説明

映像収録再生装置、収録方法及び再構築方法

【課題】交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されなくても、交換後の記録部を駆動させることが可能な映像収録再生装置を提供する。
【解決手段】映像収録再生装置は、収録部、記録制御部、複数の記録部及び主制御部を具備する。収録部は、受信した映像信号を所定の符号化方式に基づいて符号化して映像データへ変換する。記録制御部は、映像データを複数の分割データに分割し、予め設定された設定数の分割データ毎に設定数の分割データのいずれかを復元するための冗長データを生成し、複数の分割データと、複数の冗長データとの書込み制御を行う。複数の記録部は、書込み制御に従い、設定数の分割データと、設定数の分割データに基づいて生成された冗長データとを分散して記録することで、複数の分割データと、複数の冗長データとを記録する。主制御部は、記録した映像データの管理情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、RAID制御方式を利用して複数の記録部により映像データを収録する映像収録再生装置と、この映像収録再生装置で用いられる収録方法及び再構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送に見られるように、放送分野のデジタル化は進んでいる。また、デジタル化された番組素材の高画質化に伴い大容量化が進み、地上デジタル放送又はBS(放送衛星)放送等の普及に伴い多チャンネル化が進んでいる。このため、これら素材を保存する映像収録再生装置も大容量化及び多チャンネル化が必要となっている。そこで、映像収録再生装置で素材を格納する記録部には、ランダムアクセスが可能であり信頼性の高いフラッシュメモリが用いられるようになってきている。
【0003】
ところで、記録部への書込み性能及び記録部からの読出し性能の向上のため、映像収録再生装置に複数の記録部を搭載させ、これらの複数の記録部に対してデータを分散して並列にアクセスする方法がある。このとき、記録部の一つにパリティデータを保存しておくことで、複数の記録部のうち一つが故障した場合であっても、他の記録部に記録されたデータに基づいて欠落部のデータを復元することが可能となるようにしている。
【0004】
故障した記録部を交換する際には、他の記録部に記録されるデータに基づいて、交換前の記録部に記録されていたデータを復元し、復元したデータを交換後の記録部に記録する再構築処理が行われる。このとき、交換後の記録部は、交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されるまで駆動させることができない。しかしながら、全てのデータを再構築するには時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−9442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来の映像収録再生装置では、交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されるまで、駆動させることはできず、また、全てのデータを再構築するには時間がかかるという問題がある。
【0007】
そこで、目的は、交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されなくても、交換後の記録部を駆動させることが可能な映像収録再生装置と、この装置で用いられる収録方法及び再生方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、映像収録再生装置は、収録部、記録制御部、複数の記録部及び主制御部を具備する。収録部は、受信した映像信号を所定の符号化方式に基づいて符号化して映像データへ変換する。記録制御部は、前記映像データを複数の分割データに分割し、予め設定された設定数の分割データ毎に前記設定数の分割データのいずれかを復元するための冗長データを生成し、前記複数の分割データと、前記複数の冗長データとの書込み制御を行う。複数の記録部は、前記書込み制御に従い、前記設定数の分割データと、前記設定数の分割データに基づいて生成された冗長データとを分散して記録することで、前記複数の分割データと、前記複数の冗長データとを記録する。主制御部は、前記記録した映像データの管理情報を記録する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る映像収録再生装置を備える映像送出システムの構成を示す図である。
【図2】図1の映像収録再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】分割データ及びパリティデータを生成し、これらを図2の記録部へ記録する際の図である。
【図4】故障した記録部のデータを復元し、元の映像データを生成する際の図である。
【図5】交換対象外の記録部のデータに基づいて、交換後の記録部に交換前のデータを再構築する際の図である。
【図6】図2の映像収録再生装置が収録処理を実行する際の主制御部の処理を示すフローチャートである。
【図7】図2の主制御部のメモリに記録される管理情報テーブルを示す図である。
【図8】図2の映像収録再生装置がリビルド処理を実行する際のシーケンス図である。
【図9】図2の記録部のメモリに記録される、映像フレームとこの映像フレームを記録するアドレスとの対応を示すテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る映像収録再生装置10を備える映像送出システムの構成例を示す模式図である。図1に示す映像送出システムは、映像収録再生装置10、ビデオカメラ20、再生デッキ30、ノンリニア編集機40、操作端末50、映像確認用モニタ60及び放送設備70を備える。
【0012】
ビデオカメラ20は、撮影により取得した映像信号を映像収録再生装置10へ出力する。
【0013】
再生デッキ30には、映像データ又は映像ファイルが記録された映像記録メディア31が挿入される。映像データとは、映像信号が予め設定された所定の符号化方式により符号化されたものであり、映像ファイルとは、映像データがファイル形式に変換されたものである。再生デッキ30は、映像記録メディア31から映像データ又は映像ファイルを読み出し、映像信号に変換して映像収録再生装置10へ出力する。
【0014】
ノンリニア編集機40は、ユーザからの要求に従い、映像収録再生装置10に蓄積されている映像ファイルを読み出す。ユーザは、ノンリニア編集機40により、読み出した映像ファイルを編集する。ノンリニア編集機40は、編集済みの映像ファイルを映像収録再生装置10へ出力する。
【0015】
操作端末50は、ユーザからの処理要求を受け付け、ユーザから要求された処理を実行するように、映像収録再生装置10に対して指示を出す。ここで、ユーザが要求する処理とは、映像信号の収録処理、映像信号の再生処理及びリビルド処理等である。なお、リビルド処理とは、映像収録再生装置10内に搭載される記録部のいずれかを交換した際に、交換対象の記録部以外に記録されるデータに基づき、交換前の記録部に記録されていたデータを、交換後の記録部で再構築する処理をいう。
【0016】
映像確認用モニタ60は、映像収録再生装置10に蓄積される映像データ又は映像ファイルが再生された映像信号を受信する。映像確認用モニタ60は、映像収録再生装置10からの映像信号を表示する。ユーザは、映像確認用モニタ60の表示を見て、編集処理の必要性等を確認する。
【0017】
放送設備70は、映像収録再生装置10に蓄積されている映像データ又は映像ファイルが再生された映像信号を受信する。放送設備70は、映像収録再生装置10からの映像信号を、放送サービスを提供するエリアへ向けて送信する。
【0018】
図2は、本実施形態に係る映像収録再生装置10の機能構成を示すブロック図である。図2に示す映像収録再生装置10は、収録部11、記録制御部12、記録部13−1〜13−5、再生部14及び主制御部15を具備する。
【0019】
収録部11は、CPU(Central Processing Unit)111及び収録処理部112を備える。CPU111は、主制御部15から収録制御が与えられると、収録処理部112に対して、外部から供給される映像信号を処理するように指示を出す。収録処理部112は、CPU111からの指示を受けると、予め設定された符号化方式を用い、映像信号を映像データに変換する。予め設定された符号化方式とは、例えば、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式等である。収録処理部112は、映像データを記憶制御部12へ出力する。
【0020】
主制御部15は、CPU151、主制御処理部152及びメモリ153を備え、映像収録再生装置10の全体を制御する。CPU151は、操作端末50から、映像信号を収録する収録指示、映像信号を再生する再生指示及びリビルド指示を受信すると、主制御処理部152に映像収録再生装置10の全体を制御させる。
【0021】
主制御処理部152は、CPU151が収録指示を受信すると、収録部11及び記録制御部12に対して、映像信号を収録するように収録制御を行う。操作端末50のユーザは、映像収録再生装置10へ収録指示を与える際に、この映像信号の再生予約時刻及び再生優先度等を入力してもよい。CPU151は、映像信号の収録が完了すると、収録された映像信号の素材ID、フレーム長、収録時刻、再生予約時刻及び再生優先度等の管理情報をメモリ153に記録する。
【0022】
また、主制御処理部152は、CPU151が再生処理の対象となる映像信号が指定された再生指示を受信すると、記録制御部12及び再生部14に対して、指定された映像信号を再生するように再生制御を行う。このとき、主制御処理部152は、指定された映像信号の素材ID及びフレーム長をメモリ153から読み出し、読み出した素材ID及びフレーム長を記録制御部12へ通知する。
【0023】
また、主制御処理部152は、CPU151がリビルド指示を受信すると、メモリ153に記録される管理情報を参照し、先にリビルド処理を行うべき映像データを決定する。主制御処理部152は、決定した映像データのリビルド処理を行うように、決定した映像データの素材ID及びフレーム長を通知し、記録制御部12に対してリビルド制御を行う。
【0024】
リビルド処理の対象となる映像データを決定する際に参照する管理情報とは、収録時刻、再生予約時刻及び再生優先度等である。例えば、主制御処理部152は、収録時刻を参照し、収録された順序で、記録制御部12に映像データのリビルド処理を行わせる。また、主制御処理部152は、再生予約時刻を参照し、再生される時刻が早い順に、記録制御部12に映像データのリビルド処理を行わせる。また、主制御処理部152は、再生優先度を参照し、再生される優先度が高い順序で、記録制御部12に映像データのリビルド処理を行わせる。
【0025】
記録制御部12は、CPU121及び記録処理部122を備える。CPU121は、主制御部15から収録制御が与えられると、記録処理部122に対して、収録部11からの映像データを処理するように指示を出す。
【0026】
記録処理部122は、CPU121からの指示に応じて、収録部11からの映像データを所定の大きさの複数の分割データに分割する。分割データの大きさは、記録部13−1〜13−5へのデータの書込み能力等に応じて設定される。記録処理部122は、映像データから4個の分割データを分割する毎に、この4個の分割データを復元するための冗長データであるパリティデータを生成する。記録処理部122は、記録部13−1〜13−5に対して並列して書込み制御を行うと共に、記録部13−1〜13−5へ、4個の分割データと、1個のパリティデータとを並列して出力する。記録処理部122は、映像データの先頭フレームから最終フレームまで、分割データを4個ずつと、パリティデータを1個ずつとの出力を繰り返す。このとき、記録処理部122は、パリティデータが1個の記録部のみに記録されるのを避けるため、4個の分割データと、1個のパリティデータとの出力先を適宜切り替える。図3は、記録処理部122が、映像データに基づいて分割データ及びパリティデータを生成し、生成した分割データ及びパリティデータを記録部13−1〜13−5へ記録する際の模式図を示す。
【0027】
CPU121は、主制御部15から再生制御が与えられると、記録処理部122に対して、記録部13−1〜13−5から映像データを読み出すように指示を出す。記録処理部122は、CPU121からの指示に応じて、記録部13−1〜13−5に対して並列して読出し制御を行うと共に、主制御部15から通知された素材ID及びフレーム長を記録部13−1〜13−5へ通知する。記録処理部122は、記録部13−1〜13−5から、この読出し制御に応じて出力される分割データ及びパリティデータを受け取る。
【0028】
記録処理部122は、4個の分割データを並列して正常に受け取った場合、受け取った4個の分割データを結合して映像データを生成し、生成した映像データを再生部14へ出力する。受け取った分割データのうちいずれかにエラーがある場合、又は、分割データのいずれかを受け取ることができない場合、記録処理部122は、正常に受け取った3個の分割データ及びパリティデータに基づいて、正常な分割データを復元する。記録処理部122は、3個の分割データと、復元した分割データとを結合して映像データを生成し、生成した映像データを出力部14へ出力する。図4は、記録部13−2が故障し、記録部13−2に記録されていた分割データを受け取ることができなかった場合に、記録部13−1,13−3〜13−5に記録される3個の分割データと、1個のパリティデータとから消失した分割データを復元する際の模式図を示す。
【0029】
CPU121は、主制御部15からリビルド制御が与えられた場合、交換前の記録部に記録されていたデータを、交換後の記録部に再構築するように、記録処理部122に対して指示を出す。記録処理部122は、主制御部15から通知される素材ID及びフレーム長を交換対象以外の記録部へ通知し、交換対象以外の記録部に対して並列してリビルド読出し制御を行う。記録処理部122は、交換対象以外の記録部から、このリビルド読出し制御に応じて出力される分割データ及びパリティデータを受け取る。
【0030】
記録処理部122は、交換対象以外の記録部から4個の分割データを並列して受け取った場合、この4個の分割データを連結して元の映像データを生成する。記録処理部122は、交換対象以外の記録部から3個の分割データと、1個のパリティデータとを受け取った場合、受け取ったこれらのデータから分割データを復元する。記録処理部122は、3個の分割データと、復元した分割データとを連結して元の映像データを生成する。
【0031】
記録処理部122は、元の映像データを生成すると、映像データを所定の大きさの複数の分割データに分割する。記録処理部122は、映像データから4個の分割データを分割する毎に、パリティデータを生成する。記録処理部122は、交換後の記録部に対してリビルド書込み制御を行うと共に、交換前の記録部に記録されていた分割データと、パリティデータとを、交換後の記録部へ出力する。図5は、記録部13−2を交換した場合に、記録部13−1,13−3〜13−5に記録される分割データ及びパリティデータから、交換後の記録部13−2に交換前のデータを再構築する際の模式図である。
【0032】
記録部13−1〜13−5は、CPU131−1〜131−5、記録媒体132−1〜132−5及びメモリ133−1〜133−5を備える。記録部13−1〜13−5の動作はそれぞれ同様であるため、以下では、記録部13−1について説明する。
【0033】
CPU131−1は、記録制御部12からの書込み制御を受けると、記録媒体132−1内の空いているアドレスを検索する。CPU131−1は、記録制御部12から供給される分割データ又はパリティデータを、記録媒体132−1の記憶領域のうち、検索したアドレスにより特定される記憶領域に書き込む。CPU131−1は、記録した分割データに対応する映像フレームと、この分割データを記録したアドレスとを対応付けてメモリ133−1に記録する。
【0034】
CPU131−1は、記録制御部12から読出し制御を受けると共に素材ID及びフレーム長が通知されると、メモリ133−1を参照し、通知された素材ID及びフレーム長により特定される映像データを記録するアドレスを検索する。CPU131−1は、記録媒体132−1の記憶領域のうち、検索したアドレスにより特定される記憶領域から分割データ又はパリティデータを読み出す。記録部13−1は、記録媒体132−1から読み出した分割データ又はパリティデータを記録制御部12へ出力する。
【0035】
記録部131−1が交換後の記録部でない場合、CPU131−1は、記録制御部12からリビルド読出し制御を受けると共に素材ID及びフレーム長が通知されると、メモリ133−1を参照し、通知された素材ID及びフレーム長により特定される映像データを記録するアドレスを検索する。CPU131−1は、記録媒体132−1の記憶領域のうち、検索したアドレスにより特定される記憶領域から分割データ又はパリティデータを読み出す。記録部13−1は、記録媒体132−1から読み出した分割データ又はパリティデータを記録制御部12へ出力する。
【0036】
記録部13−1が交換後の記録部である場合、CPU131−1は、記録制御部12からのリビルド書込み制御を受けると、記録媒体132−1内の空いているアドレスを検索する。CPU131−1は、記録制御部12から供給される分割データ又はパリティデータを、記録媒体132−1の記憶領域のうち、検索したアドレスにより特定される記憶領域に書き込む。CPU131−1は、記録した分割データに対応する映像フレームと、この分割データを記録したアドレスとを対応付けてメモリ133−1に記録する。
【0037】
再生部14は、CPU141及び再生処理部142を備える。CPU141は、主制御部15から再生制御が与えられると、再生処理部142に対して、記録制御部12から供給される映像データを処理するように指示を出す。再生処理部142は、CPU141からの指示を受けると、記録制御部12から供給される映像データを収録部11での符号化方式に対応させて復号化し、映像信号に変換する。再生処理部142は、変換後の映像信号を外部へ出力する。
【0038】
次に、以上のように構成された映像収録再生装置10の収録処理及びリビルド処理を詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る映像収録再生装置10が収録処理を実行する際の主制御部15の処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、主制御部15は、操作端末50から収録指示を受信する(ステップS61)。主制御部15は、収録指示を受けると、収録部11及び記録制御部12に対して、映像信号を収録するように収録制御を行う(ステップS62)。
【0040】
続いて、主制御部15は、映像信号の先頭フレームから最終フレームまでの収録処理が終了したか否かを判断する(ステップS63)。終了していない場合(ステップS63のNo)、主制御部15は、処理をステップS62へ移行し、収録制御を継続する。終了した場合(ステップS63のYes)、主制御部15は、収録された映像信号の素材ID、フレーム長、収録時刻、再生予約時刻及び再生優先度等の管理情報をメモリ153に記録する(ステップS64)。図7は、メモリ153に記録される管理情報テーブルの一例を示す図である。
【0041】
図8は、本実施形態に係る映像収録再生装置10がリビルド処理を実行する際のシーケンス図である。なお、図8では、図5で示すように、記録部131−2が交換されたものとして説明する。
【0042】
まず、主制御部15は、操作端末50からリビルド指示を受信する(シーケンスS81)。主制御部15は、メモリ153に記録される管理情報テーブルを参照し、例えば、再生優先度が最も高い「5」である映像データAを選択する(シーケンスS82)。主制御部15は、映像データAの素材ID:IDaと、フレーム長:Faとを記録制御部12へ通知し、記録制御部12に対してリビルド制御を行う(シーケンスS83)。
【0043】
記録制御部12は、主制御部15から通知される素材ID:IDa及びフレーム長:Faを、交換対象外である記録部13−1,13−3〜13−5へ通知し、記録部13−1,13−3〜13−5に対して並列してリビルド読出し制御を行う(シーケンスS84)。
【0044】
記録部13−1,13−3〜13−5のCPU131−1,131−3〜131−5は、記録制御部12からリビルド読出し制御を受けると共に素材ID:IDa及びフレーム長:Faが通知されると、メモリ133−1,133−3〜133−5を参照し、映像データAを記録するアドレスを検索する。図9は、メモリ133−1,133−3〜133−5に記録される、映像データAの映像フレームとこの映像フレームを記録するアドレスとを関連付けるテーブルの一例を示す図である。CPU131−1,131−3〜131−5は、検索したアドレスにより特定される記憶領域から分割データ又はパリティデータを読み出すように、記録媒体132−1,132−3〜132−5へ読出し指示を出す(シーケンスS85)。
【0045】
記録媒体132−1,132−3〜132−5は、CPU131−1,131−3〜131−5からの読出し指示に応じて、指定された記憶領域に記録された分割データ又はパリティデータを読み出す。記録部13−1,13−3〜13−5は、記録媒体132−1,132−3〜132−5から読み出された4個の分割データ、又は、3個の分割データ及び1個のパリティデータを記録制御部12へ出力する(シーケンスS86)。
【0046】
記録制御部12は、記録部13−1,13−3〜13−5から4個の分割データを並列して受け取ると、この4個の分割データを連結して元の映像データを生成する。記録制御部12は、記録部13−1,13−3〜13−5から3個の分割データと、1個のパリティデータとを受け取ると、これらのデータから分割データを復元する。記録制御部12は、3個の分割データと、復元した分割データとを連結して元の映像データを生成する(シーケンスS87)。
【0047】
記録制御部12は、生成した元の映像データに基づいて分割データ及びパリティデータを生成する(シーケンスS88)。記録制御部12は、交換後の記録部13−2に対してリビルド書込み制御を行うと共に、交換前の記録部に記録されていた分割データ又はパリティデータを、記録部13−2へ出力する(シーケンスS89)。
【0048】
CPU131−2は、記録制御部12からのリビルド書込み制御を受けると、記録媒体132−2内の空いているアドレスを検索する。CPU131−2は、記録制御部12から供給される分割データ又はパリティデータを、検索したアドレスにより特定される記憶領域に書き込むように、記録媒体132−2へ書込み指示を出すと共に分割データ又はパリティデータを出力する(シーケンスS810)。記録媒体132−2は、CPU131−2からの書込み指示に応じて、指定された記憶領域に、供給された分割データ又はパリティデータを書き込む。
【0049】
記録制御部12及び記録部13−1〜13−5は、シーケンスS82で選択された映像データAの先頭フレームから最終フレームまでの再構築が終了するまで、シーケンスS84〜シーケンスS810を繰り返す。記録制御部12は、映像データAの再構築が終了すると、映像データAの素材ID及びフレーム長を主制御部15へ通知すると共に、リビルド処理が終了したことを主制御部15へ通知する。このように、記録部13−1〜13−5に記録される映像データ毎にリビルド処理を行う。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る映像収録再生装置10では、主制御部15は、収録する映像信号の、素材ID、フレーム長、収録時刻、再生予約時刻及び再生優先度等を記録する。リビルド処理を実行する際、主制御部15は、管理情報を参照し、記録部に記録される複数の映像データのうち、先に再構築する映像データを選択する。そして、記録制御部12は、主制御部15により選択された映像データに対して優先的にリビルド処理を行うようにしている。これにより、映像収録再生装置10は、映像データのリビルド処理を任意の順序で実行することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態に係る映像収録再生装置10では、主制御部15は、映像データの収録時に、収録時刻も管理情報に含めて記録するようにしている。これにより、主制御部15は映像データが収録された順序でリビルド処理を行わせることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態に係る映像収録再生装置10では、操作端末50から再生予約を受け付ける。主制御部15は、映像データの収録時に、この再生予約も管理情報に含めて記録するようにしている。これにより、主制御部15は、放送のために再生される予定の順序で映像データのリビルド処理を行わせることが可能である。また、再生予約が行われている素材のみに対してリビルド処理を行うことが可能である。
【0053】
このように素材毎に再構築を行うようにする事で、様々な優先度に基づいた順序でリビルド処理を実行することが可能となる。
【0054】
したがって、本実施形態によれば、交換前の記録部に記録されていた映像データのうち、必要となる映像データは早急に再構築されるため、交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されるのを待つ必要がなくなる。つまり、交換前の記録部に記録されていたデータの全てが再構築されなくても、交換後の記録部を駆動させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、リビルド指示を受信すると、主制御部15が、管理情報テーブルを参照し、リビルド処理が優先して実行される映像データを選択する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、主制御部15は、リビルド処理を受信すると、記録制御部12に対してリビルド制御を行うと共に、管理情報テーブルを記録制御部12へ出力するようにしても構わない。このとき、記録制御部12は、メモリ123を備え、主制御部15から供給される管理情報テーブルをメモリ123に記録する。記録制御部12は、主制御部15からリビルド制御を受けると、管理情報テーブルを参照し、優先してリビルド処理される映像データを選択する。そして、記録部を、選択した映像データのリビルド処理を実行するように制御する。こうすることにより、リビルド処理を記録制御部12と、記録部13−1〜13−5との中で閉じて実行することが可能となる。つまり、主制御部15での再構築素材の決定と、主制御部15からの再構築素材の指示とが不要となる。したがって、主制御部15のリビルド処理時の負荷を低減することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、映像収録再生装置10が記録部13−1〜13−5を具備する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されるわけではない。例えば、記録部は、5個に限定される訳ではない。記録部は、分割データとパリティデータとを並列して記録可能であるならば、5個以下であっても以上であっても構わない。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
10…映像収録再生装置、11…収録部、111…CPU、112…収録処理部、12…記録制御部、121…CPU、122…記録処理部、13−1〜13−5…記録部、131…CPU、132…記録媒体、133…メモリ、14…制御部、15…主制御部、151…CPU、152…主制御処理部、153…メモリ、20…ビデオカメラ、30…再生デッキ、31…映像記録メディア、40…ノンリニア編集機、50…操作端末、60…映像確認用モニタ、70…放送設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した映像信号を所定の符号化方式に基づいて符号化して映像データへ変換する収録部と、
前記映像データを複数の分割データに分割し、予め設定された設定数の分割データ毎に前記設定数の分割データのいずれかを復元するための冗長データを生成し、前記複数の分割データと、前記複数の冗長データとの書込み制御を行う記録制御部と、
前記書込み制御に従い、前記設定数の分割データと、前記設定数の分割データに基づいて生成された冗長データとを分散して記録することで、前記複数の分割データと、前記複数の冗長データとを記録する複数の記録部と、
前記記録した映像データの管理情報を記録する主制御部と
を具備することを特徴とする映像収録再生装置。
【請求項2】
前記複数の記録部のうち、いずれかの記録部が交換された場合、
前記主制御部は、前記管理情報を参照し、前記複数の記録部に記録される映像データのうち、優先的に再構築する優先映像データを選択し、
前記記録制御部は、交換対象外の記録部に記録されるデータを読み出して前記優先映像データを生成し、前記生成した優先映像データに基づき、交換前の記録部に記録されていた分割データ及びパリティデータを生成し、前記生成した分割データ及びパリティデータを交換後の記録部に記録させることを特徴とする請求項1記載の映像収録再生装置。
【請求項3】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、収録時刻を含み、
前記主制御部は、前記収録時刻を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項2記載の映像収録再生装置。
【請求項4】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、再生予約時刻を含み、
前記主制御部は、前記再生予約時刻を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項2記載の映像収録再生装置。
【請求項5】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、再生優先度を含み、
前記主制御部は、前記再生優先度を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項2記載の映像収録再生装置。
【請求項6】
前記複数の記録部のうち、いずれかの記録部が交換された場合、
前記主制御部は、前記管理情報を前記記録制御部へ出力し、
前記記録制御部は、前記管理情報を参照し、前記複数の記録部に記録される映像データのうち、優先的に再構築する優先映像データを選択し、
前記記録制御部は、交換対象外の記録部に記録されるデータを読み出して前記優先映像データを生成し、前記生成した優先映像データに基づき、交換前の記録部に記録されていた分割データ及びパリティデータを生成し、前記生成した分割データ及びパリティデータを交換後の記録部に記録させることを特徴とする請求項1記載の映像収録再生装置。
【請求項7】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、収録時刻を含み、
前記記録制御部は、前記収録時刻を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項6記載の映像収録再生装置。
【請求項8】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、再生予約時刻を含み、
前記記録制御部は、前記再生予約時刻を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項6記載の映像収録再生装置。
【請求項9】
前記管理情報は、収録した映像データの素材ID及びフレーム長と共に、再生優先度を含み、
前記記録制御部は、前記再生優先度を参照して、前記優先映像データを選択することを特徴とする請求項6記載の映像収録再生装置。
【請求項10】
受信した映像信号を所定の符号化方式に基づいて符号化して映像データとし、
前記映像データを複数の分割データに分割し、
予め設定された設定数の分割データ毎に前記設定数の分割データのいずれかを復元するための冗長データを生成し、
前記設定数の分割データと、前記設定数の分割データに基づいて生成された冗長データとを分散して複数の記録部に記録することで、前記複数の分割データと、前記複数の冗長データとを記録し、
前記記録した映像データの管理情報を記録することを特徴とする収録方法。
【請求項11】
映像データを分割した分割データと、前記分割データを復元するための冗長データとを分散して記録する複数の記録部を具備する映像収録再生装置で用いられる再構築方法において、
前記複数の記録部のうち、いずれかの記録部が交換された場合、
映像データの収録時に記録した前記映像データの管理情報を参照し、優先的に再構築する優先映像データを選択し、
交換対象外の記録部に記録されるデータを読み出して前記優先映像データを生成し、
前記生成した優先映像データに基づき、交換前の記録部に記録されていた分割データ及びパリティデータを生成し、
前記生成した分割データ及びパリティデータを交換後の記録部に記録することを特徴とする再構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58172(P2013−58172A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197592(P2011−197592)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】