説明

映像生成装置、映像生成方法及びプログラム

【課題】1枚の静止画からオブジェクトが移動する映像を簡単に生成できるようにする。
【解決手段】静止画データから映像データを生成する映像生成装置であって、オブジェクト領域選択部23により、前記静止画データからオブジェクト領域を選択し、移動情報検出部24により、前記オブジェクト領域の移動量及び移動方向を検出する。そして、領域分割部25により、前記オブジェクト領域を前記移動方向に、2つの領域に分割し、前記検出手段により検出した移動方向に基づいて、拡大縮小決定部26により、前記分割手段により分割された複数の領域のうち、任意の領域より移動方向にある少なくとも1つの領域を縮小領域とし、反対方向にある少なくとも1つの領域を拡大領域とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像生成装置、映像生成方法及びプログラムに関し、特に、静止画から映像を生成するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークの高速化に伴い、Webサイト等での動画の利用が増加している。動画はリアリティや雰囲気を伝えるのに有効なメディアであることから、動画による広告のニーズは多い。しかし、広告に使えるような映像を一般の人が撮影するのは困難であり、プロに依頼すると費用が膨大である。そこで、動画の広告を安価に作成するために、静止画から映像を生成することが求められている。この場合、静止画から動画のような臨場感を出すには静止画中のオブジェクトに動きを加えることが重要である。また、飲食店、ホテル、スーパー等が作成する広告では、ビン、缶、ペットボトルが登場する場面が数多くあり、円筒形の物体に転がり効果を付与することは有用とされる。
【0003】
一般的に静止画から映像を生成する方法として、一定時間の間隔で撮影した複数の静止画からアニメーションを生成する方法が例えば特許文献1に開示されている。また、角度の異なる複数の静止画から3Dモデルを作成し、3D処理により映像生成する方法が、例えば特許文献2に開示されている。一方、静止画中のオブジェクトを拡大または縮小し、動画を生成する方法が、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の方法は、静止画の拡大領域の拡大を示す遷移データを取得し、取得した遷移データから拡大領域のオブジェクトが徐々に拡大していくことにより、静止画中のオブジェクトが拡大する動画を生成することが可能としている。また、オブジェクトの所望の位置を指定しつつ拡大、縮小、回転などの画像編集を行う方法が、例えば特許文献4に開示されている。特許文献4に記載の方法は、オブジェクトを指定し操作点に応じて拡大、縮小、回転などの編集処理を行うことにより、オブジェクトの編集を行うことが可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−109648号公報
【特許文献2】特開2004−157968号公報
【特許文献3】特開2007−158706号公報
【特許文献4】特開平10−188014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1枚の静止画からオブジェクトが移動する映像を生成しようとする場合もある。特許文献1及び2に記載の方法のようにアニメーションや3Dモデルを用いて映像を生成する場合は、複数の静止画が必要となる。したがって、1枚の静止画しかない場合には適用が困難である。また、特許文献3及び4に記載の方法では、オブジェクトの移動とオブジェクトの拡大又は縮小処理とは別々の操作で行っており、1つの操作で同時に行うことができないため、非常に面倒である。
【0006】
本発明は前述の問題点に鑑み、1枚の静止画からオブジェクトが移動する映像を簡単に生成できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像生成装置は、静止画データから映像データを生成する映像生成装置であって、前記静止画データからオブジェクト領域を選択する領域選択手段と、前記オブジェクト領域の移動量及び移動方向を検出する検出手段と、前記オブジェクト領域を前記移動方向に、2つの領域に分割する分割手段と、前記検出手段により検出した移動方向に基づいて、前記分割手段により分割された複数の領域のうち、任意の領域より移動方向にある少なくとも1つの領域を縮小領域とし、反対方向にある少なくとも1つの領域を拡大領域とする拡大縮小決定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1枚の静止画から円筒形オブジェクトが転がる映像など、オブジェクトが移動する映像を簡単に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】映像生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の映像生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図4】円筒形オブジェクトの拡大縮小処理の一例を示す概念図である。
【図5】実施形態におけるオブジェクト移動の一例を示す概念図である。
【図6】メインの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】映像再生の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態の映像生成装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図10】第3の実施形態の第2のオブジェクト画像の移動を表す概念図である。
【図11】第4の実施形態のユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図12】第4の実施形態における映像表示領域の移動例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すものである。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における映像生成装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1において、10は映像生成装置である。11は液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等のディスプレイであり、映像生成装置10から出力された画面情報の信号を表示する機能をもつ。12はマウスであり、クリックやドラッグなどの操作入力機能をもつ。
【0011】
映像生成装置10のハードウェアは、中央処理装置(CPU)101、ROM102、RAM103、ディスプレイインタフェース104、入力インタフェース105、ハードディスクドライブ(HDD)106から構成されている。CPU101は、ROM102、HDD106に格納された制御プログラムを実行し、各デバイスを制御する。ROM102は、各種の制御プログラムやデータを保持する。RAM103は、CPU101のワーク領域、エラー処理時の情報の退避領域、制御プログラムのロード領域などを有する。
【0012】
ディスプレイインタフェース104は、図示しないディスプレイデバイスドライバからの画面情報をディスプレイ11が表示処理可能な信号に変換する。入力インタフェース105は、マウス12からの入力信号を受信し、図示しないインタフェースデバイスドライバが処理可能な情報に変換する。HDD106は、各種の制御プログラムやデータを保持する。バス107は、アドレスバス、データバス及びコントロールバスを含むものである。なお、以下、特に断らない限り、他図を用いて説明されたものには同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0013】
図2は、本実施形態における映像生成装置10の機能構成例を示すブロック図である。
映像生成装置10は、記憶部20、操作入力検出部21、映像データ取得部22、オブジェクト領域選択部23、移動情報検出部24、領域分割部25、拡大縮小決定部26、拡大縮小率決定部27、拡大縮小部28、及び映像生成部29から構成されている。
【0014】
記憶部20は、HDD106の記憶領域を使用しており静止画データを記憶する。操作入力検出部21は、静止画データの読み出し操作を判定し、ユーザが指定したデータのディレクトリ名及びファイル名の情報を映像データ取得部22に伝える。また、オブジェクト領域を選択する操作を判定し、選択された選択領域の情報をオブジェクト領域選択部23に伝える。さらに、オブジェクトの移動先を決定する操作を判定し、オブジェクトの始点座標及び終点座標の情報を移動情報検出部24に伝える。
【0015】
映像データ取得部22は、操作入力検出部21から受け取ったディレクトリ名及びファイル名の情報に基づき、記憶部20から静止画データを取得しRAM103に記憶する。オブジェクト領域選択部23は、操作入力検出部21からの選択された選択領域の情報から、静止画データ内のオブジェクト領域を選択し、領域分割部25にオブジェクト領域及び、オブジェクト領域内の画像の領域の情報を伝える。移動情報検出部24は、操作入力検出部21から受け取った始点座標及び終点座標の情報から移動量及び方向を算出する。また、領域分割部25、拡大縮小決定部26に移動方向の情報を伝える。
【0016】
領域分割部25は、オブジェクト領域選択部23から取得したオブジェクト領域、及びオブジェクト領域内の画像の領域から拡大縮小する領域を決定し、拡大縮小する領域を移動方向に対して分割し、分割した領域を拡大縮小決定部26に出力する。拡大縮小決定部26は、領域分割部25によって取得した分割された複数の領域を、移動方向にある領域を拡大領域、移動と反対方向にある領域を縮小領域に決定する。
【0017】
拡大縮小率決定部27は、拡大領域は所定量伸ばし、縮小領域は所定量縮めるように拡大縮小率を決定し、拡大縮小部28に設定する。拡大縮小部28は、拡大縮小率決定部27によって設定された拡大縮小率により、所定の領域の画像を拡大又は縮小する。映像生成部29は、拡大縮小部28によって拡大縮小されたオブジェクト画像を移動方向に移動し、静止画データから表示画面を作成してディスプレイ11に出力する。このように領域分割部25、拡大縮小決定部26、拡大縮小率決定部27、拡大縮小部28、及び映像生成部29による処理が繰り返されて映像データが生成、表示される。
【0018】
図3は、本実施形態におけるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図3において、301は終了ボタン、302は静止画読み出しボタン、303は転がりエフェクト付与ボタン、304は映像表示領域、305は再生ボタン、306は停止ボタンを表す。また、映像表示領域304内にある307は円筒形オブジェクト、308はマウスカーソル、309は円筒形オブジェクト307が選択された際に表示される選択オブジェクトの表示枠、310は円筒形オブジェクト307の移動量及び方向を表している。
【0019】
図3においては、静止画データを読み出し、転がりエフェクト付与ボタン303をクリックした後に、円筒形オブジェクト307の領域を選択し、矢印310に示すようにドラッグした状態を表している。再生ボタン305をクリックすると、指定した移動先まで円筒形オブジェクト307が転がる。
【0020】
図4は、本実施形態における円筒形オブジェクトの拡大縮小処理の一例を示す概念図である。
図4において、41〜43は円筒形オブジェクトを表しており図4(a)〜図4(c)の順番で缶の位置が時間的に変化していることを示している。411、421、431は円筒形オブジェクトの表面に印刷されたラベルを表しており、図4(a)〜図4(c)の順番でラベルの位置が時間的に変化していることを示している。このように、円筒形オブジェクトの移動ごとに、拡大縮小処理によりラベル位置が変化し、円筒形オブジェクトが転がったように見える。
【0021】
また、図4において、拡大縮小する領域ではそれぞれ3分割されている。分割された領域において、移動方向の領域414、424、434は縮小領域、移動と反対方向の領域412、422、432は拡大領域、拡大縮小する領域の中心を含む領域413、423、433を拡大縮小しない領域とする。縮小領域である領域414、424、434は所定量だけ縮め、拡大領域である領域412、422、432は所定量だけ伸ばし、拡大縮小しない領域である領域413、423、433は所定量だけ移動している。また、本実施形態では缶のラベルを所定量、拡大縮小させているが、ラベルが無地の場合は缶の表面に必要に応じて反射光を付与し、移動ごとに缶の反射光に揺らぎを与えることで転がるように見せることも可能である。
【0022】
図5は、本実施形態におけるオブジェクト移動の一例を示す概念図である。図5(a)は、移動開始時点での円筒形オブジェクトの位置を表しており、図5(b)は移動終了時点での円筒形オブジェクトの位置を表している。500、510は静止画の領域、501、511は静止画データから映像データを生成する際の、静止画データのトリミング領域を表しており、映像表示領域は静止画の領域の一部を表示している。図5に示す例では、円筒形オブジェクト307を移動させている。また、静止画中に背景画像がある静止画の場合は、オブジェクト領域以外の領域を切り取り動かしてもよい。その際、円筒形オブジェクトは背景の移動ごとにオブジェクト画像の拡大縮小を行う。なお、オブジェクトに隠れていた背景は周辺の背景で補完するものとする。
【0023】
図6は、本実施形態における映像生成装置10によるメインの処理手順の一例を示すフローチャートである。図5の説明においては、図4、図5に示す円筒形オブジェクトの映像を生成する例で説明する。
図6に示すように、図3で説明したユーザインタフェースの初期画面表示が終了すると(ステップS601)、操作入力検出部21は、静止画読み出しボタン302が押下されたかどうかを判断する(ステップS602)。この判断の結果、静止画読み出しボタン302が押下されなかった場合は(ステップS602/No)、何も行わず、再びステップS602の処理に移行し処理待ちのループとなる。
【0024】
一方、静止画読み出しボタン302が押下されると(ステップS602/Yes)、映像データ取得部22は、ユーザにより指定されたディレクトリ内から指定された静止画データを記憶部20から読み出す(ステップS603)。静止画データが読み出されると、操作入力検出部21は、転がりエフェクト付与ボタン303が押下されたかどうかを判断する(ステップS604)。この判断の結果、転がりエフェクト付与ボタン303が押下されなかった場合は(ステップS604/No)、何も行わず、再びステップS604の処理に移行し処理待ちのループとなる。
【0025】
一方、転がりエフェクト付与ボタン303が押下されると(ステップS604/Yes)、オブジェクト領域選択部23は、円筒形オブジェクトのエッジを検出し、円筒形オブジェクトを選択する(ステップS605)。また、円筒形オブジェクトの選択は、ユーザの操作により選択してもよい。続いて、オブジェクトの移動先が決定されたかどうかを判断する(ステップS606)。この判断の結果、移動先が決定されなかった場合は(ステップS606/No)、何も行わず、再びステップS606の処理に移行し処理待ちのループとなる。
【0026】
一方、移動先が決定された場合は(ステップS606/Yes)、移動情報検出部24により、移動の始点座標及び終点座標から移動量及び方向を算出する(ステップS607)。続いて、操作入力検出部21は、再生ボタン305が押下されたかどうかを判断する(ステップS608)。この判断の結果、再生ボタン305が押下されなかった場合は(ステップS608/No)、何も行わず、再びステップS608の処理に移行し処理待ちのループとなる。
【0027】
一方、再生ボタンが押下されると(ステップS608/Yes)、図7で後述する映像再生処理を開始する(ステップS609)。映像再生処理(ステップS609)が終了すると映像の再生が終了し、操作入力検出部21は、終了ボタン301が押下されたかどうかを判断する(ステップS610)。この判断の結果、終了ボタン301が押下された場合はアプリケーションを終了する。一方、終了ボタン301が押下されなかった場合は、ステップS602に戻り、処理を繰り返す。
【0028】
図7は、図6のステップS609において実行される映像再生の処理手順の一例を示すフローチャートである。
映像再生処理が実行されると、領域分割部25は、オブジェクト領域、及びエッジ検出により得られたオブジェクト領域内の画像の領域から、拡大縮小する領域を決定する(ステップS701)。次に、出力映像の最終フレームまで処理が完了したか否かを判定する(ステップS702)。この判定の結果、処理が完了した場合(ステップS702/Yes)は、メインフローのステップS610へリターンされる。
【0029】
一方、ステップS702の判定の結果、処理が完了していない場合は(ステップS702/No)、領域分割部25は、移動情報検出部24から移動方向を検出し、拡大縮小する領域を移動方向に対して3分割する(ステップS703)。続いて、拡大縮小決定部26により、3分割された領域に対して、拡大縮小する領域の中心を含む領域を拡大縮小しない領域と設定する(ステップS704)。このとき、拡大縮小しない領域は中心近傍であれば、任意の領域でよい。
【0030】
続いて、拡大縮小決定部26により、拡大縮小しない領域より移動方向に分割領域があるか否かを判定する(ステップS705)。この判定の結果、無い場合(ステップS705/No)は、ステップS707へ移行する。一方、ある場合(ステップS705/Yes)は、移動方向にある分割された領域を縮小領域と設定し(ステップS706)、ステップS707へ移行する。次に、拡大縮小しない領域より移動と反対方向に分割された領域があるか否かを判定する(ステップS707)。この判定の結果、無い場合(ステップS707/No)は、ステップS709へ移行する。一方、ある場合(ステップS707/Yes)は、移動と反対方向にある分割された領域を拡大領域と設定し(ステップS708)、ステップS709へ移行する。
【0031】
続いて、拡大縮小率決定部27により、拡大領域は所定量だけ拡大し、縮小領域は所定量だけ縮小するように、拡大縮小率を決定する。そして、決定された拡大縮小率に基づいて、拡大縮小部28により、縮小領域を移動方向に縮小する(ステップS709)。そして、拡大領域を移動方向に拡大する(ステップS710)。さらに、拡大縮小しない領域を所定量だけ移動する(ステップS711)。続いて、映像生成部29により、オブジェクト画像を移動方向に移動量だけ移動する(ステップS712)。そして、移動されたオブジェクト画像をディスプレイ11に出力し(ステップS713)、ステップS702へ移行する。また、ステップS712では、拡大縮小処理されたオブジェクト画像も出力し、ステップS702へ移行する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、1枚の静止画から円筒形オブジェクトが転がる映像を生成することができる。
【0033】
なお、本実施形態では縮小領域、拡大領域、拡大縮小しない領域に3分割したが、縮小領域、拡大領域の2分割でも可能である。その場合、縮小領域を所定量だけ縮小し、移動と反対方向の領域を所定量だけ拡大するように縮小拡大率を変更する。また、拡大縮小率決定部27は、拡大領域が複数ある場合、移動方向にある拡大領域の拡大率を小さくすることも可能であり、また、縮小領域が複数ある場合、移動方向にある縮小領域の縮小率を大きくすることも可能である。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、拡大縮小率を所定量に代わってオブジェクトの移動量から算出する。なお、本実施形態に係る映像生成装置のハードウェア構成は図1と同様であるため、説明は省略する。また、ユーザインタフェースは図3を用いて説明した第1の実施形態と同様であり、オブジェクトの移動も図5で説明した第1の実施形態と同様である。
【0035】
図8は、本実施形態における映像生成装置10の機能構成例を示すブロック図である。図2と異なる点は、拡大縮小率決定部27が拡大縮小率制御部81である点であり、その他は第1の実施形態と同様である。
図8において、拡大縮小率制御部81は、移動情報検出部24が検出したオブジェクトの移動量の情報を取得し、拡大領域を移動量だけ拡大し、縮小領域を移動量だけ縮小するように拡大縮小率を制御する。
【0036】
次に、処理の流れについて説明する。メインのフローチャートは、図6で説明した第1の実施形態と同様であり、ステップS609における映像再生処理は、図7で説明したステップS709〜S711が異なっている。すなわち、所定量としてオブジェクトの移動量を用いる。ステップS709においては、縮小領域を移動方向に移動量だけ縮め、ステップS710においては、拡大領域を移動方向に移動量だけ伸ばす。さらに、ステップS711においては、拡大縮小しない領域を移動量だけ移動する。
【0037】
また、本実施形態では、拡大領域は移動量だけ伸ばし、縮小領域は移動量だけ縮めたが、移動量に比例して、拡大領域を移動方向に拡大し、縮小領域を移動方向に縮小するように拡大縮小率を制御してもよい。さらに、拡大縮小率制御部81は、拡大領域が複数ある場合、移動方向にある拡大領域の拡大率を小さくすることも可能である。また、縮小領域が複数ある場合、移動方向にある縮小領域の縮小率を大きくすることも可能である。これにより、任意の移動量に対して、オブジェクト画像が自然に転がる映像を生成することが可能となる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、移動量及び方向の取得をオブジェクト画像から、新規に配置した第2のオブジェクト画像に変更したものである。なお、本実施形態に係る映像生成装置のハードウェア構成は図1と同様であるため、説明は省略する。また、機能構成についても図2と基本的には同様である。ただし、移動情報検出部24の移動量及び方向の算出を、新規に配置した第2のオブジェクト画像の移動から行う。
【0039】
図9は、本実施形態におけるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図9において、映像表示領域304内にある901は新規に配置した第2のオブジェクト画像、902は第2のオブジェクト画像901の移動量及び方向の矢印を表している。静止画データを読み出し、転がりエフェクト付与ボタン303をクリックした後に、オブジェクト領域選択部23により円筒形オブジェクト307の領域が選択され、第2のオブジェクト画像901を任意の位置に合成し、矢印802のようにドラッグした状態となる。再生ボタン305をクリックすると指定した移動先まで第2のオブジェクト画像901が移動し、第2のオブジェクト画像901の移動に応じて円筒形オブジェクト307を拡大縮小することにより、円筒形オブジェクト307が転がっているように見える。なお、本実施形態は背景が無地の場合に適用可能である。
【0040】
図10は、本実施形態における第2のオブジェクト画像の移動を表す概念図である。
図10(a)は、移動開始時点での第2のオブジェクト画像の位置を表しており、図10(b)は、移動終了時点での第2のオブジェクト画像の位置を表している。1001、1011は第2のオブジェクト画像を表しており、第2のオブジェクト画像を移動させることにより、円筒形オブジェクト307が移動して見えるようになる。
【0041】
なお、処理手順については、図6で説明したステップS601の初期画面表示の処理では、図9で説明した初期画面を用い、ステップS607の移動量及び方向の算出を第2のオブジェクト画像の移動から行う。その他については第1の実施形態と同様である。これにより、オブジェクト画像の切り出しや背景の補完が不用となる。
【0042】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態は、移動量及び方向の取得をオブジェクト画像から、静止画データから映像データを生成する際の、静止画データのトリミング領域に変更したものである。なお、本実施形態に係る映像生成装置のハードウェア構成は図1と同様であるため、説明は省略する。また、機能構成についても図2と基本的には同様である。ただし、移動情報検出部24の移動量及び方向の算出を、静止画データから映像データを生成する際の、静止画データのトリミング領域の移動から行う。
【0043】
図11は、本実施形態におけるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
図11において、映像表示領域304内にある1101は映像表示領域304の移動量及び方向の矢印を表している。静止画データを読み出し、転がりエフェクト付与ボタン303をクリックした後に、オブジェクト領域選択部23により円筒形オブジェクト307の領域が選択され、映像表示領域304の枠をクリックし、矢印1101のようにドラッグした状態となる。再生ボタン305をクリックすると指定した方向に指定した移動量だけ映像表示領域304が移動し、それに応じて円筒形オブジェクト307を拡大縮小することにより、円筒形オブジェクト307が転がっているように見える。なお、本実施形態では、背景が無地の場合に適用可能である。
【0044】
図12は、本実施形態における映像表示領域304の移動例を示す概念図である。図12(a)は、移動開始時点での映像表示領域304の位置を表しており、図12(b)は、移動終了時点での映像表示領域304の位置を表している。このように映像表示領域304を移動させることにより、円筒形オブジェクト307が移動して見えるようになる。
【0045】
なお、処理手順については、図6で説明したステップS601の初期画面表示の処理では、図10で説明した初期画面を用いる。また、ステップS607の移動量及び方向の算出を、静止画データから映像データを生成する際の、静止画データのトリミング領域の移動から行う。その他については第1の実施形態と同様である。これにより、オブジェクトの画像の切り出しや背景の補完、新規オブジェクトの合成が不要となる。
【0046】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0047】
23 オブジェクト領域選択部、24 移動情報検出部、25 領域分割部、26 拡大縮小決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止画データから映像データを生成する映像生成装置であって、
前記静止画データからオブジェクト領域を選択する領域選択手段と、
前記オブジェクト領域の移動量及び移動方向を検出する検出手段と、
前記オブジェクト領域を前記移動方向に、2つの領域に分割する分割手段と、
前記検出手段により検出した移動方向に基づいて、前記分割手段により分割された複数の領域のうち、任意の領域より移動方向にある少なくとも1つの領域を縮小領域とし、反対方向にある少なくとも1つの領域を拡大領域とする拡大縮小決定手段とを備えたことを特徴とする映像生成装置。
【請求項2】
前記検出手段により検出された移動方向に拡大領域を所定量だけ拡大し、前記移動方向に縮小領域を所定量だけ縮小するよう、拡大縮小率を決定する拡大縮小率決定手段と、
前記拡大縮小率決定手段により決定した拡大縮小率で、拡大又は縮小する拡大縮小手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の映像生成装置。
【請求項3】
前記検出手段により検出された移動量だけ、拡大領域を移動方向に拡大し、前記移動量だけ縮小領域を移動方向に縮小するよう、拡大縮小率を制御する拡大縮小率制御手段と、
前記拡大縮小率制御手段により制御された拡大縮小率で、拡大又は縮小する拡大縮小手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の映像生成装置。
【請求項4】
静止画データから映像データを生成する映像生成方法であって、
前記静止画データからオブジェクト領域を選択する領域選択工程と、
前記オブジェクト領域の移動量及び移動方向を検出する検出工程と、
前記オブジェクト領域を前記移動方向に、2つの領域に分割する分割工程と、
前記検出工程において検出した移動方向に基づいて、前記分割工程において分割された複数の領域のうち、任意の領域より移動方向にある少なくとも1つの領域を縮小領域とし、反対方向にある少なくとも1つの領域を拡大領域とする拡大縮小決定工程とを備えたことを特徴とする映像生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の映像生成方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−188372(P2011−188372A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53531(P2010−53531)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】