説明

昇降装置を手動で作動させるための操作装置

【課題】 スイッチング要素の被覆要素の組立ておよび交換が容易である、昇降装置の手動作動のための操作装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、スイッチ筐体(3)内に配置された少なくとも1つのスイッチング要素(2)を備えた、昇降装置を手動で作動させるための操作装置(1)に関し、スイッチング要素(2)は、スイッチ筐体(3)から突出し、スリーブ(19)内を案内され、かつねじリング(17)を有する被覆要素(4)によって被覆されたタペット(11)を含み、スリーブ(19)はスイッチ筐体(3)の開口(18)を介して外側に突出し、スリーブ(19)はねじ継手を介してスイッチ筐体(3)に保持され、被覆要素(4)は被覆要素のねじリング(17)を介して着脱自在にスリーブ(19)に螺着される。本発明はさらに、被覆要素を取り付けるためのツールに関する。スイッチング要素の被覆要素の取付けおよび交換が容易である、昇降装置を手動で作動させるための操作装置を作製するために、外側に延びかつ取り付けられた状態でスイッチ筐体(3)の外面(3c)に支持されるつば(19a)をスリーブ(19)に含めること、およびスイッチ筐体(3)の内面(3c)に取り付けられた状態で支持される固定リング(23)を介して、スリーブ(19)をスイッチ筐体(3)上に着脱自在に保持することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ筐体から突出しスリーブ内を案内されかつねじリングを有する被覆要素によって被覆されたタペットを備えた少なくとも1つのスイッチング要素がスイッチ筐体に配置され、スリーブがスイッチ筐体の開口を介して外側に突出し、スリーブがねじ継手を介してスイッチ筐体に保持され、かつ被覆要素が被覆要素のねじリングを介して着脱自在にスリーブに螺着された、昇降装置を手動で作動させるための操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降装置を手動で作動させるためのスイッチは、ドイツ出願公開DE10331130A1から公知である。該スイッチはスイッチ筐体を有し、その中に、昇降装置の上昇および下降機能のためのような幾つかのばね付勢スイッチング要素が配置される。各スイッチング要素は、電気押しボタンスイッチおよびそれを作動させるための機械的圧力スイッチから成る。機械的圧力スイッチは基本的にスイッチタペットおよびスリーブで構成される。スイッチタペットは、マイクロスイッチとして構成された電気押しボタンスイッチを作動させるためにスリーブ内で案内される。スイッチタペットは、つる巻きばねの形のばね要素によって押しボタンまたはスイッチ筐体の床面に押し付けられる。圧力スイッチは単段または多段構成、すなわちオフ位置から始動する構成とすることができ、スイッチタペットは最初にオン位置に移動し、次いで少なくとも1つの追加オン位置に移動することができる。したがって、対応する電気押しボタンまたは多段押しボタンは次いで、オン位置の各々でスイッチタペットによって作動する。オフ位置では、スイッチタペットはスリーブから最も遠くまで突出し、次いでそれはスリーブの方向に移動して第1または追加オン位置に達する。最後のオン位置で、スイッチタペットは依然として、ユーザの親指で感じることができるようにスリーブから突出する。
【0003】
産業上の利用に関連して、たとえ手袋を着用しているときでも、ユーザがスイッチを安全に操作することができるように、ユーザが‐例えば親指で‐オフ位置とそれぞれのオン位置との間の作動用経路中を移動しなければならないことが重要である。さらに、オペレータがスイッチング要素をその復元力に抗してオン位置に保持する間だけ案内移動が動作するように、スイッチング要素が自動的にオフ位置に戻ることが重要である。
【0004】
本願の例示的実施形態は、各々が2段構成の2つのスイッチング要素を持つスイッチ筐体のカットアウトを示す。したがって、昇降装置を昇降方向に制御するためにこれを使用することができ、2段設計のおかげで、各スイッチング要素は第1オン位置‐低速デューティ‐および第2オン位置‐高速デューティに着くことができる。そのようなスイッチは横行ギヤまたはクレーンの制御にも使用することができる。
【0005】
機械的圧力スイッチは各々、それらのスリーブを介してスイッチ筐体に固定される。このために、スイッチ筐体の前面に円形開口が設けられ、外からその中に圧力スイッチが挿置される。組立中に圧力スイッチが開口を通してスイッチ筐体の内側に落下しないように、圧力スイッチのスリーブはその外端に外向きの外周つばを有し、それはスイッチ筐体の前面に当接支持されるようになる。圧力スイッチをスイッチ筐体に押止するために、スリーブの内端に雄ねじが設けられる。ナットのような固定リングが雄ねじに螺合され、それはスイッチ筐体の前面の内側に当接支持されるようになり、こうしてスイッチ筐体の前面につばを締着させる。
【0006】
産業に利用する場合、電気押しボタンおよび圧力スイッチは、外部の影響および汚れを防止するために、気密のスイッチ筐体内に取り付けることが賢明である。さらに、スイッチ筐体は、スイッチタペットがスイッチ筐体から突出し、こうして圧力スイッチの作動用経路に多少の遊びが提供されるように構成される。
【0007】
スイッチ筐体から突出するスイッチタペットを気密スイッチ筐体に当接して密封するために、スイッチタペットはスイッチ筐体に気密に接続された可撓性被覆要素によって保護キャップのように囲繞される。このために、被覆要素には円形接続開口が構成される。断面を見ると、被覆体は多少円錐台状の断面を有し、小さい基面はスイッチタペットに当接して位置し、大きい基面は接続開口の方向を向く。接続開口の領域で、被覆要素は、被覆要素の小さい基面と平行に延びる内向きのリムを有する。このリムは、スイッチ筐体に面するスリーブのつばの封止面の寸法に大まかに合わせて作られる。圧力スイッチをスイッチ筐体の開口内に挿入する前に、被覆要素はスリーブのつば上に裏返され、その後、圧力スイッチのスリーブはスイッチ筐体の円形開口内に挿入され、次いで固定リングが内側から締結される。被覆要素のリムはこのようにしてスイッチ筐体の前面とつばの封止面との間に固締され、こうしてスイッチ筐体の開口は密閉される。リムがつばと前面との間の領域から滑脱するのを防止するために、前面は環状凹部のように跳ね返り、その中に被覆要素のリムの外周が支承される。
【0008】
さらに、スペイン実用新案ES1018351Uから、同様に電気押しボタンおよび機械的圧力スイッチを持つスイッチ筐体内に配置されたスイッチング要素を有する、昇降装置の手動作動用の別のスイッチが公知である。機械的圧力スイッチは同じくスイッチタペットと、電気押しボタンを作動させるためにスイッチタペットがその中を案内されるスリーブとを有する。さらに、圧力スイッチはここでも可撓性被覆要素によりスイッチ筐体から密閉される。可撓性被覆要素を取り付ける前に、雄ねじが設けられたスリーブは、スリーブの外側の外周リムに当接支持された封止リングがスイッチ筐体の前面の内側に当接支持されるまで、スイッチ筐体の前面の開口内に螺着される。被覆要素は次いで、被覆要素がスイッチ筐体の前面と面一に支承されるまで、外側からスイッチ筐体の前面から突出する雄ねじの残部に螺合される。このために、被覆要素はその接続開口の領域に内向きの外周溝を有し、雌ねじを有する接続リングがその中に挿入される。
【0009】
被覆要素の取付けに関連して、圧力スイッチを内側からスイッチ筐体に取り付けるときに、封止リングの圧力が充分であり、かつ特に外側から被覆要素に螺着する場合にねじ接続の緩みが防止されるように、スリーブを充分なトルクで締め付けることが重要である。
【0010】
経験によると、スイッチング要素の保護キャップは特殊な歪みにさらされ、摩耗のためしばしば交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ出願公開DE10331130A1
【特許文献2】スペイン実用新案ES1018351U
【発明の概要】
【0012】
これを端緒として、本発明の基本的課題は、スイッチング要素の被覆要素の組立ておよび交換が容易である、昇降装置の手動作動のための操作装置を提供することである。
【0013】
この課題は、請求項1の特徴を持つ昇降装置の手動作動のための操作装置によって解決される。本発明の有利な実施形態を請求項2ないし16に示す。
【0014】
本発明によると、少なくとも1つのスイッチング要素がスイッチ筐体に配置され、スイッチング要素が、スイッチ筐体から突出しスリーブ内を案内されかつねじリングを有する被覆要素によって被覆されたタペットを含み、スリーブがスイッチ筐体の開口を介して外側に突出して成る、昇降装置を手動作動するための操作装置において、スリーブはねじ継手を介してスイッチ筐体内に保持され、被覆要素は被覆要素のねじリングを介して着脱自在にスリーブに螺着され、スリーブが、取り付けられた状態でスイッチ筐体の外面に当接支持される外向きに延びるつばを有し、かつスリーブが、取り付けられた状態でスイッチ筐体の内面に当接支持される固定リングによってスイッチ筐体に着脱自在に保持されるので、スイッチング要素の被覆要素の容易な取付けおよび交換能力が達成される。
【0015】
被覆要素を交換するために、スイッチ筐体を開けることを回避することができる。開けることは、さもなければ特別経費を構成し、かつ取り付けられた電気的サブアセンブリを損傷しないように、かつスイッチ筐体を一体に合わせた後で封止作業を行なう必要があるので、技術者が特別な注意を払って行なう必要がある。この作業を実行するために、スイッチは現場で取り外し、修理工場に運ぶ必要がある。また、被覆要素を組み立てるために、スリーブは固定リングによってスイッチ筐体にしっかりと保持される。これは組立プロセスを簡素化する。さらに、スイッチング要素は被覆要素が無くても機能を維持する。
【0016】
本発明によると、スイッチ筐体はもはや開く必要が無い。修理は、損傷した被覆要素を取り外し、それを新品と交換することによって、操作装置の使用現場で行なうことができる。
【0017】
スリーブは第1雄ねじおよび第2雄ねじを有することを規定することが有利である。第1雄ねじおよび第2雄ねじはつばによって互いに分離され、取り付けられた状態で固定リングは第1雄ねじと係合し、かつ取り付けられた状態でねじリングは第2雄ねじと係合する。このようにして、スイッチング要素はスイッチ筐体内に確実に保持される。
【0018】
スリーブは、スイッチ筐体に対してねじれを防止するように固定されることが特に有利である。このためにスリーブは、スイッチ筐体に配置された凹部と係合する、半径方向外向きに突出する突耳をつばの領域に有することが好ましい。このねじれ防止のおかげで、被覆要素の取付けにより、固定リングを介するスリーブとスイッチ筐体とのねじ接続が外れ、あるいは緩むことはない。
【0019】
被覆要素のねじリングは取り付けられた状態でスイッチ筐体の外面に押し付けられることが有利である。
【0020】
一実施形態では、被覆要素は接続リング付きのハット状に構成され、ねじリングは接続リングによって密閉され、接続リングの一部分はスイッチ筐体の外面とねじリングとの間に固締され、それは封止作用をもたらす。さらに、ねじリングと接続リングとの間に確実な接合が確保される。
【0021】
さらに、ねじリングがその外周に外歯を有し、かつ接続リングが内側に内歯を有することもできる。これは、取付け治具からの取付け力の接続リングを介するねじリングへの確実な伝達を達成する。
【0022】
スイッチ筐体は、スイッチング要素のための開口の領域に、接続リングの下方部分に対向して位置する囲繞壁付き凹部を有することが特に好都合である。これは、接続リングがねじリングの下から外に押し出され、封止作用を失うのを防止する。
【0023】
被覆要素がその接続リングの領域に組立治具用の外側輪郭(例えば歯状)を有するという事実のため、被覆要素はスリーブに容易に螺合し、かつスリーブから緩めることができる。組立治具は、外側輪郭と協働するために対応する内側輪郭(例えば歯状)を有する。取り付けられた状態でも、接続リングの外側輪郭は、囲繞壁に対向して位置する接続リングの領域の外側に配置されるので、組立治具から接続リングの外側輪郭に容易に到達することができる。したがって、ねじリングに要求される締付けトルクを安全に加えることができる。また、隣接するスイッチング要素およびスイッチ筐体の形状要素によって囲繞される被覆要素は、ソケットレンチのように組立治具により取り付けまたは取り外すことができる。スイッチ筐体は、スイッチング要素の偶発的な作動を防止するために形状要素を有する。この防止を達成するために、スイッチング要素は、陥凹部の形でスイッチ筐体の形状要素内に凹設される。ここでも、被覆要素は組立治具により容易に操作することができる。
【0024】
加えて、被覆要素はその接続リングの領域がスイッチ筐体の方向に円錐状に増大するように構成されることが規定される。組立治具と接続リングとの間の形状嵌合はこうして、組立治具を被覆要素の方向に押し込むことによって強化される。
【0025】
接続リングは、ねじリングの外歯と係合する内歯を有することが有利である。このようにして、取付け力を組立治具から接続リングに、かつねじリングに安全に伝達することができる。
【0026】
被覆要素は接着剤またはボンディング接続によってスイッチ筐体に固定されることが有利である。
【0027】
操作装置の上記被覆要素の取付けおよび取外しのための治具に関連して、治具の内側輪郭はスイッチング要素の軸作動方向に円錐状に構成することを提案する。
【0028】
被覆要素の形状に応じて、治具はソケットレンチのように接続リングの外側輪郭と相補的に形作られた内側輪郭を有し、被覆要素が取り付けられる間、治具は被覆要素を囲繞し、かつ/または内側輪郭は歯状に構成され、歯面が好ましくは取外し方向により急勾配になるようにすることが有利であると提案することができる。
【0029】
昇降装置の手動作動のための本発明に係る操作装置の例示的実施形態について、以下で図面を用いてさらに綿密に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】昇降装置を手動で作動させるための本発明に係る操作装置の上面図である。
【図2】図1の交線I‐Iに沿った正面図である。
【図3】図2のスイッチング要素の領域の拡大切欠き図である。
【図4】図2のスイッチング要素の被覆要素と組立治具の詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、昇降装置を手動で作動させるための本発明に係る操作装置1の上面図を示す。操作装置1はクレーンの動きを手動制御するのに役立つ。このために、操作装置1は、図示しない電気ケーブルによってクレーン制御装置に接続され、あるいはそれはケーブル無しで、例えば無線リンクによってクレーン制御装置に接続することができる。制御スイッチとしても知られる操作装置1は、スイッチ筐体3に取り付けられた、全部で6個のスイッチング要素2を有する。6個のスイッチング要素2について、各々の可撓性のキャップ状被覆要素4だけが見える。各被覆要素4は、好ましくはユーザの親指によって作動させることのできる平坦な作動用面4aを有する。作動用面4aには、好ましくは貼付用ラベルの形の記号担持要素5が固定される。
【0032】
記号担持要素5は、作動用面4aに接着するかまたは適切に設けられた溝に固締された円形または角張ったプラカードとすることも考えられる。この場合の溝は、記号担持要素5の確実な保持を確保するために連続的外周を有することが好ましい。
【0033】
図1に示すスイッチング要素2は、クレーンの駆動ユニットの手動制御に役立つ。6個のスイッチング要素2は、対を成して互いに横に並び、結果的に得られた3対が互いに縦に並んで配置される。最上部の2つのスイッチング要素2は、1本のチェーンまたはケーブルを上昇および下降させるのに役立ち、真ん中の2つのスイッチング要素2は該1本のチェーンまたはケーブルを横行駆動ユニットによってガーダに沿って2方向に移動させるのに役立つ。
【0034】
2つの最下部のスイッチング要素2のうち、左側の要素には警報信号が割り当てられ、右側の要素には緊急停止機能が割り当てられる。クレーンの駆動ユニットを制御する上部の4つのスイッチング要素2は、いわゆる2段スイッチとして構成される。すなわち、オフ位置の他に、第1オン位置および第2オン位置があり、そこで各駆動ユニットを1つの移動方向に2つの速度で作動させることができる。基本的に、駆動ユニットを連続的に操縦することができるように、スイッチング要素2を構成することも可能である。
【0035】
図2は、図1の線I‐Iに沿った正面図を示し、したがって1本のチェーンまたはケーブルをレールに沿ってその2つの方向に横行移動させるための2つの真ん中のスイッチ要素2を示す。これらの2つのスイッチング要素2は、昇降装置の2つの異なる方向の、すなわち左および右の移動を作動させるように働く。
【0036】
安全上の理由から、昇降装置を手動で作動させるための操作装置1のスイッチング要素2は、スイッチング要素2が1回作動すると、もう1度それ以上圧力がスイッチング要素2に加えられなければ、直ちにオフ位置に戻るように設計される。この目的のために、各スイッチング要素2はばね要素6によって、スイッチオフ基本位置の方向に偏倚される。
【0037】
図2からさらに明瞭に分かるように、2つのスイッチング要素2は各々、第1電気マイクロスイッチ7のみならず直列接続圧力作動機構8からも構成され、第1マイクロスイッチ7は該機構によって作動させることができる。従来の第1マイクロスイッチ7は、スイッチ筐体3に支持される電気回路基板9に直接はんだ付けされる。マイクロスイッチとは、ばね付勢電気接点により信号経路を切り替えるための小型スイッチング要素を意味し、それは短ストロークの鍵作動によって切り替えられる。マイクロスイッチは理想的には電気回路基板に自動的に配置することができ、取付け空間をほとんど必要としない。
【0038】
実際の電気スイッチは第1マイクロスイッチ7によって圧力作動機構8による機械的スイッチングから空間的に分離されるため、小さい切替え経路および低い切替え力を必要とするだけのマイクロスイッチ7を使用することが可能になる。安全操作のために定められている少なくとも5mm程度の大きい切替え経路、高速および低速デューティの明確に区別できるロック位置、ならびに容易に知覚される切替え力は、マイクロスイッチ7に直列に接続される圧力作動機構8の運動学によって、この実施形態で容易かつ安価に達成することができる。
【0039】
昇降装置を手動で作動させるための操作装置に対して示した例示的実施形態はさらに、別の共有される第2電気マイクロスイッチ10が上部および真ん中のスイッチング要素2の対に割り当てられるように構成され、それによって1本のチェーンまたはケーブルの横行移動の高速デューティを特定の移動方向に対して作動させることができる。この第2の共通マイクロスイッチ10は、それぞれの圧力作動機構8によって所望の移動方向に作動する。言うまでもなく、各スイッチング要素2にそれ自体の第2マイクロスイッチ10を割り当てることも可能である。
【0040】
いずれにしても、圧力作動機構8は、時系列的に第1マイクロスイッチ7の1つが作動した後でしか第2マイクロスイッチ10を作動させることができないように設計される。すなわち、昇降装置は最初に低速の昇降デューティまたは横行デューティに切り替えることができた後でなければ、第2マイクロスイッチ10を作動させることによって高速デューティをオンに切り替えることができない。
【0041】
連続切替え機能を実行するために、すなわち片方の手でスイッチング要素2の第1電気マイクロスイッチ7を作動させ、その後に他方の手で第2マイクロスイッチ10を作動させるために、スイッチング要素2の圧力作動機構8は各々、スイッチング要素2の第1マイクロスイッチ7の形の対応する電気スイッチング手段に対してばね要素6によって偏倚されたタペット11、およびタペット11の中ぐり穴12内に導かれた内側タペット13から成り、内側タペット13は、中ぐり穴12内に装着されたばね要素14によってタペット11に押し付けられる。このようにして、内側タペット13はタペット11と同軸的に移動することができる。
【0042】
昇降装置を手動で作動させるための上記の操作装置1の作動は、次のように行なわれる。
【0043】
スイッチング要素2に載架された被覆要素4に圧力が働いている間、圧力は圧力作動機構8のタペット11に伝達され、タペット11は、ばね要素6の復元力に抗して、対応するスイッチング要素2の第1電気マイクロスイッチ7、特にそのスイッチタペット15の方向に移動する。ばね要素14を介してタペット11内に装着された内側タペット13は、内側タペット13の支持面13aが第1マイクロスイッチ7またはそのスイッチタペット15にぶつかり、電気回路を作動させるまで、この移動中に無負荷で運ばれる。内側タペット13はこのプロセスで第1マイクロスイッチ7のスイッチタペット15に同軸装着される。
【0044】
ここでさらなる圧力が圧力作動機構8のタペット11に働くと、この圧力は、第1マイクロスイッチ7に当接した内側タペット13によってばね要素14を圧縮する効果を有するので、タペット11は、タペット11の支持面11aが第2マイクロスイッチ10のスイッチタペット15にぶつかり、こうして高速デューティを作動させるまで、ばね要素6の復元力に抗してスイッチ筐体3内にさらに押し込まれる。
【0045】
湿気および/またはごみがスイッチ筐体3内に侵入するのを防止するために、圧力作動機構8は、図1にすでに示した可撓性被覆要素4により保護キャップのように、スイッチ筐体3の外側から密閉される。被覆要素4は、スイッチ筐体3の方向に円錐状に延びる弾塑性の囲繞側壁4bに隣接する平坦な作動用面4aを持つ、ハット状または円錐台形の部分である。作動用面4aは、側壁4bの材料に密着接合されかつ圧力作動機構8のタペット11に当接押止される、プラスチックまたは金属の硬質円形頂面として構成される。作動用面4aは、圧力作動機構8またはそのタペット11が押圧されたときに作動力を吸収し、同時にそれは、スイッチング要素2に割り当てられた制御コマンドを記号で表わした記号担持要素5の担持体である。
【0046】
被覆要素4は、作動用面4aとは反対側の端部に、囲繞接続リング4cによって界接される円形接続開口16を有する。接続リング4cは作動用面4aとは反対側の側壁4bの端部に隣接し、側壁4bから内向きに接続開口16の方向に延びる。こうして、接続リング4cは、スイッチ筐体3に対面する平坦な環状封止面4d、およびスイッチ筐体3とは反対側を向いた反対側の同様に平坦な環状接続面4eを形成する。封止面4dおよび接続面4eは反対側に位置し、互いに逆の方向を向いている。
【0047】
さらに、接続リング4cはU字形またはL字形にねじリング17を密閉し、それは本質的に矩形断面およびその内周上の雌ねじ17aを有する。ねじリング17は形状嵌合し、被覆要素4の弾性接続リング4c内に保持される。
【0048】
スイッチ筐体内にスイッチング要素2を固定するために、スイッチ筐体3の前面3aに配置された6つの円形開口18があり、その中に圧力作動機構8が外側から挿置される。このために、圧力作動機構8は円筒状スリーブ19を有し、その中にタペット11が保持され、その両端位置の間を移動可能に導入される。スリーブ19はそれぞれの開口18を介して外側から押されないように、その中間領域に連続環状つば19aを有する。こうして、スリーブ19から半径方向に外向きに延びるつば19aは第2環状面19bを形成し、それはスイッチ要素2が取り付けられた状態で、スリーブ19用の開口18と界接する前面3aの外面3cに当接押止される。
【0049】
圧力作動機構8をそれぞれの開口18に保持するために、つば19aに隣接しかつスイッチ筐体3の前面3aの内面3bに内向きに延びるスリーブ19の領域に、第1雄ねじ19cを有する。したがって、スリーブ19は同時にタペット11のための筐体貫通部でもある。スリーブ19の第1雄ねじ19c上に、雌ねじ23a付きの固定リング23がある。固定リング23は断面が階段状であり、第1環状セグメント23cおよび第2環状セグメント23dに分割される(図3参照)。第1環状セグメント23cは第2環状セグメント23dより小さい直径を有する。第1環状セグメント23cの直径は、その雌ねじ23aがスリーブ19の第1雄ねじ19cと整合するように選択される。さらに、第2環状セグメント23dの直径は、その支持面23bが被覆要素4の接続リング4cの反対側に位置し、かつスイッチ筐体3の内面3bにその全周に沿って当接押止されるように選択される。こうして突耳24のための凹部25は、ごくわずかに重なるだけである。
【0050】
螺合固定リング23のため、つば19aは環状面19bによってスイッチ筐体3の前面3aの外面3cに押圧され、固定リング23はその支持面23bによってスイッチ筐体3の内面3dに押圧される。前面3aの内面3b、前面3aの外面3c、つば19aの環状面19b、および固定リング23の支持面23bは基本的に互いに平行に配向される。
【0051】
さらに、つば19aに隣接しかつスイッチ筐体3の前面3aの外面3cに外向きに延びるスリーブ19の領域に、第2雄ねじ19dを有する。スリーブ19の第2雄ねじ19dに、被覆要素4がそのねじリング17によって螺合される。このようにして、接続リング4cの封止面4dはスイッチ筐体3の外面3cに押圧され、ねじリング17は接続リング4cの接続面4eに押圧される。接続リング4cの封止面4d、スイッチ筐体3の外面3c、ねじリング17の押圧面、および接続リング4cの接続面4eは、基本的に互いに平行に配向される。こうして、開口18はねじリング17付き被覆要素4によって密閉される。
【0052】
この設計構成のため、スイッチング要素2をスイッチ筐体3に機械的に固定する機能、およびスイッチング要素2をスイッチ筐体3から封鎖する機能は、互いに分離される。固定リング23は機械的固定の役割を担い、ねじリング17は封鎖の役割を担う。
【0053】
図3は、図2の左側のスイッチング要素2および対応する被覆要素4とねじリング17の領域からの拡大された特徴を示す。この拡大図から、スイッチ筐体3の前面3aはスイッチング要素2のための開口18の領域が円形であり、かつ外面3cから垂直かつ上向きに延びる周壁3dによって界接される開口18の辺縁に隣接して凹部20を有することが容易に認識される。凹部20の内径は、接続リング4cの外径と略同一またはそれより少し、すなわち最高で約1mm、好ましくは0.15mm大きくなるように設計される。このわずかな間隔は、接続リング4cがねじリング17の下に滑落することを効果的に防止する。凹部20の深さは、接続リング4cの半分程度が凹部20から上向きに突出するように選択される。
【0054】
さらに、スイッチ筐体3の前面3aには周縁円錐台状突起22が設けられ、それは組み立てられたときに、被覆要素4がこの位置で水平方向に固定されるように、封止面4dの領域で被覆要素4内に下から「突き立てられる」。
【0055】
図3から、ねじリング17が、その頂面およびその底面の各々に、丸みを帯びた円錐台形断面を有する、スリーブ19の長手方向に見て半径方向に包囲する溝17cを有することにも気付く。それに対応して、丸みを帯びた円錐台形断面を持つ相補形状の肥厚部4iが被覆要素4の封止面4dから突出し、それは被覆要素4の組み立てられた状態で、形状嵌合によりねじリング17の溝17cと係合する。
【0056】
加えて、被覆要素4を接着剤またはボンディング接続によってスイッチ筐体3に固定することを規定することができる。特に、そのような接着剤またはボンディング接続は、被覆要素4の封止面4dとスイッチ筐体3の外面3cとの間に設けられる。
【0057】
図4は、組立治具21と共に被覆要素4およびスイッチ筐体3の前面3aの切欠き部の詳細斜視図を示す。接続リング4cには、凹部20の壁3dによって囲まれない上部領域に外側輪郭4fが構成されることが明瞭である。組立治具21は、被覆要素4をスリーブ19の第2雄ねじ19dに容易に螺合することができ、かつ後で交換のために緩めることもできるように、ソケットレンチ状に外側輪郭4fと相補的に形作られた内側輪郭21aを有する。被覆要素4の取付け中にそれを囲繞する組立治具21により、被覆要素4を確実に固定するため、およびスイッチ筐体3を密閉するために、要求される締付けトルクをこうして加え、かつ内側のねじリング17に伝達することができる。
【0058】
被覆要素4を螺着するときにスリーブ19のねじれを防止するために、スリーブ19はつば19aに隣接する突耳24(図4参照)を有し、それはねじれを防止するようにスイッチ筐体3の開口18の領域の対応する凹部25と係合する。突耳24は上面図では、すなわちスリーブ19の長さ方向に見ると、形状が三角形であり、その先端がスリーブ19から半径方向外向きに延びる。包囲するつば19aと比較して、突耳24はスリーブ19の表面から数倍以上突出する。突耳24は凹部25に隣接する。さらに、突耳24が形状嵌合によって凹部25にほとんど保持されるように、凹部25は突耳と相補的な形状を有する。取付けを簡素化するために、突耳24と凹部25との間の間隙の形の遊びが維持される。
【0059】
組立治具21は射出成形によってプラスチックから作り、わずかな所要空間でスイッチング要素2の作動方向に同軸的に、被覆要素4上に配置することが好ましい。こうして、たとえスイッチング要素2が互いに横に並んで凹部20内に配置されても、問題なく取り付けることが可能である。内側輪郭21aおよび外側輪郭4fは、組立治具21によって周方向に伝達される力を軸圧力によって増強するように、スイッチング要素2の作動の軸方向に円錐形状をしている。
【0060】
内側輪郭21aおよび外側輪郭4fはギヤ歯として形作ることが有利であり、被覆要素4を分解するときに、組立治具21でより大きい力が加わるように、歯の歯面は取外し方向の勾配がより急であることが好ましい。
【0061】
さらに、図4から、ねじリング17は外側に周方向外歯17bをも有し、かつ接続リング4cは内側に内歯4gを有することに気付く。これは組立治具21からの組立て力の接続リング4cおよびねじリング17への確実な伝達を達成する。
【0062】
基本的に、組立治具21の内側輪郭21aおよび被覆要素4の外側輪郭4fを無しで済まし、組立治具21および被覆要素4をスイッチング要素2の作動の軸方向に円錐状に増大するように構成することも可能である。
【0063】
記載した選択肢以外に、第2マイクロスイッチ10を、磁石と相互作用するホールセンサによって第2スイッチ段で巻上げ装置の駆動ユニットの連続速度制御用に構成することも可能である。移動経路を電気信号に変換するためのそのような特殊設計は、DE4412557C2から公知である。
【0064】
そのような2段スイッチの好適な使用領域として、クレーン用の無線またはケーブル作動式手動制御ユニット、建設機械、または同様の工業用機械がある。
【符号の説明】
【0065】
1 操作装置
2 スイッチング要素
3 スイッチ筐体
3a 前面
3b 内面
3c 外面
3d 壁
4 被覆要素
4a 作動用面
4b 側壁
4c 接続リング
4d 封止面
4e 接続面
4f 外側輪郭
4g 内歯
4i 肥厚部
5 記号担持要素
6 ばね要素
7 第1電気マイクロスイッチ
8 圧力作動機構
9 電気回路基板
10 第2電気マイクロスイッチ
11 タペット
11a 支持面
12 中ぐり穴
13 内側タペット
13a 支持面
14 ばね要素
15 スイッチタペット
16 接続開口
17 ねじリング
17a 雌ねじ
17b 外歯
17c 溝
18 開口
19 スリーブ
19a つば
19b 環状面
19c 第1雄ねじ
19d 第2雄ねじ
20 凹部
21 組立治具
21a 内側輪郭
22 突起
23 固定リング
23a 雌ねじ
23b 支持面
23c 第1環状セグメント
23d 第2環状セグメント
24 突耳
25 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチング要素(2)がスイッチ筐体(3)に配置され、前記スイッチング要素(2)が、前記スイッチ筐体(3)から突出しスリーブ(19)内を案内されかつねじリング(17)を有する被覆要素(4)によって被覆されたタペット(11)を含み、前記スリーブ(19)が前記スイッチ筐体(3)の開口(18)を介して外側に突出し、前記スリーブ(19)がねじ継手を介して前記スイッチ筐体(3)に保持され、前記被覆要素(4)が前記被覆要素のねじリング(17)を介して前記スリーブ(19)内に着脱自在に螺着された、昇降装置を手動で作動させるための操作装置(1)であって、前記スリーブ(19)が、取り付けられた状態で前記スイッチ筐体(3)の外面(3c)に当接支持される外向きに延びるつば(19a)を有し、かつ前記スリーブ(19)が、取り付けられた状態で前記スイッチ筐体(3)の内面(3b)に当接支持する固定リング(23)によって前記スイッチ筐体(3)に着脱自在に保持されることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記スリーブ(19)が第1雄ねじ(19c)および第2雄ねじ(19d)を有し、前記第1雄ねじ(19c)および前記第2雄ねじ(19d)が前記つば(19a)によって互いに分離され、取り付けられた状態で前記固定リング(23)が前記第1雄ねじ(19c)と係合し、かつ取り付けられた状態で前記ねじリング(17)が前記第2雄ねじ(19d)と係合することを特徴とする、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記スリーブ(19)が前記スイッチ筐体(3)に対してねじれを防止するように固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記スリーブ(19)が、前記スイッチ筐体(3)に配置された凹部(25)と係合する半径方向外向きに突出する突耳(24)を前記つば(19a)の領域に有することを特徴とする、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記被覆要素(4)のねじリング(17)が、取り付けられた状態で前記スイッチ筐体(3)の外面(3c)に押し付けられることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記被覆要素(4)が接続リング(4c)を持つハットとして構成され、前記ねじリング(17)が前記接続リング(4c)によって密閉され、かつ前記接続リング(4c)の一部分が、前記スイッチ筐体(3)の外面(3c)と前記ねじリング(17)との間に固締されることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
前記スイッチ筐体(3)が、前記スイッチング要素(2)のための開口(18)の領域に、前記接続リング(4c)の下方部分に対向して位置する囲繞壁(3d)を持つ凹部(20)を有することを特徴とする、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記被覆要素(4)がその接続リング(4c)の領域に組立治具(21)のための外側輪郭(4f)を有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項9】
前記接続リング(4c)の前記外側輪郭(4f)が、前記囲繞壁(3d)に対向して位置する前記接続リング(4c)の領域の外側に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記被覆要素(4)がその接続リング(4c)の領域で、前記スイッチ筐体(3)の方向に円錐状に増大するように構成されることを特徴とする、請求項1ないし9の一項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記接続リング(4c)が、前記ねじリング(17)の外歯と係合する内歯を有することを特徴とする、請求項5ないし10のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項12】
前記被覆要素(4)が接着剤またはボンディング接続によって前記スイッチ筐体(3)に固定されることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509553(P2012−509553A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535988(P2011−535988)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064859
【国際公開番号】WO2010/057805
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(504054468)デマグ クレインズ アンド コンポーネンツ ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】