説明

映像信号処理装置及び映像信号処理方法

【課題】既存の映像表示装置を用いて立体映像を視聴できるようにする。
【解決手段】インターレース方式に対応した映像表示装置に映像信号を出力する映像信号処理装置100は、映像入力信号S_INを、左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号S_Lと、右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号S_Rとに分離する映像信号分離部120と、映像信号分離部120により得られた左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換する映像信号変換部140とを具備する。映像信号変換部140は、トップフィールド及びボトムフィールドのうち、一方のフィールドに対応させて左眼用映像信号S_Lを変換し、且つ、他方のフィールドに対応させて右眼用映像信号S_Rを変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像視聴システムで用いられる映像信号処理装置及び映像信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、視聴者が立体映像を視聴できる立体映像視聴システムが注目されている。このような立体映像視聴システムでは、別々の角度で撮影して得られた左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを並べて構成された映像フレームに対応する映像入力信号が映像表示装置に入力される(例えば特許文献1参照)。そして、映像表示装置は、当該映像入力信号に基づいて、左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを交互に表示する。なお、1枚の映像フレーム内で左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを左右に並べる方式は「サイド・バイ・サイド」と称され、上下に並べる方式は「トップ・アンド・ボトム」と称される。
【0003】
視聴者は、例えば、左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームの切り替わりと同期して左右シャッターが開閉するシャッター眼鏡を使用して立体映像を視聴する。具体的には、シャッター眼鏡は、左眼用映像フレームが表示される際に左眼シャッターを開くとともに右眼シャッターを閉じ、右眼用映像フレームが表示される際に右眼シャッターを開くとともに左眼シャッターを閉じる。このように、立体映像視聴システムでは、左眼及び右眼のそれぞれで見る映像のずれ、すなわち「視差」を利用して、擬似的な立体映像を視聴可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−80727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、立体映像視聴システムでは、サイド・バイ・サイド又はトップ・アンド・ボトムの映像入力信号を処理可能な映像表示装置が必要となるため、アナログテレビ等の既存の映像表示装置を用いて立体映像を視聴できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、既存の映像表示装置を用いて立体映像を視聴できるようにする映像信号処理装置及び映像信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る映像表示装置の特徴は、インターレース方式に対応した映像表示装置(映像表示装置10)に映像信号を出力する映像信号処理装置(映像信号処理装置100)であって、左眼用映像フレーム(左眼用映像フレームF_L)及び右眼用映像フレーム(右眼用映像フレームF_R)を並べて構成される映像フレーム(映像フレームF_IN)に対応する映像入力信号(映像入力信号S_IN)が入力される信号入力部(映像信号入力部110)と、前記信号入力部により得られた前記映像入力信号を、前記左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号(左眼用映像信号S_L)と、前記右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号(右眼用映像信号S_R)とに分離する信号分離部(映像信号分離部120)と、前記信号分離部により得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換する映像信号変換部(映像信号変換部140)と、前記映像信号変換部からの映像出力信号を前記映像表示装置に出力する映像信号出力部(映像信号出力部145)とを具備し、前記映像信号変換部は、インターレース方式への変換時に、トップフィールド及びボトムフィールドのうち、一方のフィールドに対応させて前記左眼用映像信号を変換し、且つ、他方のフィールドに対応させて前記右眼用映像信号を変換することを要旨とする。
【0008】
このような特徴によれば、映像表示装置とは別体の映像信号処理装置において、映像入力信号を左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号と、右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号とに分離する。さらに、映像信号処理装置は、左眼用映像信号及び右眼用映像信号のそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換して出力する。これにより、アナログテレビ等の既存の映像表示装置を用いて立体映像を視聴可能になる。
【0009】
本発明に係る映像表示装置の他の特徴は、上記特徴に係る映像表示装置において、前記映像信号変換部は、前記信号分離部により得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれをインターレース方式に変換した上で合成し、所定のアナログテレビジョン放送規格(例えばNTSC規格)に従った映像出力信号を出力することを要旨とする。
【0010】
本発明に係る映像表示装置の他の特徴は、上記特徴に係る映像表示装置において、トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡を制御するための制御信号を出力する制御信号出力部(制御信号出力部150)をさらに具備することを要旨とする。
【0011】
本発明に係る映像表示装置の他の特徴は、上記特徴に係る映像表示装置において、デジタルテレビ放送波を受信して前記映像入力信号を出力する放送波受信部をさらに具備することを要旨とする。
【0012】
本発明に係る映像信号処理方法の特徴は、インターレース方式に対応した映像表示装置に映像信号を出力するための映像信号処理方法であって、左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを並べて構成される映像フレームに対応する映像入力信号を、前記左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号と、前記右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号とに分離するステップ(ステップS20)と、前記分離するステップで得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換するステップ(ステップS40)と、前記変換するステップで得られた映像信号を前記映像表示装置に出力するステップ(ステップS60)とを具備し、前記変換するステップでは、トップフィールド及びボトムフィールドのうち、一方のフィールドに対応させて前記左眼用映像信号を変換し、且つ他方のフィールドに対応させて前記右眼用映像信号を変換することを要旨とする。
【0013】
本発明に係る映像信号処理方法の他の特徴は、上記特徴に係る映像信号処理方法において、前記変換するステップは、インターレース方式に変換された左眼用映像信号及び右眼用映像信号のそれぞれに対応する映像信号を合成するステップと、前記合成するステップで得られた映像信号から、所定のアナログテレビジョン放送規格に従った映像出力信号を生成するステップとを具備することを要旨とする。
【0014】
本発明に係る映像信号処理方法の他の特徴は、上記特徴に係る映像信号処理方法において、トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡を制御するための制御信号を出力するステップをさらに具備することを要旨とする。
【0015】
本発明に係る映像信号処理方法の他の特徴は、上記特徴に係る映像信号処理方法において、デジタルテレビ放送波を受信して前記映像入力信号を出力するステップをさらに具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、既存の映像表示装置を用いて立体映像を視聴できるようにする映像信号処理装置及び映像信号処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る立体映像視聴システムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る映像信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る映像信号処理装置の動作を説明するための動作説明図(その1)である。
【図4】本発明の実施形態に係る映像信号処理装置の動作を説明するための動作説明図(その2)である。
【図5】本発明の実施形態に係る映像信号処理装置の動作を説明するための動作説明図(その3)である。
【図6】本発明の実施形態に係る映像信号処理方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の変更例に係る映像信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態について、(1)立体映像視聴システムの構成、(2)映像信号処理装置の構成、(3)映像信号処理装置の動作、(4)映像信号処理方法、(5)実施形態の効果、(6)その他の実施形態の順に説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
(1)立体映像視聴システムの構成
図1は、本実施形態に係る立体映像視聴システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、立体映像視聴システム1は、映像信号処理装置100、映像表示装置10、及びシャッター眼鏡20を有する。
【0020】
映像信号処理装置100は、チューナ装置又はディスク再生装置からの映像入力信号S_INが入力され、映像出力信号S_OUTを映像表示装置に出力する。また、映像信号処理装置100は、制御信号CTLをシャッター眼鏡20に出力する。制御信号CTLは、立体映像視聴用のシャッター眼鏡20の左右シャッターの切り替わりを、映像表示装置10が交互に表示する左右映像の切り替わりと同期させるための信号である。
【0021】
本実施形態では、映像入力信号S_INは、サイド・バイ・サイドの映像信号である。具体的には、1枚の映像フレームF_IN内で左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rが左右に並べられている(図3参照)。また、本実施形態では、映像出力信号S_OUTは、アナログテレビジョン放送規格の一つであるNTSC規格に従った映像信号である。
【0022】
映像表示装置10は、映像信号処理装置100から、NTSC規格に従った映像出力信号S_OUTが入力され、映像を表示する。本実施形態では、映像表示装置10は、アナログテレビ(又はアナログディスプレイ)である。すなわち、映像表示装置10は、インターレース方式に対応しているものの、プログレッシブ方式には対応していない。
【0023】
シャッター眼鏡20は、映像信号処理装置100からの制御信号CTLが入力される。なお、制御信号CTLの伝送は、有線であってもよく無線であってもよい。シャッター眼鏡20は、左眼用シャッター及び右眼用シャッターを具備し、制御信号CTLに応じて左眼用シャッター及び右眼用シャッターのそれぞれを開閉する。なお、左眼用シャッター及び右眼用シャッターは、例えば液晶シャッターとして構成される。
【0024】
(2)映像信号処理装置の構成
次に、映像信号処理装置100の構成を説明する。図2は、映像信号処理装置100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、映像信号処理装置100は、映像信号入力部110、映像信号分離部120、左眼映像用フレームバッファ130L、右眼映像用フレームバッファ130R、映像信号変換部140、映像信号出力部145、及び制御信号出力部150を具備する。
【0025】
映像信号入力部110は、映像信号処理装置100の外部から映像入力信号S_INが入力される。映像信号入力部110は、映像入力信号S_INを映像信号分離部120に出力する。
【0026】
映像信号分離部120は、映像信号入力部110からの映像入力信号S_INが入力される。映像信号分離部120は、左眼用映像フレームF_Lに対応する左眼用映像信号S_Lを左眼映像用フレームバッファ130Lに出力し、右眼用映像フレームF_Rに対応する右眼用映像信号S_Rを右眼映像用フレームバッファ130Rに出力する。
【0027】
左眼映像用フレームバッファ130Lは、映像信号分離部120からの左眼用映像信号S_Lが入力され、左眼用映像信号S_Lを一時的に記憶する。左眼映像用フレームバッファ130Lは、左眼用映像信号S_Lを映像信号出力部140に出力する。
【0028】
右眼映像用フレームバッファ130Rは、映像信号分離部120からの右眼用映像信号S_Rが入力され、右眼用映像信号S_Rを一時的に記憶する。右眼映像用フレームバッファ130Rは、右眼用映像信号S_Rを映像信号出力部140に出力する。
【0029】
映像信号変換部140は、左眼映像用フレームバッファ130Lからの左眼用映像信号S_Lと、右眼映像用フレームバッファ130Rからの右眼用映像信号S_Rとが入力される。映像信号変換部140は、映像出力信号S_OUTを生成して映像信号出力部145に出力し、同期信号SYNを制御信号出力部150に出力する。
【0030】
映像信号出力部145は、映像信号変換部140から入力された映像出力信号S_OUTを映像表示装置10に出力する。
【0031】
制御信号出力部150は、映像信号出力部140からの同期信号SYNが入力される。制御信号出力部150は、制御信号CTLをシャッター眼鏡20に出力する。
【0032】
(3)映像信号処理装置の動作
次に、映像信号処理装置100の動作を説明する。図3〜図5は、映像信号処理装置100の動作を説明するための動作説明図である。なお、図3〜図5において、「0」はトップフィールドを意味し、「1」はボトムフィールドを意味する。
【0033】
図3に示すように、映像信号入力部110は、左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rを並べて構成される映像フレームF_INに対応する映像入力信号S_INが入力される。
【0034】
図4に示すように、映像信号分離部120は、映像信号入力部110により得られた映像入力信号S_INを、左眼用映像フレームF_Lに対応する左眼用映像信号S_Lと、右眼用映像フレームF_Rに対応する右眼用映像信号S_Rとに分離する。また、映像信号分離部120は、左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rのそれぞれを水平方向に2倍に拡張するように、左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを処理(例えば補間処理)する。これにより、左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rのそれぞれは、水平方向のサイズが1映像フレーム分確保される。
【0035】
左眼映像用フレームバッファ130Lは、水平拡張処理が施された左眼用映像信号S_Lを記憶する。右眼映像用フレームバッファ130Rは、水平拡張処理が施された右眼用映像信号S_Rを記憶する。
【0036】
映像信号変換部140は、左眼用映像信号S_L、及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換した上で合成する。具体的には、図4及び図5に示すように、映像信号変換部140は、インターレース方式への変換時に、トップフィールドに対応させて左眼用映像信号S_Lを変換し、且つ、ボトムフィールドに対応させて右眼用映像信号S_Rを変換する。
【0037】
すなわち、映像信号変換部140は、図4に示す左眼用映像フレームF_Lのトップフィールドのみを抽出するとともに、図4に示す右眼用映像フレームF_Rのボトムフィールドのみを抽出する。その結果、左眼用映像フレームF_Lのボトムフィールドは破棄され、右眼用映像フレームF_Rのトップフィールドは破棄される。このように、左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rのそれぞれは、1/2のライン数になるように間引かれる。
【0038】
さらに、映像信号変換部140は、図5に示す合成後の映像フレームに対応する映像信号を、NTSC規格に従った映像出力信号S_OUTとして出力する。映像出力信号S_OUTは、トップフィールドの開始を示す同期信号SYN_1と、トップフィールドからボトムフィールドへの切り替わりを示す同期信号SYN_2とを含む。これらの同期信号SYNは、制御信号出力部150に入力される。
【0039】
また、映像出力信号S_OUTは、映像信号出力部145に入力される。映像信号出力部145は、映像出力信号S_OUTを映像表示装置10に出力する。
【0040】
制御信号出力部150は、トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡20を制御するための制御信号CTLを出力する。具体的には、制御信号出力部150は、映像信号変換部140からの同期信号SYNに応じて制御信号CTLを出力する。
【0041】
例えば、制御信号出力部150は、同期信号SYN_1が入力されるとハイレベルの制御信号CTLを出力し、同期信号SYN_2が入力されるとロウレベルの制御信号CTLを出力する。この場合、シャッター眼鏡20は、ハイレベルの制御信号CTLが入力されると左眼用シャッターを開くとともに右眼用シャッターを閉じる。また、シャッター眼鏡20は、ロウレベルの制御信号CTLが入力されると左眼用シャッターを閉じるとともに右眼用シャッターを開く。
【0042】
なお、図5に示す合成後の映像フレームに対応する映像出力信号S_OUTが入力された映像表示装置10は、インターレース方式に従って、トップフィールドを走査し、次いでボトムフィールドを走査する。通常のインターレース方式では、トップフィールド及びボトムフィールドは同一の映像フレームから作成されるが、上述したように、本実施形態では、トップフィールド及びボトムフィールドは異なる映像フレーム(左眼用映像フレームF_L、及び右眼用映像フレームF_R)から作成されている。
【0043】
シャッター眼鏡20は、トップフィールドが走査されている期間、すなわち左眼用映像が表示されている期間においては、左眼の視野を確保するように動作している。また、シャッター眼鏡20は、ボトムフィールドが走査されている期間、すなわち右眼用映像が表示されている期間においては、右眼の視野を確保するように動作している。その結果、左眼及び右眼のそれぞれで見る映像のずれ、すなわち「視差」を利用して、擬似的な立体映像を視聴可能にすることができる。
【0044】
(4)映像信号処理方法
次に、本実施形態に係る映像信号処理方法を説明する。図6は、本実施形態に係る映像信号処理方法を示すフローチャートである。
【0045】
ステップS10において、映像信号入力部110は、N番目の映像フレームについて、映像入力信号S_INが入力される。
【0046】
ステップS20において、映像信号分離部120は、映像信号入力部110により得られた映像入力信号S_INを、左眼用映像フレームF_Lに対応する左眼用映像信号S_Lと、右眼用映像フレームF_Rに対応する右眼用映像信号S_Rとに分離する。
【0047】
ステップS30において、左眼映像用フレームバッファ130Lは左眼用映像信号S_Lを記憶し、右眼映像用フレームバッファ130Rは右眼用映像信号S_Rを記憶する。
【0048】
ステップS40において、映像信号変換部140は、トップフィールドに対応させて左眼用映像信号S_Lを変換し、且つ、ボトムフィールドに対応させて右眼用映像信号S_Rを変換する。
【0049】
ステップS50において、映像信号変換部140は、変換された左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを合成する。
【0050】
ステップS60において、映像信号変換部140は、合成後の映像フレームに対応する映像信号を、NTSC規格に従った映像出力信号S_OUTとして出力し、映像信号出力部145は、当該映像出力信号S_OUTを映像表示装置10に出力する。また、制御信号出力部150は、トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡20を制御するための制御信号CTLを出力する。
【0051】
ステップS70において、Nの値に1が加算された後、処理がステップS10に戻り、次の映像入力信号S_INに対する映像信号処理が開始される。
【0052】
(5)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、映像表示装置10とは別体の映像信号処理装置100において、映像入力信号S_INを、左眼用映像フレームF_Lに対応する左眼用映像信号S_Lと、右眼用映像フレームF_Rに対応する右眼用映像信号S_Rとに分離する。さらに、映像信号処理装置100は、左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換して出力する。これにより、アナログテレビ等の既存の映像表示装置10を用いて立体映像を視聴可能になる。
【0053】
また、本実施形態では、映像信号変換部140は、映像信号分離部120により得られた左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれをインターレース方式に変換した上で合成し、NTSC規格に従った映像出力信号として出力する。これにより、既存のアナログテレビを用いて立体映像を視聴可能になる。
【0054】
本実施形態では、映像信号処理装置100は、トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡20を制御するための制御信号CTLを出力する制御信号出力部150を具備する。これにより、映像信号処理装置100からシャッター眼鏡を制御するための制御信号CTLを出力可能になるため、映像信号処理装置100における左眼用映像及び右眼用映像の切り替わりとシャッター眼鏡20の切り替わりとを同期させることができる。
【0055】
(6)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0056】
(6.1)変更例1
例えば、デジタルテレビ放送波を受信可能なチューナ装置を本発明に係る映像信号処理装置としてもよい。図7は、本変更例に係る映像信号処理装置100の構成を示すブロック図である。図7に示すように、本変更例に係る映像信号処理装置100は、放送波受信部160をさらに具備する。放送波受信部160は、アンテナ101からのデジタルテレビ放送波が入力される。放送波受信部160は、デジタルテレビ放送波を復調(及び復号)し、映像入力信号S_INを出力する。映像信号入力部110は、放送波受信部160からの映像入力信号S_INが入力される。その他の構成は上述した実施形態と同様である。本変更例によれば、デジタルテレビ放送波を受信可能な映像信号処理装置100(すなわち、チューナ装置)を提供できる。
【0057】
さらに、放送波受信部160に代えて、光ディスクを再生するディスク再生部を具備してもよい。ディスク再生部は、光ディスクに記録されたコンテンツを再生し、映像入力信号S_INを出力する。映像信号入力部110は、ディスク再生部からの映像入力信号S_INが入力される。その他の構成は上述した実施形態と同様である。このような構成によれば、光ディスクを再生可能な映像信号処理装置100(すなわち、光ディスク装置)を提供できる。
【0058】
(6.2)変更例2
上述した実施形態においては、映像信号分離部120が、左眼用映像フレームF_L及び右眼用映像フレームF_Rのそれぞれを水平方向に2倍に拡張するように、左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rのそれぞれを処理(例えば補間処理)していた。しかしながら、このような水平拡張処理は、必ずしも映像信号分離部120が行う必要はない。例えば、映像信号変換部140が、左眼用映像信号S_L及び右眼用映像信号S_Rを合成する際に水平拡張処理を行ってもよい。
【0059】
この場合、映像信号変換部140は、水平拡張処理が施されていない左眼用映像信号S_L、及び水平拡張処理が施されていない右眼用映像信号S_Rのそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換した上で合成する。そして、映像信号変換部140は、合成後の映像フレームに対応する映像信号に対して水平拡張処理を施し、NTSC規格に従った映像出力信号S_OUTとして出力する。
【0060】
(6.3)変更例3
上述した実施形態では、映像出力信号S_OUTは、アナログテレビジョン放送規格の一つであるNTSC規格に従った映像信号であると説明した。しかしながら、NTSC規格に限らず、PAL等の他のアナログテレビジョン放送規格に従った映像信号であってもよい。
【0061】
(6.4)変更例4
上述した実施形態では、映像表示装置10の一例として、インターレース方式のテレビジョン受像機又はディスプレイを説明したが、テレビジョン受像機又はディスプレイに限らず、映像表示装置10がプロジェクタであってもよい。また、映像表示装置10が、インターレース方式及びプログレッシブ方式の両方式に対応したものであってもよい。
【0062】
(6.5)変更例5
上述した実施形態では、視聴者側において、アクティブシャッター方式の眼鏡(シャッター眼鏡20)が使用されるケースを説明したが、偏光方式等の他の方式が採用されてもよい。
【0063】
(6.6)変更例6
上述した実施形態では、サイド・バイ・サイドの映像入力信号S_INが映像信号処理装置100に入力されるケースを説明したが、トップ・アンド・ボトムの映像入力信号S_INが映像信号処理装置100に入力されてもよい。
【0064】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0065】
CTL…制御信号、F_IN…映像フレーム、F_L…左眼用映像フレーム、F_R…右眼用映像フレーム、SYN…同期信号、S_IN…映像入力信号、S_L…左眼用映像信号、S_R…右眼用映像信号、S_OUT…映像出力信号、1…立体映像視聴システム、10…映像表示装置、20…シャッター眼鏡、100…映像信号処理装置、101…アンテナ、110…映像信号入力部、120…映像信号分離部、130L…左眼映像用フレームバッファ、130R…右眼映像用フレームバッファ、140…映像信号変換部、145…映像信号出力部、150…制御信号出力部、160…放送波受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターレース方式に対応した映像表示装置に映像信号を出力する映像信号処理装置であって、
左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを並べて構成される映像フレームに対応する映像入力信号が入力される信号入力部と、
前記信号入力部により得られた前記映像入力信号を、前記左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号と、前記右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号とに分離する信号分離部と、
前記信号分離部により得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換する映像信号変換部と、
前記映像信号変換部からの映像出力信号を前記映像表示装置に出力する映像信号出力部とを具備し、
前記映像信号変換部は、インターレース方式への変換時に、トップフィールド及びボトムフィールドのうち、一方のフィールドに対応させて前記左眼用映像信号を変換し、且つ他方のフィールドに対応させて前記右眼用映像信号を変換することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
前記映像信号変換部は、前記信号分離部により得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれをインターレース方式に変換した上で合成し、所定のアナログテレビジョン放送規格に従った映像出力信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡を制御するための制御信号を出力する制御信号出力部をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
デジタルテレビ放送波を受信して前記映像入力信号を出力する放送波受信部をさらに具備することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
インターレース方式に対応した映像表示装置に映像信号を出力するための映像信号処理方法であって、
左眼用映像フレーム及び右眼用映像フレームを並べて構成される映像フレームに対応する映像入力信号を、前記左眼用映像フレームに対応する左眼用映像信号と、前記右眼用映像フレームに対応する右眼用映像信号とに分離するステップと、
前記分離するステップで得られた前記左眼用映像信号及び前記右眼用映像信号のそれぞれを、プログレッシブ方式からインターレース方式に変換するステップと、
前記変換するステップで得られた映像信号を前記映像表示装置に出力するステップとを具備し、
前記変換するステップでは、トップフィールド及びボトムフィールドのうち、一方のフィールドに対応させて前記左眼用映像信号を変換し、且つ他方のフィールドに対応させて前記右眼用映像信号を変換することを特徴とする映像信号処理方法。
【請求項6】
前記変換するステップは、
インターレース方式に変換された左眼用映像信号及び右眼用映像信号のそれぞれに対応する映像信号を合成するステップと、
前記合成するステップで得られた映像信号から、所定のアナログテレビジョン放送規格に従った映像出力信号を生成するステップと
を具備することを特徴とする請求項5に記載の映像信号処理方法。
【請求項7】
トップフィールド区間及びボトムフィールド区間の切り替わりと同期して、シャッター眼鏡を制御するための制御信号を出力するステップをさらに具備することを特徴とする請求項5又は6に記載の映像信号処理方法。
【請求項8】
デジタルテレビ放送波を受信して前記映像入力信号を出力するステップをさらに具備することを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の映像信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−100028(P2012−100028A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245439(P2010−245439)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】