説明

昇降ボード装置

【課題】昇降操作が簡単であると共に、下方位置と上方位置との途中間でボードの位置決
めを行うことを可能とする。
【解決手段】自動車のラゲージ・ルームに設けられる昇降支持フレーム3と、昇降支持フ
レーム3に昇降可能に取り付けられ昇降位置を変更調整可能な昇降ボード5と、昇降ボー
ド5側の重量に抗する荷重を発させると共に上昇移動を付勢して荷重のバランス取りを行
う荷重バランス機構7と、昇降ボード5を調整した昇降位置でロックするロック機構9と
を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のラゲージ・ルームを上下に区画する昇降ボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下方積載位置と上方積載位置とに高さ変更できるトノ・ボード(特許文献1
)、タイヤ直上レベルと床レベルとに高さ変更できる昇降ボードが知られている(特許文
献2)。
【0003】
特許文献1のトノ・ボードは、自動車のラゲージ・ルームの高さ方向中間部に、レバー
部品の一端が回転自在に支持され、このレバー部品の他端にトノ・ボードの前端が回転自
在に支持されたものである。
【0004】
このトノ・ボードの支持により、レバー部品の回転によりトノ・ボードを下方積載位置
と上方積載位置とに片手で簡単に高さ調整できるようにしている。
【0005】
しかし、かかる構造では、トノ・ボードの動作軌跡が安定せず、なお操作が煩雑である
と共に、トノ・ボード自身の重量により女性や年輩者が片手で操作することに困難を伴う
ものとなっていた。また、トノ・ボードを下方積載位置と上方積載位置との途中間で位置
決めることができなかった。
【0006】
特許文献2の昇降ボードは、自動車の床に適用され、床での高さ位置を変更できるに過
ぎなかった。
【0007】
【特許文献1】特表2005−529024号公報
【特許文献2】特開2002−370677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、昇降操作が煩雑であると共に、下方位置と上方位置との途
中間でボードを位置決めることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、昇降操作が簡単であると共に、下方位置と上方位置との途中間で昇降ボード
位置決めることを可能とするため、自動車のラゲージ・ルームに設けられる昇降支持フレ
ームと、前記昇降支持フレームに昇降可能に取り付けられ昇降位置を変更調整可能な昇降
ボードと、
前記昇降ボード側の重量に抗する荷重を発させると共に上昇移動を付勢して荷重のバラン
ス取りを行う荷重バランス機構と、前記昇降ボードを調整した昇降位置でロックするロッ
ク機構とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の昇降ボード装置は、自動車のラゲージ・ルームに設けられる昇降支持フレーム
と、前記昇降支持フレームに昇降可能に取り付けられ昇降位置を変更調整可能な昇降ボー
ドと、
前記昇降ボード側の重量に抗する荷重を発させると共に上昇移動を付勢して荷重のバラン
ス取りを行う荷重バランス機構と、前記昇降ボードを調整した昇降位置でロックするロッ
ク機構とを備えたため、昇降ボードを昇降支持フレームに沿って昇降させることができ、
且つこの昇降操作時の荷重のバランス取りにより昇降操作を容易に行わせることができる
。従って、昇降ボードの昇降操作が簡単であると共に、ロック機構により下方位置と上方
位置との途中間で昇降ボードを位置決めることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
昇降操作が簡単であると共に、下方位置と上方位置との途中間で昇降ボードを位置決め
ることを可能とするという目的を、昇降支持フレームに昇降可能に取り付けられた昇降ボ
ードと荷重バランス機構及びロック機構とにより実現した。
【実施例1】
【0012】
[昇降ボード装置]
図1は、本発明実施例1の昇降ボード装置を上方側から見た斜視図、図2は、昇降ボー
ドを下方側から見た斜視図である。
図1,図2のように、昇降ボード装置1は、昇降支持フレーム3と、昇降ボード5と、
荷重バランス機構7と、ロック機構9とを備えている。
【0013】
[昇降支持フレーム]
昇降支持フレーム3は、アルミニューム等の軽金属で形成され、ベース・フレーム11
及びサイド・フレーム13,15とからなっている。昇降支持フレーム3は、ブラケット
などにより自動車ラゲージ・ルームの車体側インナー・パネルに固定させる。但し、昇降
支持フレーム3を、ラゲージ・ルームに固定せずに載置させることも可能である。この場
合でも昇降支持フレーム3は、後席シートやラゲージ・ルーム周壁に規制され、移動させ
ないようにすることができる。
【0014】
ベース・フレーム11は、自動車のラゲージ・ルームに合わせて車幅方向に長い矩形枠
状に形成されている。サイド・フレーム13,15は、ベース・フレーム11の車幅方向
両側に起立形成され、車両前後のスライド・コラム17,19及びスライド・コラム21
,23と各スライド・コラム17,19,21,23上端のアッパー・ビーム25,27
とを備えている。
【0015】
スライド・コラム17,19及びスライド・コラム21,23は、コラム29,31及
びコラム33,35と昇降レール37,39及び昇降レール41,43とからなっている
。コラム29,31及びコラム33,35には、それぞれロック穴45が、上下に複数所
定間隔で設けられている。ロック穴45は、ロック機構9の一部を構成する。
【0016】
図3は、昇降レール及びスライダを示し、一部を省略した正面図である。図1〜図3の
ように、昇降レール37,39及び昇降レール41,43は、コラム29,31及びコラ
ム33,35にそれぞれ沿って配置されている。昇降レール37,39,41,43には
、スライダ47,49,51,53が設けられている。スライダ47,49,51,53
は、
昇降レール37,39,41,43の内壁両側に当接する複数の輪体55を備え、輪体5
5の転動により昇降レール37,39,41,43に沿って昇降移動可能となっている。
【0017】
スライダ47,49及びスライダ51,53には、断面コ形のボード・レール57,5
9がそれぞれ取り付けられている。ボード・レール57,59は、車両前後方向に沿って
架設された構成となっている。ボード・レール57,59には、昇降ボード5の車幅方向
各縁部が車両前後方向から差し込まれ、スライダ47,49及びスライダ51,53に対
する昇降ボード5の支持が行われている。この昇降ボード5の支持により、昇降ボード5
は、スライダ47,49及びスライダ51,53と共に昇降レール37,39及び昇降レ
ール41,43に沿って昇降可能となっている。昇降ボード5のこの昇降により、昇降ボ
ード5の昇降高さを変更調整可能となっている。
【0018】
[昇降ボード及びロック機構]
図4,図5は、昇降ボードの斜視図、図6は、ロック機構の主要部を示す斜視図である

【0019】
図4〜図6のように、昇降ボード5は、アルミ製のロワ・ボード61上に同アッパー・
ボード63を重ねて結合したものである。ロワ・ボード61及びアッパー・ボード63の
結合固定は、ピン65により行われている。ピン65は、ロワ・ボード61及びアッパー
・ボード63を貫通し、ピン65の各端部がロワ・ボード61及びアッパー・ボード63
の上下外面でスポット溶接されたものである。ロワ・ボード61の縁部67,69が、前
記ボード・レール57,59に差し込み支持されている。
【0020】
ロック機構9は、昇降ボード5を調整した昇降位置でロックするものであり、図6で示
す主要部71は、昇降ボード5のフレームを兼ねており、ロック可動部73とロックばね
77,79と解除ハンドル81とを備えている。ロック機構9のこの主要部71は、ロワ
・ボード61側に主要部71の形状に対応して形成された溝83内に収容され、アッパー
・ボード63により覆われている。
【0021】
ロック可動部73,75は、車幅方向左右一対の組み合わせであり、車幅方向に可動構
成され、前記昇降支持フレーム3に対して進退移動可能となっている。ロック可動部73
,75には、両者に渡る横フレーム85,87が設けられている。横フレーム85,87
は、それぞれアウター・スライド・フレーム89及びインナー・スライド・フレーム91
からなり、アウター・スライド・フレーム89の端部内にインナー・スライド・フレーム
91の端部が差し込まれ、双方が車幅方向へスライド可能となっている。アウター・スラ
イド・フレーム89及びインナー・スライド・フレーム91は、可動部支持フレーム93
,95を貫通し、スライド可能となっている。可動部支持フレーム93,95は、昇降ボ
ード5側に固定されている。
【0022】
アウター・スライド・フレーム89及びインナー・スライド・フレーム91の各端部に
は、ロック嵌入部97が設けられている。ロック嵌入部97は、例えば樹脂で形成されて
いる。
アウター・スライド・フレーム89及びインナー・スライド・フレーム91には、それ
ぞれ縦フレーム99,101、103,105が結合されている。ロック可動部73,7
5の縦フレーム101,105と昇降ボード5のロワ・ボード61との間に、ロックばね
77,79が介設され、ロック可動部73,75を昇降支持フレーム3側であるコラム2
9,31,33,35へ進出付勢する。
【0023】
解除ハンドル81は、ハンドル・ベース107を備え、図4の倒伏した非使用状態と図
6の起立した使用状態とに回動可能となっている。ハンドル・ベース107は、固定ベー
ス109及び回転ベース111からなり、固定ベース109がアッパー・ボード63に固
定され、回転ベース111が面方向に回転可能となっている。解除ハンドル81は、回転
ベース111に起伏回転可能に取り付けられ、昇降ボード5の上面側に備えられている。
ハンドル・ベース107の回転ベース111には、一対のロック解除ワイヤ115,11
7の一端が結合されている。ロック解除ワイヤ115の他端は、縦フレーム101に結合
され、ロック解除ワイヤ117の他端は、縦フレーム105に結合されている。すなわち
、解除ハンドル81は、前記ロック可動部73,75に連動連結されている。
【0024】
ロック機構9の主要部71は、昇降支持フレーム3におけるコラム29,31及びコラ
ム33,35のロック穴45と共にロック機構9を構成し、図4のようにロック嵌入部9
7が突出すると、ロック嵌入部97は、ボード・レール57,59及びスライダ47,4
9,51,53の穴部(図示せず)を貫通し、各ロック穴45にそれぞれ嵌入ロックする

【0025】
解除ハンドル81の回転操作では、回転ベース111が回転し、ロック解除ワイヤ11
5,117が引かれる。このロック解除ワイヤ115,117の引きにより、図5のよう
に前記ロック可動部73,75の各アウター・スライド・フレーム89及びインナー・ス
ライド・フレーム91が前記ロックばね77,79の付勢力に抗し相互に嵌入するように
車幅方向内側へスライド移動する。このスライド移動によりロック可動部73,75のロ
ック嵌入部97が前記昇降支持フレーム3に対しロワ・ボード61の端縁部内へ退避移動
する。
【0026】
[荷重バランス機構]
図7は、荷重バランス機構の概念図、図8は、荷重バランス機構の要部断面図、図9は
、ワイヤの引き回しを示す要部斜視図である。
【0027】
図1,図2,図7,図8,図9のように、荷重バランス機構7は、荷重バランサ119
と連結線材であるバランス・ワイヤ121,123とを備えている。
【0028】
荷重バランサ119は、昇降ボード5下面側に取り付けられ、筒状のケース127内端
部に、回転ガイド129を有している。回転ガイド129は、ケー127に対して回転可
能である。回転ガイド129の一端には、螺旋状のスリット131が設けられ、スパイラ
ル・ロッド133が螺合している。回転ガイド129の他端には、トーション・スプリン
グ135の一端が結合されている。トーション・スプリング135の他端は、ケース12
7側に結合されている。
【0029】
スパイラル・ロッド133の端部134は、可動部であるバランス・スライダ137に
結合され、且つ前記一対のバランス・ワイヤ121,123の一端が支持されている。バ
ランス・スライダ137は、摩擦抵抗の少ない樹脂などにより断面矩形状に形成され、ス
ライダ・ガイド139内に可動支持されている。
【0030】
スライダ・ガイド139は、荷重バランサ119と共に昇降ボード5下面側に取り付け
られている。スライダ・ガイド139は、アルミニュームなどの軽金属で角パイプ状に形
成され、バランス・スライダ137に対応した断面形状に形成されている。スライダ・ガ
イド139によるバランス・スライダ137の可動支持により、バランス・スライダ13
7は、スライダ・ガイド139に沿って回転せずに直線移動することができる。
【0031】
バランス・スライダ137は、昇降ボード5が昇降支持フレーム3の上方位置にあると
き、図8のように荷重バランサ119側に位置し、同下方位置にあるとき、サイド・フレ
ーム15側に位置している。
【0032】
バランス・ワイヤ121,123は、昇降ボード5下面側に取り付けられた分岐プーリ
141に巻き回しガイドされ、車幅方向左右に分岐されて配索されている。このバランス
・ワイヤ121,123は、ボード・レール57,59に取り付けられたサイド・プーリ
143,145にそれぞれ巻き回しガイドされ、端部147,149がアッパー・ビーム
25,27にそれぞれ結合されている。
【0033】
従って、昇降ボード5が上方位置から下方位置へ押し下げられるときは、バランス・ス
ライダ137が図8の位置からスライダ・ガイド139に沿って移動し、スパイラル・ロ
ッド133は、回転せずにケース127から引き出される。この引き出しにより、回転ガ
イド129が回転してトーション・スプリング135が巻き込まれ、昇降ボード5側の重
量に抗する荷重を発させ、引き戻しにより昇降ボード5の上昇移動を付勢して荷重のバラ
ンス取りが行われる。本実施例では、昇降ボード5の重量をキャンセルする構成となって
いる。
【0034】
昇降ボード5が下方位置から上方位置へ押し上げられるときは、バランス・スライダ1
37がスライダ・ガイド139に沿って図8の位置へ戻るように移動し、スパイラル・ロ
ッド133が回転せずにケース127内に戻る。この戻りにより、回転ガイド129が回
転を戻してトーション・スプリング135が巻き戻され、昇降ボード5の上昇を付勢し、
荷重のバランス取りが行われる。
【0035】
[昇降ボード装置の取り付け]
昇降ボード装置1は、図1,図2のように組み上げてから自動車のラゲージ・ルーム内
に据え付けることもでき、また昇降支持フレーム3をラゲージ・ルーム内で組み上げてか
ら昇降ボード5等を取り付けることもできる。ラゲージ・ルームに対する昇降ボード装置
1の固定は、ベース・フレーム11に取り付けられたブラケット(図示せず)をラゲージ
・ルームのフロア・パネルに締結固定し、コラム29,31,33,35に取り付けられ
たブラケット(図示せず)をホイール・ハウス・インナ等の車体インナー・パネルに締結
固定する。
【0036】
ラゲージ・ルーム内の昇降支持フレーム3に対する昇降ボード5の取付は、ボード・レ
ール57,59への差し込みにより行われる。すなわち、ラゲージ・ルーム内に取り付け
られている昇降支持フレーム3のボード・レール57,59に対して車両後部開口から昇
降ボード5の水平移動により昇降ボード5の車幅方向両縁部をボード・レール57,59
に差し込む。
【0037】
荷重バランサ119のケース127端部は、昇降ボード5の取付後にボード・レール5
7に固定させる。次いで、バランス・ワイヤ121,123を、サイド・プーリ143,
145に掛け回し、端部をアッパー・ビーム25,27にそれぞれ結合する。
【0038】
なお、荷重バランサ119のケース127端部及びサイド・プーリ143,145は、
昇降ボード5側に取り付けておくこともできる。
【0039】
[昇降ボードの操作]
昇降ボード5は、ロックばね77,79の付勢によりロック可動部73,75が昇降支
持フレーム3側であるコラム29,31,33,35へ進出付勢され、昇降位置に対応し
て、ロック嵌入部97が、コラム29,31及びコラム33,35の何れかのロック穴4
5に嵌入ロックされている。
【0040】
従って、昇降ボード5によりラゲージ・ルームの上下空間が区画調整され、昇降ボード
5の上下いずれにも荷物を載置収容することができる。昇降ボード5の下側に荷物を収容
したときは、昇降ボード5を荷物の上部に近接させ或いは接触させることで荷物の動きを
規制し、荷物搬送時の損傷を抑制することができる。しかも、荷物の上部を昇降ボード5
で覆うことができ、見栄えの向上を図ることができる。
【0041】
昇降ボード5のロック解除は、解除ハンドル81の操作により行う。解解除ハンドル8
1を片手で握って起立させ、この解除ハンドル81を回転させると前記のようにロック嵌
入部97が、ロワ・ボード61の端縁部内へ退避移動する。
【0042】
ロック嵌入部97によるロックが解除されるので昇降ボード5を押し下げると昇降ボー
ド5を任意の下降位置まで移動させることができる。昇降ボード5に荷物が乗っていなけ
れば、昇降ボード5から手を離すと荷重バランサ119による荷重のバランス取りにより
昇降ボード5はその位置に停止する。
【0043】
昇降ボード5に荷物が乗っているときでも、荷重バランサ119による荷重のバランス
取りにより昇降ボード5が急激に下降することはなく、適度な下降速度で下降する。従っ
て、昇降ボード5上にある程度荷物が載っていても、解除ハンドル81を握ったまま軽い
力で昇降ボード5を支え、無理なく下降させることができる。
【0044】
昇降ボード5の下降位置で、解除ハンドル81から手を離すと、ロック嵌入部97がロ
ック穴45に対向していれば、ロックばね77,79の付勢によりロック嵌入部97がロ
ック穴45に自動的に嵌入ロックし、昇降ボード5の位置決めが行われる。ロック嵌入部
97が、ロック穴45に対向していなくても、昇降ボード5を少し押し下げ或いは引き上
げると、ロック嵌入部97がロック穴45の何れかにに対向し、同様に自動的に嵌入ロッ
クさせることができる。
【0045】
昇降ボード5の引き上げ時も、解除ハンドル81の操作でロックを解除し、そのまま任
意の上昇位置まで引き上げ、同様にロックさせることができる。
【0046】
なお、荷重バランサ119のトーション・スプリング135の荷重設定により、昇降ボ
ード5の引き上げ時に付勢力を若干強めに働かせることもできる。
【0047】
[実施例の効果]
本発明実施例1の昇降ボード装置1は、自動車のラゲージ・ルームに設けられる昇降支
持フレーム3と、前記昇降支持フレーム3に昇降可能に取り付けられ昇降位置を変更調整
可能な昇降ボード5と、前記昇降ボード5側の荷重に抗する荷重を発させると共に上昇移
動を付勢して荷重のバランス取りを行う荷重バランス機構7と、前記昇降ボード5を調整
した昇降位置でロックするロック機構9とを備えたため、昇降ボード5を昇降支持フレー
ム3に沿って昇降させることができ、且つこの昇降操作時の荷重のバランス取りにより昇
降操作を容易に行わせることができる。従って、昇降ボード5の昇降操作が簡単であると
共に、昇降ボード5に荷物がある程度載っていても昇降操作を可能とし、且つロック機構
9により下方位置と上方位置との途中間で昇降ボード5を位置決めることもできる。
【0048】
昇降ボード5の下側に荷物を収容したときは、上記のように荷物搬送時の損傷を抑制す
ることができ、且つ見栄えの向上を図ることができる。
【0049】
昇降ボード5を下方位置と上方位置との途中間で位置決めることができるため、昇降ボ
ード5の上下の空間を荷物に合わせて調整することができ、収納効率を高めることができ
る。
昇降支持フレーム3に、昇降レール37,39,41,43を設け、前記昇降レール3
7,39,41,43に沿って昇降可能なスライダ47,49,51,53を設け、前記
昇降ボード5を、前記スライダ47,49,51,53に取り付けたため、昇降ボード5
の昇降操作が安定し、容易な昇降操作を確実に行わせることができる。
【0050】
スライダ47,49,51,53に、断面コ形のボード・レール57,59を設け、前
記昇降ボード5の縁部を、前記ボード・レール57,59に差し込んで支持させたため、
昇降ボード5をラゲージ・ルーム内の昇降支持フレーム3に対して後組み付けすることが
できる。
【0051】
荷重バランス機構7は、前記昇降ボード5側に取り付けられバランス・スライダ137
の移動に応じてトーション・スプリング135が荷重を発生する荷重バランサ119と、
前記バランス・スライダ137に一端が結合され他端が前記昇降支持フレーム3のアッパ
ー・ビーム25,27に結合されたバランス・ワイヤ121,123とを備えたため、簡
単な構造で昇降ボード5の荷重バランス取りを行わせることができる。
【0052】
ロック機構9は、前記昇降ボード5に支持され前記昇降支持フレーム3に対して進退移
動可能なロック可動部73,75と、前記昇降ボード5及びロック可動部73,75間に
設けられロック可動部73,75を昇降支持フレーム3側へ進出付勢するロックばね77
,79と、前記昇降ボード5の上面に設けられ前記ロック可動部73,75に連動連結さ
れ回転操作で前記ロックばね77,79の付勢力に抗して前記ロック可動部73,75の
前記昇降支持フレーム3に対する退避移動を行わせる解除ハンドル81と、前記昇降支持
フレーム3に設けられ前記進出付勢されたロック可動部73,75を嵌入させるロック穴
45とを備えたため、昇降ボード5の昇降位置を容易にロックすることができ、昇降ボー
ド5を下方位置と上方位置との途中間で位置決めることが容易となる。
【実施例2】
【0053】
図10,図11は、実施例2に係り、図10は、荷重バランス機構の概念図、図11は
、荷重バランサの斜視図である。なお、実施例1と同一又は対応する構成部分には、同符
号又は同符号にAを付して説明する。
【0054】
本実施例の昇降ボード装置1Aでは、荷重バランス機構7Aの荷重バランサ119Aを
、回転部の回転に応じ定荷重巻きばねが荷重を発生する構造のものとした。なお、昇降支
持フレーム3、昇降ボード5、ロック機構9等の構成は、実施例1と同様である。
【0055】
図10のように、荷重バランサ119Aは、ラゲージ・ルームの車体インナー・パネル
151に取り付けられている。バランス・ワイヤ121A,123Aは、一端が荷重バラ
ンサ119A側に結合され、中間部がサイド・プーリ143A,145Aに巻き回しガイ
ドされ、端部147A,149Aが昇降ボード5に結合されている。サイド・プーリ14
3A,145Aは、ボード・レール57,59ではなく、昇降支持フレーム3のアッパー
・ビーム25,27にそれぞれ取り付けられている。
【0056】
図11のように、荷重バランサ119Aは、バランサ・ベース153に一対のバランサ
・ドラム155,157が回動自在に取付けられている。このバランサ・ドラム155周
面に定荷重巻きばね159が巻き付けられ、バランサ・ドラム155から引き出された定
荷重巻きばね159が他方のバランサ・ドラム157の周面に逆方向に巻き付けられてい
る。
【0057】
バランス・ワイヤ121A,123Aは、回転部であるバランサ・ドラム157に巻き
付けられている。
【0058】
そして、昇降ボード5を上方位置から押し下げるとバランス・ワイヤ121A,123
Aが引き出す方向に力をうけ、バランサ・ドラム157が回動する。この回動により定荷
重巻きばね159がバランサ・ドラム155から引き出されてバランサ・ドラム157に
反転して巻き取られ、定荷重巻きばね159は、バランサ・ドラム155側に巻き戻ろう
とする復元力が生ずる。このため、バランサ・ドラム157に、バランス・ワイヤ121
A,123Aを引き戻す方向の力が働く。この力により、荷重バランス機構7Aは、昇降
ボード5側の重量に抗する荷重を発させると共に上昇移動を付勢して荷重のバランス取り
を行う。
【0059】
こうして、本実施例においても、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。又
本実施例では、荷重バランス機構7Aをよりコンパクトに形成することができる。
[その他]
昇降ボード装置1の各金属部は、硬質樹脂などにより形成することも可能である。
【0060】
ロック機構9は、噛み込み式に代えて、ブレーキ式にすることもできる。
【0061】
昇降ボード5は、複数段に形成することもできる。昇降ボード5を車体前後方向車幅方
向に複数に分割形成することもできる。この場合、昇降支持フレーム3もこれに応じて形
成され、荷重バランス機構7,7A、ロック機構9もそれぞれに設けることができる。
【0062】
荷重バランス機構7は、昇降ボード5の板厚内に収納する構造にすることもできる。
【0063】
荷重バランス機構としてリターン・スプリング及び粘性流体を用いたロータリー・ダン
パの組み合わせを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】昇降ボード装置を上方側から見た斜視図である(実施例1)。
【図2】区画ボードを下方側から見た斜視図である(実施例1)。
【図3】昇降レール及びスライダを示し、一部を省略した正面図である(実施例1)。
【図4】昇降ボードの斜視図である。(実施例1)。
【図5】昇降ボードの斜視図である(実施例1)。
【図6】ロック機構の主要部を示す斜視図である(実施例1)。
【図7】荷重バランス機構の概念図である。(実施例1)。
【図8】荷重バランス機構の要部断面図である(実施例1)。
【図9】ワイヤの引き回しを示す要部斜視図である(実施例1)。
【図10】荷重バランス機構の概念図である(実施例2)。
【図11】荷重バランサの斜視図である(実施例2)。
【符号の説明】
【0065】
1,1A 昇降ボード装置
3 昇降支持フレーム
5 昇降ボード
7,7A 荷重バランス機構
9 ロック機構
37,39,41,43 昇降レール
47,49,51,53 スライダ
57,59 ボード・レール
119,119A 荷重バランサ
121,123,121A,123A バランス・ワイヤ(連結線材)
135 トーション・スプリング
137 バランス・スライダ(可動部)
157 バランサ・ドラム(回転部)
159 定荷重巻きばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のラゲージ・ルームに設けられる昇降支持フレームと、
前記昇降支持フレームに昇降可能に取り付けられ昇降位置を変更調整可能な昇降ボード
と、
前記昇降ボード側の重量に抗する荷重を発させると共に上昇移動を付勢して荷重のバラ
ンス取りを行う荷重バランス機構と、
前記昇降ボードを調整した昇降位置でロックするロック機構と、
を備えたことを特徴とする昇降ボード装置。
【請求項2】
請求項1記載の昇降ボード装置であって、
前記昇降支持フレームに、昇降レールを設け、
前記昇降レールに沿って昇降可能なスライダを設け、
前記昇降ボードを、前記スライダに取り付けた、
ことを特徴とする昇降ボード装置。
【請求項3】
請求項2記載の昇降ボード装置であって、
前記スライダに、断面コ形のボード・レールを設け、
前記昇降ボードの縁部を、前記ボード・レールに差し込んで支持させた、
ことを特徴とする昇降ボード装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の昇降ボード装置であって、
前記荷重バランス機構は、前記昇降ボード側に取り付けられ可動部の移動に応じてトー
ション・スプリングが荷重を発生する荷重バランサと、前記可動部に一端が結合され他端
が前記昇降支持フレームに結合された連結線材と、
を備えたことを特徴とする昇降ボード装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の昇降ボード装置であって、
前記荷重バランス機構は、車体側に取り付けられ回転部の回転に応じて定荷重巻きばね
が荷重を発生する荷重バランサと、前記回転部に一端が結合され他端が前記昇降ボードに
結合された連結線材と、
を備えたことを特徴とする昇降ボード装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の昇降ボード装置であって、
前記ロック機構は、前記昇降ボードに支持され前記昇降支持フレームに対して進退移動
可能なロック可動部と、前記昇降ボード及びロック可動部間に設けられロック可動部を昇
降支持フレーム側へ進出付勢するロックばねと、前記昇降ボードの上面に設けられ前記ロ
ック可動部に連動連結され回転操作で前記ロックばねの付勢力に抗して前記ロック可動部
の前記昇降支持フレームに対する退避移動を行わせる解除ハンドルと、前記昇降支持フレ
ームに設けられ前記進出付勢されたロック可動部を嵌入させるロック穴と、
を備えたことを特徴とする昇降ボード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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