説明

映像処理装置、映像処理装置の制御方法

【課題】映像表示装置の電源部や表示部が、何らかの異常により作動が不可能となった場合であっても、映像表示装置から情報を取得して使用者に知らせることができる映像処理装置、映像処理装置の制御方法を提供する。
【解決手段】映像表示装置1は、異常検出部13と自己診断部14と使用開始日判別部15のうち、少なくともひとつの出力を記憶部12の拡張アドレスに書き込む。映像処理装置1は、操作部4が特定の操作をされた場合、または映像表示装置2の表示装置電源部16の作動が検出されなかった場合、または映像表示装置2の表示装置制御部11から通信による要求があった場合、の少なくともひとつの場合に映像表示装置2の記憶部12の拡張アドレスからデータを読み出し、操作表示部5を制御し読み出したデータに応じた表示をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビモニタ装置等の映像表示装置に接続される映像処理装置、映像処理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映像処理装置がエラー等の状態を検出し、その状態に関係する映像を生成するとともに、映像表示装置の電源と入力切り換え手段を制御し、生成した映像を表示させる映像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−141345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の映像処理装置においては、映像処理装置及び映像表示装置の双方の電源が正常に起動するとともに、映像表示装置が正常に表示を行うことができることが必要である。したがって、電源起動異常や表示異常というような内容のエラー状態を表示することができないという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、映像表示装置の電源部や表示部が、何らかの異常により作動が不可能となった場合であっても、映像表示装置から情報を取得して使用者に知らせることができる映像処理装置、映像処理装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面としての映像処理装置は、映像を表示する表示部と、情報を記憶する記憶部と、電力を供給する表示装置電源部と、動作の制御を行う表示装置制御部とを備えた映像表示装置に対して接続される映像処理装置であって、動作を制御する処理装置制御部と、前記処理装置制御部に制御されて前記記憶部に電力を供給する処理装置電源部とを備え、前記処理装置制御部は、前記表示装置電源部が作動可能であるか否かの検出を行い、前記表示装置電源部が作動できないと検出したときに、前記処理装置電源部を制御して前記記憶部に電力を供給するとともに、前記記憶部から前記情報を取得して使用者へ通知する制御を行うことを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の側面としての映像処理装置の制御方法は、映像を表示する表示部と、情報を記憶する記憶部と、電力を供給する表示装置電源部と、動作の制御を行う表示装置制御部とを備えた映像表示装置に対して接続される映像処理装置の制御方法であって、前記表示装置電源部が作動しているか否かの検出を行い、前記表示装置電源部が作動していないと検出したときに、前記記憶部に電力を供給するとともに、前記記憶部から前記情報を取得して使用者へ通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、映像表示装置における電源部や表示部が、何らかの異常により作動が不可能となった場合であっても、使用開始日や自己診断結果や異常発生情報等を確認することが可能となる。よって、メンテナンスすべき部位や故障した部位が迅速に特定可能となるとともに、修理が必要な場合には保証期間内であるか否かが使用開始日から容易に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
なお、以下の説明では、具体的な数値、構成、動作等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における映像表示装置と映像処理装置のブロック図である。第1実施形態の映像処理装置1は、例えば、ハードディスクを搭載した録画機器や光ディスク再生機器等の装置であり、映像表示装置2は、例えば、テレビモニタ装置である。映像処理装置1と映像表示装置2との接続は、各々に設けられている不図示の端子部に、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格に準拠したインターフェイスケーブル10を接続して行われる。
【0010】
インターフェイスケーブル10は、映像音声信号線21、制御通信信号線22、電源検出信号線23、記憶部信号線24、電力供給線25等を物理的に集合して構成されている。映像音声信号線21は、映像信号と、映像信号に対応付けられた音声信号とからなる映像音声信号を伝送する。HDMIでは、映像音声信号線はTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)が用いられている。制御通信信号線22は、接続されている機器が相互動作を制御する命令情報等からなる制御信号を伝送する。なお、この命令情報はCEC(Consumer Electronics Control)と称される。例えば、映像処理装置1から映像表示装置2に対して、映像表示装置2の電源をオンにするための命令信号を送るのに用いられる。電源検出信号線23は、映像表示装置2における電源状態に関する情報を映像処理装置1に伝送する。この情報はHPD(Hot Plug Detect)と称される。記憶部信号線24は、映像表示装置2の記憶部12に格納された、映像表示装置2が表示可能な解像度や、再生可能な音声フォーマット等の情報を映像処理装置1に伝送する。この情報はDDC(Digital Display Channel)と称される。電力供給線25は、映像表示装置2の電源状態に応じて、映像処理装置1から映像表示装置2へ電力を供給、又は、電源制御信号を伝送する。現状のHDMI規格では+5Vの供給を行うことが可能である。
【0011】
映像処理装置1は、処理装置制御部3、操作部4、操作表示部5、処理装置電源部6、映像音声再生部7、映像音声処理部8、送信部9を有している。映像音声再生部7は、例えば光ディスクを再生する等して使用者が所望する映像音声データを出力する。映像音声処理部8は、映像音声再生部7の出力を、処理装置制御部3の制御に応じたフォーマットに変換する。送信部9は、映像音声処理部8の出力を、映像表示装置2における受信部17へ送信する。操作部4は、使用者による操作に応じた操作信号を処理装置制御部3へ出力する。操作表示部5は、処理装置制御部3の制御に応じた映像を表示する。処理装置電源部6は、映像処理装置1の各部へ電力を供給する。また、処理装置電源部6は、処理装置制御部3の制御に応じて、映像表示装置2における記憶部12へ電力を供給する。
【0012】
処理装置制御部3は、映像処理装置1の各部の動作を統括して制御する。また、処理装置制御部3は、操作部4が出力する操作信号に応じて処理装置電源部6を制御するとともに、映像表示装置2における表示装置制御部11に対して電源作動もしくは切断要求の制御通信を送信する。さらに、処理装置制御部3は、表示装置電源部16が作動可能であるか否かの検出を行う。そして、表示装置電源部16の作動を検出すると記憶部12における基本アドレスからデータを読み出し、読み出したデータに応じて映像音声処理部8を制御する。
【0013】
一方、表示装置制御部11に対して電源作動要求の制御通信を送信したにも関わらず表示装置電源部16の作動が検出されない場合には、処理装置制御部3は、記憶部12における拡張アドレスのデータ(情報)を読み出す。そして、処理装置制御部3は、データの内容に応じた表示を行うよう操作表示部5を制御する。また、表示装置制御部11より状態表示要求の制御通信を受信した場合、処理装置制御部3は、記憶部12における拡張アドレスのデータを読み出すとともに、データの内容に応じた表示を行うように、操作表示部5を制御する。さらに、操作部4が出力する操作信号により映像表示装置2の状態表示が指示された場合、処理装置制御部3は、記憶部12における拡張アドレスのデータを読み出すとともに、データの内容に応じた表示を行うように、操作表示部5を制御する。このように、映像表示装置2に何らかの異常があるときに、処理装置制御部3は、操作表示部5を制御することにより、使用者に対して読み出したデータを通知する。
【0014】
映像表示装置2は、表示装置制御部11、記憶部12、異常検出部13、自己診断部14、使用開始日判別部15、表示装置電源部16、受信部17、音声処理部18、映像処理部19、表示部20を有している。受信部17は、映像処理装置1における送信部9が送信した信号を受信し、映像音号と音声信号を出力する。音声処理部18は、受信部17が出力する音声信号の処理をし、処理した音声信号を不図示のスピーカ部等に伝える。映像処理部19は、受信部17が出力する映像信号を、表示可能に変換して出力する。表示部20は、映像処理部19の出力に応じた映像の表示を行う。
【0015】
異常検出部13は、映像表示装置2の内部の温度異常の検出や、表示装置電源部16の出力異常の検出や、表示部20の表示異常の検出等、映像表示装置2の異常検出を行う。自己診断部14は、映像表示装置2の内部の温度値や、表示装置電源部16の出力電流値や、表示部20の消費電流値等を定期的に検出する。使用開始日判別部15は、映像表示装置2が工場出荷後、初めて電源を投入された際に、日時情報が重畳された放送波等を受信し、使用開始日を検出する。異常検出部13、自己診断部14、使用開始日判別部15は、それぞれ検出した結果を記憶部12の拡張アドレスに書き込むとともに、表示装置制御部11へ通知する。
【0016】
記憶部12は、表示装置電源部16、及び、映像処理装置1における処理装置電源部6から電力が供給されるように構成されている。このように構成することにより、表示装置電源部16からの電力が供給されなくても、映像処理装置1からHDMI規格で定められた電力供給線25を介して電力の供給を受けることで、少なくともデータの読み出しが可能となるよう構成されている。記憶部12は、情報を記憶する記憶領域として基本アドレスと拡張アドレスとを備えている。本発明の実施例としては、この記憶部12は、HDMIインターフェイスを用いた機器接続において、機器間の認証を行うのに用いるEDID(Extended display identification data)を格納するEDIDメモリに相当するものである。このEDIDメモリは、映像表示装置2に電源が投入されていなくても、映像処理装置1からEDIDメモリに格納された情報を読み出すことが可能なように構成されている。これは、HDMI規格で定められた電力供給線25を用いて、映像処理装置1から記憶部12に電力供給し、その電力を用いて情報を読み出すことで実現できる。HDMI規格で定められた基本アドレスには、例えば、映像表示装置2が表示可能な解像度やフレームレート等の映像フォーマットに関するデータを記憶する。また、基本アドレスには、サンプリング周波数や圧縮方式等の音声フォーマットに関するデータをも記憶する。一方、HDMI規格で定められていない、つまり、製造者が自由に所望の情報を書き込むことができる拡張アドレスには、異常検出部13、自己診断部14、使用開始日判別部15の検出結果をこれらの機能部がそれぞれ情報を書き込むことで記憶することができる。
【0017】
図2は、第1実施形態における記憶部12のアドレス構成を示す図である。デバイスアドレス0xA0のメモリアドレス0x01から0xFFまでは、基本アドレス領域であり、対応する映像フォーマット及び対応する音声フォーマットの情報が格納されている。また、デバイスアドレス0xA1のメモリアドレス0x01から0xFFまでは、拡張アドレス領域であり、使用開始日判別部15が取得した使用開始日、自己診断部14による自己診断結果、異常検出部13の検出結果である異常発生情報を格納する。
【0018】
図1に戻って、表示装置電源部16は、表示装置制御部11の制御に応じて、記憶部12に電力を供給するとともに、映像処理装置1における処理装置制御部3へ電源検出信号を出力する。表示装置制御部11は、以下に示すように各部の動作を制御する。表示装置制御部11は、映像処理装置1における処理装置制御部3との制御通信や、異常検出部13、自己診断部14、使用開始日判別部15の検出結果に応じて、表示装置電源部16を制御する。また、表示装置制御部11は、異常検出部13、自己診断部14、使用開始日判別部15の検出結果に応じた映像を表示部20が表示するように、映像処理部19を制御する。さらに、表示装置制御部11は、異常検出部13や自己診断部14の検出結果から、表示部20で正常に表示することができないと判断した場合、映像処理装置1の処理装置制御部3に対し、状態表示要求の制御通信を送信する。
【0019】
次に、本実施形態における映像処理装置及び映像表示装置の動作について説明する。図3は、第1実施形態における映像処理装置及び映像表示装置の処理を示すフローチャートである。なお、図3及び以下の説明では、例えばステップ201をS201として示すものとする。映像表示装置2は、電源ケーブルの接続等により処理を開始すると、S201へ進み、使用開始日判別部15が過去にデジタル放送に重畳された日付情報等から日付データを取得したことがあるか否かを判別する(初回日付取得判断)。S201で日付データを取得したことがないと判断した場合、S204へ進み、日付データを取得済みであると判断した場合、S205へ進む。
【0020】
S204では、表示装置制御部11は日付データを取得するまで日付取得処理を継続する。S204で日付を取得したら、S207へ進み、表示装置制御部11は取得した日付データを使用開始日データとして記憶部12の拡張アドレス部分に書き込む(拡張アドレス書き込み処理)。S205では、異常検出部13が映像表示装置2の内部に異常がないかを監視する(異常検出処理)。異常が検出された場合、S207へ進み、異常の内容に応じた異常発生情報を記憶部12の拡張アドレス部分に書き込む(拡張アドレス書き込み処理)。また、自己診断部14は、定期的に自己診断処理(S206)を実行し、内部温度や消費電流値等のデータを自己診断結果として記憶部12の拡張アドレス部分に書き込む(拡張アドレス書き込み処理(S207))。
【0021】
表示装置制御部11には、拡張アドレス書き込み処理(S207)と同時に、使用開始日データ、異常発生情報、自己診断結果のうちの少なくともひとつが入力される。S208では、表示装置制御部11は、使用開始日データ、異常発生情報、自己診断結果をそれぞれ分析し、映像処理部19及び表示部20を作動させて表示が可能か否かを判断する(表示判断)。表示可能な場合は、S209へ進む。一方、映像処理部19及び表示部20を作動させることが不可能であり、表示できない場合は、S210へ進む。S209では、使用開始日データ、異常発生情報、自己診断結果、の内容に応じた映像を表示するように、映像処理部19を制御する(第2の内容表示処理)。S210では、表示装置制御部11は、表示装置電源部16を停止させるとともに、制御通信信号線22により接続された処理装置制御部3に対し、状態表示要求の制御通信を送信する(状態表示要求送信処理)。
【0022】
映像処理装置1は、電源ケーブルの接続等により処理を開始すると、S101へ進み、処理装置制御部3は操作部4により電源オンを指示されたか否かを監視する(電源操作監視処理)。その結果、電源オンが指示されたと判断した場合は、S102へ進む。S102では、処理装置電源部6を作動させる(処理装置電源部作動処理)。S102の作動に連動して、映像表示装置2は、電源供給線25により接続された処理装置電源部6の出力により、記憶部12に電力を供給する(記憶部電源供給処理(S202)。これにより記憶部12に対してデータの読み書きが可能になる。
【0023】
S103では、処理装置制御部3は、制御通信信号線22により接続された表示装置制御部11に対して、電源作動要求の制御通信を送信する(電源作動要求送信処理)。表示装置制御部11は、S103の動作によって、電源作動要求の制御通信を受信すると、表示装置電源部16を作動させる(表示装置電源部作動処理(S203))。表示装置電源部16は、作動を開始すると、記憶部12に電力を供給するとともに、電源検出信号線23により接続された処理装置制御部3に対し作動状態を示す。S104では、S203の処理により表示装置電源部16が作動したか否かを、電源検出信号線23の状態を監視することにより行う(電源作動検出処理)。表示装置電源部16が作動したと判断される場合には、S105へ進み、表示装置電源部16が作動していないと判断される場合には、S108へ進む。
【0024】
S105では、処理装置制御部3は、記憶部12の基本アドレス部分のデータを読み出す(基本アドレス読み出し処理)。S106では、処理装置制御部3は、記憶部12の基本アドレス部分のデータを読み出した映像表示装置2が表示可能な対応映像フォーマット情報、及び再生可能な対応音声フォーマット情報に基づき、映像音声処理部8を設定する(フォーマット設定処理)。その後、正常な表示動作が行われる。
【0025】
S106までの各ステップから遷移するステップではないS107では、処理装置制御部3は、操作部4により、映像表示装置2の状態表示が指示されたか否かを監視する(状態表示監視処理)。S108では、処理装置制御部3は、処理装置電源部6により電力が供給された記憶部12の拡張アドレス部分のデータを読み出す(拡張アドレス読み出し処理)。上述したように、本実施形態では、映像表示装置2の状態表示が指示された場合、状態表示要求の制御通信を受信した場合、表示装置電源部16の作動が検出されない場合のいずれかの場合に、S108を実行する。S109では、処理装置制御部3は、操作表示部5に、読み出した使用開始日、自己診断結果、異常発生情報に応じた内容を表示する(第1の内容表示処理)。
【0026】
本実施形態によれば、以下に列挙する場合に、映像処理装置1の使用開始日や自己診断結果や異常発生情報等を映像処理装置1が表示することができる。(1)映像処理装置1が映像表示装置2に対して電源作動を要求したにも関わらず映像表示装置2における電源の作動が検出されなかった場合。(2)映像表示装置2が何らかの異常により表示が不可能となり、表示装置制御部11より状態表示要求の制御通信を受信した場合。(3)映像処理装置1が映像表示装置2の状態を表示するよう操作された場合。よって、上述したような場合であっても、メンテナンスすべき部位や故障した部位が迅速に特定可能となるとともに、修理が必要な場合には保証期間内であるか否かが使用開始日から容易に判断できる。
【0027】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態における映像処理装置と映像表示装置のブロック図である。なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。映像処理装置1Bは、インターフェイスケーブル10のうち、電源供給線25と記憶部信号線24のみ接続する構成とした点が、第1実施形態における映像処理装置1と異なっている。また、本実施形態の映像処理装置1Bは、映像音声再生部7,映像音声処理部8,送信部9に相当する部分を備えておらず、映像表示装置2に映像を表示させる機能を持たない、簡単な構成の装置となっている。よって、第1実施形態における映像処理装置1と比較して小型軽量な装置とすることができる。
【0028】
処理装置制御部3は、操作部4が出力する操作信号により映像表示装置2の状態表示が指示された場合に、処理装置電源部6を作動させた後、映像表示装置2における記憶部12の拡張アドレスを読み出す。そして、処理装置制御部3は、読み出した使用開始日、自己診断結果、異常発生情報に応じた内容を表示するように操作表示部5を制御する。
【0029】
本実施形態によれば、簡単な構成の映像処理装置1Bを接続し操作することで、映像処理装置1の使用開始日や自己診断結果や異常発生情報等を表示することが可能となる。これにより、メンテナンスすべき部位や故障した部位が迅速に特定可能となるとともに、修理が必要な場合には保証が適用されているか否かが使用開始日から容易に判断可能となる。本実施形態の映像処理装置1Bは、通常は映像表示装置2における記憶部12の拡張アドレスの読み出しに対応していない、又は、表示を行えない光ディスク再生機器等を映像処理装置として使用している場合に特に利用価値が高くなる。すなわち、このような場合に、何らかの異常により映像表示装置2が表示不可能となったときであっても、本実施形態の映像処理装置1Bを用いることにより、簡単に必要な情報を取得できる。
【0030】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態における映像処理装置と映像表示装置のブロック図である。なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。本実施形態の映像処理装置1Cは、送信部9に加えてさらに第2の送信部27を有している点と、操作表示部5に相当する部分を有していない点が、第1実施形態における映像処理装置1と異なっている。映像処理装置1Cは、インターフェイスケーブル10を介して映像表示装置2と接続されているとともに、第2の送信部27を有し、第2の映像音声信号線28を介して第2の映像表示装置26と接続されている。
【0031】
処理装置制御部3は、以下に列挙する場合に、記憶部12における拡張アドレスのデータを読み出すとともに、データの内容に応じた映像信号を出力するよう映像音声処理部8を制御する。(1)映像処理装置1が映像表示装置2に対して電源作動を要求したにも関わらず映像表示装置2における電源の作動が検出されなかった場合。(2)映像表示装置2が何らかの異常により表示が不可能となり、表示装置制御部11より状態表示要求の制御通信を受信した場合。(3)映像処理装置1が映像表示装置2の状態を表示するよう操作された場合。第2の映像表示装置26は、映像処理装置1Cが送信する映像音声信号を、第2の受信部29が受信し、第2の映像処理部30が表示可能に変換して出力し、第2の表示部31が表示する。
【0032】
本実施形態によれば、上記(1)から(3)に列挙した場合であっても、映像処理装置1Cは、映像処理装置1の使用開始日や自己診断結果や異常発生情報等を、第2の映像表示装置26の表示部31に詳細に表示することができる。よって、上述したような場合であっても、メンテナンスすべき部位や故障した部位が迅速に特定可能となるとともに、修理が必要な場合には保証期間内であるか否かが使用開始日から容易に判断できる。
【0033】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されていることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0034】
(1)各実施形態において、映像処理装置1と映像表示装置2との接続をケーブルにより行う例を示したが、これに限らず、例えば、無線接続であってもよい。この場合、記憶部への電力供給は、電磁誘導方式やマイクロ波方式により行うことができる。
【0035】
(2)各実施形態において、使用開始日、自己診断結果、異常発生情報を取得して表示する例を示したが、これに限らず、例えば、音声により通知を行ってもよい。
【0036】
(3)第3実施形態において、映像処理装置1Cは、第2の映像音声信号線28を介して接続されている第2の映像表示装置26に取得した情報の表示を行う例を示した。これに限らず、例えば、ネットワークを介して接続された他の表示装置やコンピュータ等に取得した情報を伝達して表示等を行うようにしてもよい。
【0037】
なお、第1実施形態〜第3実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されていることはない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態における映像表示装置と映像処理装置のブロック図である。
【図2】第1実施形態における記憶部12のアドレス構成を示す図である。
【図3】第1実施形態における映像処理装置及び映像表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態における映像処理装置と映像表示装置のブロック図である。
【図5】第3実施形態における映像処理装置と映像表示装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
1,1B,1C 映像処理装置
2 映像表示装置
3 処理装置制御部
4 操作部
5 操作表示部
6 処理装置電源部
7 映像音声再生部
8 映像音声処理部
9 送信部
10 インターフェイスケーブル
11 表示装置制御部
12 記憶部
13 異常検出部
14 自己診断部
15 使用開始日判別部
16 表示装置電源部
17 受信部
18 音声処理部
19 映像処理部
20 表示部
21 映像音声信号線
22 制御通信信号線
23 電源検出信号線
24 記憶部信号線
25 電源供給線
26 第2の映像表示装置
27 第2の送信部
28 第2の映像音声信号線
29 第2の受信部
30 第2の映像処理部
31 第2の表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示部と、情報を記憶する記憶部と、電力を供給する表示装置電源部と、動作の制御を行う表示装置制御部とを備えた映像表示装置に対して接続される映像処理装置であって、
動作を制御する処理装置制御部と、
前記処理装置制御部に制御されて前記記憶部に電力を供給する処理装置電源部とを備え、
前記処理装置制御部は、前記表示装置電源部が作動可能であるか否かの検出を行い、前記表示装置電源部が作動できないと検出したときに、前記処理装置電源部を制御して前記記憶部に電力を供給するとともに、前記記憶部から前記情報を取得して使用者へ通知する制御を行うこと、
を特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記処理装置制御部からの制御に応じた表示をする操作表示部を備え、
前記処理装置制御部は、前記通知を行う制御として、前記操作表示部に前記情報を表示させること、
を特徴とする請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記処理装置制御部による制御に応じた映像信号を出力する映像処理部を備え、
前記処理装置制御部は、前記通知を行う制御として、前記映像処理部に前記情報を含む映像信号を出力させること、
を特徴とする請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記処理装置制御部は、表示装置制御部から前記通知を行うことを要求する信号を取得したときに、前記情報を使用者へ通知する制御を行うこと、
を特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項5】
使用者による操作に応じた操作信号を前記処理装置制御部へ出力する操作部を備え、
前記処理装置制御部は、前記操作部による操作に応じて、前記情報を使用者へ通知する制御を行うこと、
を特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記処理装置制御部は、前記記憶部の拡張アドレスに前記情報として記憶された前記映像表示装置の異常検出の結果、前記映像表示装置の自己診断の結果、使用者による前記映像表示装置の使用開始日のうち少なくともひとつを取得して使用者へ通知すること、
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の映像処理装置。
【請求項7】
映像を表示する表示部と、情報を記憶する記憶部と、電力を供給する表示装置電源部と、動作の制御を行う表示装置制御部とを備えた映像表示装置に対して接続される映像処理装置の制御方法であって、
前記表示装置電源部が作動しているか否かの検出を行い、前記表示装置電源部が作動していないと検出したときに、前記記憶部に電力を供給するとともに、前記記憶部から前記情報を取得して使用者へ通知すること、
を特徴とする映像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−139527(P2010−139527A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312858(P2008−312858)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】