説明

昇降圧型コンバータ

【課題】効率の高い昇降圧型コンバータを提供する。
【解決手段】トランスTには1次巻線Nおよび2次巻線Nが巻回されている。1次巻線Nと2次巻線Nの巻き始め端とが接続されている。1次巻線Nの巻き終わり端にトランジスタTR1が接続されている。2次巻線Nの巻き終わり端には、トランジスタTR2が接続されている。トランジスタTR2と2次巻線Nの他端との間にコンデンサCが接続されている。トランジスタTR1の他方の端子と1次巻線Nの巻き始め端との間に直流電源Eが接続されている。トランジスタTR1の他方の端子とトランジスタTR2の他方の端子との間に負荷Lが接続されている。出力電圧・回生動作制御部30は、トランジスタTR1とトランジスタTR2を制御して昇降圧をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧を昇降圧する昇降圧型コンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,直流電圧を昇圧する昇圧型コンバータが広く知られている(例えば、特許文献1の図1を参照)。図10は、従来の昇圧型コンバータを示す図である。図10を参照して従来の昇圧型コンバータについて説明をする。1次側の直流電源からの直流電圧Eは、トランスTの1次巻線Nとスイッチ素子Sとの直列回路に印加され、1次巻線Nに1次側電力が供給される。トランスTのコアCに巻回される1次巻線Nと2次巻線Nの巻数の比を変えることによって、1次側の直流電圧Eよりも高い2次側の直流電圧Eを得ることができる。直流電圧Eは2次側の負荷Lに印加され、負荷Lに電力が供給される。ここで、スイッチ素子Sはオン(導通)とオフ(切断)とが交互に周期的に繰り返される電子的スイッチであり、ダイオードDは整流素子、コンデンサCは平滑コンデンサである。トランスTの1次巻線Nと2次巻線Nとに付された黒丸は各々の巻線の巻き始め端を示すものである。直流電圧Eと直流電圧Eについて数式1が成立する。Nは1次巻線Nの巻数、Nは1次巻線Nの巻数、TONはスイッチ素子がオンである時間、TOFFはスイッチ素子がオフである時間である。なお、数式1は、効率η=1の理想状態の昇圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。
【0003】
(数式1)

=(N/N)・(TON/TOFF)・E

【0004】
図10に示す昇圧型コンバータの効率η(2次側電力P/1次側電力P)は、数式2で表わされる。
【0005】
(数式2)

η=P/P=(E・I)/(E・I

【0006】
このような昇圧型コンバータが用いられる技術分野としては、例えば、電気自動車が挙げられる。電気自動車においては、直流電源としてはバッテリが用いられ、負荷Lとしてはモータが用いられる。
【0007】
従来から,直流電圧を降圧する降圧型コンバータ(例えば、特許文献2の図1を参照)が広く知られている。図11は、従来の降圧型コンバータを示す図である。図11を参照して降圧型コンバータについて説明をする。直流電源からの直流電圧E11は、インダクタLとスイッチ素子Sと負荷LD1との直列回路に印加される。スイッチ素子Sはオン(導通)とオフ(切断)とが交互に周期的に繰り返される電子的スイッチである。ダイオードDは転流素子、コンデンサCは平滑コンデンサである。このようにして、直流電圧E11よりも低い直流電圧EO1を負荷LD1の両端に得ることができる。直流電圧EO1と直流電圧E11について数式3が成立する。Tは1周期の時間である。なお、数式3は、効率η=1の理想状態の降圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。
【0008】
(数式3)

O1={TON/(TON+TOFF)}・E11
={TON/T}・E11

【0009】
また、従来から知られている別の昇圧型コンバータの例としては、1次側電源の電圧と2次側巻線の電圧を加算または減算する昇降圧型コンバータが知られている(特許文献3、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−338807号公報
【特許文献2】特開2010−273501号公報
【特許文献3】特開昭54−104527号公報
【特許文献4】特開平3−30781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年は、昇降圧型コンバータの効率の向上を望む要望が、ますます強くなっており、効率の向上は絶え間ない課題としてなお存在している。また、負荷から電力を回生する回生コンバータを備えて回生電力を回収することが要望されている。そして、このように昇圧型コンバータと回生コンバータとの両方が要求される場合には、昇圧型コンバータと回生コンバータとを独立して両方設けることとなり、装置の規模は大きくなり、装置のコストは高いものとなった。
【0012】
発明が解決しようとする課題は、効率が高い昇降圧型コンバータの機能を備えるとともに、回生電力を直流電源に戻すための回生コンバータとしての機能も同時に備える昇降圧型コンバータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1側面の昇降圧型コンバータは、コアに巻回された第1の巻線と第2の巻線とを有し、前記第1の巻線の巻き始め端と前記第2の巻線の巻き始め端とが接続されて形成されるトランスと、前記第1の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第1のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子に並列に接続される第1のダイオードと、前記第2の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第2のスイッチ素子と、前記第2のスイッチ素子に並列に接続される第2のダイオードと、前記第2のスイッチ素子の他方の端子と前記第2の巻線の巻き始め端との間に接続されるコンデンサと、前記第1のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第1の制御信号および前記第2のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第2の制御信号を発生させる出力電圧・回生動作制御部と、を備え、前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第2のスイッチ素子の他方の端子との間に負荷を接続し、前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第1の巻線の巻き始め端との間に直流電源を接続し、前記出力電圧・回生動作制御部は、前記負荷に対して前記直流電源からの電力を給電するに際しては、前記第2のスイッチ素子をオフとし、前記第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて、前記負荷に給電する直流電圧を制御し、前記負荷からの電力を前記直流電源に対して回生するに際しては、前記第1のスイッチ素子をオフとし、前記第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて、回生電力量を制御する。
【0014】
第2側面の昇降圧型コンバータは、コアに巻回された第1の巻線と第2の巻線とを有し、前記第1の巻線の巻き始め端と前記第2の巻線の巻き始め端とが接続されて形成されるトランスと、前記第1の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第1のスイッチ素子と、前記第1のスイッチ素子に並列に接続される第1のダイオードと、前記第2の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第2のスイッチ素子と、前記第2のスイッチ素子に並列に接続される第2のダイオードと、前記第2のスイッチ素子の他方の端子と前記第2の巻線の巻き始め端との間に接続されるコンデンサと、前記第1のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第1の制御信号および前記第2のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第2の制御信号を発生させる出力電圧・回生動作制御部と、を備え、前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第2のスイッチ素子の他方の端子との間に直流電源を接続し、前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第1の巻線の巻き始め端との間に負荷を接続し、前記出力電圧・回生動作制御部は、前記負荷に対して前記直流電源からの電力を給電するに際しては、前記第1のスイッチ素子をオフとし、前記第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて、前記負荷に給電する直流電圧を制御し、前記負荷からの電力を前記直流電源に対して回生するに際しては、前記第2のスイッチ素子をオフとし、前記第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて、回生電力量を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の昇降圧型コンバータによれば、直流電源から負荷に直接に供給される電力、または、負荷から直流電源に直接に供給される回生電力については電力損失がないので効率が良好なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態の昇降圧型コンバータにおける昇圧型コンバータの部分の原理を示す図である。
【図2】第1の実施形態の昇降圧型コンバータにおける降圧型コンバータの部分の原理を示す図である。
【図3】図2を書き換えた降圧型コンバータを示す図である。
【図4】第1の実施形態の昇降圧型コンバータを示す図である。
【図5】第1の実施形態の昇降圧型コンバータが昇圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。
【図6】第1の実施形態の昇降圧型コンバータが降圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。
【図7】第2の実施形態の昇降圧型コンバータを示す図である。
【図8】第2の実施形態の昇降圧型コンバータが降圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。
【図9】第2の実施形態の昇降圧型コンバータが昇圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。
【図10】従来の昇圧型コンバータを示す図である。
【図11】従来の降圧型コンバータを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明を実施するための実施形態の昇降圧型コンバータは、コアに巻回された第1の巻線と第2の巻線とを有し、第1の巻線の巻き始め端と第2の巻線の巻き始め端とが接続されて形成されるトランスを備える。また、第1の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子に並列に接続される第1のダイオードとを備える。また、第2の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第2のスイッチ素子と、第2のスイッチ素子に並列に接続される第2のダイオードとを備える。また、第2のスイッチ素子の他方の端子と第2の巻線の巻き始め端との間に接続されるコンデンサを備える。また、第1のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第1の制御信号および第2のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第2の制御信号を発生させる出力電圧・回生動作制御部を備える。
【0018】
そして、第1の実施形態では、第1のスイッチ素子の他方の端子と第2のスイッチ素子の他方の端子との間に負荷を接続し、第1のスイッチ素子の他方の端子と第1の巻線の巻き始め端との間に直流電源を接続する。出力電圧・回生動作制御部は、負荷に対して直流電源からの電力を給電するに際しては、第2のスイッチ素子をオフとし、第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて負荷に給電する直流電圧を制御し、負荷からの電力を直流電源に対して回生するに際しては、第1のスイッチ素子をオフとし、第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて回生電力量を制御する。
【0019】
また、第2の実施形態では、第1のスイッチ素子の他方の端子と第2のスイッチ素子の他方の端子との間に直流電源を接続し、第1のスイッチ素子の他方の端子と第1の巻線の巻き始め端との間に負荷を接続する。出力電圧・回生動作制御部は、負荷に対して直流電源からの電力を給電するに際しては、第1のスイッチ素子をオフとし、第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて負荷に給電する直流電圧を制御し、負荷からの電力を直流電源に対して回生するに際しては、第2のスイッチ素子をオフとし、第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて回生電力量を制御する。
【0020】
[第1の実施形態]
実施形態の技術について、図面を参照して以下に説明をする。
【0021】
図1は、実施形態の昇降圧型コンバータにおける昇圧型コンバータの部分の原理を示す図である。
【0022】
図1に示す昇圧型コンバータ1は、トランスTを備えている。トランスTのコアCには、巻数Nの1次巻線Nおよび巻数Nの2次巻線Nが巻回されている。1次巻線Nの巻き始め端と2次巻線Nの巻き始め端とが接続されている。1次巻線Nの巻き終わり端にスイッチ素子Sの一方の端子が接続されている。2次巻線Nの巻き終わり端には、ダイオードDの一端が接続されている。ダイオードDの他端と2次巻線Nの巻き始め端との間にコンデンサCが接続されている。スイッチ素子Sの他端と1次巻線Nの巻き始め端との間に直流電源Eが接続されている。このようにして、コンデンサCと直流電源Eとが直列に接続されている。直流電源EとコンデンサCとの直列回路の両端、すなわち、スイッチ素子Sの他方の端子とスイッチ素子Sの他方の端子との間には負荷Lが接続されている。
【0023】
直流電圧Eは、トランスTの1次巻線Nとスイッチ素子Sとの直列回路に印加される。トランスTの1次巻線Nに1次側電力が供給される。トランスTの1次巻線Nと2次巻線Nとの巻数の比を変えることによって、任意の2次側の直流電圧Eを得ることができる。また、後述するようにスイッチ素子Sの制御によっても任意の2次側の直流電圧Eを得ることができる。直流電圧Eと直流電圧Eとを加算した直流電圧Eは負荷Lに印加され、負荷Lに電力が供給される。ここで、スイッチ素子Sはオン(導通)とオフ(切断)とが交互に繰り返される電子的スイッチであり、ダイオードDは整流素子、コンデンサCは平滑コンデンサである。トランスTの1次巻線Nと2次巻線Nの巻線の端に付された黒丸は、各々の「巻線の巻き始め端」を示すものである。ここで、「巻線の巻き始め端」の意味するところは、同一のコアに対して巻回される1次巻線Nと2次巻線Nと2つの巻線の各々の黒丸を付した巻線端から電流を流しこんだ場合にはトランスTにおける磁束が加算されるということである。1次巻線Nと2次巻線Nの黒丸が付されていない巻線の端は、「巻線の巻き終わり端」と称される。1次巻線Nと2次巻線Nとの各々の「巻線の巻き終わり端」から電流を流しこんだ場合においてもトランスTにおける磁束が加算される。いずれの端を「巻線の巻き始め端」または「巻線の巻き終わり端」と定義するかについては、任意に定め得るものである。
【0024】
図1に示す昇圧型コンバータ1では、スイッチ素子Sがオンのときには2次巻線Nの側には電力が供給されず、スイッチ素子Sがオフのときに2次巻線Nの側に電力が供給される。
【0025】
昇圧型コンバータ1に接続される負荷Lに対して、上述したように、直流電圧Eと直流電圧Eとが加算された直流電圧Eが供給される。数式4、数式5に示すようにして直流電圧Eと直流電圧Eの関係式が求められる。TON1はスイッチ素子Sがオンの時間、TOFF1はスイッチ素子Sがオフの時間である。なお、数式4、数式5は、効率η=1の理想状態の昇圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。昇圧型コンバータ1においては、効率ηの値に応じて数式4、数式5におけるTON1/TOFF1の値は、効率η=1の理想状態におけるTON1/TOFF1の値とは異なるものとなる。
【0026】
(数式4)

=(TON1/TOFF1)・(N/N)・E

(数式5)

=E+E
=E+(TON1/TOFF1)・(N/N)・E
=E・{1+(TON1/TOFF1)・(N/N)}

【0027】
直流電源Eの直流電圧EとコンデンサCの両端の直流電圧Eとの極性は同じであるので、直流電圧E>直流電圧Eの関係が成立する。
【0028】
図1に示す昇圧型コンバータ1の効率η(2次側電力P/1次側電力P)は、数式6で表わされる。ここで、1次側電力Pは、直流電源Eから供給される総電力であり、1次巻線Nに供給される1次側電力P11と直接に負荷Lに供給される電力P12とからなっている。2次側電力Pは、2次巻線Nを介して負荷Lに供給される電力である。1次巻線Nと2次巻線Nとを有する昇圧型コンバータ自体の効率ηは、背景技術として図10に示す昇圧型コンバータと等しいものである。
【0029】
(数式6)

η=P/P=P/(P11+P12
=(E・I+E・I)/{(E・I)/η+E・I
=E/(E/η+E
=η/{(E−E)/E+η・E/E
=η/{1−(1−η)・E/E

【0030】
数式6において(1−η)とE/Eとは、共に1以下の正値であるので、昇圧型コンバータ1の効率ηは、図10に背景技術として示す昇圧コンバータの効率ηよりも大きなものとなる。例えば、効率η=0.96(96%)、E/E=0.5の場合には、数式6によって、効率ηは、約0.98(98%)となり、背景技術に示すものから2%改善される。
【0031】
数式6に示すように、E/Eの値が1に近づく程、昇圧型コンバータ1の効率ηは大きくなる。E/E=1においては、負荷Lに供給される電力は、すべて直接に直流電源Eから供給されることとなるので、この場合には効率η=1(100%)となる。一方、数式6に示すように、E/Eの値が0に近づく程、昇圧型コンバータ1の効率ηは小さくなる。E/E=0に限りなく近ずく場合においては、負荷Lに供給される電力は、ほとんどすべて、昇圧型コンバータ1の2次側から供給されることとなるので、この場合には効率η=効率ηとなる。
【0032】
図2は、実施形態の昇降圧型コンバータにおける降圧型コンバータの部分の原理を示す図である。
【0033】
図2に示す降圧型コンバータ2は、トランスTを備えている。トランスTのコアCには、巻数Nの1次巻線Nおよび巻数Nの2次巻線Nが巻回されている。1次巻線Nの巻き始め端と2次巻線Nの巻き始め端とが接続されている。1次巻線Nの巻き終わり端にダイオードDの一方の端子が接続されている。2次巻線Nの巻き終わり端には、スイッチ素子Sの一端が接続されている。スイッチ素子Sの他端と2次巻線Nの巻き始め端との間にコンデンサCが接続されている。ダイオードDの他方の端子と1次巻線Nの巻き始め端との間に直流電源Eが接続されている。このようにして、コンデンサCと直流電源Eとが直列に接続されている。直流電源EとコンデンサCとの直列回路の両端、すなわち、スイッチ素子Sの他方の端子とスイッチ素子Sの他方の端子との間、には負荷Lが接続されている。図2に示す降圧型コンバータ2は、図1に示す昇圧型コンバータ1におけるスイッチ素子SをダイオードDに置換え、スイッチ素子SをダイオードDに置換えたものである。その他の部分は図1に示すと同様の構成を有している。
【0034】
図3は、図2を書き換えた降圧型コンバータ2を示す図である。このような書き換えによって、図3に示す回路と図11に示す回路との対比を容易にした。
【0035】
図3と図11とを対比すると、コンデンサCについては以下のように接続が異なっている。図11においては、コンデンサCの一端はインダクタLと直流電源の給電側とに接続され、コンデンサCの他端は直流電源のグランド側に接続されている。一方、図3においては、コンデンサCは、直流電源Eと負荷Lとの間に配置されている。コンデンサCを設けた目的は、スイッチ素子Sのオン、オフを交互に繰り返す周期であるスイッチング周期毎に発生するリップルを平滑することにある。ここで、負荷Lに発生する直流電圧Eの変化はスイッチング周期に比べると遅く、スイッチング周期における直流電圧Eの電圧変化はほとんど無いものとみなせる。よって、コンデンサCの一端を負荷Lに接続する場合、コンデンサCの一端を直流電源のグランド側に接続する場合のいずれの場合においても、コンデンサCは平滑コンデンサとして作用し、同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、図3におけるダイオードDと図11におけるダイオードDとを対比すると以下のように接続が異なっている。図11においては、スイッチ素子SとインダクタLとの接続点にダイオードDの一端が接続され、グランド側にダイオードDの他端が接続されている。一方、図3においては、ダイオードDは1次巻線Nとグランド側との間に配置されている。ここで、1次巻線Nおよび2次巻線Nの巻き始め端を示す黒丸に注目すると、スイッチ素子SがオンとなるときにはダイオードDはオンとなることはない。そして、スイッチ素子Sがオフとなるときには、インダクタとして機能するトランスTに蓄えられた磁気エネルギーの放出に際してダイオードDがオンとなることが見てとれる。すなわち、1次巻線Nと2次巻線Nとが両方でインダクタL(図11を参照)と同様に作用する。よって、図3におけるダイオードDと、図11におけるダイオードDとは、両方とも転流ダイオードとして作用し、同様の効果を得ることができる。
【0037】
すなわち、図2に示す降圧型コンバータ2では、スイッチ素子Sがオンのときに負荷Lに発生した回生電力がインダクタを構成する2次巻線Nを介して蓄積され、スイッチ素子Sがオフのときには、蓄積され回生電力がインダクタを構成する1次巻線Nを介して直流電源Eに対して供給される。
【0038】
直流電源Eが接続されていないとした場合において、負荷Lに発生する直流電圧Eと直流電圧Eとの関係が数式7によって求められる。TON2はスイッチ素子Sがオンの時間、TOFF2はスイッチ素子Sがオフの時間である。Tは1周期の時間である。なお、数式7は、効率η=1の理想状態の降圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。降圧型コンバータ2においては、効率ηの値に応じて数式7におけるTON2/Tの値は、効率η=1の理想状態におけるTON2/Tの値とは異なるものとなる。
【0039】
(数式7)

=TON2/(TON2+TOFF2)・E
=TON2/T・E

【0040】
実際には、直流電源Eが接続されているので電流Iが直流電源Eに対して流れる場合には、数式7の直流電圧Eの値は、直流電源Eの内部インピーダンスに応じて若干高くなる程度である。ここで、直流電源Eがバッテリ、電気2重層コンデンサの場合には電流Iは充電電流である。また、直流電源Eが電力母線の場合には、電流Iは電力母線に流れる回生電流である。このようにして、負荷Lに発生する回生電力は直流電源Eに対して回生される。
【0041】
図4は、実施形態の昇降圧型コンバータを示す図である。図4に示す昇降圧型コンバータ3は、トランスT、トランジスタTR1、トランジスタTR2、コンデンサC、出力電圧・回生動作制御部30を有している。昇降圧型コンバータ3では、スイッチ素子SおよびダイオードDは金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transisitor:MOSFET)として1個のトランジスタTR1によって構成されている。スイッチ素子SおよびダイオードDは金属酸化物半導体電界効果トランジスタとして1個のトランジスタTR2によって構成されている。ダイオードD、ダイオードDは金属酸化物半導体電界効果トランジスタのボディダイオードである。
【0042】
図4に示す実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランスTのコアCには、巻数Nの1次巻線Nおよび巻数Nの2次巻線Nが巻回されている。1次巻線Nの巻き始め端と2次巻線Nの巻き始め端とが接続されている。1次巻線Nの巻き終わり端にスイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の一方の端子が接続されている。2次巻線Nの巻き終わり端には、スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の一端が接続されている。スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の他端と2次巻線Nの巻き始め端との間にコンデンサCが接続されている。スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の他方の端子と1次巻線Nの巻き始め端との間に直流電源Eが接続されている。このようにして、コンデンサCと直流電源Eとが直列に接続されている。直流電源EとコンデンサCとの直列回路の両端、すなわち、スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の他方の端子とスイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の他方の端子との間には、負荷Lが接続されている。また、スイッチ素子Sのオンとオフとスイッチ素子Sのオンとオフとを制御する出力電圧・回生動作制御部30を備えている。
【0043】
図4と図1とを対比すると、図4では、図1のスイッチ素子Sに対応するのが、トランジスタTR1である。また、図4と図2とを対比すると、図4では、図2のスイッチ素子Sに対応するのが、トランジスタTR2である。トランジスタTR1のスイッチ素子S、トランジスタTR2のスイッチ素子Sは、いずれも、ゲート端子を制御することによって、オン、オフの制御ができる。一方、トランジスタTR1のダイオードD、トランジスタTR2のダイオードDは、いずれも、常時、回路に接続された状態である。図4に示すスイッチ素子Sが金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、スイッチ素子にダイオードが並列に接続される点において、図1に示す回路との相違がある。また、図4に示すスイッチ素子Sが金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、スイッチ素子にダイオードが並列に接続される点において、図2、図3に示す回路との相違があるので、この点について説明をする。
【0044】
図4に示す昇降圧型コンバータ3が、図1に示す昇圧型コンバータ1として機能する場合について説明をする。トランジスタTR2のスイッチ素子Sはオフとされ、トランジスタTR2のダイオードDのみが図1に示すように接続される。トランジスタTR1のスイッチ素子Sはオンまたはオフとされ、図1には記載がないトランジスタTR1のダイオードDが接続される。このダイオードDは、スイッチ素子Sがオフとなる場合において1次巻線Nの両端の電圧を直流電圧Eにクランプする作用があり、昇圧型コンバータとしての作用に害をなすものではなく、トランジスタTR1をサージ電圧から保護するという利点を有する。
【0045】
図4に示す昇降圧型コンバータ3が、図2、図3に示す降圧型コンバータ2として機能する場合について説明をする。トランジスタTR1のスイッチ素子Sはオフとされ、トランジスタTR1のダイオードDのみが図2、図3に示すように接続される。トランジスタTR2のスイッチ素子Sはオンまたはオフとされ、図2、図3には記載がないトランジスタTR2のダイオードDが接続される。このダイオードDは、スイッチ素子Sがオフとなる場合において2次巻線Nの両端の電圧を直流電圧Eにクランプする作用があり、降圧型コンバータとしての作用に害をなすものではなく、トランジスタTR2をサージ電圧から保護するという利点を有する。
【0046】
出力電圧・回生動作制御部30は、トランジスタTR1、トランジスタTR2を制御する。出力電圧・回生動作制御部30は昇降圧型コンバータ3の外部に設けられたシステム制御部40と接続されて、システム制御部40からの指令に応じて昇降圧型コンバータ3が所期の動作をする。
【0047】
出力電圧・回生動作制御部30は、いずれも図示しない、中央演算装置(CPU)とラム(RAM)とロム(ROM)と周辺機器であるアナログデジタル変換器(A/D Converter)とを有して構成されている。アナログデジタル変換器には、アナログ信号である電流I、直流電圧E、直流電圧Eが入力され、デジタル信号に変換されて中央演算装置に入力される。また、中央演算装置からは、トランジスタTR1のオン/オフを制御する制御信号CS1とトランジスタTR2のオン/オフを制御する制御信号CS2とが出力され、トランジスタTR1とトランジスタTR2とに供給される。
【0048】
図5、図6は、実施形態の昇降圧型コンバータ3の動作を示すタイムチャートである。
【0049】
図5は、実施形態の昇降圧型コンバータ3が昇圧型コンバータとして機能する場合(図1を参照)の動作を示すタイムチャートである。図6は、実施形態の昇降圧型コンバータ3が降圧型コンバータとして機能する場合(図2を参照)の動作を示すタイムチャートである。
【0050】
出力電圧・回生動作制御部30は、実施形態の昇降圧型コンバータ3を昇圧型コンバータとして機能させるか、降圧型コンバータとして機能させるかを制御する。出力電圧・回生動作制御部30は、直流電圧E、直流電圧E、電流Iを検出した中央演算装置が自ら昇圧型コンバータとして機能させるか、降圧型コンバータとして機能させるかを決めることができるようになされている。また、システム制御部40からの指令によって、出力電圧・回生動作制御部30は、昇圧型コンバータとしての制御をおこなうか、または、降圧型コンバータとしての制御をおこなうようにしても良い。
【0051】
図5(A)は、直流電圧Eを示す。図5(B)は、制御信号CS1の状態とトランジスタTR1のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。制御信号CS1の状態がオンであれば、トランジスタTR1のスイッチ素子Sをオンとし、制御信号CS1の状態がオフであれば、トランジスタTR1のスイッチ素子Sをオフとする。オンの時間はTON1、オフの時間はTOFF1である。また、T=TON1+TOFF1は1周期である。図5(C)は、制御信号CS2の状態とトランジスタTR2のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。スイッチ素子Sはオフ状態である。図5(D)は直流電圧Eを示す。図5(A)〜図5(D)において横軸は時間tである。
【0052】
図5(A)〜図5(D)を参照して、昇降圧型コンバータ3の動作を説明する。出力電圧・回生動作制御部30は、直流電圧Eに応じて(図5(A)を参照)、(TON1/TOFF1)を変化させて(図5(B)を参照)直流電圧E(図5(D)を参照)が所定の値E(図示せず)となるように制御をする。ここで、所定の値Eは出力電圧・回生動作制御部30の内部で発生される。出力電圧・回生動作制御部30は、所定の値Eと直流電圧Eとの誤差を検出して、この誤差が0となるような(TON1/TOFF1)をフィードバック制御によって発生させて直流電圧Eを所定の値Eと一致させる。具体的には、直流電圧Eが値Eよりも小さいときには(TON1/TOFF1)をより大きくし、直流電圧Eが値Eよりも大きいときには(TON1/TOFF1)をより小さくする(数式5を参照)。
【0053】
負荷Lが電気自動車のモータである場合には、所定の値Eは、例えば、システム制御部40に設けられたアクセルペダル(図示せず)によって変化させられ、アクセルペダルの踏み込み量に応じて、直流電圧Eを変化させモータの回転駆動力を制御する。
【0054】
図6(A)は、電流Iを示す。図6(B)は、制御信号CS2の状態とトランジスタTR2のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。制御信号CS2の状態がオンであれば、トランジスタTR2のスイッチ素子Sをオンとし、制御信号CS2の状態がオフであれば、トランジスタTR2のスイッチ素子Sをオフとする。オンの時間はTON2、オフの時間はTOFF2である。また、T=TON2+TOFF2は1周期である。図6(C)は、制御信号CS1の状態とトランジスタTR1のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。スイッチ素子Sはオフ状態である。図6(D)は直流電圧Eを示す。図6(A)〜図6(D)において横軸は時間tである。
【0055】
図6(A)〜図6(D)を参照して、昇降圧型コンバータ3の動作を説明する。出力電圧・回生動作制御部30は、電流Iを検出して(図5(A)を参照)、(TON2/T)を変化させて(図6(B)を参照)電流Iが所定の値I(図示せず)となるように制御する。ここで、所定の値Iは出力電圧・回生動作制御部30の内部で発生される。出力電圧・回生動作制御部30は、所定の値Iと電流Iとの誤差を検出して、この誤差が0となるような(TON2/T)をフィードバック制御により発生させて電流Iを所定の値Iと一致させる。具体的には、電流Iが値Iよりも小さいときには(TON2/T)をより大きくし、直流電圧Eが値Eよりも大きいときには(TON2/T)をより小さくする(数式7を参照)。
【0056】
負荷Lが電気自動車のモータである場合には、負荷Lであるモータの両端に発生する直流電圧Eはモータの回転数に応じて変化する。従って電流Iの大きさを制御しない場合には、過大な電流Iがバッテリに流されることとなる。しかしながら、このようにして、電流Iの大きさを制御する場合においては、直流電圧Eの大小にかかわらず電流Iを一定の値とできるのでバッテリの破壊を引き起こすような過大な電流がバッテリに流されることはない。
【0057】
実施形態の昇降圧型コンバータ3の利点を以下にまとめる。
【0058】
実施形態の昇降圧型コンバータ3と背景技術である図10に示す昇圧型コンバータとを比較する。実施形態の昇降圧型コンバータ3は、以下の、第1の利点から第3の利点までを有する。
【0059】
第1の利点は、上述したように、昇降圧型コンバータ3の効率は、図10に示す昇圧型コンバータの効率よりも高い。昇降圧型コンバータ3においては直接に直流電源Eから負荷Lに供給される電力についての効率は1であるのに対して、図10に示す昇圧型コンバータではすべての電力が昇圧コンバータを経由して負荷に供給されるからである。
【0060】
第2の利点は、上述したように、実施形態の昇降圧型コンバータ3のトランジスタTR2の耐圧は、直流電圧Eで足りるのに対して、図11に示す降圧型コンバータを用いる場合にはスイッチ素子Sの耐圧は直流電圧Eが必要とされる。実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランジスタTR2の低耐圧化が可能となることから、トランジスタTR2の小型化、低価格化、発熱の減少、装置の小型化を図ることができる。
【0061】
第3の利点は、上述したように、実施形態の昇降圧型コンバータ3のトランスTが伝送する電力は負荷Lに伝送される電力の一部であるのに対して、図10に示す昇圧型コンバータのトランスTが伝送する電力はより大きく、負荷Lに伝送される電力のすべてである。よって、実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランスTの小型化が可能となるのみならず、トランスの低価格化、トランスにおける発熱の減少、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
実施形態の昇降圧型コンバータ3と、これと同じ機能を有するものの例として背景技術である図10に示す昇圧型コンバータと背景技術である図11に示す降圧型コンバータとを組み合わせた昇降圧型コンバータについて比較をする。第4の利点は、構造が簡単であることである。上述したように、図10に示す昇圧型コンバータと図11に示す降圧型コンバータとの組み合わせた場合には、トランスTとインダクタLとを用いなければならない。一方、実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランスTのみを用いて同じ作用効果を得ながら、装置の低価格化、装置の小型化を図ることができる。また、同一装置においては、同時に昇圧と降圧とをおこなう必要がない用途が多い。よって、昇圧型コンバータと降圧型コンバータとを両方同時に動作させる目的で2つの独立コンバータを備えなくとも装置としての汎用性は高い。
【0063】
[第1の実施形態の変形]
実施形態の変形の技術について以下に説明をする。これらの変形例においても、上述した、種々の利点が損なわれることはない。
【0064】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランジスタTR1、トランジスタTR2として金属酸化物半導体電界効果トランジスタを用いたが、金属酸化物半導体電界効果トランジスタに替えて、その一方のトランジスタ、または、その両方のトランジスタを接合型トランジスタ(Bipolar Transistor:バイポーラトランジス)とダイオードの並列接続回路とすることができる。また、金属酸化物半導体電界効果トランジスタに替えて、その一方のトランジスタ、または、その両方のトランジスタを絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)とダイオードの並列接続回路とすることもできる。
【0065】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、昇圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30はフィードバック制御によって直流電圧Eを一定に保つような制御をおこなったが、フィードバック制御を採用せず、(TON1/TOFF1)を直接に変化させて、所望の直流電圧Eを得るようにしても良い。
【0066】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、電力を直流電源に回生するための降圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30は、フィードバック制御によって電流I1を一定に保つような制御をおこなった。これは、回生電力量を制御する方法の一つである。回生電力量を制御する他の方法としては、直流電圧Eを一定に保つような制御、または、直流電圧Eを一定に保つような制御、または、電流Iを一定に保つような制御、または、電流Iを一定に保つような制御、さらには、電流Iと直流電圧Eの積、電流Iと直流電圧Eの積を出力電圧・回生動作制御部30で演算してこれらの積を一定に保つような制御をおこなうようにしても良い。
【0067】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、降圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30はフィードバック制御によって電流Iを一定に保つような制御をおこなったが、フィードバック制御を採用せず、(TON2/T)を直接に変化させて、所望の電流I、または、所望の電流I、または、所望の直流電圧E、または、所望の直流電圧E、さらには、電流Iと直流電圧Eの積、または、電流Iと直流電圧Eの積を出力電圧・回生動作制御部30で演算して、所望の電力を得るようにしても良い。
【0068】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、直流電源Eを昇降圧型コンバータ3の外部に配置したが、直流電源Eを昇降圧型コンバータの内部に含むようにしても良い。この場合に、直流電源Eは、バッテリ、電気2重層コンデンサ、直流系統電源のいずれであっても良い。
【0069】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、トランジスタTR2と、1次巻線Nと2次巻線Nと、の間に接続されるコンデンサCを含むものとしたが、コンデンサCを昇降圧型コンバータの内部に含むことなく、昇降圧型コンバータの外部に設けるようにしても良い。さらには、負荷Lが容量性負荷である場合には、この容量性負荷をコンデンサCに替えて用いることができる。
【0070】
実施形態の昇降圧型コンバータ3では、コンデンサCは、トランジスタTR2の2次巻線Nに接続されない端子(トランジスタTR2の他の端子)と、1次巻線Nと2次巻線Nの接続点と、の間に接続されるものとした。しかしながら、コンデンサCは、トランジスタTR2の他の端子と、トランジスタTR1の1次巻線Nに接続されない端子(トランジスタTR1の他の端子)と、の間に接続されるものとしても良い。
【0071】
実施形態の昇降圧型コンバータ3における、直流電源Eの極性の正負を入れ替え、ダイオードの極性も含んだトランジスタTR1、トランジスタTR2の極性を入れ替えて、負荷Lに印加され、負荷Lから出力される直流電圧Eの極性の正負を入れ替えることもできる。
【0072】
[第2の実施形態]
図7は、別の実施形態の昇降圧型コンバータを示す図である。図7に示す昇降圧型コンバータ4は、昇降圧型コンバータ4に接続される直流電源Eと負荷Lとの配置については、第1の実施形態とは異なり両者が入れ替わっている。それに伴い、電流I、直流電圧E、直流電圧Eの検出位置が異なっている。また、出力電圧・回生動作制御部30から発生する制御信号CS1、制御信号CS2の内容も異なるものとなっている。昇降圧型コンバータ4において、昇降圧型コンバータ3と同一構成部については同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図7に示す実施形態の昇降圧型コンバータ4は、トランスTのコアCには、巻数Nの1次巻線Nおよび巻数Nの2次巻線Nが巻回されている。1次巻線Nの巻き始め端と2次巻線Nの巻き始め端とが接続されている。1次巻線Nの巻き終わり端にスイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の一方の端子が接続されている。2次巻線Nの巻き終わり端には、スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の一端が接続されている。スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の他端と2次巻線Nの巻き始め端との間にコンデンサCが接続されている。スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の他方の端子と1次巻線Nの巻き始め端との間に負荷Lが接続されている。このようにして、コンデンサCと直流電源Eとが直列に接続されている。直流電源EとコンデンサCとの直列回路の両端、すなわち、スイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR1)の他方の端子とスイッチ素子SとダイオードDの並列接続回路(トランジスタTR2)の他方の端子との間には、直流電源Eが接続されている。また、スイッチ素子Sのオンとオフとスイッチ素子Sのオンとオフとを制御する出力電圧・回生動作制御部30を備えている。
【0074】
実施形態の昇降圧型コンバータ4では、直流電源Eから負荷Lに対して電力を供給するときには降圧型コンバータとして機能し、負荷Lからの電力を直流電源Eに回生するときには昇圧型コンバータとして機能する。
【0075】
出力電圧・回生動作制御部30は、実施形態の昇降圧型コンバータ4を降圧型コンバータとして機能させるか、昇圧型コンバータとして機能させるかを制御する。出力電圧・回生動作制御部30は、直流電圧E、直流電圧E、電流Iを検出した中央演算装置が自ら降圧型コンバータとして機能させるか、昇圧型コンバータとして機能させるかを決めることができるようになされている。また、システム制御部40からの指令によって、出力電圧・回生動作制御部30は、昇圧型コンバータとしての制御をおこなうか、または、降圧型コンバータとしての制御をおこなうようにしても良い。
【0076】
実施形態の昇降圧型コンバータ4が降圧型コンバータとして機能する場合には、直流電源Eからの直流電圧Eと負荷Lに印加される直流電圧Eとの関係は、数式8で表わされる。TON2はトランジスタTR2のスイッチ素子Sがオンとなる時間である。なお、数式8は、効率η=1の理想状態の昇降圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。実施形態の昇降圧型コンバータ4においては、効率ηの値に応じて数式8におけるTON2/Tの値は、効率η=1の理想状態におけるTON2/Tの値とは異なるものとなる。
【0077】
(数式8)

=(TON2/T)・E

【0078】
図8は、第2の実施形態の昇降圧型コンバータ4が降圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。図8(A)は、直流電圧Eを示す。図8(B)は、制御信号CS2の状態とトランジスタTR2のスイッチ素子Sのオンの状態を示す。制御信号CS2の状態がオンであれば、トランジスタTR2のスイッチ素子Sをオンとし、制御信号CS2の状態がオフであれば、トランジスタTR2のスイッチ素子Sをオフとする。オンの時間はTON2、Tは1周期の時間である。図8(C)は、制御信号CS1の状態とトランジスタTR1のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。スイッチ素子Sはオフ状態である。図8(D)は負荷Lに印加される直流電圧Eを示す。図8(A)〜図8(D)において横軸は時間tである。
【0079】
図8(A)〜図8(D)を参照して、昇降圧型コンバータ4の動作を説明する。出力電圧・回生動作制御部30は、直流電圧E(図8(A)を参照)に応じて、(TON2/T)を変化させて直流電圧E(図8(D)を参照)が所定の値E(図示せず)となるように制御をする。ここで、所定の値Eは出力電圧・回生動作制御部30の内部で発生される。出力電圧・回生動作制御部30は、所定の値Eと直流電圧Eとの誤差を検出して、この誤差が0となるような(TON2/T)をフィードバック制御によって発生させて直流電圧Eを所定の値Eと一致させる。具体的には、直流電圧Eが値Eよりも小さいときには(TON2/T)をより大きくし、直流電圧Eが値Eよりも大きいときには(TON2/T)をより小さくする(数式8を参照)。
【0080】
負荷Lが電気自動車のモータである場合には、所定の値Eは、例えば、システム制御部40に設けられたアクセルペダル(図示せず)によって変化させられ、アクセルペダルの踏み込み量に応じて、直流電圧Eを変化させモータの回転駆動力を制御する。
【0081】
実施形態の昇降圧型コンバータ4が昇圧型コンバータとして機能する場合には、数式9、数式10に示すようにして、直流電圧Eと負荷Lに発生する直流電圧Eとの関係が導かれる。TON1はスイッチ素子Sがオンの時間、TOFF1はスイッチ素子Sがオフの時間である。なお、数式9、数式10は、効率η=1の理想状態の昇降圧型コンバータにおける関係式を表わすものである。実施形態の昇降圧型コンバータ4においては、効率ηの値に応じて数式9、数式10におけるTON1/TOFF1の値は、効率η=1の理想状態におけるTON1/TOFF1の値とは異なるものとなる。
【0082】
(数式9)

=(TON1/TOFF1)・(N/N)・E

(数式10)

=E+E
=E+(TON1/TOFF1)・(N/N)・E
=E・{1+(TON1/TOFF1)・(N/N)}

【0083】
直流電源Eの直流電圧EとコンデンサCの両端の直流電圧Eとの極性は同じであるので、直流電圧E>直流電圧Eの関係が成立する。数式10に示す関係は、直流電源Eが接続されていない場合に成立する式である。実際に直流電源Eが接続され、電流Iが直流電源Eに対して流れる場合には、直流電圧Eの値は、直流電源Eの内部インピーダンスに応じて若干、高くなる程度である。
【0084】
昇降圧型コンバータ4が昇圧型コンバータとして機能する場合の効率η(2次側電力P/1次側電力P)は、数式11で表わされる。ここで、1次側電力Pは、負荷Lから供給される総電力であり、1次巻線Nに供給される1次側電力P11と直接に直流電源Eに供給される電力P12とからなっている。2次側電力Pは、2次巻線Nを介して直流電源Eに供給される電力である。1次巻線Nと2次巻線Nとを有する昇圧型コンバータ自体の効率ηは、背景技術として図10に示す昇圧型コンバータと等しいものである。
【0085】
(数式11)

η=P/P=P/(P11+P12
=(E・I+E・I)/{(E・I)/η+E・I
=η/{1−(1−η)・E/E

【0086】
数式11に示すように、昇降圧型コンバータ4が昇圧型コンバータとして機能し、電力回生をする場合には負荷LからトランスTを介せずに直接に直流電源Eに回生される電力があるので、電力回生に際する効率は良好なものとなる。数式11において(1−η)とE/Eとは、共に1以下の正値であるので、昇圧型コンバータ1の効率ηは、図10に背景技術として示す昇圧コンバータの効率ηよりも大きなものとなる。例えば、効率η=0.96(96%)、E/E=0.5の場合には、数式11によって、効率ηは、約0.98(98%)となり、背景技術に示すものから2%改善される。
【0087】
図9は、第2の実施形態の昇降圧型コンバータ4が昇圧型コンバータとして機能する場合の動作を示すタイムチャートである。
【0088】
図9(A)は、電流Iを示す。図9(B)は、制御信号CS1の状態とトランジスタTR1のスイッチ素子S1のオン/オフの状態を示す。制御信号CS1の状態がオンであれば、トランジスタTR1のスイッチ素子Sをオンとし、制御信号CS1の状態がオフであれば、トランジスタTR1のスイッチ素子Sをオフとする。オンの時間はTON1、オフの時間はTOFF1である。また、T=TON1+TOFF1は1周期である。図9(C)は、制御信号CS2の状態とトランジスタTR2のスイッチ素子Sのオン/オフの状態を示す。スイッチ素子Sはオフ状態である。図9(D)は直流電圧Eを示す。図9(A)〜図9(D)において横軸は時間tである。
【0089】
出力電圧・回生動作制御部30は、直流電圧Eに応じて(図9(D)を参照)、(TON1/TOFF1)を変化させて(図9(B)を参照)回生電流である電流I(図9(A)を参照)が所定の値I(図示せず)となるように制御をする。ここで、所定の値Iは出力電圧・回生動作制御部30の内部で発生される。出力電圧・回生動作制御部30は、所定の値Iと電流Iとの誤差を検出して、この誤差が0となるような(TON1/TOFF1)をフィードバック制御によって発生させて電流Iを所定の値Iと一致させる。具体的には、電流Iが値Iよりも小さいときには(TON1/TOFF1)をより大きくし、電流Iが値Iよりも大きいときには(TON1/TOFF1)をより小さくする。つまり、数式10によれば、(TON1/TOFF1)の値を変化させれば直流電圧Eの大きさを変化させることが可能になるが、直流電圧Eの発生源がバッテリまたは電力母線の場合には、上述したように電流Iが変化することとなる。
【0090】
負荷Lが電気自動車のモータである場合には、負荷Lであるモータの両端に発生する直流電圧Eはモータの回転数に応じて変化する。このようにして、電流Iの大きさを制御する場合においては、直流電圧Eの大小にかかわらず電流Iを一定の値とできるので破壊を引き起こすような過大な電流がバッテリに流されることはない。
【0091】
実施形態の昇降圧型コンバータ4は、電力回生の動作時において、背景技術である図10に示す昇圧型コンバータよりも効率が高い。昇降圧型コンバータ4においては直接に負荷Lから直流電源Eに供給される回生電力についての効率は1であるのに対して、図10に示す昇圧型コンバータではすべての電力が昇圧コンバータを経由して負荷に供給されるからである。その他、第1の実施形態の昇降圧型コンバータ3の有する種々の利点を有する。
【0092】
[第2の実施形態の変形]
第2の実施形態の変形の技術について以下に説明をする。これらの変形例においても、上述した、種々の利点が損なわれることはない。
【0093】
実施形態の昇降圧型コンバータ4では、降圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30はフィードバック制御によって直流電圧Eを一定に保つような制御をおこなったが、フィードバック制御を採用せず、(TON2/T)を直接に変化させて、所望の直流電圧Eを得るようにしても良い。
【0094】
実施形態の昇降圧型コンバータ4では、電力を直流電源に回生するための昇圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30は、フィードバック制御によって電流Iを一定に保つような制御をおこなった。これは、回生電力量を制御する方法の一つである。回生電力量を制御する他の方法としては、直流電圧Eを一定に保つような制御、または、直流電圧Eを一定に保つような制御、または、電流Iを一定に保つような制御、または、電流Iを一定に保つような制御、さらには、電流Iと直流電圧Eの積、電流Iと直流電圧Eの積を出力電圧・回生動作制御部30で演算してこれらの積を一定に保つような制御をおこなうようにしても良い。
【0095】
実施形態の昇降圧型コンバータ4では、昇圧の動作において出力電圧・回生動作制御部30はフィードバック制御によって電流Iを一定に保つような制御をおこなったが、フィードバック制御を採用せず、(TON1/TOFF1)を直接に変化させて、所望の電流I、または、所望の電流I、または、所望の直流電圧E、または、所望の直流電圧E、さらには、電流Iと直流電圧Eの積、電流Iと直流電圧Eの積を出力電圧・回生動作制御部30で演算して、所望の電力を得るようにしても良い。
【0096】
実施形態の昇降圧型コンバータ4において、直流電源Eの極性の正負を入れ替えること、直流電源Eを昇降圧型コンバータ4の内部に備えること、コンデンサCの位置を負荷Lの両端に設けること等、上述した、第1の実施形態の変形を応用することもできる。
【0097】
上述した種々の実施形態に開示された個々の技術を組み合わせた、新たな実施形態も実施可能である。また、本発明は上述した実施形態およびこれらを組み合わせた実施形態の範囲に限られるものではない。
【符号の説明】
【0098】
1 昇圧型コンバータ、 2 降圧型コンバータ、 3 昇降圧型コンバータ、 30 出力電圧・回生動作制御部、 40 システム制御部、 C コンデンサ、 C コア、 CS1、S2 制御信号、 D、D1、 ダイオード、 E1、2、 直流電圧、 E 直流電源、 I 電流、 L インダクタ、 L 負荷、 N 1次巻線(巻数)、 N 2次巻線(巻数)、 S、S、S スイッチ素子、 T トランス、 t 時間、 TR1、TR2 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアに巻回された第1の巻線と第2の巻線とを有し、前記第1の巻線の巻き始め端と前記第2の巻線の巻き始め端とが接続されて形成されるトランスと、
前記第1の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子に並列に接続される第1のダイオードと、
前記第2の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子に並列に接続される第2のダイオードと、
前記第2のスイッチ素子の他方の端子と前記第2の巻線の巻き始め端との間に接続されるコンデンサと、
前記第1のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第1の制御信号および前記第2のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第2の制御信号を発生させる出力電圧・回生動作制御部と、を備え、
前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第2のスイッチ素子の他方の端子との間に負荷を接続し、
前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第1の巻線の巻き始め端との間に直流電源を接続し、
前記出力電圧・回生動作制御部は、
前記負荷に対して前記直流電源からの電力を給電するに際しては、前記第2のスイッチ素子をオフとし、前記第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて、前記負荷に給電する直流電圧を制御し、
前記負荷からの電力を前記直流電源に対して回生するに際しては、前記第1のスイッチ素子をオフとし、前記第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて、回生電力量を制御する、
昇降圧型コンバータ。
【請求項2】
前記第1のスイッチ素子および前記第1のダイオード、または、前記第2のダイオードおよび前記第2のスイッチ素子の少なくともいずれかが金属酸化物半導体電界効果トランジスタとされている、請求項1に記載の昇降圧型コンバータ。
【請求項3】
前記出力電圧・回生動作制御部は、
前記負荷に対して給電するに際しては、前記負荷に給電する直流電圧を所定の値とするようにフィードバック制御をおこなう、請求項1に記載の昇降圧型コンバータ。
【請求項4】
前記出力電圧・回生動作制御部は、
前記負荷から電力を回生するに際しては、前記直流電源に回生される電流を一定に保つように制御する、請求項1に記載の昇降圧型コンバータ。
【請求項5】
該昇降圧型コンバータは、
前記直流電源を有して形成され、
前記直流電源は、バッテリ、または、電気2重層コンデンサである、請求項1に記載の昇降圧型コンバータ。
【請求項6】
コアに巻回された第1の巻線と第2の巻線とを有し、前記第1の巻線の巻き始め端と前記第2の巻線の巻き始め端とが接続されて形成されるトランスと、
前記第1の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第1のスイッチ素子と、
前記第1のスイッチ素子に並列に接続される第1のダイオードと、
前記第2の巻線の巻き終わり端に一方の端子が接続される第2のスイッチ素子と、
前記第2のスイッチ素子に並列に接続される第2のダイオードと、
前記第2のスイッチ素子の他方の端子と前記第2の巻線の巻き始め端との間に接続されるコンデンサと、
前記第1のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第1の制御信号および前記第2のスイッチ素子のオンとオフとを制御する第2の制御信号を発生させる出力電圧・回生動作制御部と、を備え、
前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第2のスイッチ素子の他方の端子との間に直流電源を接続し、
前記第1のスイッチ素子の他方の端子と前記第1の巻線の巻き始め端との間に負荷を接続し、
前記出力電圧・回生動作制御部は、
前記負荷に対して前記直流電源からの電力を給電するに際しては、前記第1のスイッチ素子をオフとし、前記第2のスイッチ素子の1周期におけるオンの比率を変化させて、前記負荷に給電する直流電圧を制御し、
前記負荷からの電力を前記直流電源に対して回生するに際しては、前記第2のスイッチ素子をオフとし、前記第1のスイッチ素子の1周期におけるオンとオフの比率を変化させて、回生電力量を制御する、
昇降圧型コンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21820(P2013−21820A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153373(P2011−153373)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(510086855)
【Fターム(参考)】