説明

昇降機能付き搬送台車及びそれを用いた自動車組立ライン

【課題】左右のガイドポストを用いて受部材により車体を支持して搬送する昇降機能付き搬送台車において、ドアを取り付けた状態で部品組み付け作業を行っても作業性が高く、ガイドポスト等の重量及びコストの増大を抑制する。
【解決手段】車体AのドアB,Cを全開した状態で、ドアB,Cと干渉しないように、車体Aの前後方向略中央左右両側面から離間させて基台2上に立設した左右一対のガイドポスト3,4、ガイドポスト3,4から左右方向内向きに突出して車体Aの左右両側底部を支持する、ガイドポスト3,4に沿って昇降可能な左右一対の受部材5,6、受部材5,6同士を連結する連結部材7を備え、連結部材7が受部材5,6の下側にあり、受部材5,6と連結部材7とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であり、連結部材底部の左右方向に延びる凸条が係合する凹条又は長孔を基台2に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を支持して搬送する、自動車部品の組み付け作業に適した高さに車体を昇降させることができる昇降機能付き搬送台車、及び、この昇降機能付き搬送台車を用いた自動車組立ラインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
艤装工場の自動車組立ラインにおいては、車体の様々な箇所に部品を組み付ける作業を行うため、その作業性の向上を図る目的で、作業に応じて車体の高さを変化させることができるように、車体の支持手段を昇降可能としている。
例えば、内装品等を組み付けるトリム工程や外装品等を組み付けるファイナル工程等において、部品組み付け作業に適した高さに車体を昇降させることができる昇降機能付き搬送台車が使用されており、このような搬送台車の一般的な構成は、基台に立設された一対のガイドポストに沿って昇降可能な一対の受部材により、車体の左右両側底部を支持するものである(例えば、特許文献1及び2参照。)。
また、基台上の前後左右にガイドポストを立設するものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−168769号公報(第1図)
【特許文献2】特開昭62−225476号公報(第1−2図)
【特許文献3】西独国特許出願公開第3100159号明細書(FIG.1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の昇降機能付き搬送台車は、例えばトリム工程においては内装品等を車内に取り付けるため、搬送する車体のドアを開けた状態とする必要があり、開いたドアと干渉しない位置にかつ作業の邪魔にならない位置にガイドポストを配設する必要がある。
したがって、特許文献1及び2では、ガイドポストを、運転席側及び助手席側のドアを開けた状態でこれらドアの前側となる位置に配設している(特許文献1の第1図及び特許文献2の第2図参照。)。
また、特許文献3は、ガイドポストを、運転席側及び助手席側のドアを開けた状態でこれらドアの前側に、及び、後部座席側の左右のドアを開けた状態でそれら開口部の後側に配設している(特許文献3のFIG.1参照。)。
【0005】
しかし、特許文献1及び2の構成では、車体の重心が一対のガイドポスト間から大きく後側に離れた位置にあり、受部材及びガイドポストを後方に倒す方向に過大なモーメントが作用するため、受部材及びガイドポストの構成部材の強度及び剛性を高くする必要があることから、重量及びコストが増大する。
また、特許文献3の構成では、前後左右の4本のガイドポスト及び受部材により車体を安定して支持することができるが、左右一対のガイドポストを用いる構成と比較してガイドポストの本数が2本増加しているため、重量及びコストが増大する。
【0006】
さらに、従来の昇降機能付き搬送台車として、塗装工程後にドアを取り外してファイナル工程でドアを取り付けるようにし、トリム工程やファイナル工程においてはドアレスとして、車体の前後方向中央の両側にガイドポストを立設し、受部材により車体の前後方向中央の左右両側底部を支持するものがある。
しかし、このような構成では、ドアの取り外し及び取り付け作業が必要になるとともに、車体の前後方向中央の両側に立設されたガイドポストが部品組み付け作業の邪魔になる場合がある。
【0007】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、左右一対のガイドポストを用いて受部材により車体を支持して搬送する、自動車部品の組み付け作業に適した高さに車体を昇降させることができる昇降機能付き搬送台車において、車体にドアを取り付けて該ドアを開けた状態で部品組み付け作業を行っても該作業の邪魔になることがなく、受部材及びガイドポストの構成部材の重量及びコストの増大を抑制することができる昇降機能付き搬送台車及びそれを用いた自動車組立ラインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る昇降機能付き搬送台車は、前記課題解決のために、搬送する車体のドアを全開した状態で、該ドアと干渉しないように、前記車体の前後方向略中央左右両側面から離間させて基台上に立設した左右一対のガイドポストと、該ガイドポストから左右方向内向きに突出して前記車体の左右両側底部を支持する、前記ガイドポストに沿って昇降可能な左右一対の受部材と、該受部材間に横架され、これら受部材同士を連結する連結部材とを備え、該連結部材が前記受部材の下側に位置し、前記受部材と前記連結部材とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であるとともに、前記連結部材底部の左右方向に延びる凸条が係合する凹条又は長孔を前記基台に形成してなるものである。
【0009】
本発明に係る自動車組立ラインは、前記昇降機能付き搬送台車を複数備えた自動車組立ラインであって、前記基台の側面にフリクションローラを圧接して推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置により各工程内で前記搬送台車を搬送し、前記基台の下側に潜り込んで台車を牽引する無人搬送車により前記搬送台車の工程間搬送を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る昇降機能付き搬送台車によれば、搬送する車体のドアを全開した状態で、該ドアと干渉しないように、前記車体の前後方向略中央左右両側面から離間させて基台上に立設した左右一対のガイドポストと、該ガイドポストから左右方向内向きに突出して前記車体の左右両側底部を支持する、前記ガイドポストに沿って昇降可能な左右一対の受部材と、該受部材間に横架され、これら受部材同士を連結する連結部材とを備え、該連結部材が前記受部材の下側に位置し、前記受部材と前記連結部材とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であるとともに、前記連結部材底部の左右方向に延びる凸条が係合する凹条又は長孔を前記基台に形成してなるので、左右一対のガイドポストが車体の左右側面から十分離れているため、車体にドアを取り付けて該ドアを開けた状態でも、あるいはドアを取り外した状態でも、部品組み付け作業の際にガイドポストが邪魔にならない。
その上、ガイドポストが車体の前後方向略中央左右両側面から離間した位置にあることから、車体の重心位置と一対のガイドポスト間とが比較的近いため、受部材及びガイドポストを前後に倒す方向の過大なモーメントが作用することがなく、したがって受部材及びガイドポストの構成部材の重量及びコストの増大を抑制することができる。
その上さらに、ガイドポストが車体の前後方向略中央左右両側面から離間した位置にあることから、従来の構成では受部材及びガイドポストを左右方向内側に倒す方向のモーメントが大きくなるが、本発明の構成では左右一対の受部材同士を連結部材により連結しており、この連結部材が荷重を受け持つため、受部材及びガイドポストに掛かる左右方向内側に倒す方向のモーメントを比較的小さくすることができ、したがって受部材及びガイドポストの構成部材の重量及びコストの増大を抑制することができる。
その上、受部材と連結部材とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であることから、受部材の下側に空間があるため、車体下部への部品組み付け作業の際に連結部材が邪魔にならない。
その上さらに、連結部材底部の左右方向に延びる凸条が基台の凹条又は長孔に係合することから、連結部材を設けても車体の最下降位置を低くすることができるため、トリム工程等における車体内への部品組み付け作業の作業性が向上する。
その上、車体を最下降させて搬送しながら作業を行う際に、連結部材の凸条が基台の凹条又は長孔に係合しているため車体の支持がより強固かつ安定したものとなり、したがって車体内へ人が入って行う部品組み付作業の作業性が向上する。
【0011】
本発明に係る自動車組立ラインによれば、前記昇降機能付き搬送台車を複数備えた自動車組立ラインであって、前記基台の側面にフリクションローラを圧接して推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置により各工程内で前記搬送台車を搬送し、前記基台の下側に潜り込んで台車を牽引する無人搬送車により前記搬送台車の工程間搬送を行うので、前記昇降機能付き搬送台車を複数備えた自動車組立ラインであるため、前記昇降機能付き搬送台車が奏する効果を包含する。したがって、左右一対のガイドポストが車体の左右側面から十分離れていることから、車体にドアを取り付けて該ドアを開けた状態でも、部品組み付け作業の際にガイドポストが邪魔にならず、塗装工程後に車体にドアを取り付けたままの状態で部品組み付け作業を行うことができるため、塗装工程後にドアを取り外してファイナル工程でドアを取り付ける作業が不要になる。
その上、フリクションローラ式駆動装置により各工程内の搬送を安定かつ確実に行うとともに、基台の下側に潜り込んで台車を牽引する無人搬送車により高速に工程間搬送を行うため、これらフリクションローラ式駆動装置及び潜り込み式無人搬送車の併用により、台車の下側にチェーン等を敷設する必要がなく簡素かつ効率的な、また低床化により作業者が乗り降りしやすく作業性のよい自動車組立ラインを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、台車の搬送方向(図中矢印F参照。)側を前とし、左右は前方に向かっていうものとする。また、左方から見た図を正面図とする。
【0013】
図1〜図7は本発明の実施の形態に係る昇降機能付き搬送台車の構成を示す概略図であり、図1及び図2は左上方から見た斜視図、図3は平面図、図4及び図5は前方から見た縦断面図、図6及び図7は正面図である。
ここで、図1、図4及び図6は、左右の受部材5,6(車体A)を最も下降させた状態を、図2、図5及び図7は、左右の受部材5,6(車体A)を最も上昇させた状態を示している。
【0014】
図1〜図3に示すように、昇降機能付き搬送台車1は、基台2の下面に取り付けられた前後左右の走行車輪2A,…により軌道又は床面上を走行可能なものであり、基台2の下に潜り込んで自走する無人搬送車(Automated Guided Vehicle)Dによる牽引、基台2の下側に敷設された図示しないパワーチェーン式駆動装置による牽引、又は、基台2の側面2C,2Dへの図示しないフリクションローラ式駆動装置のフリクションローラの圧接による推進力付与等により搬送される。
また、昇降機能付き搬送台車1は、図1及び図3に示すように搬送する車体Aの前後左右のドアB,Cを全開した状態で、これらのドアB,Cと干渉しないように、車体Aの前後方向略中央左右両側面から離間させて基台2上に立設した左右一対のガイドポスト3,4、ガイドポスト3,4から左右方向内向きに突出して車体Aの左右両側底部を支持する、ガイドポスト3,4に沿って昇降可能な左右一対の受部材5,6、及び、受部材5,6間に横架され、これら受部材5,6同士を連結する連結部材7を備えている。
【0015】
図1、図2、図4及び図5に示すように、左右一対の受部材5,6は、後述する昇降装置により昇降する昇降支持部5A,6Aと、昇降支持部5A,6Aの左右方向内側で車体を支持する受部5B,6Bからなり、受部材5,6の左右方向内側の下面に連結部材7の連結部7A,7Aが固定される。
したがって、連結部材7が受部材5,6の下側に位置し、受部材5,6と連結部材7とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であるため、受部材5,6の下側に空間があることから、車体A下部への部品組み付け作業(図2及び図5参照。)の際に連結部材が邪魔にならない。
【0016】
また、図1〜図3に示すように、前記略U字状の部材の下部は受け部材5,6間に横架される連結部材7であり、連結部材7底部の左右方向に延びる凸条7Bは、基台2のガイドポスト3,4間に形成された凹条2Bに係合する。
ここで、凹条2Bは、連結部材7の凸条7Bと凹凸嵌合するように、凸条7Bの凸形状に合わせた凹形状が基台2に形成されたものであるが、凹条2Bに代えて連結部材7が挿通される長孔であってもよい。
したがって、受け部材5,6間を連結部材7で連結しても、連結部材7の凸条7Bが基台2の凹条2B又は長孔に係合することから、車体Aの最下降位置(図1及び図4参照。)を低くすることができるため、トリム工程等における車体A内への部品組み付け作業の作業性が向上する。
その上、車体を最下降させて搬送しながら作業を行う際に、連結部材7の凸条7Bが基台2の凹条2B又は長孔に係合しているため、車体Aの支持がより強固かつ安定したものとなり、したがって車体A内へ人が入って行う部品組み付作業の作業性が向上する。
【0017】
なお、基台2に形成され凹条2B又は長孔は、受部材5,6及び連結部材7が上昇すると図2に示すように開口するとともに、作業者は基台2上で部品組み付け作業を行うため、作業者が凹部2B又は長孔の開口で躓くことがないように、あるいは、工具類やボルト等が凹部2B内に落ちたり、長孔から落ちることがないように、連結部材7が上昇した際には例えば蓋体により前記開口の全部又は一部を塞ぐようにし、連結部材7が下降してその凸条7Bが凹条2B又は長孔と係合する際には前記蓋体を退けて前記開口を塞がないようにするのが、より好ましい実施態様である。
このような凹条2B又は長孔の開口を塞ぐ蓋体の例としては、基台2の上面に沿ってスライドする水平板材により連結部材7が上昇した際に生じた開口を塞ぎ、連結部材7が下降して連結部材7底部の凸条7Bが開口内(凹条2B又は長孔内)に入る際には、その前に、前記水平板材をスライドさせて該水平板材が前記開口を塞がないようにする構成等が考えられる。
上記のような蓋体である水平板材のスライド動作(あるいは回動等であってもよい。)は、作業者が操作するようにしてもよいが、適宜のアクチュエータにより駆動して自動化する構成がより好ましい。
【0018】
次に、受部材5,6をガイドポスト3,4に沿って昇降させる昇降装置の構成例について説明する。
図4〜図7に示すように、受部材5,6の昇降支持部5A,6Aに取り付けられた、左右方向軸まわりに回転可能なローラ9及び前後方向軸まわりに回転可能なローラ10が、ガイドポスト3,4のガイドレールを形成するフレーム3A,4Aによりガイドされるため、受部材5,6はガイドポスト3,4により昇降可能に支持される。
また、ガイドポスト3,4内には、ベアリング16,17により上下端部が支持された垂直軸まわりに回転可能なボールねじ軸8A,8Aが内蔵されており、該ボールねじ8Aに係合するナット8B,8Bが受部材5,6の昇降支持部5A,6Aに固定されているため、ボールねじ軸8A,8Aが回転すると、受部材5,6が昇降する。
【0019】
ガイドポスト3,4の直下の基台2の下側には、ボールねじ軸8A,8Aを駆動するための被駆動軸11,12が設けられ、該被駆動軸11,12はギヤボックス13,14内のベベルギヤ及びカップリング15,15を介してボールねじ軸8A,8Aの下端と連結される。
また、左右のギヤボックス13,14間は、左のギヤボックス13内のベベルギヤからカップリング18、左伝動軸19、中央のカップリング20、右伝動軸21及びカップリング22を介して右のギヤボックス14内のベベルギヤに動力が伝達される。
したがって、左右の被駆動軸11,12の一方を駆動すると、左右のガイドポスト3,4内のボールねじ軸8A,8Aが連動して同期回転するように構成されている。
よって、自動車組立ラインの各工程において、作業に応じて車体Aの高さを変化させる必要がある箇所に、左右の被駆動軸11,12の一方の下側に図示しない駆動装置を設置しておけば、該駆動装置により左右のボールねじ軸8A,8Aを同期回転させて、受部材5,6及び車体Aを所望の高さにすることができる。
【0020】
以上のような昇降機能付き搬送台車1の構成によれば、左右一対のガイドポスト3,4が車体Aの左右側面から十分離れているため、車体AのドアB,Cを全開した状態でも、部品組み付け作業の際にガイドポスト3,4が邪魔にならない。
また、ガイドポスト3,4が車体Aの前後方向略中央左右両側面から離間した位置にあることから、車体Aの重心位置と左右一対のガイドポスト3,4間とが比較的近い(車体Aの重心から左右一対のガイドポスト3,4を結ぶ平面への垂線の長さが比較的短い)ため、受部材5,6及びガイドポスト3,4を前後に倒す方向の過大なモーメントが作用することがなく、したがって受部材5,6及びガイドポスト3,4の構成部材の重量及びコストの増大を抑制することができる。
さらに、ガイドポスト3,4が車体Aの前後方向略中央左右両側面から離間した位置にあることから、従来の構成では受部材及びガイドポストを左右方向内側に倒す方向のモーメントが大きくなるが、本発明の構成では左右一対の受部材5,6同士を連結部材7により連結しており、連結部材7が荷重を受け持つため、受部材5,6及びガイドポスト3,4を左右方向内側に倒す方向のモーメントを比較的小さくすることができ、したがって受部材5,6及びガイドポスト3,4の構成部材の重量及びコストの増大を抑制することができる。
【0021】
また、昇降機能付き搬送台車1を複数備えた自動車組立ラインにおいて、基台2の側面2C,2Dにフリクションローラを圧接して推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置により各工程内で昇降機能付き搬送台車1,…を搬送し、基台2の下側に潜り込んで台車を牽引する無人搬送車D(図1及び図2参照。)により昇降機能付き搬送台車1の工程間搬送を行うようにすれば、左右一対のガイドポスト3,4が車体Aの左右側面から十分離れていることから、車体AのドアB,Cを全開した状態でも、部品組み付け作業の際にガイドポスト3,4が邪魔にならず、塗装工程後に車体AにドアB,Cを取り付けたままの状態で部品組み付け作業を行うことができるため、塗装工程後にドアB,Cを取り外してファイナル工程でドアB,Cを取り付ける作業が不要になる。
さらに、図示しないフリクションローラ式駆動装置により各工程内の搬送を安定かつ確実に行うとともに、基台2の下側に潜り込んで昇降機能付き搬送台車1を牽引する無人搬送車Dにより高速に工程間搬送を行うため、これらフリクションローラ式駆動装置及び潜り込み式無人搬送車Dの併用により、台車2の下側にチェーン等を敷設する必要がなく簡素かつ効率的な、また低床化により作業者が乗り降りしやすく作業性のよい自動車組立ラインを構築することができる。
【0022】
以上の説明においては、車体AのドアB,Cを取り外さずに部品組み付け作業を行う場合について説明したが、本発明は、例えば塗装工程後にドアB,Cを取り外してファイナル工程でドアB,Cを取り付ける、ドアレスラインに用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る昇降機能付き搬送台車の左上方から見た斜視図であり、受部材(車体)を最も下降させた状態を示している。
【図2】同じく斜視図であり、受部材(車体)を最も上昇させた状態を示している。
【図3】同じく昇降機能付き搬送台車の平面図である。
【図4】同じく前方から見た縦断面図であり、受部材を最も下降させた状態を示している。
【図5】同じく前方から見た縦断面図であり、受部材を最も上昇させた状態を示している。
【図6】同じく正面図であり、受部材を最も下降させた状態を示している。
【図7】同じく正面図であり、受部材を最も上昇させた状態を示している。
【符号の説明】
【0024】
1 昇降機能付き搬送台車
2 基台
2A 走行車輪
2B 凹条
2C,2D 側面
3,4 ガイドポスト
3A,4A フレーム(ガイドレール)
5,6 受部材
5A,6A 昇降支持部
5B,6B 受部
7 連結部材
7A 連結部
7B 凸条
8A ボールねじ軸
8B ナット
9,10 ローラ
11,12 被駆動軸
13,14 ギヤボックス
15 カップリング
16,17 ベアリング
18 カップリング
19 伝動軸
20 カップリング
21 伝動軸
22 カップリング
A 車体
B,C ドア
D 無人搬送車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する車体のドアを全開した状態で、該ドアと干渉しないように、前記車体の前後方向略中央左右両側面から離間させて基台上に立設した左右一対のガイドポストと、
該ガイドポストから左右方向内向きに突出して前記車体の左右両側底部を支持する、前記ガイドポストに沿って昇降可能な左右一対の受部材と、
該受部材間に横架され、これら受部材同士を連結する連結部材とを備え、
該連結部材が前記受部材の下側に位置し、前記受部材と前記連結部材とからなる部材の形状が、前後方向から見て略U字状であるとともに、前記連結部材底部の左右方向に延びる凸条が係合する凹条又は長孔を前記基台に形成してなることを特徴とする昇降機能付き搬送台車。
【請求項2】
請求項1記載の昇降機能付き搬送台車を複数備えた自動車組立ラインであって、前記基台の側面にフリクションローラを圧接して推進力を付与するフリクションローラ式駆動装置により各工程内で前記搬送台車を搬送し、前記基台の下側に潜り込んで台車を牽引する無人搬送車により前記搬送台車の工程間搬送を行うことを特徴とする自動車組立ライン。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate