱アセチル化キチン標品を対照に作成した検量線を用いて脱アセチル化度を決定することができる。従って、本発明の化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンは、昆虫から抽出された水に対する親和性の高いキチンであり、脱アセチル化度が40〜60%、好ましくは45〜50%のキチンである。
【0030】
このようにして得られた、化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンは、40〜60%がキチンであり、残りの40〜60%がキトサンの構造をしている。すなわち、化学修飾として脱アセチル化のみされている昆虫由来の水溶性キチンは、昆虫から抽出された水に対する親和性の高いキチンであり、その40〜60%がキチンとして存在しており、残りの40〜60%がキトサンとして存在している物質である。細胞の膜表面はマイナス荷電に偏っているため、プラスに荷電したキトサンのアミノ基に細胞が付着して分裂・増殖し得る。この水溶性キチンを細胞外マトリックスとして用いることができる。また、この水溶性部分脱アセチルキチンの水分吸着量は、処理前の約6倍に向上しており高い吸湿性を示し、保湿剤、吸湿剤として食品、化粧品分野において利用することもできる。
【0031】
4.本発明の細胞外マトリックスの使用
本発明の水溶性キチンを水に0.001%〜1%の濃度(W/V)で溶解させ、細胞培養用容器の細胞付着面を覆うように注ぎ、これを風乾して培養容器表面に付着させることにより、細胞培養容器をコーティングすることができる。例えば、細胞培養用フラスコ面200mm2当たり0.5mLのキチン水溶液を入れこれを風乾することにより良好なコーティングを達成することができる。
【0032】
従って、本発明の細胞外マトリックスで容器内面の一部または総てがコーティングされた培養用フラスコ、シャーレ、プレート等の培養用容器も本発明の範囲に含まれる。このようにして、本発明の細胞外マトリックスをコーティングした細胞培養用容器を用いて昆虫細胞を培養すれば、細胞が培養容器に付着し良好に増殖・分裂を行う。
【0033】
5.本発明の昆虫細胞初代培養用培地および本発明の脱アセチル化されている昆虫由来のキチンを用いた昆虫培養細胞株の作出
本発明の脱アセチル化されている昆虫由来のキチンをコーティングした容器を用いて、本発明の昆虫細胞初代培養用培地で昆虫培養細胞株を効率的に作出することができる。
【0034】
昆虫から組織を無菌的に摘出し、この組織を本発明の脱アセチル化されている昆虫由来のキチンを細胞外マトリックスとしてコーティングした容器に、ウシ胎児血清を添加した本発明の昆虫細胞初代培養用培地とともにいれ培養を開始する。この際、細胞外マトリックスをコーティングした容器を一回無菌生理食塩水で洗浄しておくのが望ましい。昆虫としてはいかなる目の昆虫も用いることができるが、鱗翅目、双翅目、鞘翅目、半翅目等に属する昆虫が適している。また、いかなる組織も用いることができるが、胚子組織、脂肪体組織、精巣もしくは卵巣の生殖組織、消化器系組織、神経系組織、筋肉系組織が適している。組織切片から培養容器表面に出てきた細胞が分裂を繰り返して十分な数に達するまで、培養を続ける。培養条件は、昆虫細胞の通常の培養条件を採用すればよい。この間、適宜、例えば1〜2週間ごとに培養用容器中の培地の半分を新鮮培地と交換することにより、組織からの細胞の遊出を活発化させることができる。細胞の遊出が始まり、培養容器底面に数多くの細胞集団が形成され、その集団が大きく肥大したころに、用いるウシ胎児血清添加初代培養用培地のウシ胎児血清の含有量を徐々に低下させていく。例えば、培養開始時に30%のウシ胎児血清を添加し、細胞集団が肥大したころに20%のウシ胎児血清を添加すればよい。ついで、培地半量をMGM-464培地、IPL-41培地、グレース培地、EXCELL400系統培地、Sf900II培地、Schneider培地等の公知の継代培養用培地に交換して、継代培養を行う。適当な間隔で培地の半量ずつを交換することにより最終的に目的の継代用培地で培養することができる。
【0035】
以下に、カイコの腸組織由来細胞株の作出の工程の詳細を1例として示す。
1.無菌飼育カイコの体表を滅菌カールソン液(ペニシリン10万U単位/100mL 0.05%ゲンタマイシン、0.05%アンチホルミンを添加)で3回洗浄する。
2.最後のカールソン液内に1〜2分浸漬して、カイコの動きを止める。
3.カイコの尾部を切断する。胸部の皮膚をピンセットで剥ぐ。頭部をピンセットで掴んで、腸組織を引きずり出す。ペトリ皿のカールソン液に腸組織を浸漬する。
4.囲腔膜をピンセットでとる。
5.エッペンチューブに入れる。
6.コラゲナーゼI液をエッペンチューブに入れる(4,000U/0.5g組織重/コラゲナーゼmL)。
7.27℃、2時間放置する。
8.小型卓上遠心機(チビタン(商標)など)で10秒間、フラッシュ遠心する。
9.上清を捨て、平衡塩類液で2回洗浄する。
10.強くピペッティングする。
11.15mLのディスポーザブル遠心チューブにとり、500〜800rpmで1分間遠心する。
12.上清を捨てる。再度平衡塩類液を加えて、1,000rpm、1分間の再遠心上清を捨てる。細胞の集合体がペレットとして得られる。
13.MX30培地を入れ、24マルチウェルプレートに移して培養する。この際、あらかじめ0.01%(W/V)濃度キチンで培養面をコートしたプレートを用いる(特に、血球細胞系、卵巣、精巣および胚組織の初代培養の場合)。
14.25℃で培養する。
15.培地の半量(0.5〜0.7mL)を2週間ごとに交換する。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
【0037】
〔実施例1〕 昆虫細胞初代培養用培地の作製
純水に以下の物質を、培地1L当たりの量が以下に示す量になるように溶解させ培地を調製した。この培地をMX培地とした。
【0038】
無機塩類混合物組成
NaH2PO4・2H2O 507mg
NaHCO3 300mg
KCl 1720mg
CaCl2・2H2O 750mg
CuCl2・2H2O 0.1mg
CoCl・6H2O 0.03mg
FeSO4・7H2O 0.28mg
MgCl2・4H2O 1140mg
MgSO4・7H2O 3269mg
MnCl2・4H2O 0.01mg
NaCl 1425mg
NaH2PO4・H2O 580mg
(NH4)6(MoO24・4H2O) 0.02mg
ZnCl2 0.02mg
【0039】
糖類組成
D-グルコース 2917mg
フルクトース 20.9mg
スクロース 11865mg
リンゴ酸 306mg
α-ケトグルタル酸 169mg
コハク酸 27.4mg
フマル酸 25.2mg
マルトース 500mg
【0040】
アミノ酸混合物組成
L-αアラニン 131.5mg
βアラニン 234mg
L-アルギニン・HCl 692mg
L-アスパラギン 797mg
L-アスパラギン酸 797mg
L-シスチン 10.5mg
L-グルタミン酸 1000mg
L-グルタミン 750mg
グリシン 371mg
L-ヒスチジン 1142mg
L-イソロイシン 396mg
L-ロイシン 157mg
L-シスチン・2Na 60mg
L-ハイドロキシプロリン 400mg
L-リジン・HCl 610mg
L-メチオニン 521mg
L-フェニルアラニン 562mg
L-プロリン 396mg
DL-セリン 559mg
L-トレオニン 173mg
L-トリプトファン 91.5mg
L-チロシン 21mg
L-チロシン・2Na 180mg
L-バリン 292mg
L-ヒスチジン 1142mg
【0041】
ビタミン混合物組成
ビオチン 0.123mg
D-パントテン酸カルシウム 0.089mg
塩化コリン 10.85mg
葉酸 0.125mg
i-イノシトール 0.285mg
ニコチン酸 0.165mg
ピリドキシン・HCl 0.285mg
リボフラビン 0.125mg
チアミン・HCl 0.125mg
ビタミンB12 0.12mg
パラアミノ安息香酸 0.245mg
【0042】
タンパク質抽出物組成
ラクトアルブミン水解物 1500mg
TC-酵母抽出物 1500mg
トリプトースリン酸ブロス 1500mg
フェツイン 10mg
チトクロームC 50mg
イノシン 100mg
ウシ血漿アルブミンV 5000mg
【0043】
粘性補助剤
ポリビニルピロリドンK-90 250mg
(mg含量 対1000mL培地当たり)
【0044】
さらに、この調製培地にウシ胎児血清(FBS)20%添加したもの(MX20培地とする)と30%添加したもの(MX30培地とする)を調製した。調製した培地は、水酸化カリウムでpHを6.3に調整した。調製した培地は、ステリカップ(商標)(ミリポア社製、型番SCGV05012)ろ過滅菌容器で滅菌して保存した。
【0045】
〔実施例2〕 脱アセチル化昆虫由来水溶性キチンの調製
1.蚕脱皮殻からの水溶性キチンの調製
(1)調製法
広食性蚕品種 日601号・日602号×中602号・中603号(愛称しんあさぎり)の蛹脱皮殻5gを1N塩酸溶液300mLに入れ、窒素ガスを充満した環境下で、100℃、20分の処理を行い、温水、蒸留水により蛹脱皮殻を中性になるまで洗浄、真空乾燥した。次いで、乾燥した蛹脱皮殻を1N水酸化ナトリウム溶液300mLに浸漬し、80℃で36時間攪拌しながら蛹脱皮殻のタンパク質を除去した。この結果、0.9gのキチンが得られた。
【0046】
(2)水に対する親和性の評価
得られたキチンの吸湿性解析を、矢野、Bull、Mellon、Ashpoleらの方法に従い、塩類飽和溶液の間接法により各相対湿度における吸湿量の測定を行い、BET理論式を適用して行った。その結果、得られたキチンの内部表面積は大きく、吸着熱も高いことから、水に対する親和性は高いと評価された。
【0047】
(3)キチンの脱アセチル化
上記の蚕脱皮殻から得られたキチン3gを40%水酸化ナトリウム溶液に添加し、25℃で70時間放置することにより、均一溶液系で脱アセチル化を行った。収率74%で部分脱アセチルキチンが合成された。得られた脱アセチルキチンをIRスペクトル法により分析したところ、脱アセチル化度は45〜48%であった。この部分脱アセチルキチンは、室温で水溶性を示した。水溶性部分脱アセチルキチンの飽和水蒸気圧における水の吸着量は、処理前の6.3倍に増加しており、高い吸湿性を発現した。この脱アセチルキチンを細胞外マトリックスとして用いた。
【0048】
〔実施例3〕 細胞培養株の作出
上述の脱アセチル化された、蚕蛹脱皮殻由来の水溶性キチンの0.01〜0.1%水溶液0.5mLを培養用マルチプレート(住友ベークライト社製、型番MS-8024R)の各培養穴に注ぎ、底面全体に行き渡るようにした後、常温で風乾し、液体成分を蒸発させた。その後、無菌生理食塩水を用いて培養面を一回洗浄した。
【0049】
蚕幼虫から無菌的に脂肪体を摘出しその数十mgを、上記処理し実施例1で調製したMX30培地を1.5mL(穴の底面積200mm平方当たり、1.5mL)入れたマルチプレートの穴中に入れ培養を開始した。14日毎に培地の半量を交換した。30日後に組織からの細胞の遊出が活発になり、2〜3ヶ月後に培養面に細胞集団が数多く形成され、その集団が肥大化した。この際、顕微鏡観察により細胞がしっかりとフラスコ底面に付着しているのが観察された。そこで、培地の半分をMX20培地に交換した。さらに、14日ごとにMX20培地の半分を交換し、数回交換後、細胞が十分に増殖したことを確かめて、培養用のパスツールピペットを用いて培地を細胞集団に強く吹きかけ、細胞を培養面から浮遊させ、新しい培養用フラスコ(ファルコン社製、トラディショナルタイプ・フラスコNo.3018)に植え継いだ。さらに、培養を継続し、細胞が増えた後に再度新しいフラスコに植え換える操作を繰り返した。この期間中、培地は徐々に継代用の10%FBS添加の培地に交換し、以後樹立培養細胞株として継代を繰り返し、細胞を維持した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質抽出物としてラクトアルブミン水解物、酵母抽出物およびトリプトースリン酸ブロスを、粘性補助剤としてポリビニルピロリドンを含み、さらにシスチン・2Na、ハイドロキシプロリン、イソロイシン、セリン、チロシン・2Na、CaCl2、CuCl2、CoCl2、FeSO4、MnCl2、NaCl、NaH2PO4、(NH4)6(Mo7O24・4H2O)およびZnCl2を含む昆虫培養細胞株作出のための昆虫細胞初代培養用培地。
【請求項2】
ラクトアルブミン水解物:1000〜3000mg/L、酵母抽出物:1000〜3000mg/L、トリプトースリン酸ブロス:1000〜3000mg/L、ポリビニルピロリドン:200〜500mg/Lを含み、さらにシスチン・2Na:60mg/L、ハイドロキシプロリン:400mg/L、イソロイシン:396mg/L、セリン:559mg/L、チロシン・2Na:180mg/L、CaCl2・2H2O:750mg/L、CuCl2・2H2O:0.1mg/L、CoCl2・6H2O:0.03mg/L、FeSO4・7H2O:0.28mg/L、MnCl2・4H2O:0.01mg/L、NaCl:1425mg/L、NaH2PO4・H2O:580mg/L、(NH4)6(Mo7O24・4H2O):0.02mg/LおよびZnCl2:0.02mg/Lを含む請求項1記載の昆虫細胞初代培養用培地。
【請求項3】
ポリビニルピロリドンがポリビニルピロリドンK-90である請求項1または2記載の昆虫細胞初代培養用培地。
【請求項4】
カイコ蛹由来キチンを濃アルカリ水溶液に溶解し、高粘度アルカリキチン水溶液を室温で放置することにより脱アセチル化された、脱アセチル化度が45〜55%の水溶性キチンを含む昆虫細胞培養用細胞外マトリックス。
【請求項5】
請求項4記載のカイコ蛹由来の水溶性キチンを0.001%〜1%含む昆虫細胞培養用容器コーティング用細胞外マトリックス溶液。
【請求項6】
請求項4または5に項記載のカイコ蛹由来の水溶性キチンをコーティングした、昆虫細胞培養用容器。
【請求項7】
請求項6記載の昆虫由来の水溶性キチンをコーティングした容器を用い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の昆虫細胞初代培養用培地中で昆虫細胞を培養する、短期間での昆虫培養細胞株の作出法。

【公開番号】特開2006−136339(P2006−136339A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28862(P2006−28862)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願2002−60177(P2002−60177)の分割
【原出願日】平成14年3月6日(2002.3.6)
【出願人】(501167644)独立行政法人農業生物資源研究所 (200)
【Fターム(参考)】