説明

映像投射位置調整システム、映像投射位置調整方法及び映像投射位置調整プログラム

【課題】従来は立体視表示装置の表示デバイスとレンズアレイとが一体化されているため、データを補完して立体視用画像を生成するようにしても、ディスプレイの画素とレンズアレイの各レンズの中心位置との調整精度には限界がある。
【解決手段】制御装置5は立体映像表示装置1内の表示デバイスの予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される水平方向位置調整用パターンと予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される垂直方向位置調整用パターンとを順次にスクリーン2に表示させる。水平方向位置調整用パターン又は垂直方向位置調整用パターン表示時の、予め定められた画素に対応するレンズアレイ3中の一つのレンズで表示される映像を撮像するカメラ装置4からの映像データが最大の振幅が得られるように、制御装置5は表示デバイスを水平方向又は垂直方向に移動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像投射位置調整システム、映像投射位置調整方法及び映像投射位置調整プログラムに係り、特にインテグラルフォトグラフィ(IP)方式の立体映像表示装置の表示デバイスとレンズアレイのレンズとの相対位置を調整する映像投射位置調整システム、映像投射位置調整方法及び映像投射位置調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像を表示する立体映像表示装置として、IP方式の立体映像表示装置が知られている。このIP方式では、図8の概略説明図に示すように、表示デバイス101の前方に多数の凸レンズがアレイ状に配置されたレンズアレイ102を設置し、表示デバイス101の画素群からの光をレンズアレイ102の結像作用によりレンズアレイ102の前方の空間位置に集め、そこから広がるようにする。この広がった光を観察者の眼104で見ると、レンズアレイ102の前方の光が集まった空間位置に立体像103が存在するように観察者に視認させることができる。
【0003】
このIP方式の立体映像表示装置による立体画像を高画質とするためには、図9(A)の正面図に示すレンズアレイ102の各レンズと、表示デバイス101の各画素との相対位置が同図(B)に示すように正確に合っている必要がある。なお、図9(B)、(C)に示すように、レンズアレイ102の一つのレンズは、表示デバイス101の複数の画素に対応している。
【0004】
しかしながら、近年、表示デバイス101の画素ピッチ及びレンズアレイ102のレンズが、視野角の拡大や高画質化を図るため、急速な微細化が進んでいるため、図9(C)に示すように、実線の円形で示すレンズアレイのレンズ位置と、矩形で示す表示デバイスの画素の位置とがずれる可能性が高くなり、同図(B)に示すように、レンズアレイのレンズ位置と表示デバイスの画素の位置とを非常に精度高く一致させるように要求されるようになった。
【0005】
そこで、従来はディスプレイとレンズアレイとが一体となった立体視ディスプレイをカメラで撮影することにより、ディスプレイの画素とレンズアレイの各レンズの中心位置との位置関係を計測用装置で求め、求めたレンズと画素との対応位置関係情報を基に、立体視用画像を生成する立体視表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の立体視表示装置では、ディスプレイの画素とレンズアレイの各レンズの中心位置とが一致するように信号処理により立体視用画像を生成するものである。
【0006】
【特許文献1】特開2006−162945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1記載の従来の立体視表示装置では、表示デバイスとレンズアレイとが一体化されているため、撮像信号から求めたレンズと画素との対応位置関係情報を基に、データを補完して立体視用画像を生成するようにしても、ディスプレイの画素とレンズアレイの各レンズの中心位置とを0.5画素以下に合わせた立体視用画像を生成することは困難であり、その結果、画質向上には限界がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ディスプレイの画素とレンズアレイの各レンズの中心位置との間のずれを従来に比べてより一層小さく正確に、自動的に合わせることが可能な映像投射位置調整システム、映像投射位置調整方法及び映像投射位置調整プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された映像を表示するためのスクリーンと、このスクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、表示デバイスの予め定められた画素の位置を、レンズアレイの画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整システムであって、
映像表示装置は、表示デバイスを水平方向と垂直方向に互いに独立して移動させる水平方向移動機構と垂直方向移動機構とを備えており、レンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像する撮像手段と、表示デバイスにより予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度となる水平方向位置調整用パターンを表示させると共に、そのとき撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、水平方向移動機構を駆動制御する第1の制御動作と、表示デバイスにより予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度となる垂直方向位置調整用パターンを表示させると共に、そのとき撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、垂直方向移動機構を駆動制御する第2の制御動作とを行う制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
この発明では、水平方向位置調整用パターン又は垂直方向位置調整用パターンを表示デバイスに表示させた時の、レンズアレイの予め定められた表示デバイスの一画素に対応する一つのレンズを通して表示される映像を撮像して得られる映像データの信号レベルと、その周囲の画素の信号レベルとの差(振幅)は、上記の一画素の位置とレンズアレイの上記の一つのレンズの中心位置とが一致したときに最も大きいということに着目し、水平方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを水平方向に移動制御し、垂直方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを垂直方向に移動制御する。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された映像を表示するためのスクリーンと、このスクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、表示デバイスの予め定められた画素の位置を、レンズアレイの画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整システムであって、
映像表示装置は、表示デバイスを水平方向と垂直方向に互いに独立して移動させる水平方向移動機構と垂直方向移動機構とを備えており、レンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像する撮像手段と、表示デバイスにより1画素幅の1本の縦線からなる水平方向位置調整用パターンを表示させ、かつ、縦線の一部を予め定められた画素で表示させると共に、そのとき撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、水平方向移動機構を駆動制御する第1の制御動作と、表示デバイスにより1画素幅の1本の横線からなる垂直方向位置調整用パターンを表示させ、かつ、横線の一部を予め定められた画素で表示させると共に、そのとき撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、垂直方向移動機構を駆動制御する第2の制御動作とを行う制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
この発明では、1画素幅の1本の縦線からなる水平方向位置調整用パターン又は1画素幅の1本の横線からなる垂直方向位置調整用パターンを表示デバイスに表示させた時の、レンズアレイの予め定められた表示デバイスの一画素に対応する一つのレンズを通して表示される映像を撮像して得られる映像データの信号レベルは、横線又は縦線の撮像信号レベルであり、その周囲の画素の信号レベルとの差(振幅)は、上記の一画素の位置とレンズアレイの上記の一つのレンズの中心位置とが一致したときに最も大きいということに着目し、水平方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを水平方向に移動制御し、垂直方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを垂直方向に移動制御する。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された映像を表示するためのスクリーンと、このスクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、映像表示装置の予め定められた画素の位置を、レンズアレイの画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整方法であって、
予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される水平方向位置調整用パターンと予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される垂直方向位置調整用パターンとのうち選択した一方の位置調整用パターンを表示デバイスにより表示させる第1のステップと、第1のステップで一方の位置調整用パターンが表示されているときのレンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像して第1の映像データを得る第2のステップと、第2のステップで得られた第1の映像データに基づき、その第1の映像データの振幅が最大となるように、一方の位置調整用パターンによる位置調整方向に表示デバイスを移動させる第3のステップと、水平方向位置調整用パターンと垂直方向位置調整用パターンとのうち第1のステップで選択しなかった他方の位置調整用パターンを選択して表示デバイスにより表示させる第4のステップと、第4のステップで他方の位置調整用パターンが表示されているときのレンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像して第2の映像データを得る第5のステップと、第5のステップで得られた第2の映像データに基づき、その第2の映像データの振幅が最大となるように、他方の位置調整用パターンによる位置調整方向に表示デバイスを移動させる第6のステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
更に、上記の目的を達成するため、第4の発明は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された映像を表示するためのスクリーンと、このスクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、コンピュータにより映像表示装置の予め定められた画素の位置を、レンズアレイの画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整させる映像投射位置調整プログラムであって、コンピュータに、
予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される水平方向位置調整用パターンと予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される垂直方向位置調整用パターンとのうち選択した一方の位置調整用パターンを表示デバイスにより表示させる第1のステップと、第1のステップで一方の位置調整用パターンが表示されているときのレンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像して得た第1の映像データを取得する第2のステップと、第2のステップで得られた第1の映像データに基づき、その第1の映像データの振幅が最大となるように、一方の位置調整用パターンによる位置調整方向に表示デバイスを移動させるための第1の制御信号を出力する第3のステップと、水平方向位置調整用パターンと垂直方向位置調整用パターンとのうち第1のステップで選択しなかった他方の位置調整用パターンを選択して表示デバイスにより表示させる第4のステップと、第4のステップで他方の位置調整用パターンが表示されているときのレンズアレイの中の一つのレンズで表示される映像を撮像して得た第2の映像データを取得する第5のステップと、第5のステップで得られた第2の映像データに基づき、その第2の映像データの振幅が最大となるように、他方の位置調整用パターンによる位置調整方向に表示デバイスを移動させるための第2の制御信号を出力する第6のステップとを実行させることを特徴とする。
【0015】
第3及び第4の発明では、水平方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを水平方向に移動制御し、垂直方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを垂直方向に移動制御することで、表示デバイスの予め定められた一画素の位置とレンズアレイの一つのレンズの中心位置とを一致させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水平方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを水平方向に移動制御し、垂直方向位置調整用パターン表示時には、映像データの振幅が最大になるように表示デバイスを垂直方向に移動制御するようにしたため、表示デバイスの予め定められた一画素の位置とレンズアレイの一つのレンズの中心位置とを自動的に一致させることができる。
【0017】
また、本発明によれば、表示デバイスはレンズアレイと一体化しておらず、レンズアレイに対して移動調整可能な構成としているため、表示デバイスの予め定められた画素の位置を、レンズアレイの対応するレンズの中心位置に一致するように水平方向及び垂直方向のいずれも従来に比べて極めて高精度に映像投射位置調整ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明になる映像投射位置調整システムの一実施の形態の構成図を示す。同図に示すように、本実施の形態の映像投射位置調整システムは、2次元配置された多数の画素で画像表示を行う立体映像表示装置1と、立体映像表示装置1から投射された映像を表示するためのスクリーン2と、このスクリーン2の映像を空間に立体像として表示するための多数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイ3と、立体映像表示装置1により表示された画像の光をレンズアレイ3の結像作用によりレンズアレイ3の前方の空間位置に結像される空間像を撮影するカメラ装置4と、立体映像表示装置1及びカメラ装置4をそれぞれ制御する制御装置5とから構成される。
【0019】
制御装置5は立体映像表示装置1が所定の位置調整用パターンを表示するように立体映像表示装置1を制御すると共に、カメラ装置4に対して、映像信号を撮影し、それにより得られた撮像データを制御装置5に転送するように制御する装置で、例えばパーソナルコンピュータにより構成されている。なお、カメラ装置4はレンズアレイ3を構成する多数のレンズのうち、中心にある1個のレンズからの像を撮像するように設定されている。
【0020】
図2は図1の立体映像表示装置1の一実施の形態の構成図を示す。図2において、立体映像表示装置1は、不揮発性メモリ10を内蔵する演算処理装置11と、所定のデータが記憶されているハードディスクドライブ(HDD)12と、表示デバイスである赤色(R)用液晶デバイス13R、緑色(G)用液晶デバイス13G及び青色(B)用液晶デバイス13Bと、これら液晶デバイス13R、13G及び13Bの表示光を合成する光学ブロック14と、光学ブロック14からの光を図1に示したレンズアレイ3に投射する投射レンズ15とを有する。液晶デバイス13R、13G、13Bは演算処理装置11で信号処理された外部からのビデオ装置からの映像信号を表示するか、不揮発性メモリ10又はHDD12からの後述する位置調整用パターンを表示する。
【0021】
更に、立体映像表示装置1は、R用液晶デバイス13Rを水平方向にステップ的に移動するための水平方向移動用モータM1と、R用液晶デバイス13Rを垂直方向にステップ的に移動するための垂直方向移動用モータM2と、G用液晶デバイス13Gを水平方向にステップ的に移動するための水平方向移動用モータM3と、G用液晶デバイス13Gを垂直方向にステップ的に移動するための垂直方向移動用モータM4と、B用液晶デバイス13Bを水平方向にステップ的に移動するための水平方向移動用モータM5と、B用液晶デバイス13Bを垂直方向にステップ的に移動するための水平方向移動用モータM6とを有している。
【0022】
これらモータM1〜M6は演算処理装置11からのモータ駆動信号により、互いに独立して動作するステッピングモータであり、移動対象の液晶デバイス13R、13G又は13Bを、例えば0.1画素単位でステップ的に移動するようにされている。なお、光学ブロック14及び投射レンズ15は固定されており、移動しない。また、モータM1〜M6の回転により液晶デバイス13R、13G、13Bを水平方向又は垂直方向に移動する移動機構は公知であり(例えば、特開2003−233125号公報参照)、また移動機構自体は本発明の要旨ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0023】
次に、図1及び図2に示した実施の形態の、位置調整動作の概略について図3のフローチャート、図4及び図5の位置調整用パターンと共に説明する。図1の制御装置5は位置調整時は、まず、図4に示す水平方向位置調整用パターン21を立体映像表示装置1によりスクリーン2に投射表示させる(図3のステップS1)。ここで、図4に示すように、水平方向位置調整用パターン21は、画像領域の横方向の中心に1画素の幅の縦線22が位置する縦1本線のパターンであり、縦線22以外は縦線22よりも小さな輝度で表示される所定の色(例えば、黒色)のパターンである。立体映像表示装置1の表示デバイスが図2に示したような3原色の液晶デバイス13R、13G、13Bからなる3板式の場合には、上記の水平方向位置調整用パターン21は、縦線22を赤色、緑色又は青色として3回位置調整を行い、立体映像表示装置1の表示デバイスが単板の場合は、縦線22を白線とし、それ以外の部分は黒色とする。
【0024】
立体映像表示装置1の表示デバイスが3板式であるものとすると、上記のステップS1では、上記の水平方向位置調整用パターン21の縦線22を3原色のうちの1つの原色で表示する。ここで一例として最初に赤色を表示するものとすると、液晶デバイス13Rのみから赤色の縦線22が表示され、液晶デバイス13G及び13Bからは色表示が行われない。この赤色の縦線22の表示画像は、光学ブロック14及び投射レンズ15により図1のスクリーン2に投射され、そのスクリーン2の映像がレンズアレイ3により空間に立体像として得られ、その立体像がカメラ装置4により撮像される。ただし、カメラ装置4は、レンズアレイ3を構成する多数のレンズのうち、中心にある1個のレンズからの像を撮像するように配置されている。
【0025】
制御装置5はカメラ装置4からの撮像信号を入力として受ける。ここで、レンズアレイ3のうち、液晶デバイス13Rの赤色を表示している画素の位置が、対応するレンズ(これはレンズアレイ3の中心にある1個のレンズ)の中心に来た場合には、撮像信号のレベルが最大となる。また、液晶デバイス13Rの赤色を表示している画素の位置が、対応するレンズの中心からずれると、撮像信号のレベルが低下する。
【0026】
そこで、制御装置5は撮像信号のレベルが最大となるように、液晶デバイス13Rの水平方向の位置を移動させる制御信号を発生して立体映像表示装置1の演算処理装置11に供給する。これにより、演算処理装置11は、駆動信号を生成して水平方向移動用モータM1に供給し、上記の撮像信号のレベルが最大となる方向に液晶デバイス13Rの水平方向の位置を例えば0.1画素ピッチ分移動させるように水平方向移動用モータM1を駆動制御する。上記の撮像信号のレベルの検出と水平方向移動用モータM1を駆動制御とを繰り返して、撮像信号のレベルが最大となる位置に液晶デバイス13Rの水平方向の位置を移動させる水平方向位置調整を行う(図3のステップS2)。
【0027】
続いて、上記と同様にして、黒色の画像の中心位置に緑色の縦線22がある水平方向位置調整用パターン21を、液晶デバイス13Gのみにより表示させ、そのときカメラ装置4で撮像した撮像信号のレベルを最大とするように、水平方向モータM3を駆動して液晶デバイス13Gを水平方向に移動する水平方向位置調整を行う。その後、黒色の画像の中心位置に青色の縦線22がある水平方向位置調整用パターン21を、液晶デバイス13Bのみにより表示させ、そのときカメラ装置4で撮像した撮像信号のレベルを最大とするように、水平方向モータM5を駆動して液晶デバイス13Bを水平方向に移動する水平方向位置調整を行う。
【0028】
このようにして、3原色の液晶デバイス13R、13G、13Bの水平方向の位置調整が終わると、続いて制御装置5からの制御信号により図5に示す垂直方向位置調整用パターン31を立体映像表示装置1により表示させる(図3のステップS3)。ここで、図5に示すように、垂直方向位置調整用パターン31は、画像領域の縦方向の中心に1画素の幅の横線32が位置する横1本線のパターンであり、横線32以外は横線32よりも小さな輝度で表示される所定の色(例えば、黒色)のパターンである。立体映像表示装置1の表示デバイスが図2に示したような3原色の液晶デバイス13R、13G、13Bからなる3板式の場合には、上記の垂直方向位置調整用パターン31は、横線32を赤色、緑色又は青色として3回位置調整を行い、立体映像表示装置1の表示デバイスが単板の場合は、横線32を白線とし、それ以外の部分は黒色とする。
【0029】
この垂直方向位置調整時も、水平方向位置調整時と同様に、3原色の液晶デバイス13R、13G、13Bのそれぞれについて、順番に垂直方向の位置調整を行う(図3のステップS4)。例えば、黒色の画像の中心位置に赤色の横線32がある垂直方向位置調整用パターン31を、液晶デバイス13Rのみにより表示させ、そのときのカメラ装置4で撮像した撮像信号のレベルを最大とするように、垂直方向モータM2を駆動して液晶デバイス13Rを垂直方向に移動する垂直方向位置調整を行う。他の液晶デバイス13G、13Bも同様にして、緑色又は青色の横線32がある垂直方向位置調整用パターンを液晶デバイス13G、13Bで順次に表示させ、そのときのカメラ装置4で撮像した撮像信号のレベルを最大とするように、垂直方向モータM4、M6を駆動して液晶デバイス13G、13Bを垂直方向に移動する垂直方向位置調整を行う。垂直方向位置調整の終了により表示デバイスの画素とレンズアレイアレイ2のレンズとの位置調整が終了する。
【0030】
上記の水平方向位置調整と垂直方向位置調整とは基本的な動作は同じであるので、次に、代表してステップS1とS2の水平方向位置調整動作について、図6のフローチャート及び図7の模式図と共に更に詳細に説明する。
【0031】
まず、図1の制御装置5から立体映像表示装置1に対して、水平方向位置調整パターンを表示するようにコマンドが発行される(図6のステップS11)。立体映像表示装置1の演算処理装置11は、上記のコマンドを検出すると、HDD12、不揮発性メモリ10などより3原色のうちの1つの原色の水平方向位置調整パターンを読み出して、液晶デバイス13R、13G及び13Bに供給して対応する原色の液晶デバイスのみに、図4に示した水平方向位置調整パターンを表示させると共に、処理終了コマンドを制御装置5に発行する(図6のステップS12)。
【0032】
続いて、制御装置5はカメラ装置4に対して、映像取り込みコマンドを発行する(図6のステップS13)。カメラ装置4はこの映像取り込みコマンドを受信すると、このとき立体映像表示装置1で表示されている水平方向位置調整パターンをレンズアレイ3に投射しているときの像を撮像して得られた映像データを制御装置5に転送する(図6のステップS14)。
【0033】
制御装置5は、カメラ装置4から入力された映像データよりHData_maxとHData_minの2つのレベルを検出して、次式
ΔHData=HData_max−HData_min (1)
により差分値(振幅)ΔHDataを算出する(図6のステップS15)。
【0034】
ここで、図2に示した液晶デバイス13R、13G及び13Bのうち、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの水平方向の多数の画素のうち、図4に示した水平方向位置調整パターン21の中心の縦線22を表示している画素を図7(A)〜(C)に41で示し、レンズアレイ3を構成する多数のレンズのうちこの画素41に対応する一つのレンズを図7(A)〜(C)に42で示すものとすると、初期状態の図7(A)では、カメラ装置4から出力された撮像信号から得られる映像データは、図7(A)に43で示すようになり、信号レベルの最大値がHData_maxであり、最小値がHData_minであり、その差分値(振幅)が(1)式で求められるΔHDataである。図7(A)の初期状態では、画素41とレンズ42の中心位置とが水平方向にずれているので、ΔHDataは最適位置に調整したときより小なる値である。
【0035】
続いて、制御装置5は立体映像表示装置1に対し、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスを右方向に1ステップ(例えば、0.1画素ピッチ)だけ移動させるコマンドを発行する(図6のステップS16)。立体映像表示装置1は、上記のコマンドを受信すると、演算処理装置11が駆動信号を生成して水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの水平方向移動用モータを駆動し、当該液晶デバイスを右方向に1ステップ移動させた後、制御装置5に終了コマンドを発行する(図6のステップS17)。
【0036】
制御装置5は、終了コマンドを受信すると、カメラ装置4に対して映像取り込みコマンドを発行する(図6のステップS18)。カメラ装置4はこの映像取り込みコマンドを受信すると、このとき立体映像表示装置1で表示されている水平方向位置調整パターンをレンズアレイ3に投射しているときの像を撮像して得られた映像データを制御装置5に転送する(図6のステップS19)。
【0037】
制御装置5は、カメラ装置4から入力された映像データよりHData_maxとHData_minの2つのレベルを検出して、(1)式により差分値(振幅)ΔHDataを算出する(図6のステップS20)。そして、ステップS15で算出した前回の差分値(振幅)ΔHDataとステップS19で算出した今回の差分値(振幅)ΔHDataとを大小比較し、前回のΔHDataが今回のΔHDataより小であるかどうか判定する(図6のステップS21)。
【0038】
前回のΔHDataが今回のΔHDataより小であるときは、図7(A)の初期状態における、画素41とレンズ42の中心位置とが近付いていると判断して、再びステップS16〜S20の処理を繰り返して再度ステップS21の判定を行う。このようにして、前回のΔHDataが今回のΔHData以上となるまで、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスを右方向に1ステップずつ移動していく。
【0039】
これにより、図7(B)に示すように、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの画素41の位置が、レンズ42の中心位置と一致する位置まで移動すると、そのときのカメラ装置4から出力された撮像信号から得られる映像データは、図7(B)に44で示すようになり、その差分値(振幅)ΔHDataは、初期状態での差分値(振幅)ΔHDataよりも大きくなる。
【0040】
そして、この最適な位置調整状態から更にステップS16〜S20の処理を繰り返して水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスを右方向に1ステップずつ移動していくと、図7(C)に示すように、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの画素41の位置が、レンズ42の中心位置を行き過ぎて遠ざかり、右方向にずれる。このときは、カメラ装置4から出力された撮像信号から得られる映像データは、図7(C)に45で示すようになり、今回の差分値(振幅)ΔHDataは、図7(B)の状態の前回の差分値(振幅)ΔHDataよりも小さくなり、ステップS21でNoと判定される。
【0041】
そこで、制御装置5は立体映像表示装置1に対し、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスを左方向に1ステップ(例えば、0.1画素ピッチ)だけ移動させるコマンドを発行する(図6のステップS22)。立体映像表示装置1は、上記のコマンドを受信すると、演算処理装置11が駆動信号を生成して水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの水平方向移動用モータを駆動し、当該液晶デバイスを今度は左方向に1ステップ移動させた後、制御装置5に終了コマンドを発行する(図6のステップS23)。
【0042】
制御装置5は、終了コマンドを受信すると、カメラ装置4に対して映像取り込みコマンドを発行する(図6のステップS24)。カメラ装置4はこの映像取り込みコマンドを受信すると、このとき立体映像表示装置1で表示されている水平方向位置調整パターンをレンズアレイ3に投射しているときの像を撮像して得られた映像データを制御装置5に転送する(図6のステップS25)。
【0043】
制御装置5は、カメラ装置4から入力された映像データよりHData_maxとHData_minの2つのレベルを検出して、(1)式により差分値(振幅)ΔHDataを算出する(図6のステップS26)。そして、ステップS20で算出した前回の差分値(振幅)ΔHDataとステップS26で算出した今回の差分値(振幅)ΔHDataとを大小比較し、前回のΔHDataが今回のΔHDataより小であるかどうか判定する(図6のステップS27)。
【0044】
ステップS27で前回のΔHDataが今回のΔHDataより小であると判定されたときは、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの画素41の位置が、レンズ42の中心位置よりまだ右方向にずれていると判断して、ステップS22〜ステップS26の処理を繰り返して画素41の位置を左方向に1ステップ移動して、再びステップS27において、ステップS26で算出した前回の差分値(振幅)ΔHDataとステップS26で今回新たに算出した移動後の差分値(振幅)ΔHDataとを大小比較し、前回のΔHDataが今回のΔHDataより小であるかどうか判定する。
【0045】
以下、ステップS27において、ステップS26で算出した今回の差分値(振幅)ΔHDataがステップS26で算出した前回の差分値(振幅)ΔHData以下となるまで、ステップS22〜ステップS26の処理を繰り返して画素41の位置を左方向に1ステップずつ移動していく。
【0046】
このようにして、ステップS27において、今回の差分値(振幅)ΔHDataが前回の差分値(振幅)ΔHData以下と判定されたときは、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの画素41の位置が、レンズ42の中心位置から左方向に行き過ぎたと判断して、制御装置5は立体映像表示装置1に対し、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスを今度は右方向に1ステップ(例えば、0.1画素ピッチ)だけ移動させるコマンドを発行する(図6のステップS28)。
【0047】
立体映像表示装置1は、上記のコマンドを受信すると、演算処理装置11が駆動信号を生成して水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの水平方向移動用モータを駆動し、当該液晶デバイスを右方向に1ステップ移動させた後、制御装置5に終了コマンドを発行する(図6のステップS29)。これにより、図7(B)に示すように、水平方向位置調整パターン21を表示している一つの液晶デバイスの画素41の位置は、レンズ42の中心位置と一致する位置まで移動した状態にされ、水平方向の位置調整は終了となる。他の2つの原色用の液晶デバイスの水平方向の調整も同様にして行われる。
【0048】
なお、垂直方向の位置調整も図6の水平方向の位置調整と調整方向が異なるだけで、同様に行われる。
【0049】
このようにして、本実施の形態によれば、立体映像表示装置1の表示デバイスである液晶デバイス13R、13G、13Bの中心画素の位置を、レンズアレイ3の対応するレンズの中心位置に一致させる映像投射位置調整を自動的に行うことができ、また、本実施の形態によれば、液晶デバイス13R、13G、13Bの中心画素の位置を、レンズアレイ3の対応するレンズの中心位置に水平方向及び垂直方向のいずれも0.1画素ピッチ以内で一致させることができ、従来に比べて極めて高精度な映像投射位置調整ができる。
【0050】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、図3、図6の各フローチャートで示す処理を制御装置5により行わせる映像投射位置調整プログラムも包含するものである。この映像投射位置調整プログラムは、記録媒体から制御装置5を構成するコンピュータに取り込まれてもよいし、ネットワークを介して配信されてコンピュータに取り込まれてもよく、更にはファームウェアとしてコンピュータに組み込まれていてもよい。また、図3の実施の形態の説明では、水平方向位置調整を終えてから垂直方向位置調整を行っているが、逆の順番で位置調整を行ってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の映像投射位置調整システムの一実施の形態の構成図である。
【図2】図1中の立体映像表示装置の一実施の形態の構成図である。
【図3】本発明の映像投射位置調整方法の一実施の形態のフローチャートである。
【図4】本発明の映像投射位置調整方法及びシステムで用いる水平方向調整用パターンの一例を示す図である。
【図5】本発明の映像投射位置調整方法及びシステムで用いる垂直方向調整用パターンの一例を示す図である。
【図6】本発明における水平方向位置調整方法の一例を説明するフローチャートである。
【図7】図1中の立体映像表示装置内の表示デバイスの水平方向位置調整パターンの中心の縦線を表示している画素及びその周辺の画素と、それらの画素に対応するレンズアレイ中のレンズと、そのときのカメラ装置から得られる映像データとの関係の各例を模式的に示す図である。
【図8】IP方式による立体画像の表示原理を説明する図である。
【図9】IP方式による立体映像表示装置の表示デバイスの各画素と、レンズアレイの対応するレンズ中心とが一致している場合とずれている場合を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 立体映像表示装置
2 スクリーン
3 レンズアレイ
4 カメラ装置
5 制御装置
10 不揮発性メモリ
11 演算処理装置
12 ハードディスクドライブ(HDD)
13R 赤色用液晶デバイス
13G 緑色用液晶デバイス
13B 青色用液晶デバイス
14 光学ブロック
15 投射レンズ
21 水平方向調整用パターン
22 縦線
31 垂直方向調整用パターン
32 横線
M1、M3、M5 液晶デバイス水平方向移動用モータ
M2、M4、M6 液晶デバイス垂直方向移動用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された前記映像を表示するためのスクリーンと、前記スクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、前記表示デバイスの予め定められた画素の位置を、前記レンズアレイの前記画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整システムであって、
前記映像表示装置は、前記表示デバイスを水平方向と垂直方向に互いに独立して移動させる水平方向移動機構と垂直方向移動機構とを備えており、
前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像する撮像手段と、
前記表示デバイスにより前記予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度となる水平方向位置調整用パターンを表示させると共に、そのとき前記撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、前記水平方向移動機構を駆動制御する第1の制御動作と、前記表示デバイスにより前記予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度となる垂直方向位置調整用パターンを表示させると共に、そのとき前記撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、前記垂直方向移動機構を駆動制御する第2の制御動作とを行う制御手段と
を有することを特徴とする映像投射位置調整システム。
【請求項2】
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された前記映像を表示するためのスクリーンと、前記スクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、前記表示デバイスの予め定められた画素の位置を、前記レンズアレイの前記画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整システムであって、
前記映像表示装置は、前記表示デバイスを水平方向と垂直方向に互いに独立して移動させる水平方向移動機構と垂直方向移動機構とを備えており、
前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像する撮像手段と、
前記表示デバイスにより1画素幅の1本の縦線からなる水平方向位置調整用パターンを表示させ、かつ、前記縦線の一部を前記予め定められた画素で表示させると共に、そのとき前記撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、前記水平方向移動機構を駆動制御する第1の制御動作と、前記表示デバイスにより1画素幅の1本の横線からなる垂直方向位置調整用パターンを表示させ、かつ、前記横線の一部を前記予め定められた画素で表示させると共に、そのとき前記撮像手段から得られた映像データに基づき、その映像データの振幅が最大となるように、前記垂直方向移動機構を駆動制御する第2の制御動作とを行う制御手段と
を有することを特徴とする映像投射位置調整システム。
【請求項3】
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された前記映像を表示するためのスクリーンと、前記スクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、前記映像表示装置の予め定められた画素の位置を、前記レンズアレイの前記画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整する映像投射位置調整方法であって、
前記予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される水平方向位置調整用パターンと前記予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される垂直方向位置調整用パターンとのうち選択した一方の位置調整用パターンを前記表示デバイスにより表示させる第1のステップと、
前記第1のステップで前記一方の位置調整用パターンが表示されているときの前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像して第1の映像データを得る第2のステップと、
前記第2のステップで得られた前記第1の映像データに基づき、その第1の映像データの振幅が最大となるように、前記一方の位置調整用パターンによる位置調整方向に前記表示デバイスを移動させる第3のステップと、
前記水平方向位置調整用パターンと前記垂直方向位置調整用パターンとのうち前記第1のステップで選択しなかった他方の位置調整用パターンを選択して前記表示デバイスにより表示させる前記第4のステップと、
前記第4のステップで前記他方の位置調整用パターンが表示されているときの前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像して第2の映像データを得る第5のステップと、
前記第5のステップで得られた前記第2の映像データに基づき、その第2の映像データの振幅が最大となるように、前記他方の位置調整用パターンによる位置調整方向に前記表示デバイスを移動させる第6のステップと
を含むことを特徴とする映像投射位置調整方法。
【請求項4】
2次元マトリクス状に配列された複数の画素を備えた表示デバイスで任意の映像を表示する映像表示装置と、この映像表示装置から投射された前記映像を表示するためのスクリーンと、前記スクリーンの映像を空間に立体像として表示するための複数のレンズが規則的に配列されたレンズアレイとからなる立体映像表示システムにおいて、コンピュータにより前記映像表示装置の予め定められた画素の位置を、前記レンズアレイの前記画素に対応する一つのレンズの中心位置に一致するように調整させる映像投射位置調整プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記予め定められた画素の輝度が水平方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される水平方向位置調整用パターンと前記予め定められた画素の輝度が垂直方向の周辺画素よりも高い輝度で表示される垂直方向位置調整用パターンとのうち選択した一方の位置調整用パターンを前記表示デバイスにより表示させる第1のステップと、
前記第1のステップで前記一方の位置調整用パターンが表示されているときの前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像して得た第1の映像データを取得する第2のステップと、
前記第2のステップで得られた前記第1の映像データに基づき、その第1の映像データの振幅が最大となるように、前記一方の位置調整用パターンによる位置調整方向に前記表示デバイスを移動させるための第1の制御信号を出力する第3のステップと、
前記水平方向位置調整用パターンと前記垂直方向位置調整用パターンとのうち前記第1のステップで選択しなかった他方の位置調整用パターンを選択して前記表示デバイスにより表示させる前記第4のステップと、
前記第4のステップで前記他方の位置調整用パターンが表示されているときの前記レンズアレイの中の前記一つのレンズで表示される映像を撮像して得た第2の映像データを取得する第5のステップと、
前記第5のステップで得られた前記第2の映像データに基づき、その第2の映像データの振幅が最大となるように、前記他方の位置調整用パターンによる位置調整方向に前記表示デバイスを移動させるための第2の制御信号を出力する第6のステップと
を実行させることを特徴とする映像投射位置調整プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−227957(P2008−227957A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63916(P2007−63916)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構委託研究「多並列・像再生型立体テレビシステムに関する研究開発」(H18−22)、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】