説明

映像プリント装置及び映像プリント方法

【課題】利用者が満足できる印刷物を作成し易い映像プリント装置を提供する。
【解決手段】 予め準備されている画像と、利用者の肖像を合成した画像を表示、印刷する映像プリント装置であって、撮影手段により撮影された利用者の肖像により作成された人物画像データと、利用者により選択された合成用画像データとを合成して合成画像を編集、生成する画像データ合成手段と、前記画像データ合成手段により合成された合成画像を、登録画像データとしてデータ蓄積手段に登録する合成画像データ登録手段と、前記登録画像データが登録される登録画像データ蓄積手段と、前記画像データ合成手段により合成された前記合成画像又は、前記登録画像データ蓄積手段に登録されている1以上の前記登録画像データを表示する表示手段と、前記画像データ合成手段により合成された合成画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め用意されている画像の中から任意の画像を選択し、これと被撮影者の画像とを合成して作成した映像を印刷できる映像プリント装置、及び映像プリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、内臓カメラ等によって顔を撮影し、これと予め用意されている背景画像の中から選択した画像を合成して作成した合成画像を印刷する映像プリント装置が、ゲームセンターや観光名所のみならず、街頭等にも数多く設置され、利用されるようになってきた。この種の映像プリント装置は撮影が気軽に出来、またオリジナルな印刷物が作成できるので、遊び感覚も加わり高い人気を得ている。そしてこの映像プリント装置に関しては色々な種類のものが既に提供されているが、その殆どは、写真をシール状に印刷する写真シールプリント装置である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の映像プリント装置は以下に示す欠点があった。
従来の映像プリント装置であれば、始めに背景画像を選択し、次に肖像を撮影し、それからこれらを合成するので、利用者は合成作業に入る前に実際に印刷物が完成した時のイメージを予め掴むことは容易でなく、その結果必ずしも利用者の満足する印刷物とならないケースも多かった。また合成に用いる画像と利用者の肖像とのマッチングを好ましいものにするためには撮影時に利用者が適切なポーズを取る必要があるが、そもそもどのようなポーズが適切であるか、合成用の画像だけでは想像し難いので適切なポーズをとることも容易ではなく、さらにポーズによっては照明の当たり具合が不適切となり、利用者の肖像とのマッチングが好ましくない場合があり、問題であった。
【0004】
さらに印刷物をシールとした場合、利用者は作成したシールを気軽にどこにでも貼れるという点においては好ましいが、このようなシールを作成する映像プリント装置では、作成されるシールは小さいので、利用者の顔もしくは上半身が小さく写るだけであり、そのため例えば出来上がったシールを何らかの記念や記録として保存したり、又他人に見せる為に常に携帯するにはあまり好ましいものとはいえなかった。
【0005】
そして、従来の映像プリント装置では、せっかくその場で印刷物を作成しても、その印刷物がアルバム等の形でその場に自動的に残らないので、利用者はその映像プリント装置を利用する他者に自らをアピールすることが困難であった。
【0006】
そこで本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者の流行を把握しやすく、また利用者が満足出来る印刷物を作成しやすくし、さらに利用者が自らをアピールしやすい環境を提供する映像プリント装置及び映像プリント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る映像プリント装置は、予め準備されている画像と、利用者の肖像を合成した画像を表示、印刷する映像プリント装置であって、少なくとも、利用者の指示を入力する入力手段と、利用者の肖像と合成する合成用画像データを予め記憶しておく合成用画像データ記憶手段と、利用者を撮影する撮影手段と、前記合成用画像データ記憶手段に記憶されている合成用画像データから1つ又は複数の合成用画像データを選択する合成用画像データ選択手段と、前記撮影手段により撮影された利用者の肖像により作成された人物画像データと、前記合成用画像データ選択手段により選択された合成用画像データを合成して合成画像を編集、生成する画像データ合成手段と、前記画像データ合成手段により合成された合成画像を、登録画像データとしてデータ蓄積手段に登録する合成画像データ登録手段と、前記登録画像データが登録される登録画像データ蓄積手段と、前記画像データ合成手段により合成された前記合成画像又は、前記登録画像データ蓄積手段に登録されている1以上の前記登録画像データを表示する表示手段と、前記画像データ合成手段により合成された合成画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る映像プリント装置は、請求項1に記載の映像プリント装置において、前記映像データ群作成手段は、複数の前記映像データ群を作成することを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る映像プリント装置は、請求項1又は2に記載の映像プリント装置において、前記画像データ合成手段により合成された合成画像を、前記登録画像データ蓄積手段に登録するか否かを選択する選択手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る映像プリント装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の映像プリント装置において、前記映像データ群作成手段は、前記登録画像データが前記登録画像データ蓄積手段に新たに登録される毎に、前記表示手段に表示される前記映像データ群の配列を更新することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に係る映像プリント装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の映像プリント装置において、前記合成画像を登録した利用者とは別の利用者が、前記登録画像データ蓄積手段に登録された前記登録画像データを、前記表示手段に表示することができることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に係る映像プリント方法は、予め準備されている画像と、利用者の肖像とを合成した画像を表示、印刷する映像プリント方法であって、利用者の肖像と合成する合成用画像データを予め複数記憶しておく合成用画像データ記憶ステップと、利用者を撮影して、利用者の肖像を表す人物画像データを生成する撮影ステップと、前記記憶した複数の合成用画像データから1つ又は複数の合成用画像データを選択する合成用画像データ選択ステップと、前記撮影により得られた利用者の肖像を表す人物画像データと、前記合成用画像データ選択ステップで選択された合成用画像データとを合成して合成画像データを生成する画像データ合成ステップと、前記画像データ合成ステップにより合成された合成画像データを、登録画像データとしてデータ蓄積手段に登録する登録画像データ登録ステップと、前記データ蓄積手段に登録された登録画像データを編纂して映像データ群を作成する映像データ群作成ステップと、前記合成画像データ、又は前記映像データ群をモニタに表示する画像データ表示ステップと、前記合成画像データに基づいて、前記画像表示された合成画像を印刷用紙に印刷する印刷ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7に係る映像プリント方法は、請求項6に記載の映像プリント方法において、前記映像データ群作成ステップは、複数の前記映像データ群を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の映像プリント装置によれば、常に流行に適した合成用画像データを用意することが可能なので、利用者に飽きられることがなく、また利用率も高く出来るので好適である。またモデル人物・背景画像データやこれに連携させた撮影ポーズ指導手段を設けたので、利用者はこのモデル人物・背景画像データを利用することで予め合成画像のイメージが掴みやすく、また撮影ポーズ指導手段を設けているので、写真撮影に不慣れな利用者が本発明の映像プリント装置を用いても、ごく自然なポージングをとることが可能となり、その結果利用者の満足できる印刷物の作成が可能となる。
【0015】
そして、この映像プリント装置に登録された登録画像データが常にビデオモニタに表示されるので、このビデオモニタが、既に登録されている合成画像を見渡たせる電子アルバム的にも利用されることになり、故に利用者が自ら作成した合成画像をこの映像プリント装置に登録すれば、ビデオモニタを利用した自己PRや記念にもなり好ましいだけでなく、他の利用者にも最新の流行や、新しく登録した合成画像が判るので、本装置の利用者同士で連帯感を持つことが出来るようになるのでよい。さらに利用者はこのビデオモニタを通じて人気投票なども行えるので、ゲーム性も有する事となり、つまりはより娯楽性を持たせた映像プリント装置とすることが出来る。
【0016】
また、この映像プリント装置では、印刷物をシールではなく厚手のカードとし、またカード全面に印刷可能としたので、保存に適し、可搬性にも大変優れており、また程よい大きさなので、何が印刷されているか、どのような画像であるか、がはっきりと判るので、好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明に係る映像プリント装置Aの実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
図1はこの実施の形態に係る映像プリント装置Aの正面図、図2は映像プリント装置Aの左側面図、図3は図1中X−X線による断面図、そして図4は図2中Y−Y線による概略断面図である。
【0019】
この映像プリント装置Aは、撮影装置部Pと撮影室Qを有する。
撮影室Qには背面パネル12を設けているが、この背面パネル12の内側は、例えば青色等の特定の色に着色してあり、利用者Mは撮影時に、この背面パネル12の前に立つようになっている。また、ここで図示した背面パネル12の材質や形状は特に定めるものではなく、図示した形状以外であっても、撮影時に利用者の背景に背面パネル12以外の余計な背景が入らないような形態となっていればよい。
【0020】
撮影装置部Pは、利用開始時に料金を投入する為の料金投入口13、投入された料金を保管しておく料金ボックス11、利用者の肖像を撮影する撮影手段であるビデオカメラ3、撮影時に使用する照明灯8、後述のようにして作成した合成画像45を印刷前に確認するために、ハーフミラー5を介してスクリーン窓4に表示する第1表示手段である第1ビデオモニタ1、合成画像45を印刷用紙Rに印刷する印刷手段であるプリンタ6、出来上がった印刷物を取出す為の印刷物取出口10、を備えている。
【0021】
またその他に、映像プリント装置Aの各部を操作、制御するコンピュータ7が備えられており、このコンピュータ7は利用者Mの指示を入力する入力手段である操作スイッチ9により操作される。
【0022】
操作スイッチ9は図5に示すように、選択スイッチ9a、決定スイッチ9b、取消スイッチ9c、で構成されているが、これはあくまでも一例であり、この形状に限定されるものではない。本実施の形態では、利用者Mは、後述のように、操作スイッチ9を第1ビデオモニタ1の表示に従って操作する事によりコンピュータ7を操作し、映像プリント装置Aの操作、制御を行う。例えば、操作スイッチ9を操作して、後述の合成用画像データ40を選択する合成用画像データ選択手段として利用する。
【0023】
さらにこの撮影装置部Pには第2ビデオモニタ2が備えられているが、これは、後述するように、コンピュータ7に登録されている合成画像45を表示するための第2表示手段として用いられている。
【0024】
このように構成される映像プリント装置Aによる合成画像の作成方法について簡単に説明する。まず利用者Mは、撮影室Qに入り、料金投入口13に所定の料金を投入して映像プリント装置Aを操作可能な状態とする。そして操作スイッチ9を操作して利用したい合成用画像データ40を選択し、次に利用者M自らの肖像をビデオカメラ3により撮影する。尚、本実施の形態では、利用者Mの撮影時に利用者がポーズを取る補助手段として、モデル人物画像データ、モデル人物・背景画像データ、及び撮影ポーズ指導手段が用意されており、利用者Mは、必要な場合にこれらのデータ、手段を利用出来、また必要でない場合は、これらを利用しなくても合成画像45の作成が可能となっている。利用するかしないかは、操作スイッチ9の操作によって決定される。そして撮影された肖像はコンピュータ7により人物画像データ43に加工され、この人物画像データ43と先に利用者が選択した合成用画像データ40をコンピュータ7により合成して合成画像45を作成する。この合成画像45の作成は、後で図10に示すフローチャートを参照しながら、改めて詳細に説明する。
【0025】
以下、この合成画像45を作成するのに必要な個々のデータ、装置等についてさらに詳しく説明する。
【0026】
まず、合成用画像データ40について説明する。この合成用画像データ40は、コンピュータ7を構成する合成用画像データ登録装置24aに登録されている。そして合成用画像データ40は図6に示すように、グラフィック画像データ41、前景画像データ42、背景画像データ44より成る。また合成用画像データ40は、人物画像データ43と組み合わせて1つの合成画像45となる時に調和が取れるように、例えば人物画像データ43を挿入する部分が空白になっている、等のように、予め加工されている。
【0027】
グラフィック画像データ41とは、例えばユーザの名前やメッセージ等をコンピュータ7により書き込んで作成する画像である。この入力に用いる文字のフォントや種類、デザイン等は予めコンピュータ7に蓄積されており、利用者はこの中から好みのものを選択出来る。
【0028】
前景画像データ42とは、図6に示すように人物画像データ43に被せるようにして合成するために用いる画像である。
【0029】
背景画像データ44とは、図6に示すように人物画像データ43の背景となる画像である。
【0030】
また、本実施の形態において、前景画像データ42及び背景画像データ44は、利用者が選択しやすいように、それぞれ類似したデザイン毎にグループ化して登録してある。つまり、前景画像データ42及び背景画像データ44について、それぞれ32種類のデザインを用意し、この32種類のデザインを、例えば風景デザインのグループ、ポップ調デザインのグループ、等のように、4つのグループに分類して登録してある。1つのグループには8種類のデザインが用意されている。
【0031】
このように準備することで、利用者Mにとっては、32種類のデザインを一度に第1ビデオモニタ1に表示するよりも、8種類表示したほうが、1つ1つのデザインをよく観察できるし、また最初に利用したいグループを選択すれば、8種類のデザインから選択すればよいので、選択に要する時間も短くなり、また選択作業も簡潔に出来るので、好ましい。
【0032】
次に、モデル人物画像データ及びモデル人物・背景画像データについて説明する。
【0033】
これは利用者Mが合成用背景画像データ44を準備するに際して、前景画像データ42や背景画像データ44を選択する時に実際に完成した合成画像45のイメージを掴みやすくするために用意しているものである。そしてこれらのデータも、コンピュータ7を構成する合成用画像データ登録装置24aに登録されている。
【0034】
このモデル人物画像データとは、特定の合成用画像データ40のデザインに適したポーズをとった人物画像だけが写されたデータであり、顔だけの画像、上半身の画像、全身画像、等の様々な画像の様々なアングルのデータが用意されている。さらに、人物が1人の場合、2人以上の場合、等のデータも用意すると、より好ましい。また、モデル人物・背景画像データとは、前記のモデル人物画像データに特定の合成用画像データ40も一緒に写されたデータである。
【0035】
このモデル人物画像データは次のように利用される。利用者Mが、まず前景画像データ42及び背景画像データ44を選択し準備した後、選択したデータに適したモデル人物画像データを選択し、これらを合成して、モデル人物・背景画像データを作成する。尚、ここで詳述はしないが、このモデル人物・背景画像データを作成するモデル人物・背景画像データ作成手段はコンピュータ7に備えられている。
【0036】
或いは、前述の通り、予めコンピュータ7に用意される前景画像データ42及び背景画像データ44に対応したモデル人物画像データを含んだモデル人物・背景画像データを、まず合成画像データ登録装置24aに前以て登録しておき、利用者Mは、前景画像データ42及び背景画像データ44を選択する際に、操作スイッチ9を操作して、このモデル人物・背景画像データを第1ビデオモニタ1に表示し、このモデル人物・背景画像データ中のモデル肖像の表情、或いはポーズ等を参照して、前景画像データ42及び背景画像データ44を選択する。
【0037】
この作業を行うことにより、利用者Mはイメージ通りの合成画像45が得られるかどうかを確認することができるので、利用者Mの満足度の高い合成画像45の作成が可能となる。またモデル人物・背景画像データを用いれば、前景画像データ42及び背景画像データ44の選択作業と、モデル人物画像データの選択作業を一度に行うことができるので、より簡潔に作業ができて好適である。
【0038】
また、モデル人物画像データ及びモデル人物・背景画像データのモデルがとるポーズやモデルの人数も色々用意しておけば、利用者Mが肖像を撮影する時のポージングの参考となるので、利用者Mが自ら選択した合成用画像データ40に適したポーズを取りやすくなり、やはり利用者Mの満足度の高い合成画像45の作成が可能となるので好ましい。
【0039】
また本実施の形態では、肖像撮影に慣れていない利用者Mの為に、利用者Mがビデオカメラ3の前でポーズをとる時に、撮影ポーズ指導手段として、音声で利用者Mのポーズをガイドする音声案内手段を設けてある。この音声案内手段は、先に利用者Mが選択したモデル人物画像データ、或いは利用者Mが選択したモデル人物・背景画像データに応じてコンピュータ7によって選択されたモデル人物画像データ、又は利用者Mが作成したモデル人物・背景画像データ、と連動しており、利用者Mが実際に自分自身の撮影を開始する時に、音声案内手段が利用者Mに対してモデルと同じポーズをとるように指導を行うように構成されている。
【0040】
簡単にこの音声案内手段によるポージングについて説明すると、まず利用者Mが合成用画像データ40を選択し、後述する撮影モードを選択すると、この段階で利用者は音声案内手段を利用するか否かの選択を行う。利用する場合、ここでは詳述しないコンピュータ7のプログラムにより、先に利用者Mが選択した合成画像データ及び後述する撮影モードに応じて、合成用画像データ登録手段24aに予め登録されているモデル人物画像データ43、或いは合成用画像データ40の1つが例示的な画像として表示される。そして、コンピュータ7により、利用者は、例えば顔や体の向き、腕の位置、などを先述の例示的な画像である合成画像45に適するように音声により案内、指導される。このようにしてポージングが決定されると、次の段階に進む。
【0041】
尚、上述したモデル人物画像データ、モデル人物・背景画像データ、及び音声案内手段によるガイドが必要でない場合は、操作スイッチ9を操作することで、これらのデータ、手段を省略して、肖像の撮影を行えるように構成されている。
【0042】
次に、利用者Mの肖像撮影及び人物画像データ43について説明する。
【0043】
利用者Mがビデオカメラ3で撮影した肖像は、コンピュータ7により人物画像データ43となるが、この際、人物画像データ43はクロマキー手法等により、合成作業が行われる前に予め余分な背景領域が除去される。
【0044】
また利用者自身を撮影する時、合成用画像データ40のデザイン、及び利用者Mの人数に応じて、コンピュータ7がビデオカメラ3の撮影画角を決定するように構成されている。この実施の形態においては図7に示すように、顔のみを写すズームアップ51、上半身を写す標準52、全身を写すロング53、の3つのカメラアングルを用意している。
【0045】
さらに利用者Mがビデオカメラ3で肖像を撮影する時、撮影アングルによっては肖像に明暗が生じてしまい、クリアな印刷物の作成が困難になることが考えられたり、肖像に陰影をつけることで効果的な印刷物を作成することも考えられるので、本実施の形態では、コンピュータ7により制御される照明灯8を用意している。つまり、照明手段として、コンピュータ7が、選択された合成用画像データ40やモデル人物画像データ、モデル人物・背景画像データ等に適した照明を判断し、その照明に適合するように照明灯8を点灯する構成を有している。
【0046】
この照明灯8について、図8を参照しつつ説明すると、合成用画像データ40のデザインに応じて、例えばフラットな状態で撮影する必要がある場合は、図8(a)に示すように照明灯を点灯し、右横からの照明を主体にして、肖像に陰影をつけるような撮影を行う必要がある場合は、図8(b)に示すように右側の照明灯を点灯し、左横からの照明が必要であれば、図8(c)に示すように左側の照明灯を点灯するように、コンピュータ7が制御する。尚、図中白丸が点灯中の照明灯であり、黒丸は消灯中の照明灯である。一般的には、フラットな照明で撮影した肖像はカラー印刷に適しており、また、多少の陰影をつけた肖像は、モノクローム、またはセピア調の印刷物に適しているが、いずれにせよ、合成用画像データ40のデザインにより、上記いずれかの点灯方法が選択される。
【0047】
以上に説明した個々のデータ、装置等によって、利用者Mは本映像プリント装置Aで合成画像45を合成するのであるが、本実施の形態に係る映像プリント装置Aでは、この合成画像45を、例えば利用者Mが自己PRのため、記念のため、等の目的を達成するために、この映像プリント装置Aに登録画像データとして登録し、その登録画像データをコンピュータ7により第1映像データ群として編纂し、これを第1ビデオモニタ1又は第2ビデオモニタ2のいずれか一方又は双方に表示するように構成している。また同時に、合成画像45を登録した利用者Mとは別の新たな利用者Mが、すでに登録された登録画像データの中から、好みの登録画像データを選び、投票する事が出来る機能と、この投票結果を基に人気の高い登録画像データのランキングを作成し、これをコンピュータ7で第2映像データ群として編纂し、これを第1ビデオモニタ1又は第2ビデオモニタ2のいずれか一方又は双方に表示するする機能も有している。このようにランキングを作成することで、利用者の参加意欲を刺激し、また映像プリント装置Aの設置者が利用者の流行を把握する手がかりともなるのである。
【0048】
尚、この第1映像データ群及び第2映像データ群の編纂方法については後述するが、操作スイッチ9を操作することで、登録を望まない利用者Mは、この登録を省略することも可能となっている。
【0049】
登録画像データは、コンピュータ7を構成する登録画像データ蓄積装置24bに蓄積され、またこの登録画像データは、映像プリント装置Aの第2ビデオモニタ2によって、映像プリント装置A周辺の通行人に常時見えるようになっている。表示の方法については様々な形態が考えられるが、本実施の形態においては、新しく登録された順から所定の数、例えば最新の100個の登録画像データを第1映像データ群として順番に表示するようになっている。さらに、利用者Mの投票の結果、人気の高かった登録画像データを、コンピュータ7により第2映像データ群として編纂し表示するようにもなっている。
【0050】
また同時に第1ビデオモニタ1では、第2ビデオモニタ2と同様にして第1映像データ群及び第2映像データ群の表示を行う他に、利用者Mが操作スイッチを操作することで第1映像データ群及び第2映像データ群を自由に閲覧し、またその中から気に入った登録画像データを選択して投票することが可能な構成となっている。
【0051】
尚、この第2ビデオモニタ2を省略して、第1ビデオモニタ1だけとすることも考えられる。
【0052】
以上のように、本映像プリント装置Aにおいては、利用者Mは作成した合成画像45を本映像プリント装置Aに登録したり、過去に登録された登録画像データの中から気に入ったものに投票することができるように構成されている。
【0053】
そこで、次に、以上のように合成画像45を作成したり、合成画像45を登録画像データとして本映像プリント装置Aに登録し、その登録画像データを第1映像データ群及び第2映像データ群として編纂する、等の、本映像プリント装置Aの制御を司るコンピュータ7について、図9のブロック図を参照しながら簡単に説明する。
【0054】
このコンピュータ7には、合成用画像データ40や、モデル人物画像データ、モデル人物・背景画像データ等を予め登録している、合成用画像データ登録手段である合成用画像データ登録装置24a、及び映像プリント装置Aで作成した合成画像45を登録画像データとして蓄積する登録画像データ蓄積手段である登録画像データ蓄積装置24b、より成るハードディスク24と、撮影された利用者Mの肖像の人物画像データ43化、合成用画像データ40の選択、人物画像データ43と合成用画像データ40の合成、合成画像45の印刷用紙Rへの印刷、等の制御を行う第1CPU20と、登録画像データ登録装置24bに登録された合成画像45の第2ビデオモニタ2への表示に関する制御を行う第2CPU21と、第1CPU20、第2CPU21の制御プログラムが記憶されているROM22と、第1CPU20、第2CPU21の作業領域、或いは画像処理時に画像メモリとして使用されるRAM23と、ハードディスク24に合成用画像データ40等を供給する、取り外し可能な補助記憶装置25と、第1ビデオモニタ1及び第2ビデオモニタ2に表示する各種画像データの表示制御を行うモニタコントローラ27と、ビデオカメラ3の出力である映像信号を第1CPU20、第2CPU21で処理可能なようにデータ変換を行うカメラインタフェース26と、操作スイッチ9による操作情報、及び料金ボックス11から供給される料金情報を第1CPU20に出力すると共に、第1CPU20から照明灯8の点灯制御信号の受け渡しを行う周辺機器インタフェース回路28と、第1CPU20で処理された合成画像45の印刷を行うプリンタ6を制御するプリンタコントローラ29と、映像プリント装置Aが作動中、必要に応じて音声や背景音楽などを発生する音声発生手段31と、を備えている。尚、この音声発生手段31は、後述の撮影ポーズ指導手段としても利用される。
【0055】
また、上述したROM22、RAM23、ハードディスク24、補助記憶装置25、カメラインタフェース26、モニタコントローラ27、周辺機器インターフェース回路28、プリンタコントローラ29、及び音声発生手段31は、図示のようにバス30を介して第1CPU20及び第2CPU21に接続されている。
【0056】
そして、ROM22に格納されている第1CPU20の制御プログラムと、RAM23内の画像メモリとにより画像合成手段が形成されている。
【0057】
このように構成されるコンピュータ7の第1CPU20による、本実施の形態に係る映像プリント装置Aの動作制御について、図5のフローチャート等を参照しつつ説明する。
【0058】
映像プリント装置Aの利用者は、まず撮影室Qに入り撮影装置部Pの正面に設けられている料金投入口13に所定の料金を投入することにより撮影動作が開始され、ステップS1に進む。
【0059】
ステップS1では、投入された料金の合計金額や撮影を促すメッセージが第1ビデオモニタ1に表示される。表示を行うとステップS2に進む。
【0060】
ステップS2では、規定通りの料金が投入されたか判定し、投入が確認されればステップS3に進む。
【0061】
本実施の形態では、先述の通り利用者が合成用画像データ40を選択しやすいように、合成用画像データ40のデザインの種類によって幾つかのグループに分けているが、このステップS3では、用意された合成用画像データ40のグループの中から利用者の好みのグループを選択するように促すメッセージが第1ビデオモニタ1に表示され、利用者は操作スイッチ9を操作して、好みの合成用画像データ40のグループを選択する。選択が完了するとステップS4に進む。
【0062】
ステップS4では、第1ビデオモニタ1に、ステップS3で選択したグループに属する合成用画像データ40が表示され、利用者は操作スイッチ9の操作により、好みの合成用画像データ40を選択する。選択を完了するとステップS5に進む。
【0063】
ステップS5では、利用者は自ら選んだ合成用画像データ40がそれでよいかどうか、操作スイッチ9を操作して決定する。もしよければステップS6に進む。もし変更をしたければ、再びステップS4に戻る。尚、このステップS5で合成用画像データ40を決定すると、後述のように、選択された合成用画像データ40のデザインに合せてビデオカメラ3の撮影画角が、図7に例示するように、ズームアップ51、標準52、ロング(広角)53、のいずれかに自動的に決定される。
【0064】
ステップS6では、自身の肖像と合成する、自分の名前やメッセージ等を、第1ビデオモニタ1を見ながら、操作スイッチ9を操作して作成、入力し、合成用画像データ40に含まれるグラフィック画像データ41を作成する。作成が完了すると、ステップS7に進む。
【0065】
ステップS7では、図11に示すような画面が第1ビデオモニタ1を介してスクリーン窓4に表示され、利用者は操作スイッチ9を操作して、撮影モードを選択する。またビデオカメラ3のズームレンズは、後述するように、選択された撮影モードに応じて微調整がなされる。尚、このビデオカメラ3の制御用のプログラムは予めCPU20に用意されている。撮影モードを決定すると、ステップS8に進む。
【0066】
ステップS8では、利用者は人物画像データ43を作成するための撮影を行う準備として、撮影用のポーズを決定する。ここで本実施の形態では、先述の撮影ポーズ指導手段を利用した撮影指導を行うかどうかの問い合わせが第1ビデオモニタ1に表示され、利用者は操作スイッチ9により、要、不要を決定する。撮影指導を行う、と決定をすると、撮影モードに合せて、かつ利用者が選択した合成用画像データ40に適したポーズを、第1ビデオモニタ1に表示し、同時に音声案内手段により、案内、指導を行う。撮影の準備が完了するとステップS9に進む。
【0067】
ステップS9では、先述のように、撮影に適した照明灯が自動的に点灯して、撮影室Q内の利用者Mの肖像撮影を、セルフタイマ方式で所定の回数、例えば4回撮影する。同時に撮影された利用者Mの肖像を人物画像データ43に加工する。所定回数の撮影が終了するとステップS10に進む。
【0068】
ステップS10では、所定回数撮影された利用者の人物画像データ43が第1ビデオモニタ1に表示される。そして利用者は、操作スイッチ9を操作して、その中から好みの1枚を選択する。選択が完了するとステップS11に進む。
【0069】
ステップS11では、ステップS10で選択された人物画像データ43と、ステップS5で選択された合成用画像データ40と、ステップS6で作成されたグラフィック画像データ41と、を合成して、合成画像45を作成する。
【0070】
ステップS12では、ステップS11で作成した合成画像45を登録画像データとして映像プリント装置Aに登録するか否かを問い合わせるメッセージを第1ビデオモニタ1に表示する。そして利用者は操作スイッチ9を操作して登録するか否かを決定する。登録をしない場合はステップS13に、登録をする場合にはステップS17に進む。
【0071】
ステップS13では、最近登録された合成画像45や、人気投票によるランキング上位の合成画像45を、図12に例示するような画面で、第1映像データ群及び第2映像データ群として第1ビデオモニタ1に表示する。尚、画面には常に最新のデータが表示される。画面表示がなされると、ステップS14に進む。
【0072】
ステップS14では、例えば図12に表示されるような画面から、利用者Mが気に入った登録画像データを、操作スイッチ9を操作して選択し決定する。本実施の形態では1つしか選択できないようにしてあるが、選択可能な数はこれに限定されない。選択が終了すると、ステップS15に進む。
【0073】
ステップS15では、ステップS14の人気投票の結果を受けて、登録画像データ蓄積装置24b内の第2映像データ群のデータ更新を行う。データ更新が終了すると、ステップS16に進む。
【0074】
ステップS16では、人気投票の結果を第2CPU21に転送する。転送が終了すると、ステップS20に進む。
【0075】
また、先のステップS12で合成画像の登録を選択するとステップS17に進むことは説明したが、このステップS17では、利用者が作成した合成画像45を登録画像データ蓄積装置24bに登録する。登録が完了するとステップS18に進む。
【0076】
ステップS18では、新たに登録された合成画像45をもとに、登録画像データ蓄積装置24bの第1映像データ群のデータ更新を行う。データ更新が完了すると、ステップS19に進む。
【0077】
ステップS19では、データ登録が完了したメッセージを第1ビデオモニタ1に表示する。表示がなされると、ステップS20に進む。
【0078】
ステップS20では、利用者が作成した合成画像45を印刷し、印刷物を印刷物取出口10から排出する。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態における映像プリント装置Aでの印刷物の作成が完了する。
【0080】
尚、第1映像データ群及び第2映像データ群の編纂、更新は、第1CPU20による映像プリント装置Aの処理と同時に、第2CPU21において並行処理されている。第2CPU21において処理され、作成された第1映像データ群及び第2映像データ群は、先述の通り、常に第2ビデオモニタ2に表示される。そこで次に、第2CPU21による第1映像データ群及び第2映像データ群の第2ビデオモニタ2への表示等に関する制御について、図6のフローチャート等を参照しつつ説明する。
【0081】
まず、ステップS21では、図10のフローチャートにおけるステップS14及びステップS17によるデータから、最新の利用状況、即ち、どのような合成用画像データ40に人気があるか、どのような撮影モードに人気があるか、等、利用者Mの好みの傾向を判断し、その傾向をデータ化してプレイ情報としてまとめ、データが新しくなるたびにこの情報を更新する。尚、後述のランキング表示を以ってこのステップS21の代用とし、このステップS21を省略することも考えられる。この表示が終了すると、ステップS22に進む。
【0082】
ステップS22では、ステップS21で更新されたプレイ情報に関するデータに基づき、最新の第1映像データ群を第2ビデオモニタ2に表示する。表示を行うと、ステップS23に進む。
【0083】
ステップS23では、登録画像データ蓄積装置24bに新しい登録画像データがあるかどうかを調べ、もし新しい登録画像データ(D1−1)があれば、それを第2ビデオモニタ2に短時間表示する。尚、本実施の形態では新しい登録画像データの表示を短時間行うようにしているが、これを省略することも考えられる。表示が終了するとステップS24に進む。
【0084】
ステップS24では、登録画像データ蓄積装置24bに登録されている第1映像データ群を始めから表示するか否かを調べる。表示すべきと判断した場合はステップS25に、否の場合はステップS26に進む。
【0085】
ステップS25では、登録画像データ蓄積装置24bに登録されている第1映像データ群(D1−2)を、最初から所定の個数だけ一度にまとめて、又は順番に、短時間ずつ、第2ビデオモニタ2に表示をする。表示が終了するとステップS27に進む。
【0086】
ステップS26では、登録画像データ蓄積装置24bに登録されている第1映像データ群であって、すでに表示がなされた一群の第1映像データ群を除いた残りの画像データから、任意の個数だけの登録画像データ(D1−2)をまとめて順番に、短時間ずつ第2ビデオモニタ2に表示する。表示が終了すると、ステップS27に進む。
【0087】
ステップS27では、前述の図5のステップS15で作成した第2映像データ群中、ランキング上位から所定の数の登録画像データ(D2−1)を一度にまとめて、又は順番に、短時間づつ第2ビデオモニタ2に表示する。表示が終了するとステップS28に進む。
【0088】
ステップS28では、登録されていて、かつこの段階で未だ表示されていない第1映像データ群を、所定の個数だけ一度にまとめて、又は順番に、短時間ずつ、第2ビデオモニタ2に表示する。表示が終了するとステップS29に進む。
【0089】
ステップS29では、再びステップS27と同様に、第2映像データ群中、ランキング上位の画像データ(D2−2)を第2ビデオモニタ2に表示する。ここで、画像データ(D2−2)を(D2−1)と全く同一のものにすることも考えられるが、(D2−1)を「今週のランキング」、(D2−2)を「先週のランキング」、等のように、内容に変化を持たせて、周囲の興味を引くことも考えられる。この表示が終了すると、ステップS30に進む。
【0090】
ステップS30では、先のステップS28と同様に、未だ表示されていない第1映像データ群を、所定の個数だけ一度にまとめて、又は順番に、短時間ずつ、第2ビデオモニタ2に表示する。表示が終了するとステップS31に進む。
【0091】
ステップS31では、登録画像データ蓄積装置24bに登録されている登録画像データが最後まで全て表示された否かを調べる。もしまだ表示されずに残っている登録画像データがあると判断すれば、ステップS30に戻り、残りの表示を続ける。もし全て表示されていると判断すれば、ステップS32に進む。
【0092】
ステップS32では、登録画像データ蓄積装置24bに登録されている登録画像データが再び最初から表示されるよう第1CPU20の制御プログラムをセットして、ステップS21に戻る。
【0093】
以上のようにして、第2CPU21は常に第2ビデオモニタ2に登録画像データ蓄積装置24bに登録されている登録画像データを何らかの形で表示している。尚、ここで説明したランキング上位画像データの表示の方法は、さらに詳述はしないが、ここで示したもの以外にも様々な方法が考えられる。
【0094】
次に、ステップS4及びステップS5において、第1CPU20の制御プログラムにより自動的に行われるビデオカメラ3の制御について、図14及び図15のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0095】
まずステップS4におけるビデオカメラ3のズームレンズの撮影画角の設定について図14を参照しつつ説明すると、まずステップS41では、選択された合成用画像データ40のデザイン様式を調べる。本実施の形態においては、この合成用画像データ40のデザイン様式は、撮影画角がズームアップであることが望ましいもの、標準であることが望ましいもの、ロングであることが望ましいもの、の3つに分類されている。撮影画角が判断されると、次のステップに進む。本実施の形態においては、ズームアップを選択した場合はステップS42に、標準の場合はステップS43に、ロングの場合はステップS44に、それぞれ進む。
【0096】
ステップS42〜ステップS44では、選択された合成用画像データ40のデザインに応じてそれぞれの撮影画角における標準値にズームレンズを設定する。設定が終わるとステップS45に進む。
【0097】
ステップS45では、利用者Mが選択した撮影モードについて調べる。本実施の形態においては、この撮影モードは、1人撮影、2人撮影、3人撮影、の3つが用意されている。撮影モードが判断されると、次のステップに進む。本実施の形態においては、1人撮影を選択した場合はステップS46に、2人撮影の場合はステップS47に、3人撮影の場合はステップS48に、それぞれ進む。
【0098】
ステップS46〜ステップS48で、それぞれの撮影画角により適するように、ビデオカメラ3のズームレンズを微調整する。
【0099】
この微調整について、図14を参照しつつ説明すると、まずステップS46で、ビデオカメラ3のズームレンズの撮影画角を1人撮影用に微調整した後、ステップS51に進む。
【0100】
ステップS51では、再び合成用画像データ40のデザインを調べる。その結果、デザインがズームアップタイプであればステップS52に、ロングタイプであればステップS53に進む。
【0101】
ステップS52では、ビデオカメラ3のズームレンズの撮影画角を1人撮影に適した設定値になるようにズーミングする方向に微調整する。
【0102】
ステップS53では、ビデオカメラ3のズームレンズの撮影画角を1人撮影に適した設定値になるようにロング側に微調整する。
【0103】
以上のステップS52又はステップS53の微調整が終わると、ビデオカメラ3のズームレンズの準備が完了したことになり、引き続き撮影作業に移る。
【0104】
尚、図13に示すフローチャートにおいてステップS41〜ステップS45で決まった撮影画角でよい場合は、撮影レンズの撮影画角はそのままにしておいて、引き続き撮影作業に移る。
【0105】
またステップS47及びステップS48に進んだ場合におけるズームレンズの撮影画角の設定についても、設定値が異なるのみで、ステップS46における撮影画角の決定と同様の制御を行えばよい。
【0106】
尚、本実施の形態では、以上に説明した通りズームレンズは自動的に調整されるが、これ以外に、ここでは詳述しないが、コンピュータ7による自動制御を行わず、利用者Mが操作スイッチ9を操作することでズームレンズを制御する、などの手段を設けることも考えられる。
【0107】
以上のようにして、本発明に係る映像プリント装置Aにより合成画像45が作成され、印刷される。ところで、この合成画像45の印刷を、従来の映像プリント装置のように、シール紙に印刷することも可能であるが、本実施の形態による映像プリント装置では、合成画像45をシール紙ではなく、厚手タック紙Tである印刷用紙Rに印刷するように構成している。
【0108】
従来のようにシール印刷をする場合では、出来上がったシールをどこにでも気軽に貼ることができる、という利点がある反面、シールである為に、どこかに貼り付けてもすぐ剥がれてしまう、通常のシールであると印刷面が摩擦により傷みやすい、等の理由により保存が困難であったり、シールが小さいので、せっかく合成画像を作成してもその内容がよく分からずに、楽しめない、という欠点を有している。
【0109】
そこで、本実施の形態では、これらの欠点を解消すべく、合成画像の印刷を通常タック紙と呼ばれる印刷用紙に行うのである。
【0110】
この本実施の形態による映像プリント装置Aに用いる印刷用紙Rであるタック紙Tについて、図を参照しつつ説明をする。
【0111】
このタック紙Tは、少なくとも印画紙層62と、厚手中間支持層63と、裏面支持層64と、よりなり、かつハーフカット処理がなされた領域72を有する画像記録シート67と、表面に剥離粘着剤65が貼着されている剥離紙66と、より構成されている。また印画紙層62の表面上に合成画像45を記録する画像記録層61を設け、この画像記録層61として、インクジェット記録インクを受容するインクジェット式画像記録層、溶融インクを受容する溶融インク式画像記録層、染料を受容する染料式画像記録層、又は感熱発光による記録を行う感熱発光式画像記録層、等を用いることが考えられるが、ここでは特にインクジェット式画像記録層を用いた場合を中心に説明をする。
【0112】
図15は、インクジェット式画像記録層を用いたタック紙Tの部分拡大断面図である。印画紙層62は厚さ80μmの印画紙で構成している。その表面を、セラミックス微粒子を厚さ20μmになるようにコートして、これを画像記録層61とする。
【0113】
印画紙層62の下部には、多孔質構造を有する厚さ280μmのユポ紙を用いた厚手中間支持層63を設けている。尚、ユポ紙以外にも、パルプ紙や厚紙を用いることも可能である。また厚手中間支持層63の裏面に、本映像プリント装置Aの商標や絵柄などを印刷してあると、より印刷物の独自性が出せるのでよい。
【0114】
そして厚手中間支持層63の下部は、透明な、厚さ50μmのポリエチレンで構成した裏面支持層64となっている。
【0115】
以上の、画像記録層61、印画紙層62、厚手中間支持層63、裏面支持層64、を順に合紙して画像記録シート67としてある。そしてこの画像記録シート67の裏面には、剥離粘着剤65をその表面に有した剥離紙66を貼着してある。尚、剥離紙66は厚さ50μmのポリエチレンで作られている。
【0116】
そして、画像記録シート67に剥離紙66を貼着した段階で、画像記録シート67にハーフカットを施し、これを印刷用紙Rとして利用する。
【0117】
このようにして作成された印刷用紙Rの一例を図17に示す。図中71はインクジェットタック紙の外形を示しているが、この例では面積が約0.01程度としてあり、また印刷方向を定めるために、その一角をカットしてある。図中72はハーフカットされた領域を示し、印刷用紙Rに印刷がなされたあと、このハーフカット領域から用紙を切り離して、カードとなる。また図中73は印刷可能領域を示している。このように印刷可能領域をハーフカット領域よりも大きく取ることにより、最終的にえられるカードは全面印刷されたものとなるのである。
【0118】
尚、画像記録層61として、例えばポリエステル樹脂等を用いた染着性樹脂を用い、染料を受容する画像寿様相とすることにより、このタック紙を昇華型間熱転写タック紙としたり、熱溶融性インクと親和性のある素材でミクロン単位の細かい孔を有するように印画紙層62表面をコーティングした溶融型感熱転写タック紙とすることも可能である。
【0119】
さらに、図17に示すように、画像記録層61を設ける代わりに、印画紙層62に例えばTAペーパー(商品名:富士写真フィルム株式会社製)等のサーモオートクローム紙を利用することも可能である。
【0120】
このサーモオートクローム紙とは、印画紙層62の表面に、先の画像記録層61と同様の働きをする部分として、イエロー発色層81、マゼンダ発色層82、シアン発色層83の3層構造の最表面に耐熱性補護層84を設けたものである。イエロー発色層81、マゼンダ発色層82、シアン発色層83それぞれには、各色の発色素材である熱応答性マイクロカプセルが含まれている。
【0121】
このようにTAペーパーを印画紙層62として採用することにより、直接感熱記録タック紙を作成することが出来る。
【0122】
尚、以上説明中に用いた数値はすべて本実施の形態に用いられているものであるが、必ずしもこの数値には限定されない。
【0123】
このように作成された印刷用紙Rを本発明に係る映像プリント装置Aに用いることにより、厚手のカードに全面印刷されるので、また可搬性に優れ、保存しやすく、印刷も大きく明確なカードを作成できるので、大変好適である。さらにカードに余白を持たせずに全面印刷することが可能なので、より高級感のあるカードとすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明によれば、利用者が満足できる映像プリントを作成することが可能な映像プリント装置を提供することができる点において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る映像プリント装置の正面図である。
【図2】本発明に係る映像プリント装置の左側面図である。
【図3】図1中X−X線による概略断面図である。
【図4】図2中Y−Y線による概略断面図である。
【図5】操作スイッチの一例を示す図である。
【図6】合成用画像データ及び合成画像の一例を示す図である。
【図7】ビデオカメラの撮影画角設定の一例を示す図である。
【図8】照明灯の点灯例を示す図である。
【図9】コンピュータのブロック図である。
【図10】第1CPUによる映像プリント装置の制御を説明するフローチャートである。
【図11】撮影モードの表示の一例を示す図である。
【図12】第1映像データ群又は第2映像データ群の表示の一例を示す図である。
【図13】第2CPUによる映像プリント装置の制御を説明するフローチャートである。
【図14】ズームレンズの撮影画角設定の仕方を説明するフローチャートである。
【図15】1人撮影用のズームレンズ撮影画角設定の仕方を説明するフローチャートである。
【図16】インクジェット式画像記録層を用いたタック紙の部分拡大断面図である。
【図17】本実施の形態に係る印刷用紙の一例を示す平面図である。
【図18】サーモオートクローム紙を用いた印刷用紙の一例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0126】
A 映像プリント装置
P 撮影装置部
Q 撮影室
M 利用者
1 第1ビデオモニタ
2 第2ビデオモニタ
3 ビデオカメラ
4 スクリーン窓
5 ハーフミラー
6 プリンタ
7 コンピュータ
8 照明灯
9 操作スイッチ
9a 選択スイッチ
9b 決定スイッチ
9c 取消スイッチ
10 印刷物取出口
11 料金ボックス
12 背面パネル
13 料金投入口
20 第1CPU
21 第2CPU
22 ROM
23 RAM
24 ハードディスク
24a 合成用画像データ登録装置
24b 登録画像データ蓄積装置
25 補助記憶装置
26 カメラインターフェース
27 モニタコントロータ
28 周辺機器インターフェース
29 プリンタコントローラ
30 バス
31 音声発生手段
40 合成用画像データ
41 グラフィック画像データ
42 前景画像データ
43 人物画像データ
44 背景画像データ
45 合成画像
51 ズームアップ撮影による画像
52 標準撮影による画像
53 ロング撮影による画像
R 印刷用紙
T タック用紙
61 画像記録層
62 印画紙層
63 厚手中間支持層
64 裏面支持層
65 剥離粘着剤
66 剥離紙
67 画像記録シート
71 インクジェットタック紙の外形
72 ハーフカットされた領域
73 印刷可能領域
81 イエロー発色層
82 マゼンダ発色層
83 シアン発色層
84 耐熱性保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め準備されている画像と、利用者の肖像を合成した画像を表示、印刷する映像プリント装置であって、
少なくとも、
利用者の指示を入力する入力手段と、
利用者の肖像と合成する合成用画像データを予め記憶しておく合成用画像データ記憶手段と、
利用者を撮影する撮影手段と、
前記合成用画像データ記憶手段に記憶されている合成用画像データから1つ又は複数の合成用画像データを選択する合成用画像データ選択手段と、
前記撮影手段により撮影された利用者の肖像により作成された人物画像データと、前記合成用画像データ選択手段により選択された合成用画像データを合成して合成画像を編集、生成する画像データ合成手段と、
前記画像データ合成手段により合成された合成画像を、登録画像データとしてデータ蓄積手段に登録する合成画像データ登録手段と、
前記登録画像データが登録される登録画像データ蓄積手段と、
前記登録画像データ蓄積手段に登録された登録画像データを編纂して、1以上の前記登録画像データよりなる映像データ群を作成する映像データ群作成手段と、
前記画像データ合成手段により合成された前記合成画像又は、前記映像データ群を表示する表示手段と、
前記画像データ合成手段により合成された合成画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、を備えてなる、
ことを特徴とする映像プリント装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像プリント装置において、
前記映像データ群作成手段は、複数の前記映像データ群を作成する、
ことを特徴とする映像プリント装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の映像プリント装置において、
前記画像データ合成手段により合成された合成画像を、前記登録画像データ蓄積手段に登録するか否かを選択する選択手段を備える、
ことを特徴とする映像プリント装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の映像プリント装置において、
前記映像データ群作成手段は、前記登録画像データが前記登録画像データ蓄積手段に新たに登録される毎に、前記表示手段に表示される前記映像データ群の配列を更新する、
ことを特徴とする映像プリント装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の映像プリント装置において、
前記合成画像を登録した利用者とは別の利用者が、前記登録画像データ蓄積手段に登録された前記登録画像データを、前記表示手段に表示することができる、
ことを特徴とする映像プリント装置。
【請求項6】
予め準備されている画像と、利用者の肖像とを合成した画像を表示、印刷する映像プリント方法であって、
利用者の肖像と合成する合成用画像データを予め複数記憶しておく合成用画像データ記憶ステップと、
利用者を撮影して、利用者の肖像を表す人物画像データを生成する撮影ステップと、
前記記憶した複数の合成用画像データから1つ又は複数の合成用画像データを選択する合成用画像データ選択ステップと、
前記撮影により得られた利用者の肖像を表す人物画像データと、前記合成用画像データ選択ステップで選択された合成用画像データとを合成して合成画像データを生成する画像データ合成ステップと、
前記画像データ合成ステップにより合成された合成画像データを、登録画像データとしてデータ蓄積手段に登録する登録画像データ登録ステップと、
前記データ蓄積手段に登録された登録画像データを編纂して映像データ群を作成する映像データ群作成ステップと、
前記合成画像データ、又は前記映像データ群をモニタに表示する画像データ表示ステップと、
前記合成画像データに基づいて、前記画像表示された合成画像を印刷用紙に印刷する印刷ステップと、を含む、
ことを特徴とする映像プリント方法。
【請求項7】
請求項6に記載の映像プリント方法において、
前記映像データ群作成ステップは、複数の前記映像データ群を作成する、
ことを特徴とする映像プリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−295598(P2007−295598A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145242(P2007−145242)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【分割の表示】特願平10−199270の分割
【原出願日】平成10年7月14日(1998.7.14)
【出願人】(597047392)辰巳電子工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】