説明

映像監視レコーダ装置

【課題】重要性の高い映像を抽出して移行し、入出力性能とデータ信頼性を両立して向上させる。
【解決手段】映像監視レコーダ装置10は、複数の監視カメラ20a,20b,20cにより各撮影対象を撮影した映像を入力し、映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて一次記録部13に記録する記録制御部12と、撮影対象における状態変化とその状態変化を検知した時刻を含む記録イベントを生成する記録イベント生成部31と、記録イベント生成部31からの記録イベントをイベント情報として記録するデータベース14と、データベース14に記録されたイベント情報に基づいて一次記録部13から映像を抽出する映像移行部15と、映像移行部15により抽出された映像を記録する保存記録部16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、複数のカメラからの映像を同時に記録する映像監視レコーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像監視レコーダ装置は、例えば、監視目的において、デジタル化された監視カメラからの映像を複数同時にかつ大量に記録するために、大容量で比較的安価なハードディスクを記録媒体として使用している。このような映像監視レコーダ装置では、ハードディスクや複数のハードディスクを組み合わせて仮想的な記録媒体を構成したRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)が使用されている。映像監視レコーダ装置は、例えば、複数のハードディスクをアレイ構成としたRAID0(ストライピング)を適用することで、ハードディスク1台あたりの負荷を分散して映像の入出力性能を向上させ、より多くの監視カメラからの映像を同時に記録している。また、映像監視レコーダ装置において、冗長性のあるRAID1(ミラーリング)やRAID5(パリティ分散記録)を適用することで、ハードディスク故障に対するデータ信頼性を向上させている。RAID1は、例えば、同一の映像を2台のハードディスクに記録し、一方のハードディスクが故障すると他方のハードディスクに記録した映像を用いるようにしている。RAID5は、「パリティ」と呼ばれる冗長コードを計算(パリティ計算)して全ディスクに映像とともに分散して記録し、ハードディスクの故障時に「パリティ」を用いて、故障したハードディスクに記録した映像を修復する。これらのRAID1とRAID5において冗長性を優先させる場合、例えば、入力される映像を間引いて記録媒体に記録したり、同時記録の対象とするカメラの台数を減らして映像を記録したりして、映像の記録レート全体を下げている。
【0003】
また、一般的なデータを記憶するストレージ装置において、記録されているデータを設定した階層に移行させて再配置する構成が開示されている。特許文献1によれば、例えば、ストレージ装置を高信頼性階層、低コスト階層、アーカイブ階層という複数のグループに階層分けし、ストレージ装置に記憶されたデータを階層に移行させ再配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−047156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したRAID0は、冗長性がないため構成する記録媒体が故障した場合に映像が消失する恐れがあるという問題があった。また、上述したRAID1は、映像を1台のハードディスクに入出力する速度と同等であるため、RAID0に比べて入出力性能が劣るという問題があった。さらに、上述したRAID5は、パリティ計算を行うため入出力性能が良くないという問題があった。これらRAIDの構成においては、入出力性能とデータ信頼性を両立することが困難であるという課題があった。
【0006】
また、特許文献1は、映像監視レコーダ装置に適用したとしても、使用者により指定された映像を、使用者により指定された階層に移行するものであり、使用者が映像の重要度を考慮した上で手作業で映像を移行しなければならないという課題があった。
【0007】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、重要度の高い映像を抽出して移行し、入出力性能とデータ信頼性を両立して向上させる映像監視レコーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る映像監視レコーダ装置は、複数のカメラにより各撮影対象を撮影した映像を入力し、映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて一次記録部に記録する記録制御部と、撮影対象における状態変化と、その状態変化を検知した時刻を含む記録イベントを生成する記録イベント生成部と、記録イベント生成部からの記録イベントをイベント情報として記録するデータベースと、データベースに記録されたイベント情報に基づいて一次記録部から映像を抽出する映像移行部と、映像移行部により抽出された映像を記録する保存記録部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明による映像監視レコーダ装置は、上述のように構成したので、イベント情報に基づいて重要度の高い映像を抽出し、重要度の高い映像を一次記録部から保存記録部へ複製して移行することができる。その結果、映像監視レコーダ装置は、記録した映像から重要度の高い映像を抽出して移行し、入出力性能とデータ信頼性を両立して向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置を含む映像監視レコーダシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置におけるデータベースに記録されたイベント情報リストの一例を示す図2(a)と、映像移行部における移行範囲リストの一例を示す図2(b)である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置において、映像を一次記録部へ記録するまでの処理を示すフローチャート図3(a)、記録イベントをイベント情報として記録する処理を示すフローチャート図3(b)、映像受信部11と記録制御部12における映像及び記録イベントの一例を示す図3(c)である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置において、再生イベントをイベント情報として記録する処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置における一次記録部の記録方法を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置における映像移行部の処理動作のフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る映像監視レコーダ装置における移行処理の具体的な一例を説明する図7(a)〜図7(d)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、映像監視レコーダ装置を含む映像監視レコーダシステムの構成を示している。映像監視レコーダシステム1は、図1に示すように、映像監視レコーダ装置10、カメラ部20、イベント入力装置21、映像再生装置22で構成されている。
【0012】
カメラ部20は、映像監視レコーダ装置10の性能に応じた複数台のカメラで構成されており、各カメラが監視対象(撮影対象)に対して配置される。カメラ部20を構成する各カメラは、撮影した映像を圧縮エンコードし、カメラ番号と時刻を付加して出力するよう機能する。カメラ番号は映像を撮影したカメラを示す各カメラに固有の番号であり、時刻は映像を撮影した時刻(撮影の開始時刻から終了時刻まで)を示している。
【0013】
カメラ部20は、例えば、図1に示すように複数の監視カメラ20a,20b,20cで構成されており、監視カメラ20aがカメラ番号「1」、カメラ20bがカメラ番号「2」、カメラ20cがカメラ番号「3」に予め設定されている。
【0014】
カメラ部20を構成する監視カメラ20a,20b,20cは、それぞれ監視対象を撮影した映像を圧縮エンコードする。監視カメラ20aは映像にカメラ番号「1」と撮影した時刻を付加して映像監視レコーダ装置10を構成する映像受信部11aへ送信し、監視カメラ20bは映像にカメラ番号「2」と撮影した時刻を付加して映像監視レコーダ装置10を構成する映像受信部11bへ送信し、監視カメラ20cは映像にカメラ番号「3」と撮影した時刻を付加して映像監視レコーダ装置10を構成する映像受信部11cへ送信する。
【0015】
映像監視レコーダ装置10は、図1に示すように、映像受信部11、記録制御部12、一次記録部13、データベース14、映像移行部15、保存記録部16、イベント受信部17、映像再生部18で構成されている。
【0016】
映像受信部11は、カメラ部20からの映像を受信して映像監視レコーダ装置10に入力するよう機能する。映像受信部11は、カメラ部20を構成する各カメラから映像を受信すると、映像に付加されたカメラ番号、時刻とともに記録制御部12へ出力する。
【0017】
映像受信部11は、例えば、図1に示すようにカメラ部20を構成する各監視カメラ20a,20b,20cに対応する複数の映像受信部11a,11b,11cで構成されている。映像受信部11は、例えば、図1に示すように映像受信部11aが監視カメラ20aからの映像を受信して出力し、映像受信部11bが監視カメラ20bからの映像を受信して出力し、映像受信部11cが監視カメラ20cからの映像を受信して出力する。
【0018】
記録制御部12は、映像を入力し、映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて順次出力して一次記録部13へ記録するよう機能する。記録制御部12は、例えば、カメラ部20から映像受信部11を介して映像を入力すると、各映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて順次出力し、一次記録部13へ記録する。
【0019】
また、記録制御部12は、記録イベントを入力し、記録イベントに基づきIDとイベント種別を生成して、ID、イベント種別、カメラ番号、時刻情報をイベント情報としてデータベース14へ記録するよう機能する。記録制御部12は、例えば、イベント受信部11から記録イベントを入力すると、記録イベントに含まれる時刻に基づき記録イベントの開始時刻と終了時刻を示す時刻情報を生成し、イベント種別、カメラ番号、時刻情報(開始時刻と終了時刻)をイベント情報として、データベース14に記録されたイベント情報リストへ追加して記録する。イベント情報については後述する。
【0020】
一次記録部13は、高速アクセス可能な性能を有し、入出力性能を重視した記録媒体で構成されており、記録制御部12から入力した映像を連続して記録するよう機能する。一次記録部13は、例えば、RAID0のように複数のハードディスクをアレイ構成にすることにより1台当たりの負荷を分散して高速アクセスを可能にしたRAIDで構成されており、各監視カメラ20a,20b,20cで撮影された映像を間引くことなく記録することができる性能を備えている。
【0021】
また、一次記録部13は、記録制御部12からの映像を順次記録し、記録容量が上限に達した場合、最古時刻に撮影された映像を削除して最新時刻に撮影された新しい映像を上書きするよう機能する。一次記録部13は、例えば、記録した映像に付加された時刻情報に基づき最新時刻と最古時刻を管理し、記録した映像の量が記録容量の上限に達すると、リングバッファのように最古時刻に撮影された映像を削除して最新時刻に撮影された新しい映像を上書きする。
【0022】
データベース14は、記録イベントまたは再生イベントを入力すると、イベント情報としてイベント情報リストに追加して記憶するよう機能する。イベント情報は、ID、イベント種別、開始時刻、終了時刻で構成されており、詳細は後述する。
【0023】
データベース14は、例えば、イベント受信部17から記録制御部12を介して記録イベントを入力すると、IDを付加してイベント情報として記憶する。また、データベース14は、例えば、映像再生部11から再生イベントを入力すると、IDを付加してイベント情報としてイベント情報リストへ記憶する。
【0024】
映像移行部15は、データベース14に記憶されたイベント情報に基づき移行範囲リストを生成または更新するよう機能する。また、映像移行部15は、移行範囲リストに基づいて一次記録部13から映像を抽出して複製し、複製した映像を保存記録部16へ移行して記録するよう機能する。移行範囲リストは、レコード番号、総合カメラ番号、開始時刻、終了時刻で構成され、一次記録部13に記録された映像のうち保存記録部16へ複製して移行する映像を示す一覧であり、詳細については後述する。
【0025】
映像移行部15は、例えば、予め設定された時刻になると、データベース14に記憶されたイベント情報を取得し、イベント情報に基づいて移行範囲リストを生成または更新する。映像移行部15は、移行範囲リストに含まれる開始時刻から終了時刻までの時間に撮影された映像を一次記録部13から抽出して複製し、複製した映像を保存記録部16へ移行して記録する。なお、映像の移行を開始する時刻は、使用者により予め設定される時刻であり、例えば深夜時間帯などの通常、再生要求を行わない時間帯で設定される。
【0026】
保存記録部16は、冗長性を有し信頼性を重視した記録媒体で構成されており、映像移行部15からの映像を入力し、入力した映像を記録するよう機能する。保存記録部16は、例えば、既知のRAID5やRAID6のように冗長性を有し、信頼性を重視したRAIDで構成されており、保存記録部16を構成する記録媒体の一部に故障が発生した場合でも一次記録部13から移行した映像が紛失することなく、記録することができる。
【0027】
イベント受信部17は、後述するイベント入力装置21とともに記録イベント生成部31を構成しており、イベント入力装置21から監視対象(撮影対象)における記録イベントを受信すると、記録イベントに基づき、監視対象を撮影する監視カメラを示すカメラ番号、記録イベントが発生した時刻を取得して、記録制御部12へ出力するよう機能する。イベント入力装置21から入力する記録イベントについての詳細は後述する。
【0028】
映像再生部18は、映像再生装置22からの再生要求に含まれるカメラ番号と指定時刻に基づいて、一次記録部13または保存記録部16の映像を検索し、該当する映像を取得して映像再生装置22を介して再生するよう機能する。
【0029】
映像再生部18は、例えば、使用者から映像再生装置22を介して、カメラ番号と指定時刻を含む再生要求を入力すると、カメラ番号と指定時刻に基づいて一次記録部13または保存記録部16の映像を検索する。このとき、映像再生部18は、一次記録部13を優先して検索し、一次記録部13に指定時刻の映像が含まれていない場合に保存記録部16の映像を検索する。また、映像再生部18は、一次記録部16が故障などによりアクセスできないと判断した場合にも保存記録部16の映像を検索する。映像再生部18は、検索した映像を取得して映像再生装置22へ送信する。
【0030】
また、映像再生部18は、映像再生装置22を介して映像を再生すると、再生イベントを生成しイベント情報としてデータベース14へ記録するよう機能する。映像再生部18は、映像再生装置22から再生要求された映像を再生する際、再生する映像に付加されたカメラ番号と時刻を取得して再生イベントとし、再生イベントを示すイベント種別、再生映像を撮影した監視カメラを示すカメラ番号、再生映像を撮影した時刻(開始時刻から終了時刻まで)を示す時刻情報をイベント情報としてデータベース14のイベント情報リストへ記録するよう機能する。
【0031】
イベント入力装置21は、イベント受信部17とともに記録イベント生成部31を構成しており、監視対象における状態変化を検知すると、記録イベントを生成して出力するよう機能する。イベント入力装置21は、例えば監視対象が室内への人物の入退室である場合、監視カメラ20a,20b,20cが有する動体検知機能によって動体を検知すると、監視対象を撮影している監視カメラのカメラ番号と動きを検知した時刻を取得して記録イベントとし、映像監視レコーダ装置10を構成するイベント受信部17へ送信する。なお、イベント入力装置21は、ドアの開け閉めを検知するセンサーにより構成しても良い。
【0032】
映像再生装置22は、使用者からカメラ番号と時刻を指定入力されることにより、映像監視レコーダ装置10の映像再生部18へ再生要求を送信し、映像再生部18から圧縮された映像を受信してデコードし、映像を表示するよう機能する。また、映像再生装置22は、映像再生部18から再生要求に対する応答を受信するよう機能する。なお、映像再生装置22は映像監視レコーダ装置10内に内蔵する構成であっても良い。
【0033】
なお、映像監視レコーダシステム1において、映像監視レコーダ装置10を複数設けて構成しても良い。また、映像監視レコーダシステム1において、監視カメラ20、イベント入力装置21、映像再生装置22を映像監視レコーダ装置10より多く設けて構成しても良い。
【0034】
なお、カメラ部20を構成する監視カメラ20a,20b,20cにおいて、それぞれ撮影した映像に時刻を付加する構成について説明しているが、映像受信部11を構成する映像受信部11a,11b,11cがそれぞれ受信した映像に時刻を付加するよう構成しても良い。また、記録制御部12が、映像を入力した際に時刻を付加するよう構成しても良い。
【0035】
ここで、データベース14に記憶されるイベント情報について説明する。
イベント情報には、記録イベントと再生イベントがあり、イベントの種別、対象の監視カメラを示すカメラ番号、イベントの開始時刻と終了時刻を示す時刻情報で構成されている。
【0036】
記録イベントは、カメラ部20を構成する各監視カメラ20a,20b,20cの監視対象(撮影対象)における状態が変化したことを示し、監視対象を撮影している監視カメラのカメラ番号と、監視対象における状態変化を検知した時刻(開始時刻から終了時刻まで)を含んでいる。再生イベントは、映像再生部18が映像再生装置22から再生要求を受信し、再生要求にしたがって映像を出力したことを示し、再生映像を撮影した監視カメラのカメラ番号と、再生映像を撮影した時刻(開始時刻から終了時刻まで)を含んでいる。
【0037】
監視用途において、一次記録部13に記録された映像は必ずしもアクセスされることはなく記録時間の経過とともに上書き・消去される場合がほとんどであるが、上述したように、監視対象(撮影対象)において状態が変化した時刻に撮影された映像は重要度が高い映像と考えることができるため、記録イベントに基づいて映像を移行するようにしている。
【0038】
しかしながら、記録イベントが発生した時刻に撮影された映像が、必ずしも使用者が必要とする映像であるとは限らない。そこで、使用者により再生された映像についても重要度の高い映像と考え、上述のように、映像監視レコーダ装置10は、記録イベントの発生した時刻とともに再生イベントの発生した時刻をイベント情報として管理し、記録イベントと再生イベントの発生している時間に撮影した映像を重要度の高い映像と判定して、入出力性能を重視した一次記録部13から冗長性を有する保存記録部16へ重要度の高い映像を抽出して複製し、移行して退避するように構成されている。
【0039】
次に、データベース14に記録されるイベント情報のデータ構造について説明する。図2(a)は、映像監視レコーダ装置10におけるデータベース14に記録されたイベント情報リストの一例を示している。
【0040】
データベース14に記憶されたイベント情報リスト40は、図2(a)に示すように、ID41、イベント種別42、カメラ番号43、開始時刻44、終了時刻45で構成されるイベント情報の一覧である。ID41は、データレコードを一意に管理するための番号であり、例えば、図5においては通し番号である。イベント種別42は、「記録」が記録イベントを示し、「再生」が再生イベントを示している。
【0041】
カメラ番号43は、上述したように、記録イベントまたは再生イベントが発生した監視対象を撮影した監視カメラを示す番号であり、記録イベントまたは再生イベントと監視カメラを関連付けるものである。開始時刻44は、上述したように、記録イベントまたは再生イベントが開始した時刻を示しており、終了時刻45は記録イベントまたは再生イベントが終了した時刻を示している。
【0042】
次に、映像移行部15で生成、追加される移行範囲リストについて説明する。図2(b)は、映像監視レコード装置10の映像移行部15における移行範囲リストの一例を示している。
【0043】
移行範囲リスト50は、図2(b)に示すように、レコード番号51、総合カメラ番号52、開始時刻53、終了時刻54で構成され、一次記録部13に記録された映像のうち保存記録部16へ複製して記録する映像を示す一覧である。
【0044】
レコード番号51は、移行範囲リスト50の各レコードを管理する任意に決定される数字である。総合カメラ番号52は、監視対象を撮影している監視カメラを示す番号であり、複数の監視カメラによる映像の撮影時間範囲が重複している場合、複数のカメラ番号が記載される。開始時刻53、終了時刻54は上述したイベント情報リスト40の開始時刻44、終了時刻45と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
次に、映像監視レコーダシステム1および映像監視レコーダ装置10の処理動作について図3を用いて説明する。
図3(a)のフローチャートは、映像を一次記録部13へ記録するまでの処理を示しており、図3(b)のフローチャートは、記録イベントをイベント情報として記録する処理を示している。図3(c)は、映像受信部11と記録制御部12における映像及び記録イベントの一例を示している。
【0046】
監視カメラ20aは、図3(c)に示すように、監視対象を撮影した映像Fa1を圧縮エンコードし、カメラ番号「1」と時刻「T0a」を付加して映像監視レコーダ装置10の映像受信部11aへ送信する(図3(a)のステップST101)。映像受信部11aは、監視カメラ20aから映像Fa1を受信すると(ステップST102)、記録制御部12へ出力する(ステップST103)。
【0047】
監視カメラ20bは、監視対象を撮影した映像Fb1を圧縮エンコードし、カメラ番号「2」と時刻「T0b」を付加して映像監視レコーダ装置10の映像受信部11bへ送信する(ステップST101)。映像受信部11bは、監視カメラ20bから映像Fb1を受信すると(ステップST102)、記録制御部12へ出力する(ステップST103)。
【0048】
監視カメラ20cは、監視対象を撮影した映像Fc1を圧縮エンコードし、カメラ番号「3」と時刻「T1c」を付加して映像監視レコーダ装置10の映像受信部11cへ送信する(ステップST101)。映像受信部11cは、監視カメラ20cから映像Fc1を受信すると(ステップST102)、記録制御部12へ出力する(ステップST103)。
【0049】
続いて、監視カメラ20bは、ステップST101の処理により、カメラ番号「2」と時刻「T1b」を付加した映像Fb2を映像受信部11bへ送信する。映像受信部11bは、上述したステップST102,ST103の処理により、映像Fb2を記録制御部12へ出力する。
【0050】
ここで、図3(c)に示すように、時刻T2において記録制御部12に記録イベントが入力される。この処理については後述する。
【0051】
続いて、監視カメラ20aは、ステップST101の処理により、カメラ番号「1」と時刻「T2a」を付加した映像Fa2を映像受信部11aへ送信する。映像受信部11aは、ステップST102,ST103の処理により、映像Fa2を記録制御部12へ出力する。
【0052】
続いて、監視カメラ20bは、ステップST101の処理により、カメラ番号「2」と時刻「T2b」を付加した映像Fb3を映像受信部11bへ送信する。映像受信部11bは、ステップST102,ST103の処理により、映像Fb3を記録制御部12へ出力する。
【0053】
続いて、監視カメラ20cは、ステップST101の処理により、カメラ番号「3」と時刻「T3c」を付加した映像Fc2を映像受信部11cへ送信する。映像受信部11cは、ステップST102,ST103の処理により、映像Fc2を記録制御部12へ出力する。
【0054】
続いて、監視カメラ20bは、ステップST101の処理により、カメラ番号「2」と時刻「T3b」を付加した映像Fb4を映像受信部11bへ送信する。映像受信部11bは、ステップST102,ST103の処理により、映像Fb4を記録制御部12へ出力する。
【0055】
記録制御部12は、図3(c)に示すように、時刻情報が付加された映像を繰り返し入力すると、各映像Fa1,Fb1,Fc1,Fb2,Fa2,Fb3,Fc2,Fb4の時刻情報「T0a」,「T0b」,「T1c」,「T1b」,「T2a」,「T2b」,「T3c」,「T3b」に基づいて、映像を時系列順に並べて、一次記録部13へ順次出力して記録する(ステップST104)。
【0056】
ここで、時刻T2における記録イベント生成部31の処理の一例について図3(b)を用いて説明する。
イベント入力装置21は、監視対象において動体を検知すると(ステップST201)、例えば、その監視対象を撮影している監視カメラ20bのカメラ番号「2」を取得するとともに(ステップST202)、図示しない内蔵された時計から時刻「T2」を取得する。
【0057】
イベント入力装置21は、動きを検知した監視対象を撮影している監視カメラ20bを示すカメラ番号「2」、動きを検知した時刻「T2」を含む記録イベントを生成して、映像監視レコーダ装置10を構成するイベント受信部17へ送信する(ステップST203)。
【0058】
イベント受信部17は、イベント入力装置21から記録イベントを受信すると、記録制御部12へ出力する(ステップST204)。
【0059】
記録制御部12は、イベント受信部17から記録イベントを入力すると、記録イベントに基づき、イベント種別42「記録」、カメラ番号43「2」、記録イベントの開始時刻44と終了時刻45を示す時刻情報をイベント情報としてデータベース14へ記録する。
【0060】
データベース14は、記録制御部12からのイベント情報を入力すると、ID41を付加してイベント情報リスト40に追加して記憶する(ステップST205)。
【0061】
次に再生イベントをイベント情報として記録する処理について説明する。図4のフローチャートは、再生イベントをイベント情報として記録する処理を示している。
映像再生装置22は、使用者からカメラ番号と時刻が指定入力されると、映像再生部18へ指定されたカメラ番号と時刻を含む再生要求を送信する。
【0062】
映像再生部18は、映像再生装置22から再生要求を受信すると、再生要求に含まれるカメラ番号と時刻に基づき一次記録部13の映像を検索する(ステップST301)。映像再生部18は、ステップST301において検索した結果、再生要求された映像が一次記録部13に有るか無いかを判定する(ステップST302)。
【0063】
映像再生部18は、ステップST302において、再生要求された映像が一次記録部13に有ると判定した場合(ステップST302“YES”)、ステップST305の処理へ進む。
【0064】
一方、映像再生部18は、ステップST302において、再生要求された映像が一次記録部13に無いと判定した場合(ステップST302“NO”)、再生要求に含まれるカメラ番号と時刻に基づき保存記録部16の映像を検索する(ステップST303)。映像再生部18は、ステップST303において検索した結果、再生要求された映像が保存記録部16に有るか無いかを判定する(ステップST304)。
【0065】
映像再生部18は、ステップST304において、再生要求された映像が保存記録部16に無い場合(ステップST304“NO”)、検索が失敗したことを示す表示を映像再生装置22を介して表示し、処理を終了する(エンド)。
【0066】
一方、映像再生部18は、ステップST304において、再生要求された映像が保存記録部16に有る場合(ステップST304“YES”)、ステップST305の処理へ進む。
【0067】
映像再生部18は、ステップST302において、再生要求された映像が一次記録部13に有ると判定した場合、一次記録部13から該当する映像を取得し、指定された時刻から映像の再生を開始して映像再生装置22から映像を表示する(ステップST305)。
【0068】
または、映像再生部18は、ステップST304において、再生要求された映像が保存記録部16に有ると判定した場合、保存記録部16から該当する映像を取得し、指定された時刻から映像の再生を開始して映像再生装置22から映像を表示する(ステップST305)。
【0069】
映像再生部18は、ステップST305において映像の再生を開始すると、映像に付加されたカメラ番号43と、時刻(開始時刻44)を記憶する(ステップST306)。映像再生部18は、映像再生装置22から再生終了の指示を受信するまで映像の再生を続け(ステップST307“NO”)、映像再生装置22から再生終了の指示を受信すると(ステップST307“YES”)、再生している映像に付加された時刻(終了時刻45)を記憶し(ステップST308)、映像の再生を終了する。
【0070】
映像再生部18は、再生イベントを示すイベント種別42と、再生した映像に付加されたカメラ番号43と、ステップST306で記憶した開始時刻44と、ステップST308で記憶した終了時刻45をイベント情報としてデータベース14のイベント情報リスト40へ記録する(ステップST309)。データベース14は、映像再生部18からイベント情報を入力すると、ID41を付加してイベント情報リスト40へ記録する(ステップST310)。
【0071】
次に、一次記録部13における記録方法について説明する。図5は、映像監視レコーダ装置10における一次記録部13の記録方法を示している。
【0072】
一次記録部13は、上述したように記録制御部12から時系列順に入力される映像を順次記録し、図5(a)に示すように、記録された映像の最古の時刻T(old)と、最新の時刻T(new)を管理している。一次記録部13は、映像を記録して記録容量が上限に達すると、図5(b)に示すように最古時刻T(old)に撮影された映像から消去して上書きする。以降、一次記録部13は、上書きされて変化する映像の最古時刻T(old)と新たに記録されて変化する映像の最新時刻T(new)を更新して記憶しながら、映像を記憶していく。
【0073】
次に、一次記録部13に記録された映像を保存記録部16へ移行する処理について説明する。図6のフローチャートは、映像監視レコーダ装置10における映像移行部15の処理動作を示している。
【0074】
映像移行部15は、予め設定された時刻になると、上述したデータベース14に記録されているイベント情報リスト40を検索するための値m=「1」を設定して指定し(ステップST401)、ID41が値m(ID41=m)のレコードをイベント情報リスト40から検索してイベント情報を取得する(ステップST402)。
【0075】
映像移行部15は、ステップST402に続いて、映像移行部15に記録されている移行範囲リスト50を検索するための値n=「1」を設定して指定し(ステップST403)、レコード番号51が値n(レコード番号51=n)のレコードを移行範囲リスト50から検索して移行範囲を取得する(ステップST404)。
【0076】
映像移行部15は、ステップST402で取得したイベント情報のレコードとステップST404で取得した移行範囲のレコードを比較し(ステップST405)、開始時刻から終了時刻までの時間範囲が重複しているかどうかを判定する(ステップST406)。
【0077】
映像移行部15は、ステップST406において、開始時刻から終了時刻までの時間範囲が重複していないと判定した場合(ステップST406“NO”)、移行範囲リスト50を検索するための値nを1つ増加させて(n=n+1)設定し(ステップST407)、移行範囲リスト50のレコード番号51に値n(レコード番号51=n)が含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST408)。
【0078】
映像移行部15は、ステップST408において、移行範囲リスト50のレコード番号51に値n(レコード番号51=n)が含まれていると判定した場合(ステップST408“NO”)、ステップST404からの処理を繰り返す。
【0079】
一方、映像移行部15は、ステップST408において、移行範囲リスト50のレコード番号51に値n(レコード番号51=n)が含まれていないと判定した場合(ステップST408“YES”)、ID41が値m(ID41=m)のイベント情報に含まれるカメラ番号43、開始時刻44、終了時刻45に基づき移行範囲を生成し、移行範囲リスト50へ追加して更新する(ステップST409)。映像移行部15は、ステップST409において移行範囲リスト50を更新すると、ステップST413の処理へ進む。
【0080】
一方、映像移行部15は、ステップST406において、開始時刻から終了時刻までの時間範囲が重複していると判定した場合(ステップST406“NO”)、イベント情報の時間範囲と移行範囲の時間範囲を足し合わせて時間範囲の和を算出する(ステップST410)。
【0081】
映像移行部15は、ステップST410で算出した時間範囲の和に基づき、レコード番号51が値n(レコード番号51=n)の移行範囲に含まれる開始時刻53と終了時刻54を更新する(ステップST411)。
【0082】
また、映像移行部15は、レコード番号51が値n(レコード番号51=n)の移行範囲に含まれる総合カメラ番号52に、ID41が値m(ID41=m)のイベント情報に含まれるカメラ番号43を追加して更新する(ステップST412)。
【0083】
映像移行部15は、ステップST406の処理またはステップST412の処理を行い移行範囲リスト50を更新すると、移行範囲リスト50を検索するための値nを1つ増加させて(n=n+1)設定し(ステップST413)、レコード番号51が値n(レコード番号51=n)のレコードが移行範囲リスト50に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST414)。
【0084】
映像移行部15は、ステップST414において、レコード番号51=nのレコードが含まれていると判定した場合(ステップST414“NO”)、ステップST404からの処理を繰り返す。
【0085】
一方、映像移行部15は、ステップST414において、レコード番号51=nのレコードが含まれていないと判定した場合(ステップST414“YES”)、データベース14に記録されているイベント情報リスト40を検索するための値mを1つ増加させて(m=m+1)設定し(ステップST415)、ID41が値m(ID41=m)であるレコードがデータベース14のイベント情報リスト40に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST416)。
【0086】
映像移行部15は、ステップST416において、ID41=mのレコードがイベント情報リスト40に含まれていると判定した場合(ステップST416“NO”)、ステップST402からの処理を繰り返す。
【0087】
一方、映像移行部15は、ステップST416において、ID41=mのレコードがイベント情報リスト40に含まれていないと判定した場合(ステップST416“YES”)、移行範囲リスト50の更新処理を終了し移行範囲リスト50に基づき、一次記録部13に記録された映像を抽出して保存記録部16へ出力する(ステップST417)。保存記録部16は、映像移行部15からの映像を入力し記録して移行処理を終了する(エンド)。
【0088】
ここで、図7(a)〜図7(d)を用いて、上述した移行処理の具体的な一例について説明する。図7(a)はデータベース14に記録されたイベント情報リスト60の一例を示している。図7(b)は移行する映像を抽出する一例を示している。図7(c)は映像移行部15により作成された移行範囲リスト80の一例を示している。図7(d)は、移行処理における一次記録部13と保存記録部16を示している。
【0089】
映像移行部15は、予め設定された時刻になると、図7(a)に示すデータベース14に記録されているイベント情報リスト60を検索するための値m=「1」を設定して指定し(上述した図6のステップST401)、ID61=「1」のレコードとしてイベント情報60aをイベント情報リスト60から取得する(ステップST402)。
【0090】
映像移行部15は、ステップST402に続いて、映像移行部15に記録されている移行範囲リスト80を検索するための値n=「1」を設定して指定し(ステップST403)、移行範囲リスト80からレコード番号81が「1」のレコードを検索する(ステップST404)。ここで、映像移行部15は、ステップST404において、最初に移行範囲リスト80を生成する場合、移行範囲リスト80にレコード番号81=「1」のレコードが無いため、ステップST405,ST406を介してステップST409へ進む。
【0091】
映像移行部15は、ステップST409において、ID61=「1」を含むイベント情報60aに基づき、レコード番号81を「1」、総合カメラ番号82を「1」、開始時刻83を「T(1S)」、終了時刻84を「T(1E)」を入力した移行範囲リスト80を生成する。
【0092】
映像移行部15は、ステップST409に続いてステップST413,ST412を介してステップST415へ進むと、データベース14に記録されているイベント情報リスト60を検索するための値mを1つ増加させて値m=「2」を設定し(ステップST415)、ID81=「2」のレコードがデータベース14のイベント情報リスト60に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST416)。
【0093】
映像移行部15は、ID81=「2」のレコードがデータベース14のイベント情報リスト60に含まれているため(ステップST416“NO”)、ID81が「2」のレコードを検索してイベント情報60bを取得する(ステップST402)。
【0094】
映像移行部15は、ステップST402に続いて、映像移行部15に記録されている移行範囲リスト80を検索するためのレコード番号の値n=「1」を設定して指定し(ステップST403)、移行範囲リスト80からレコード番号81が「1」であるレコードを検索して移行範囲80aを取得する(ステップST404)。
【0095】
映像移行部15は、イベント情報60bと移行範囲80aを比較し、イベント情報60bに含まれる開始時刻64「T(2S)」から終了時刻65「T(2E)」までの時間範囲と、移行範囲80aに含まれる開始時刻83「T(1S)」から終了時刻84「T(1E)」までの時間範囲が重複するか重複しないかを判定する(ステップST406)。
【0096】
映像移行部15は、ステップST406において、図7(b)に示すように、時刻「T(2S)」から時刻「T(2E)」までの時間範囲と、時刻「T(1S)」から時刻「T(1E)」までの時間範囲が重複しないため(ステップST406“NO”)、移行範囲リスト50を検索するためのレコード番号の値nを1つ増加させて値n=「2」を設定し(ステップST407)、レコード番号51が「2」であるレコードが移行範囲リスト50に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST408)。
【0097】
映像移行部15は、ステップST408において、レコード番号51が「2」であるレコードが移行範囲リスト50に含まれていないと判定し(ステップST408“YES”)、ID61=「2」を含むイベント情報60bに基づき、レコード番号81を「2」、総合カメラ番号82を「2」、開始時刻83を「T(2S)」、終了時刻84を「T(2E)」を移行範囲として追加し、移行範囲リスト80を更新する(ステップST409)。
【0098】
映像移行部15は、ステップST409に続いてステップST413,ST412を介してステップST415へ進むと、データベース14に記録されているイベント情報リスト60を検索するための値mを1つ増加させて値m=「3」を設定し(ステップST415)、ID81=「3」のレコードがデータベース14のイベント情報リスト60に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST416)。
【0099】
映像移行部15は、ID81=「3」のレコードがデータベース14のイベント情報リスト60に含まれているため(ステップST416“NO”)、ID81が「3」のレコードを検索してイベント情報60cを取得する(ステップST402)。
【0100】
映像移行部15は、ステップST402に続いて、映像移行部15に記録されている移行範囲リスト80を検索するためのレコード番号の値n=「1」を設定して指定し(ステップST403)、移行範囲リスト80からレコード番号81が「1」であるレコードを検索して移行範囲80aを取得する(ステップST404)。
【0101】
映像移行部15は、イベント情報60cと移行範囲80aを比較し、イベント情報60cに含まれる開始時刻64「T(3S)」から終了時刻65「T(3E)」までの時間範囲と、移行範囲80aに含まれる開始時刻83「T(1S)」から終了時刻84「T(1E)」までの時間範囲が重複するか重複しないかを判定する(ステップST406)。
【0102】
映像移行部15は、ステップST406において、図7(b)に示すように、時刻「T(3S)」から時刻「T(3E)」までの時間範囲と、時刻「T(1S)」から時刻「T(1E)」までの時間範囲が重複しないため(ステップST406“NO”)、移行範囲リスト50を検索するためのレコード番号の値nを1つ増加させて値n=「2」を設定し(ステップST407)、レコード番号51が「2」であるレコードが移行範囲リスト50に含まれているか含まれていないかを判定する(ステップST408)。
【0103】
映像移行部15は、ステップST408において、レコード番号51が「2」であるレコードが移行範囲リスト50に含まれていると判定し(ステップST408“NO”)、移行範囲リスト80からレコード番号81が「2」であるレコードを検索して移行範囲を取得する(ステップST404)。
【0104】
映像移行部15は、レコード番号81「2」、総合カメラ番号82「2」、開始時刻83「T(2S)」、終了時刻84「T(2E)」を含む移行範囲を取得すると、イベント情報60cと取得した移行範囲を比較し(ステップSTST405)、イベント情報60cに含まれる開始時刻64「T(3S)」から終了時刻65「T(3E)」までの時間範囲と、取得した移行範囲に含まれる開始時刻83「T(2S)」から終了時刻84「T(2E)」までの時間範囲が重複するか重複しないかを判定する(ステップST406)。
【0105】
映像移行部15は、ステップST406において、図7(b)に示すように、時刻「T(3S)」から時刻「T(3E)」までの時間範囲と、時刻「T(2S)」から時刻「T(2E)」までの時間範囲が重複すると判定し(ステップST406“YES”)、イベント情報60cの時間範囲「T(3S)〜T(3E)」と、移行範囲の時間範囲「T(2S)〜T(2E)」を足し合わせて時間範囲の和71「T(3S)〜T(2E)」を算出する(ステップST410)。
【0106】
映像移行部15は、ステップST410で算出した時間範囲の和71「T(3S)〜T(2E)」に基づき、レコード番号51が「2」である移行範囲に含まれる開始時刻53を「T(3S)」に、終了時刻54を「T(2E)」に変更して、時間範囲を更新する(ステップST411)。
【0107】
また、映像移行部15は、レコード番号51が「2」の移行範囲に含まれる総合カメラ番号52「2」にイベント情報60cに含まれるカメラ番号43「3」を追加して総合カメラ番号52を「2,3」とし、移行範囲80bを追加して移行範囲リスト80を更新する(ステップST412)。
【0108】
映像移行部15は、ステップST413,ST414,ST415,ST416を介して移行範囲リスト80の更新を終了すると、移行範囲リスト80に基づき、図7(d)に示すように、一次記録部13から映像13a,13bを抽出して複製、退避し、保存記録部16へ映像16a,16bを記録して移行処理を終了する(ステップST417、エンド)。
【0109】
このようにして映像移行部15は、記録イベントまたは再生イベントが発生した時刻を移行範囲とする移行範囲リストを生成し、移行範囲リストに基づき、移行範囲の時刻に撮影された映像を重要度の高い映像として一次記録部13から保存記録部16へ移行して記録するよう処理を行う。
【0110】
以上のように、実施の形態1によれば、映像監視レコーダ装置10は、監視カメラ20a,20b,20cにより各撮影対象を撮影した映像を入力し、映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて一次記録部13に記録する記録制御部12と、撮影対象における状態変化と状態変化を検知した時刻を含む記録イベントを生成する記録イベント生成部31と、記録イベント生成部31からの記録イベントをイベント情報として記録するデータベース14と、データベース14に記録されたイベント情報に基づいて移行範囲リスト50を生成または更新し、移行範囲リスト50に基づいて一次記録部13から映像を抽出する映像移行部15と、映像移行部15により抽出された映像を記録する保存記録部16と、を備えるよう構成したので、入出力性能を重視した記録媒体から、記録イベントが発生した時刻に撮影された映像を重要度の高い映像として抽出して複製し、冗長性を有する記録媒体へ移行することができる。その結果、映像監視レコーダ装置10は、記録した映像から重要度の高い映像を抽出して移行し、入出力性能とデータ信頼性を両立して向上させることができる。
【0111】
また、映像監視レコーダ装置10は、高速アクセス可能で入出力性能を重視した記録媒体で構成された一次記録部13と、冗長性を有し信頼性を重視した記録媒体で構成された保存記録部16と、を備えるよう構成したので、映像を高速で入出力できるとともに、重要度の高い映像をデータ信頼性の高い記録媒体へ保存することができる。
【0112】
また、映像監視レコーダ装置10は、予め設定された時刻に一次記録部13から映像を抽出する映像移行部15を備えるよう構成したので、重要度の高い映像を自動的に一次記録部13から保存記録部16へ移行して複製、退避できる。その結果、使用者の負担を軽減することができる。
【0113】
また、実施の形態1によれば、映像監視レコーダ装置10は、上記構成に加え、再生要求にしたがって一次記録部13または保存記録部16から映像を取得して再生し、映像を再生した時刻を含む再生イベントを生成する映像再生部18と、映像再生部18からの再生イベントをイベント情報として記録するデータベース14とを備えるよう構成したので、使用者により再生された映像を重要度の高い映像として一次記録部13から抽出して複製し、保存記録部16へ退避することができる。その結果、映像監視レコーダ装置10は、より使用者が必要とする映像を重要度の高い映像として抽出することができる。
【0114】
また、映像監視レコーダ装置10は、一次記録部13の記録容量が上限に達した場合、一次記録部13に記録されている映像のうち、最古時刻に撮影された映像を削除して最新時刻に撮影された映像を上書きする記録制御部12と、再生要求に含まれる指定時刻に基づき、一次記録部13または保存記録部16に記録されている映像を検索する映像再生部18と、を備えるよう構成したので、保存記録部16へのアクセス回数を低減させることができる。その結果、映像監視レコーダ装置10は、よりデータ信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 映像監視レコーダシステム、10 映像監視レコーダ装置、11,11a,11b,11c 映像受信部、12 記録制御部、13 一次記録部、14 データベース、15 映像移行部、16 保存記録部、17 イベント受信部、18 映像再生部、20 カメラ部、20a,20b,20c 監視カメラ、21 イベント入力装置、22 映像再生装置、31 記録イベント生成部、40,60 イベント情報リスト、41,61 ID、42,62 イベント種別、43,63 カメラ番号、44,53,64,83 開始時刻、45,54,65,84 終了時刻、50,80 移行範囲リスト、51,81 レコード番号、52,82 総合カメラ番号、71 時間範囲の和。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラにより各撮影対象を撮影した映像を入力して一次記録部に記録する記録制御部と、
上記撮影対象における状態変化と、その状態変化を検知した時刻を含む記録イベントを生成する記録イベント生成部と、
上記記録イベント生成部からの記録イベントをイベント情報として記録するデータベースと、
上記データベースに記録されたイベント情報に基づいて上記一次記録部から映像を抽出する映像移行部と、
上記映像移行部により抽出された映像を記録する保存記録部と、
を備えた映像監視レコーダ装置。
【請求項2】
上記一次記録部は高速アクセス可能な性能を有する記録媒体で構成され、
上記保存記録部は冗長性を有する記録媒体で構成されていることを特徴とする請求項1記載の映像監視レコーダ装置。
【請求項3】
上記記録制御部は、映像に付加された時刻に基づき映像を時系列に並べて上記一次記録部に記録することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の映像監視レコーダ装置。
【請求項4】
上記映像移行部は、予め設定された時刻に上記一次記録部から映像を抽出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の映像監視レコーダ装置。
【請求項5】
再生要求にしたがって上記一次記録部または上記保存記録部から映像を取得して再生し、映像を再生した時刻を含む再生イベントを生成する映像再生部を備え、
上記データベースは、上記映像再生部からの再生イベントをイベント情報として記録することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の映像監視レコーダ装置。
【請求項6】
上記記録制御部は、上記一次記録部の記録容量が上限に達した場合、上記一次記録部に記録されている映像のうち、最古時刻に撮影された映像を削除して最新時刻に撮影された映像を上書きし、
上記映像再生部は、再生要求に含まれる指定時刻に基づき、上記一次記録部または上記保存記録部に記録されている映像を検索することを特徴とする請求項5記載の映像監視レコーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−223193(P2011−223193A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88600(P2010−88600)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】