説明

映像信号受信装置及び映像伝送システム

【課題】 FM一括変換方式を用いた映像伝送システムにおいて、非線形効果による信号幅歪による映像品質の劣化を軽減する。
【解決手段】 V−ONUにおいて受信したFM一括変換信号を光―電気変換31、32した後、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器33を設置し、差動増幅器33の一方の入力端子に入力し、他方の入力端子に比較しきい値電圧を与える。差動増幅器33の出力により、FM一括復調回路34から出力されたFM一括キャリアレベルに基づき、信号幅歪検出部35、補正しきい値生成部36を経て、しきい値電圧が生成される。信号幅歪に応じてしきい値電圧を増減させることで、信号幅歪を減少させた信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号受信装置及び映像伝送システムに係り、特に、PON(Passive Optical Network)を用いたシステム等において、アナログ映像信号を伝送する映像信号受信装置及び映像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在地上波、衛星放送、同軸ケーブルによるケーブルテレビなどで配信されているTV信号を、光ファイバを用いて各家庭まで配信するシステムの導入が開始されている。既にPON(Passive Optical Network)を用いて構築されたFTTH(Fiber to the Home)システムでは、例えば、電話局から家庭へのデータ伝送に1490nmの波長を用い、家庭から電話局へのデータ伝送に1310nmの波長を用い、この2つの波長を波長多重して1本のファイバで双方向のデータ通信を実現している。上記映像信号を1550nmの波長の光信号に変換し、上記ファイバにさらに波長多重することで、既に設置された光ファイバを用いてテレビ向けのアナログ信号を伝送することが可能となっている。
【0003】
通常、テレビプログラムはテレビチャネル毎に異なる周波数の搬送波を用いてアナログ変調され、変調後の信号は例えば、6MHz間隔で周波数多重されて送信されている。この信号をさらに電気信号から上記光信号に変換することで、光ファイバを用いた伝送が可能となっている。このように複数の搬送波を束ねて伝送する方法は、SCM(Sub Carrier Multiplexing)と呼ばれている。
【0004】
品質の良好な映像信号は、例えば、50dB程度のC/N(キャリア/ノイズ比)を保ったまま伝送される必要があるが、光ファイバ伝送においてはファイバの接続点による光反射などの影響で、上記C/Nが30dB程度まで悪化してしまうことがある。この状況でも映像信号の品質を保つため、振幅歪に強い耐性を持つFM変調技術を応用し、上記SCM信号を一括してFM変調して伝送するFM一括変調技術が実用化されている。そして、上記技術によって伝送された映像信号は、家庭内に設置された受信器であるV−ONU(Video Optical Network Unit)内で光−電気変換された後にFM一括復調され、家庭内の同軸ケーブルを用いてテレビまで配信されている。この技術の詳細は、たとえば特開2001−119097に開示されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−119097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術においては、角度変調の一種であるFM変調が用いられているがゆえに、信号の振幅成分の歪ではなく、時間方向の歪である信号幅歪が被変調信号の品質劣化の主要因となるという特徴を持っている。
【0007】
伝送路上の光ファイバの非線形特性により生じる負方向(プラス方向の成分の信号が細る方向)の信号幅歪や、V−ONU等の受信システム内部の回路素子の非線形特性により生じる正方向(プラス方向の成分の信号が太る方向)の信号幅歪が上記信号幅歪の要因であるが、特に光ファイバによる映像信号伝送では、上記高いC/Nを得るために許される限り大きい伝送電力で信号伝送を行うことが多く、上記光ファイバの非線形特性や回路素子の非線形特性が映像品質に大きな悪影響を与えてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、FM一括変換方式を用いた映像伝送システムにおいて、より高い品質で映像信号を伝送することを目的とする。また、本発明は、FM一括変換方式を用いた映像伝送システムにおいて、伝送路の非線形特性により生じる負方向の信号幅歪、又は、装置の非線形特性により生じる正方向の信号幅歪、又は、これら両方の信号幅歪による映像及び音声等の信号品質の劣化を軽減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記課題を解決する方法として、概略以下のような方法で信号幅歪を補正する。
V−ONUにおいて受信したFM一括変換信号を光―電気変換した後、FM一括復調する前に、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器を設置し、上記差動増幅器の一方の入力端子に上記電気変換されたFM一括変換信号を入力し、他方の入力端子に比較しきい値電圧を与える。差動増幅器の利得は、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持たせておく。上記差動増幅器は、しきい値に近い部分の信号を大きな利得で増幅し、しきい値から離れた部分の信号を小さな利得で増幅するため、入力信号としきい値が交わる付近の信号幅を強調して再生するように信号を歪ませる効果が得られる。たとえば正弦波状の信号を本差動増幅器入力する時、正方向振幅の信号と負方向振幅の信号が同じ幅である正弦波状の信号の中心値にしきい値が一致していれば、増幅後の信号は振幅の両端での振幅歪が発生する場合があるものの正方向の信号と負方向の信号が同じ幅に保たれた出力が得られる。しきい値を下げると正方向振幅の信号に比べて負方向振幅の信号がより増幅されるため、正方向の信号の幅は広く、負方向の信号の幅が狭い出力が得られる。これは、入力信号の信号幅が広くなる方向に歪を与えたことに相当する。逆に、しきい値を上げると負方向振幅の信号に比べて正方向振幅の信号がより増幅されるため、正方向の信号の幅は狭く、負方向の信号の幅が広い出力が得られる。これは、入力信号の信号幅が狭くなる方向に歪を与えたことに相当する。したがって、FM一括変換信号の信号幅歪を測定した後、この作用を用いて、信号幅歪に応じて上記しきい値電圧を増減させることで、信号幅歪を減少させた信号を得ることが可能となる。
【0010】
信号幅歪を検出する具体的なひとつの手段として、FM一括変調キャリアレベルを検出する方法が有効である。無歪のFM一括変調信号をFM復調するとFM一括変調キャリアは完全に除去されるが、信号幅歪を被ったFM一括変調信号をFM復調するとFM一括変調キャリアが残留することが知られている。残留するキャリアレベルの大きさは信号幅歪が大きいほど大きい。ただし、無歪の信号の信号幅を広くする方向の歪(以後、正の信号幅歪と呼ぶ)でも狭くする方向の歪(以後、負の信号幅歪と呼ぶ)でもFM一括変調キャリアが残留するため、残留キャリアレベルの値から直接信号幅歪の符号(正の信号幅歪か負の信号幅歪か)を求めることができない。したがって、しきい値の調整は、以下の手順を踏んで行う。
【0011】
まず初期状態にてしきい値を中央値に設定しておく。信号を受信すると、キャリア周波数に合わせたバンドパスフィルタおよびレベル検出器を用いてFM一括キャリアレベルをモニタしておく。無歪条件ではゼロとなるべきキャリアレベルが、所定の値よりも低ければ信号幅歪は十分小さく、映像品質が高い状態である。キャリアレベルが所定の値よりも高ければ、許容以上の信号幅歪が発生しているとみなせる。ここでまず増幅器しきい値を減少方向にあらかじめ定めた1単位の電圧だけ変化させる。この結果、もしキャリアレベルが減少すれば、負方向に存在した信号幅歪に正の方向の信号幅歪が加えられて、最終的な歪が減少した可能性が高いと考えられる。続いて増幅器しきい値を増加方向にあらかじめ定めた1単位の電圧だけ変化させる。もしキャリアレベルが増加すれば、やはり負方向に存在した信号幅歪に、負方向の信号幅歪がさらに加えられて最終的な歪が増加した可能性が高いと考えられる。こうして、しきい値の増減の方向とキャリアレベルの増減の相関がとれれば、キャリアレベルが所定の値より小さくなるまで上記しきい値を変化させれば信号幅歪を補正することが可能となる。なお、正方向に存在した信号幅歪についても、同様にしきい値の調整をすることができる。
【0012】
ただし、信号幅歪が大きい場合、1単位のしきい値電圧の変化ではキャリアレベルの変化が検出できない可能性がある。あるいは雑音により、しきい値を増加させても減少させてもキャリアレベルが増加する場合、しきい値を増加させても減少させてもキャリアレベルが減少する場合も考えられる。この場合、上記しきい値電圧を2単位、3単位と増加させていきながら繰り返しキャリアレベルをモニタすることにより、いずれかの電圧でしきい値の増減の方向とキャリアレベルの増減の相関がとれるようになる。
【0013】
本発明の第1の解決手段によると、
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおける、映像信号受信装置であって、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを検出する信号幅歪検出部と、
上記信号幅歪検出部の出力から、信号幅歪に応じた補正しきい値を生成し、該補正しきい値を上記差動増幅器の他方の入力端子に出力する補正しきい値生成部と、
を備え、

上記補正しきい値生成部は、
初期状態にてしきい値を中央値に設定してFM一括キャリアレベルをモニタし、
しきい値を減少方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第1の変化量を求め、
しきい値を増加方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第2の変化量を求め、
上記第1及び第2の変化量に基づきしきい値を減少又は増加させることにより、FM一括キャリアレベルが予め定めた許容値以下になるようにしきい値の増加又は減少の変化方向と変化量とを調整し、
しきい値を減少させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させ、又は、しきい値を増加させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に太くなる正方向の信号幅歪を減少させるための、補正しきい値を求めるようにした、
前記映像信号受信装置が提供される。
【0014】
本発明の第2の解決手段によると、
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおける、映像信号受信装置であって、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
残留キャリア成分を抽出するためのバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの出力を保持するための抵抗とコンデンサを含む回路とを備え、上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを抽出し保持する残留キャリア成分抽出回路と、
上記残留キャリア成分抽出回路の出力から、予め定められた比較しきい値電圧と比較する比較器を有し、補正信号を出力するキャリアリーク量判定回路と、
を備え、
上記キャリアリーク量判定回路の上記比較器から出力される補正信号で上記差動増幅器のしきい値電圧を調整することにより、主要因が光伝送中の非線形効果によるパルス圧縮による信号幅歪又はプラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させるようにした、
前記映像信号受信装置が提供される。
【0015】
本発明の第3の解決手段によると、
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおいて、

上記送信装置は、
複数の映像信号をそれぞれ異なる周波数を持つ複数の搬送波を用いて変調する複数の変調部と、
上記複数の変調部によりそれぞれ複数の搬送波を用いて変調された複数の映像信号を周波数多重し、FM一括変調し、電気―光変換して送信するFM一括変調部と、
を備え、

上記受信装置は、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを検出する信号幅歪検出部と、
上記信号幅歪検出部の出力から、信号幅歪に応じた補正しきい値を生成し、該補正しきい値を上記差動増幅器の他方の入力端子に出力する補正しきい値生成部と、
を備え、
上記補正しきい値生成部は、
初期状態にてしきい値を中央値に設定してFM一括キャリアレベルをモニタし、
しきい値を減少方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第1の変化量を求め、
しきい値を増加方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第2の変化量を求め、
上記第1及び第2の変化量に基づきしきい値を減少又は増加させることにより、FM一括キャリアレベルが予め定めた許容値以下になるようにしきい値の増加又は減少の変化方向と変化量とを調整し、
しきい値を減少させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させ、又は、しきい値を増加させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に太くなる正方向の信号幅歪を減少させるための、補正しきい値を求めるようにした、
前記映像伝送システムが提供される。
【0016】
本発明の第4の解決手段によると、
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおいて、

上記送信装置は、
複数の映像信号をそれぞれ異なる周波数を持つ複数の搬送波を用いて変調する複数の変調部と、
上記複数の変調部によりそれぞれ複数の搬送波を用いて変調された複数の映像信号を周波数多重し、FM一括変調し、電気―光変換して送信するFM一括変調部と、
を備え、

上記受信装置は、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
残留キャリア成分を抽出するためのバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの出力を保持するための抵抗とコンデンサを含む回路とを備え、上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを抽出し保持する残留キャリア成分抽出回路と、
上記残留キャリア成分抽出回路の出力から、予め定められた比較しきい値電圧と比較する比較器を有し、補正信号を出力するキャリアリーク量判定回路と、
を備え、
上記キャリアリーク量判定回路の上記比較器から出力される補正信号で上記差動増幅器のしきい値電圧を調整することにより、主要因が光伝送中の非線形効果によるパルス圧縮による信号幅歪又はプラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させるようにした、
前記映像伝送システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、FM一括変換方式を用いてより高い品質で映像信号を伝送することが可能となる。
また、本発明によると、FM一括変換方式を用いた映像伝送システムにおいて、伝送路の非線形特性により生じる負方向の信号幅歪、又は、装置の非線形特性により生じる正方向の信号幅歪、又は、これら両方の信号幅歪による映像及び音声等の信号品質の劣化を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】FM一括変調伝送システムの構成図を示す。
【図2】FM一括変調方式の図を示す。
【図3】本発明の実施の形態のV−ONUの構成図を示す。
【図4】本発明の実施の形態の増幅器の特性を示す。
【図5】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と出力信号の関係を示す。
【図6】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と出力信号の関係を示す。
【図7】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と出力信号の関係を示す。
【図8】本発明の実施の形態1のフローチャートを示す。
【図9】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と入出力信号の関係を示す。
【図10】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と入出力信号の関係を示す。
【図11】本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と信号幅歪の関係を示す。
【図12】本発明の実施の形態2のフローチャートを示す。
【図13】本発明の実施の形態3のフローチャートを示す。
【図14】本発明の実施の形態4のフローチャートを示す。
【図15】本発明の実施の形態3、実施の形態4にて用いるしきい値制御テーブルの構成図を示す。
【図16】本発明の実施の形態5のV−ONUの構成図を示す。
【図17】本発明の実施の形態3のV−ONUの構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.システム
図1は、FM一括変調伝送システムの構成図を示す。
映像送信システム1は、複数の映像ソース20の信号をそれぞれ異なる周波数を持つ複数の搬送波を用いて変調する複数のサブキャリア変調部21と、複数のサブキャリア変調部21から出力された信号を周波数多重し、FM一括変調し、電気―光変換して出力するFM一括変調部22を備える。そして、映像システム1から出力された上記信号を増幅して分配する光アンプ2を介してWDMカプラ5の一端に接続される。
【0020】
一方、上位網3に接続されたOLT4も、WDMカプラ5の他端に接続され、光ファイバ6と光スプリッタ7を介して、別のWDMカプラ8に接続される。
WDMカプラ8の加入者側の一端には、光―電気変換した後FM一括復調する受信器であるV−ONU9が接続され、V−ONU9の加入者側にはTV11が接続される。WDMカプラ8の加入者側の他端には、データ送受信用ONU10が接続されて、PC12につながっている。
【0021】
使用波長としては、例えば、電話局から家庭へのデータ伝送に1490nmの波長を用い、家庭から電話局へのデータ伝送に1310nmの波長を用い、上述の映像信号を1550nmの波長の光信号で伝送して波長多重する。これにより、既に設置された光ファイバを用いてテレビ向けのアナログ信号を伝送することが可能となっている。
【0022】
図2は、FM一括変調方式の図を示す。
通常、テレビプログラムはテレビチャネル毎に異なる周波数の搬送波を用いてアナログ変調され、変調後の信号は、例えば6MHz等の周波数間隔で周波数多重されて送信される。この信号をさらに電気信号から光信号に変換し、SCM(Sub Carrier Multiplexing)方式の信号を生成する。この信号の周波数スペクトルを図2(a)に示す。
【0023】
上述のように品質の良好な映像信号は、例えば、50dB程度のC/N(キャリア/ノイズ比)を保ったまま伝送される必要があるが、光ファイバ伝送においてはファイバの接続点による光反射などの影響で、上記C/Nが30dB程度まで悪化してしまうことがある。この状況でも映像信号の品質を保つため、振幅歪に強い耐性を持つFM変調技術を応用し、上記SCM信号を一括してFM変調して伝送する。例えば、数100チャネルすなわち数100本のサブキャリアを多重した映像信号は1GHzないしそれ以上の帯域を持つ。したがって、FM一括変調のキャリア周波数は数GHzという高い周波数を用いる必要がある。FM一括変調後の信号の周波数スペクトルを図2(b)に示す。
図1にて説明したV−ONU9にて復調されたFM一括復調後の信号の周波数スペクトルを図2(c)に示す。信号歪のある条件で伝送されたFM一括変調信号を復調すると、図に示すようにFM一括変調キャリアが残留する。このレベルが残留キャリアレベルである。
【0024】
2.V−ONUの構成(1)
図3は、本発明の実施の形態のV−ONU9の構成図を示す。
V−ONU9は、光―電気変換するPD(Photo Diode)31と、PD31の出力電流を電圧に変換するTIA(Trans Impedance Amplifier)32を介して、後に説明する入力振幅に依存する利得を有する差動増幅器33を介してFM一括復調回路34に接続され、FM一括復調回路34の出力はTV11に接続される。FM一括復調回路34は、遅延回路41、EX−OR回路42、ローパスフィルタ43を備える。また、FM一括復調回路34の出力には信号幅歪検出部35、続いて補正しきい値生成部36が接続され、補正しきい値生成部36の出力(補正しきい値)が差動増幅器33の他の入力端子に接続される。
【0025】
信号幅歪を被ったFM一括変調信号をFM復調するとFM一括変調キャリアが残留することが知られている。残留するキャリアレベルの大きさは信号幅歪が大きいほど大きい。信号幅歪検出部35は、FM一括変調のキャリア周波数のみを通過させるバンドパスフィルタ44とその出力のレベルを測定する部分45から構成することができる。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態の増幅器の特性を示す。
図4(a)に示すように本実施の形態の差動増幅器33の利得は、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持たせておく。差動増幅器33は、しきい値に近い部分の信号を大きな利得で増幅し、しきい値から離れた部分の信号を小さな利得で増幅する。この特性を図4(b)に示す。したがって、入力信号としきい値が交わる付近の信号幅を強調して再生するように信号を歪ませる効果が得られる。
【0027】
図5から図7は、本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と出力信号の関係を示す。
図5に示すように、たとえば正弦波状の信号を本増幅器に入力する時、正方向振幅の信号と負方向振幅の信号が同じ幅である正弦波状の信号の中心値にしきい値が一致していれば、増幅後の信号は振幅の両端での振幅歪が発生する場合があるものの正方向の信号と負方向の信号が同じ幅に保たれた出力が得られる。この場合、しきい値よりプラス方向の成分とマイナス方向の成分が同程度となり、キャリアレベルが、理想的な無歪条件ではゼロとなる。図6に示すように、しきい値を下げると正方向振幅の信号に比べて負方向振幅の信号がより増幅されるため、正方向の信号の幅は広く、負方向の信号の幅が狭い出力が得られる。これは、入力信号の信号幅が広くなる方向に歪を与えたことに相当する。図7に示すように、逆にしきい値を上げると負方向振幅の信号に比べて正方向振幅の信号がより増幅されるため、正方向の信号の幅は狭く、負方向の信号の幅が広い出力が得られる。これは、入力信号の信号幅が狭くなる方向に歪を与えたことに相当する。したがって、FM一括変換信号の信号幅歪を測定した後、この作用を用いて、信号幅歪に応じて上記しきい値電圧を増減させることで、信号幅歪を減少させた信号を得ることが可能となる。
【0028】
3.フローチャート

3−1.実施の形態1
図8は、本発明の実施の形態1のフローチャートを示す。このフローチャートは、補正しきい値生成部36が実行するフローチャートである。
図9、10は、本発明の実施の形態の増幅器のしきい値と入出力信号の関係を示す。
図11は信号幅歪と加えるべきしきい値の関係をしめす。しきい値の調整は、以下の手順を踏んで行う。
【0029】
まず、補正しきい値生成部36は、初期状態にてしきい値を中央値に設定しておく。信号幅歪検出部35は、FM一括復調回路34から信号を受信すると、キャリア周波数に合わせたバンドパスフィルタ44およびレベル検出器45を用いてFM一括キャリアレベルを出力するので、補正しきい値生成部36は、その出力をモニタしておく(101)。補正しきい値生成部36は、続いてキャリアレベルが、所定の許容値以下であるか否かを判定する(102)。無歪条件ではゼロとなるべきキャリアレベルが、所定の値よりも低ければ信号幅歪は十分小さく、映像品質が高い状態である。キャリアレベルが所定の値よりも高ければ、許容以上の信号幅歪が発生しているとみなせる。信号幅歪が発生している例として、図9に示すように信号幅歪が負方向の信号(プラス方向の成分が細い信号)が入力された場合で説明する。まず、補正しきい値生成部36は、増幅器しきい値を減少方向にあらかじめ定めた1単位の電圧だけ変化させ(103)、予め定められたしきい値であるしきい値1に設定し、キャリアレベルの増分Vc−を信号幅歪検出部35の出力によりモニタして、内部メモリ等に記憶する(104)。この結果、もしキャリアレベルが減少すれば、負方向に存在した信号幅歪に正の方向の信号幅歪が加えられて、出力波形1に示すように最終的な歪が減少した可能性が高いと考えられる。続いて、補正しきい値生成部36は、増幅器しきい値を増加方向にあらかじめ定めた1単位の電圧だけ変化させ(105)、しきい値2に設定し、キャリアレベルの増分Vc+をモニタして、内部メモリ等に記憶する(106)。もしキャリアレベルが増加すれば、やはり負方向に存在した信号幅歪に、負方向の信号幅歪がさらに加えられて出力波形2に示すように最終的な歪が増加した可能性が高いと考えられる。以後、補正しきい値生成部36は、Vc+>0かつVc−<0であれば(107)、しきい値を1単位の電圧だけ減少させて(108)、キャリアレベルが、所定の許容値以下になるまで上記処理を繰り返す。また、図10に示すように信号幅歪が正方向の信号(プラス方向の成分が太い信号)が入力された場合には同様の原理及び処理でVc+<0かつVc−>0となるが(109)、その場合は逆にしきい値を1単位の電圧だけ増加させて(110)、キャリアレベルが、所定の許容値以下になるまで上記処理を繰り返す。こうして、しきい値の増減の方向とキャリアレベルの増減の相関がとれれば、キャリアレベルが所定の値より小さくなるまでしきい値を変化させれば信号幅歪を補正することが可能となる。
【0030】
ただし、信号幅歪が大きい場合、1単位のしきい値電圧の変化ではキャリアレベルの変化が検出できない可能性がある。あるいは雑音により、しきい値を増加させても減少させてもキャリアレベルが増加する場合、しきい値を増加させても減少させてもキャリアレベルが減少する場合等も考えられる。この場合、上記しきい値電圧を2単位又は所定の複数単位に増加させ(111)同じ処理を繰り返すことにより、いずれかの電圧でしきい値の増減の方向とキャリアレベルの増減の相関がとれるようになる。
【0031】
以上より求めたしきい値とキャリアレベルの増減の相関より、信号幅歪としきい値に加えるべき変更量の関係を求めると、図11に実線で示す通りとなる。例えば、図中a点で示したように、信号幅歪が細い(負方向)の場合は、しきい値に加えるべき変更量は下げる。図中b点で示したように、信号幅歪が太い(正方向)の場合は、しきい値に加えるべき変更量は上げる。また、図中c点で示したように、信号幅歪が細い(負方向)の場合且つa点より細い場合は、しきい値に加えるべき変更量は、a点の場合より一層大幅に下げることになる。
【0032】
3−2.実施の形態2
図12は、本発明の実施の形態2のフローチャートを示す。このフローチャートは、補正しきい値生成部36が実行するフローチャートである。
実施の形態2は、ステップ112が、実施の形態1のステップ107、109、111と異なる。実施の形態2では、補正しきい値生成部36は、しきい値の増減の方向とキャリアレベルの増減の相関をとる手順は、しきい値を増加させた時のFM一括キャリアレベルの変化量としきい値を減少させた時のFM一括キャリアレベルの変化量の差分量の正負を用いて、信号幅歪方向の正負としきい値の増減量の相関を決定する(112)。他の処理は図8の動作と同じである。この実施の形態2では、しきい値と残留キャリアレベルの相関の判定処理が簡略化され、収束までの時間が短くできる利点がある。
【0033】
3−3.実施の形態3
図13は、本発明の実施の形態3のフローチャートを示す。このフローチャートは、補正しきい値生成部36が実行するフローチャートである。
図17に、本発明の実施の形態3のV−ONUの構成図を示す。この実施の形態3では、補正しきい値生成部36は、その内部(又は外部)にしきい値制御テーブル37をさらに備える。
【0034】
図15に、しきい値制御テーブルの説明図を示す。
実施の形態3は、ステップ113が実施の形態1に追加されたものである。実施の形態3では、補正しきい値生成部36は、しきい値を変化させる手順は、信号歪検出部35から入力されたFM一括キャリアレベルの大きさに基づいて、しきい値の変化量を毎回又は所定回毎に変えることができる。具体的には、補正しきい値生成部36は、図15に示すキャリアレベルが大きい程、しきい値の増分も大きいしきい値制御テーブルを参照し(113)、ステップ103で、図8と同様に、しきい値を変化させる処理を行う。この手順は、より速く少ないしきい値調整回数でしきい値の調整を収束させるために有効である。
【0035】
3−4.実施の形態4
図14は、本発明の実施の形態4のフローチャートを示す。このフローチャートは、補正しきい値生成部36が実行するフローチャートである。V−ONUの構成は、実施の形態3と同様である。
実施の形態4は、ステップ113が実施の形態2に追加されたものである。実施の形態4では、補正しきい値生成部36は、実施の形態3と同様にFM一括キャリアレベルの大きさに基づいてしきい値制御テーブルを参照し(113)、図12と同様の処理を行う。この手順は、より速く少ないしきい値調整回数でしきい値の調整を収束させるために有効である。
【0036】
4.V−ONUの構成(2)
図16は、本発明の他の実施の形態でのV−ONU9の構成図を示す。
具体的には、図16におけるパルス幅歪み補正回路37、残留キャリア成分抽出回路38、キャリアリーク量判定回路39が、図3における増幅器33、信号歪検出部35、補正しきい値生成部36と代わった点が異なる。このV−ONU9は、FM一括復調回路34の出力に接続された残留キャリア成分抽出回路38は、バンドパスフィルタ44と抵抗45とコンデンサ46を用いて構成されることにより、検出レベルを保持する簡易な構成であり、また、キャリアリーク量判定回路39は所定の比較しきい値電圧47と比較器48から構成されるやはり簡易な構成である。比較器48から出力される補正信号でコンパレータ50のしきい値電圧49を制御する。コンパレータ50は、図3の差動増幅器と同様の構成及び特性とすることができる。
本実施の形態の適用範囲は、特に、信号幅歪の主要因が光伝送中の非線形効果によるパルス圧縮である場合である。信号幅歪はパルスが細る方向に決まっているので、第1から第4の実施の形態に示したように、しきい値の変化方向と残留キャリアレベルの増減の相関をとる必要がなく、このような簡易な構成による調整を可能としている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明はPONを用いたシステムの他にも、FM一括変換方式を用いたシステムに幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・映像送信システム、2・・・光アンプ、3・・・上位網、4・・・OLT、5・・・WDMカプラ、6・・・光ファイバ、7・・・光スプリッタ、8・・・WDMカプラ、9・・・V−ONU、10・・・ONU、11・・・TV、12・・・PC、31・・・PD、32・・・TIA、33・・・増幅器、34・・・FM復調回路、35・・・信号歪検出部、36・・・補正しきい値生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおける、映像信号受信装置であって、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを検出する信号幅歪検出部と、
上記信号幅歪検出部の出力から、信号幅歪に応じた補正しきい値を生成し、該補正しきい値を上記差動増幅器の他方の入力端子に出力する補正しきい値生成部と、
を備え、

上記補正しきい値生成部は、
初期状態にてしきい値を中央値に設定してFM一括キャリアレベルをモニタし、
しきい値を減少方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第1の変化量を求め、
しきい値を増加方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第2の変化量を求め、
上記第1及び第2の変化量に基づきしきい値を減少又は増加させることにより、FM一括キャリアレベルが予め定めた許容値以下になるようにしきい値の増加又は減少の変化方向と変化量とを調整し、
しきい値を減少させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させ、又は、しきい値を増加させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に太くなる正方向の信号幅歪を減少させるための、補正しきい値を求めるようにした、
前記映像信号受信装置。
【請求項2】
上記信号幅歪検出部は、
FM一括変調のキャリア周波数のみを通過させるバントパスフィルタと、
該バンドパスフィルタの出力のレベルを測定するレベル検出部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の映像信号受信装置。
【請求項3】
上記補正しきい値生成部は、
上記しきい値を増加方向に変化させた時に上記FM一括キャリアレベルが増加し且つ上記しきい値を減少方向に変化させた時に上記FM一括キャリアレベルが減少する第1条件、
又は、
上記しきい値を増加方向に変化させた時に上記FM一括キャリアレベルが減少し且つ上記しきい値を減少方向に変化させた時に上記FM一括キャリアレベルが増加する第2条件、
のいずれかの条件を満たすまで、しきい値の増減幅を所定のしきい値増分単位ずつ増加させ、
上記第1条件を満たすとき、しきい値を減少させて所定の許容値以下になるまでしきい値を所定のしきい値増分単位ずつ調整することにより、補正しきい値を求め、一方、上記第2条件を満たすとき、しきい値を増加させて所定の許容値以下になるまでしきい値を所定のしきい値増分単位ずつ調整することにより、補正しきい値を求めることを特徴とする請求項1に記載の映像信号受信装置。
【請求項4】
前記補正しきい値生成部は、
前記第1条件又は前記第2条件が満たされないとき、しきい値増分単位を増加させることを特徴とする請求項3に記載の映像信号受信装置。
【請求項5】
前記FM一括キャリアレベルが大きい程、しきい値増分が大きくなるようなしきい値増分単位を記憶した、しきい値制御テーブルをさらに備え、
上記補正しきい値生成部は、
上記しきい値を変化させるときに、上記しきい値制御テーブルを参照し、上記FM一括キャリアレベルの大きさに基づいて、上記しきい値の変化量を定めることを特徴とする請求項3に記載の映像信号受信装置。
【請求項6】
上記補正しきい値生成部は、
上記しきい値を減少方向に変化させた時の上記FM一括キャリアレベルの第1の変化量と、上記しきい値を増加方向に変化させた時の上記FM一括キャリアレベルの第2の変化量との差分量を求め、
第2の変化量が第1の変化量より大きければ、しきい値を減少させて所定の許容値以下になるまでしきい値を調整することにより、補正しきい値を求め、一方、第1の変化量が第2の変化量より大きければ、しきい値を増加させて所定の許容値以下になるまでしきい値を調整することにより、補正しきい値を求めること
を特徴とする請求項4に記載の映像信号受信装置。
【請求項7】
前記FM一括キャリアレベルが大きい程、しきい値増分が大きくなるようなしきい値増分単位を記憶した、しきい値制御テーブルをさらに備え、
上記補正しきい値生成部は、
上記しきい値を変化させるときに、上記しきい値制御テーブルを参照し、上記FM一括キャリアレベルの大きさに基づいて、上記しきい値の変化量を定めることを特徴とする請求項6に記載の映像信号受信装置。
【請求項8】
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおける、映像信号受信装置であって、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
残留キャリア成分を抽出するためのバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの出力を保持するための抵抗とコンデンサを含む回路とを備え、上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを抽出し保持する残留キャリア成分抽出回路と、
上記残留キャリア成分抽出回路の出力から、予め定められた比較しきい値電圧と比較する比較器を有し、補正信号を出力するキャリアリーク量判定回路と、
を備え、
上記キャリアリーク量判定回路の上記比較器から出力される補正信号で上記差動増幅器のしきい値電圧を調整することにより、主要因が光伝送中の非線形効果によるパルス圧縮による信号幅歪又はプラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させるようにした、
前記映像信号受信装置。
【請求項9】
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおいて、

上記送信装置は、
複数の映像信号をそれぞれ異なる周波数を持つ複数の搬送波を用いて変調する複数の変調部と、
上記複数の変調部によりそれぞれ複数の搬送波を用いて変調された複数の映像信号を周波数多重し、FM一括変調し、電気―光変換して送信するFM一括変調部と、
を備え、

上記受信装置は、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを検出する信号幅歪検出部と、
上記信号幅歪検出部の出力から、信号幅歪に応じた補正しきい値を生成し、該補正しきい値を上記差動増幅器の他方の入力端子に出力する補正しきい値生成部と、
を備え、
上記補正しきい値生成部は、
初期状態にてしきい値を中央値に設定してFM一括キャリアレベルをモニタし、
しきい値を減少方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第1の変化量を求め、
しきい値を増加方向に変化させてFM一括キャリアレベルの第2の変化量を求め、
上記第1及び第2の変化量に基づきしきい値を減少又は増加させることにより、FM一括キャリアレベルが予め定めた許容値以下になるようにしきい値の増加又は減少の変化方向と変化量とを調整し、
しきい値を減少させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させ、又は、しきい値を増加させることで、プラス方向の成分の信号幅が時間方向に太くなる正方向の信号幅歪を減少させるための、補正しきい値を求めるようにした、
前記映像伝送システム。
【請求項10】
複数の映像信号を異なる搬送波で変調して周波数多重及びFM一括変調して、光信号として送信する送信装置と、上記送信装置から出力された光信号を伝送する光ファイバ網と、上記光ファイバ網から光信号を受信してひとつ又は複数の映像信号に復調する受信装置とを備えた映像伝送システムにおいて、

上記送信装置は、
複数の映像信号をそれぞれ異なる周波数を持つ複数の搬送波を用いて変調する複数の変調部と、
上記複数の変調部によりそれぞれ複数の搬送波を用いて変調された複数の映像信号を周波数多重し、FM一括変調し、電気―光変換して送信するFM一括変調部と、
を備え、

上記受信装置は、
上記光ファイバ網からの光信号を受信して光―電気変換する光−電気変換部と、
一方の入力端子を上記光―電気変換部の出力に接続され、他方の入力端子にしきい値が入力され、しきい値電圧近傍では高い利得を、しきい値より離れるほど低い利得を持つような、入力信号の振幅に依存した利得を持つ差動増幅器と、
上記差動増幅器からの出力をFM一括復調するFM一括復調部と、
残留キャリア成分を抽出するためのバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの出力を保持するための抵抗とコンデンサを含む回路とを備え、上記FM一括復調部の出力から、FM一括復調の信号幅歪が大きいほど大きい値を示すFM一括変調のキャリア周波数の、FM一括キャリアレベルを抽出し保持する残留キャリア成分抽出回路と、
上記残留キャリア成分抽出回路の出力から、予め定められた比較しきい値電圧と比較する比較器を有し、補正信号を出力するキャリアリーク量判定回路と、
を備え、
上記キャリアリーク量判定回路の上記比較器から出力される補正信号で上記差動増幅器のしきい値電圧を調整することにより、主要因が光伝送中の非線形効果によるパルス圧縮による信号幅歪又はプラス方向の成分の信号幅が時間方向に細くなる負方向の信号幅歪を減少させるようにした、
前記映像伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−120035(P2011−120035A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276082(P2009−276082)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】